JPH11347103A - 蒸気滅菌法および滅菌した成形品 - Google Patents

蒸気滅菌法および滅菌した成形品

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JPH11347103A
JPH11347103A JP10174066A JP17406698A JPH11347103A JP H11347103 A JPH11347103 A JP H11347103A JP 10174066 A JP10174066 A JP 10174066A JP 17406698 A JP17406698 A JP 17406698A JP H11347103 A JPH11347103 A JP H11347103A
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JP
Japan
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alicyclic structure
ene
hydrocarbon polymer
steam sterilization
polymer resin
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Pending
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JP10174066A
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English (en)
Inventor
Koji Minami
幸治 南
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂を主成
分とする成形材料からなる成形品、特に、医薬品用およ
び食品用容器、ならびに医療用および科学実験用器材な
どであって、蒸気滅菌処理時における白化を回避する。 【解決手段】 脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂を主
成分とする成形材料からなる成形品を、蒸気滅菌処理
し、次いで滅菌処理完了後30分以内に40℃以上で、
成形品のガラス転移点より低い温度において20分以上
熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂環式構造含有炭
化水素重合体樹脂を主成分とする成形材料からなる成形
品の蒸気滅菌方法、および蒸気滅菌を施してなる医薬品
用または食品用容器、および医療用または科学実験用器
材に関する。本発明の方法によって蒸気滅菌を施してな
る医薬品用または食品用容器、および医療用または科学
実験用器材は、脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂が本
来有する良好な透明性、ガスバリア性、耐薬品性、低溶
出性などを具備し、保管、移送、使用する際の破損の危
険性が少なく、滅菌による外観・色調の変化が少ないと
いう特性を有している。
【0002】
【従来の技術】近年、医薬品および食品用の容器、なら
びに医療用および科学実験用の器材は蒸気滅菌やγ線滅
菌処理を行うため、耐熱性の高いガラス製のものが多く
使われていたが、蒸気滅菌に耐えうる透明プラスチック
の開発が進められてきている。ポリカーボネート、ポリ
アリレート、ポリサルホンなどがそのような透明プラス
チックの例である。さらに、最近になって脂環式構造含
有炭化水素重合体樹脂が、特開平4−276253号、
特開平4−276537号および特開平5−31741
1号の各公報、ならびに米国特許第5,468,803
号明細書に記載されるように医療用器材、容器に適した
材料であるということがわかってきている。脂環式構造
含有炭化水素重合体樹脂は、ポリカーボネート、ポリア
リレートおよびポリサルホンに比べ、着色が少なくクリ
アであること、容器内容物の色調を容易に把握できるこ
と、耐薬品性が優れていること、さらに低溶出性という
点で医療関連とくにプレフィルドシリンジなど薬品容器
として適当な素材であることがわかっている。また、こ
の樹脂は特開平4−276253号公報で知られるとお
り酸素や二酸化炭素などのガスバリア性に関しても優れ
た材料である。
【0003】しかしながら、脂環式構造含有炭化水素重
合体樹脂は、蒸気滅菌によって強度の低下は見られない
ものの、白化するという問題がある。すなわち、蒸気滅
菌を施した成形品の表層部および角部が白くなり、成形
品の外観が損われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、脂環
式構造含有炭化水素重合体樹脂が本来有する良好な透明
性、ガスバリア性、耐薬品性、低溶出性などの性質を具
備し、保管、移送、使用する際の破損の危険性が少な
く、蒸気滅菌による白化現象が著しく抑制された成形品
を得ることができる蒸気滅菌法を提供することにある。
さらに他の目的は、上記のような特性を有する医薬品用
および食品用容器、ならびに医療用および科学実験用器
材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、脂環式構
造含有炭化水素重合体樹脂を主成分とする成形材料から
なる成形品の滅菌方法に関して鋭意研究を重ねた結果、
蒸気による滅菌処理と特定の熱処理とを組合せることに
よって成形品の白化が著しく低減することを見出し、本
発明を完成するに至った。かくして本発明によれば、脂
環式構造含有炭化水素重合体樹脂を主成分とする成形材
料からなる成形品を、蒸気滅菌処理し、次いで、滅菌処
理完了後30分以内に、40℃以上で、成形品のガラス
転移点より低い温度において20分間以上熱処理するこ
とを特徴とする蒸気滅菌法が提供される。
【0006】さらに本発明によれば、脂環式構造含有炭
化水素重合体樹脂を主成分とする成形材料からなる成形
品であって、上記の蒸気滅菌・熱処理を施してなる医薬
品用または食品用容器が提供される。さらに本発明によ
れば、脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂を主成分とす
る成形材料からなる成形品であって、上記の蒸気滅菌・
熱処理を施してなる医療用または科学実験用器材が提供
される。
【0007】
【発明の実施の形態】脂環式構造含有炭化水素重合体樹
本発明で使用される脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂
は、主鎖及び/または側鎖に脂環式構造を有する炭化水
素重合体樹脂であり、機械的強度、耐熱性などの観点か
ら、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。重合
体の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロア
ルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)
構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観
点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好
ましく、中でもシクロアルカン構造を有するものが最も
好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な
制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20
個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機
械的強度、耐熱性、および成形性の特性が高度にバラン
スされ好適である。
【0008】本発明に使用される脂環式構造含有炭化水
素重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割
合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常
30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ま
しくは70重量%以上である。脂環式構造含有炭化水素
重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合
が過度に少ないと耐熱性に劣り好ましくない。脂環式構
造含有炭化水素重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り
返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に
応じて適宜選択される。
【0009】かかる脂環式構造を有する炭化水素重合体
樹脂の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系
重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)
環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素
