JP2985350B2 - 相転移方法を用いた鉛系複合酸化物の製造方法 - Google Patents
相転移方法を用いた鉛系複合酸化物の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パイロクロア相からペ
ロブスカイト相への相転移方法を用いた「ペロブスカイ
ト相の割合が向上した鉛系複合酸化物」の製造方法及び
それにより製造されたペロブスカイト相割合が高い新規
な鉛系複合酸化物に関する。
ロブスカイト相への相転移方法を用いた「ペロブスカイ
ト相の割合が向上した鉛系複合酸化物」の製造方法及び
それにより製造されたペロブスカイト相割合が高い新規
な鉛系複合酸化物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式(2):Pb(Zn1/3Nb2/3)O3 で示
されるニオブ酸鉛系複合酸化物は、PZN と呼ばれ、小型
のアクチュエータ(サブミクロンの変位が可能)用及び
小型のコンデンサー用セラミックス材料(ここで言うセ
ラミックス材料とは焼結体を言う)として注目を集めて
いる。
されるニオブ酸鉛系複合酸化物は、PZN と呼ばれ、小型
のアクチュエータ(サブミクロンの変位が可能)用及び
小型のコンデンサー用セラミックス材料(ここで言うセ
ラミックス材料とは焼結体を言う)として注目を集めて
いる。
【0003】PZN は、結晶構造がペロブスカイト型のも
のとパイロクロア型のものと2種存在する。実際のPZN
では、単結晶の場合を除き、両方の型が混在しており、
その場合には、一方の型の部分をペロブスカイト相、他
方の型の部分をパイロクロア相と呼ぶ。ペロブスカイト
型は高い誘電率kを示し、一般に誘電率kの温度変化を
測定すると、山型のグラフが得られるが、最も高いkを
示す温度はキュリー温度Tcと呼ばれる。高い誘電率k
を有する材料は、Tcより低い温度で圧電効果を示し、
Tcより高い温度で電歪効果を示す。PZN は、Tcが 1
50℃であるので室温で圧電効果を示す。
のとパイロクロア型のものと2種存在する。実際のPZN
では、単結晶の場合を除き、両方の型が混在しており、
その場合には、一方の型の部分をペロブスカイト相、他
方の型の部分をパイロクロア相と呼ぶ。ペロブスカイト
型は高い誘電率kを示し、一般に誘電率kの温度変化を
測定すると、山型のグラフが得られるが、最も高いkを
示す温度はキュリー温度Tcと呼ばれる。高い誘電率k
を有する材料は、Tcより低い温度で圧電効果を示し、
Tcより高い温度で電歪効果を示す。PZN は、Tcが 1
50℃であるので室温で圧電効果を示す。
【0004】PZN は、これまで単結晶ではペロブスカイ
ト相の割合がほぼ 100%(つまりパイロクロア相がほぼ
0%である)のものが得られている。しかしながら、焼
結体の原料となる粉末(一般に金属酸化物から一工程の
固相反応で製造される)及び焼結体では、これまでペロ
ブスカイト相の割合がほぼ0%のものしか得られていな
い。
ト相の割合がほぼ 100%(つまりパイロクロア相がほぼ
0%である)のものが得られている。しかしながら、焼
結体の原料となる粉末(一般に金属酸化物から一工程の
固相反応で製造される)及び焼結体では、これまでペロ
ブスカイト相の割合がほぼ0%のものしか得られていな
い。
【0005】何故、粉末及び焼結体の形状でのペロブス
カイト相の割合を問題にするかと言うと、それは、小型
のアクチュエータやコンデンサー等 のデバイスを作製
する方法に因る。一般に、小型のアクチュエータやコン
デンサー等のデバイスを製作するには、次のような製法
が用いられる。つまり、まず、PZN の粉末(粒径1μm
程度)を有機溶剤、樹脂バインダー等と混合してスラリ
ーを調整し、このスラリーから例えば厚さ200μm程
度のテープ(グリーンテープと呼ばれる)を作成する。
グリーンテープの状態では有機溶剤は既に蒸発してい
る。次に、「グリーンテープを所定の形状・大きさに切
断し、その上にスクリーン印刷により電極を形成する工
程」を繰り返すことにより、積層物を作成する。その
後、この積層物を例えば400〜500 ℃に加熱してバイン
ダーを焼却した後、例えば1000〜1200℃焼結を行ない、
最後に外部電極を焼き付ける。
カイト相の割合を問題にするかと言うと、それは、小型
のアクチュエータやコンデンサー等 のデバイスを作製
する方法に因る。一般に、小型のアクチュエータやコン
