JP3271887B2 - アリルパーフルオロアルキルエーテルの製造法 - Google Patents

アリルパーフルオロアルキルエーテルの製造法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤、また
は防油および防水処理剤の製造中間体などとして有用な
アリルパーフルオロアルキルエーテルの新規な製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】既に、
パーフルオロアルキル基を含むアリルエーテル化合物が
数多く知られている。これらの化合物は、界面活性剤ま
たは種々の基質に防水および防油処理を施すための物質
の製造中間体として使用し得るものである。
【0003】従来、これらのアリルエーテル化合物を製
造する方法としては、(1)フッ化ケトンまたはフッ化
酸クロリドから合成する方法(ジャーナル・オブ・ポリ
マー・サイエンス、Al、6、1741(1968))
(2)パーフルオロ化されたアルコールを原料として水
酸化ナトリウム水溶液および相関移動触媒を用いる方法
(フランス特許2566401)、(3)パーフルオロ
化されたアルコールを原料として固体水酸化ナトリウム
と各種の有機溶媒(メタノール、エタノール、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール)を用いる方法が知
られていた(ヨーロッパ特許265856)。しかしな
がら、製造法(1)においては必要に要する時間が長い
ため、製造が困難であり、製造法(2)および(3)に
おいては、反応の活性を上げるため、相関移動触媒や有
機溶媒が必要であり、このため製造コストが高くなる上
に、これらを除去する工程が必要となり、さらに大量の
廃棄物が生じるという問題があった。
【0004】従って、本発明は、短時間で、かつ廃棄物
を生じることなくアリルパーフルオロアルキルエーテル
を製造し得る方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような実情におい
て、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、パーフルオ
ロアルキルアルコールとアリルハライドとを、固体アル
カリの存在下で反応させたときに、きわめて速やかに反
応し、溶媒を全く使用しなくても高純度、高収率でアリ
ルパーフルオロアルキルエーテルが製造できることを見
出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、次の一般式(1)
【0007】
【化3】Rf−(CH2n−OH (1)
【0008】〔式中、Rf はパーフルオロアルキル基を
示し、nは1〜12の数である〕で表わされるパーフル
オロアルキルアルコールとアリルハライドとを無溶媒
下、固体アルカリの存在下で反応させることを特徴とす
る次の一般式(2)
【0009】
【化4】 Rf−(CH2n−O−CH2−CH=CH2 (2)
【0010】〔式中、Rf およびnは前記と同じであ
る〕で表わされるアリルパーフルオロアルキルエーテル
の製造法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で用いるパーフルオロアル
キルアルコール(1)としては、炭素数1〜14の直鎖
または分岐鎖のパーフルオロアルキル基を有するアルコ
ールが好ましい。このようなパーフルオロアルキルアル
コールとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエ
タノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパ
ノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2,
2,2,3,3−ペンタフルオロエタノール、2−(パ
ーフルオロブチル)エタノール、2−(パーフルオロヘ
キシル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)エ
タノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2
−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、2
−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エタノール、
2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エタノー
ル、2−(パーフルオロ−9−メチルデシルエタノー
ル)、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノー
ル、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、
1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、1
H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2H
−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1H,1H,3
H−ヘキサフルオロブタノール、2,2−ビス(トリフ
ルオロメチル)プロパノール、2,2−ビス(トリフル
オロメチル)−2−ペンタフルオロプロピルエタノー
ル、6−(パーフルオロエチル)ヘキサノール、6−
(パーフルオロブチル)ヘキサノール、3−(パーフル
オロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキ
シル)ヘキサノール、3−(パーフルオロオクチル)プ
ロパノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノー
ル、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノ
ール、6−(パーフルオロ−3−メチルブチル)ヘキサ
ノール、6−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)ヘ
キサノール、6−(パーフルオロ−7−メチルオクチ
ル)ヘキサノール等が挙げられる。なお、パーフルオロ
アルキルアルコールは単一化合物でなく、炭素数の異な
る2種以上のパーフルオロアルキルアルコールの混合物
であってもよい。
【0012】本発明で用いるアリルハライドとしては、
塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル等が挙げられ
る。
【0013】本発明で用いる固体アルカリとしては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭
酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等
が挙げられ、水酸化ナトリウムが特に好ましい。固体ア
ルカリの形状としては、塊状、ペレット状、フレーク
状、粒状等が挙げられるが、フレーク状または粒状のも
のがパーフルオロアルキルアルコールとアリルハライド
とを速かに反応させる点から好ましく、特に粒径が0.
01〜1mmのものが好ましい。このような固体アルカリ
としては、例えばフレーク状水酸化ナトリウム、トーソ
ーパール(粒径0.7mmの水酸化ナトリウム、トーソー
社製)等が挙げられる。
【0014】本発明における反応において、パーフルオ
ロアルキルアルコールとアリルハライドおよび固体アル
カリの使用比率は任意に選ばれるが、パーフルオロアル
キルアルコールに対して、アリルハライドは1〜3当
量、固体アルカリは1〜3当量用いるのが反応速度や生
成物の純度の点から特に好ましい。
【0015】本発明における反応は上記のパーフルオロ
アルキルアルコール、アリルハライドおよび固体アルカ
リを無溶媒下で反応させればよく、反応温度は本反応を
決定づけるものではないが、高温(30〜100℃)の
方が反応時間を短縮できるため好ましい。さらに好まし
くは、アリルハライドの沸点付近で行なうのがよい。ま
た、場合によっては加圧系で反応を行なってもよい。
【0016】反応溶媒を用いないので、反応終了後は過
剰の原料の留去、水洗、蒸留などの手段により容易に目
的物を単離、精製することができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0018】実施例1 還流冷却管および100mlの滴下ロートを備えた100
0mlの3口フラスコに、あらかじめ60℃で加熱溶解さ
せた2−(パーフルオロオクチル)エタノール300.
