JPH05139828A - 圧電磁器の製造方法 - Google Patents

圧電磁器の製造方法

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JPH05139828A
JPH05139828A JP4128836A JP12883692A JPH05139828A JP H05139828 A JPH05139828 A JP H05139828A JP 4128836 A JP4128836 A JP 4128836A JP 12883692 A JP12883692 A JP 12883692A JP H05139828 A JPH05139828 A JP H05139828A
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piezoelectric ceramic
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Takenobu Sakai
酒井  武信
Mamoru Ishikiriyama
守 石切山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】一次焼結体の粒径を1〜3μmの範囲に制御す
ることにより、機械的強度が高く駆動耐久性に優れた圧
電磁器を容易に、かつ安定して製造する。 【構成】主としてPbO,TiO2 ,ZrO2 からなる
原料粉末からなり、鉛元素との合計量100mol%中
に1〜5mol%のランタン元素が含有された成形体を
一次焼結し、その後HIP処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PbTiO3 −PbZ
rO3 系(以下、PZT系という)の圧電磁器の製造方
法に関する。本発明により製造される圧電磁器は、特に
高い機械的強度を必要とされる自動車用の圧電アクチュ
エータなどに利用できる。
【0002】
【従来の技術】PZT系の圧電磁器は優れた圧電特性を
示し、圧電アクチュエータとして広く用いられている。
このPZT系の圧電磁器を製造するには、先ず主として
PbO,TiO2 ,ZrO2 からなる原料粉末をボール
ミルなどで混合する。その混合粉末を仮焼してPZT粉
末とし、粉砕後所定形状の成形体を形成する。そして、
その成形体を焼結し、その後機械加工や分極処理などの
後加工を行って圧電磁器を形成するのが一般的な方法で
ある。
【0003】ところで近年、PZT系の圧電磁器の利用
範囲が拡大し、例えばフューエルインジェクタなど自動
車のエンジン制御部品への利用も検討されている。しか
しこのような部品に利用した場合には高温条件下で20
0〜400kgの荷重が加わるため、駆動耐久性が大き
な問題となる。この駆動耐久性を向上させるためには、
高いキュリー温度と高い強度を有する圧電磁器とするこ
とが必要である。
【0004】セラミックス焼結体の強度を向上させる方
法として、焼結密度を向上させる方法、Al,Siなど
を混入して粒界を補強する方法の2つの方法が有効であ
ることが知られている。しかし圧電磁器においては、混
入する材料の種類やその状態、混入方法、分散状態など
により圧電特性に大きな影響があるため、後者の方法は
利用できない。
【0005】一方、前者の方法として、特公昭60−9
352号、特開昭63−100075号などの公報に開
示されているように、成形体を高温高圧のガス雰囲気中
で熱間静水圧プレスする方法(以下HIP処理という)
が有用であることが知られている。このHIP処理法に
よれば、ホットプレス法などに比べて加圧力や大きさの
制限がなく、容器や圧力媒体から不純物が混入すること
もないため、品質や生産性に優れ容易に焼結密度を向上
させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】HIP法を利用して焼
結する場合、上記公報にも開示されているように、成形
体を大気中で焼結して密度が理想密度の85〜99%に
当たる一次焼結体とし、その後HIP処理する必要があ
る。ところが本発明者の研究によれば、一次焼結体の粒
径の大小により、HIP後の圧電磁器を圧電アクチュエ
ータとして駆動する際の駆動耐久性が大きく影響される
ことが明らかとなった。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、一次焼結体の粒径を制御することにより駆
