JPH11335825A - スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

スパッタリングターゲット及びその製造方法

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JPH11335825A
JPH11335825A JP10155251A JP15525198A JPH11335825A JP H11335825 A JPH11335825 A JP H11335825A JP 10155251 A JP10155251 A JP 10155251A JP 15525198 A JP15525198 A JP 15525198A JP H11335825 A JPH11335825 A JP H11335825A
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lead
target
sintering
forming
ceramic
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JP10155251A
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Zenichi Akiyama
善一 秋山
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高電力で高速スパッタリングしても割れや剥
離が生じることがなく、かつ使用回数増大による径年変
化のない強誘電体膜形成用スパッタリングターゲットを
提供する。 【解決手段】 鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用
のスパッタリングセラミックスターゲットを粒径4μm
以上の結晶粒で構成するとともに、密度が理論密度の9
7%以上である高緻密体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体メモリーな
どのキャパシタ用薄膜形成やSiマイクロマシーニング
に用いられる強誘電体膜形成用スパッタリングターゲッ
トおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用
スパッタリングターゲットが、半導体メモリー等に用い
られるキャパシタ用薄膜形成やマイクロマシーン用アク
チュエーター膜形成のスパッタリングターゲットとして
用いられることは、一般に知られている。
【0003】前記鉛系ペロブスカイト構造を有する強誘
電体膜形成用スパッタリングターゲットを製造するに
は、薄膜材料をジルコン酸チタン酸鉛(PZT)とした
場合、まず原料粉末のPbO粉末、ZrO2 粉末および
TiO2 粉末を所定の割合で配合し、ボールミルに入れ
て混合し、得られた混合粉末を成形後MgOルツボに入
れ大気雰囲気中、温度850〜900℃×3〜10時間
保持の条件で焼成し、ボールミルで粉砕することにより
PZT複合酸化物粉末を作製する。得られたPZT複合
酸化物粉末にさらに前記条件の焼成および粉砕を2回繰
り返し施した後、造粒・成形(圧力1000kg/cm
2 )・焼成(温度1000〜1300℃×1〜3時間)
により焼結体を得る。そして、この焼結体を機械加工し
て所定のターゲット形状に仕上げる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、半導体メモリー
やマイクロマシーン用強誘電体薄膜応用素子の大量生産
とコストダウンのために、高出力でスパッタリングし、
高速成膜することにより短時間で強誘電体膜を形成する
試みがなされている。
【0005】しかし、従来の強誘電体膜形成用スパッタ
リングターゲットを用いて成膜速度100Å/min以
上の高速スパッタリング成膜を行うと、ターゲット全体
が割れてしまったり、バッキングプレートとの接合部に
おいてターゲット表面が鱗片状に剥離したりすることが
あった。また、ターゲット初期の成膜膜質(主に鉛組
成)に変化が生じるだけでなく、ターゲット使用限界ま
での期間を中期・後期と区切った場合、その期間におい
て成膜される膜質に変化(すなわち使用回数に対する膜
質変化)が伴うことが認められている。このことは、タ