重合体、およびこれらの水素添加物などが挙げられる。
これらの中でも、ノルボルネン系重合体およびその水素
添加物、ならびに環状共役ジエン系重合体およびその水
素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体および
その水素添加物がより好ましい。
【0010】(1)ノルボルネン系重合体 ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例
えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122
137号公報などに開示される方法によってノルボルネ
ン系単量体を重合したものが挙げられる。具体的には、
ノルボルネン系単量体の開環重合体およびその水素添加
物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン
系単量体とビニル化合物の付加型重合体などが挙げられ
る。これらの中でも、耐熱性や誘電特性を高度にバラン
スさせるうえで、ノルボルネン系単量体の開環重合体水
素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノル
ボルネン系単量体と共重合可能なビニル化合物の付加型
重合体などが好ましく、ノルボルネン系単量体の開環重
合体水素添加物が特に好ましい。
【0011】ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ
[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネ
ン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2
−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘ
プタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]
ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.
1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ
[2.2.1]−ヘプタ2−エン、5−ヘキシル−ビシ
クロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタ
デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5
−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エ
ン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−
2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]
ヘプタ−2−エン、5−メトキシ−カルボニル−ビシク
ロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシ
クロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5
−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
−2−エン; 5−メトキシカルボニルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイ
ト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−
メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキ
シメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ
カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン;
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6
−ジカルボン酸イミド;トリシクロ[4.3.12,5
1,6]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタ
ジエン)、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−
3−エン; トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウン
デカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.1
2,5.01,6]ウンデカ−3,8−ジエンまたはこれらの
部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロヘ
キセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.12,5
1,6]ウンデカ−3−エン; 5−シクロペンチル−
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロ
ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン; テトラシクロ[4.4.12,5.1
7,10.0]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデ
センともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.1
2,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチルテ
トラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−
3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.1
2,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチリデ
ンテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデ
カ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[[4.4.1
2,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−プロペニ
ル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ド
デカ−3−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、
8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.12,5
7,10.0]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシテト
ラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3
−エン; 8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.
4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シ
クロヘキシル−テトラシクロ[4.4.12,5
7,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニ
ル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ド
デカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テト
ラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3
−エン; テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.0
2,7]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,
4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオ
レンともいう)、テトラシクロ[8.4.111,14.0
1,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラ
エン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10
a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、ペンタシク
ロ[6.5.11,8.13,6.02,7.09,13]ペンタデ
カ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.
