JPH113665A - プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

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JPH113665A
JPH113665A JP15132397A JP15132397A JPH113665A JP H113665 A JPH113665 A JP H113665A JP 15132397 A JP15132397 A JP 15132397A JP 15132397 A JP15132397 A JP 15132397A JP H113665 A JPH113665 A JP H113665A
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  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマディスプレイパネルの誘電体ガラス
層上の保護膜において、放電電圧の低減と輝度の向上を
図り、加えて、その製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 プラズマディスプレイパネルにおいて、
誘電体ガラス層上にCVD法を用いて(100)面ある
いは(110)面配向し、且つ、表面粗さが30nm以
上のMgO保護層を形成することによって、MgO保護
層の2次電子放出係数を向上することにより、放電電圧
の低減とパネル輝度を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示デバイスなど
に用いるプラズマディスプレイパネル及びその製造方法
に関するものであって、特に、高品位用のプラズマディ
スプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイビジョンをはじめとする高品
位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中で、
CRT,液晶ディスプレイ(以下、LCDと記載す
る),プラズマディスプレイパネル(Plasma Display P
anel, 以下PDPと記載する)といった各ディスプレイ
の分野において、これに適したディスプレイの開発が進
められている。
【0003】従来からテレビのディスプレイとして広く
用いられているCRTは、解像度・画質の点で優れてい
るが、画面の大きさに伴って奥行き及び重量が大きくな
る点で40インチ以上の大画面には不向きである。ま
た、LCDは、消費電力が少なく、駆動電圧も低いとい
う優れた性能を有しているが、大画面を作製するのに技
術上の困難性があり、視野角にも限界がある。
【0004】これに対して、PDPは、小さい奥行きで
も大画面を実現することが可能であって、既に40イン
チクラスの製品も開発されている。PDPは、大別して
直流型(DC型)と交流型(AC型)とに分けられる
が、現在では大型化に適したAC型が主流となってい
る。図4は、従来の一般的な交流面放電型PDPの概略
断面図である。図4において、フロントカバープレート
51上に一対の表示電極(放電電極)52が配設され、
その上を鉛ガラス[PbO−B23−SiO2ガラス]
からなる誘電体ガラス層53およびMgOからなる保護
膜54で覆われている。
【0005】また、バックプレート55上には、アドレ
ス電極56が配され、その上に前記誘電体ガラス層53
と同じ組成の誘電体ガラス層57と隔壁58と、赤また
は緑または青の紫外線励起蛍光体からなる蛍光体層59
とが配設され、誘電体ガラス層57,隔壁58に囲まれ
た放電空間60内には放電ガスが封入されている。な
お、図4では断面で図示しているが、表示電極52とア
ドレス電極56とは実際には通常、直交して設けられて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなPDPにお
いて、以下に述べるように、輝度及び放電電圧(回路の
駆動電圧)に対する課題がある。40〜42インチクラ
スのテレビ用のPDPにおいて、NTSCの画素レベル
(画素640×480個,セルピッチ0.43mm×
1.29mm,1セルの面積0.55mm2)の場合、
現在150〜250cd/m2程度の画面輝度が獲られ
ている(機能材料1996年2月号Vol.16,N
o.2 ページ7参照)。
【0007】これに対して、近年期待されているフルス
ペックの42インチクラスのハイビジョンテレビでは、
画素数が1920×1125で、セルピッチは0.15
mm×0.48mmとなる。この場合、1セルの面積は
0.072mm2であって、NTSCの場合と比べて1
/7〜1/8となるため、42インチのハイビジョンテ
レビ用のPDPを、従来通りのセル構成で作製した場
合、画面の輝度は30〜40cd/m2程度に低下する
ことが予想される。
【0008】従って、42インチのハイビジョンテレビ
用のPDPにおいて、現行のNTSCのCRT並の明る
さ(500cd/m2)を得ようとすれば、各セルの輝
度を12〜15倍程度に向上させることが必要となる。
このような背景のもとで、PDPのセルの輝度を向上さ
せる技術が望まれている。
【0009】PDPの発光原理は基本的に蛍光灯と同様
であって、放電に伴って放電ガスから紫外線が放出さ
れ、この紫外線によって赤,緑,青の蛍光体励起発光さ
れるが、放電エネルギの紫外線への変換する効率や、蛍
光体における可視光への変換効率が低いので、蛍光灯の
