JP2003096168A - ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法、その製造方法により得られるノルボルネン系開環重合体水素添加物、及びその水素添加物からなる成形体 - Google Patents

ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法、その製造方法により得られるノルボルネン系開環重合体水素添加物、及びその水素添加物からなる成形体

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JP2003096168A
JP2003096168A JP2001293277A JP2001293277A JP2003096168A JP 2003096168 A JP2003096168 A JP 2003096168A JP 2001293277 A JP2001293277 A JP 2001293277A JP 2001293277 A JP2001293277 A JP 2001293277A JP 2003096168 A JP2003096168 A JP 2003096168A
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polymer
norbornene
ring
hydrogenated
polymerization
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Application number
JP2001293277A
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English (en)
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Kazuyuki Obuchi
和之 小渕
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素添加不良や成形体にしたときの着
色や強度低下のないノルボルネン系開環重合体水素添加
物を安定して製造する方法を提供する。 【解決手段】 ノルボルネン系単量体をメタセシス
重合触媒の存在下、溶媒中で開環重合してノルボルネン
系開環重合体の溶液を得、該溶液に酸捕捉剤及び重合触
媒不活性化剤を添加しながら該重合体を次工程へ移送
し、次いで移送された該重合体を水素添加触媒の存在下
で水素添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノルボルネン系開
環重合体水素添加物の製造方法に関し、さらに詳しくは
水素添加不良及び水素添加不良によって起こる成形体に
したときの着色や強度低下のないノルボルネン系開環重
合体水素添加物を安定して製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン系開環重合体水素添加物
は、耐熱性、透明性、低吸水性などに優れ、光学材料な
どに好適であることが知られている。ノルボルネン系開
環重合体水素添加物は、一般に遷移金属ハロゲン化物と
有機金属化合物からなるメタセシス重合触媒を用いてノ
ルボルネン系単量体を開環重合し、重合体溶液からメタ
セシス重合触媒を除去あるいは失活させた後、重合体を
水素添加触媒の存在下で水素添加を行うことにより得ら
れる。
【0003】メタセシス重合触媒の除去方法としては、
メタセシス触媒の不活性化剤を含む溶液で重合反応溶液
を洗浄して分離する方法や、固形の触媒残渣とした後で
濾過または遠心分離等により除去する方法がある。しか
し、これらの方法において、触媒残渣を完全に除去する
ことは難しく、触媒残渣が水素添加工程に混入すること
がある。触媒残渣が混入することにより、水素添加工程
において、触媒残渣が加水分解してハロゲン化水素が発
生し、反応容器を腐食することがあった。
【0004】また、特開平7−102042号公報に
は、ノルボルネン系単量体をメタセシス重合触媒の存在
下で開環重合して重合体溶液を得、重合体溶液に水素添
加触媒を加える前に、酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤
を添加してメタセシス重合触媒を失活させる方法が記載
されている。この方法によれば、水素添加反応器内部が
ハロゲン化水素により腐食されることなく、重合触媒や
重合触媒残渣を除去する工程を省くことができると記載
されている。しかしながら、この方法でノルボルネン系
開環重合体水素添加物を製造すると、反応容器の腐食は
防止できるが、水素添加率が低下したり、前記水素添加
物を成形体に成形したときに、着色や機械的強度が低下
したりすることがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、水素添加不良及び水素添加不良によって起こる成形
体にしたときの着色や強度低下のないノルボルネン系開
環重合体水素添加物を安定して製造する方法を提供する
ことにある。
【0006】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検
討した結果、ノルボルネン系単量体をメタセシス重合触
媒の存在下、溶媒中で開環重合してノルボルネン系開環
重合体溶液を得、得られた重合体溶液に酸捕捉剤及び重
合触媒不活性化剤を添加して、メタセシス重合触媒を失
活させる際に、酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤を添加
する方法の違いにより、水素添加率、成形体の着色や強
度が変わることをつきとめた。本発明は、この知見に基
づき、完成されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、ノルボルネン系単量体をメタセシス重合触媒の存在
下、溶媒中で開環重合してノルボルネン系開環重合体の
溶液を得る工程、該溶液に酸捕捉剤及び重合触媒不活性
化剤を添加しながら該重合体を次工程へ移送する工程、
及び移送された該重合体を水素添加触媒の存在下で水素
添加する工程を含むノルボルネン系開環重合体水素添加
物の製造方法、該製造方法により得られるノルボルネン
系水素添加物、及び該水素添加物からなる成形体が提供
される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、ノルボルネ