3,6.110,13.01,9.02,7]ペンタデカ−4,11
−ジエン; シクロペンタジエンの4量体; などのノ
ルボルネン系単量体などが挙げられる。これらのノルボ
ルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上組
合わせて用いられる。
【0012】ノルボルネン系単量体は、所望により、ビ
ニル化合物と共重合することができる。共重合可能な単
量体の具体例としてはエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテンなどの鎖状のα−オレフ
ィン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、p−クロロスチレンなどのスチレン類、エチルビ
ニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニル
エーテル類が挙げられる。ノルボルネン系単量体または
ノルボルネン系単量体と共重合可能なビニル化合物との
重合方法および水素添加方法は、格別な制限はなく公知
の方法に従って行うことができる。
【0013】ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体
は、ノルボルネン系単量体を、開環重合触媒として、ル
テニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジ
ウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはア
セチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あ
るいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングス
テン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセ
チルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とから
なる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−
50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2
重合圧力で開環(共)重合させることにより得ることが
できる。触媒系に、分子状酸素、アルコール、エーテ
ル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エ
ステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロ
ゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などの第
三成分を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高める
ことができる。
【0014】ノルボルネン単量体とビニル化合物との付
加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または
無溶媒で、チタン、ジルコニウム、又はバナジウム化合
物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下
で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50k
g/cm2の重合圧力で共重合させる方法により得るこ
とができる。水素添加ノルボルネン系重合体は、常法に
従って、開環(共)重合体を水素添加触媒の存在下に水
素により水素化する方法により得ることができる。
【0015】(2)単環の環状オレフィン系重合体 単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開
昭64−66216号公報に開示されているシクロロヘ
キセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の
環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることがで
きる。
【0016】(3)環状共役ジエン系重合体 環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−
136057号公報や特開平7−258318号公報に
開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエ
ンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,
4−付加重合した重合体およびその水素添加物などを用
いることができる。
【0017】(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体 ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、ビニ
ルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル
脂環式炭化水素単量体の重合体およびその水素添加物な
どを用いることができる。
【0018】(5)脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂
の特性 本発明で使用される脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂
の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シク
ロヘキサン溶液(重合体樹脂がシクロヘキサンに溶解し
ない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・
クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の数平均
分子量で、5,000以上、好ましくは5,000〜5
00,000、より好ましくは8,000〜200,0
00、特に好ましくは10,000〜100,000の
範囲であるときに、成形材料の成形性と成形品の機械的
強度、耐熱変形性などがよくバランスし、好適である。
脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂のガラス転移温度
(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよい
が、成形品の使用環境から高い方が好ましく、通常80
〜400℃、好ましくは100〜300℃、より好まし
くは120〜250℃である。Tgがこの範囲にあると
きに、成形性が良好で、所望の形状の成形品を効率的に
得ることができ、また蒸気滅菌・熱処理時に熱変形する
ことがなく、好適である。
【0019】脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂の5%
加熱減量温度(窒素雰囲気中で、5℃/分の昇温速度で
測定)は、好ましくは280℃以上、特に好ましくは3
50℃以上である。5%加熱減量温度が低すぎると、溶
融成形時において流動性を向上させる目的で、樹脂温度
を高温にすると樹脂の分解が起き、成形品内に分解によ
る気泡の包含等の成形不良が発生しやすいという問題が
ある。5%加熱減量温度が上記範囲にある場合には、溶
融成形時において流動性を向上させる目的で、樹脂温度
を高温にしても気泡の含有などの成形不良が発生しにく
く好適である。
【0020】脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂の温度
260℃における溶融粘度は、通常1×101〜1×1
5ポイズ、好ましくは1×102〜1×103ポイズで
ある。溶融粘度がこの範囲にあるときに、樹脂の成形性
と、成形品の機械強度がバランスして好適である。
【0021】本発明において成形材料として用いる上記
の脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂には、必要に応じ
て、その他の重合体、各種配合剤、充填剤を単独で、あ
るいは2種以上混合して用いることができる。
【0022】その他の重合体 脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂に必要に応じて混合
される重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、SBS、SIS、SEBSなどのゴム;ポリスチレ
ン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポ
リエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、
ポリスルホンなどの樹脂;などのその他のポリマーを配
合することができる。また、これらのその他のポリマー
はそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用いるこ
とができる。また、その割合は、本発明の目的が損なわ
れない範囲で適宜選択される。
【0023】配合剤 脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂に必要に応じて添加
される配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常用いら
れているものであれば格別な制限はなく、例えば、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染
料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍
光増白剤などの配合剤が挙げられる。老化防止剤として
は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオ
ウ系酸化防止剤などが挙げられるが、これらの中でも、
フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェ
ノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0024】フェノール系酸化防止剤としては、従来公
知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−
(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−
t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2
−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート
などの特開昭63−179953号公報や特開平1−1
68643号公報に記載されるアクリレート系化合物;
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレ
ン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロ
キシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペン
タエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネー
ト)]、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリ
ノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリア
ジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジ
ン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリ
アジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;な
どが挙げられる。
【0025】リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工
業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例え
ば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシル
ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ト
リス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジ
ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−
10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;
4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブ
チルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,
4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル
(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイ
ト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホ
スファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイトなどが特に好ましい。
【0026】イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジ
ラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル
3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル
3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル
3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール
−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネー
ト、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ [5,5] ウン
デカンなどが挙げられる。
【0027】これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範
囲で適宜選択されるが、ポリマー成分100重量部に対
して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜
1重量部の範囲である。
【0028】紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)2H−ベンゾトリ
アゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリア
ゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキ
シフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2
−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−
t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ
トリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤;4−t−ブチルフェニル−2−ヒドロキシベンゾエ
ート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、2,4
−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル
−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミジルメ
チル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オ
クチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベ
ンゾトリアゾールなどのベゾエート系紫外線吸収剤;
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水和物、2
−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、4−
ドデカロキシ−2−ホドロキシベンゾフェノン、4−ベ
ンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,
2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾ
フェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;エチル
