JPH11335165A - 酸化物イオン混合伝導体とその用途 - Google Patents

酸化物イオン混合伝導体とその用途

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JPH11335165A
JPH11335165A JP10237621A JP23762198A JPH11335165A JP H11335165 A JPH11335165 A JP H11335165A JP 10237621 A JP10237621 A JP 10237621A JP 23762198 A JP23762198 A JP 23762198A JP H11335165 A JPH11335165 A JP H11335165A
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oxide
conductor
conductivity
mixed
ion
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Tatsuki Ishihara
達己 石原
Yusaku Takita
祐作 滝田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い温度範囲にわたって、イオン輸率が0.5
前後の望ましい電子−酸化物イオン混合伝導性を示し、
電気伝導率が非常に高くかつその温度変化が小さい、従
来にない優れた性能を持つ酸化物イオン混合伝導体を実
現する。 【解決手段】 一般式:A1-x Cax Ga1-y y 3 で示
される組成を持つペロブスカイト型酸化物イオン混合伝
導体 (式中、A=Nd、Pr、Sm;B=Co、Fe、Ni、Cu;x
=0.05〜0.3 、y=0.05〜0.3)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト型
構造をとる希土類ガレート系の新規な酸化物イオン混合
伝導体に関する。本発明に係る酸化物イオン混合伝導体
は、非常に高い電子−イオン混合導電性を示し、燃料電
池の電極 (空気極) や空気分離膜等のガス分離膜として
有用である。
【0002】
【従来の技術】電子性荷電粒子 [電子または正孔 (ホー
ル)]とイオン性荷電粒子 (陽または陰イオン) の両方が
電流を運ぶ担体となる物質は混合伝導体と呼ばれる。こ
のような材料の電子性電気伝導率をσe 、イオン性電気
伝導率をσi とすると、σi /(σe +σi ) の値がイ
オン輸率、σe / (σe +σi ) の値が電子輸率であ
り、それぞれ電気伝導に占めるイオン性電気伝導と電子
性電気伝導の割合である。典型的な混合伝導体は、イオ
ン輸率と電子輸率がほぼ等しくなる (即ち、いずれも0.
5 前後である) 。
【0003】混合伝導体は、電気伝導に寄与するイオン
の種類により、アルカリイオン混合伝導体、プロトン混
合伝導体、および酸化物イオン混合伝導体に大別され
る。電池の正極活物質の多くは混合伝導体、特にアルカ
リイオン混合伝導体またはプロトン混合伝導体である。
例えば、リチウムイオン二次電池のカソード材料は、多
くがアルカリイオン混合伝導体である。また、プロトン
混合伝導体には、プロトンの拡散反応により着色するも
のがあり、表示素子として利用されている。
【0004】これに対して、酸化物イオン (O2-) によ
りイオン性電気伝導が発揮される酸化物イオン混合伝導
体には、これまで優れた材料がほとんどなかった。例え
ば、Y2O3、Gd2O3 またはCaO を固溶させたCeO2は、酸化
性雰囲気中では酸化物イオン伝導体 (即ち、酸化物イオ
ン伝導性が支配的) であるが、還元性雰囲気中では、Ce
4+→Ce3+の変化によりn型の電子性電気伝導が現れ、イ
オン輸率が下がって、混合伝導体となることが知られて
いる。この性質を利用して、固体酸化物型燃料電池(SOF
C)の燃料極 (アノード) に使用することが検討された。
しかし、雰囲気によって結晶格子体積が大きく変化する
という問題がある。
【0005】また、還元性雰囲気で混合伝導性を示す材
料は上記のように知られているが、酸化性雰囲気でも優
れた混合伝導性を示す材料はこれまでほとんど知られて
いなかった。このような材料があれば、固体酸化物型燃
料電池の空気極 (カソード)に有用である。
【0006】固体酸化物型燃料電池の空気極は、高温の
10 -15〜10-10 気圧程度以上の酸素分圧の雰囲気下で化
学的に安定で、しかも高い電子性電気伝導を示す材料か
ら構成する必要がある。金属は使用できないので、電子
性電気伝導を持つペロブスカイト型酸化物が使用されて
きた。従来の空気極の材料は、AサイトにSr、Ca、Mgな
どのアルカリ土類金属をドープしたLaMnO3またはLaCoO3
が主である。これらの材料は主として電子性電気伝導を
示す材料であり、イオン性電気伝導は非常に小さいた
め、電極反応が後述するように、空気極、電解質、空気
の3相界面近傍に限られ、空気極での分極が大きくなっ
て、電池の出力が低下する原因となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、還元性雰囲
気から酸化性雰囲気までの広い酸素分圧および600 ℃以
下から1000℃以上という広い温度範囲にわたって、良好
な電子−酸化物イオン混合伝導性を示し、電気伝導率が
高く、その温度変化が小さい、従来にない優れた性能を
持つ酸化物イオン混合伝導体を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ペロブス
カイト型の酸化物イオン伝導体の研究を進める過程で、
ある種の希土類ガレート系ペロブスカイト材料が、広い
温度範囲にわたって他の類似材料より非常に高い電気伝
導率を示し、しかもその伝導率におけるイオン性伝導率
と電子性伝導率が広い温度範囲でほぼ拮抗していること
を見つけ、これが優れた酸化物イオン混合伝導体である
ことを知った。本発明はこの知見に基づくものである。
【0009】ここに、本発明は、下記一般式(a) で示さ
れる組成を持つペロブスカイト型酸化物イオン混合伝導
体である: A1-x Cax Ga1-y y 3 ・・・ (a) 式中、Aは、3価イオンの6配位イオン半径が1.05〜1.