ン系単量体をメタセシス重合触媒の存在下で開環重合し
てノルボルネン系開環重合体の溶液を得る工程、該溶液
に酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤を添加しながら該重
合体を次工程へ移送する工程及び移送された該重合体を
水素添加触媒の存在下で水素添加する工程を含む。
【0009】本発明の製造方法で用いるノルボルネン系
単量体は、特開平2−227424号公報、特開平2−
276842号公報などで公知となっている単量体、例
えば、ノルボルネン、ノルボルネン環以外に環構造を有
するノルボルネン類、テトラシクロドデセン類やヘキサ
シクロヘプタデセン類等のノルボルネン環を有する多環
の環状オレフィン類である。また、これらの単量体は、
アルキル基やアルケニル基、アルキリデン基などの炭化
水素基;窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、
又は硫黄原子を含む基;ノルボルネン環の二重結合以外
の二重結合;をさらに有してもよい。上記のノルボルネ
ン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上組み合
わせて用いることができる。
【0010】ノルボルネン系単量体の割合は、全単量体
に対して通常50〜100重量%、好ましくは70〜1
00重量%、より好ましくは90〜100重量%、特に
好ましくは100重量%である。この範囲にノルボルネ
ン系単量体の割合を設定することで、得られる成形体の
機械的強度が向上する。
【0011】本発明の製造方法において、ノルボルネン
系単量体と共重合可能なその他の単量体を使用してもよ
い。ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量
体としては、格別制限はないが、例えば、シクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチ
ルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−
(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオ
クテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−
メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,
4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエ
ン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オク
タジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。
【0012】これらのノルボルネン系単量体と共重合可
能なその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて用いることができる。前記ノルボル
ネン系単量体と共重合可能なその他の単量体の割合は、
全単量体に対して通常0〜50重量%、好ましくは0〜
30重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
【0013】本発明の製造方法に適用できるメタセシス
重合触媒は、特公昭41−20111号公報、特開昭4
6−14910号公報、特公昭57−17883号公
報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86
600号公報、特開昭58−127728号公報、特開
平1−240517号公報などに開示されているような
公知のノルボルネン系単量体のメタセシス重合触媒が例
示できる。通常は、周期表第4〜10族に分類される遷
移金属の化合物成分と周期表第1〜4族に分類される金
属の有機金属化合物成分とからなる。
【0014】周期表第4〜10族に分類される遷移金属
の化合物としては、前記遷移金属のハロゲン化物、オキ
シハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシ
ド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、
カルボニル錯体などが挙げられる。
【0015】上記遷移金属の化合物の中でも実用上、重
合活性などの点から、タングステン、モリブデン、チタ
ン、またはバナジウムの化合物が好ましく、特にこれら
のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、またはアルコキ
シハロゲン化物が好ましい。
【0016】上記遷移金属化合物の使用量は、ノルボル
ネン系単量体に対して0.001〜5モル%、好ましく
は0.005〜2.5モル%、さらに好ましくは0.0
1〜1モル%である。
【0017】周期表第1〜4族に分類される金属の有機
金属化合物としては、アルミニウム、スズ、リチウム、
ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ホウ素
等の有機金属化合物が挙げられる。中でもアルミニウム
やスズの有機金属化合物が好適に用いられる。
【0018】上記有機金属化合物の量は、ノルボルネン
系単量体に対して、0.005〜10モル%、好ましく
は0.02〜5モル%である。有機金属化合物を上記範
囲で用いることにより、ゲルや高分子量成分の発生が少
なく、かつ重合活性が高く分子量の制御が行いやすくな
る。上記遷移金属化合物と有機金属化合物の組み合わせ
では、特にタングステン(W)化合物と有機アルミニウ
ム化合物の組み合わせが好ましい。
【0019】本発明の製造方法において、重合反応に用
いる溶媒は、ノルボルネン系単量体とその開環重合体を
十分に溶解できるものであれば、特に限定されない。不
活性有機溶媒中で重合を行うことが望ましい。
【0020】不活性有機溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;n−ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;
スチレンジクロリド、ジクロルエタン、ジクロルエチレ
ン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベ
ンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水
素;などが挙げられる。この中でも、好ましくはn−ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素が
挙げられる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用
量はノルボルネン系単量体100重量部あたり、通常1
0〜1000重量部、好ましくは50〜700重量部、
より好ましくは100〜500重量部の範囲である。
【0021】本発明の製造方法において、開環重合反応
は、ノルボルネン系単量体とメタセシス重合触媒とを接
触させて行う。ノルボルネン系単量体とメタセシス重合
触媒とを接触させる方法としては、ノルボルネン系単量
体とメタセシス重合触媒とを混合して溶媒中に添加して
行ってもよく、それぞれ別個に溶媒中に添加して行って
もよいが、ノルボルネン系単量体の一部と不活性有機溶
媒と前記メタセシス重合触媒の有機金属化合物成分とを
反応容器内に仕込み、重合反応を開始させ、次いでノル
ボルネン系単量体の残部と前記メタセシス重合触媒の遷
移金属化合物成分とを添加しながら開環重合を行うこと
が好ましい。このときのノルボルネン系単量体の仕込み
量は、本発明の製造方法に使用するノルボルネン系単量
体全量に対して、50重量%以下、好ましくは40重量
%以下である。
【0022】開環重合の温度条件は、通常−20〜+1
00℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10
〜80℃、最も好ましくは10〜50℃の範囲で行う。
温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると反応の
制御が困難になり、またエネルギーコストが高くなる。
すなわち、温度条件を−20〜+100℃の範囲に調整
することで、反応の制御が容易で、エネルギーコストを
低く抑えることができると共に、適切な反応速度で重合
を進行させることができる。
【0023】開環重合の圧力条件は、通常0〜5MP
a、好ましくは常圧〜1MPa 、より好ましくは常圧
〜0.5MPaである。
【0024】開環重合は、得られる重合体の酸化劣化、
着色などを防止するために、窒素やアルゴンなどの不活
性ガス雰囲気下で行うこともできる。
【0025】本発明の製造方法では、上記のメタセシス
重合触媒のほかに、分子量調節剤や反応調整剤を使用で
きる。
【0026】分子量調節剤としては、通常、鎖状モノオ
レフィンや鎖状共役ジエン類が用いられるが、例えば、
1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ドデセン、1、
4−ヘキサジエンなどが挙げられる。分子量調節剤の使
用量は、重合条件により適宜選択されるが、通常、ノル
ボルネン系単量体に対して、0.2〜10モル%、好ま
しくは0.4〜7モル%、より好ましくは0.5〜4モ
ル%である。
【0027】反応調整剤としては、アルコール、アミン
等の活性水素含有の極性化合物;エーテル、エステル、
ケトン、ニトリル等の活性水素を含有しない極性化合
物;から選ばれる少なくとも1種の極性化合物を用いる
ことができる。上記活性水素含有の極性化合物は、ゲル
の発生を防ぎ、特定分子量の重合体を得るのに有効であ
り、なかでもアルコールが好ましい。また上記活性水素
を含有しない極性化合物は、機械的強度の低下の原因と
なる重合体中の低分子量成分の生成を抑制するのに有効
であり、中でもエーテル、エステル、ケトンが好まし
く、特にケトンがより好ましい。
【0028】反応調整剤は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて用いることが出来る。特に、本
発明においては、活性水素含有の極性化合物と活性水素
を有さない極性化合物を組み合わせるのが好ましく、特
にアルコールとケトン、アルコールとニトリル、アルコ
ールとエーテル及びアルコールとエステルの組み合わせ
が好ましい。反応調整剤の使用量は、ノルボルネン系単
量体に対して、0.001〜10モル%、好ましくは
0.01〜5モル%の範囲である。
【0029】本発明の製造方法においては、重合転化率
が一定の値に達したときに、該溶液に酸捕捉剤及び重合
触媒不活性化剤を添加しながら該重合体を次工程へ移送
する。
【0030】酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤は、重合
体を次工程に移送するライン中で重合体溶液に添加す
る。これを重合容器中で添加した場合、酸捕捉剤や重合
触媒不活性化剤は、重合反応の失活成分となるため、連
続的に重合反応を繰り返す場合、酸捕捉剤や重合触媒不
活性化剤が反応器に残存し、そのまま次の重合反応を行
うと反応が進行しないか、あるいは重合反応の再現性が
悪い。再現性よく重合反応を行わせるためには、反応器
内の洗浄を十分実施しなければならず、洗浄時間が必要
となり生産性を低下させ、多量の溶剤が必要になるとい
う問題が起こる。また、重合体を次工程へ移送した後に
添加した場合、重合体を次工程へ移送する過程で副反応
が起こってしまい、重合体の分子量や分子量分布などが
変化して、前記開環重合体の水素添加反応を行った時に
水素添加不良が発生したり、前記水素添加反応により得
られた水素添加物を成形体に成形した時に、着色や機械
的強度が低下したりする問題が起こる。
【0031】本発明の製造方法において、ノルボルネン
系開環重合体の移送を開始する時の重合転化率は、好ま
しくは95〜99%、さらに好ましくは97〜99%、
特に好ましくは98〜99%である。
【0032】本発明の製造方法において、酸捕捉剤及び
重合触媒不活性化剤を添加する方法としては、酸捕捉剤
及び重合触媒不活性化剤を混合して添加する方法、それ
ぞれ別々に添加する方法などが挙げられる。別々に添加
する場合には、酸捕捉剤と重合触媒不活性化剤とをそれ
ぞれ同時に添加し始める方法、両者のどちらか一方を先
に添加し始める方法、両者のどちらか一方が添加し終わ
ってから他方を添加し始める方法などが挙げられる。中
でも、両者をそれぞれ同時に添加し始める方法、又は両
者のどちらか一方を先に添加し始める方法が好ましい。
【0033】酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤が液体の