−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2’
−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルア
クリレートなどのアクリレート系紫外線吸収剤;[2,
2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−
2−エチルヘキシルアミンニッケルなどの金属錯体系紫
外線吸収剤などが挙げられる。
【0029】光安定剤としては、例えば、2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネー
ト、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系光安
定剤を挙げることができる。
【0030】近赤外線吸収剤は、例えば、シアニン系近
赤外線吸収剤;ピリリウム系赤外線吸収剤;スクワリリ
ウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系赤外線吸収剤;
アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤
外線吸収剤; ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;
ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤
外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ
系近赤外線吸収剤;等が挙げられる。また、市販品の近
赤外線吸収剤SIR−103,SIR−114,SIR
−128,SIR−130,SIR−132,SIR−
152,SIR−159,SIR−162(以上、三井
東圧染料製)、Kayasorb IR−750,Ka
yasorb IRG−002,Kayasorb I
RG−003,IR−820B,Kayasorb I
RG−022,KayasorbIRG−023,Ka
yasorb CY−2,Kayasorb CY−
4,Kayasorb CY−9(以上、日本化薬製)
等を挙げることできる。
【0031】染料としては、脂環式構造を有する炭化水
素重合体に均一に分散・溶解するものであれば特に限定
されないが、本発明で用いられる炭化水素重合体との相
溶性が優るので油溶性染料(各種C.I.ソルベント染
料)が広く用いられる。油溶性染料の具体例としてはT
he Society of Diyes andCo
lourists社刊Color Index vo
l.3に記載される各種のC.I.ソルベント染料が挙
げられる。
【0032】顔料としては、例えば、ピグメントレッド
38などのジアリリド系顔料;ピグメントレッド48:
2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド57:1
などのアゾレーキ系顔料;ピグメントレッド144、ピ
グメントレッド166、ピグメントレッド220、ピグ
メントレッド221、ピグメントレッド248などの縮
合アゾ系顔料;ピグメントレッド171、ピグメントレ
ッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッ
ド185、ピグメントレッド208などのペンズイミダ
ゾロン系顔料;ピグメントレッド122などのキナクリ
ドン系顔料;ピグメントレッド149、ピグメントレッ
ド178、ピグメントレッド179などのペリレン系顔
料;ピグメントレッド177などのアントラキノン系顔
料が挙げられる。本発明の成形品の着色を必要とすると
きは、染料と顔料のいずれでも、本発明の目的の範囲で
使用でき、限定されるものではない。
【0033】滑剤としては、脂肪族アルコールのエステ
ル、多価アルコールのエステルあるいは部分エステルな
どの有機化合物や無機微粒子などを用いることができ
る。有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステ
アレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジス
テアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、
ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリ
トールトリステアレートなどが挙げられる。
【0034】他の滑剤としては、一般に無機粒子を用い
ることができる。ここで無機微粒子としては、周期律表
の1族、2族、4族、6〜14族元素の酸化物、硫化
物、水酸化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸
塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪
酸塩、チタン酸塩、硼酸塩およびそれらの含水化物、そ
れらを中心とする複合化合物、天然化合物などの粒子が
挙げられる。
【0035】可塑剤としては、例えば、トリクレジルフ
ォスフェート、トリキシリルフォスフェート、トリフェ
ニルフォスフェート、トリエチルフェニルフォスフェー
ト、ジフェニルクレジルフォスフェート、モノフェニル
ジクレジルフォスフェート、ジフェニルモノキシレニル
フォスフェート、モノフェニルジキシレニルフォスフェ
ート、トリブチルフォスフェート、トリエチルフォスフ
ェートなどの燐酸トリエステル系可塑剤;フタル酸ジメ
チル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル
酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、
フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系可塑
剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エス
テルなどの脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤;二価アル
コールエステル系可塑剤;オキシ酸エステル系可塑剤;
などが使用できるが、これらの中でも燐酸トリエステル
系可塑剤が好ましく、トリクレジルフォスフェート、ト
リキシリルフォスフェートが特に好ましい。
【0036】さらに、柔軟化剤ないし可塑剤として、主
骨格が主にC−CまたはC=C構造である常温で液状の
炭化水素ポリマーが好ましく用いられる。液状炭化水素
ポリマーの中でも、主鎖の中に炭化水素環をもたない直
鎖状または分岐鎖状の液状炭化水素ポリマーが好まし
い。また、得られる成形品の耐候性に優れることから、
C=C構造を実質的に持たないものが好ましい。この液
状炭化水素ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1
0,000以下、より好ましくは200〜8,000、
特に好ましくは300〜4,000の範囲である。液状
炭化水素ポリマーの具体例としては、スクアラン(C30
62、Mw=422.8)、流動パラフィン(ホワイト
オイル、JIS K2231に規定されるISO VG
10、ISO VG15、ISO VG32、ISO
VG68、ISO VG100、VG8およびVG21
など)、ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポ
リイソプレンなどが挙げられる。これらの中でもスクア
ラン、流動パラフィンおよびポリイソブテンが好まし
い。
【0037】帯電防止剤としては、ステアリルアルコー
ル、ベヘニルアルコールなどの長鎖アルキルアルコー
ル、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトー
ルモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エス
テルなどが挙げられるが、ステアリルアルコール、ベヘ
ニルアルコールが特に好ましい。これらの配合剤は単
独、2種以上混合して用いることができ、その割合は、
本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択される。配
合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択さ
れるが、脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂100重量
部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.
