JP2009215629A - レーザ蒸着用ターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化物超電導焼結体を含むレーザ蒸着用のターゲットであって、当該ターゲット使用面に垂直な向きにおける線熱膨張率の値が、当該ターゲット使用面に平行な向きにおける線熱膨張率の値より10%以上大きいことを特徴とするレーザ蒸着用ターゲットを提供する。
【選択図】図2
Description
尚、本願において線熱膨張率とは、特に断りのない場合、測定温度50℃に対する測定温度600℃の線熱膨張率を示す。当該線熱膨張率の測定方法の詳細は、後述する実施例1にて説明する。
酸化物超電導焼結体を含むレーザ蒸着用のターゲットであって、当該ターゲット使用面に垂直な向きにおける線熱膨張率の値が、当該ターゲット使用面に平行な向きにおける線熱膨張率の値より10%以上大きいことを特徴とするレーザ蒸着用ターゲットである。
前記酸化物超電導焼結体が、REBa2Cu3OX(但し、REは、イットリウムおよび/または希土類元素のうちから選択される1つ以上の元素)で表記されるRE酸化物超電導体であることを特徴とする第1の手段にかかるレーザ蒸着用ターゲットである。
前記酸化物超電導焼結体が、前記RE酸化物超電導体を80wt%以上含むことを特徴とする第2の手段にかかるレーザ蒸着用ターゲットである。
第1の手段に記載のレーザ蒸着用ターゲットの製造方法であって、
REを含む原料と、Baを含む原料と、銅を含む原料とを秤量混合して、混合物を得る工程と、
当該混合物を、酸素を10〜30%含有する雰囲気にて880℃〜960℃で5時間〜50時間加熱して、仮焼粉を得る工程と、
当該仮焼粉を粉砕してメディアン径50μm以下の粉砕粉とする1次粉砕工程と、
当該1次粉砕粉をメディアン径15μm以下、且つ、アスペクト比が3以上の粉砕粉とする2次粉砕工程と、
当該2次粉砕粉を圧縮成型して成形体を得る工程を有する、ことを特徴とするレーザ蒸着用ターゲットの製造方法である。
第1の手段に記載のレーザ蒸着用ターゲットの製造方法であって、
REを含む原料溶液と、Baを含む原料溶液と、銅を含む原料溶液とを秤量混合して、混合溶液を得る工程と、
当該混合溶液から共沈法にて、RE、Ba、Cuの各元素を含む混合物を沈殿させる沈殿工程と、
当該混合物を、酸素を10〜30%含有する雰囲気にて880℃〜960℃で5時間〜50時間加熱して、仮焼粉を得る工程と、
当該仮焼粉を粉砕してメディアン径50μm以下の粉砕粉とする1次粉砕工程と、
当該1次粉砕粉をメディアン径15μm以下、且つ、アスペクト比が3以上の粉砕粉とする2次粉砕工程と、
当該2次粉砕粉を圧縮成型して成形体を得る工程を有する、ことを特徴とするレーザ蒸着用ターゲットの製造方法である。
前記2次粉砕工程において、ボール径3mm以下の粉砕ボールまたは粉砕ビーズを用いることを特徴とする第4又は第5の手段にかかるレーザ蒸着用ターゲットの製造方法である。
図1は、レーザ蒸着用ターゲットにレーザ光が照射されている際の概念図であり、図2は、図1のI−I断面図である。
上述したように、レーザ蒸着用ターゲットは、ターゲット表面における数mm四方程度の領域にパルスレーザ光が照射される。この数mm四方程度の領域に対するパルスレーザ光照射によりターゲットは局所的に加熱され、当該加熱部分と、それ以外の部分との熱歪応力に起因してクラックが発生してしまう。
ここで、図1、2に示す、本発明に係るレーザ蒸着用ターゲット1は、酸化物超電導焼結体を用いたレーザ蒸着用ターゲットである。当該ターゲット表面における数mm四方程度の領域2にパルスレーザ光3が照射された際、ターゲット使用面である平面に対して垂直な方向4の線熱膨張率を、ターゲット使用面である平面に対して平行な方向5の線熱膨張率に差異をつけたものである。この線膨張率の差により、本発明に係るレーザ蒸着用ターゲットにおいては、レーザ照射によるターゲットの熱歪が、主に、ターゲット使用面である平面に垂直な方向4へ膨張するかたちで現れる。一方、ターゲット使用面である平面に平行な方向5の熱膨張は、従来の技術に係るターゲットより低くなる。この結果、ターゲット使用面である平面に平行な方向の熱膨張による熱歪応力に起因するクラックの発生が抑制されるのだと考えられる。