場合は、そのまま添加してもよく、溶媒で希釈又は溶解
して添加してもよい。固体の場合は、溶媒で溶解又は分
散した状態で、添加したほうが好ましい。酸捕捉剤及び
重合触媒不活性化剤を溶媒で希釈、溶解又は分散させる
場合、使用できる溶媒としては、酸捕捉剤及び重合触媒
不活性化剤に対して不活性な溶媒であれば特に限定され
ないが、前記開環重合反応で使用する溶媒を使用するの
が好ましい。酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤に対する
溶媒量は、特に限定されない。
【0034】酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤は、ノル
ボルネン系開環重合体溶液を移送し始めると同時に添加
し始め、移送し終わると同時に添加し終わるように添加
速度を調整するのが好ましい。
【0035】酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤の添加
は、重合体溶液を重合反応器から次工程に移送するライ
ンの途中に、酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤を添加す
るための添加ラインを設けて行う。次工程は、重合体溶
液貯蔵タンクでもよく、水素添加反応器であってもよ
い。重合体溶液の移送開始と同時に酸捕捉剤及び重合触
媒不活性化剤を移送ラインに送り込む方法としては、ポ
ンプなどを用いて移送ライン中に圧送する方法が挙げら
れるが、特に限定されない。移送するラインの形状とし
ては、通常のパイプ状のライン、スタティックミキサー
やプロペラ式ミキサーなどのインラインミキサーを有す
るラインなどが挙げられる。
【0036】本発明の製造方法に適用できる酸捕捉剤
は、重合触媒の加水分解などで発生するハロゲン化水素
と反応するものであれば特に限定されない。具体例とし
ては、エポキシ化合物、金属水酸化物、金属酸化物、金
属塩、粉末状又は粒状の金属が挙げられる。
【0037】エポキシ化合物としては、アルキレンオキ
シド類、脂環状エポキシド類、芳香族置換エポキシド
類、脂肪族グリシジルエーテル類、芳香族グリシジルエ
ーテル類、及びカルボン酸グリシジルエステル類などが
挙げられる。具体的には、アルキレンオキシド類として
は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチ
レンオキサイドなど;脂環状エポキシド類としては、シ
クロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド
など;芳香族置換エポキシド類としては、スチレンオキ
シド、α−メチルスチレンオキシドなど;脂肪族グリシ
ジルエーテル類としては、メチルグリシジルエーテル、
エチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル
など;芳香族グリシジルエーテル類としては、フェニル
グリシジルエーテルなど;カルボン酸グリシジルエステ
ル類としては、酢酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ルなどが挙げられる。
【0038】金属水酸化物としては、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、又はアルミニウム族元素の水酸化物が
挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウムなどが挙げられる。
【0039】金属酸化物としては、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、又はアルミニウム族元素の酸化物が挙げ
られる。具体的には、酸化カリウム、酸化カルシウム、
酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどが挙げられ
る。
【0040】金属塩としては、炭酸塩、炭酸水素塩、酢
酸塩などの弱酸と強アルカリの塩が挙げられる。炭酸塩
としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアル
ミニウム族元素の炭酸塩、具体的には、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
など;炭酸水素塩としては、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、又はアルミニウム族元素の炭酸水素塩、具体的
には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水
素カルシウム、炭酸水素マグネシウムなど;酢酸塩とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニ
ウム族元素の酢酸塩、具体的には、酢酸ナトリウム、酢
酸カルシウムなど;が挙げられる。
【0041】粉末状又は粒状の金属としては、粉末状も
しくは粒状のアルミニウム、マグネシウム、亜鉛、又は
鉄が挙げられる。
【0042】上記酸捕捉剤の中でも、エポキシ化合物
は、水素添加反応器の気相と接触する部分の腐食を防止
する効果が高く、水素添加触媒の活性低下を起こさない
ので特に好ましい。
【0043】酸捕捉剤の量は、用いたメタセシス重合触
媒に含まれるハロゲン元素の化学量論量によって決ま
る。メタセシス重合触媒に含まれるハロゲン元素の化学
量論量に対し、好ましくは1〜100当量、より好まし
くは2〜10当量である。なお、水素添加触媒がハロゲ
ン元素を含有している場合は、水素添加触媒に含まれる
ハロゲン元素の化学量論量に対し、好ましくは1〜10
0当量、さらに好ましくは2〜10当量をさらに添加す
る。また、これらの酸捕捉剤は単独で、または2種以上
を同時に使用することができる。
【0044】本発明の製造方法に適用できる重合触媒不
活性化剤としては、活性水素をもつ化合物であれば、特
に制限されない。例えば、アミンなどの含窒素化合物、
チオールなどの含硫黄化合物、水、アルコールなどの含
酸素化合物などが挙げられるが、中でも水素添加触媒の
活性を低下させない点で、含酸素化合物が好ましい。
【0045】含酸素化合物としては、水、アルコール
類、カルボン酸類、及びフェノール類が挙げられる。具
体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノ
ール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタ
ノール、2−ブタノール、エチレングリコール、1、4
−ブタンジオールなど;カルボン酸類としては、酢酸、
プロピオン酸、マレイン酸、クエン酸、フタル酸など;
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシ
レノールなど;が挙げられる。これらの重合触媒不活性
化剤は単独で、または2種以上を同時に使用することが
できる。
【0046】重合触媒不活性化剤の添加量は、重合触媒
の分解に必要な化学量論量に対し、好ましくは1〜20
当量、より好ましくは2〜10当量である。
【0047】本発明の製造方法において、酸捕捉剤及び
重合触媒不活性化剤を添加しながら前記重合体を水素添
加反応器に移送し、水素添加触媒の存在下で水素添加反
応を行う。また、水素添加反応器に移送する前に必要に
応じて重合体溶液貯蔵タンクなどに移送してもよい。
【0048】本発明の製造方法に適用できる水素添加触
媒としては、オレフィン化合物や芳香族化合物の水素添
加に際して一般に使用されるものであれば格別な制限は
なく、通常、不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
【0049】不均一系触媒としては、例えば、ニッケ
ル、パラジウム、白金、又はこれらの金属を用いてカー
ボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の
担体に担持させた固体触媒:ニッケル/シリカ、ニッケ
ル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カ
ーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ
土、パラジウム/アルミナなどの組み合わせからなる触
媒が挙げられる。
【0050】均一系触媒としては、例えば、遷移金属化
合物とアルキルアルミ金属化合物又はアルキルリチウム
の組み合わせからなる触媒、例えば、酢酸コバルト/ト
リエチルアルミニウム、酢酸コバルト/トリイソブチル
アルミニウム、酢酸ニッケル/トリエチルアルミニウ
ム、酢酸ニッケル/トリイソブチルアルミニウム、ニッ
ケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、
ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミ
ニウイム、チタノセンクロリド/n−ブチルリチウム、
ジルコノセンクロリド/n−ブチルリチウムなどの組み
合わせからなる触媒が挙げられる。
【0051】水素添加反応は、それぞれ単独で又は2種
以上組み合わせて用いることができる。水素添加触媒の
使用量は、ノルボルネン系開環重合体100重量部あた
り、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜
50重量部、より好ましくは1〜30重量部の範囲であ
る。水素添加反応は、通常0.1MPa〜30MPa、
好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2M
Pa〜10MPaの水素圧下、0〜250℃の温度範
囲、1〜20時間の反応時間で行われる。
【0052】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系開環重合体水素添加物は、必要に応じて以下の手
順により回収される。水素添加触媒として不均一系触媒
を用いた場合、上記水素添加反応後に、ろ過して水素添
加触媒を除去し、続いて凝固乾燥法、又は薄膜乾燥機等
を用いた直接乾燥法にて得ることができる。ノルボルネ
ン系開環重合体水素添加物は、通常、パウダー状又はペ
レット状で得ることができる。一方、水素添加触媒とし
て均一系触媒を用いた場合は、水素添加反応後に、アル
コールや水を添加して触媒を失活させ、溶剤に不溶化さ
せた後に濾過を行い触媒を除去する。
【0053】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系開環重合体水素添加物は、シクロヘキサンを溶媒
とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)により測定されたポリイソプレン換算で、通常1
0,000〜100,000、好ましくは13,000
〜70,000、より好ましくは14,000〜60,
000、特に好ましくは15,000〜50,000の
重量平均分子量(Mw)を有する。また、重量平均分子
量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
n)として表される分子量分布(MWD)は、通常1.
5〜5.0、好ましくは1.7〜4.0、より好ましく
は1.8〜3.0である。
【0054】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン開環重合体水素添加物は、使用目的に応じて適宜選
択されるが、通常30〜300℃、好ましくは60〜2
50℃、より好ましくは80〜200℃の範囲のガラス
転移温度(Tg)を有する。ガラス転移温度が過度に低
いと得られる成形体の耐熱性、耐光性が低下し、過度に
高いと成形加工性が悪くなる。
【0055】本発明の製造方法により得られたノルボル
ネン系開環重合体水素添加物は、必要に応じて、その他
のポリマー、各種配合剤、有機または無機の充填剤など
の添加剤を単独で、あるいは2種以上添加して、成形体
に成形して、各種用途に使用することができる。
【0056】その他のポリマーとしては、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、SBS、SIS、SEBSなどの
エラストマー;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、
ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンなどの樹脂;な
どを配合することができる。また、これらのその他のポ
リマーはそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用
いることができる。
【0057】配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常
