JP2003020274A - 圧電体ペーストならびにこれを用いた圧電体膜および圧電体部品 - Google Patents

圧電体ペーストならびにこれを用いた圧電体膜および圧電体部品

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JP2003020274A
JP2003020274A JP2001207385A JP2001207385A JP2003020274A JP 2003020274 A JP2003020274 A JP 2003020274A JP 2001207385 A JP2001207385 A JP 2001207385A JP 2001207385 A JP2001207385 A JP 2001207385A JP 2003020274 A JP2003020274 A JP 2003020274A
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JP2001207385A
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Teppei Kubota
哲平 久保田
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電体膜を厚膜形成技術によって形成するた
めに用いられる圧電体ペーストであって、800℃以下
の温度で焼成することができ、圧電体ペースト中に含ま
れる圧電性結晶粉末が有する強誘電性を保持しながら、
良好な分極性および高い圧電性を有する圧電体膜を形成
できる、圧電体ペーストを提供する。 【解決手段】 Pb(Zr,Ti)O3 −Pb(Zn,
Nb)O3 系のような800℃以下の温度で焼結を開始
する、圧電性結晶粉末と、yPbO−(100−y)G
eO2 (yは50〜80モル%)のような熱処理過程で
Pb5 Ge3 11強誘電体相を析出し、高温で液相化す
る、結晶化し得る能力を有するが非晶質状態の結晶化ガ
ラス粉末と、有機ビヒクルとを含む、圧電体ペースト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧電体ペースト
に関するもので、特に、圧電アクチュエータ、振動子、
圧力センサなどの圧電体部品において厚膜として備える
圧電体膜を形成するために有利に用いられる圧電体ペー
ストに関するものである。
【0002】また、この発明は、上述のような圧電体ペ
ーストを用いて形成される圧電体膜およびこの圧電体膜
を備える圧電体部品に関するものである。
【0003】
【従来の技術】強誘電性を有し、かつ高い圧電性を示す
ペロブスカイト酸化物の代表的なものとして、Pb(Z
r,Ti)O3 系セラミック、すなわちPZTセラミッ
ク結晶が知られている。
【0004】このようなPZT結晶のような圧電性結晶
を、圧電アクチュエータ、振動子、圧力センサなどの圧
電体部品における圧電体部分を構成するために用いると
き、厚膜の形態をなす圧電体膜の状態とされることがあ
る。
【0005】圧電体膜の形成には、通常、スクリーン印
刷工程と焼成工程とが実施されるが、スクリーン印刷を
適用可能とするため、圧電性結晶粉末を含む圧電体ペー
ストが用意される。圧電体ペーストは、PZTを例にと
ると、たとえば、Pb3 4、ZrO2 およびTiO2
などの各原料粉末を混合し、仮焼することによって得ら
れたPZTの圧電性結晶粉末に、有機ビヒクルを添加
し、3本ロールによる機械的な粒子分散処理を施すこと
によって作製されることが多い。
【0006】しかし、上述のPZT圧電性結晶粉末は、
その焼結温度が1000℃を超え、そのため、焼成時
に、その成分としての揮発性のPbが失われやすく、得
られた圧電体の組成が設計組成からずれたりして、特性
の良好な再現性および均一性を図ることが困難であっ
た。
【0007】このような状況の下、PZT圧電性結晶粉
末の焼結温度を下げ得ることが望まれる。この焼結温度
を下げるための技術として、本件出願人による特開平2
−263761号公報に記載された技術がある。
【0008】この公報では、Pb3 4 、ZrO2 およ
びTiO2 などの各原料粉末とともに、PbOおよびG
eO2 の各粉末を混合し、この混合粉末を一括して仮焼
し、得られた仮焼粉末としてのPZT圧電性結晶粉末に
有機ビヒクルを混合することによって、圧電体ペースト
を作製する方法が記載されている。この圧電体ペースト
は、850〜1000℃の範囲の温度で焼成され、それ