ように高い輝度を得ることは難しい。この点に関して、
応用物理Vol.51,No.3 1982年 ページ
344〜347には、He−Xe,Ne−Xe系のガス
組成のPDPにおいて、電気エネルギーの約2%しか紫
外線放射に利用されておらず、最終的に可視光に利用さ
れるのは0.2%程度ということが記載されている(光
学技術コンタクトVol.34,No.1 1996年
ページ25,FLAT PANEL DISPLAY
96’ Part5−3,NHK 技術研究第31巻
第1号 昭和54年 ページ18参照)。
【0010】ところで、前述した誘電体ガラス層53の
保護層54としては、耐スパッタリング性に優れたもの
であることが必要であるが、放電エネルギーの紫外線へ
の変換効率を上げるためには又放電電圧を低くするため
にも、その2次電子放出係数が高いことも重要である。
従来からこのような条件をある程度満たすものとしてM
gOが広く用いられているが、更に、2次電子放出係数
の高いものが望まれる。
【0011】そこで、本発明は、保護層の2次電子放出
係数を向上させることによって、放電電圧を低くし、か
つ、発光輝度に優れたプラズマディスプレイパネルを提
供し、加えて、その製造方法を提供することを目的して
なされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、第1の電極及び誘電体ガラス層が配設さ
れたフロントカバープレートと、第2の電極及び蛍光体
層が配設されたバックプレートとが、前記誘電体ガラス
層及び蛍光体層を対向させた状態で配され、前記フロン
トカバープレート及びバックプレートの間に隔壁で仕切
られた放電空間が形成されたプラズマディスプレイパネ
ルであって、前記誘電体ガラス層には、30nm以上の
表面粗さを有し、又、(n00)面配向(ただしnは1
以上の整数)あるいは(mm0)面配向(ただしmは1
以上の整数)の酸化マグネシウム(MgO)から成る保
護層が被覆されていることを特徴とする。
【0013】当該構成を有するプラズマディスプレイパ
ネルは、第1の電極及び誘電体ガラス層が配設されたフ
ロントカバープレートの誘電体ガラス層に、30nm以
上の表面粗さを有し、(n00)面、又は(mm0)面
(ただしn,mは1以上の整数)に配向した酸化マグネ
シウム(MgO)保護層を形成する第1ステップと、M
gO保護層が形成されたフロントカバープレートと、第
2の電極及び蛍光体層が配設されたバックプレートと
を、対向して配すると共に、フロントカバープレート及
びバックプレートの間に形成される放電空間内にガス媒
体を封入する第2ステップとを備える方法で製造するこ
とができる。
【0014】また、上記目的を達成するために、第1の
電極及び誘電体ガラス層が配設されたフロントカバープ
レートと、第2の電極及び蛍光体層が配設されたバック
プレートとが、前記誘電体ガラス層及び蛍光体層を対向
させた状態で配され、前記フロントカバープレート及び
バックプレートの間に隔壁で仕切られた放電空間が形成
されたプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電
体ガラス層には、6配位の不純物イオンを含む(n0
0)面、あるいは(mm0)面(ただしn,mは1以上
の整数)配向の酸化マグネシウム(MgO)から成る保
護層が被覆されていることを特徴とする。
【0015】この構成のプラズマディスプレイパネル
は、第1の電極及び誘電体ガラス層が配設されたフロン
トカバープレートの誘電体ガラス層に、(n00)面、
又は(mm0)面(ただしn,mは1以上の整数)に配
向し、かつ、6配位の不純物イオンが含有された酸化マ
グネシウム(MgO)保護層を形成する第1ステップ
と、MgO保護層が形成されたフロントカバープレート
と、第2の電極及び蛍光体層が配設されたバックプレー
トとを、対向して配すると共に、フロントカバープレー
ト及びバックプレートの間に形成される放電空間内にガ
ス媒体を封入する第2ステップとを備える方法によって
製造することができる。
【0016】なお、MgOはNaCl岩塩構造の結晶構
造を持ち、Mgのまわりに6個の酸素イオンを配置する
ため、Mgイオンは6配位イオンと言う。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔はじめに〕はじめに、本発明について概説する。ま
ず、保護層の2次電子放出係数を向上させるための第1
の方法は、MgO層の表面に微細な凹凸を設け、放電空
間に臨む保護層の実質上の表面積を増加させることで、
2次電子の放出量を増加させる方法である。
【0018】即ち、この第1の方法は、熱CVD法やプ
ラズマCVD法でMgOを作成する時に、CVD法の条
件を変えることで(特に、反応時のガス圧力)、CVD
特有の基板表面での熱分解析出反応を利用することによ
り表面のモルフォロジー(結晶形態)を変え、2次電子
放出量の多い(100)面あるいは(110)面に配向
した微細な凹凸を有し、比較的大きな表面粗さの表面形
状の結晶成長を行う方法である。
【0019】従来の真空蒸着法やスパッタ法では微細な
凹凸が付けにくく、一般に10nm以下の凹凸の表面粗
さが小さい比較的平坦な面となる。なお、ここで(10
0)面,(110)面と言うのは、結晶学的にはより高
次の(200)面,(300)面あるいは(220)
面,(330)面と同じことで、(100)面,(11
0)面で代表して表現する。
【0020】又、誘電体ガラス表面に微細な凹凸を付
け、その上にCVD法でMgOの結晶を成長させても、
