JP5272572B2 - インターコネクタ用材料、セル間分離構造体および固体電解質形燃料電池 - Google Patents

インターコネクタ用材料、セル間分離構造体および固体電解質形燃料電池 Download PDF

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Description

この発明は、インターコネクタ用材料、そのインターコネクタ用材料を用いて形成されたセル間分離構造体、および、そのセル間分離構造体を備えた固体電解質形燃料電池に関するものである。
一般的に、平板型の固体電解質形燃料電池(固体酸化物燃料電池(SOFC)ともいう)は、各々がアノード(負極、燃料極)、固体電解質およびカソード(正極、空気極)からなる発電要素としての平板状の複数のセルと、複数のセルの間に配置されるインターコネクタ(セパレータともいう)とから構成される。インターコネクタは、複数のセルを相互に電気的に直列に接続し、かつ、複数のセルの各々に供給されるガスを分離するために、具体的にはアノードに供給されるアノードガスとしての燃料ガス(たとえば水素)と、カソードに供給されるカソードガスとしての酸化剤ガス(たとえば空気)とを分離するために複数のセルの間に配置される。
インターコネクタは、固体電解質形燃料電池の作動温度である800℃〜1000℃の高温環境下で、かつ、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であることが必要である。また、インターコネクタ用材料は、導電率が高く、オーム損(IR損)を小さくできる材料が望ましい。
このような要求に応じて、従来から、インターコネクタは、耐熱性の金属材料またはランタンクロマイト(LaCrO)などの導電性のセラミック材料から形成されている。このような導電性材料を用いてインターコネクタを形成すると、一種類の材料で上記の電気的接続とガスの分離という機能を果たす部材を構成することができる。一般的には、インターコネクタ用材料として、Sr、Ca、Mgなどをドープしたペロブスカイト構造のランタンクロマイトなどのセラミックスの緻密体が使用されている。
しかし、ランタンクロマイトを用いてインターコネクタを形成するために従来から採用されている方法として、空気中においてランタンクロマイトを焼結する方法では、ランタンクロマイト粉体中から蒸発した酸化クロムや蒸発しやすい6価のクロムを含む化合物が、蒸発・再凝縮する過程において焼結する。このため、粒子内拡散に起因する緻密化が阻害されて気密な焼結体を得ることができない。
このような問題を解決するために、たとえば、特開平4−119924号公報(以下、特許文献1という)では、セパレータを形成するためのランタンクロマイト原料粉として、組成式La1−xCaCr1−y(x、yの値が0<x≦0.4、0<y≦0.05、y≦xを満足する)で表わされる組成物を主成分とするものが提案されている。このランタンクロマイト原料粉では、クロムを不足させて、そのクロムの蒸発量を少なくして焼結性を向上できるため、気密性に優れたセパレータの実現が可能となり、セパレータとして要求される酸化還元雰囲気などにおける化学的安定性、高い電子伝導性などを得ることができる、と特許文献1に記載されている。
また、Crを含まないインターコネクタ用材料として、たとえば、特開2001−52725号公報(以下、特許文献2という)では、組成式Sr1−xLaTiO(xの値が0<x≦0.3を満足する)で表わされる組成物を主成分とするものが提案されている。
さらに、焼結性が高く、1400℃以下で焼結することが可能で、Crを含まないインターコネクタ用材料として、たとえば、特開2006−185697号公報(以下、特許文献3という)では、組成式(La1−xSr)(Fe1−yTi)O(x、yの値が0≦x≦0.1、0<y<0.5を満足する)で表わされる組成物が提案されている。
特開平4−119924号公報 特開2001−52725号公報 特開2006−185697号公報
ランタンクロマイトは、焼結温度が高く、インターコネクタを形成するために用いると、燃料極、固体電解質、空気極を形成する他の材料と一体的に焼結(共焼結)することが困難であるため、固体電解質形燃料電池の製造効率が悪くなり、製造コストが高くなる。特に、インターコネクタを形成するためにランタンクロマイトを用いると、ランタンクロマイトは、空気極を形成する材料であるランタンマンガナイト((La,Sr)MnO)との反応性が高く、CrとMnの間で相互拡散が起こるため、分解反応が促進されるという問題がある。また、Sr系ランタンクロマイトは、緻密化するためには1600℃以上の高温で焼結する必要がある。この温度では、空気極や燃料極に存在する気孔が消滅したり、空気極や燃料極を形成する材料にてイオンの拡散が顕著になることにより、高い電極特性を得ることができない。
特許文献1で提案されたCa系ランタンクロマイトは、1300℃程度の低温で焼結することにより緻密化することができるが、液相焼結によって焼結されるため、イオンの拡散などが起こり、反応性が高くなるので、燃料極、固体電解質、空気極を形成する他の材料と共焼結することができない。