によって、PZT圧電性結晶粉末を焼結させることがで
きる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
公報に記載の方法では、混合粉末の仮焼温度が、850
℃以上、多くの場合、950℃以上と高いため、粉末の
仮焼度合いが高くなりすぎ、活性度が低下し、比較的低
温では焼結しにくい状態となって、焼成後において、相
対密度の低い圧電体膜が形成されやすいという問題があ
る。
【0010】相対密度の低い圧電体膜が形成されると、
圧電体結晶粒子間の結合性が損なわれるため、分極性が
低下したり、圧電特性が劣化したりするという問題に遭
遇する。
【0011】相対密度の低下を防止するための対策とし
て、圧電体ペーストにホウケイ酸鉛ガラスなどを焼結助
剤として添加する方法が考えられるが、この方法では、
なるほど相対密度は上昇するが、圧電体膜中に強誘電性
を有しない相が介在し、これが圧電体粒子のまわりを覆
うため、やはり分極性が低下したり、圧電特性が劣化し
たりするという問題が生じる。
【0012】そこで、この発明の目的は、たとえば80
0℃以下といった比較的低温での焼成を可能とし、この
ような低温焼成であっても、相対密度の高い圧電体膜を
得ることができ、PZTセラミック結晶のような圧電性
結晶の強誘電性を保持し、分極性の低下を招かず、かつ
高い圧電性を得ることができる、圧電体膜を形成するこ
とが可能な圧電体ペーストを提供しようとすること、な
らびに、このような圧電体ペーストを用いて形成される
圧電体膜およびこの圧電体膜を備える圧電体部品を提供
しようとすることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を解
決するため、この発明の特徴は、簡単に言えば、圧電体
ペースト中に含まれる圧電性結晶粉末を低温焼結性とす
るとともに、圧電体ペーストに、焼成時に液相化を生
じ、圧電体膜の液相焼結を加速する結晶化ガラス粉末を
含ませようとすることにある。
【0014】より詳細には、この発明に係る圧電体ペー
ストは、800℃以下の温度で焼結を開始する、圧電性
結晶粉末と、熱処理過程で強誘電体相を析出し、高温で
液相化する、結晶化し得る能力を有するが非晶質状態の
結晶化ガラス粉末と、有機ビヒクルとを含むことを特徴
としている。
【0015】好ましくは、上述の圧電性結晶粉末は、P
b(Zr,Ti)O3 −Pb(Zn,Nb)O3 系圧電
性結晶粉末である。
【0016】上述の好ましい実施態様において、より好
ましくは、圧電性結晶粉末は、90〜70モル%のPb
(Zrx Ti1-x )O3 (ただし、xは0.49〜0.
56)と、10〜30モル%のPb(Zn1/3
2/3 )O3 とを含む圧電性結晶粉末である。
【0017】また、圧電性結晶粉末は、Pb(Zr,T
i)O3 粉末とPb(Zn,Nb)O3 粉末との混合物
を仮焼して得られたものであることが好ましい。
【0018】他方、結晶化ガラス粉末は、好ましくは、
Pb5 Ge3 11強誘電体相を析出するPbO−GeO
2 系の組成を有している。
【0019】上述の好ましい実施態様において、より好
ましくは、結晶化ガラス粉末は、yPbO−(100−
y)GeO2 (ただし、yは50〜80モル%)からな
る。
【0020】この発明は、また、上述したような圧電体
ペーストを塗布し、これを焼成することによって得られ
た、圧電体膜にも向けられる。
【0021】この発明は、さらに、絶縁基板と、この絶
縁基板上に形成される下層電極と、この下層電極上に形
成される圧電体膜と、この圧電体膜上に形成される上層
電極とを備える、圧電体部品にも向けられる。このよう
な圧電体部品において、圧電体膜が上述したような圧電
体膜によって与えられる。
【0022】
【発明の実施の形態】この発明による圧電体ペースト
は、前述したように、800℃以下の温度で焼結を開始
する、圧電性結晶粉末と、圧電性結晶粉末を低温焼結性
とするとともに、焼成時に液相化を生じ、圧電体膜の液
相焼結を加速するため、熱処理過程で強誘電体相を析出
し、高温で結晶化し、液相化する能力を有するが非晶質
状態の結晶化ガラス粉末と、有機ビヒクルとを含むこと
を特徴としている。
【0023】以下に、より具体的な好ましい実施形態に
ついて説明する。
【0024】1.圧電性結晶粉末 上述した圧電性結晶粉末は、第1の成分としてのPb
(Zr,Ti)O3 粉末すなわちPZT粉末と第2の成
分としてのPb(Zn,Nb)O3 粉末すなわちPZN
粉末との混合物を仮焼して得られるものである。