ーゲット破壊の面で歩留りを低くし、また成膜の一定品
質保証の点で問題になっていた。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みなされたもの
で、その目的は成膜時の破損や、接合部での剥離がな
く、かつ使用回数増大による径年変化のない強誘電体膜
形成用スパッタリングターゲットおよびその製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高電力をか
けて高速スパッタリング成膜しても割れ・剥離が生じる
ことがなく、かつ径年変化のないスパッタリングターゲ
ットを作製するため、鋭意検討を重ねてきた。その結
果、(a)従来の強誘電体膜形成用スパッタリングター
ゲットを構成する結晶粒サイズが前記高速スパッタリン
グ成膜時のターゲットの割れおよび剥離に大きく影響を
及ぼすこと、(b)ターゲットの熱伝導性が高速スパッ
タリング成膜時のターゲットの割れおよび剥離に大きく
影響すること、(c)ターゲットを構成する結晶粒のサ
イズ、ターゲットの熱伝導性およびターゲットの作製法
の改善によって、径年変化のないスパッタリングターゲ
ットが得られることを確認し、本発明を完成した。
【0008】請求項1に記載のスパッタリングターゲッ
トは、鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用のスパッ
タリングセラミックスターゲットであって、粒径が4μ
m以上の結晶粒で構成したことを特徴とする。
【0009】セラミックスターゲットを構成しているセ
ラミック結晶粒は、高出力スパッタリング中のターゲッ
トの割れ、バッキングプレートとの接合部での剥離に大
きく影響を及ぼす。また、バッチ処理回数の増大に伴っ
て成膜膜質が変化する結晶粒サイズには、ある領域が存
在する。詳細な検討の結果(後述する実施例)、この粒
径が4.5μm以上であれば、上記問題点が解消される
ことが確認された。
【0010】請求項2に記載のスパッタリングターゲッ
トは、鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用のスパッ
タリングセラミックスターゲットであって、密度が理論
密度の97%以上であることを特徴とする。
【0011】ターゲットの割れ、ターゲットとバッキン
グプレートとの接合部における剥離は、ターゲットを構
成するセラミックス材料の熱伝導性に依存し、高緻密体
のセラミックス材料を形成することで熱伝導性が向上
し、先述の問題が解決される。具体的には、セラミック
ス焼結体の密度が理論密度に対して97%以上になって
いれば良好な結果が得られる。理論密度とは、セラミッ
クス仕込み時に用いる化学式とXRD測定で求まる格子
定数により(前者は1格子の質量、後者はその体積)算
術的に求まる値であり、焼結体の実密度はアルキメデス
法により算出し、この実密度の理論密度に対する比:実
密度/理論密度で定義される。ただし、仕込み時の過剰
鉛については考慮しないで、1格子の質量を算出する。
【0012】従来技術では、目的とする薄膜組成は鉛の
蒸気圧が高いことにより一般に、成膜された膜組成はタ
ーゲット組成と異なることが報告されている。PTZを
作製する場合、Zr,Tiは良いものの、Pbの欠損が
生じる。このためターゲット組成に関しては、欠損鉛量
だけ鉛分を過剰に仕込むことが行われてきた。しかしこ
の過剰量の鉛は、あらゆる面において不具合を生じてい
る。それは、本発明が解決しようとする問題点すなわち
ターゲットの割れ、バッキングプレートとの接合部にお
けるターゲット剥離およびターゲットの径年変化であ
る。本発明では極力、化学量論比に近づけ、請求項1,
2に記載のターゲットを構成することで上記問題点を解
決したものである。
【0013】請求項3に記載のスパッタリングターゲッ
トは、鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用のスパッ
タリングセラミックスターゲットであって、ターゲット
の焼結助剤としてリチウム、硼素、シリコン、ゲルマニ
ウム、ビスマス、亜鉛、鉛の各酸化物のうち少なくとも
一種を添加し、液相焼結させたことを特徴とする。
【0014】本発明では、セラミックスターゲットを得