デンサー等のデバイスを製作するには、次のような製法
が用いられる。つまり、まず、PZN の粉末(粒径1μm
程度)を有機溶剤、樹脂バインダー等と混合してスラリ
ーを調整し、このスラリーから例えば厚さ200μm程
度のテープ(グリーンテープと呼ばれる)を作成する。
グリーンテープの状態では有機溶剤は既に蒸発してい
る。次に、「グリーンテープを所定の形状・大きさに切
断し、その上にスクリーン印刷により電極を形成する工
程」を繰り返すことにより、積層物を作成する。その
後、この積層物を例えば400〜500 ℃に加熱してバイン
ダーを焼却した後、例えば1000〜1200℃焼結を行ない、
最後に外部電極を焼き付ける。
【0006】そのため、原料としてPZN の粉末が必要と
なる。しかし、ペロブスカイト型の単結晶を粉砕して粉
末を作るには、単結晶は元々極めて高価なことから、こ
のような用途に使用することは製造コスト上できない。
尚、PZN を構成する各種金属の酸化物の混合粉末を25,0
00kg/cm2 程度の高圧下で固相反応させると、直接に、
約90%のペロブスカイト相を含有するPZN 焼結体が得ら
れたとの報告がある(窯業協会誌1970年第78巻第2号第
46〜58項参照)。このPZN 焼結体を粉砕して粉末にすれ
ば、ペロブスカイト相の割合の高いPZN粉末が得られ
る。
なる。しかし、ペロブスカイト型の単結晶を粉砕して粉
末を作るには、単結晶は元々極めて高価なことから、こ
のような用途に使用することは製造コスト上できない。
尚、PZN を構成する各種金属の酸化物の混合粉末を25,0
00kg/cm2 程度の高圧下で固相反応させると、直接に、
約90%のペロブスカイト相を含有するPZN 焼結体が得ら
れたとの報告がある(窯業協会誌1970年第78巻第2号第
46〜58項参照)。このPZN 焼結体を粉砕して粉末にすれ
ば、ペロブスカイト相の割合の高いPZN粉末が得られ
る。
【0007】しかしながら、この製法は、ダイヤモンド
アンビル等の超高圧発生装置を必要とし、さらに被処理
物を白金等の容器に入れ密封する必要があるため、製造
コストが非常に高くなる欠点がある。そこで、PZN を、
ペロブスカイト型結晶構造をとるPbTiO3 (PTと呼ば
れる)との固溶体にする方法が開発された。例えば、
「固体および粉末冶金」第16号第 6号P253を参照された
い。この固溶体は、単結晶では、0.9PZN−0.1PT 付近の
組成で誘電率と電気機械結合定数の極大が観測され優れ
た圧電性を示す。これをセラミックスにすると、誘電率
が低くなり、また、焼結が不可能となってしまう。これ
は、セラミックスにした場合、PZN が50mol%以上の組
成では、パイロクロア相とペロブスカイト相が混在して
いることに起因している。PZN −PT系セラミックスにお
いて、ペロブスカイト相の割合が少ないと、その分だけ
焼結体の誘電率が低く、そのため、デバイスの性能は低
下する。
アンビル等の超高圧発生装置を必要とし、さらに被処理
物を白金等の容器に入れ密封する必要があるため、製造
コストが非常に高くなる欠点がある。そこで、PZN を、
ペロブスカイト型結晶構造をとるPbTiO3 (PTと呼ば
れる)との固溶体にする方法が開発された。例えば、
「固体および粉末冶金」第16号第 6号P253を参照された
い。この固溶体は、単結晶では、0.9PZN−0.1PT 付近の
組成で誘電率と電気機械結合定数の極大が観測され優れ
た圧電性を示す。これをセラミックスにすると、誘電率
が低くなり、また、焼結が不可能となってしまう。これ
は、セラミックスにした場合、PZN が50mol%以上の組
成では、パイロクロア相とペロブスカイト相が混在して
いることに起因している。PZN −PT系セラミックスにお
いて、ペロブスカイト相の割合が少ないと、その分だけ
焼結体の誘電率が低く、そのため、デバイスの性能は低
下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】昨今のハイテク化の進
展に伴い、デバイスの性能に対する要求は益々高くな
り、そのため、PZN −PT固溶体粉末(ペロブスカイト型
単結晶を粉末化したものでなく通常の固相反応で得られ
たもの)は、ペロブスカイト相の割合が未だ低いという
点が問題となってきた。
展に伴い、デバイスの性能に対する要求は益々高くな
り、そのため、PZN −PT固溶体粉末(ペロブスカイト型
単結晶を粉末化したものでなく通常の固相反応で得られ