【0025】1.1.第1の成分 第1の成分としてのPb(Zr,Ti)O3 粉末は、た
とえば、ゾルゲル法による前駆体合成の後、仮焼するこ
とによって作製される。Pb(Zr,Ti)O 3 を、一
般式Pb(Zrx Ti1-x )O3 で表わしたとき、高い
強誘電特性および圧電特性を得るようにするには、xは
0.49〜0.56の範囲に制御されることが好まし
い。
【0026】1.2.第2の成分 第2の成分としてのPb(Zn,Nb)O3 粉末は、た
とえばPb(Zn1/3Nb2/3 )O3 粉末であり、Pb
(Zn1/3 Nb2/3 )O3 は、たとえば、次のようにし
て作製される。
【0027】出発原料として、Pb3 4 、ZnOおよ
びNb2 5 の各粉末を用意するとともに、パイロクロ
ア相を抑制しかつペロブスカイト相を安定化させるため
の安定化剤となる、水熱合成によるBaTiO3 粉末を
用意する。
【0028】次に、ZnO粉末およびNb2 5 粉末を
所定の割合で混合した後、仮焼し、粉砕し、ZnO−N
2 5 (ZnNb2 6 )粉末を得る。
【0029】次に、このZnO−Nb2 5 仮焼粉末
に、Pb3 4 粉末およびBaTiO 3 粉末を添加し、
混合する。
【0030】次に、上述の混合物を仮焼し、それによっ
て、ペロブスカイト相が安定化した第2の成分としての
Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 粉末を得る。
【0031】1.3.混合 圧電体ペースト材料として使用する複合ペロブスカイト
酸化物であるPb(Zr,Ti)O3 −Pb(Zn,N
b)O3 系圧電性結晶粉末は、上述した第1の成分と第
2の成分との混合物を仮焼し、粉砕することによって得
られる。
【0032】上述した第1の成分としてのPb(Zrx
Ti1-x )O3 と第2の成分としてのPb(Zn1/3
2/3 )O3 との組成比率に関して、高い強誘電性およ
び圧電特性を得るためには、前者が90〜70モル%、
後者が10〜30モル%といった範囲に組成制御される
ことが望ましい。
【0033】また、第1の成分と第2の成分との混合物
を仮焼するにあたっては、仮焼温度は、第1の成分と第
2の成分との反応が確実に得られる650℃以上であ
り、かつ、ペロブスカイト相の結晶性が劣化し始める9
50℃以下に選ばれることが望ましい。
【0034】2.結晶化ガラス粉末 結晶化ガラス粉末は、前述したように、結晶化し得る能
力を有するものであって、非晶質状態で用いられる。
【0035】結晶化ガラス粉末として、たとえば、焼成
時の昇温過程において、400℃付近でガラスの構造緩
和を生じ、520℃付近でPb5 Ge3 11強誘電体相
の結晶化を生じ、730℃付近で完全に溶融し液相化す
る、PbO−GeO2 系の組成を有するものが有利に用
いられる。
【0036】このようなPbO−GeO2 系の組成を有
する結晶化ガラス粉末は、たとえばPb3 4 およびG
eO2 を出発原料として、これら出発原料の各粉末を所
定の割合で混合し、溶融させた後、急冷および粉砕を行
なうことによって、得ることができる。
【0037】PbO−GeO2 の組成比率に関して、P
bOとGeO2 との合計に対して、PbOが50〜80
モル%に調整されることが望ましい。PbOが50モル
%未満であると、Pb成分が不足し、目的のPb5 Ge
3 11結晶物が得られにくくなり、他方、PbOが80
モル%を超えると、急冷による非晶質化が困難になるた
めである。
【0038】3.圧電体ペーストの作製 上述のように作製された圧電性結晶粉末および結晶性ガ
ラス粉末に対して、有機バインダおよび有機溶剤からな
る有機ビヒクルを加え、さらに、必要に応じて、分散剤
等を加え、混合および分散処理を行なうことによって、
圧電体ペーストを得ることができる。
【0039】圧電体ペーストにおいて、圧電性結晶粉末
と結晶化ガラス粉末との合計に対する結晶化ガラス粉末
の比率は、1重量%以下であることが望ましい。結晶化
ガラス粉末が1重量%を超えると、圧電体ペーストから
なるペースト膜の焼成時における焼結収縮が過剰にな
り、焼成によって得られた圧電体膜中に欠陥を生じやす
いためである。
【0040】4.圧電体膜の形成 図1は、この発明の一実施形態による圧電体部品1を示
す断面図である。
【0041】圧電体部品1は、たとえば圧電アクチュエ
ータを構成するもので、絶縁基板2と、この絶縁基板2
の図による上方に向く主面上に形成される下層電極3
と、この下層電極3上に形成される圧電体膜4と、この