01〜1重量部の範囲である。
【0038】充填剤 有機または無機の充填剤としては、例えば、シリカ、ケ
イ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽
石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマ
イト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウ
ム、タルク、クレー、マイカ、アスベストなどの鉱物;
ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチ
レン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポ
リアミド繊維などの繊維;ガラスフレーク、ガラスビー
ズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイ
ト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、
などを例示できる。
【0039】これらの充填剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて添加することができる。充
填剤の配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で、そ
れぞれの機能及び使用目的に応じて適宜定めることがで
きる。
【0040】上記成分(脂環式構造含有炭化水素重合体
樹脂と必要に応じて、その他の重合体、配合剤および充
填剤)を、脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂の製造工
程で添加する、または製造後に二軸押出機などの溶融状
態で混練して用いることができる。通常は、ペレットと
して用いることができる。脂環式構造含有炭化水素重合
体樹脂を主成分とする成形材料は常法に従って射出成形
される。
【0041】成形品の蒸気滅菌は常法に従って行うこと
ができる。すなわち、オートクレーブ加圧滅菌器のよう
な加圧下での蒸気処理が可能な機器を用いて、通常1.
5〜2.5気圧、好ましくは2気圧程度(この場合温度
は121℃程度となる)の加圧下に通常10〜60分
間、好ましくは20〜30分間程度保持することによっ
て行う。蒸気滅菌処理を行った成形品は、蒸気滅菌処理
完了後30分以内に熱処理を行う。蒸気滅菌処理完了後
30分以内に熱処理を行わないと白化を回避することが
著しく困難または不可能である。好ましくは蒸気滅菌処
理完了後10分以内、より好ましくは5分以内に熱処理
を行う。
【0042】熱処理は、40℃以上で、成形品のガラス
転移温度より低い温度、好ましくはガラス転移温度より
5℃以上低い温度において20分以上行う。熱処理温度
が40℃未満であると熱処理後の成形品に白化を生じ、
透明性および内容物の視認性に優れた容器などが得難く
なる。熱処理温度は好ましくは100℃以上、より好ま
しくは115℃以上である。熱処理温度がガラス転移温
度に達すると成形品に塑性変形を生じるので、ガラス転
移温度より低い温度で熱処理しなければならない。熱処
理時間が20分未満であると熱処理後の成形品に白化を
生じ、透明性および視認性に劣る。熱処理時間の上限は
格別限定されないが、極度に長い熱処理を行わなくとも
目的とする着色低減効果が達成されるので、一般に1時
間〜24時間が好ましい。
【0043】熱処理時の湿度は特に限定されないが相対
温度50%以下が好ましく、30%以下がより好まし
い。また、熱処理時の気圧も特に限定されないが0〜
2.5kg/cm2 が好ましい。熱処理は、通常の電熱
オーブンの中で行ってもよく、通風乾燥機のような、内
部が均一に加熱されるタイプのものでもよい。好ましく
は、成形品の酸化劣化を抑えるために、窒素などの不活
性ガス雰囲気下で行う。
【0044】
【実施例】以下、実施例、比較例および参考例について
本発明を具体的に説明する。これらの具体例において、
部は重量基準である。 参考例1 窒素置換下に、エチルテトラシクロドデセン(以下「E
TCD」と略す)20部に、シクロヘキサン200部、
1−ヘキセン2.0部、トリエチルアルミニウム15重
量%トルエン溶液15部およびトリエチルアミン5.0
部を加え、20℃に保ち、撹拌しながら、ETCD80
部および四塩化チタン20重量%トルエン溶液9.0部
を60分にわたって連続的に加えた。その後、1時間反
応させた後、エチルアルコール5.0部および水2.0
部を加えて反応を停止させた。反応溶液を40℃に加温
して触媒を加水分解した後、硫酸カルシウム3部および