たもの)は、ペロブスカイト相の割合が未だ低いという
点が問題となってきた。
【0009】従って、本発明の第1の目的は、PZN −PT
固溶体を総称して、ここでは鉛系複合酸化物と呼ぶが、
その鉛系複合酸化物のペロブスカイト相の割合を高める
ことにある。本発明の第2の目的は、ペロブスカイト相
の割合が向上した鉛系複合酸化物を安価に製造すること
にある。
固溶体を総称して、ここでは鉛系複合酸化物と呼ぶが、
その鉛系複合酸化物のペロブスカイト相の割合を高める
ことにある。本発明の第2の目的は、ペロブスカイト相
の割合が向上した鉛系複合酸化物を安価に製造すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、ペロブスカイト相の割合が低い従来のPZN −PT
固溶体粉末を原料として下記に示す特別な条件下に高温
高圧処理すると、パイロクロア相がペロブスカイト相に
相転移し、そのため、ペロブスカイト相の割合が向上す
ることを見出し、本発明を成すに到った。
の結果、ペロブスカイト相の割合が低い従来のPZN −PT
固溶体粉末を原料として下記に示す特別な条件下に高温
高圧処理すると、パイロクロア相がペロブスカイト相に
相転移し、そのため、ペロブスカイト相の割合が向上す
ることを見出し、本発明を成すに到った。
【0011】よって、本発明は、先ず初めに、一般式
(1): xPb(Zn1/3Nb2/3)O3 −yPbTiO3 (但し、xは原子比率で0.5 〜1 であり yは原子比率で 0〜0.5 であり x+yは1である。) で示されパイロクロア相を有する原料を、 温度:500 〜1300℃好ましくは800 〜1200℃ 特に好ましくは1000〜1200℃ 圧力:1000 〜4000kg/cm2 好ましくは1000〜3000kg/cm
2 特に好ましくは1300〜2000kg/cm2 の条件下で高温高圧処理することにより、前記パイロク
ロア相をペロブスカイト相に相転移させることを特徴と
するペロブスカイト相の割合が向上した鉛系複合酸化物
の製造方法(請求項1) を提供する。
(1): xPb(Zn1/3Nb2/3)O3 −yPbTiO3 (但し、xは原子比率で0.5 〜1 であり yは原子比率で 0〜0.5 であり x+yは1である。) で示されパイロクロア相を有する原料を、 温度:500 〜1300℃好ましくは800 〜1200℃ 特に好ましくは1000〜1200℃ 圧力:1000 〜4000kg/cm2 好ましくは1000〜3000kg/cm
2 特に好ましくは1300〜2000kg/cm2 の条件下で高温高圧処理することにより、前記パイロク
ロア相をペロブスカイト相に相転移させることを特徴と
するペロブスカイト相の割合が向上した鉛系複合酸化物
の製造方法(請求項1) を提供する。
【0012】次に、本発明は、一般式 (1): xPb(Zn1/3Nb2/3)O3 −yPbTiO3 (xは原子比率で0.5 〜1 であり yは原子比率で 0〜0.5 であり x+yは1である。) で示され、ペロブスカイト相の割合が90%以上である鉛
系複合酸化物焼結体又はその粉末(請求項5)を提供す
る。
系複合酸化物焼結体又はその粉末(請求項5)を提供す
る。
【0013】本発明は、また、前記複合酸化物からなる
アクチュエータ用電歪又は圧電部材材料(請求項6)を
提供する。
アクチュエータ用電歪又は圧電部材材料(請求項6)を
提供する。
【0014】
【作用】本発明の高温高圧処理の条件で、温度が500 ℃
より低いと相転移が起き難くなるので不適当であり、逆
に1300℃より高いと融解が起こるので不適当である。ま
た、圧力が1000kg/cm2 より低いと、パイロクロア型か
らペロブスカイト型への相転移が起き難くなるので不適
当であり、逆に4000kg/cm2 より高いと、製造装置の値
段が高くなるので不適当である。
より低いと相転移が起き難くなるので不適当であり、逆
に1300℃より高いと融解が起こるので不適当である。ま
た、圧力が1000kg/cm2 より低いと、パイロクロア型か
らペロブスカイト型への相転移が起き難くなるので不適
当であり、逆に4000kg/cm2 より高いと、製造装置の値
段が高くなるので不適当である。
【0015】高温高圧処理は、1 〜5 時間位が好まし
く、1 時間より短いと相転移が十分ではなくなり、逆に
5 時間より長いと、鉛の揮発が著しくなり、目的物が得
られなくなる傾向があるので好ましくない。高温高圧処