圧電体膜4上に形成される上層電極5とを備えている。
また、絶縁基板2の図による下方に向く主面上には、裏
面電極6が形成され、この裏面電極6と上述した下層電
極3とは、絶縁基板2の端面上に形成された補助電極7
によって互いに導通されている。
【0042】このような圧電体部品1において、圧電体
膜4が、上述のような圧電体ペーストを塗布し、これを
焼成することによって得られたものである。圧電体ペー
ストの塗布にあたっては、たとえばスクリーン印刷が適
用され、これによって形成されたペースト膜は乾燥され
た後、好ましくは、加圧処理され、その密度が高められ
る。そして、ペースト膜は、800℃以下の温度で焼成
され、それによって、圧電体膜4を得ることができる。
【0043】この圧電体膜4は、相対密度が高く、高い
比誘電率を有し、分極性に優れたものとすることができ
る。
【0044】次に、この発明の効果を確認するために実
施した実験例について説明する。
【0045】
【実験例】(実施例)圧電性結晶粉末の第1の成分(P
ZT)として、Pb(Zr0.53Ti0.47)O 3 で表わさ
れる組成を有するものを、ゾルゲル法による前駆体合成
の後、650℃の温度での仮焼を行なうことによって作
製した。この第1の成分としてのPb(Zr0.53Ti
0.47)O3 の粉末は、粒径1μm以下の微粒子であっ
た。
【0046】他方、圧電性結晶粉末の第2の成分(PZ
N)として、Pb(Zn1/3 Nb2/ 3 )O3 で表わされ
る組成を有する粉末を得た。
【0047】より具体的には、出発原料として、Pb3
4 、ZnOおよびNb2 5 の各粉末を用意するとと
もに、ペロブスカイト相の安定化剤として、水熱合成に
よるBaTiO3 粉末(平均粒径0.5μm)を用意し
た。
【0048】次いで、ZnO粉末が59.1モル%およ
びNb2 5 粉末が40.9モル%となるように秤量
し、これらを混合した後、900℃の温度での仮焼を行
ない、次いで粉砕することによって、ZnO−Nb2
5 (ZnNb2 6 )粉末を得た。
【0049】次に、このZnO−Nb2 5 仮焼粉末
に、Pb3 4 粉末およびBaTiO 3 粉末を添加し、
混合した。この混合物の全体組成は、Pb3 4 がPb
Oに換算して69.8モル%、ZnOが13.7モル
%、Nb2 5 が9.5モル%、BaTiO3 が7モル
%となるようにした。
【0050】次に、上述の混合物をるつぼ中において、
900℃の温度で12時間仮焼した。これによって、ペ
ロブスカイト相が安定化した第2の成分としてのPb
(Zn 1/3 Nb2/3 )O3 粉末を得た。
【0051】次に、上述した第2の成分が、第1の成分
と第2の成分との合計に対して、15モル%となるよう
に、第1の成分と第2の成分とを混合し、800℃の温
度で仮焼し、次いで粉砕することによって、複合ペロブ
スカイト酸化物であるPb(Zr,Ti)O3 −Pb
(Zn,Nb)O3 系圧電性結晶粉末を得た。
【0052】他方、結晶化ガラス粉末を作製するため、
出発原料として、Pb3 4 およびGeO2 の各粉末を
用意した。
【0053】次に、Pb3 4 粉末がPbO換算で6
2.5モル%、GeO2 粉末が37.5モル%となるよ
うに、これらを混合し、この混合物を、1250℃の温
度で溶融させた後、急冷し、粉砕することによって、非
晶質状態の結晶化ガラス粉末を得た。
【0054】なお、この結晶化ガラス粉末は、焼成時の
昇温過程において、400℃付近でガラスの構造緩和を
生じ、520℃付近でPb5 Ge3 11強誘電体相の結
晶化を生じ、730℃付近で完全に溶融し液相化するも
のであり、この液相化したものを徐冷すると、Pb5
3 11の結晶物として残るものであった。
【0055】次に、上述のようにして得られた圧電性結
晶粉末および結晶化ガラス粉末を用い、圧電性結晶粉末
14.65重量%、結晶化ガラス粉末0.15重量%、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル3.0重量
%、低沸点有機溶剤(エタノール90重量%とイソプロ
ピルアルコール10重量%との混合溶剤)81.2重量
%、および分散剤(非水系マレイン酸部分エステル型)
1.0重量%を調合し、ポットミルによる混合粉砕と分
散処理とを行ない、1次スラリーを得た。
【0056】次に、1次スラリーに対して、有機ビヒク
ル(10重量%のエチルセルロースおよび90重量%の
ジエチレングリコールモノブチルエーテル)を、1次ス
ラリー全体と当該有機ビヒクルとの合計に対して、4.