なお、ランタンクロマイトは、製造時に6価クロムの化合物として、たとえば、SrCrO、CaCrOが生成するため、環境上問題となる。
一方、特許文献2で提案された(Sr,La)TiO系セラミック組成物は、温度900℃の空気中での導電率が0.001S/cm程度と小さいので、インターコネクタ用材料として好ましくない。
また、特許文献3で提案された(La,Sr)(Fe,Ti)O系セラミック組成物は、温度1000℃における抵抗率が高く、すなわち導電率が低いので、インターコネクタ用材料として好ましくない。
そこで、この発明の目的は、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、電子伝導率(導電率)が高く、イオン伝導率が低く、Crを含まない組成で焼結温度を低くすることが可能なインターコネクタ用材料と、それを用いて形成されたセル間分離構造体と、それを備えた固体電解質形燃料電池を提供することである。
この発明に従ったインターコネクタ用材料は、固体電解質形燃料電池において、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルの間に配置され、複数のセルを相互に電気的に直列に接続するインターコネクタの材料であって、組成式(La1-xSrx)(Mn1-yTiy)O3(ただし、x、yはモル比を示し、z=(x−y)/(1−y)とすると、0≦z≦0.2であって、0≦z<0.05のとき2z+0.3<y<0.9、0.05≦z≦0.15のとき0.4<y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.1<y<0.9を満足する)で表わされるセラミック組成物からなる
この発明のインターコネクタ用材料は、上記の限定された組成を有するセラミック組成物からなるので、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、イオン伝導性が低く、電子伝導率(導電率)が高く、焼結温度を1200〜1300℃程度に低くすることができる。
この発明のインターコネクタ用材料は、組成式(La1-xSrx)(Mn1-yTiy)O3(ただし、x、yはモル比を示し、z=(x−y)/(1−y)とすると、0≦z≦0.2であって、0≦z≦0.15のとき0.6≦y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.4≦y<0.9を満足する)で表わされるセラミック組成物からなることが好ましい。
このようにインターコネクタ用材料の組成をさらに限定すれば、1000℃という高い温度の還元雰囲気においても化学的に安定な材料を得ることができる。
この発明に従ったセル間分離構造体は、固体電解質形燃料電池において、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルの間に配置されるセル間分離構造体であって、セル間分離構造体は、複数のセルの各々に供給されるアノードガスとカソードガスとを分離する電気絶縁体と、電気絶縁体内に形成され、かつ、複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体とからなり、電気絶縁体と電気導電体とが共焼結によって形成され、電気導電体が、上記の特徴を有するインターコネクタ用材料から形成されていることが好ましい。
このように構成することにより、固体電解質形燃料電池の作動温度である800℃〜1000℃の高温環境下で、かつ、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるセル間分離構造体を1200〜1300℃程度の低温で共焼結によって得ることができる。
なお、本発明のセル間分離構造体において、電気導電体の一部が、上記の特徴を有するインターコネクタ用材料から形成されていてもよい。この場合、インターコネクタ用材料から形成される部分は、アノード層またはカソード層の側に形成され、アノードガスまたはカソードガスに接触するように形成されてもよく、電気導電体の中間部に形成されてもよい。
このように構成することにより、ガスを透過しない緻密な部分である、上記の特徴を有するインターコネクタ用材料から形成される部分を小さくすることによって、セル間分離構造体の製造時(共焼結時)や固体電解質形燃料電池の運転時に生じる熱応力を緩和することができる。また、上記の電気導電体において電子が流れる経路を構成する材料として、上記の特徴を有するインターコネクタ用材料よりもさらに電気抵抗が小さい材料を選択して用いることができる。
この発明に従った固体電解質形燃料電池は、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルと、複数のセルの間に配置される、上記の特徴を有するセル間分離構造体とを備え、複数のセルとセル間分離構造体とが共焼結によって形成されている。
