JP3950492B2 - 光学活性含フッ素アルコールの製造方法 - Google Patents

光学活性含フッ素アルコールの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬または液晶などの機能性材料の合成中間体として有用な光学活性な含フッ素アルコールを含フッ素クロロ酢酸エステルより製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学活性な含フッ素アルコールの合成方法としては、不斉触媒を用いて不斉合成する方法と、ラセミ体を光学活性な試薬と反応させて分割可能なジアステレオマーとして分割させる方法(例えば、特開平2−67237号公報参照)、および、酵素を用いてラセミ体のエステルを不斉加水分解する方法〔例えば、J.T.Lin et al.,J.Org.Chem.,52,3211(1987)、特開平2−282340号公報参照〕が知られている。
また、ラセミ体のエステルを酵素を用いてアルコールを含有する有機溶媒中で処理し、光学活性なアルコールを得る方法〔例えば、H.S.Bevinakatti et al.,J.Org.Chem.,53,2453(1989)〕は知られているが、含フッ素クロロ酢酸エステルを用いた有機溶媒中での酵素反応は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
不斉触媒を用いた不斉合成法や、ラセミ体を光学活性な試薬と反応させて分割可能なジアステレオマーとして分割させる方法は、いずれも高価な不斉触媒もしくは光学活性試薬を使用しなければならず、さらに、特殊な反応条件下で行う必要があるため工業化は不可能であった。
一方、上述の酵素を用いてラセミ体のエステルを不斉加水分解する方法は、比較的安価な酵素を使用することから、有効な方法であることはすでに知られている。しかしながら、反応終了後の後処理の際、酵素を除くため水溶液から溶媒で生成物を抽出しなければならず、そのため、生成した光学活性な含フッ素アルコールが水層に溶解し、収率を下げる原因となっていた。
上記のような問題点を解決する方法として、式(1)のようなアルコールを含む有機溶媒中でのエステルの加アルコール分解(アルコーリシス)がある。
【化1】
Figure 0003950492
しかし、この反応は可逆であり反応速度も遅く、光学純度も満足できる値ではなかった。したがって、この方法での合成例は少なく、工業化は到底不可能であった。
本発明の目的は、含フッ素クロロ酢酸エステルをアルコールを含む有機溶媒中でリパーゼを用いてアルコーリシス反応させることにより、医薬、農薬または液晶などの合成中間体として有用な光学活性な含フッ素アルコールを効率よく製造する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究・検討を重ねた結果、光学活性含フッ素アルコールを製造するに当って、一般式(I)


O―C―CH Cl ……(I)