シクロヘキサン60部を加え、過剰の水を除去した。析
出した金属を含む沈殿物を濾過して除去し、ETCD開
環重合体を含む透明な重合体溶液371部を得た。この
操作を繰り返し得た重合体溶液750部に、Ni−ケイ
ソウ土触媒(日揮化学製、N113)15部を添加し、
耐圧反応容器に入れ、水素を導入して圧力50kg/c
2 、温度200℃で3時間水素添加反応を行った。反
応終了後、シクロヘキサン700部を加えて希釈し、濾
過により触媒を除き、開環重合体水素添加物含有重合体
溶液1350部を得た。
【0045】参考例2 参考例1で得られたETCD開環重合体水素添加物シク
ロヘキサン溶液800部を、活性アルミナ(水澤化学
製、ネオビードD)4.5部を充填した内径10cm、
長さ100cmのカラムに滞留時間100秒になるよう
に通過させて、24時間循環させた。この溶液550部
をイソプロパノール1500部中へ撹拌しながら注ぎ、
ETCD開環重合体水素添加物を凝固させた。凝固させ
たETCD開環重合体水素添加物を濾過して回収し、イ
ソプロパノール300部で2回洗浄した後、回転式減圧
乾燥器中で5torr、120℃で48時間乾燥し、E
TCD開環重合体水素添加物78部を得た。このETC
D開環重合体水素添加物は、85℃のデカリン溶液中で
測定した極限粘度[η]が0.4dl/g、トルエンを
溶媒としたGPCでポリスチレン換算で測定されるMw
/Mnの比が2.1、水素添加率99.8%以上、示差
走査熱量分析によるガラス転移点(Tg)が140℃で
あった。
【0046】参考例3 参考例2で得られた重合体水素添加物を用いて、青木固
研究所製SB250を用いて、シリンダー温度280
℃、ホットランナー温度280℃、パリソン型温度15
0℃、ブロー型温度110℃の条件で、直径5cm、厚
さ1.8mm、の胴体部をもち、高さが10cmである
ボトル(内容量約120ml)をインジェクションブロ
ー成形した。成形品は外観上非常に透明性が高く、着色
がなく、内容物が容易に確認できるものだった。
【0047】参考例4 エチレン66モル%と8−メチル−テトラシクロ[4.
4.0.12 5.17,8 ]ドデカ−3−エン34モル
%とを重合し、ペレット化して、固有粘度0.64dl
/g(35℃デカリン中)、ガラス転移温度140℃の
熱可塑性樹脂(テトラシクロドデセン/エチレン付加共
重合体)を得た。この樹脂中の脂環式構造を有する繰返
し単位の割合は75重量%、ノルボルナン環を有さない
脂環式構造を有する繰返し単位の割合は0重量%であっ
た。
【0048】参考例5 参考例4で得られた共重合体樹脂を用いて、参考例3と
同様の条件で同様なボトルをインジェクションブロー成
形した。成形品は外観上非常に透明感が高く、着色がな
く、内容物が容易に確認できるものであった。
【0049】実施例1 参考例3で得られたボトルを、オートクレーブ内で12
1℃、スチーム蒸気中(蒸気圧1.1kg/cm2
下で20分滅菌した後、オートクレーブ内が大気圧に戻
ってから5分後に110℃のオーブン内に入れて、1.
5時間乾燥した。ボトルを太陽光の下で観察したとこ
ろ、滅菌前のものと比べて外観の違いが全く見られなか
った。
【0050】実施例2 参考例3で得られたボトルを、実施例1と同様の条件で
滅菌した後、オートクレーブ内が大気圧に戻ってから1
0分後に110℃のオーブン内に入れて、1.5時間乾
燥した。ボトルを太陽光の下で観察したところ、外観上
異常がなく、滅菌前のものと比較すると、外観の違いが
見られなかった。
【0051】実施例3 参考例3で得られたボトルを、実施例1と同様の条件で
滅菌した後、オートクレーブ内が大気圧に戻ってから2
0分後に110℃のオーブン内に入れて、1.5時間乾
燥した。ボトルを太陽光の下で観察したところ、一見、
外観上異常がなく、外観の違いがほとんど見られなかっ
た。極く微かに白化が認められた。
【0052】実施例4 蒸気滅菌処理後の加熱時間を30分間に短縮した他は実
施例1と同様な条件下に滅菌・加熱処理を行った。ボト
ルを太陽光の下で観察したところ、外観の違いはほとん
ど見られず、極く微かに白化が認められた。
【0053】実施例5 参考例5で得られたボトルを実施例1〜4と同様な条件
下に蒸気滅菌し、さらに、オートクレーブ内が大気圧に
戻ってから5分後に110℃のオーブンに入れて、1時
間乾燥した。ボトルを太陽光の下で観察したところ、外
観の違いは全く見られなかった。
【0054】比較例1〜4 参考例3または参考例5で得られたボトルを、実施例1
〜5と同様の条件下に滅菌した後、オートクレーブ内が
大気圧に戻ってから5分後または60分後に表1に示す
温度に保持されたオーブン内に入れて表1に示す時間熱