前記レーザ蒸着用ターゲット1を構成する酸化物超電導体焼結体6の組成が、実質的にREBa2Cu3OX(REは、イットリウムおよび/または希土類元素のうち少なくとも1つ以上を含む)である場合、当該酸化物超電導体焼結体6がペロブスカイト構造であり、ab軸方向の線膨張率に較べてc軸方向の線膨張率が大きいことを用いることが出来る。即ち、本発明に係るレーザ蒸着用ターゲット1において、酸化物超電導体焼結体のc軸の方向を、ターゲット使用面である平面に対して垂直に揃えて成型することにより、容易にターゲット使用面に垂直な方向4における線熱膨張率を、使用面に平行な方向5における線熱膨張率より大きくすることが出来ることに想到したものである。
本発明に係るレーザ蒸着用ターゲットの製造方法について、酸化物超電導体焼結体の組成として、REBa2Cu3OXであるものを用いた場合を例として、工程毎に説明する。
〈混合物を得る工程〉
RE2O3(但し、REは、イットリウムおよび/または希土類元素のうちから選択される1つ以上の元素)、BaCO3、CuOの各原料粉末を、所望のモル比となるように秤量し混合する。具体的には、RE1±αBa2±βCu3±γOx(α≦0.8、Ba≦0.8、γ≦0.8)を満たす範囲で秤量混合すればよい。ここでα、β、γの範囲を当該範囲とすることで、後工程で得られる焼結体が酸化物超電導体の特性を発揮するためである。
各原料粉末の混合は、各原料粉末を湿式ボールミルに装填し、ボールを加えて有機溶媒中にて20時間以上行った。または、循環式のビーズミルに各原料粉末を装填し、ビーズを加えて有機溶媒中にて2時間以上行った。そして、得られたスラリーを乾燥機にいれ、有機溶媒を十分に揮発させて混合物を得た。
この場合、当該混合溶液から共沈法等にて、RE、Ba、Cuの各元素を含む混合物を沈殿させる。
次に、この混合物を、酸素を10%〜30%含有する雰囲気(例えば、大気でもよい。)中にて焼成(本発明において1次焼成と記載する場合がある。)して仮焼粉を得る。当該1次焼成条件は、880℃〜960℃、より好ましくは900℃〜950℃で、5時間〜20時間の加熱である。
仮焼粉を粗粉砕して粗粉砕粉を得る。
具体的には、仮焼粉を、ジルコニアボールおよびトルエン等の有機溶媒とともにセラミックスポットに入れて、ボールミル粉砕あるいは振動ミル粉砕により粗粉砕をおこなう。そして、粗粉砕が終了したスラリー状の仮焼粉を、乾燥機で乾燥させて、粗粉砕粉を得る。
当該ボールミル粉砕および当該振動ミル粉砕の操作によって仮焼粉を粗粉砕し、仮焼粉の均一性を向上させるとともに、後述する2次焼成工程において当該仮焼粉の熱的反応性を上げることができる。
得られた粗粉砕粉を、酸素を10%〜30%含有する雰囲気中で、880℃〜960℃より好ましくは900℃〜950℃、5時間〜50時間加熱して2次焼成(本発明において2次焼成と記載する場合がある。)し、焼成粉を得た。当該2次焼成は、仮焼粉を得る1次焼成より高い温度、長い焼成時間が求められる。2次焼成温度を、1次焼成温度より高く、且つ、2次焼成時間を、1次焼成時間より長くするのは、2次焼成温度を高く、且つ、焼成時間を長くすることで、ペロブスカイト構造をもつ酸化物超電導体粒子が異方性をもって成長することによる。すなわち、得られた焼成粉における結晶成長は、当該結晶のab軸方向が、c軸方向に比較してより大きく成長した。
得られた焼成粉を、まず、セラミックス製のロールミルまたはディスクミルに装填して微粉砕(本発明において1次微粉砕と記載する場合がある。)を行い、メディアン径50μm以下の1次微粉砕粉を得る。当該1次微粉砕を行う理由は、上述した焼成により成長した板状結晶の粒子が相互に焼結している状態を、当該1次微粉砕により結晶粒が数個から数十個の塊の状態にすることにある。結晶粒を数個から数十個の塊の状態にすることで、次の後述する2次微粉砕において、より小さいボールあるいはビーズで、粒子形状をあまり変化させることなく、効率よく粉砕できるからである。さらに、メディアン径を50μm以下とすることで、後述する2次微粉砕において粉砕されない粗粒子が残ることを回避出来る。
である1次微粉砕粉が有する当該板状構造を破壊することなく保存して、高いアスペクト比を保たせるためである。ボールあるいはビーズの直径が0.2mm以上あれば、粉砕が短時間で済み、生産性の観点から好ましい。
2次微粉砕粉粒子の粉砕粒径を15μm以下、且つ、アスペクト比を3以上とする理由は、粒径が細かく、アスペクト比が高くなるよう微粉砕した粒子は、成形による圧縮をかけた場合、より高密度になり易く、且つ、粒子のc軸がターゲットの使用面に対して垂直に配向し易いと考えられるからである。粒子のc軸がターゲットの使用面に対して垂直に配向することにより、ペロブスカイト構造を持つ酸化物超電導体の板状結晶においても、c軸がターゲットの使用面に対して垂直に配向し易くなる。