その凹凸に相似の形で結晶が成長し、実質上のMgO層
の表面積が増大してγ値が大きくなる。なお、この場合
には、CVD法で凹凸が形成されにくい条件でも、誘電
体ガラス層に凹凸を形成していない場合と同等の凹凸を
形成することができる。
【0021】このように保護層表面に凹凸を設け、表面
粗さを粗くすることで2次電子の放出量を増加させるこ
とができるので、パネル輝度の向上を図るとともに、放
電電圧の低下をも図ることができる。次に第2の方法
は、MgOに不純物イオンを添加し、MgOのバンドギ
ャッブ(禁止帯)内に多くの不純物準位を作りそこから
2次電子が放出されるようにする方法である。即ち、M
gOのバンドギャップ(禁止帯)内に不純物準位が多数
形成されると、そこに高いエネルギーを持った電子がト
ラップされて、そこからイオンの基底状態に電子が遷移
することにより、MgO層の表面から2次電子が多数発
生することを利用する方法である。この場合、MgO中
のMgと置換するイオン種は、MgOのMgと同じく6
配位を取るイオンが好ましい(例えば、プラズマディス
プレイ,共立出版,pp47〜49 1983)。
【0022】この第2の方法において、前記第1の方法
と組み合わせることにより、放電電圧低下の効果は顕著
になる。以下、本発明の実施の形態について図面を参照
しながら説明する。 〔実施の形態1〕 (PDPの全体的な構成及び製法)図1は、本実施の形
態に係る交流面放電型PDPの概略断面図である。な
お、図1ではセルCLが1つだけ示されているが、赤,
緑,青の各色を発光するセルが多数配列されてPDPが
構成されている。
【0023】このPDPは、前面ガラス基板(フロント
カバープレート)11上に放電電極(表示電極)12と
誘電体ガラス層13が配された前面パネル10と、背面
ガラス基板(バックプレート)21上にアドレス電極2
2,誘電体ガラス層23,隔壁24,蛍光体層25が配
された背面パネル20とを張り合わせ、前面パネル10
と背面パネル20の間に形成される放電空間30内に放
電ガスが封入された構成となっており、以下に示すよう
に作製される。なお、図1では便宜上断面で示している
が、放電電極12とアドレス電極22とは実際には直交
して設けられている。
【0024】前面パネル10の作製:前面パネル10
は、前面ガラス基板11上に放電電極(表示電極)12
を形成し、その上を鉛系の誘電体ガラス層13で覆い、
更に誘電体ガラス層13の表面上に微細な凹凸のある保
護層14を形成することによって作製する。本実施の形
態では、放電電極12は銀電極であって、銀電極用のペ
ーストをスクリーン印刷した後に焼成する方法で形成す
る。また、鉛系の誘電体ガラス層13の組成は、酸化鉛
[PbO]75重量%,酸化硼素[B23]15重量
%,酸化硅素[SiO2]10重量%であって、スクリ
ーン印刷法と焼成によって形成する。
【0025】保護層14は、酸化マグネシウム(Mg
O)からなり、結晶が(100)面あるいは(110)
面に配向され表面が微細な凹凸形状をした膜構造となっ
ている。本実施の形態では、CVD法(熱CVD法,プ
ラズマCVD法)を用いて、このような(100)面あ
るいは(110)面配向の酸化マグネシウムからなる微
細な凹凸結晶の保護層を形成する。具体的なCVD法に
よる保護層の形成方法については後述する。
【0026】背面パネル20の作製:背面ガラス基板2
1上に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷しその後
焼成する方法によってアドレス電極22を形成し、その
上に前面パネル10の場合と同様にスクリーン印刷法と
焼成によって鉛系の誘電体ガラス層23を形成する。そ
して、ガラス製の隔壁24を所定のピッチで固着する。
そして、隔壁24に挟まれた各空間内に、赤色蛍光体,
緑色蛍光体,青色蛍光体の中の1つを配設することによ
って蛍光体層25を形成する。各色の蛍光体としては、
一般的にPDPに用いられている蛍光体を用いることが
できるが、ここでは次の蛍光体を用いる。
【0027】 赤色蛍光体 : (YXGd1-X)BO3:Eu3+ 緑色蛍光体 : BaAl1219:Mn 青色蛍光体 : BaMgAl1017:Eu2+ パネル10及び20張り合わせによるPDPの作製:次
に、前述のように作製した前面パネル10と背面パネル
20とを封着用ガラスを用いて放電電極とアドレス電極
とが直交するように張り合せると共に隔壁24で仕切ら
れた放電空間30内を高真空(8×10-7Torr)に
排気した後、所定の組成の放電ガスを所定の圧力で封入
することによってPDPを作製する。
【0028】なお、本実施の形態では、PDPのセルサ
イズは、40インチクラスのハイビジョンテレビに適合
するよう、セルピッチを0.2mm以下、放電電極12
の電極間距離dを0.1mm以下に設定する。また、封
入する放電ガスの組成は、従来から用いられているNe
−Xe系であるが、Xeの含有量を10体積%以上に設
定するとともに、封入圧力を500〜760Torrの
範囲に設定することによりXeの濃度を高め、セルの発
光輝度の向上を図っている。
【0029】(CVD法による保護層14の形成につい
て)図2は、前記保護層14を形成する際に用いるCV
D装置40の概略図である。このCVD装置40は、熱
CVD及びプラズマCVDの何れも行うことができるも
のであって、CVD装置本体45の中には、ガラス基板
47(図1における放電電極12及び誘電体ガラス層1
3を形成した前面ガラス基板11)を加熱するヒータ部