CF ―CH―R
(ここにRは炭素数1〜14のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基を示す。)
で表される含フッ素クロロ酢酸エステルを、リパーゼとアルコールの存在する有機溶媒中でアルコーリシス反応を行った場合、従来から用いられてきたエステル等からのアルコーリシス反応に比べ、極端に反応速度が速くなることを究明するに至った。
比較実験の結果、同量のリパーゼを用いた場合、酢酸エステルでは全く反応が進まない場合でも、一般式(I)で表される含フッ素クロロ酢酸エステルでは1時間以内に反応が終了した。この結果、リパーゼの使用量を極度に減少させることができた。また、リパーゼの分離などに伴う後処理も容易となり、従来、実験室レベルのような小スケールの合成のみの利用しかできなかったリパーゼによるアルコーリシス反応が工業的に利用可能となった。
反応終了後は、リパーゼをろ過しろ液を直接蒸留し、生成した光学活性なアルコールと未反応の対掌体クロロ酢酸エステルとを分離精製することができる。すなわち、クロロ酢酸エステルを使用した場合、酢酸エステルとは異なり、目的物の光学活性なアルコールと対掌体クロロ酢酸エステルとの間に沸点差が生じるため、蒸留により容易に目的物を分離精製することが可能となる。
【0005】
【発明の実施の形態】
前記一般式(I)で表される化合物は、次式(2)で表される公知の合成方法により合成されたラセミアルコールを原料に、次式(3)に示すように塩化クロロアセチルを使用してクロロアセチル化することにより合成することができる。
【化2】
Figure 0003950492
【化3】
Figure 0003950492
前記反応式(2)で表されるグリニャール反応とそれに続く還元反応は公知の方法(例えば、特開平2−282340号公報参照)によって容易に行うことができる。すなわち、エーテル溶液中に削り状マグネシウムと等モルのアルキルブロミドとを反応させてグリニャール試薬を調製し、次いで、このグリニャール試薬をエーテルに溶かした等モルのトリフルオロ酢酸エチルと反応させることにより合成することができる。反応液は塩酸等でクエンチした後、通常の抽出、脱水、濃縮処理を行い、必要に応じて蒸留生成する。還元反応は、得られたケトンに理論量の水素化リチウムアルミニウムもしくは水素化ホウ素ナトリウムを作用させて定法により達成される。
前記式(2)の反応によって得られた第二級トリフルオロアルコールを無水溶媒中、塩化クロロアセチルと反応させることによって前記反応式(3)で示される含フッ素クロロ酢酸エステルを合成することができる(例えば、特願平7−293488号)。これをさらに具体的に述べれば、例えば、1,1,1−トリフルオロ−2−アルカノールと塩化クロロアセチル1.1倍モルを5倍量の塩化メチレンに溶解し、氷水浴中でピリジン1.3倍モルを滴下する。室温下で3時間反応させた後、塩酸にクエンチし、塩化メチレンで抽出したものを飽和重曹水、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより脱水した後、塩化メチレンを留去して蒸留精製し、含フッ素クロロ酢酸エステルを得ることができる。
【0006】
このようにして得られるラセミ体の含フッ素クロロ酢酸エステルとしては種々のものがあるが、例えば、1,1,1−トリフルオロ−2−ブチルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2−ペンチルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘプチルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルクロロアセテート、1,1、1−トリフルオロ−2−ノニルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2−デシルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−5−エトキシ−2−ペンチルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−7−エトキシ−2−ヘプチルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−2−メトキシ−4−ブチルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−8−エトキシ−2−オクチルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−4−エトキシ−2−ブチルクロロアセテート、4,4,4−トリフルオロ−3−クロロアセトキシ酪酸エチル、1,1,1−トリフルオロ−9−エトキシ−2−ノニルクロロアセテート、1,1,1−トリフルオロ−6−エトキシ−2−ヘキシルクロロアセテートなどが挙げられる。
【0007】
このようにして得られた一般式(I)


O―C―CH Cl ……(I)

CF ―CH―R
(ここにRは炭素数1〜14のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基を示す。)
で表される光学活性な含フッ素クロロ酢酸エステルを使用して一般式(II)
OH

CF ―C ―R ……(II)


