JPH11335507A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH11335507A
JPH11335507A JP14323698A JP14323698A JPH11335507A JP H11335507 A JPH11335507 A JP H11335507A JP 14323698 A JP14323698 A JP 14323698A JP 14323698 A JP14323698 A JP 14323698A JP H11335507 A JPH11335507 A JP H11335507A
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育宏 三島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軟質性に優れる熱可塑性樹脂を提供すること。 【解決手段】(メタ)アクリル酸エステル系共重合体
(イ)25〜90重量部とTgあるいはTmが50℃以
上の共重合体(ロ)5〜75重量部及びゴム重合体
(A)10〜90重量%にビニル単量体10〜90重量
%を重合して成るグラフト共重合体(ハ)0〜70重量
部からなり、JIS K6301法による20℃の硬度
が30〜100である熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性、加熱時の
形状保持性に優れる軟質性熱可塑性樹脂組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車分野、家電機器分野、OA
機器分野等における軟質性樹脂として、PVC系、オレ
フィン系、ウレタン系等の樹脂が使用されている。なか
でもPVC系の軟質性樹脂は、軟質PVCとして広く使
用されているが、可塑剤を多量に添加する必要があり、
加熱減量等に問題があった。 また、PVC以外の軟質性
樹脂は、例えばスチレン系の軟質樹脂では、軟質成分と
してイソプレン、ブタジエン等のセグメントを持つ樹脂
が提案されていが、ハードセグメントとソフトセグメン
トをブロック共重合体とするため、非水系での特殊な重
合方法で合成する必要があり、設備、生産性等の点で特
に経済性に劣るという欠点があった。
【0003】また、スチレン系樹脂では、特開昭59−
20346号にゴム強化スチレン系樹脂に特定の可塑剤
を添加する方法が開示されているが、可塑剤の揮発があ
り満足できるものではない。また、ABS系樹脂とアク
リル酸エステル系共重合体の組成物について、特開昭5
8−179257号にゴム含有スチレン系樹脂とアクリ
ル酸エステル系共重合体とからなる組成物、特開昭63
−17954号にゴム含有マレイミド−スチレン系共重
合体とABS樹脂とアクリル酸エステル系共重合体とか
らなる組成物が耐薬品性を向上することが記載されてい
るが、これらの組成物では軟質性に著しく劣り、本発明
の目的とする軟質性に優れた樹脂は得られていない。さ
らに、特開平8−027336号に記載されているゴム
含有マレイミド−スチレン系共重合体とアクリル酸エス
テル系共重合体とからなる組成物においても、本発明に
類するような軟質性に優れた樹脂は得られていない。ま
た、ABS系樹脂(マトリックスがスチレン−アクリロ
ニトリル系共重合体やスチレン−アクリロニトリル−マ
レイミド系共重合体)のグラフト共重合体(ゴム)に関
する効果は、数多く提案されているが、マレイミド−ス
チレン−アクリロニトリル系共重合体とアクリル酸エス
テル系共重合体とからなる樹脂に適したグラフト共重合
体(ゴム)の提案は見当たらない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
問題を解消し、軟質性、加熱時の形状保持性に優れる熱
可塑性樹脂組成物を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、軟質性を
維持させるためには、ガラス転移温度が20℃以下の
(メタ)アクリル酸エステル系共重体(イ)が必須と考
えた。さらに、弾性を付与するためには、(メタ)アク
リル酸エステル系共重体(イ)を拘束する必要があり、
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)とガラス
転移温度あるいは融点が50℃以上の共重合体(ロ)か
らなるマトリックスのミクロ相分離を微妙に制御した特
殊な相構造を持つ必要があると考えた。更に必要な場合
にはグラフト共重合体(ハ)を適宜使用することあるい
は(メタ)アクリル酸エステル系共重体(イ)自体も緩
やかに拘束することも考慮した。
【0006】これらの観点から、本発明者らは、鋭意検
討した結果、特定組成の(メタ)アクリル酸エステル系
共重合体(イ)、ガラス転移温度あるいは融点が50℃
以上の共重合体(ロ)及びグラフト共重合体(ハ)から
なる組成物が、軟質性に優れることを見出だし、本発明
に至った。すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸エ
ステル40〜90重量%、シアン化ビニル化合物10〜
40重量%、芳香族ビニル化合物50重量%以下及びこ
れらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100
重量%)を重合してなる ガラス転移温度が20℃以下
であり、かつゲル含有量が50重量%以下である(メ
タ)アクリル酸エステル系共重体(イ)25〜90重量
部とガラス転移温度あるいは融点が50℃以上の共重合
体(ロ)5〜75重量部、及びゴム重合体(A)10〜
90重量%にビニル単量体10〜90重量%を重合して
なるグラフト共重合体(ハ)0〜70重量部からなり、
JIS K6301法による20℃の硬度が30〜10
0である軟質性に優れた熱可塑性樹脂組成物を内容とす
る。
【0007】本発明で特に重要なのは(メタ)アクリル
酸エステル系共重体(イ)である。(メタ)アクリル酸
エステル系共重体(イ)は、ガラス転移温度が20℃以
下、好ましくは−80℃〜15℃、更に好ましくは−7
0℃〜10℃である。ガラス転移温度が20℃を越える
と軟質性が著しく低下する。(メタ)アクリル酸エステ
ル系共重体(イ)は、軟質性、加工性の点から(メタ)
アクリル酸エステル40〜90重量%、好ましくは45
〜85重量%、更に好ましくは50〜80重量%、シア
ン化ビニル化合物10〜40重量%、好ましくは15〜
35重量%、更に好ましくは18〜33重量%、芳香族
ビニル化合物50重量%以下、好ましくは40重量%以
下、更に好ましくは2〜32重量%、及びこれらと共重
合可能な単量体0〜30重量%、好ましくは0〜20重
量%、更に好ましくは0〜15重量%(合計100重量