46が設けられ、CVD装置本体45内は排気装置49
で減圧にすることができるようになっている。また、C
VD装置本体45の中にプラズマを発生させるための高
周波電源48が設置されている。
【0030】Arガスボンベ41a,41bは、キャリ
アであるアルゴン[Ar]ガスを、気化器(バブラー)
42,43を経由してCVD装置本体45に供給するも
のである。気化器42は、MgOの原料(ソース)とな
る金属キレートを加熱して蓄え、Arガスボンベ41a
からArガスを吹き込むことによって、この金属キレー
トを蒸発させてCVD装置本体45に送り込むことがで
きるようになっている。
【0031】気化器43は、MgOの原料(ソース)と
なるシクロペンタジエニル化合物を加熱して貯え、Ar
ガスボンベ41bからArガスを吹き込むことによっ
て、このシクロペンタジエニル化合物を蒸発させてCV
D装置本体45に送り込むことができるようになってい
る。酸素ボンベ44は、反応ガスである酸素[O2]を
CVD装置本体45に供給するものである。
【0032】(1) 熱CVD法 前記CVD装置40を用いて熱CVD法を行う場合、ヒ
ータ部46の上に、誘電体ガラス層13を上にしてガラ
ス基板47を置き、所定の温度(250〜400℃、以
下各表の「ガラス基板の加熱温度」の欄を参照。)に加
熱すると共に、反応容器内を排気装置49で30Pa〜
300Paと低圧に減圧する。
【0033】そして、気化器42または気化器43で、
ソースとなるMgOの金属キレートまたはシクロペンタ
ジエニル化合物を所定の温度(以下各表の「気化器の温
度」の欄を参照。)に加熱しながら、Arガスボンベ4
1aまたは41bからArガスを送り込む。また、これ
と同時に、酸素ボンベ44から酸素を流す。これによっ
て、CVD装置本体45内に送り込まれる金属キレート
若しくはシクロペンタジエニル化合物が酸素と反応し、
ガラス基板47の誘電体ガラス層13の表面上に凹凸が
あり、表面粗さが比較的粗く実質上の表面積が従来より
も増加されたMgOからなる保護層14が形成される。
【0034】(2) プラズマCVD法 上記構成のCVD装置40を用いて、プラズマCVDを
行う場合も、熱CVDの場合とほぼ同様に行うが、ヒー
タ部46によるガラス基板47の加熱温度は250〜3
00℃程度(以下各表の「ガラス基板の加熱温度」の欄
を参照。)に、排気装置49を用いて圧力30〜300
Paに減圧し、高周波電源48を駆動して、例えば、1
3.56MHzの高周波電界を印加することにより、C
VD装置本体45内にプラズマを発生させながら、表面
が凹凸状の表面粗さが粗いMgOからなる保護層14を
形成する。
【0035】気化器42或は気化器43から供給するソ
ース(金属キレート及びシクロペンタジエニル化合物)
としては、例えば、Magnesium Dipivaloyl Methane
[Mg(C111922]、Magnesium Acetylacetone
[Mg(C5722]、Cyclopentadienyl Magnesium
[Mg(C552]、Magnesium Trifluoroacetylacet
one[Mg(C55322]を挙げることができる。
【0036】このようなソースを用いて熱CVD法或は
プラスマCVD法で保護層を形成することにより、(1
00)面若しくは(110)面配向のMgOからなる保
護層が形成される。ここで、ガス圧を前記のように30
〜300Paという低い圧力にコントロールすることに
より、MgOの結晶が微細な凹凸をもつ結晶に成長する
ようコントロールされる。従って、(100)面あるい
は(110)面配向で、微細な30nm以上の凹凸を有
する表面粗さが粗いMgOからなる保護層を形成するこ
とができる。
【0037】なお、MgO保護層の表面粗さを粗くする
ためには、MgO結晶の成長初期にMgOの結晶の安定
核が不均一にガラス基板に付着するような反応条件に設
定することが望ましいと考えられ、このような反応条件
としてはCVD装置40の反応容器内の圧力を上記のよ
うに低圧に設定する他、噴霧する原料の濃度,ガラス基
板を載置する反応容器内の温度あるいは反応時間などの
条件が挙げられる。
【0038】また、MgO保護層に対する凹凸は、保護
層形成の後例えば塩酸等を用いてエッチング処理して形
成することもできる。この方法は、上記CVD法で凹凸
の生じにくい条件で実施する場合や、更に表面を粗くし
ようとする場合には有効である。 (保護層14による効果)従来の真空蒸着法(EB法)
によって形成した保護層は、X線解析によると、結晶が
(111)面配向となっており、表面も凹凸が2nm程
度と非常に平坦である。
【0039】これに比べ、上記のようにガス圧を30P
a〜300PaでコントロールしながらCVD法で作製
した保護層14は、表面粗さが30nm以上であり、し
かも(100)面あるいは(110)面配向したもので
ある。このように、表面に凹凸が形成されているため実
質上の表面積が大きいこと及び結晶が(100)面ある
いは(110)面に配向していることの2点は何れも2
次電子放出係数γを大きくする作用を有するが、両者が
合わさることにより保護層14の2次電子の放出係数
(γ値)は、従来と比べて相乗的に大きくなると考えら
れる。これがPDPの放電電圧(放電開始電圧や放電維
持電圧)の低下及び発光輝度の向上に大きく寄与するも
のと言える。
【0040】なお、表面粗さが粗いほど保護層の実質の
表面積は増大するので望ましいが、保護層表面にあまり
大きな凹凸を設けた場合には、保護層表面で可視光が乱