用いられているものであれば格別な制限はなく、例え
ば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸
収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防
止剤、蛍光増白剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、レ
ベリング剤などの配合剤が挙げられる。
【0058】中でも、酸化防止剤を加えることが好まし
く、そのような酸化防止剤としては、フェノール系酸化
防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが
挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止
剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が
特に好ましい。これらの酸化防止剤を配合することによ
り、透明性、低吸水性等を低下させることなく、成形時
の酸化劣化等による成形物の着色や強度低下を防止でき
る。
【0059】有機または無機の充填剤としては、例え
ば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネ
シウム、ドワマイト、酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウ
ム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アス
ベストなどの鉱物; ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケ
イ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポ
リエステル繊維、ポリアミド繊維などの繊維;ガラスフ
レーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロ
ナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム
粉、硫化モリブデンなどである。
【0060】これらの充填剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて添加することができる。充
填剤の配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で、そ
れぞれの機能及び使用目的に応じて適宜定めることがで
きる。
【0061】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系開環重合体水素添加物に上記添加剤を配合する方
法は、例えばミキサー、二軸混錬機、ロール、ブラベン
ダー、押出機などでノルボルネン系開環重合体水素添加
物を溶融状態にして配合剤と混練する方法、適当な溶剤
に溶解して分散させ凝固する方法などが挙げられる。二
軸混練機を用いる場合、混錬後に通常は溶融状態でスト
ランド状に押し出し、ペレタイザーにてペレット状にカ
ットして用いられることが多い。
【0062】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系開環重合体水素添加物を成形する方法としては格
別な限定はないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等
に優れた成形物を得るためには、溶融成形法を用いるの
が好ましい。溶融成形法としては、射出成形法、押し出
し成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる
が、低複屈折性、寸法安定性などの観点から、射出成形
法が好ましい。
【0063】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系開環重合体水素添加物の成形条件は、使用目的や
成形方法により適宜選択されるが、射出成形法による場
合は、ノルボルネン系開環重合体水素添加物の樹脂温度
が、通常150〜400℃、好ましくは200〜350
℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択
される。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形
品にヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂
の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、成形
物が黄変するなどの成形不良が発生したりするおそれが
ある。成形体は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、繊
維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用
することができる。
【0064】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系水素添加物からなる成形体は、平板状に成形した
時の黄色度差ΔYIが0.5以下であることが好まし
い。ここで黄色度差ΔYIは、ブランクを空気として、
常温(25℃)で、色差計を用いて前記成形体の黄色度
指数YIを測定し、空気の黄色度指数YIとの差とす
る。ΔYIは、着色が少ないほど小さい値となる。
【0065】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系水素添加物からなる成形体は、機械的強度、成形
外観性に優れており、医療用器材をはじめとして、各種
成形体として広範な分野において有用である。具体的に
例えば、液体薬品容器、アンプル、バイアル、プレフィ
ルドシリンジ、輸液用バッグ、密封薬袋、プレス・スル
ー・パッケージ、固体薬品容器、点眼薬容器などの液
体、粉体、または固体薬品の容器、食品容器、血液検査
用サンプリング試験管、薬品容器用キャップ、採血管、
検体容器などのサンプリング容器、注射器などの医療器
具、メス、鉗子、ガーゼ、コンタクトレンズなどの医療
器具などの滅菌容器、ビーカー、シャーレ、フラスコ、
試験管、遠心管などの実験・分析器具、医療検査用プラ