動耐久性に優れた圧電磁器を容易に、かつ安定して製造
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は一次焼結体の
粒径とHIP処理後の圧電磁器の駆動耐久性との関係を
調べた結果、一次焼結体の平均粒径が小さくなる程駆動
耐久性が向上することが明らかとなった。しかし反面、
平均粒径が小さくなるにつれて圧電特性が低下すること
も明らかとなった。そして駆動耐久性と圧電特性の両方
を満足させるためには、一次焼結体の平均粒径を1〜3
μmの範囲とするのが最適であることを見出した。
【0009】ところで一次焼結体の粒径を小さくするに
は、仮焼条件や仮焼原料の粉砕時の条件を制御すること
によって行うことができる。しかし仮焼工程や粉砕工程
における工数が多大となるという不具合がある。そこで
本発明者は、他の成分の添加により一次焼結体の結晶成
長を抑制することを想起した。そして鋭意研究の結果、
ランタン元素の導入により圧電特性への悪影響無く一次
焼結体の粒径を小さくすることができることを発見し、
本発明を完成したものである。
【0010】すなわち上記課題を解決する本発明の圧電
磁器の製造方法は、PbTiO3 −PbZrO3 系の圧
電磁器の製造方法であって、主としてPbO,Ti
2 ,ZrO2 からなる原料粉末を混合し仮焼後粉砕し
てPZT原料粉末とする粉末調製工程と、PZT原料粉
末から所定形状の成形体を形成する成形工程と、成形体
を加熱保持し理想密度より低い密度となるように焼結し
て一次焼結体とする一次焼結工程と、一次焼結体を高温
高圧ガス下で焼結するHIP処理工程と、得られた焼結
体を後加工する後加工工程と、からなり、成形体中には
鉛元素との合計量100mol%中に1〜5mol%の
ランタン元素が含有されていることを特徴とする。
【0011】粉末調製工程では、主としてPbO,Ti
2 ,ZrO2 からなる原料粉末が所定割合で混合され
る。この工程はボールミルなどを利用して従来と同様に
行うことができる。なおNb、Sbなどの添加成分を用
いる場合は、この添加成分もこの時同時に混合される。
またランタン元素を導入するためのランタン化合物を、
このとき混合することができる。
【0012】そして充分均一に混合後、仮焼される。こ
の仮焼はPZT固溶体を形成するものであり、従来と同
様一般に800〜900℃の温度で行われる。得られた
PZT原料は再びボールミルなどで粉砕され、成形工程
に供給される。この粉砕時に酸化ランタンを混合してラ
ンタン元素を導入することもできる。成形工程では、上
記PZT原料粉末から圧電磁器形状の成形体が形成され
る。この成形には、プレス成形、射出成形など従来セラ
ミックスの成形に用いられている成形方法を利用でき
る。一般には成形形状を保持するために、ポリビニルア
ルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)
などのバインダが混合されて成形される。
【0013】本発明の一つの特色をなす一次焼結工程で
は、上記成形体が理想密度より低い密度となるように焼
結される。ここで理想密度とは得られる焼結体中の各元
素の濃度から算出される理論密度でもよいし、理論密度
より若干低い現実に得られる最大焼結密度も含む概念で
ある。理想密度の91%以上の密度となるように焼結す
るのが好ましい。一次焼結体の密度が理想密度の91%
未満であると、HIP処理の効果が小さくなる。この一
次焼結工程は、鉛成分の揮散を防止するためにPZT原
料粉末などに埋設した状態で行うことが好ましい。
【0014】本発明の一つの特徴は、鉛元素との合計量
100mol%中に1〜5mol%のランタン元素が含
有されている成形体に対して一次焼結工程を行うところ
にある。ランタンの存在によりPZTの結晶成長が抑制
され、1〜3μmの平均粒径をもつようになる。なお、
ランタンの量が1mol%より少ないと添加した効果が
得られず、5mol%を超えて添加するとキュリー温度
が低下し圧電特性が低下する。
【0015】本願の第二の発明は、上記一次焼結工程を
酸素富化状態で行うところに最大の特徴を有する。酸素
富化状態で焼結することにより、PbOの溶融温度が低
下して一層緻密に焼結できる。そして一次焼結体内の空
孔内は酸素で置換されるため、HIP処理工程において
酸素が固溶し、空孔内のガスが減少するためHIP処理
により空孔を一層小さくすることができる。なお、一次