(ここに、 は光学活性、Rは炭素数1〜14のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基を示す。)
で表される光学活性な含フッ素アルコールを製造する方法をさらに詳しく説明する。
【0008】
一般式(II)の含フッ素アルコールを得るためには、一般式(I)で表される含フッ素クロロ酢酸エステルを有機溶媒中にリパーゼと求核剤としてのアルコールとを所定量混合し、激しく攪拌しながら行う。反応温度は通常20〜50℃、好ましくは35℃〜45℃の温度で反応させる。反応は所望の変換率で停止させなければならず、変換率が低ければ得られる光学活性なアルコールの収率が低く、逆に、高ければ光学純度が低下する。そのため、通常50%以下の変換率で停止させるのが好ましく、結果として、反応時間は反応の速度に依存する。
【0009】
含フッ素クロロ酢酸エステルを使用した場合には、酢酸エステルを使用した場合に比べて極端に反応速度が速いため、非常に短時間で反応は終了する。そのため、リパーゼ量を減少させる事により適当な反応速度に制御するのが好ましい。
使用するリパーゼの量は特に限定されないが、通常、原料であるクロロ酢酸エステルに対して0.0001〜10倍の範囲で反応速度に応じて設定される。しかし、経済性、反応後の処理を考慮すると、0.001〜1倍の範囲で使用するのが好ましい。本発明では、酵素として市販のリパーゼを使用するが、リパーゼとしては、例えば、リパーゼMY(名糖産業製)、リパーゼOF(名糖産業製)、リパーゼPL(名糖産業製)などを挙げることができる。
【0010】
求核剤としてのアルコールはモレキュラーシーブス4A等で脱水したアルコールを使用するのが好ましい。アルコールの種類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール、イソペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール等の第一アルコール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール等の第二アルコール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール等の第三アルコールのいずれかを使用することができるが、これらに限定されるものではない。反応速度は使用するアルコールの種類により多少異なるが、反応により生成する含フッ素アルコールと沸点差の大きいアルコールを選ぶことが有効である。好ましくは、炭素数4〜9の第一アルコールが有効である。また、アルコールの添加量は原料である含フッ素クロロ酢酸エステルの0.1モル量以上であればよく、このアルコールを有機溶媒代わりに用いることもできるが、好ましくは、1/2から1倍モルを添加するのがよい。
【0011】
反応に使用される有機溶媒はn−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ドデカン等の飽和炭化水素、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の不飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、プチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセン、α−ピネン、ジペンテン等の環状炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロプロパン、ジクロロベンゼン等のハロゲン炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘキサノン等のカルボニル基を有する化合物等を使用することができるが、使用できる有機溶媒はこれらのみに限定されるものではない。
【0012】
水溶液中でのリパーゼを利用した不斉加水分解反応の場合、水に溶解したリパーゼなどにより反応後の処理が繁雑になるが、有機溶媒中でリパーゼを使用した場合には、リパーゼは容易にろ過可能であり、このろ液を精製蒸留することにより目的とする含フッ素アルコールを容易に得ることができる。
反応生成物は光学活性なアルコールと共にこれとは光学的に対掌な未反応のエステルが混合したものとなっているが、従来からの酢酸エステルを使用した方法ではその沸点が近いために蒸留では分離できず、そのため、カラムクロマトグラフィーなどのクロマト処理が欠かせない分離手段となっていた。これに対し、含フッ素クロロ酢酸エステルでは、塩素原子が置換されているためアルコールとの沸点差が大きく、その結果、蒸留により容易に精製分離することが可能となる。
このように、本発明者等は含フッ素クロロ酢酸エステルを使用し、有機溶媒中でリパーゼを触媒としてアルコーリシス反応を行うことにより、一般式(II)の光学活性な含フッ素アルコールをきわめて効率よく製造する方法を見出した。
【0013】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノンの合成
削り状のマグネシウム10.3g(420 mmol)とエーテル22mlの混合液に、ヘキシルブロミド59.2ml(420mmol)をエーテル300mlに溶解させた溶液を摘下し、グリニャール試薬を調製した。
トリフルオロ酢酸エチル50g(350mmol)のエーテル330ml溶液に、氷冷下、先に調製したグリニャール試薬を滴下し、4時間反応させた。
反応液を1N−塩酸にクエンチし、エーテルで抽出して、飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、エーテルを留去し、蒸留精製して1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノン58.8g(72〜75℃/78mmHg)を得た。収率は91%であった。
(2)1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノールの合成
水素化リチウムアルミニウム4.4gのエーテル60ml混合液に、氷冷下、1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノン42g(230mmol)のエーテル40ml溶液を滴下した。