尚、本発明者らの検討によると、アスペクト比が3以上あれば上述の効果を十分に得ることが出来ることを確認している(後述する実施例・比較例を参照)。
図3は、SEMで観察した本発明に係る2次微粉砕粉粒子の概念図である。
本発明に係る2次微粉砕粉粒子は、RE系酸化物超電導耐の板状結晶である。ここで、当該板状結晶の厚みをa、板面の最長の長さをbとしてb/aの値を当該SEM画像から求め、当該b/aの値をアスペクト比とする。
得られた2次微粉砕粉を金型に充填し、98MPa〜196MPaの圧力で成形し成型体を得る。尚、この圧力成形は一軸成形で行うことが望ましい。次に、この成形体を、焼成炉内に設置し、酸素を10%〜30%含有する雰囲気(例えば、大気でもよい。)で900℃〜980℃より好ましくは、900℃〜940℃の温度で10時間〜50時間加熱して焼成し、RE系酸化物超電導焼結体を得る。得られたRE系酸化物超電導焼結体は、所望の大きさに切断加工するだけで、バッキングプレートにボンディングすることなく、単体でレーザ蒸着法に使用可能なターゲットである。
原子比でY:Ba:Cu=1:2:3となるようにY2O3、BaCO3、CuOの各種粉末を秤量した。この原料をセラミックス製ボールミルに装填し、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で24時間混合した。この混合物を焼成炉で900℃、10時間加熱して1次焼成し仮焼粉を得た。焼成雰囲気は大気である。得られた仮焼粉を、セラミックス製ディスクミルで粉砕を行った後、セラミックス製ボールミルに装填して、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で10時間粉砕し、粗粉砕粉を得た。この粗粉砕粉を、焼成炉で920℃、30時間、2次焼成して焼成粉を得た。当該焼成粉をセラミックス製ディスクミルで1次微粉砕を行った。得られた1次微粉砕粉に対し、SYMPATEC製HELOS&RODOSレーザ回折式粒度分布測定装置(以下、粒度分布測定装置と記載する。)を用いて平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=24.3μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、アスペクト比が4の粒子であることが判明した。
成炉内に入れ、920℃、30時間加熱して焼成し、RE系酸化物超電導焼結体Aを得た。このRE系酸化物超電導焼結体Aを、このままの状態でレーザ蒸着用ターゲット試料Aとした。
この5mm立方体の線熱膨張率を、ブルカーAXS社製DILATO METER熱膨張計(以下、熱膨張計と記載する。)を用いて、50℃から600℃までの範囲で測定した。当該測定結果を図5に示す。図5は、横軸に温度をとり、縦軸に線膨張率をとり、ターゲット使用面に垂直な方向における線熱膨張率を○でプロットし実線で結び、ターゲット使用面に平行な方向における線熱膨張率を□でプロットし破線で結んだグラフである。
焼結体をレーザ蒸着用ターゲットとして使用する場合、ターゲット中心部は最大で600℃程度になることが予測される。さらに、ターゲット温度が600℃を超えると、当該ターゲットを構成する酸化物超電導体結晶から酸素が脱離し、酸素欠陥が発生する為、温度に対する線熱膨張率の変化が不可逆的な挙動を示すことによる。つまり、実際のターゲット使用状況においても、ターゲット到達温度は最大で600℃とすべきことによる。
600℃で20%それぞれ大きくなった。
但し、レーザ照射源:エキシマレーザ、レーザ出力:400mJ、レーザ照射条件:200Hzとし、当該レーザ照射元を固定した。そしてターゲット試料を、レーザ照射元に対して10mm/secの速度で相対的に移動させて、各試料中央部50mm×50mmの領域にパルスレーザ光の照射を行った。
その結果、10個のターゲット試料Aの全てにおいて、ターゲットの破断が起こらなかった。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