スチックレンズなどの医療用光学部品、医療用輸液チュ
ーブ、配管、継ぎ手、バルブなどの配管材料、義歯床、
人工心臓、人造歯根などの人工臓器やその部品などの医
療用器材;
【0066】多層回路基板、ソルダーレジスト、層間絶
縁膜、液晶表示装置用のスペーサーなどの電気絶縁材
料;タンク、トレイ、キャリア、ケースなどの処理用ま
たは移送用容器、キャリアテープ、セパレーション・フ
ィルムなどの保護材、パイプ、チューブ、バルブ、シッ
パー流量計、フィルター、ポンプなどの配管類、サンプ
リング容器、ボトル、アンプルバッグなどの液体用容器
類、半導体ウエハーキャリアなどの電子部品処理用器
材;光学材料; 情報記録用のハードディスク基板やハ
ードディスクのカバー、PTP、受光素子用窓などの電
子部品用途; 窓、機器部品、ハウジング等の構造材料
や建材; バンパー、ルームミラー、ヘッドランプカバ
ー、テールランプカバー、インストルメントパネル等の
自動車用器材;スピーカーコーン材、スピーカー用振動
素子、電子レンジ容器等の電気用器材; ボトル、リタ
ーナブルボトル、哺乳瓶等の食品用容器;ラップ等の包
装材料; フィルム、シート、ヘルメット等の種々の用
途に利用できる。
【0067】本発明の製造方法により得られるノルボル
ネン系水素添加物からなる成形体は、透明性、耐熱性、
低吸水性に優れ、機械的強靭性にも優れ、また成形体に
したときの黄色度差ΔYIが小さいことから、成形体の
着色を嫌う光学材料として広範な分野で特に有用であ
る。例えば、光ディスク、光ファイバー、光カード、光
学レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、光学
ミラー、液晶表示素子基板、導光板、光拡散板、有機E
Lの封止材、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散シ
ート、プリズムシート、集光シート、自動車の窓材やル
ーフ材、航空機用窓材、自動販売機用窓材、ショーウィ
ンドー材、ショーケース材等が挙げられる。
【0068】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
を具体的に説明する。なお、実施例、比較例において、
各種物性の測定法は、次のとおりである。
【0069】(重量平均分子量及び分子量分布)テトラ
ヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)によりポリイソプレン換算の重
量平均分子量(Mw)、分子量分布(MWD)を算出す
る。
【0070】(高分子量成分)テトラヒドロフランを溶
媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)によりポリイソプレン換算の重量平均分子量(M
w)が75,000以上の割合を算出する。
【0071】(低分子量成分)テトラヒドロフランを溶
媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)によりポリイソプレン換算の分子量が1,000
以下の割合を算出する。
【0072】(水素添加率)水素添加率は、H−NM
Rにより測定する。
【0073】(黄色度差ΔYI)黄色度差△YIは、成
形した厚さ3mmの平板の一部を試験片として、試験片
の黄色度(YI:イエローインデックス)をJIS−K
7103により、色差計を用いて、ブランクを空気とし
て、測定し、測定した黄色度YIより、空気のみの黄色
度YIを差し引いた値を、平板の黄色度差△YIとして
求める。なお、測定は3回行い、その平均値を用いて評
価する。
【0074】(衝撃強度)3mm厚の成形品に半径約
1.9cm(3/4インチ)のミサイル型のおもり(重
さ40g)を高さ1mより自然落下させて、20個の試
験片について、割れや亀裂が入るかどうか観察し、以下
の基準で評価する。 ○:割れや亀裂が入ったものが、20個中4個以下 ×:割れや亀裂が入ったものが、20個中5個以上
【0075】(実施例1)窒素で置換した重合反応器に
トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3,7−ジ
エン(以下、DCPと略す)9部と5−エチリデンノル
ボルネン(以下、ENBと略す)1部の混合物とシクロ
ヘキサン120部を加え、メタセシス重合触媒の有機金
属化合物成分としてトリイソブチルアルミニウム0.3
4部、反応調整剤としてイソブチルアルコール0.13
部とアセトン0.07重量部、分子量調節剤として1−
ヘキセン0.6部を添加した。ここに、メタセシス重合
触媒の遷移金属化合物成分として六塩化タングステン
0.09重量部を添加し、60℃で5分間攪拌した。次
いで、反応系を60℃に保持しながら、DCP81部と
ENB9部の混合物と、六塩化タングステン0.13部
とシクロヘキサン110部との混合溶液とをそれぞれ系
内に3時間かけて添加した。添加終了後、さらに30分
間攪拌してノルボルネン系開環重合体の溶液を得た。こ
の時の重合転化率は、99%であった。攪拌後、得られ
た重合体の溶液を重合反応器から重合体溶液貯蔵タンク
に移送するラインに重合触媒不活性化剤と酸捕捉剤とを
添加するラインを2本設けた。そして、重合体の溶液を
移送している間(1時間)に、前記添加ラインから重合
触媒不活性化剤としてイソプロピルアルコール0.4重
量部及び酸捕捉剤としてブチルグリシジルエーテル0.
9重量部をそれぞれ別々にポンプで同時に1時間で添加
しながら、重合体溶液貯蔵タンクへ移送し、その後さら
に1時間撹拌した。
【0076】この時の開環重合体の溶液のガスクロマト
グラフィーの分析により、未反応モノマーのピークが検
出されないことから、重合転化率は、100%であるこ
とを確認した。また、得られた開環重合体の重量平均分
子量Mwは25,000、分子量分布MWDは2.4、
高分子量成分の割合は3.8%、低分子量成分の割合は
0.9%であった。上記の開環重合反応、並びに酸捕捉
剤添加操作及び重合触媒不活性化剤の添加操作を4回連
続しておこなったところ、開環重合体の重合転化率、重
量平均分子量Mw、分子量分布、高分子量成分の割合、
及び低分子量成分の割合は、4回ともほぼ同じ値となっ
た。
【0077】この開環重合体の溶液を水素添加反応器に
移送し、シクロヘキサン170部を加えた。これに水素
添加触媒として、ケイソウ土担持ニッケル触媒6部を添
加し、前記反応器内を水素置換した後、約1MPaに昇
圧し、攪拌しながら155℃に昇温した。温度が安定し