反応液を室温に戻して3時間攪拌後、飽和硫酸ナトリウム溶液を加え、エーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、エーテルを留去し、蒸留精製して1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノール35.2g(107〜110℃/92mmHg)を得た。収率は83%であった。
(3)1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルクロロアセテートの合成
1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノール30.0g(163mmol)と塩化クロロアセチル20.3g(180mmol)を塩化メチレン200mlに溶解した溶液に、氷冷下、ピリジン15.8g(200mmol)を滴下した。室温で2時間攪拌後、反応液を1N−塩酸200mlにクエンチし、塩化メチレンで抽出し、水、飽和重曹水、水で洗浄を繰り返し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶剤を留去し、蒸留精製して1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルクロロアセテート39.1g(104〜105℃/35mmHg)を得た。収率は92%であった。
【0014】
次に、実施例1と同様の方法で合成した種々の含フッ素クロロ酢酸エステルによる、光学活性な含フッ素アルコールの合成例を示すが、本発明に用いられるエステルはこれらのみに限定されるものではない。
(実施例2)
(+)−1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノールの合成
ガラス製のフラスコに、リパーゼMY(名糖産業製)5gとヘキサン100ml、そして、n−ブタノール5.7gを投入し、次いで、ラセミの1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルクロロアセテート10gを加えて38℃に保ちながら攪拌して反応させた。2時間反応後、反応率43.7%の時点でフラスコを冷却して反応を停止させ、吸引ろ過しリパーゼを分離した。分離したリパーゼを酢酸エチルで2回洗浄し、ろ液から減圧下溶媒を留去した後、精製蒸留して(+)−1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノール2.9g(103〜104℃/75mmHg)を得た。化学純度99.4%、光学純度97.5%e.e.であった。なお、光学純度はMTPA化してガスクロ分析により測定した。
【0015】
(実施例3)
(+)−1,1,1−トリフルオロ−2−ブタノールの合成
ガラス製のフラスコに、リパーゼMY(名糖産業製)5gとヘキサン100ml、そして、ヘプチルアルコール5.7gを投入し、次いで、ラセミの1,1,1−トリフルオロ−2−ブチルクロロアセテート10gを加えて38℃に保ちながら攪拌して反応させた。70分反応後、反応率48.7%の時点でフラスコを冷却して反応を停止させ、吸引ろ過しリパーゼを分離した。分離したリパーゼを酢酸エチルで2回洗浄し、ろ液から減圧下溶媒を留去した後、精製蒸留して(+)−1,1,1−トリフルオロ−2−ブタノール2.7g(90.0℃/760mmHg)を得た。化学純度99.0%、光学純度91.0%e.e.であった。なお、光学純度はMTPA化してガスクロ分析により測定した。
【0016】
(参考例)
次に、1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノールの酢酸エステルとクロロ酢酸エステルの反応速度を比較した。そして、クロロ酢酸エステルについてはリパーゼの使用量を変化させ、反応速度を比較した。溶媒はn−ヘキサン、アルコールはn−ブタノールを使用した。
【表1】
Figure 0003950492
(注1)
上記表における原料エステルの略語は、以下のとおりである。
TFOAc:1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルアセテート
TFOCA:1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルクロロアセテート
(注2)
上記表におけるリパーゼは、名糖産業製リパーゼMY(3万ユニット/g)を使用した。
このように、本発明は光学活性な含フッ素アルコールを工業的に製造するための新たな方法であり、特に、比較例と実施例4からも明らかなように、含フッ素クロロ酢酸エステルを使用することにより、従来用いられてきた酢酸エステルとは比較にならないほどきわめて効率よく光学活性な含フッ素アルコールを合成することができる。そして、アルコールを含む有機溶媒中でリパーゼの触媒反応により不斉合成するため、従来からの方法に比べ、反応後の処理が簡素化され、きわめて効率よく、かつ、安価に、医薬、農薬又は液晶などの機能性材料の合成中間体として有用な光学活性な含フッ素アルコールを製造することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、光学活性な含フッ素アルコールをきわめて効率よく合成することができる効果がある。そして、従来からの方法に比べ、反応後の処理が簡素化され、きわめて効率よく、かつ、安価に、医薬、農薬又は液晶などの機能性材料の合成中間体として有用な光学活性な含フッ素アルコールを製造することができる効果がある。

Claims (1)

  1. アルコール類を含有する有機溶媒中で、一般式(I)


    O―C―CH Cl ……(I)

    CF ―CH―R
    で表される含フッ素クロロ酢酸エステルにリパーゼを作用させ、エナンチオ選択的に加アルコール分解(アルコーリシス)を行い、一般式(II)
    OH

    CF ―C ―R ……(II)


    (上記の式(I),(II)において、 は光学活性、Rは炭素数1〜14のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基を示す。)
    で表される光学活性な含フッ素アルコールを得ることを特徴とする光学活性含フッ素アルコールの製造方法。
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