焼結工程の条件としては、焼結温度が1250±50
℃、焼結時間が10分〜5時間、酸素濃度は50%以上
が推奨される。
【0016】HIP処理工程は、得られた一次焼結体を
高温高圧のガス雰囲気下でさらに焼結して理想密度とす
る工程である。ガスとしてはアルゴンガス、窒素ガスな
どの不活性ガス、酸素ガスあるいはこれらの混合ガスな
どが用いられ、通常のHIP処理工程と同様に行うこと
ができる。一次焼結体は1〜3μmの平均粒径となって
いるので、HIP処理により極めて緻密な焼結体となり
強度が向上し駆動耐久性も向上する。
【0017】HIP処理工程は、温度が1250±50
℃、処理時間10分〜5時間、圧力が100〜200M
Pa、昇温速度が200〜500℃/hrの条件で行う
ことが望ましい。
【0018】
【作用】PZT一次焼結体の平均粒径と、その後のHI
P処理により得られた圧電磁器の3点曲げ抗折強度との
関係を図3に示す。図3より平均粒径を1〜3μmとす
ることにより、120MPa以上の高い抗折強度を有し
ていることがわかる。これは、一次焼結体の空孔径が小
さいためHIP処理による空孔減少効果が高まること、
粒径の縮小により粒界が増加し亀裂の発生を分散するこ
と、HIP処理によって粒界内の非晶質部が減少するこ
と、などに起因している。
【0019】そして本発明の製造方法では、一次焼結工
程で焼結される成形体中には1〜5mol%のランタン
元素が含まれている。これにより図1に示すように、一
次焼結体の平均粒径を1〜3μmとすることができる。
また図2から明らかなように、1〜5mol%のランタ
ン元素を含むことによりキュリー温度Tcが高く、機械
電気結合係数Kpも高く維持することができる。
【0020】さらに、一次焼結工程を酸素富化状態で行
うことにより、PbOの溶融温度の低下により緻密に焼
結できるとともに、酸素ガスで置換された空孔内では酸
素ガスが周壁に固溶するため空孔内のガス量が低下し、
HIP処理時の空孔容積の圧縮が助長されるので、一層
緻密な焼結体とすることができる。
【0021】
〔第1の実施例〕
(1)粉末調製工程 主成分の成分比がPb(Zr0.55Ti0.44Nb0.01)O
3 で表されるように、PbO粉末、TiO2 粉末及びZ
rO2 粉末と、Nb2 5 粉末とを所定量秤量し、水と
ともにボールミルにて48時間湿式混合する。これを脱
水乾燥後マグネシア製るつぼに入れ、空気中800℃で
8時間仮焼してPZT原料とした。
【0022】このPZT原料を再びボールミルに投入
し、所定量のLa2 3 粉末を加えて48時間湿式混合
し、脱水乾燥させてPZT原料粉末を調製した。La2
3 粉末の添加量は、Pb元素とLa元素の合計量10
0mol%中にLa元素が1〜10mol%の範囲で数
水準選び、複数種類のPZT原料粉末を調製した。 (2)成形工程 上記PZT原料粉末にバインダーとしてのPVAを1重
量%加えて造粒し、面圧98MPaにて直径20mm、
厚さ1mmの円板状の成形体をそれぞれ形成した。 (3)一次焼結工程 それぞれの成形体をパット材(PZT粉末:ZrO2
末=6:4)とともにるつぼ中に入れ、昇温速度400
℃/hで1250℃とし、その温度で1〜2時間保持後
降温してそれぞれの一次焼結体を形成した。ここでそれ
ぞれの一次焼結体の粒径を走査型電子顕微鏡で測定し、
平均粒径を算出して図1に示す。図1よりLaの含有量
が1〜5mol%であれば、平均粒径が1〜3μmとな
ることが明らかである。 (4)HIP処理工程 それぞれの一次焼結体をアルミナ製の多孔質のるつぼに
上記パット材とともに入れ、HIP処理を行った。HI
P処理の条件は、昇温速度400℃/hで1250℃と
するとともに酸素ガス圧力を昇圧させて100MPaと
した。その状態で1時間保持し、降温と同時に降圧して
処理を終了した。 (5)後処理工程 得られたそれぞれの焼結体を所定の厚さに加工した後、
両表面に銀ペーストをスクリーン印刷し焼き付けて銀電
極を形成した。その後30kv/cmで分極処理を行い
圧電磁器を得た。
【0023】実施例で得られたそれぞれの圧電磁器につ
いて、キュリー温度(Tc)及び機械電気結合係数(K
p)を測定し、結果を図2に示す。図2よりLaの含有
量が1〜5mol%であれば、200℃以上のキュリー
温度が達成され、機械電気結合係数も好ましい範囲にあ
ることがわかる。 (比較例1)La2 3 粉末に代えてBaCO3 粉末を
加えたこと以外は実施例と同様にして粉末調製工程を行