理の具体的方法としては、ホットプレスや、特に熱間静
水圧プレス( 請求項3)が好ましい。
く、1 時間より短いと相転移が十分ではなくなり、逆に
5 時間より長いと、鉛の揮発が著しくなり、目的物が得
られなくなる傾向があるので好ましくない。高温高圧処
理の具体的方法としては、ホットプレスや、特に熱間静
水圧プレス( 請求項3)が好ましい。
【0016】また、前述の高温高圧処理は、アルゴンと
酸素の混合ガス等の酸素を含む雰囲気中でも、窒素、ア
ルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中でもよいが、処理装
置の価格や操作の煩雑さ等を考えると、不活性ガス雰囲
気中で処理を行うことが好ましい(請求項4)。
酸素の混合ガス等の酸素を含む雰囲気中でも、窒素、ア
ルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中でもよいが、処理装
置の価格や操作の煩雑さ等を考えると、不活性ガス雰囲
気中で処理を行うことが好ましい(請求項4)。
【0017】しかしながら、これまで、PZN −PTの焼結
体でPZN が50mol %以上のものでペロブスカイト相の割
合が高いものは入手できなかった事実を考えるとx=0.
5 〜1 (原子比率)のもの(請求項1)特にx=0.8 〜
1 (原子比率)のものが有用である。尚、本発明の製法
の原料は、その原料を構成する金属の酸化物の粉末混合
物から従来の常圧下での固相反応により粉末として容易
に得られる。従って、原料は安価なもので済むことか
ら、本発明による生成物も安価に製造される。
体でPZN が50mol %以上のものでペロブスカイト相の割
合が高いものは入手できなかった事実を考えるとx=0.
5 〜1 (原子比率)のもの(請求項1)特にx=0.8 〜
1 (原子比率)のものが有用である。尚、本発明の製法
の原料は、その原料を構成する金属の酸化物の粉末混合
物から従来の常圧下での固相反応により粉末として容易
に得られる。従って、原料は安価なもので済むことか
ら、本発明による生成物も安価に製造される。
【0018】以下、参考例、実施例により本発明をより
具体的に説明するが、本発明はこれに限られるものでは
ない。 〔参考例・・・・原料の製造〕まず、出発原料として化
学的純度99%以上のPbO、ZnO、TiO2 及びNb
2O5 を用意し、これを金属原子だけに換算して、下記
第1表記載のx(y=1−x)の値を有する一般式
(1)の化合物に相当するPb、Zn、Ti及びNbを
与えるような量を秤量し、これらを「ジルコニア製ボー
ルを用いたジルコニア製ボールミル」に投入し、更に溶
媒としてエタノールを加え、48時間湿式混合した。
具体的に説明するが、本発明はこれに限られるものでは
ない。 〔参考例・・・・原料の製造〕まず、出発原料として化
学的純度99%以上のPbO、ZnO、TiO2 及びNb
2O5 を用意し、これを金属原子だけに換算して、下記
第1表記載のx(y=1−x)の値を有する一般式
(1)の化合物に相当するPb、Zn、Ti及びNbを
与えるような量を秤量し、これらを「ジルコニア製ボー
ルを用いたジルコニア製ボールミル」に投入し、更に溶
媒としてエタノールを加え、48時間湿式混合した。
【0019】次に、エタノールを自然に蒸発させて乾燥
させた後、得られた混合物をアルミナ坩堝(るつぼ)へ
移し、同質のフタをし、850 ℃で2時間仮焼した。これ
により下記第1表に示すx(y=1−x)を有する化合
物を得た。これを再度平均粒径1μm程度に粉砕し原料
とした。この原料について、粉末X線回折法によりペロ
ブスカイト相の割合を測定した。実験したすべての組成
においてペロブスカイトとパイロクロア以外の結晶相は
存在が確認されなかったため、「ペロブスカイト相の割
合S」をペロブスカイト相の主ピークの高さh110 とパ
イロクロア相の主ピークの高さh222 との比として数1
の式で定義して求めた。
させた後、得られた混合物をアルミナ坩堝(るつぼ)へ
移し、同質のフタをし、850 ℃で2時間仮焼した。これ
により下記第1表に示すx(y=1−x)を有する化合
物を得た。これを再度平均粒径1μm程度に粉砕し原料
とした。この原料について、粉末X線回折法によりペロ
ブスカイト相の割合を測定した。実験したすべての組成
においてペロブスカイトとパイロクロア以外の結晶相は
存在が確認されなかったため、「ペロブスカイト相の割