15Åの1種もしくは2種以上のランタノイド金属であ
り、BはCo、Fe、Ni、Cu1種もしくは2種以上であり、
xは0.05〜0.3 、yは0.05〜0.3 である。
【0010】本発明において「酸化物イオン混合伝導
体」とは、電気伝導性に電子性電気伝導とイオン性電気
伝導の両者が関与する材料を意味する。酸化物イオン混
合伝導体としては、電気伝導性のイオン輸率 (イオン性
電気伝導の割合) が 0.1〜0.7の範囲内、特に 0.2〜0.6
の範囲内である材料が好ましい。
【0011】本発明によればまた、上記の酸化物イオン
混合伝導体を空気極に含む固体酸化物型燃料電池、およ
びこの酸化物イオン混合伝導体からなるガス分離膜も提
供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の酸化物イオン伝導体はペ
ロブスカイト型結晶構造を持ち、ABO3 で示されるペ
ロブスカイト型結晶のAサイトを、上記一般式における
A原子とCaが占め、そのBサイトをGaとB原子が占め
る。
【0013】本来は3価金属が占めるA、B両サイトの
うち、Aサイトの一部を2価金属のCaが占め、Bサイト
の一部を2価と3価をとりうる遷移金属が占めることに
より酸素空孔を生じ、この酸素空孔により酸化物イオン
伝導性が生ずる。従って、酸素原子数はこの酸素空孔の
分だけ減少することになる。
【0014】即ち、一般式(a) では酸素原子数が3であ
るように表示されているが、実際には3以下である。上
式における酸素空孔の数は最大で0.3 であるので、正確
な酸素原子数は 2.7〜3の範囲となる。但し、酸素空孔
の数はドープ原子の種類のみならず、温度、酸素分圧、
B原子の種類・量によっても変動するため、正確に表示
することは困難である。そのため、本明細書のペロブス
カイト型材料を示す化学式では、酸素原子比の数値を便
宜上3として表示する。
【0015】一般式(a) において、Aは3価イオンの8
配位イオン半径が1.05〜1.15Åのランタノイド系希土類
金属であり、Bは遷移金属である。即ち、本発明の酸化
物イオン混合伝導体は、ランタノイド・ガレート (AGa
3)を基本構造とし、そのAサイトにCa原子を、Bサイ
トに特定の遷移金属 (B原子) をドープした、4元系
(A+Ca+Ga+B) のペロブスカイト型複合酸化物であ
る。以下では、この複合酸化物を4元系複合酸化物とい
うことがある。
【0016】上記一般式(a) におけるA原子 (即ち、3
価イオンの8配位でのイオン半径が1.05〜1.15Åのラン
タノイド金属) の例としては、Nd (1.11Å) 、Pr (1.13
Å)、Sm (1.08Å) 、Ce (1.14Å) 、Eu (1.07Å) 、Gd
(1.05Å) などが挙げられる(カッコ内の数字は3価イオ
ンの8配位イオン半径) 。Laは、La3+の8配位イオン半
径が1.16Åと大きいので、本発明では使用できない。好
ましいA原子は、Nd、Pr、Smの1種もしくは2種以上で
あり、特にNdが好ましい。
【0017】本発明のペロブスカイト型複合酸化物で
は、Aサイトを占めるA原子のイオン半径が比較的小さ
いため、Aサイトのドープ原子として、このA原子のイ
オン半径に比較的近いイオン半径を持つCaを存在させ
る。Caよりイオン半径の小さい同族原子であるMgは、希
土類ガレート系ペロブスカイトではAサイトではなくB
サイトを優先的に占める。Caよりイオン半径が大きい同
族原子であるSrは、A原子がLaのようにイオン半径の大
きい原子でないと、得られたペロブスカイトの結晶構造
が不安定になる。
【0018】本発明のペロブスカイト型複合酸化物のB
サイトを占める原子はGaであり、そのドープ原子とし
て、Co、Fe、Ni、Cuから選ばれた遷移金属を存在させ
る。BサイトのGaのドープ原子としては、前述したよう
にMgもイオン半径が近く、可能であるが、得られたペロ
ブスカイト型4元系複合酸化物の電子性電気伝導度は非
常に低いものとなる。即ち、Aサイトが上記イオン半径
のランタノイド金属+Caドーパント、BサイトがGa+遷
移金属ドーパントの組合わせの場合だけに、特異的に本
発明の優れた電子−イオン混合伝導性を示すペロブスカ
イト材料が得られるのである。
【0019】図1に、A0.9 0.1 Ga0.90.1 3
同一組成を有し、AがLaまたはNdであり、AがLaの場合
にはMがSr、AがNdの場合はMがCaであり、BがMgまた
はCoである、4種類の4元系ペロブスカイト型複合酸化
物の電気伝導率の温度変化を示す。
【0020】この図からわかるように、 La0.9Sr0.1Ga
0.90.1O3 (AがLa、MがSr) の場合には、B原子がM
gとCoのどちらであっても (▲と△) 、電気伝導率は両
者がほとんど同じ値をとり、温度変化の挙動も低温側で