たところで水素圧力を4MPaに保持し、8時間反応さ
せた。
【0078】水素添加反応終了後、水素添加触媒を濾別
した後、得られた重合体水素添加物を含む反応溶液を3
000部のイソプロピルアルコール中に攪拌下に注い
で、水素添加物を沈殿させ、濾別して回収した。さら
に、アセトン500重量部で洗浄した後、0.1kPa
以下に減圧した真空乾燥器中、100℃で24時間乾燥
させ、ノルボルネン系開環重合体水素添加物100部を
得た。得られたノルボルネン系開環重合体水素添加物の
水素添加率は、99.8%であった。
【0079】得られた水素添加物100部に酸化防止剤
(ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト])0.1部と、軟質重合体(旭化成社製タフテック
H1052)0.2部を添加し、二軸押出機(東芝機械
社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=
32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度210
℃、フィードレート10kg/時間)で混練して押し出
し、ペレット化した。このペレットを、サイドゲート金
型方式の射出成形装置(東芝機械株式会社製の製品番号
IS450)を用いて、射出成形により厚さ3mmの平
板の成形体を得た。成形条件は、金型温度80℃、シリ
ンダー温度280℃、ノズル温度260℃とした。こう
して得られた成形体の黄色度差ΔYIを測定したところ
0.4と良好であった。衝撃強度は、割れや亀裂が入っ
たものが、20個中1個と評価は○であった。
【0080】(比較例1)実施例1において、開環重合
後のノルボルネン系開環重合体の溶液を重合体溶液貯蔵
タンクへ移送するライン中に重合触媒不活性化剤及び酸
捕捉剤を添加せずに、重合体溶液貯蔵タンクへ1時間で
移送した後に、重合触媒不活性化剤としてイソプロピル
アルコール0.4重量部及び酸捕捉剤としてブチルグリ
シジルエーテル0.9重量部を添加した他は同様にして
開環重合体溶液を得た。この時の開環重合体の重合転化
率は99%、重量平均分子量Mwは26,800、分子
量分布MWDは2.6、高分子量成分の割合は5.7
%、低分子量成分の割合は1.2%であった。上記の開
環重合反応、並びに酸捕捉剤操作及び重合触媒不活性化
剤の添加操作を4回連続しておこなったところ、開環重
合体の重合転化率、重量平均分子量Mw、分子量分布、
高分子量成分の割合、及び低分子量成分の割合は、4回
とも同じ値となった。次に、実施例1と同様に水素添加
を行い、ノルボルネン系開環重合体水素添加物を得た。
この時の水素添加率は98.0%であった。これを実施
例1と同様に成形して成形体を得た。得られた成形体の
黄色度差ΔYIを測定したところ0.8で、成形体が着
色していた。衝撃強度は、割れや亀裂が入ったものが、
20個中6個あり評価は×であった。
【0081】(比較例2)実施例1において、ノルボル
ネン系開環重合体の溶液を移送せずに、開環重合反応を
行った反応器中に、重合触媒不活性化剤としてイソプロ
ピルアルコール0.4重量部及び酸捕捉剤としてブチル
グリシジルエーテル0.9重量部を添加した他は同様に
して開環重合体の溶液を得た。この時の開環重合体の重
合転化率は99%、重量平均分子量Mwは24,20
0、分子量分布MWDは2.3、高分子量成分の割合は
3.5%、低分子量成分の割合は0.8%であった。上
記の開環重合反応、並びに酸捕捉剤及び重合触媒不活性
化剤の添加操作を4回連続しておこなったところ、重合
転化率が2回目で80%、3回目で70%、4回目で6
0%と回数を重ねるにしたがって低下してしまった。
【0082】上記結果から以下のことがいえる。本発明
の製造方法によれば、実施例1に示したとおり、酸捕捉
剤及び重合触媒不活性化剤を添加しながらノルボルネン
系開環重合体溶液を移送することにより、該重合体溶液
の移送中に起こりうる重合体の分子量分布の変化を抑制
することができる。また、ここで得られる開環重合体を
水素添加して得られる水素添加物を成形しても、着色が
少なく、かつ強度の優れる成形体を安定して得ることが
できる。一方、開環重合体溶液を次工程のタンクに移送
した後、酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤を添加した場
合(比較例1)は、該重合体溶液の移送中に重合体の分
子量分布が広がってしまった。また、ここで得られる開
環重合体を水素添加すると水素添加率にばらつきが生
じ、得られる水素添加物を成形した場合、着色が発生し
たり、強度が低下したりした。また、開環重合体溶液を
移送せずに開環重合反応を行った反応器で、酸捕捉剤及
び重合触媒不活性化剤を添加した場合(比較例2)は、
酸捕捉剤及び重合触媒不活性化剤が重合反応器内に残留
してしまうため、開環重合反応の回数を重ねるにしたが
って、重合転化率にばらつきが生じてしまった。
【0083】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、酸捕捉剤及
び重合触媒不活性化剤を添加しながらノルボルネン系開
環重合体溶液を移送することにより、該重合体溶液の移
送中に起こりうる重合体の分子量分布の変化を抑制する
ことができる。また、ここで得られる開環重合体を水素
添加して得られる水素添加物を用いて成形しても、着色
が少なく、かつ強度の優れる成形体を安定して得ること
ができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系単量体をメタセシス重合
    触媒の存在下、溶媒中で開環重合してノルボルネン系開
    環重合体の溶液を得る工程、該溶液に酸捕捉剤及び重合
    触媒不活性化剤を添加しながら該重合体を次工程へ移送
    する工程、及び移送された該重合体を水素添加触媒の存
    在下で水素添加する工程を含むノルボルネン系開環重合
    体水素添加物の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により得られたノル
    ボルネン系水素添加物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法により得られたノル
    ボルネン系水素添加物からなる成形体。
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