合S」をペロブスカイト相の主ピークの高さh110 とパ
イロクロア相の主ピークの高さh222 との比として数1
の式で定義して求めた。
【0020】
【数1】
【0021】尚、本明細書で言う「ペロブスカイト相の
割合」は、この定義による。
割合」は、この定義による。
【0022】
【実施例】上記参考例で製造した原料粉末 100重量%に
対し、5 重量%の水を加え、直径20mm、高さ約20mmの円
柱状に成形圧力500 kg/cm2 で成形した。成形物をマグ
ネシア坩堝中に入れ同質のフタをし、これを熱間静水圧
プレス装置(HIP) にセットし、アルゴンガスを導入して
不活性ガス雰囲気を作った後、第1表記載のHIP 圧力で
成形物を加圧し、この圧力を保ったまま、速度400 ℃/
hrで昇温して第1表記載のHIP 温度で2時間保持し
た。
対し、5 重量%の水を加え、直径20mm、高さ約20mmの円
柱状に成形圧力500 kg/cm2 で成形した。成形物をマグ
ネシア坩堝中に入れ同質のフタをし、これを熱間静水圧
プレス装置(HIP) にセットし、アルゴンガスを導入して
不活性ガス雰囲気を作った後、第1表記載のHIP 圧力で
成形物を加圧し、この圧力を保ったまま、速度400 ℃/
hrで昇温して第1表記載のHIP 温度で2時間保持し
た。
【0023】これにより、パイロクロア相からペロブス
カイト相への相転移が起こる。この後、可能な限り最高
圧力を維持し、600 ℃/hrの速度で室温まで降温し、
生成物(鉛系複合酸化物)を装置から取り出した。生成
物は、メノウ乳鉢で粉砕し、粉末X線回折法によりペロ
ブスカイト相の割合を測定したこの結果を表1に示す。
尚、実験 No.5は、比較例であり、高温高圧処理で圧力
を全く加えなかった。
カイト相への相転移が起こる。この後、可能な限り最高
圧力を維持し、600 ℃/hrの速度で室温まで降温し、
生成物(鉛系複合酸化物)を装置から取り出した。生成
物は、メノウ乳鉢で粉砕し、粉末X線回折法によりペロ
ブスカイト相の割合を測定したこの結果を表1に示す。
尚、実験 No.5は、比較例であり、高温高圧処理で圧力
を全く加えなかった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、一般式
(1)の化合物(原料)について、初めて、パイロクロ
ア相をペロブスカイト相に転移させ単結晶以外で、初め
て、ペロブスカイト相の割合の高い(向上した)鉛系複
合酸化物を得る事ができた。特に、ペロブスカイト相の
割合が90%以上と言う高い一般式(1)でx=0.5 〜1
の組成を有する鉛系複合酸化物セラミックスは、世界で
初めて入手できた新規物質であり、本発明の当該技術分
野への貢献は多大である。
(1)の化合物(原料)について、初めて、パイロクロ
ア相をペロブスカイト相に転移させ単結晶以外で、初め
て、ペロブスカイト相の割合の高い(向上した)鉛系複
合酸化物を得る事ができた。特に、ペロブスカイト相の
割合が90%以上と言う高い一般式(1)でx=0.5 〜1
の組成を有する鉛系複合酸化物セラミックスは、世界で
初めて入手できた新規物質であり、本発明の当該技術分
野への貢献は多大である。
【0026】しかも、本発明によれば、原料は常圧下で
の単なる固相反応で得られるものが使用でき、本発明の
特徴である高温高圧処理でも、ダイヤモンドアンビル等
の超高圧発生装置を必要とせず、更に被処理物を白金等
の容器に入れ密封する必要もないため、安価に製造でき
る利点がある。本発明によって製造された複合酸化物
は、ペロブスカイト相の割合が高く、そのため誘電率k
が高いので、性能の優れたデバイス製作が可能となる。
の単なる固相反応で得られるものが使用でき、本発明の
特徴である高温高圧処理でも、ダイヤモンドアンビル等
の超高圧発生装置を必要とせず、更に被処理物を白金等
の容器に入れ密封する必要もないため、安価に製造でき
る利点がある。本発明によって製造された複合酸化物
は、ペロブスカイト相の割合が高く、そのため誘電率k
が高いので、性能の優れたデバイス製作が可能となる。
【0027】尚、本発明の、「ペロブスカイト相の割合
が向上した鉛系複合酸化物」の製造は、高温高圧の条件
さえ合えば、デバイス製造工程の中での焼結と同時に実
行することも可能である。この場合には、デバイスは更
に安価に製造できる。
が向上した鉛系複合酸化物」の製造は、高温高圧の条件
さえ合えば、デバイス製造工程の中での焼結と同時に実