%)を重合してなる共重体である。
【0008】(メタ)アクリル酸エステル系共重合体
(イ)は、軟質性の点から、ゲル含有量[ゲル含有量と
は、メチルエチルケトン、2%溶液を23℃で24時間
放置し、100メッシュの金網で濾過して濾過残査を乾
燥し、(濾過残査重量/元の重量)×100で表した値
である。]が50重量%以下、成形加工性の点から好ま
しくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以
下、10重量%以下である。50重量%を越えると成形
加工性、外観性が著しく低下する。
【0009】また、(メタ)アクリル酸エステル系共重
合体(イ)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(3
0℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)は、引張
強度、加工性の点から好ましくは0.3〜5.0dl/
g、特に好ましくは0.4〜4.0dl/g、更に好ま
しくは0.45〜3.0dl/gである。(メタ)アク
リル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。これらのうちでは、ブチル(メタ)アクリレートが
工業的見地から好ましい。これらは単独または2種以上
組み合わせて用いられる。
【0010】シアン化ビニル化合物としてはアクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらのう
ちではアクリロニトリルが工業的見地から好ましい。こ
れらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。芳
香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロル
スチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、これらのうち
ではスチレンが工業的見地から好ましい。共重合可能な
単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミドN
−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブ
チルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−
メチルフェニル)マレイミド等のマレイミド系単量体、
及び(メタ)アクリル酸およびその2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら
は単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0011】本発明の共重合体(ロ)は、ガラス転移温
度あるいは融点(Mp)が50℃以上、好ましくは70
℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは9
0℃以上の共重合体である。ガラス転移温度あるいは融
点が50℃未満であると加熱時形状保持性、軟質性が低
下する。共重合体(ロ)は、経済性の点から好ましくは
スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹
脂、、ポリカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、エステ
ル系樹脂、オレフィン系樹脂からなる群のうちから選ば
れる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
【0012】スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、
スチレン−アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチ
レン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−α−メチ
ルスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マ
レイミド共重合体、スチレン−マレイミド−アクリロニ
トリル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−マレ
イミド−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体等が挙げられる。耐衝撃性、加工性の
点から、シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、
(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物のうち
の1種以上の単量体を重合してなり、メチルエチルケト
ン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルム
アミド溶液中)が0.3〜2.0dl/g、更に0.4
〜1.5dl/g、特に0.45〜1.2dl/gが好
ましくい。
【0013】特に共重合体(ロ)は、機械的特性、加工
性の点から、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、
芳香族ビニル化合物10〜85重量%、マレイミド系単
量体0〜50重量%、及びこれらと共重合可能な単量体
0〜30重量%(合計100重量%)を重合してなるス
チレン系樹脂であることが好ましい。スチレン系共重合
体(ロ)のシアン化ビニル化合物としては、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等が、芳香族ビニル化合物
としては、スチレン、αーメチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレ
ン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等が、マレイミ
ド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−
(p−メチルフェニル)マレイミド、等が挙げられる。
工業的見地から、シアン化ビニル化合物としてはアクリ
ロニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチレン、マ
レイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミドが特
に好ましい。これらは、単独または2種以上組み合わせ
て用いられる。共重合可能な単量体としては、(メタ)