少し差があるが、似ている。つまり、B原子を代えても
伝導率は同レベルにある。
【0021】これに対して、 Nd0.9Ca0.1Ga0.90.1O3
(AがNd、MがCa) の場合には、B原子がMgである場合
(●) には、上記のLa系材料より電気伝導率が低いのに
対し、本発明に係るB原子がCoである材料の場合 (○)
には、上記のLa系材料より非常に高い電気伝導率を示
す。即ち、この場合には、B原子がMgの場合とCoの場合
で、伝導性のレベルに著しい差異を生じ、B原子がCoの
場合 (即ち、本発明の場合) だけに、特異的に高い伝導
率を示すようになり、温度によっては、他の材料で得ら
れない1Scm-1を超える高い電気伝導率が得られる。
【0022】それだけでなく、電気伝導率の温度変化の
挙動も全く異なる。即ち、B原子がMg (●) では、低温
になるほど (横軸の数値が大きいほど低温) 伝導率が下
がるという、イオン性電気伝導を示す材料に共通する挙
動を示し、その低下率もかなり大きい (オーダーで2
桁) 。一方、B原子がCoである本発明に係る4元系複合
酸化物 (○) では、温度が低下すると伝導率が一旦は増
大し、さらに温度が低下すると伝導率が下がるが、その
伝導率の低下はごく僅かであり、同じオーダーの範囲に
十分にとどまる。この○で示すNd0.9Ca0.1Ga0.9 Co0.1O
3 のプロットの電気伝導率の温度変化だけが、他とは異
なる特異的な挙動を示すことは、この図より明らかであ
る。
【0023】イオン性電気伝導材料では、多くの場合、
伝導率は温度依存性が大きく、温度が低下すると伝導率
も低下するのが普通である。従って、これとは異なる電
気伝導率の温度変化を示す本発明のペロブスカイト型材
料の伝導性には、酸化物イオンによるイオン性電気伝導
だけでなく、電子性電気伝導もかなり寄与していること
が考えられる。
【0024】この点を確かめるために、 Nd0.9Ca0.1Ga
0.90.1O3 (BはMgまたはCo)およびNd0.9Ca0.1Ga
0.850.15O3(BはCo)の4元系複合酸化物のイオン輸
率 (電気伝導性に占めるイオン性電気伝導の割合) を、
酸素濃淡電池の起電力を測定する後述する実施例に記載
の方法により、起電力の測定値/理論値の比として求め
た結果を図2に示す。
【0025】図2に示すように、イオン輸率はいずれも
温度が低下するにつれてやや減少するが、B原子がMgで
ある材料では、イオン輸率は常に0.8 以上であって、イ
オン性電気伝導が支配的 (即ち、酸化物イオン伝導体)
であり、電気伝導性が温度とともに低下するというイオ
ン伝導体を示唆する図1の結果と合致していた。
【0026】一方、B原子がCoである本発明に係る材料
では、イオン輸率はずっと0.5 前後(約0.25〜0.6 の範
囲) にあり、温度が変化してもイオン性電気伝導と電子
性電気伝導とが常にほぼ拮抗するという、理想的な電子
−イオン混合伝導性を示している。この材料は、その電
気伝導性にはイオン性電気伝導と電子性電気伝導の両者
が寄与しており、酸化物イオン混合伝導体であること
は、この図より明らかである。
【0027】上記の本発明に係る4元系複合酸化物材料
(Nd0.9Ca0.1Ga0.9Co0.1O3) の950℃での電気伝導率の
酸素分圧による変化を調べた結果を図3に示す。この材
料の伝導率は酸素分圧が低くなるほど低下する。しか
し、酸素分圧が1気圧 (logPo2=0) の酸化性雰囲気か
ら10-20 気圧以下の還元性雰囲気まで変化する間の伝導
率の変化は1/40とごくわずかである。この図は、この酸
化物材料の電子性電気伝導が正孔により得られるが、そ
れだけではなく、酸化物イオンによるイオン性電気伝導
も大きいことを示唆している。
【0028】なお、酸素分圧の低下による電気伝導率の
低下は、正孔による電子性電気伝導が酸素分圧の低下に
つれて低下するためである。従って、酸素分圧が低いほ
ど、イオン性電気伝導が増大し、逆に酸素分圧が高くな
ると電子性電気伝導が多くなってくる。
【0029】上記のように、本発明のペロブスカイト型
4元系複合酸化物材料の電気伝導性には、正孔による電
子性電気伝導と酸化物イオンによるイオン性電気伝導の
両者がほぼ同程度に寄与し、両者の電気伝導性がいずれ
もかなり大きいために、図1に示すように非常に高い電
気伝導率を与える。図2に示すように、この混合伝導性
は広い温度範囲で示される。従って、この材料は従来に
ない非常に優れた酸化物イオン混合伝導体である。
【0030】各サイトにおけるドープ原子、即ち、Aサ
イトにおけるCa原子の原子比 (x)、またはBサイトに
おけるB原子 (遷移金属) の原子比 (y) が上記の範
囲外になると、本発明の4元系複合酸化物の電気伝導率
が低下あるいはイオン輸率が低下する。