い、同様に圧電磁器を製造した。途中、得られた一次焼
結体について実施例と同様に平均粒径を測定し、結果を
図4に示す。図4よりBa元素の含有mol%と平均粒
径の相関関係は見られず、平均粒径も大きい値であっ
た。 (比較例2)La2 3 粉末に代えてSrCO3 粉末を
加えたこと以外は実施例と同様にして粉末調製工程を行
い、同様に圧電磁器を製造した。途中、得られた一次焼
結体について実施例と同様に平均粒径を測定し、結果を
図5に示す。図5よりSr元素の含有mol%と平均粒
径の相関関係は小さく、平均粒径もかなり大きい値であ
った。 (試験例)実施例1の製造方法において、焼成条件を種
々変更し異常粒成長を生じさせるなどして、一次焼結体
の平均粒径が種々異なるようにして複数種類の圧電磁器
を製造した。それぞれの圧電磁器について3点曲げ抗折
強度を測定し、結果を図3に示す。図3より、一次焼結
体の平均粒径が小さくなるにつれて強度が向上している
ことがわかる。
【0024】また、それぞれの圧電磁器について常法で
積層型圧電アクチュエータを形成し、自動車エンジンの
フューエルインジェクタとして用いたときの駆動時の耐
久性を調査した。結果は積層された圧電磁器にクラック
が生じた時点までの駆動回数で表1に示す。表1より一
次焼結体の平均粒径が1〜3μmであれば極めて耐久性
に優れ、粒径が大きくなるにつれて耐久性が低下してい
ることが明らかである。
【0025】
【表1】 〔第2の実施例〕主成分の成分比が式(Pb1-x
x )(Zry Ti1-y-z Nbz )O3 で表される場合
に、y=0.55,z=0.01で固定とし、0.01≦x≦0.10の
範囲でxを選んで、酸化鉛(PbO)、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )、酸化チタン(TiO 2 )、五酸化ニオ
ブ(Nb2 5 )及び酸化ランタン(La2 3 )粉末
を調合し、ボールミルにて48時間湿式混合した。これ
を脱水乾燥後、空気中で800℃・5時間仮焼した。そ
の後再びボールミルにて48時間湿式粉砕し、脱水乾燥
した。このようにして平均粒径が約1μm、かつ最大径
が3μm未満の微粉末を得た。なお、平均粒径が約0.
3μm程度、かつ最大径が1μm未満の微粉末とするこ
とが望ましい。
【0026】得られた混合粉末にバインダとしてポリビ
ニルアルコール(PVA)を1重量%加えて造粒し、成
形圧力1000kg/cm2 で直径20mm、厚さ1m
mの円板状の成形体を形成した。得られたそれぞれの成
形体を、PbZrO3 が入れられたアルミナ製坩堝に入
れ、PbO雰囲気を保ちながら、焼結炉内に100%の
酸素ガスを2リットル/minの流量で導入した状態
で、1250℃で1時間加熱して一次焼結した。
【0027】次いでO2 /Ar=1/5の混合比のガス
を用い、100MPaの圧力下で400℃/hrの昇温
速度で加熱し、1250℃で1時間保持するHIP処理
を行った。このようにして得られたそれぞれの圧電磁器
は、両表面にそれぞれ銀電極が形成され、20KV/c
mの印加電圧により100℃のシリコンオイル中で30
分の分極処理を行った。そして24時間放置後、それぞ
れの圧電磁器について圧電歪み定数(d33)、キュリー
温度及び抗折強度を測定した。結果を図6〜図8に示
す。圧電歪み定数(d33)は、圧電磁器に印加する電圧
を0Vと500Vで切替え、圧電磁器の歪み量を表面粗
さ計にて直接計測して求めた。またキュリー温度は誘電
率の温度変化から求めた。そして抗折強度は、スパン1
0mmの治具により圧電磁器をそのまま抗折して求め
た。
【0028】なお、一次焼結工程を大気下で行ったこと
以外は同様にして製造された圧電磁器についても同様に
測定し、抗折強度についての結果を図8に示す。圧電歪
み定数(d33)及びキュリー温度については、上記結果
とほとんど同様の結果であったので図示を省略する。図
6より、Laの含有量が5モル%までは含有量が増加す
るにつれてd33が僅かに増加しているが、5モル%を超
えると急激にd33が低下することがわかる。一方、図7
より、キュリー温度はLaの含有量が増大するにつれて
低下していることがわかる。
【0029】また図8より、Laの含有量が5モル%ま
では含有量が増加するにつれて抗折強度が大きく増大
し、5モル%を超えると急激に低下している。この傾向
は比較例でも同様であるが、酸素中で一次焼結したもの