アクリル酸およびそのメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、2−ヒドロキシエチル、2−エチルヘキシル、グリ
シジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体等が挙
げられる。これらは、単独または2種以上あっても良
い。
【0014】塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル、塩化ビニル80重量%以上とエチレン等の他の共重
合可能なビニル系単量体20重量%以下の共重合体、後
塩素化塩化ビニル等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂の
重合度は、機械的特性、加工性の点から、好ましくは3
00〜2000、更に好ましくは400〜1500、更
に好ましくは450〜1300である。
【0015】ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフ
ェノールA系ポリカーボネート等が挙げられる。機械的
特性、加工性の点から、好ましくは数平均分子量で1,
000〜100,000、更に好ましくは5,000〜
80,000、特に好ましくは10,000〜60,0
00である。エステル系樹脂としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げら
れる。機械的特性、加工性の点から、好ましくは数平均
分子量で1,000〜100,000、更に好ましくは
5,000〜80,000、特に好ましくは10,00
0〜60,000である。
【0016】アミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイ
ロン6、6、ナイロン12等が挙げられる。機械的特
性、加工性の点から、好ましくは数平均分子量で1,0
00〜100,000、更に好ましくは5,000〜8
0,000、特に好ましくは10,000〜60,00
0である。オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン等が挙げられ
る。
【0017】更にこれら上記のスチレン系樹脂、塩化ビ
ニル系樹脂、カーボネート系樹脂、エステル系樹脂、ア
ミド系樹脂、オレフィン系樹脂のうちの1種以上の熱可
塑性樹脂を使用するポリマーアロイ、例えば、スチレン
−アクリロニトリル共重合体と塩化ビニル系樹脂のアロ
イ、スチレン−アクリロニトリル共重合体とポリカーボ
ネートのアロイ、スチレン−アクリロニトリル共重合体
とナイロン6のアロイ、ポリエチレンテレフタレートと
ポリカーボネートのアロイ、ポリスチレンとポリフェニ
レンオキサイドのアロイ等も本発明の範囲内である。
【0018】グラフト共重合体(ハ)におけるゴム重合
体(A)は、好ましくは体積平均粒径50〜1000n
m、更に好ましくは60〜900nm、特に好ましくは
70〜800nmのジエン系ゴム重合体、オレフィン系
ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、シリコン系ゴム重
合体からなる群のなかから選ばれる少なくとも1種のゴ
ム重合体である。グラフト共重合体(ハ)のゴム重合体
(A)の体積平均粒径50nm未満、あるいは1000
nmを越えるばあいには機械的特性が低下する傾向にあ
る。ゴム重合体(A)は、体積平均粒径の異なる2種以
上を混合したものであっても構わない。
【0019】ゴム重合体(A)の具体例としては、ポリ
ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル酸エ
ステルゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム等のジエ
ン系ゴム重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン
−プロピレン−ジエンゴム等のオレフィン系重合体、ポ
リアクリル酸エステルゴム、エチレン−アクリル酸エス
テルゴム等のアクリル系ゴム重合体、ポリジメチルシロ
キサンゴム、ポリジメチルシロキサン−アクリル複合ゴ
ム等のシリコン系ゴム重合体が挙げられ、単独または2
種以上組み合わせて用いられる。ゴム重合体(A)は、
酸基含有ラテックス(S)を使用する肥大法により製造
されたものが好ましい。
【0020】ゴム重合体(A)は、ゴムラテックス10
0重量部(固形分)に対して、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、クロトン酸のうちの少なくとも1種の
不飽和酸(c)5〜50重量%、アルキル基の炭素数が
1〜12の少なくとも1種の(メタ)アルキルアクリレ
ート(d)50〜95重量%、及び(c)、(d)と共
重合可能な単量体0〜40%を重合させることにより調
整した酸基含有ラテックスを使用する凝集肥大法により
製造したゴム重合体が好ましい。
【0021】グラフト共重合体(ハ)は、好ましくはゴ
ム重合体(A)10〜90重量%、更に好ましくは20
〜85重量%、特に好ましくは30〜80重量%にビニ
ル単量体10〜90重量%、更に好ましくは15〜80
重量%、特に好ましくは20〜70重量%を重合してな
る。ビニル単量体としては、好ましくは芳香族ビニル化
合物5〜90重量%、更に好ましくは10〜85重量
%、特に好ましくは15〜80重量%、(メタ)アクリ
ル酸エステル、シアン化ビニル化合物の1種以上10〜
95重量%、特に好ましくは15〜90重量%、更に好
ましくは20〜85重量%、及びこれらと共重合可能な
単量体0〜30重量%、更に好ましくは0〜20重量
%、特に好ましくは0〜15重量%(合計100重量
%)からなる単量体混合物である。上述の範囲外では、
機械的特性、加工性が低下する傾向にある。
【0022】グラフト共重合体(ハ)のシアン化ビニル
化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等が、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、αー
メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプロピ
ルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル
ナフタレン等が挙げられる。工業的見地から、シアン化
ビニル化合物としてはアクリロニトリル、芳香族ビニル
化合物としてはスチレンが特に好ましい。(メタ)アク
リル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジ
ル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち
では、メチルメタアクリレートが工業的見地から好まし
い。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられ
る。共重合可能な単量体としては、マレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピル
マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレ
イミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド等のマ
レイミド系単量体、(メタ)アクリル酸等が挙げられ
る。これらは、単独または2種以上であっても良い。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)
アクリル酸エステル系共重体(イ)25〜90重量部、
軟質性の点から好ましくは30〜85重量部、特に好ま
しくは35〜80重量部と共重合体(ロ)15〜75重
量部、好ましくは10〜65重量部、特に好ましくは1
5〜60量部、及びグラフト共重合体(ハ)0〜70重
量部、好ましくは0〜60重量部、更に好ましくは5〜
60重量部、特に好ましくは10〜55重量部
[(イ)、(ロ)、(ハ)合わせて100重量部]から
なる。上述の範囲外では、軟質性あるいは加熱時形状保
持性が低下する。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂組成物で最も重要な
のは、JIS K6301法による20℃の硬度であ
る。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、JIS K630
1法による20℃の硬度が30〜100であり、軟質性
の点から好ましくは40〜98、更に好ましくは45〜
97である。
【0025】本発明の範囲の組成が得られれば、(メ
タ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)、スチレン系
共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)はいかなる重
合法、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤を用いて製造し
たものでもかまわない。例えば、公知の塊状重合法、溶
液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合
法、乳化−塊状重合法等、本発明の範囲内の組成に制御
できればどの重合法によって製造したものでもよい。グ
ラフト共重合体(ハ)は、グラフト率を制御しやすい点
から、乳化重合法が好ましい。更に、ミクロ構造制御及
び工業的見地から、(メタ)アクリル酸エステル系共重
合体(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重
合体(ハ)は、いずれも乳化重合法が好ましい。
【0026】また、本発明の範囲であれば、いかなる開
始剤、連鎖移動剤、乳化剤を用いて製造したものでもか
まわない。開始剤は、過硫酸カリウム等の熱分解開始
剤、Fe−還元剤−有機パーオキサイド等のレドックス
系開始剤等公知の開始剤が使用できる。t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、αーメチルス
チレンダイマー、テルピノレン等公知の連鎖移動剤が使
用できる。乳化剤としてはオレイン酸ソーダ、パルミチ
ン酸ソーダ、ロジン酸ソーダ等の脂肪酸金属塩系乳化
剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、炭素数12〜
20のアルキルスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホコ
ハク酸ソーダ等のスルホン酸金属塩系乳化剤等公知の乳
化剤が使用できる。
【0027】本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物
は、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)、ス
チレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)以外
の重合体、例えば、NBR(ニトリルブタジエンゴム)
等の汎用のゴム重合体、スチレン−ブタジエンブロック
共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフ
ィン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラスト
マー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱
可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等
の公知の熱可塑性エラストマーやポリフェニレンオキシ
ド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリア
リレート、ポリエーテルケトン、ポリイミド等の他の熱
可塑性樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等を目的
に応じて更に添加して使用できる。
【0028】本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物
は、通常よく知られた酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤を必要に応じて適宜使用
できる。特に、スチレン系樹脂に用いられるフェノール
系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系の安定剤、
抗酸化剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の
紫外線吸収剤及びオルガノポリシロキサン、脂肪族炭化
水素、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、高級脂
肪酸のアミドまたはビスアミドおよびその変性体、オリ
ゴアミド、高級脂肪酸の金属塩類等の内部滑剤、外滑剤
等は成形用樹脂として、より高性能なものとするために
用いることができる。これらの安定剤は、単独でもまた
2種以上混合して使用することもできる。
【0029】(メタ)アクリル酸エステル系共重合体