0g(0.646mol)を入れ、60℃で攪拌を行なっ
た。次に、60℃で攪拌を続けたまま、粒径0.7mmの
粒状固体NaOH(トーソーパール、トーソー社製)5
1.7g(1.29mol)を添加し、臭化アリル11
7.3g(0.970mol)を時々冷却しながら30分
かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、2時間
攪拌を続けた。反応終了(反応転化率99.8%)後、
過剰の臭化アリルを減圧除去し、水洗した後、減圧蒸留
(100℃/10Torr)を行ない、無色の精製物30
9.7g(収率95.1%)を得た。得られた精製物を
1H−NMRで分析したところ、アリル((パーフルオ
ロオクチル)エチル)エーテルであることがわかった。
【0019】1H-NMR(CDCl3,δ):2.30-2.55(m,2H), 3.7
3(t,2H,J=6.9Hz),4.01(d,2H,J=5.5Hz), 5.20-5.35(m,2
H), 5.81-6.01(m,1H)
【0020】実施例2 還流冷却管および100mlの滴下ロートを備えた300
mlの3口フラスコに、あらかじめ100℃で加熱溶解さ
せた2−(パーフルオロデシル)エタノール100.0
g(0.177mol)を入れ、100℃で攪拌を行なっ
た。次に、100℃で攪拌を続けたまま、粒径0.7mm
の粒状固体NaOH(トーソーパール、トーソー社製)
14.2g(0.355mol)を添加し、臭化アリル3
2.2g(0.266mol)を時々冷却しながら1時間
かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間100℃で
攪拌を続けた。反応終了(反応転化率99.8%)後、
過剰の臭化アリルを減圧除去し、水洗した後、減圧蒸留
(120℃/10Torr)を行ない、無色の固体精製物9
1.6g(収率85.5%)を得た。得られた精製物を
1H−NMRで分析したところ、アリル((パーフルオ
ロデシル)エチル)エーテルであることがわかった。
【0021】1H-NMR(CDCl3,δ):2.33-2.55(m,2H), 3.7
3(t,2H,J=6.9Hz),4.01(d,2H,J=5.6Hz), 5.20-5.34(m,2
H), 5.81-6.01(m,1H)
【0022】比較例1 還流冷却管および100mlの滴下ロートを備えた200
mlの3口フラスコに、あらかじめ60℃で加熱溶解させ
た2−(パーフルオロオクチル)エタノール100.0
g(0.215mol)、臭化アリル39.1g(0.3
23mol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.
08gを入れ、60℃で攪拌を行なった。次に、60℃
で攪拌を続けたまま、48%NaOH水溶液26.9g
(0.323mol)を時々冷却しながら30分かけて滴
下した。滴下終了後、60℃で5時間攪拌を続けた。反
応終了(反応転化率97.0%)後、水洗、過剰の臭化
アリルを減圧除去を行なった後、減圧蒸留し、無色の精
製物95.8g(収率88.1%)を得た。得られた精
製物を1H−NMRで分析したところ、アリル((パー
フルオロオクチル)エチル)エーテルであることがわか
った。
【0023】比較例2 還流冷却管および100mlの滴下ロートを備えた500
mlの3口フラスコに、2−(パーフルオロデシル)エタ
ノール130.0g(0.230mol)、テトラヒドロ
フラン130mlを入れ、攪拌溶解させた。次に、65℃
に昇温したのちペレット状NaOH27.7g(0.6
93mol)を添加し、臭化アリル41.8g(0.34
6mol)を時々冷却しながら1時間かけて滴下した。滴
下終了後、さらに65℃で10時間攪拌を続けた。反応
終了(反応転化率97.2%)後、過剰の臭化アリルお
よびテトラヒドロフランを減圧除去し、水洗した後、減
圧蒸留(120℃/10Torr)を行ない、無色の固体精
製物98.7g(収率71.0%)を得た。得られた精
製物を1H−NMRで分析したところ、アリル((パー
フルオロデシル)エチル)エーテルであることがわかっ
た。
【0024】以上のように、無溶媒下、固体アルカリの
存在下で反応させることによって、パーフルオロアルキ
ルアルコールとアリルハライドとが、きわめて速やかに
反応し、高純度、高収率でアリルパーフルオロアルキル
エーテルを製造できることが明らかである。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、アリルパーフルオロア
ルキルエーテルを短時間で、かつ廃棄物を生じることな
く、高収率、高純度で製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 山室 朗 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 中村 浩一 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式 会社研究所内 (56)参考文献 J.Organomet.Che m.,1991年 3月12日,Vol.405, No.2,179−182 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 41/16 C07C 43/17 CASREACT(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】Rf−(CH2n−OH (1) 〔式中、Rf はパーフルオロアルキル基を示し、nは1
    〜12の数である〕で表わされるパーフルオロアルキル
    アルコールとアリルハライドとを無溶媒下、固体アルカ
    リの存在下で反応させることを特徴とする次の一般式
    (2) 【化2】 Rf−(CH2n−O−CH2−CH=CH2 (2) 〔式中、Rf およびnは前記と同じである〕で表わされ
    るアリルパーフルオロアルキルエーテルの製造法。
  2. 【請求項2】 固体アルカリが水酸化ナトリウムである
    請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 固体アルカリが粒径0.01〜1mmの水
    酸化ナトリウムである請求項1記載の製造法。
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CN116440919A (zh) * 2023-04-10 2023-07-18 大连理工大学 用于高选择性制全氟烷基醇的镍钼固溶体-钼氧化物复合催化剂、制备方法及应用

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