【0031】図4(a) は、Nd1-x Cax Ga0.9 Co0.1 O3
おけるCaの原子比 (x) を変化させた場合の電気伝導率
の変化を示し、Caの原子比が0.05〜0.3(A原子の原子比
が 0.7〜0.95) の範囲を外れると、伝導率が低下するこ
とがわかる。また、図4(b)に示す通り、イオン輸率の
値はCaの原子比が0.05〜0.3 の範囲で 0.3〜0.5 の値を
示す。
【0032】図5(a) は、Nd0.9 Ca0.1 Ga1-y Coy O3
おけるCo (B原子) の原子比 (y)を変化させた場合の
電気伝導率の変化を示す。また、図5(b) は同様にyを
変化させた場合のイオン輸率の変化を示す。Coの原子比
が0.05以上で伝導率はyの値と共に増大する。しかし、
低温においてイオン輸率はyの値の増大とともに顕著に
低下し、Coの原子比が0.3 を越えると600 ℃以下の温度
でイオン輸率が0.1 を下回るようになる。
【0033】上記一般式において特に高い酸化物イオン
混合伝導性が得られる好ましい組成は、次の通りであ
る:A=Nd、Pr、Sm、またはこれらの混合物、特にNd、
B=Co、x=0.05〜0.2 、y=0.08〜0.2 。
【0034】本発明の酸化物イオン混合伝導体は、成分
元素の各酸化物の粉末を所定の配合割合でよく混合した
混合物を適宜手段で成形し、焼結させることにより製造
できる。原料粉末としては、酸化物以外に、焼成中に熱
分解して酸化物になる前駆物質 (例、炭酸塩、カルボン
酸塩等) も使用できる。焼結のための焼成温度は1100℃
以上、好ましくは1200℃以上であり、焼成時間は数時間
ないし数十時間である。焼成時間を短縮するため、原料
混合物を焼結温度より低温で予備焼成してもよい。この
予備焼成は、例えば、 500〜1200℃で1〜10時間程度加
熱することにより実施できる。予備焼成した混合物を、
必要であれば粉砕した後、成形し、最終的に焼結させ
る。成形は、一軸圧縮成形、静水圧プレス、押出し成
形、テープキャスト成形などの適宜の粉体成形手段を採
用できる。予備焼成も含めて焼成雰囲気は、空気等の酸
化性雰囲気か不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0035】本発明の酸化物イオン混合伝導体は、固体
酸化物型 (固体電解質型) 燃料電池(SOFC)の電極、特に
空気極 (カソード) の材料として有用である。その場合
の燃料電池の他の要素、即ち、電解質や空気極 (アノー
ド) の材料は特に制限されない。例えば、電解質として
は、従来より主に使用されてきた安定化ジルコニア、特
にイットリア安定化ジルコニア(YSZ) を使用することが
できる。燃料極はNi金属のほかに、Ni-YSZ、Ni-CeO2
のサーメットも使用できる。
【0036】本発明の酸化物イオン混合伝導体を空気極
とするSOFCにおいて、特に好ましい電解質と燃料極の材
料は次の通りである。
【0037】好ましい電解質材料は、下記一般式(b) で
示されるペロブスカイト型複合酸化物からなる酸化物イ
オン伝導体である。
【0038】 Ln1-x'x'Ga1-y'-z'B1y'B2z'3 ・・・ (b) 式中、Ln=La、Ce、Pr、Nd、Smの1種もしくは2種以
上;A=Sr、Ca、Baの1種もしくは2種以上;B1=Mg、
Al、Inの1種もしくは2種以上;B2=Co、Fe、Ni、Cuの
1種もしくは2種以上;x'=0.05〜0.3 ;y'= 0.025〜
0.29;z'=0.01〜0.15;y'+z'≦0.3 。
【0039】この複合酸化物も、本発明に係る一般式
(a) で示される4元系複合酸化物と同様に、ランタノイ
ド・ガレートを基本組成とするペロブスカイト型結晶構
造のものであるが、この一般式(b) で示される複合酸化
物では、BサイトにB1とB2の2種類のドープ元素を含有
する。
【0040】B2元素の種類により伝導性の温度特性が変
化するので、SOFCの作動温度に応じてB2元素を選択すれ
ばよい。例えば、コジェネレーションとして排ガスによ
るタービン発電を同時に行う場合には、1000℃前後の高
い作動温度が好ましいので、このような高温で高いイオ
ン性電気伝導を示す、B2原子がCoまたFe、特にCoである
5元系複合酸化物を電解質に使用することが好ましい。
一方、作動温度が800℃程度であれば、上記以外にB2原
子がNiであるものも使用でき、さらに作動温度が600 ℃
以下であればB2原子がCuであるものも使用できる。
【0041】SOFCは電解質の抵抗損による電圧降下が大
きく、薄膜ほど高出力が得られる。そのため、電解質の
YSZ は30〜50μm程度の薄膜で使用されている。しか
し、それでもなおYSZ の酸化物イオン伝導度が小さいた