反射することも考えられるので、実質的には100nm
以下に形成することが望ましい。また表面粗さ30nm
という数値は、有効な効果を得ることができる実験的に
求めた臨界値である。これについては後述する。
【0041】なお、保護層に凹凸を形成するだけ或は、
結晶を(100)面あるいは(110)面に配向させる
だけでも、保護層の2次電子の放出係数はある程度大き
くなるのでPDPの放電電圧を低くしたり、輝度を向上
させる効果は得られるが、本実施の形態のように優れた
効果があるとは言えない。 (保護層14による理論的な根拠)MgO保護層の2次
電子放出係数γを大きくすれば、セルの発光輝度を向上
させることができ、かつ、放電電圧を低くすることがで
きることを以下理論的に説明する。
【0042】まず、放電電圧Vf(ここでは放電開始電
圧)とMgO保護層の2次電子放出係数γとの間に次式
のような関係がある点に着眼した。 (式1) (但し、Eあるいはαは、ガスの種類によって決まる定
数である。) この式1は、放電開始電圧(Vf)が封入ガスとカソー
ド材(MgO等)のプラズマ中のイオン衝撃による2次
電子放出係数γに依存していることを示すVfとγの関
係式である。
【0043】この式1からγが大きければ大きいほどV
fは小さくなる(例えばプラズマディスプレイ,共立出
版 1983年 pp43)ことが分かる。なお、この
式1は、放電維持電圧に関しても同様に成立する。つま
り、誘電体ガラス表面に被覆されているMgO保護層の
γ値を大きくすることにより、発光輝度を向上させ、か
つ、放電開始電圧Vfを低下させることができる。
【0044】〔実施の形態2〕本実施の形態に係るPD
Pは、CVD法による保護層14を作製する条件が異な
る以外は、前記実施の形態1のPDPと同様にして作製
したものである。即ち、本実施の形態でのMgO保護層
は次のようにして作製する。前記前面ガラス基板11の
上に放電電極12、その上に誘電体ガラス13を前記同
様にして作製したものを、フッ酸などでエッチング処理
を施し、誘電体ガラス層の表面に微細な凹凸を形成す
る。
【0045】そしてこれに対して、熱CVD法やプラズ
マCVD法で保護層を形成すれば、予め誘電体ガラス層
にエッチング処理によって凹凸を形成し、MgOの結晶
成長がその形状に相似の形状に進行するので、反応容器
内の圧力を300Pa〜1300Paにコントロールし
ても、MgO保護層の表面に微細な30〜100nmの
凹凸が形成される。
【0046】このようにして形成されたMgO保護層の
表面粗さは主に、誘電体ガラス層に形成された表面粗さ
(凹凸)によって決定される。 〔実施の形態3〕本実施の形態に係るPDPは、MgO
保護層14の形成時に不純物イオンを添加する以外は、
前記実施の形態1と同様にして作製したものである。本
実施の形態では、MgO保護層を以下のように作製す
る。
【0047】前記CVD装置40において、気化器42
に、保護層の主成分であるMgOのソースとなる金属キ
レート或はシクロペンタジエニル化合物を加熱して貯
え、CVD装置本体45に送り込む。それと共に、気化
器43に、添加剤としての6配位の不純物イオンのソー
スとなる金属キレートやシクロペンタジエニル化合物を
加熱して貯え、CVD装置本体45に送り込む。
【0048】そして、酸素と反応させることによって、
MgOに不純物イオンが添加された保護層が作製され
る。不純物イオンの添加量は、反応容器に供給する原料
の比率で決定され、MgO層形成用の原料に対して、モ
ル比で0.1%以上添加することが望ましい。気化器4
3から供給する不純物イオンとしてのソースの具体例と
しては、MgOと同じく6配位を採る鉄(Fe),ニッ
ケル(Ni),コバルト(Co),バナジウム(V),
マンガン(Mn),クロム(Cr),ルテニウム(R
u),チタン(Ti),タンタル(Ta),パラジウム
(Pd),アルミニウム(Al),ロジウム(Rh),
アンチモン(Sb),ニオブ(Nb)等の遷移金属のア
セチルアセトン化合物[M(C5723]等を挙げる
ことができる(上記化学式で、Mは遷移金属の元素を表
す)。
【0049】このように、本実施の形態のPDPのMg
O保護層には、6配位の不純物イオンが添加されている
ので、前述したようにMgOの禁止帯に不純物準位が形
成されることで2次電子放出係数γ値は向上され、PD
P放電電圧を低下させ、かつ、発光輝度を向上させる効
果を奏する。また、この場合に、CVD法における圧力
を300Pa〜1300Paにコントロールしても上記
不純物イオン添加による効果を得ることができるが、C
VD法における圧力を前記実施の形態1のように低くコ
ントロール(30Pa〜300Pa)して保護層の表面
に凹凸を形成させれば、保護層の実質的な面積も大きく
できるので、2次電子放出係数γが一層向上する。
【0050】但し、遷移金属を中心とする不純物イオン
の添加量は0.5%(モル比)を越えるとMgO層が着
色する可能性がありその場合輝度の低下がおこるので、
添加量としては0.5%(モル比)以下が望ましい。
【0051】
【実施例】
[実施例1〜6]
【0052】
【表1】
【0053】表1に示した試料No.1〜6のPDP
は、上記実施の形態1に基づいて作製したいろいろな表
面粗さ(凹凸の寸法)のMgO保護層を有するものであ
って、PDPのセルサイズは、42インチのハイビジョ
ンテレビ用のディスプレイに合わせて、隔壁24の高さ
は0.15mm、隔壁24の間隔(セルピッチ)は0.
15mmに設定し、放電電極12の電極間距離dは0.