るためのセラミックス焼結に際し、焼結助剤を用いるの
が有効である。この助剤は焼結温度以下の温度において
液相を形成し、焼結に寄与する物質の移送を容易にさせ
るものである。上記液相形成用の材料としてはLi,
B,Si,Ge,Bi,Zn,Pbが効果的である。こ
れらの添加物は強誘電体特性に影響を与えるため、その
適正な添加量が存在する。実験結果により、この適正量
は添加物材料種にもよるが概ね4wt%以下、より好ま
しくは2wt%以下である。さらに、添加量はセラミッ
クス仮焼粉に対して秤量されるべきものであり、所望の
助剤をこの仮焼分に対し重量で2%添加し、本焼成終了
後に1wt%以下の割合で存在させることが望ましい。
【0015】請求項4に記載のスパッタリングターゲッ
トの製造方法は、鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成
用のスパッタリングセラミックスターゲットを製造する
方法であって、原料粉末として各種金属酸化物、または
金属炭酸塩の粉末を用意し、これらの粉末を混合し、得
られた混合粉末を大気中で予備焼結して予備焼結体を作
製し、この予備焼結体を粉砕して鉛系複合酸化物粉末を
作製し、この粉末をプレス成形し、焼結して焼結体とし
た後、該焼結体を機械加工してスパッタリングターゲッ
トとする方法において、第1次焼結を予備焼結温度より
高い温度で実施した後、第2次焼結を予備焼結温度より
高く、かつ第1次焼結より低い温度で実施することを特
徴とする。
【0016】本発明方法では、請求項4に記載の2段階
焼結を行うことで、良好なセラミックスターゲットを得
ることができる。2段階焼結は、鉛系ペロブスカイト型
セラミックスを作製する場合、特にPbを焼結助剤とし
て用いるときに有効であり、1段目の焼結で仮焼粉間の
焼結を完了させた後、2段目の焼結において、粒界に偏
析している過剰鉛量を適正化するものである。
【0017】請求項5に記載のスパッタリングターゲッ
トの製造方法は、鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成
用のスパッタリングセラミックスターゲットを製造する
方法であって、鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラミッ
クスの鉛サイト以外の構成元素群を複合酸化物として形
成した後、該複合酸化物を酸化鉛と固相反応させること
により、目的とする鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラ
ミックスを得ることを特徴とする。すなわち本発明で
は、先述のセラミックス仮焼粉の作製において、結晶構
造中の鉛サイト以外の構成元素群を複合酸化物として形
成した後、これを酸化鉛と固相反応させることにより、
良好な仮焼粉を得ることができる。
【0018】請求項6に記載の強誘電体膜形成用スパッ
タリングターゲットの製造方法は、請求項5において、
前記鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラミックスにおけ
る酸化鉛は、仕込み段階で化学量論比に対して5モル%
以下の範囲で過剰に仕込み、本焼成後のセラミックスタ
ーゲット中に0.5モル%以下の過剰量で存在させるこ
とを特徴とする。
【0019】本発明においては、セラミックス原料粉仕
込み時に5モル%以下の過剰鉛組成にして仮焼粉を作製
する。この仮焼粉では850℃,900℃の2回の仮焼
を行い、次に第1の本焼成として、これらの仮焼温度よ
り高温で焼結させる。この工程の目的は焼結を終了させ
ることにあり、結果として粒成長させる点にある。焼結
温度、組成により一概には限定できないが、後述の実施
例に示されているように5モル%以上の過剰鉛量の場合
には、粒成長が阻害されるため好ましくなく、過剰鉛量
を5モル%以下の範囲で適正化する必要がある。次の2
段目の焼結は、粒界部に偏析した過剰成分の自己制御的
な組成の適正化を実施するもので、過剰鉛の蒸発が生じ
る温度以上、すなわち仮焼工程の温度以上の温度、粒成
長の生じない温度、すなわち1段目焼成温度以下の温度
範囲、および処理時間にて最適化されるものである。そ
して2段階で処理された焼結体中の過剰鉛の割合を0.