処理した。ボトルを太陽光の下で観察したところ、いず
れも白化が認められた。比較を容易にするため、各実施
例・比較例で採用された蒸気滅菌条件、滅菌終了から加
熱処理開始までの時間、および加熱時間、ならびに加熱
処理後の外観観察結果をまとめて表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明に従って蒸気滅菌処理の後、所定
の時間内に加熱することによって得られる成形品は、脂
環式構造含有炭化水素重合体樹脂が本来有する良好な透
明性、ガスバリア性、耐薬品性、低溶出性などの性質を
具備し、保管、移送、使用する際の破損の危険性が少な
いという特性の他、白化がみられず外観がよいという特
性を保持している。本発明の蒸気滅菌法は、特に、医薬
品用および食品用容器、ならびに医療用および科学実験
用器材などの滅菌処理に好適である。
【0057】(発明の好ましい実施態様)本発明の蒸気
滅菌法、すなわち、脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂
を主成分とする成形材料からなる成形品を、蒸気滅菌処
理し、次いで、滅菌処理完了後30分以内に、40℃以
上で、成形品のガラス転移点より低い温度において20
分間以上熱処理することを特徴とする蒸気滅菌法の好ま
しい実施態様をまとめると以下のとおりである。
【0058】(1)脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂
は、炭素数4〜30、より好ましくは5〜15のシクロ
アルカン構造またはシクロアルケン構造、特に好ましく
はシクロアルカン構造を有する繰返し単位を30重量%
以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましく
は70重量%以上含有する炭化水素重合体樹脂である。 (2)脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂は、ノルボル
ネン系重合体およびその水素化物、ならびに環状共役ジ
エン系重合体およびその水素化物から選ばれ、より好ま
しくはノルボルネン系重合体およびその水素化物から選
ばれる。
【0059】(3)脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂
は、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂がシクロヘキサン
に溶解しないときはトルエン溶液)のゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算
の分子量で5,000以上、より好ましくは5,000
〜500,000、さらに好ましくは8,000〜20
0,000を有し、かつ、ガラス転移温度80〜400
℃、より好ましくは100〜300℃、さらに好ましく
は120〜250℃を有する。
【0060】(4)蒸気滅菌処理は、1.5〜2.5気
圧、より好ましくは約2気圧の加圧下で10〜60分
間、より好ましくは20〜30分間行う。 (5)蒸気滅菌処理完了後10分以内、より好ましくは
5分以内に熱処理を行う。 (6)蒸気滅菌処理した成形品は、40℃以上で、成形
品のガラス転移温度より低い温度、より好ましくはガラ
ス転移温度より5℃以上低い温度において20分以上、
好ましくは1〜24時間熱処理する。
【0061】(7)熱処理時の湿度は50%RH以下、
より好ましくは30%RH以下、気圧は0〜2.5kg
/cmである。 (8)成形品が、医療用もしくは食品用容器、または医
療用もしくは科学実験用器材である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂を主
    成分とする成形材料からなる成形品を、蒸気滅菌処理
    し、次いで、滅菌処理完了後30分以内に、40℃以上
    で、成形品のガラス転移点より低い温度において20分
    間以上熱処理することを特徴とする蒸気滅菌法。
  2. 【請求項2】 脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂を主
    成分とする成形材料からなる成形品であって、請求項1
    記載の蒸気滅菌・熱処理を施してなる医薬品用または食
    品用容器。
  3. 【請求項3】 脂環式構造含有炭化水素重合体樹脂を主
    成分とする成形材料からなる成形品であって、請求項1
    記載の蒸気滅菌・熱処理を施してなる医療用または科学
    実験用器材。
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