05mmに設定した。
【0054】鉛系の誘電体ガラス層13は、75重量%
の酸化鉛[PbO]と15重量%の酸化硼素[B23
と10重量%の酸化硅素[SiO2]と有機バインダー
[α−ターピネオールに10%のエチルセルローズを溶
解したもの]とを混合してなる組成物を、スクリーン印
刷法で塗布した後、520℃で10分間焼成することに
よって形成し、その膜厚は20μmに設定した。
【0055】放電ガスにおけるNeとXeの比率及び封
入圧力は、表1の各該当欄に示す条件に設定した。Mg
O保護層の形成方法については、試料No.1,4,5
では保護層を熱CVD法で形成し、試料No.2,3,
6では保護層をプラズマCVD法で形成した。また、試
料No.1,5,6ではMagnesium Dipivaloyl Methane
[Mg(C 111922]を、試料No.2,3ではMa
gnesium Acetylacetone[Mg(C5722]を、試
料No.4ではCyclopentadienyl Magnesium[Mg(C
552]をソースとして用いた。
【0056】また、気化器の温度、ガラス基板47の加
熱温度は、表1の各欄に示す条件に設定して作製した。
なお、熱CVD法の場合、反応容器の圧力を30Pa〜
300PaとしArガスの流量は1L/分、酸素の流量
は2L/分で、共に1分間流し、膜形成速度は1.0μ
m/分に調整し、MgOの保護膜の厚さは1.0μmに
設定した。
【0057】プラズマCVD法の場合、反応容器の圧力
を30Pa〜300PaとしArガスの流量は1L/
分、酸素の流量は2L/分として共に1分間流し、高周
波の印加は300Wで1分間行い、膜形成速度は0.9
μm/分に調整し、形成するMgO保護層の厚さは0.
9μmに設定した。このように形成した試料No1〜6
の保護層をX線解析した結果、試料No.1,2,6で
は(100)面配向、試料No.3,4,5では(11
0)面配向のMgO層が形成されていることが確認され
た。
【0058】試料No.7,8は比較例のPDPであっ
て、試料No.7はMgO保護層を表1に示すようにC
VD法における反応容器の圧力を1300Paと高く設
定して形成したもの、試料No.8は従来の真空蒸着法
によって形成したものである。 (MgO保護層の凹凸、即ち表面粗さの測定)JISの
十点平均粗さ測定法に基づいて公知の粗さメータを用い
て触針法になどによって測定することができる。
【0059】本実施例では、(株)東京精密社製の表面
粗さ計(機種;B−MD−303A)を使用して計測し
た。なお、これらの以下の作製したパネルの表面粗さを
示す凹凸のデータは、パネルの保護層全面で測定した表
面粗さの平均値である。試料No.1〜6の表面の表面
粗さは、30〜85nmであった。
【0060】試料No.7では、(100)面配向であ
るが反応容器のガス圧が1300Paと高いために平坦
な表面となっている。又、試料No.8では、配向面が
(111)面であって表面粗さが2nmの平坦な表面と
なっている。 (パネルの放電開始電圧Vf,放電維持電圧Vおよびパ
ネル輝度の測定)パネルの放電開始電圧Vfは放電電極
(表示電極)間に交流電源を接続し、電圧を除々に印加
し、放電が開始する時の電圧であり、また放電維持電圧
Vは、放電開始後に電圧を下げていき、放電が消滅する
直前の電圧である。
【0061】また、パネル輝度については、パネル全面
が点灯している時の放電維持電圧で測定し、周波数30
KHzで駆動させた時の輝度を測定した。これらの結果
は表1に示されている。本発明に係る試料No.1〜6
のPDPは、放電開始電圧Vf及び放電維持電圧V何れ
もが比較例の試料No.7,8のPDPよりも低く、又
パネル輝度も向上しているのがわかる。
【0062】これは試料No.1〜6のPDPで2次電
子放出量が多くなったことを裏付けている。 [実施例9〜13]
【0063】
【表2】
【0064】試料No.9〜13のPDPは、実施の形
態2に基づいて保護層の凹凸を変化させて作製したもの
であり、上記試料No.1〜6のPDPと同様の設定で
あるが、誘電体ガラス層の表面をフッ酸でエッチング処
理した点を異にしている。表2の試料No.14のPD
Pは、MgO保護層を真空蒸着法により作製した比較例
であり、保護層以外は試料No.9〜13のPDPと同
じ設定である。
【0065】本実施例No.9〜No13のPDP及び
比較例14のPDPでは、誘電体ガラス層13に予めエ
ッチング処理によって凹凸を形成してあるので、その凹
凸が保護層表面の粗さにも反映され、表2の表面粗さの
欄に示されるように、反応容器内の圧力が試料No.
9,10のPDPのように1300Paと高圧の場合、
或は、試料No.14のPDPのように真空蒸着法でも
比較的粗い表面の保護層を形成することができる。
【0066】各PDPのMgO保護層は、試料No.