原子比でGd:Ba:Cu=1:2:3となるようにGd2O3、BaCO3、CuOの各種粉末を秤量した。この原料をセラミックス製ボールミルに装填し、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で24時間混合した。この混合物を焼成炉で900℃、10時間加熱して1次焼成し、仮焼粉を得た。焼成雰囲気は大気である。得られた仮焼粉を、セラミックス製ディスクミルで粉砕を行った後、セラミックス製ボールミルに装填して、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で10時間粉砕し、粗粉砕粉を得た。この粗粉砕粉を、焼成炉で940℃、30時間、2次焼成して焼成粉を得た。当該焼成粉をセラミックス製ディスクミルで1次微粉砕した。得られた1次微粉砕粉を、実施例1と同様にして平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=32.4μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、当該2次微粉砕粉は、アスペクト比が3の粒子であることが判明した。
その結果、10個のターゲット試料Bの全てにおいて、ターゲットの破断が起こらなかった。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
原子比でY:Ba:Cu=1:2:3となるようにY2O3、BaCO3、CuOの各種粉末を秤量した。この原料をセラミックス製ボールミルに装填し、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で24時間混合した。この混合物を焼成炉で900℃、10時間加熱して1次焼成し、仮焼粉を得た。焼成雰囲気は大気である。得られた仮焼粉を、セラミックス製ディスクミルで粉砕を行った後、セラミックス製ボールミルに装填して、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で10時間粉砕し、粗粉砕粉を得た。この粗粉砕粉を、焼成炉で900℃、10時間、2次焼成して焼成粉を得た。得られた焼成粉を、実施例1と同様にして平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=78.1μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、アスペクト比が2の粒子であることが判明した。
その結果、10個のターゲット試料Cの全てにおいて、ターゲットの全部または一部破断が起った。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
原子比でGd:Ba:Cu=1:2:3となるようにGd2O3、BaCO3、CuOの各種粉末を秤量した。この原料をセラミックス製ボールミルに装填し、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で24時間混合した。この混合物を焼成炉で900℃、10時間加熱して1次焼成し、仮焼粉を得た。焼成雰囲気は大気である。得られた仮焼粉を、セラミックス製ディスクミルで粉砕を行った後、セラミックス製ボールミルに装填して、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で10時間粉砕し、粗粉砕粉を得た。この粗粉砕粉を、焼成炉で950℃、30時間、2次焼成して焼成粉を得た。当該焼成粉をセラミックス製ディスクミルで1次微粉砕した。得られた1次微粉砕粉を、実施例1と同様にして平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=39.2μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、当該2次微粉砕粉は、アスペクト比が3の粒子であることが判明した。
その結果、10個のターゲット試料Dの全てにおいて、ターゲットの破断が起こらなかった。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
1次微粉砕粉をセラミックス製ボールミルに装填し、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で4時間、2次微粉砕した以外は、実施例3と同様の操作を行って、D50(メディアン径)=4.58μmの2次微粉砕粉を得た。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、当該2次微粉砕粉は、アスペクト比が3の粒子であることが判明した。