5モル%以下に抑えることで良好な結果が得られる。
【0020】請求項7に記載の強誘電体膜形成用スパッ
タリングターゲットの製造方法は、請求項5において、
前記鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラミックスにおけ
る液相焼結助剤は、該助剤の割合が仕込み段階で2wt
%以下となる量を添加し、本焼成後のセラミックスター
ゲット中の割合を1wt%以下とすることを特徴とする
ものである。
【0021】上記鉛系ペロブスカイト型セラミックスの
製造には、以下の物質すなわちジルコン酸チタン酸鉛
(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、
ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、マンガンニオブ酸
鉛、アンチモンスズ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、チタン酸
鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛
をそれぞれ主成分とする材料または、これらの複合材料
等が用いられる。
【0022】また、上記主成分材料に副成分としてラン
タン、バリウム、ストロンチウム、ニオブ、亜鉛、セリ
ウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、
鉄、イットリウム、タンタル、タングステン、ニッケ
ル、マンガン等の酸化物、その他の化合物を適宜量添加
することもできる。
【0023】
【実施例】実施例1 結晶粒サイズが異なる種々のPZTターゲットを作製し
た。組成はPZT(52/48)−Nb0.5wt%添
加である。ターゲットを水冷銅板にIn−Snハンダで
接合し、これを高周波マグネトロンスパッタ装置内にセ
ットし、雰囲気ガスをArと酸素の混合ガス(Ar:O
=0.95:0.05)、スパッタ圧力0.1Pa、周
波数13.56MHz、出力3W/cm2 の条件で成膜
した。
【0024】また、1回の成膜時間を1時間に固定し
(この堆積時間で1.5μm成膜された)、処理後のタ
ーゲットの割れを目視にて判定した。さらに、この成膜
操作を50回繰り返した後のターゲット変質および膜組
成変動の有無をICP分析により確認した。なお、分析
や特性評価用の成膜に供した基板は、Pt下部電極を成
膜した熱酸化膜付きSiウェハである。結果を[表1]
に示す。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 実施例1と同じく、種々の密度のターゲットを作製し
(ターゲット組成は先述)、同様の評価を行った。結果
を[表2]に示す。
【0027】
【表2】
【0028】実施例3 以下に示す焼結助剤を添加することでターゲットの結晶
粒成長、高緻密化を実施した。用いた焼結助剤はPbO
−B2 3 ,PbO−B2 3 −SiO2 ,PbO−G
eO2 ,PbO−GeO2 −SiO2 ,Li2 O−Bi
2 3 で、これらの添加量は仕込み量で0.5〜8wt
%とした。添加量と得られる膜の特性劣化との関係を調
べた結果、概ね上記助剤で共通して2wt%まで劣化は
観測されなかった。組成は0.5Pb(Ni1/3 Nb
2/3 )O3 −0.5Pb(Zr0.3Ti 0.7)O3
し、焼成温度を1150℃、焼成時間を8時間とした。
【0029】各添加物種と濃度と結晶粒サイズ(μ
m)、焼結体密度(%)、得られた膜特性の判定結果
(○,△または×)との関係を[表3]に示す。この表
において、○は無添加膜のPr(強誘電特性の残留分極
値)の5%以内の減少範囲を、△は更にEc(抗電界)
が10%以上増加したものを、×はPrが10%減少、
またはEcが50%以上増加したもそれぞれ示してい
る。
【0030】先述の助剤組成は、 PbO:B2 3 =0.875:0.125(融点4
93℃)、 PbO:B2 3 :SiO2=0.9:0.075:
0.025(融点460℃)、 Pb5 Ge3 12(融点738℃)、 Pb5(Ge2.4 Si0.4 )O11(融点742℃)、 Li2 Bi2 4 (融点690℃) であり、添加方法として各種酸化物をボールミルで混合
する方法を採用した。
【0031】
【表3】
【0032】上記[表3]において例えば「4.5/9
7/○」は結晶粒サイズ(μm)、焼結体密度(%)、
膜特性の判定結果を示している。なお、無添加品は平均
粒径3.7μm、相対密度97%であった。無添加品が
平均粒径4.5μmに至らなかったことは、本発明にお
いて焼結助剤添加が必須であることを示しているわけで
はない。[表3]の結果は、焼成温度1150℃におけ
る結果であり、この温度の上昇により平均粒径4.5μ