4重量%添加し、ポットミルによる混合粉砕と分散処理
とを行ない、2次スラリーを得た。
【0057】次に、2次スラリーをエバポレータ処理す
ることによって、低沸点有機溶剤を除去した後、ずり応
力を加えた機械的な分散処理を行なうことによって、圧
電体ペーストを得た。
【0058】次に、圧電体ペーストを用いて、図1に示
すような圧電体膜4を有する圧電体部品1を作製した。
【0059】すなわち、厚み50μmのZrO2 からな
る絶縁基板2の両面に、厚み約1μmのPtからなる下
層電極3および裏面電極6をそれぞれ形成し、下層電極
3上に、上述の圧電体ペーストのスクリーン印刷および
乾燥を行ない、乾燥ペースト膜を形成した。
【0060】次に、この乾燥ペースト膜に対して、膜厚
方向の加圧処理(圧力:2000kg/cm2 )を行な
い、乾燥ペースト膜における圧電性結晶粉末および結晶
化ガラス粉末の充填密度を高めた。
【0061】次に、実施例1では750℃、実施例2で
は800℃の各温度で3時間の焼成を実施し、厚み約4
0〜50μmの圧電体膜4を得た。
【0062】次に、圧電体膜4上に、Ptからなる上層
電極5を形成するとともに、補助電極7を形成すること
によって、試料としての圧電体部品1を完成させた。
【0063】(比較例)比較例においては、前述した特
開平2−263761号公報に記載の方法に基づいて、
圧電体ペーストを作製した。
【0064】すなわち、上述した実施例の場合と同様の
組成比率となるように、Pb3 4、ZrO2 、TiO
2 、ZnO、Nb2 5 およびGeO2 の各粉末を混合
し、この混合粉末を一括して950℃の温度で仮焼し、
得られた仮焼粉末に、実施例の場合と同様の有機ビヒク
ルの添加、混合粉砕および分散処理を行ない、圧電体ペ
ーストを得た。
【0065】次いで、この圧電体ペーストを用いて、実
施例の場合と同様、図1に示した圧電体部品1における
圧電体膜4を形成し、比較例に係る圧電体部品1を完成
させた。なお、この比較例においては、乾燥ペースト膜
の焼成にあたっては、800℃の温度を適用した。
【0066】(評価)以上のようにして得られた実施例
1および2ならびに比較例の各々に係る圧電体部品1に
おける圧電体膜4について、相対密度、比誘電率εr
残留分極Prおよび抗電界Ec をそれぞれ評価した。
【0067】相対密度については、形成された圧電体膜
4の重量を求めるとともに、寸法測定によって体積を求
め、これらから実際の密度を計算し、他方、X線回折
(XRD)分析によって、結晶の格子定数を求め、理論
密度を計算し、(実際の密度)/(理論密度)×100
[%]の式から相対密度を求めた。
【0068】また、残留分極Pr および抗電界Ec は、
誘電ヒステリシス解析により求めた。
【0069】これらの評価結果が、以下の表1に示され
ている。
【0070】
【表1】
【0071】表1に示すように、実施例1および2は、
比較例と比較して、高い相対密度が得られている。実施
例1および2の間で比較すると、焼成温度の高い実施例
2の方がより高い相対密度を示している。また、実施例
1は、比較例より低い焼成温度を適用したものではある
が、それでもなお、比較例より高い相対密度を示してい
る。
【0072】また、実施例1および2は、比較例に比較
して、高い比誘電率εr を示している。
【0073】また、実施例1および2は、比較例に比較
して、残留分極Pr が上昇し、かつ抗電界Ec が低下し
ており、これらのことから、分極性が向上していること
がわかる。実施例1および2の間で比較すると、焼成温
度のより高い実施例2において、より大きい残留分極P
r およびより小さい抗電界Ec を示しており、分極性が
より向上していることがわかる。
【0074】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る圧電体ペ
ーストを用いることにより、たとえばスクリーン印刷の
ような簡便な厚膜形成技術を適用しながら、800℃以
下といった比較的低温での焼成であっても、相対密度が
高く、圧電体ペーストに含まれる圧電性結晶粉末が有す
る強誘電性を保持しつつ分極性の低下を招かず、かつ高
い圧電性を有する圧電体膜を形成することができる。
【0075】この発明に係る圧電体ペーストに含まれる
圧電性結晶粉末として、Pb(Zr,Ti)O3 −Pb