(イ)、スチレン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体
(ハ)の樹脂混合物は、その製造方法によって異なる
が、例えば、これらをラテックス、スラリー、溶液、粉
末、ペレット等の状態あるいはこれらの組合わせにて混
合して、製造できる。重合後の(メタ)アクリル酸エス
テル系共重合体(イ)のラテックス、スチレン系共重合
体(ロ)のラテックスおよび又はグラフト共重合体
(ハ)のラテックスからポリマー粉末を回収する場合は
通常の方法、例えばラテックスに塩化カルシウム、塩化
マグネシウム、硫酸マグネシウムのようなアルカリ土類
金属の塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムのようなア
ルカリ金属の塩、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸のような無
機酸及び有機酸を添加することでラテックスを凝固した
後、脱水乾燥する方法で実施できる。またスプレー乾燥
法も使用できる。
【0030】安定剤使用量の一部を分散液の状態でこれ
ら樹脂のラテックスあるいはスラリーに添加することも
できる。本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物は、
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)、スチレ
ン系共重合体(ロ)、グラフト共重合体(ハ)の単独あ
るいはこれら2種以上の混合物からなる粉末やペレット
に対し、上記の安定剤、必要ならば滑剤、顔料等を配合
し、バンバリミキサー、ロールミル、1軸押出し機、2
軸押出し機等公知の溶融混練機にて混練することができ
る。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成
形、押出成形(フィルム成形、シート成形、異型品等の
成形)、ブロー成形、真空成形、カレンダー成形、圧縮
成形、トランスファー成形、熱成形、流動成形、積層成
形等公知の成形加工法にて成形できる。本発明の熱可塑
性樹脂組成物は、自動車、家電、建材等の幅広い分野で
軟質性樹脂が必要とされる用途に幅広く使用出来る。特
に、従来から軟質塩ビ樹脂が使用されている分野に好適
である。
【0032】例えば、自動車分野ではインパネ表皮、ピ
ラー表皮、コンソールボックス表皮、ウエルト、シフト
レバー、シフトレバーノブ、チェンジノブ、オートマチ
ックノブ、ステアリングホイール、ホーンパッド、アー
ムレストカバー、ヘッドレストカバー、アシストグリッ
プ、ドアグリップ、パーキンググリップ、コントロール
ケーブル被覆、天井材表皮等の内層部品の表皮材や外装
モール、サイドモール、マッドガード、ウエザーストリ
ップ、グラスランチャンネル、バンパー、エアダムスカ
ート、泥除け等の外装部品、ルーフパッキン、ドアミラ
ーパッキン、水切り、窓枠パッキン等のシール材、ドレ
ンチューブ、グロメット、クランクカバー、ハーネス部
品等があげられる。
【0033】家電分野では、コードシース材、ケーブル
シース材、ボックスカバー、掃除機のパッキン、エアコ
ンホース、冷蔵庫のガスケット、自動皿洗い機のホース
等があげられる。建材分野では、手摺りカバー、ガラス
シーリングパッキン、戸あたりパッキン、バスユニット
パッキン、クラー配管カバー、工業用パッキン、戸のシ
ール材、タイルの目地材、防水シート、各種ガスケット
等があげられる。
【0034】また、園芸用ホース、工業用ホース、シャ
ワーのホース等のホース、チューブ類、文具、スポーツ
用品、グリップなどがあげられる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例で示すが、こ
れら実施例は本発明を限定するものではない。実施例中
の「部」は重量部を、「%」は重量%を示す。 1.(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(イ)の製
造 共重合体(イ−1) 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、純水 250部、ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部、ナトリウムホ
ルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部、EDTA
0.01部、硫酸第一鉄 0.0025部を仕込ん
だ。
【0036】反応器を撹拌しながら窒素気流下に65℃
まで昇温させた。65℃、到達後、BA 65部、AN
28部、St 7部、tDM 0.25部、CHP
0.3部の混合物を連続的に7時間で滴下した。また、
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを重合時間1時間
目に0.5部、3時間目に0.5部追加した。滴下終了
後、65℃で1時間攪拌を続け、重合を終了し、共重合
体(イ−1)を製造した。表1に結果を示す。
【0037】共重合体(イ−2) 共重合体(イ−1)と同様の方法で、単量体をBA 4
5部、2EHA 30部、AN 22部、St3部及び
tDM 0.25部、CHP 0.3部として、共重合
体(イ−2)を製造した。 共重合体(イ−3) 共重合体(イ−1)と同様の方法で、単量体をBA 4
0部、BMA 10部、2EHA 10部、AN 24
部、St16部及びtDM 0.25部、1,4−ブタ
ンジオールジメタクリレート0.005部、CHP
0.3部として、共重合体(イ−3)を製造した。
【0038】共重合体(イ−4) 共重合体(イ−1)と同様の方法で、単量体をBA 5
0部、2EHA 25部、AN 22部、St3部及び
tDM 0.25部、アリルメタクリレート0.03
部、CHP 0.3部として、共重合体(イ−4)を製
造した。 共重合体(イ−5) 共重合体(イ−1)と同様の方法で、単量体をBA 6
0部、2EHA 15部、GMA 5部、AN 17
部、St3部及びtDM 0.25部、CHP 0.3
部として、共重合体(イ−4)を製造した。
【0039】共重合体(イ−6) 共重合体(イ−1)と同様の方法で、単量体をBA 3
0部、AN 5部、St65部及びtDM 0.25
部、CHP 0.3部として、共重合体(イ−6)を製
造した。 共重合体(イ−7) 共重合体(イ−1)と同様の方法で、単量体をBA 5
0部、AN45部、St5部及びtDM 0.25部、
CHP 0.3部として、共重合体(イ−7)を製造し
た。
【0040】共重合体(イ−8) 共重合体(イ−1)と同様の方法で、単量体をBA 1
00部、及びアリルメタクリレート2部、CHP 0.