この成型物をセラミックス製焼成治具に置き、焼成炉内に入れ、940℃、30時間加熱して焼成し、RE系酸化物超電導焼結体Eを得た。このRE系酸化物超電導焼結体Eを、このままの状態でレーザ蒸着用ターゲット試料Eとした。
その結果、10個のターゲット試料Eの全てにおいて、ターゲットの破断が起こらなかった。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
原子比でGd:Ba:Cu=1:2:3となるようにGd2O3、BaCO3、CuOの各種粉末を秤量した。この原料をセラミックス製ボールミルに装填し、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で24時間混合した。この混合物を焼成炉で900℃、10時間加熱して1次焼成し、仮焼粉を得た。焼成雰囲気は大気である。得られた仮焼粉を、セラミックス製ディスクミルで粉砕を行った後、セラミックス製ボールミルに装填して、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で10時間粉砕し、粗粉砕粉を得た。この粗粉砕粉を、焼成炉で960℃、30時間、2次焼成して焼成粉を得た。
ディアン径)=164μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、当該2次微粉砕粉は、アスペクト比が2の粒子であることが判明した。
その結果、10個のターゲット試料Fの7個において、ターゲットの全部または一部破断が起った。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
2次焼成温度を950℃に変更した以外は比較例2と同様にして焼成粉を製造した。当該焼成粉に対し、セラミックス製ディスクミルで1次微粉砕を行った。
得られた1次微粉砕された焼成粉を、実施例1と同様にして平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=39.2μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、当該2次微粉砕粉は、アスペクト比が2の粒子であることが判明した。
その結果、10個のターゲット試料Gの5個において、ターゲットの全部または一部破断が起った。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
原子比でY:Ba:Cu=1:2:3となるように硝酸イットリウム、硝酸バリウム、硝酸銅の各原料溶液を秤量した。この原料溶液を水酸化ナトリウムで中和して共沈沈澱物を得た。この沈殿物をろ過、洗浄して、180℃、10時間焼成することで原料混合物を得た。
この混合物を焼成炉で900℃、10時間加熱して1次焼成し、仮焼粉を得た。焼成雰囲気は大気である。得られた仮焼粉を、セラミックス製ディスクミルで粉砕を行った後、セラミックス製ボールミルに装填して、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で10時間粉砕し、粗粉砕粉を得た。この粗粉砕粉を、焼成炉で920℃、20時間、2次焼成して焼成粉を得た。当該焼成粉をセラミックス製ディスクミルで1次微粉砕した。得られた1次微粉砕粉を、実施例1と同様にして平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=22.6μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、アスペクト比が5の粒子であることが判明した。
その結果、10個のターゲット試料Hの全てにおいて、ターゲットの破断が起こらなかった。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
原子比でGd:Ba:Cu=1:2:3となるようにGd2O3、BaCO3、CuOの各種粉末を秤量した。この原料をセラミックス製ボールミルに装填し、ジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエンなど)中で24時間混合した。この混合物を焼成炉で910℃、20時間加熱して1次焼成し、仮焼粉を得た。焼成雰囲気は大気である。尚、2次焼成は実施しなかった。
当該仮焼粉をセラミックス製ディスクミルで1次微粉砕した。得られた1次微粉砕粉を、実施例1と同様にして平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=18.6μmとなった。