m以上を得ることは可能であった。
【0033】実施例4 PLZTを例に2段階焼成の実施例を示す。PLZTの
仮焼粉作製に当たり、下記[化1]に基づいて各酸化物
を秤量した。
【0034】
【化1】
【0035】具体的には、PLZT(x/y/z)=P
LZT(9/65/35)とし、過剰鉛量を5モル%と
した。用いた酸化物粉体は純度99.9%のものであ
る。ただし、酸化ジルコニウムに関しては不純物として
のHf量は計数していない。これらの酸化物をエタノー
ルを用いた湿式のボールミル(ジルコニアボールを使
用)にて粉砕した後、混合・乾燥して混合粉を得た。こ
れを成形した後、850℃×8時間で1次仮焼を行い、
成形体を粉砕した後、950℃×8時間の条件で2次仮
焼を行った。この成形体を同様にしてボールミルで粉砕
し、最終的に比表面積3〜5g/m2 のPLZT粉体を
得た。この粉体を成形し、マグネシアのルツボを用いて
サンドベット法により1250℃×8時間の条件で第1
焼成を行った。ついで、第2焼成を1150℃×15時
間の条件で行った。得られたセラミックスの平均結晶粒
径は8.7μm、相対密度は99.4%に達していた。
この焼結体をターゲット形状に加工し、実施例1と同様
に成膜実験を行い評価したところ、何ら問題のない結果
が得られた。
【0036】実施例5 実施例3に示したPNN−PZT系セラミックスや、化
学式が0.375Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 0.6
25Pb(Zr0.4 Ti0.6 )O3 で示されるPMN−
PZTでは、あらかじめZrTiO4 ,NiNb
2 5 ,MgNb2 5 を複合酸化物として形成してお
き、その後にPbOと固相反応させ、最終的なセラミッ
クスを得た。PNN−PZT系では、NiNboxid
eを共沈法にて析出させ、その後900℃の熱処理にて
均一なNiNboxideを作製した。また、MgNb
oxideでは一般的な水熱合成法、または先述の共沈
法を使用した。この場合の利点は、過剰鉛量を正確に導
入できる点にある。通常の酸化物混合法によりセラミッ
クス仮焼粉を作製した場合には、強誘電体には望ましく
ない準安定結晶相であるパイロクロア相の混入が認めら
れる。これに対し、NiNboxideを固相反応にて
作製した場合には、最終的なセラミックス粉にパイロク
ロア相の混入は認められなかった。さらに、先述の化学
的処方によりNiNboxideを作製した場合、最終
的なセラミックス粉の粒径分布がシャープになり、かつ
比表面積も6〜8g/m2 に増加し、仮焼粉として理想
的な状態に近づいた。
【0037】実施例6 PLZTの実施例において過剰鉛が5モル%の場合を示
す。ここでは過剰量を0〜15モル%の範囲で変化させ
たときに最適値が存在することを示す。得られたセラミ
ックスの粒径、相対密度は[表4]、[表5]に示すと
おりである。[表4]は2段階焼成における第1焼成の
条件を1250℃×8時間、第2焼成の条件を1150
℃×15時間とした場合である。また、[表5]は2段
階焼成における第1焼成の条件を1300℃×30時
間、第2焼成の条件を1050℃×30時間とした場合
である。これらの表に示す評価は、膜特性において5モ
ル%を基準(○)とし、Pr,Ecの変化についての評
価は先述の基準に従った。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】上記[表4]、[表5]について説明する
と、過剰鉛の量が仕込み時に10モル%以上の場合、粒
界部のPbが粒成長を阻害し、結晶粒は結果として成長
しない。また、最終焼結品に鉛が0.6モル%以上過剰
に含まれる場合には、膜特性において抵抗率の低下を招
き、特性の劣化が認められる。さらに、過剰鉛がない場
合には鉛欠損により残留分極の低下、抗電界の増加を招
く。
【0041】実施例7 実施例3では各種助剤濃度による影響を調べたが、ここ
では仕込み時のLi2O−Bi2 3 濃度、焼成後の濃
度をPZT(52/48)0.5wt%Nb添加とした
セラミックスについての結果を[表6]に示す。焼結は
2段階焼成とし、第1焼成の条件を1250℃×2時
間、第2焼成の条件を1050℃×10時間とした。こ
のセラミックスにおける最適な過剰鉛量は3モル%であ
った。
【0042】
【表6】
【0043】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば以下の効果が得られる。 (1)請求項1の発明 スパッタリング用セラミックスターゲットを構成する結
晶粒の平均粒径を適正化することで、成膜時における破
損や接合部での剥離がなく、かつ使用回数増大による径
年変化のない強誘電体膜形成用スパッタリングターゲッ
トを提供することができる。