3部として、共重合体(イ−8)を製造した。イ−1〜
イ−8の重合処方と重合転化率、ゲル含有量、還元粘
度、Tgを表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】 [記号の説明] BA:ブチルアクリレート 2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート AN:アクリロニトリル St:スチレン tDM:t−ドデシルメルカプタン CHP:クメンハイドロパーオキサイ ド PMI:N−フェニルマレイミド αMSt:αーメチルスチレン BMA:ブチルメタクリレート MAA:メタクリル酸 GMA:グリシジルメタクリレート 2.共重合体(ロ)の製造 共重合体(ロ−1) 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、純水 250部、ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部、ナトリウムホ
ルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部、EDTA
0.01部、硫酸第一鉄 0.0025部を仕込ん
だ。
【0043】反応器を撹拌しながら窒素気流下に65℃
まで昇温させた。65℃、到達後、PMI 30部、A
N 22部、St 43部、αMSt 5部、tDM
0.355部、CHP 0.3部を連続的に8時間で滴
下した。滴下2時間目にジオクチルスルホコハク酸ナト
リウム 0.5部、滴下5時間目にジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム 0.5部を添加した。滴下終了後、
65℃で1時間攪拌を続け、重合を終了し、共重合体
(ロ−1)を製造した。表2に結果を示す。
【0044】共重合体(ロ−2) 共重合体(ロ−1)と同様の方法で、表2に示す単量体
混合物を使用し、共重合体(ロ−2)を製造した。 共重合体(ロ−3) 共重合体(ロ−1)と同様の方法で、表2に示す単量体
混合物を使用し、共重合体(ロ−3)を製造した。
【0045】共重合体(ロ−4) 共重合体(ロ−1)と同様の方法で、表2に示す単量体
混合物を使用し、共重合体(ロ−4)を製造した。 重合体(ロ−5) 数平均分子量23,000、ビスフェノールAタイプの
ポリカーボネート(Tg:145℃)を使用した。
【0046】共重合体(ロ−6) 数平均分子量20,000のポリエチレンテレフタレー
ト(Tm:267℃)を使用した。 共重合体(ロ−7) 数平均分子量25,000のナイロン6(Tm:225
℃)を使用した。
【0047】ロ−1〜ロ−4の重合処方、重合転化率、
還元粘度、Tgを表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】3.グラフト共重合体(ハ)の製造 (1)ゴム重合体(A)の製造 ゴム重合体(A−1) 第一段階として、ゴム重合体(A−1)に肥大化させる
ために必要な未肥大ゴム重合体(B)を製造した。
【0050】100L重合機に、純水 230部、過硫
酸カリウム 0.2部、tDM0.2部を仕込んだ。重
合機内の空気を真空ポンプで除いた後、オレイン酸ナト
リウム 0.6部、ロジン酸ナトリウム 2部、ブタジ
エン 100部を仕込んだ。系の温度60℃まで昇温
し、重合を開始した。重合は25時間で終了した。重合
転化率は96%、未肥大ゴム重合体(B)の粒径は85
nmであった。
【0051】第二段階として、未肥大ゴム重合体(B)
からゴム重合体(A)に肥大化させるために必要な酸基
含有ラテックス(S)を以下のように製造した。攪拌
機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計
の設置された反応器に、純水 200部、ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム 0.6部、ナトリウムホルム
アルデヒドスルホキシレート 0.5部、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム 0.01部、硫酸第一鉄
0.0025部を仕込んだ。
【0052】反応器を撹拌しながら窒素気流下に70℃
まで昇温させた。70℃に到達後、BMA 25部、B
A 5部、tDM 0.1部、CHP 0.15部の単
量体混合物を2時間かけて滴下後、更にBMA 50
部、BA 4部、MAA16部、tDM 0.5部、C
HP 0.15部を4時間かけて滴下し、滴下終了後、
70℃で1時間攪拌を続け重合を終了し、酸基含有ラテ
ックス(S)を得た。
【0053】第三段階として、先に製造した未肥大ゴム
重合体(B)と酸基含有ラテックス(S)を次のように
使用し、ゴム重合体(A−1)を製造した。未肥大ゴム
重合体(B)のラテックス100部(固形分)に酸基含
有ラテックス(S)3.5部(固形分)を60℃で添加
後、攪拌を1時間続けて肥大化させ、ゴム重合体(A−
1)の製造を行った。ゴム重合体(A−1)の粒径は、
450nmであった。
【0054】ゴム重合体(A−2) ゴム重合体(A−2)は、上記酸基含有ラテックス
(S)を2.0部(固形分)使用する以外は、ゴム重合
体(A−1)と同様次のようにして製造した。未肥大ゴ
ム重合体(B)のラテックス100部(固形分)に酸基
含有ラテックス(S)2部(固形分)を60℃で添加
後、攪拌を1時間続けて肥大化させ、ゴム重合体(A−
2)の製造を行った。ゴム重合体(A−2)の粒径は、
610nmであった。