得られた2次微粉砕粉を、上述した粒度分布測定装置を用いて平均粒径を測定した。測定結果は、D50(メディアン径)=1.89μmとなった。
得られた2次微粉砕粉のSEM写真を観察したところ、アスペクト比が3の粒子であることが判明した。
その結果、10個のターゲット試料Iの全てにおいて、ターゲットの破断が起こらなかった。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
実施例1で作製した2次微粉砕粉と、当該2次微粉砕粉の総重量に対する重量比で20wt%になるようCaO粉末とを秤量し、混合した。
当該混合した粉をセラミックス製ボールミルに装填し、直径3mmのジルコニアボールを用いて有機溶媒(トルエン)中で2時間混合して、混合粉を得た。
その結果、10個のターゲット試料Jの全てにおいて、ターゲットの破断が起こらなかった。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
本実施例では、上述の目的で、作製されるターゲットに超電導以外の酸化物が添加された場合でも、本発明の効果が発揮されることを確認するために行ったものである。
実施例1で作製した2次微粉砕粉と、当該2次微粉砕粉の総重量に対する重量比で40wt%になるようCaO粉末とを秤量し、混合した以外は、実施例7と同様の操作を行い、RE系酸化物超電導焼結体Kを得た。このRE系酸化物超電導焼結体Kを、このままの状態でレーザ蒸着用ターゲット試料Kとした。
その結果、10個のターゲット試料Kの6個において、ターゲットの全部または一部破断が起った。
本実施例に係る試料の作成条件、特性測定結果を表1に記載する。
2.ターゲット表面における数mm四方程度の領域
3.パルスレーザ光
4.ターゲット使用面である平面に対して垂直な方向
5.ターゲット使用面である平面に平行な方向
6.酸化物超電導体焼結体
Claims (6)
- 酸化物超電導焼結体を含むレーザ蒸着用のターゲットであって、当該ターゲット使用面に垂直な向きにおける線熱膨張率の値が、当該ターゲット使用面に平行な向きにおける線熱膨張率の値より10%以上大きいことを特徴とするレーザ蒸着用ターゲット。
- 前記酸化物超電導焼結体が、REBa2Cu3OX(但し、REは、イットリウムおよび/または希土類元素のうちから選択される1つ以上の元素)で表記されるRE酸化物超電導体であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ蒸着用ターゲット。
- 前記酸化物超電導焼結体が、前記RE酸化物超電導体を80wt%以上含むことを特徴とする請求項2に記載のレーザ蒸着用ターゲット。
- 請求項1に記載のレーザ蒸着用ターゲットの製造方法であって、
REを含む原料と、Baを含む原料と、銅を含む原料とを秤量混合して、混合物を得る工程と、
当該混合物を、酸素を10〜30%含有する雰囲気にて880℃〜960℃で5時間〜50時間加熱して、仮焼粉を得る工程と、
当該仮焼粉を粉砕してメディアン径50μm以下の粉砕粉とする1次粉砕工程と、
当該1次粉砕粉をメディアン径15μm以下、且つ、アスペクト比が3以上の粉砕粉とする2次粉砕工程と、
当該2次粉砕粉を圧縮成型して成形体を得る工程を有する、ことを特徴とするレーザ蒸着用ターゲットの製造方法。 - 請求項1に記載のレーザ蒸着用ターゲットの製造方法であって、
REを含む原料溶液と、Baを含む原料溶液と、銅を含む原料溶液とを秤量混合して、混合溶液を得る工程と、
当該混合溶液から共沈法にて、RE、Ba、Cuの各元素を含む混合物を沈殿させる沈殿工程と、
当該混合物を、酸素を10〜30%含有する雰囲気にて880℃〜960℃で5時間〜50時間加熱して、仮焼粉を得る工程と、
当該仮焼粉を粉砕してメディアン径50μm以下の粉砕粉とする1次粉砕工程と、
当該1次粉砕粉をメディアン径15μm以下、且つ、アスペクト比が3以上の粉砕粉とする2次粉砕工程と、
当該2次粉砕粉を圧縮成型して成形体を得る工程を有する、ことを特徴とするレーザ蒸着用ターゲットの製造方法。 - 前記2次粉砕工程において、ボール径3mm以下の粉砕ボールまたは粉砕ビーズを用いることを特徴とする請求項4または5に記載のレーザ蒸着用ターゲットの製造方法。
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