9,10,13のPDPでは(100)面配向、試料N
o.11,12のPDPでは(110)面配向、試料N
o.14では(111)面配向であった。試料No.9
〜13のPDPは、表1の試料No.7のPDPと比べ
て放電開始電圧Vf及び放電維持電圧Vが共に低く、輝
度も向上している。
【0067】これは、表面粗さが粗くなることによっ
て、2次電子放出量が多くなったことを裏付けている。
又、試料No.14のPDPは、試料No.9〜13の
PDPと比べて放電開始電圧Vf及び放電維持電圧V共
に高く、パネルの輝度が低い。これは、試料No.14
のPDPのMgO保護層は、表面粗さが52nmと粗い
ものの、(111)面配向であるため2次電子放出係数
γの向上効果が少ないことを示している。
【0068】更に試料No.9〜No.13のPDPの
中でも、特に、試料No.11及びNo.12は、表面
粗さが粗くそれに伴って放電開始電圧Vf,放電維持電
圧V双方共に低く、パネル輝も高いことがわかる。これ
は、誘電体ガラス層に凹凸形成した上に、CVD法で3
00Pa以下の低圧で保護層を形成することによって特
に、2次電子放出係数γを向上させる効果が顕著なもの
となることを示している。
【0069】[実施例15〜28]
【0070】
【表3】
【0071】試料No.15〜28のPDPは、実施の
形態3に基づいて作製したものであり、前記実施例N
o.1〜6のPDPと同様の設定であるが、MgO形成
用のCVD原料として、Mg化合物に加えて6配位の金
属を中心としたアセチルアセトン化合物を用いていると
ころが異っている。試料No.15〜28のPDPで
は、MgOに不純物としてFe,Ni,Co,V,M
n,Cr,Ru,Ti,Ta,Pd,Al,Rh,S
b,Nbの6配位を有する金属イオンを添加した。
【0072】又、試料No.19〜28のPDPでは、
CVD法による保護層形成時の圧力を300Pa以下の
低い圧力に設定した。なお、各PDPのMgO保護層の
結晶面は、試料No.15〜24が(100)面配向、
試料No.25〜28が(110)面配向であった。試
料No.15〜No.18のPDPでは、表1の試料N
o.7と比べて放電開始電圧Vf及び放電維持電圧Vが
低く、輝度が高いことがわかる。
【0073】これは、遷移金属を中心とした6配位を有
するアセチルアセント化合物を不純物イオンとして添加
することにより、MgOの禁止帯内に不純物準位が形成
されるため2次電子の放出量が多くなったことを示して
いる。又、試料No.19〜No.28のPDPでは、
更に、放電開始電圧Vf,放電維持電圧Vの低下が見ら
れる。これは、MgO層の表面を粗く(62〜81n
m)し且つ不純物金属イオンを添加すれば、2次電子放
出係数が更に向上することを示している。
【0074】(MgO保護層の表面粗さの下限値につい
て)図3は、試料No.1〜6,9〜13について保護
層の表面粗さ(凹凸,nm)に対する放電開始電圧Vf
(V)をプロットした特性図である。この特性図に示す
ように、放電開始電圧低下の効果は表面粗さが30nm
未満であると小さいが、30nm以上になれば効果が顕
著であることが分かる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように本発明のプラズマデ
ィスプレイパネルは、第1の電極及び誘電体ガラス層が
配設されたフロントカバープレートと、第2の電極及び
蛍光体層が配設されたバックプレートとが、前記誘電体
ガラス層及び蛍光体層を対向させた状態で配され、前記
フロントカバープレート及びバックプレートの間に隔壁
で仕切られた放電空間が形成されたプラズマディスプレ
イパネルであって、前記誘電体ガラス層には、30nm
以上の表面粗さを有し、又、(n00)面配向(ただし
nは1以上の整数)あるいは(mm0)面配向(ただし
mは1以上の整数)の酸化マグネシウム(MgO)から
成る保護層が被覆されていることを特徴とする。
【0076】これによって、MgO保護層の2次電子放
出係数を向上させることによって放電電圧を低下させ、
かつ、パネル輝度の向上を図ることができる。そして、
このようなプラズマディスプレイパネルは、第1の電極
及び誘電体ガラス層が配設されたフロントカバープレー
トの誘電体ガラス層に、30nm以上の表面粗さを有
し、(n00)面、又は(mm0)面(ただしn,mは
1以上の整数)に配向した酸化マグネシウム(MgO)
保護層を形成する第1ステップと、MgO保護層が形成
されたフロントカバープレートと、第2の電極及び蛍光
体層が配設されたバックプレートとを、対向して配する
と共に、フロントカバープレート及びバックプレートの
間に形成される放電空間内にガス媒体を封入する第2ス
テップとを備える方法で製造することができる。
【0077】ここで前記第1ステップでは、30Pa〜
300Paの反応容器内圧力で化学蒸着法(CVD法)
により、マグネシウムの有機金属化合物および酸素を用
いて保護層を作製することができる。また、前記第1ス
テップの前に、フロントカバープレートの誘電体ガラス
層をエッチング処理するサブステップを付加すれば、M
gO保護層の凹凸は、誘電体ガラス層に予め形成された
凹凸と相似に形成されるので、表面粗さが30nm以上
のMgO保護層を形成する前記第1ステップにおける圧
力等の条件が緩和される。
【0078】具体的には、CVD法における保護層形成
時の反応容器内の圧力を特に低圧にしなくても、300
Pa〜1300Paの圧力で表面粗さが30nm以上の
保護層を作製することができる。また、本発明のプラズ
マディスプレイパネルは、第1の電極及び誘電体ガラス
層が配設されたフロントカバープレートと、第2の電極
及び蛍光体層が配設されたバックプレートとが、前記誘
電体ガラス層及び蛍光体層を対向させた状態で配され、
前記フロントカバープレート及びバックプレートの間に
隔壁で仕切られた放電空間が形成されたプラズマディス
プレイパネルであって、前記誘電体ガラス層には、6配
位の不純物イオンを含む(n00)面、あるいは(mm
0)面(ただしn,mは1以上の整数)配向の酸化マグ
ネシウム(MgO)から成る保護層が被覆されているこ
とを特徴とする。
【0079】この構成のプラズマディスプレイパネルに
よっても、MgO保護層の2次電子放出係数を向上させ
ることによって放電電圧が低下し、かつ、パネル輝度の
向上を図ることができる。前記プラズマディスプレイパ
ネルは、第1の電極及び誘電体ガラス層が配設されたフ
ロントカバープレートの誘電体ガラス層に、(n00)
面、又は(mm0)面(ただしn,mは1以上の整数)
に配向し、かつ、6配位の不純物イオンが含有された酸
化マグネシウム(MgO)保護層を形成する第1ステッ