【0055】ゴム重合体(A−3) 第一段階として、アクリル酸エステル系ゴム重合体(A
−3)に肥大化させるために必要な未肥大ゴム重合体
(C)を製造した。攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、
モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純水
200部、パルミチン酸ナトリウム0.55部を仕込ん
だ。反応器を撹拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温
させた。昇温後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキ
シレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込んだ。
更に、BA 98.5部、TAC1.5部、CHP
0.3部の単量体混合物を6時間かけて滴下し、滴下終
了後、60℃で1時間攪拌を続け重合を終了した。単量
体混合物滴下1.5時間目にパルミチン酸ナトリウム
0.3部を、滴下4時間目にパルミチン酸ナトリウム
0.35部を添加した。重合転化率は98%、未肥大ゴ
ム重合体(B−1)の粒径は92nmであった。
【0056】第二段階として、先に製造した未肥大ゴム
重合体(C)と酸基含有ラテックス(S)を使用し、次
のようにしてアクリル酸エステル系ゴム重合体(A−
3)を製造した。未肥大ゴム重合体(C)のラテックス
100部(固形分)に酸基含有ラテックス(S−1)
3.5部(固形分)を60℃で添加後、攪拌を1時間続
けて肥大化させ、ゴム重合体(A−3)の製造を行っ
た。ゴム重合体(A−3)の粒径は、350nmであっ
た。
【0057】(2)グラフト共重合体(ハ)の製造 グラフト共重合体(ハ−1)の製造 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、純水 280部、ゴム重合
体(A−1)(固形分) 65部、ナトリウムホルムア
ルデヒドスルホキシレート 0.3部、EDTA 0.
01部、硫酸第一鉄 0.0025部を仕込んだ。
【0058】反応器を撹拌しながら窒素気流下に60℃
まで昇温させた。60℃到達後にAN 11部、St
24部、CHP 0.2部の混合物を連続的に5時間で
滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌を続け、重
合を終了し、グラフト重合体(ハ−1)を得た。表3に
結果を示す。 グラフト共重合体(ハ−2)の製造 グラフト共重合体(ハ−1)と同様の方法で、ゴム重合
体(A−2)80部にAN 5部、St 5部、MMA
10部、CHP 0.2部にて重合させ、グラフト共
重合体(ハ−2)を製造した。
【0059】グラフト共重合体(ハ−3)の製造 グラフト共重合体(ハ−1)と同様の方法で、ゴム重合
体(A−3)55部にAN 12部、St 33部、C
HP 0.3部にて重合させ、グラフト共重合体(ハ−
3)を製造した。 グラフト共重合体(ハ−4)の製造 グラフト共重合体(ハ−1)と同様の方法で、ゴム重合
体(B)50部にAN 15部、St 35部、CHP
0.3部にて重合させ、グラフト共重合体(ハ−4)
を製造した。ハ−1〜ハ−4の重合処方、重合転化率を
表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】(4)熱可塑性樹脂組成物の製造 (1)で製造した(メタ)アクリル酸エステル系共重合
体(イ)、(2)で製造した共重合体(ロ)、必要に応
じて(3)で製造したグラフト共重合体(ハ)のラテッ
クスを表4、5に示す所定量(固形分)の割合で混合
し、フェノール系抗酸化剤を加えた後、塩化カルシウム
を加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水乾燥
して、(イ)、(ロ)、((ハ))混合の樹脂組成物の
粉末を得た。エチレンビスステアリルアミド1部を配合
し、(株)タバタ製20Lブレンダーで均一にブレンド
した。更に(株)タバタ製40m/m・1軸押出機で、
240℃で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレッ
トを製造した。(実施例1〜8、比較例1〜6)(実施
例9、比較例7)は270℃、(実施例10、比較例
8)は260℃、(実施例11、比較例9)は285℃
に設定した。また、(実施例9、10、比較例7、8)
は、エチレンビスステアリルアミドの代わりにステアリ
ルステアレート1部を配合した。各樹脂組成物の樹脂特
性を評価し表4と表5に示す。 [Tg(ガラス転移温度)の算出]アクリル酸エステル
系共重合体(イ)、共重合体(ロ)のガラス転移温度あ
るいは融点は、DSC(セイコー電子工業(株)製SS
C5200型)にて測定した。 [分子量、重合度の測定]ポリカーボネート、ポリエス
テル、ナイロン6は、市販品の技術資料の値(数平均分
子量)を採用した。 [ゲル含有量の測定](メタ)アクリル酸エステル系共
重合体(イ)、グラフト共重合体(ハ)ラテックスに塩
化カルシウムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処
理、脱水乾燥して得た樹脂粉末を、2%のメチルエチル
ケトン溶液とし、23℃で24時間放置し、100メッ
シュの金網で濾過して濾過残査を乾燥し、測定した。
(濾過残査重量/元の重量)×100で表す。 [還元粘度の測定](メタ)アクリル酸エステル系共重