のほうがLaの添加量の全範囲で大気中で一次焼結した
ものより抗折強度が上回っている。したがって上記結果
より、Laの含有量は1〜5モル%(0.01≦x≦0.05)
の範囲が望ましいことがわかる。 〔第3の実施例〕第2の実施例において、La量が5モ
ル%の組成(x=0.05)を選び、一次焼結を酸素中で行
ったものと大気中で行ったものについてそれぞれ同様に
HIP処理を行い、同様にして圧電磁器を製造した。
【0030】それぞれの圧電磁器について、300kg
fの荷重を加え、100℃の雰囲気温度で−100〜6
00Vの電圧を繰り返し印加する耐久試験を行った。そ
して耐久試験中の圧電歪み定数(d33)を測定し、結果
を図9に示す。図9より、耐久試験の進行に伴って圧電
歪み定数が低下することが分かる。これは、印加された
電圧や荷重、温度により、圧電磁器の分極方向が歪方向
(分極方向)からずれること、すなわち90度ドメイン
スイッチングが多く起こることに起因している。そして
図9より、酸素中で一次焼結された圧電磁器の方がその
低下度合いが大気中で一次焼結されたものに比べて小さ
いことが分かる。これは、90度ドメインスイッチング
の際にドメイン間に結晶格子の歪みが繰り返し作用し、
微細クラックが発生する可能性があるが、強度が高い方
が微細クラックの発生の可能性が小さいからであろうと
考えられる。なお、耐久試験後には、どちらの圧電磁器
にも目視できるクラックの発生は認められなかった。
【0031】このようにLaの含有量を1〜5モル%と
することにより、さらには酸素富化条件で一次焼結する
ことにより、抗折強度が大きく向上する。その結果繰り
返し耐久試験においても圧電磁器にクラックの発生が防
止されたことに加えて、電気的特性とされている圧電歪
み定数の低下までも抑制することができる。
【0032】
【発明の効果】すなわち本発明の製造方法によれば、工
数の増大なく一次焼結体の粒径を1〜3μmに制御する
ことができ、強度の高い圧電磁器を容易にかつ安定して
製造することができる。さらに一次焼結工程を酸素富化
状態で行うことにより、空孔径を一層小さくすることが
でき、一層緻密な圧電磁器を製造することができる。
【0033】したがって本発明により得られる圧電磁器
は、高温高荷重時であっても割れが生じにくいので、自
動車部品用の圧電アクチュエータに特に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】ランタン添加量と一次焼結体の平均粒径との関
係を示すグラフである。
【図2】ランタン添加量とキュリー温度及び機械電気結
合係数との関係を示すグラフである。
【図3】一次焼結体の粒径と3点曲げ抗折強度との関係
を示すグラフである。
【図4】バリウム添加量と一次焼結体の平均粒径との関
係を示すグラフである。
【図5】ストロンチウム添加量と一次焼結体の平均粒径
との関係を示すグラフである。
【図6】La添加量と圧電歪み定数(d33)の関係を示
すグラフである。
【図7】La添加量とキュリー温度の関係を示すグラフ
である。
【図8】La添加量と抗折強度の関係を示すグラフであ
る。
【図9】耐久試験回数と圧電歪み定数の関係を示すグラ
フである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PbTiO3 −PbZrO3 系の圧電磁
    器の製造方法であって、主としてPbO,TiO2 ,Z
    rO2 からなる原料粉末を混合し仮焼後粉砕してPZT
    原料粉末とする粉末調製工程と、該PZT原料粉末から
    所定形状の成形体を形成する成形工程と、該成形体を加
    熱保持し理想密度より低い密度となるように焼結して一
    次焼結体とする一次焼結工程と、該一次焼結体を高温高
    圧ガス下で焼結するHIP処理工程と、得られた焼結体
    を後加工する後加工工程と、からなり、 該成形体中には鉛元素との合計量100mol%中に1
    〜5mol%のランタン元素が含有されていることを特
    徴とする圧電磁器の製造方法。
  2. 【請求項2】 一次焼結工程は成形体を大気以上の酸素
    を含む酸素富化状態で行う請求項1記載の圧電磁器の製
    造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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