プと、MgO保護層が形成されたフロントカバープレー
トと、第2の電極及び蛍光体層が配設されたバックプレ
ートとを、対向して配すると共に、フロントカバープレ
ート及びバックプレートの間に形成される放電空間内に
ガス媒体を封入する第2ステップとを備える方法によっ
て製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る交流面放電型PD
Pの概略断面図である。
【図2】MgO保護層を形成する際に用いるCVD装置
の概略図である。
【図3】実施例における放電開始電圧と保護層の表面粗
さ(凹凸の寸法)との関係を表した特性図である。
【図4】従来の一般的な交流面放電形PDPの概略断面
図である。
【符号の説明】
10 前面パネル 11 前面ガラス基板(フロントカバープレート) 12 放電電極(表示電極) 13 誘電体ガラス層 14 微細な凹凸のついた(100)面あるいは(11
0)配向面誘電体保護層 20 背面パネル 21 背面ガラス基板(バックプレート) 22 アドレス電極 23 誘電体ガラス層 24 隔壁 25 蛍光体 30 放電空間 40 CVD装置 41 アルゴンガスボンベ 42,43気化器 44 酸素ガスボンベ 45 CVD装置本体 46 基板加熱ヒータ 47 誘電体ガラス層が形成されたガラス基板 48 高周波電源 49 排気装置 51 前面ガラス基板 52 放電電極(表示電極) 53 誘電体ガラス層 54 保護層 55 背面ガラス基板 56 アドレス電極 57 誘電体ガラス層 58 隔壁 59 蛍光体 60 放電空間
フロントページの続き (72)発明者 安井 秀明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 工藤 眞壽 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の電極及び誘電体ガラス層が配設さ
    れたフロントカバープレートと、第2の電極及び蛍光体
    層が配設されたバックプレートとが、前記誘電体ガラス
    層及び蛍光体層を対向させた状態で配され、前記フロン
    トカバープレート及びバックプレートの間に隔壁で仕切
    られた放電空間が形成されたプラズマディスプレイパネ
    ルであって、 前記誘電体ガラス層には、 30nm以上の表面粗さを有し、又、(n00)面配向
    (ただしnは1以上の整数)あるいは(mm0)面配向
    (ただしmは1以上の整数)の酸化マグネシウム(Mg
    O)から成る保護層が被覆されていることを特徴とする
    プラズマディスプレイパネル。
  2. 【請求項2】 第1の電極及び誘電体ガラス層が配設さ
    れたフロントカバープレートと、第2の電極及び蛍光体
    層が配設されたバックプレートとが、前記誘電体ガラス
    層及び蛍光体層を対向させた状態で配され、前記フロン
    トカバープレート及びバックプレートの間に隔壁で仕切
    られた放電空間が形成されたプラズマディスプレイパネ
    ルであって、 前記誘電体ガラス層には、 6配位の不純物イオンを含む(n00)面、あるいは
    (mm0)面(ただしn,mは1以上の整数)配向の酸
    化マグネシウム(MgO)から成る保護層が被覆されて
    いることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  3. 【請求項3】 前記6配位の不純物イオンが、 鉄(Fe),ニッケル(Ni),コバルト(Co),バ
    ナジウム(V),マンガン(Mn),クロム(Cr),
    ルテニウム(Ru),チタン(Ti),タンタル(T
    a),パラジウム(Pd),アルミニウム(Al),ロ
    ジウム(Rh),アンチモン(Sb),ニオブ(Nb)
    からなる群より選ばれたものであることを特徴とする請
    求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 【請求項4】 第1の電極及び誘電体ガラス層が配設さ
    れたフロントカバープレートの誘電体ガラス層に、30
    nm以上の表面粗さを有し、(n00)面、又は(mm
    0)面(ただしn,mは1以上の整数)に配向した酸化
    マグネシウム(MgO)保護層を形成する第1ステップ
    と、 MgO保護層が形成されたフロントカバープレートと、
    第2の電極及び蛍光体層が配設されたバックプレートと
    を、対向して配すると共に、フロントカバープレート及
    びバックプレートの間に形成される放電空間内にガス媒
    体を封入する第2ステップと、 を備えることを特徴とするプラズマディスプレイパネル
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1ステップの前に、 フロントカバープレートの誘電体ガラス層をエッチング
    処理するサブステップを備えることを特徴とする請求項
    4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1ステップは、 30Pa〜300Paの反応容器内圧力で化学蒸着法
    (CVD法)により、マグネシウムの有機金属化合物お
    よび酸素を用いて、保護層を形成することを特徴とする
    請求項4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記第1ステップは、 300Pa〜1300Paの反応容器内圧力で化学蒸着
    法(CVD法)により、マグネシウムの有機金属化合物
    および酸素を用いて、保護層を形成することを特徴とす
    る請求項5記載のプラズマディスプレイパネルの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 第1の電極及び誘電体ガラス層が配設さ
    れたフロントカバープレートの誘電体ガラス層に、(n
    00)面、又は(mm0)面(ただしn,mは1以上の
    整数)に配向し、かつ、6配位の不純物イオンが含有さ
    れた酸化マグネシウム(MgO)保護層を形成する第1
    ステップと、 MgO保護層が形成されたフロントカバープレートと、
    第2の電極及び蛍光体層が配設されたバックプレートと
    を、対向して配すると共に、フロントカバープレート及
    びバックプレートの間に形成される放電空間内にガス媒
    体を封入する第2ステップと、 を備えることを特徴とするプラズマディスプレイパネル
    の製造方法。
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