合体(イ)、共重合体(ロ)のラテックスに塩化カルシ
ウムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水
乾燥して得た樹脂粉末を、0.3g/dl濃度のN,N
−ジメチルホルムアミド溶液として、30℃で還元粘度
を測定した。 [グラフト共重合体のグラフト率]グラフト共重合体
(ハ)のパウダーを、メチルエチルケトンに溶解して、
遠心分離し、メチルエチルケトン可溶分と不溶分を得
た。この不溶分と可溶分との比率から、グラフト率を特
定した。 [ゴム重合体の粒径]ゴム重合体(A)ラテックスにつ
いて、パシフイックサイエンス社製のナイコンプ粒径測
定機を用いて測定した。 [重合時の転化率]重合時の転化率は、固形分濃度よ
り、計算した。 [熱可塑性樹脂組成物の特性]硬度は、JIS K63
01規格にもとづき20℃で測定した。
【0062】圧縮永久歪みは、JIS K6301規格
にもとづき70℃、22時間圧縮の条件で測定した。引
張強度(単位:kg/cm2)、引張伸び(単位:%)
は、ASTM D638規格にて1号ダンベルを使用
し、23℃で評価した。加熱時形状保持性は、ダンベル
を80℃の乾燥機に8時間静置し、形状の変化を観察し
た。○(変化無し)、×(明らかに形状変化あり)で評
価した。成形加工性は射出成形時の充填の容易性で判断
した。○(充填比較的容易)、×(充填し難い)で評価
した。上述の硬度、引張強度、引張伸び、加熱時形状保
持性に使用する試験片は、(株)ファナック製FAS1
00B射出成形機を使用し、押出ペレット化と同じシリ
ンダー温度にて成形し、評価に供した。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【発明の効果】表4、5の結果から、実施例1〜11に
代表される本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に軟質性
(硬度が低く)、引張強度、引張伸び、加熱時形状保持
性に優れ、成形も容易である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(メタ)アクリル酸エステル40〜90重
    量%、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族
    ビニル化合物50重量%以下及びこれらと共重合可能な
    単量体0〜30重量%(合計100重量%)を重合して
    なるガラス転移温度が20℃以下であり、かつゲル含量
    が50重量%以下である(メタ)アクリル酸エステル系
    共重体(イ)25〜90重量部と、ガラス転移温度ある
    いは融点が50℃以上の共重合体(ロ)5〜75重量
    部、及びゴム重合体(A)10〜90重量%にビニル単
    量体10〜90重量%を重合してなるグラフト共重合体
    (ハ)0〜70重量部[(イ)、(ロ)、(ハ)合わせ
    て100重量部]からなり、JIS K6301法によ
    る20℃の硬度が30〜100である熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体(ハ)が10〜70重
    量部である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 共重合体(ロ)が、スチレン系樹脂、塩
    化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、、ポリカーボネート
    系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系
    樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性
    樹脂である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 共重合体(ロ)が、シアン化ビニル化合
    物10〜40重量%、芳香族ビニル化合物10〜85重
    量%、マレイミド系単量体0〜50重量%、及びこれら
    と共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量
    %)を重合してなるスチレン系樹脂である請求項1また
    は請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 グラフト共重合体(ハ)が、体積平均粒
    径50〜1000nmのジエン系ゴム重合体、オレフィ
    ン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、シリコン系ゴ
    ム重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のゴム
    重合体(A)10〜90重量部に、芳香族ビニル化合物
    5〜90重量%,(メタ)アクリル酸エステル、シアン
    化ビニル化合物の1種以上10〜95重量%、及びこれ
    らと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重
    量%)からなる単量体混合物10〜90重量部を重合し
    てなる請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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