め、実用上十分な性能を得るために約1000℃に加熱する
必要がある。膜厚30μm厚の薄膜YSZ で作動温度1000℃
における実用的な出力密度は、0.35 W/cm2程度と報告さ
れている。これより電池の出力を高くするか、作動温度
を低くするために、数μmないし10μm程度という薄さ
のYSZ 薄膜を使用した実験例が報告されているが、この
ような薄膜では電解質に求められるガス不透過性が不確
実となり、信頼性の面で望ましくない。
【0042】一般式(b) で示される上記の5元系複合酸
化物は、広い温度範囲でYSZ より著しく高い酸化物イオ
ン伝導性を示すため、例えば厚さ0.5 mm (=500 μm)と
いう焼結法で製造可能な厚膜の電解質を用いてSOFCを構
成した場合でも、上記のYSZ薄膜より高い出力を得るこ
とができる。この場合の最大出力密度は、B2原子の種類
や原子比によっても異なるが、30μm厚のYSZ 薄膜を用
いたSOFCと比べて、作動温度1000℃でもこれを凌ぎ、作
動温度800 ℃では数倍 (例、3倍またはそれ以上) も大
きくなる。また、電解質を厚くすると、燃料電池の機械
的強度や寿命が大幅に向上する。或いは、上記の5元系
複合酸化物からなる電解質を厚さ約200μmの膜で用い
れば、600 ℃ないし700 ℃という低温において、30μm
厚のYSZ膜が1000℃で発揮するのと同等の出力密度を得
ることができる。
【0043】また、一般式(b) で示される酸化物イオン
伝導体は、高い酸化物イオン伝導性を示す温度範囲が広
いため、SOFCの作動温度を広げることができる。例え
ば、コジェネレーションとして排ガスによるタービン発
電を同時に行う場合には、1000℃前後の高い作動温度が
好ましい。しかし、例えば 600〜700 ℃程度の低い作動
温度でも、水蒸気或いはその他の排ガスによる発電を同
時に行うことができるため、SOFCの発電効率はそれほど
低下しない。このように作動温度が低くなると、SOFCの
構造材料にステンレス鋼等の鉄鋼材料を使用でき、作動
温度が1000℃前後の場合のNi−Cr合金やセラミックとい
った材料に比べて材料費が著しく低減するという利点も
ある。従来のYSZ では、このような低温で作動させるSO
FCを構築することはできなかったが、本発明によればこ
のような低温作動型から高温作動型まで、使用環境に合
わせて多様なSOFCを構築することが可能となる。
【0044】さらに、電解質を上記の一般式(b) で示さ
れる5元系複合酸化物から構成すると、電解質と空気極
の両方が同じランタノイド・ガレート系のペロブスカイ
ト型複合酸化物に属する同種の物質から構成されること
になる。これに対して、従来のSOFCでは電解質と空気極
が異種の材料から構成される [例えば、電解質がYSZ
で、空気極はLa(Sr)CoO3] 。この場合には、原子レベル
で微視的に見ると、電解質と空気極との界面に両層の材
料が反応して生ずるごく薄い界面層が生成し、その界面
抵抗による電圧損のために出力が低下する。電解質と空
気極を同種の材料から構成することにより、界面層が生
成したとしても界面抵抗が小さくなる。
【0045】界面抵抗の問題に加えて、電解質と空気極
が異種の材料である場合には、両者の熱膨張率が異なる
ため、昇温時や降温時に加わる熱応力が大きくなる。こ
の問題も、電解質と空気極を同種の材料から構成するこ
とにより著しく低減する。
【0046】上記の界面抵抗や熱応力は、電解質と空気
極との間に、これらの2材料の中間の組成を持つ1また
は2以上の中間層を設けて、電解質から空気極に組成が
徐々に変化するようにすると、さらに抑制することがで
きる。
【0047】好ましい燃料極の材料は、(1) Niと、(2)
一般式:Ce1-mm2 (式中、CはSm、Gd、YおよびCa
の1種もしくは2種以上を意味し、m=0.05〜0.4)で示
される化合物とからなるものである。両者の割合は、
(1):(2) の体積比で95:5〜20:80の範囲内が好まし
い。より好ましくはm値が 0.1〜0.3 であり、 (1):
(2) の体積比が90:10〜40:60である。
【0048】SOFCの構造は特に制限されず、円筒型でも
平板型でもよく、また平板型の場合はスタック型と一体
焼結型(モノリス型)のいずれでもよい。いずれの場合
も、電解質層を空気極と燃料極とで挟んだ3層の積層体
(電解質層は片面が空気極層に、他面が燃料極層に接す
る)が基本セル構造になる。電解質層はガス不透過性で
あり、空気極と燃料極の各層は、ガスが通過できるよう
に多孔質である。円筒型の場合には、円筒の内部と外部
に分けて燃料ガス(例、水素)と空気(または酸素)が
別々に供給され、多数の円筒型セルがその外面の一部に
設けたインターコネクタを介して接続される。平板型の
場合には、燃料ガスと空気を別々に供給できる流路を設