行することも可能である。この場合には、デバイスは更
に安価に製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤生 尚光 神奈川県相模原市区麻溝台1丁目10番1 号 株式会社ニコン 相模原製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−265822(JP,A) 特開 平1−148750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 1/00 - 33/00 C04B 35/00 - 35/46 H01L 41/18 H01B 3/12
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式(1): xPb(Zn1/3Nb2/3)O3−yPbTiO3 (但し、xは原子比率で0.5〜1でありyは原子比率で
0〜0.5でありx+yは1である。) で示され少なくともパイロクロア相を有する原料を、 温度: 500〜1300℃ 圧力:1000〜4000kg/cm2 の条件下で高温高圧処理することより、前記パイロクロ
ア相をペロブスカイト相に相転移させることを特徴とす
る、鉛系複合酸化物の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の製造方法において、ペロ
ブスカイト相の割合が90%以上の鉛系複合酸化物を製造
する方法。 - 【請求項3】 前述の高温高圧処理が、熱間静水圧プレ
スであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。 - 【請求項4】 前述の高温高圧処理を不活性ガスの中で
行なうことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3078909A JP2985350B2 (ja) | 1991-04-11 | 1991-04-11 | 相転移方法を用いた鉛系複合酸化物の製造方法 |
US07/754,015 US5192723A (en) | 1990-09-04 | 1991-09-03 | Method of phase transition, method for producing lead niobate-based complex oxide utilizing said phase transition method, and lead niobate-based complex oxide produced by said method |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3078909A JP2985350B2 (ja) | 1991-04-11 | 1991-04-11 | 相転移方法を用いた鉛系複合酸化物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04317454A JPH04317454A (ja) | 1992-11-09 |
JP2985350B2 true JP2985350B2 (ja) | 1999-11-29 |
Family
ID=13674971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3078909A Expired - Fee Related JP2985350B2 (ja) | 1990-09-04 | 1991-04-11 | 相転移方法を用いた鉛系複合酸化物の製造方法 |
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JP (1) | JP2985350B2 (ja) |
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1991
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Publication number | Publication date |
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JPH04317454A (ja) | 1992-11-09 |
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