(Zn,Nb)O3 系圧電性結晶粉末を用いると、得ら
れた圧電体膜において、より高い強誘電性および圧電性
を確実に与えることが可能となる。
【0076】上述したPb(Zr,Ti)O3 −Pb
(Zn,Nb)O3 系圧電性結晶粉末として、90〜7
0モル%のPb(Zrx Ti1-x )O3 と、10〜30
モル%のPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 とを含む圧電性
結晶粉末としたり、前者のPb(Zrx Ti1-x )O3
におけるxを0.49〜0.56の範囲に選んだりすれ
ば、得られた圧電体膜において、より高い強誘電特性お
よび圧電特性を確実に得ることができる。
【0077】また、Pb(Zr,Ti)O3 −Pb(Z
n,Nb)O3 系圧電性結晶粉末を得るため、Pb(Z
r,Ti)O3 粉末とPb(Zn,Nb)O3 粉末との
混合物を仮焼して得るようにすれば、このような圧電性
結晶粉末を容易に得ることができる。
【0078】他方、この発明に係る圧電体ペーストに含
まれる結晶化ガラス粉末として、Pb5 Ge3 11強誘
電体相を析出するPbO−GeO2 系の組成を有するも
のを用いると、熱処理過程で強誘電体層を析出し、高温
で液相化する結晶化ガラス粉末を確実に得ることができ
る。
【0079】上述した結晶化ガラス粉末の組成であるy
PbO−(100−y)GeO2 において、yを50〜
80モル%に選ぶと、強誘電性を高め得るPb5 Ge3
11結晶物をより容易に得ることが可能になるととも
に、急冷によって容易に非晶質化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による圧電体部品1を図
解的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 圧電体部品 2 絶縁基板 3 下層電極 4 圧電体膜 5 上層電極

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 800℃以下の温度で焼結を開始する、
    圧電性結晶粉末と、 熱処理過程で強誘電体相を析出し、高温で液相化する、
    結晶化し得る能力を有するが非晶質状態の結晶化ガラス
    粉末と、 有機ビヒクルとを含む、圧電体ペースト。
  2. 【請求項2】 前記圧電性結晶粉末は、Pb(Zr,T
    i)O3 −Pb(Zn,Nb)O3 系圧電性結晶粉末で
    ある、請求項1に記載の圧電体ペースト。
  3. 【請求項3】 前記圧電性結晶粉末は、90〜70モル
    %のPb(Zrx Ti1-x )O3 (ただし、xは0.4
    9〜0.56)と、10〜30モル%のPb(Zn1/3
    Nb2/3 )O3 とを含む圧電性結晶粉末である、請求項
    2に記載の圧電体ペースト。
  4. 【請求項4】 前記圧電性結晶粉末は、Pb(Zr,T
    i)O3 粉末とPb(Zn,Nb)O3 粉末との混合物
    を仮焼して得られたものである、請求項2または3に記
    載の圧電体ペースト。
  5. 【請求項5】 前記結晶化ガラス粉末は、昇温によりP
    5 Ge3 11強誘電体相を析出するPbO−GeO2
    系の組成を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載
    の圧電体ペースト。
  6. 【請求項6】 前記結晶化ガラス粉末は、yPbO−
    (100−y)GeO 2 (ただし、yは50〜80モル
    %)からなる、請求項5に記載の圧電体ペースト。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の圧
    電体ペーストを塗布し、これを焼成することによって得
    られた、圧電体膜。
  8. 【請求項8】 絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成され
    る下層電極と、前記下層電極上に形成される圧電体膜
    と、前記圧電体膜上に形成される上層電極とを備え、前
    記圧電体膜が請求項7に記載の圧電体膜によって与えら
    れる、圧電体部品。
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