けた概ね平板型のインターコネクタを利用してガスが供
給される。このインターコネクタを上記の3層の積層構
造からなる平板型セルと交互に積み重ねて多層化され
る。
【0049】SOFCの電極反応で律速となる反応の1つ
は、次式で示される空気極での酸素のイオン化である。 1/2O2 + 2e- →O2- この反応は、空気極と電解質と空気との界面で起こるた
め、この界面の面積が大きいほど反応量が多くなる。そ
のため、例えば、上記の3層構造物を平板ではなく、波
型にすることがこれまでも行われてきた。
【0050】本発明の好適態様においては、図6に示す
ように、電解質層の両面に凹凸を形成し、この表面凹凸
部に空気極または燃料極の材料を粒子状で付着させたセ
ル構造を利用する。この場合、電解質層の本体部分はガ
ス不透過性とする必要があるが、両面の表面に形成した
凹凸部は多孔質であってもよい。この凹凸部の材料は、
電解質と同じ材料 (即ち、狭義の酸化物イオン伝導体)
でもよいが、好ましくは電子−イオン混合伝導性を示す
材料とする。例えば、空気極側の凹凸部を本発明に係る
酸化物イオン混合伝導体材料から構成することができ
る。その場合、この凹凸部に付着させた個々の粒子は、
従来の空気極材料のような、電子性電気伝導が支配的な
材料から構成することが好ましい。
【0051】このような構造は、電解質層の表面にまず
イオン−電子混合伝導体粒子を焼付け、次にさらにその
表面により微細な電子伝導体粒子を付着させ、焼付ける
ことによって形成することができる。或いは、単にイオ
ン−電子混合伝導体粒子と電子伝導体粒子の混合物を電
解質層の表面に付着させ、焼付けることによっても、一
定の割合で同様の構造を実現することができる。
【0052】従来の空気極の材料は、La(Sr)CoO3、La(S
r)MnO3といった電子性電気伝導が支配的な (イオン輸率
の低い) 電子伝導体であるため、空気中の酸素を酸化物
イオンにイオン化しても、空気極材料の中を通過して電
解質へ酸化物イオンを送り込むとができない。そのた
め、この空気極材料を使用する場合には、図6の空気極
側の表面凹凸部は電解質材料から構成し、空気極材料は
この表面凹凸部に粒子状で付着させることになる。その
場合の酸素のイオン化は、図7(a) に示すように、電解
質層と空気極粒子と空気の3相の界面、即ち、電解質層
と空気極粒子の接合面の外縁(円周)に沿った一次元的
な領域でしか起こらない。その結果、空気極の分極が大
きくなり、SOFCの出力の低下が起こる。また、酸化物イ
オンを取り込むために電解質層が空気と接している必要
があるため、空気極が電解質層を完全に覆うことができ
ず、付着量にも制限がある。従って、空気極の電子性電
気伝導に依存する外部端子への電気的接続も不完全にな
り易い。或いは、十分な電気的接続を得るために、3相
界面を粗に覆って空気極粒子同士をつなぐ導電材料の空
隙に富む架橋構造が必要となるが、その場合にはその空
隙構造がガスの通過に対して抵抗となる。
【0053】これに対し、本発明の空気極の材料はイオ
ン−電子混合伝導性を示すため、この材料それ自体が空
気中の酸素を酸化物イオンにイオン化することができ
る。そのため、上述したように、図6の空気極側の表面
凹凸部を、本発明の酸化物イオン混合伝導体から構成
し、この凹凸部に付着させる個々の粒子を従来の電子伝
導体の空気極材料から構成することができる。その場合
の酸素のイオン化は、図7(b) に示すように、混合伝導
性材料の表面凹凸部と空気の2相の界面、即ち、この材
料の外表面全体という二次元の領域で起こるため、イオ
ン化効率が飛躍的に増大し、空気極の分極が防止できる
ため、SOFCの出力が向上する。イオン化により生成した
酸化物イオンは、この混合伝導性空気極材料の酸化物イ
オン伝導性により空気極材料を伝わって電解質に流れ
る。また、この表面凹凸部を構成する酸化物イオン混合
伝導体は電子性電気伝導も可能であり、外部端子に電気
を流すことができるが、それを助けるために電子伝導体
の粒子を空気極側の凹凸部の表面に付着させる。
【0054】燃料極は、上記のように、Niとセリア系材
料 (Ce1-mm2)から構成することが好ましい。この場
合も、酸化物イオン混合伝導体であるセリア系材料が燃
料極側の表面凹凸部を構成し、その表面の個々の粒子を
電子伝導体であるNiから構成する。この構成により、上
述した空気極の場合と同様に、二次元的な領域でH2への
酸化物イオンの受渡しが行われ、やはりH2O 生成反応の
効率が著しく向上する。
【0055】本発明の酸化物イオン混合伝導体は、ガス
分離膜としても使用できる。例えば、酸化物イオン混合
伝導体からなる分離膜の両側に酸素ガス濃度が異なる2
種類のガスを接触させると、濃度勾配のために高濃度側
から低濃度側に向かって酸化物イオンが膜の内部を移動