【0044】(2)請求項2の発明 相対密度の最適化により、成膜時におけるターゲット破
損や接合部での剥離がなく、かつ使用回数増大による径
年変化のない強誘電体膜形成用スパッタリングターゲッ
トを提供することができる。
【0045】(3)請求項3の発明 焼結助剤を用いることで、高緻密で結晶粒サイズが適正
化された強誘電体膜形成用スパッタリングターゲットを
得ることができる。
【0046】(4)請求項4の発明 2段階焼成により、高緻密で結晶粒サイズが適正化され
た強誘電体膜形成用スパッタリングターゲットを得るこ
とができる。
【0047】(5)請求項5の発明 均一な仮焼粉を作製でき、高緻密で結晶粒サイズが適正
化された強誘電体膜形成用スパッタリングターゲットを
効果的に得ることができる。
【0048】(6)請求項6の発明 過剰鉛量の最適化により、高緻密で結晶粒サイズが適正
化された強誘電体膜形成用スパッタリングターゲットを
得ることができる。
【0049】(7)請求項7の発明 焼結助剤添加量の最適化により、高緻密で結晶粒サイズ
が適正化された強誘電体膜形成用スパッタリングターゲ
ットを得ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用
    のスパッタリングセラミックスターゲットであって、粒
    径が4μm以上の結晶粒で構成したことを特徴とするス
    パッタリングターゲット。
  2. 【請求項2】 鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用
    のスパッタリングセラミックスターゲットであって、密
    度が理論密度の97%以上であることを特徴とするスパ
    ッタリングターゲット。
  3. 【請求項3】 鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用
    のスパッタリングセラミックスターゲットであって、該
    ターゲットの焼結助剤としてリチウム、硼素、シリコ
    ン、ゲルマニウム、ビスマス、亜鉛、鉛の各酸化物のう
    ち少なくとも一種を添加し、液相焼結させたことを特徴
    とするスパッタリングターゲット。
  4. 【請求項4】 鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用
    のスパッタリングセラミックスターゲットの製造方法で
    あって、原料粉末として各種金属酸化物、または金属炭
    酸塩の粉末を用意し、これらの粉末を混合し、得られた
    混合粉末を大気中で予備焼結して予備焼結体を作製し、
    この予備焼結体を粉砕して鉛系複合酸化物粉末を作製
    し、この粉末をプレス成形し、焼結して焼結体とした
    後、該焼結体を機械加工してスパッタリングターゲット
    とする方法において、第1次焼結を予備焼結温度より高
    い温度で実施した後、第2次焼結を予備焼結温度より高
    く、かつ第1次焼結より低い温度で実施することを特徴
    とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  5. 【請求項5】 鉛系ペロブスカイト型強誘電体膜形成用
    のスパッタリングセラミックスターゲットの製造方法に
    おいて、鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラミックスの
    鉛サイト以外の構成元素群を複合酸化物として形成した
    後、該複合酸化物を酸化鉛と固相反応させることによ
    り、目的とする鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラミッ
    クスを得ることを特徴とするスパッタリングターゲット
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラ
    ミックスにおける酸化鉛は、仕込み段階で化学量論比に
    対して5モル%以下の範囲で過剰に仕込み、本焼成後の
    セラミックスターゲット中に0.5モル%以下の過剰量
    で存在させることを特徴とする請求項5に記載のスパッ
    タリングターゲットの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記鉛系ペロブスカイト型強誘電体セラ
    ミックスにおける液相焼結助剤は、該助剤の割合が仕込
    み段階で2wt%以下となる量を添加し、本焼成後のセ
    ラミックスターゲット中の割合を1wt%以下とするこ
    とを特徴とする請求項5に記載のスパッタリングターゲ
    ットの製造方法。
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