すると同時に、反対方向に電子が流れる。その結果、酸
素が1方向に流れるので、酸素分離膜として機能する。
このガス分離膜の場合、電気伝導性が酸化物イオン伝導
性だけでは、酸化物イオンの流れを電気的に補償する電
子が流れないので機能しない。そのため、酸化物イオン
伝導性に加えて、ある程度の電子性電気伝導も有する混
合伝導性を示す材料が必要となる。
【0056】本発明の酸化物イオン混合伝導体は、酸化
物イオン伝導性と電子性電気伝導のどちらも高いので、
ガス分離膜として使用した場合に、単位面積当たりの酸
素の流量が増大し、従って酸素分離効率が向上する。ま
た、600 ℃以下の低温でも酸化物イオン混合伝導性を示
すので、運転コストが低減できる。
【0057】このガス分離膜は、酸素ばかりでなく、例
えば、水やNOX の分解にも使用できる。水の場合、分
離膜の表面で酸素イオンと水素に分解すると、膜の両側
で酸素イオン濃度に差ができ、これが駆動力となって酸
化物イオンの流れができ、水素は流れずに残るので、水
から水素を製造することができる。NOX の場合も、分
解してNOX が無害化され、窒素と酸素に分離される。
【0058】
【実施例】(実施例1)Nd2O3 、CaCO3 、Ga2O3 、および
CoO の各粉末 (いずれも純度は99%以上) を、Nd0.9Ca
0.1Ga0.9Co0.1O3を生ずる割合で配合し、十分に混合し
た後、1000℃で6時間予備焼成した。この予備焼成した
混合物を粉砕し、静水圧プレスにより厚み0.5 mm、直径
15 mm のディスク状に圧縮成形し、成形体を1400℃で6
時間焼成して焼結させた。得られた焼結体の結晶構造を
X線回折により調べたところ、ペロブスカイト型結晶構
造を示し、別の相は認められなかった。
【0059】得られたNd0.9Ca0.1Ga0.9Co0.1O3焼結体の
電気伝導性を、ディスク形の焼結体から切断した直方体
試料に、電極となる白金ペーストを塗布した後、白金線
を接続して 950〜1200℃で10〜60分間焼き付け、任意の
酸素分圧と温度に調整可能な装置内で、直流四端子また
は交流二端子法で抵抗値を測定することにより求めた。
酸素分圧の調整は、O2−N2、CO−CO2 、H2−H2O 混合ガ
スを用いて行い、酸素分圧はYSZ 酸素センサーにより測
定した。
【0060】測定結果は図1および図3に示した通りで
ある。図1に示す他のペロブスカイト型4元系複合酸化
物の焼結体も上と同様にして調製した。図1は酸素分圧
を一定 (10-5 atm) で、温度を変化させた場合の電気伝
導率を示し、図3は温度が一定 (950 ℃) で、酸素分圧
を変化させた場合の電気伝導率を示す。
【0061】上記のNd0.9Ca0.1Ga0.9Co0.1O3焼結体のイ
オン輸率を、仕切りにより試料の両端の雰囲気の一方は
酸素、他方は水素にして、酸素濃淡電池であるH2−O2
池を作製し、この電池の起電力を測定すると共に、同条
件の理論起電力をネルンスト式から求め、起電力の測定
値/理論値の比として求めた。測定結果は図2に示した
通りである。
【0062】既に説明したように、本実施例で得られた
上記組成の焼結体が優れた酸化物イオン混合伝導体であ
ることは図1〜図3より明らかである。
【0063】(実施例2)実施例1と同様にして、Nd
0.9Ca0.1Ga0.85Co0.15O3の焼結体からなる酸化物イオン
混合伝導体を作製した。この複合酸化物の電気伝導度の
温度変化 (アレニウスプロット、酸素分圧10-5 atm)
を、実施例1の材料のプロットと一緒に図8に示す。高
温側では実施例1の材料より電気伝導性が高く、低温側
では実施例1とほぼ同じ電気伝導性を示すことがわか
る。なお、この実施例2の材料のイオン輸率の温度変化
は図2に示されている。
【0064】(実施例3)実施例1と同様にして、A
0.9 Ca0.1 Ga0.9 0.13 なる組成で、AとBの金属
原子を変更した焼結体からなる酸化物イオン混合伝導体
を作製し、その電気伝導率を測定した。酸素分圧10-5 a
tm、800 ℃での伝導率 (σ/Scm-1) は次の通りであっ
た。
【0065】A0.9 Ca0.1 Ga0.9 Co0.13 A=Nd:1.15 =Pr:1.06 =Sm:0.72 Nd0.9 Ca0.1 Ga0.9 0.13 B=Co:1.15 =Fe:0.98 =Ni:0.97 =Cu:0.75 (実施例4)実施例1と同様の方法で、Nd1-X CaX Ga
0.9Co0.1O3 (式中、x=0.05、0.1 、0.15、0.2 、0.25
または0.3)の焼結体から成る酸化物イオン混合伝導体を
作製した。これらの複合酸化物の900 ℃における電気伝
導率 (酸素分圧10-5atm)とイオン輸率を図4(a) および
(b) に示す。
【0066】(実施例5)実施例1と同様の方法で、Nd
0.9 Ca0.1Ga1-yCoy O3 (式中、y=0.05、0.1 、0.15、
0.2 、0.25または0.3)の焼結体から成る酸化物イオン混
合伝導体を作製した。これらの複合酸化物の900 ℃、酸
素分圧10-5atm における電気伝導度を図5(a) に示す。
また、イオン輸率の温度変化の様子を図5(b) に示す。
【0067】
【発明の効果】正孔による電子性電気伝導と酸化物イオ
ンによるイオン性電気伝導の両方を示す本発明に係る酸
化物イオン混合伝導体は、600 ℃以下から1000℃以上に
及ぶ広い温度範囲で大きく変動せずに常に高い電気伝導
率を示し、この温度範囲でイオン輸率が常に0.5 付近に
あるという、酸化物イオン混合伝導体にとって理想的な
伝導特性を示す。
【0068】この酸化物イオン混合伝導体は、従来にな
い優れた電子−酸化物イオン混合伝導性を示し、特に酸
化性雰囲気では正孔による電子性電気伝導が高まるの
で、固体酸化物型燃料電池の空気極に有用であり、それ
によりこの燃料電池の出力特性が改善される。また、こ
の材料は、空気分離膜等のガス分離膜としても有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のペロブスカイト型4元系複合酸化物か
らなる酸化物イオン混合伝導体と類似材料の酸素分圧10
-5atm で測定した電気伝導率の温度による変化を示すグ
ラフである。
【図2】本発明のペロブスカイト型4元系複合酸化物か
らなる酸化物イオン混合伝導体と類似材料のイオン輸率
の温度による変化を示すグラフである。
【図3】本発明の酸化物イオン混合伝導体の950 ℃で測
定した電気伝導率の酸素分圧による変化を示すグラフで
ある。
【図4】本発明の4元系複合酸化物からなる酸化物イオ
ン混合伝導体のAサイトドーパントであるCaの原子比
(x値) と電気伝導率 (900 ℃, Po2 =10-5atm)との関
係を示すグラフ(a) およびイオン輸率(900℃) との関係
を示すグラフ(b) である。
【図5】本発明の4元系複合酸化物からなる酸化物イオ
ン混合伝導体のBサイトドーパントであるCoの原子比
(y値) と電気伝導率 (900 ℃, Po2 =10-5atm)との関
係を示すグラフ(a) およびさまざまな温度におけるイオ
ン輸率との関係を示すグラフ(b) である。
【図6】表面凹凸を設けた固体酸化物型燃料電池のセル
構造の模式的断面図である。
【図7】上記セル構造の電解質層と空気極の界面を示す
説明図である。
【図8】本発明の別の4元系複合酸化物からなる酸化物
イオン混合伝導体の電気伝導性の温度変化を示すグラフ
である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:A1-x Cax Ga1-y y 3 で示
    される組成を持つペロブスカイト型酸化物イオン混合伝
    導体。式中、Aは3価イオンの8配位イオン半径が1.05
    〜1.15Åの1種もしくは2種以上のランタノイド金属で
    あり、BはCo、Fe、Ni、Cuの1種もしくは2種以上であ
    り、xは0.05〜0.3 、yは0.05〜0.3 である。
  2. 【請求項2】 AがNd、BがCoであり、xが0.05〜0.2
    、yが0.08〜0.2 である、請求項1記載の酸化物イオ
    ン混合伝導体。
  3. 【請求項3】 空気極に請求項1または2記載の酸化物
    イオン混合伝導体を含む、固体酸化物型燃料電池。
  4. 【請求項4】 電解質が下記一般式で示される酸化物イ
    オン伝導体からなる、請求項3記載の固体酸化物型燃料
    電池。 Ln1-x'x'Ga1-y'-z'B1y'B2z'3 式中、 Ln=La、Ce、Pr、Nd、Smの1種もしくは2種以上;A=
    Sr、Ca、Baの1種もしくは2種以上;B1=Mg、Al、Inの
    1種もしくは2種以上;B2=Co、Fe、Ni、Cuの1種もし
    くは2種以上;x'=0.05〜0.3 ;y'= 0.025〜0.29;z'
    =0.01〜0.15;y'+z'≦0.3 。
  5. 【請求項5】 燃料極が、(1) Niと、(2) 一般式:Ce
    1-mm2 (式中、CはSm、Gd、Y、Caの1種もしくは
    2種以上を意味し、m=0.05〜0.4)で示される化合物と
    からなる、請求項3または4記載の固体酸化物型燃料電
    池。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の酸化物イオン混
    合伝導体からなるガス分離膜。
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