このように構成することにより、固体電解質形燃料電池の作動温度である800℃〜1000℃の高温環境下で、かつ、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるセル間分離構造体を備えた固体電解質形燃料電池を1200〜1300℃程度の低温で共焼結によって得ることができ、特にインターコネクタと空気極との間の接合界面に絶縁層が形成されることもなく、空気極との接合性が良好なインターコネクタを備えた固体電解質形燃料電池を得ることができる。
以上のようにこの発明によれば、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、イオン伝導性が低く、電子伝導率(導電率)が高く、1200〜1300℃程度の低い温度で緻密化することが可能なインターコネクタ用材料を得ることができる。また、このインターコネクタ用材料を用いることにより、固体電解質形燃料電池の作動温度である800℃〜1000℃の高温環境下で、かつ、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるセル間分離構造体とそれを備えた固体電解質形燃料電池を1200〜1300℃程度の低温で共焼結によって得ることができる。
本願発明者は、固体電解質形燃料電池において、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルの間に配置され、複数のセルを相互に電気的に直列に接続するインターコネクタの材料であって、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、電子伝導率(導電率)が高く、イオン伝導率が低く、Crを含まない組成で焼結温度を低くすることが可能なインターコネクタ用材料を得るために以下のとおり考察した。
まず、導電率が高いセラミック材料に組成式La1−xSrMnOで表わされるものがある。xの値が大きいほど、[Mn4+]/[Mn3+]の存在比率が大きくなり、導電率も高くなり、x=0.5で最高となる。また、x>0.2 (全Mn中の4価のMnの存在比率:[Mn4+]/[Mn]>0.2に相当)では、La1−xSrMnOが、固体電解質を構成するジルコニアと反応して、SrZrOを生成しやすくなることが知られている。なお、xが0.2程度の組成のLa1−xSrMnOは、空気極の材料に使用されている。
しかしながら、La1−xSrMnOは、還元雰囲気中では不安定であり、温度1000℃で酸素分圧p(O)=10−15atm以下では分解するため、インターコネクタの材料としては使用できない。また、還元雰囲気中では、Mn4+はMn3+またはMn2+に価数を減少させるので、イオンサイズの増加によってLa1−xSrMnOの体積が膨張する。このことから、還元雰囲気中における安定性を高めるためには、xの値は小さいほど有利であることが知られている。
一方、組成式SrTiOで表わされるセラミック材料は、ペロブスカイト構造のBサイトにあるTiイオンが価数変動を起こし難いので、還元雰囲気中における安定性が高いことが知られている。ただし、このセラミック材料は電気絶縁体である。
以上の考察に基づいて、本願発明者は、組成式La1−xSrMnOにおいてMnの一部をTiで置換した材料である、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oで表わされるセラミック組成物を固体電解質形燃料電池のインターコネクタ用材料として使用することを検討した。
ここで、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oで表わされるセラミック組成物において、想定される全Mn中の4価のMnの存在比率:[Mn4+]/[Mn]をzで表すと、z=(x−y)/(1−y)となる。これは以下の根拠に基づく。
組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oにおいて、3価のMnの一部が4価のTiで置換されていない状態(y=0)で、3価のLaの一部を2価のSrで置換すると、電荷補償のために3価のMnの一部が4価のMnになると考えられる。したがって、3価のMnの一部が4価のTiで置換されていない状態(y=0)の場合は、z=xである。これに対して、3価のMnの一部が4価のTiで置換される(y>0)と、その分だけ3価のMnは4価のMnになる必要がなくなる。よって、4価のMn量に相当する上記の式の分子は、(x−y)となる。3価のMnの一部が4価のTiで置換されると、Tiの置換量yに応じて全Mn量が減少するので、全Mn量に相当する上記の式の分母は、(1−y)となる。その結果、想定される全Mn中の4価のMnの存在比率:[Mn4+]/[Mn]をzで表すと、z=(x−y)/(1−y)となる。
そこで、本願発明者は、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oで表わされるセラミック組成物を種々の組成比率で作製した。その結果、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)O(x、yはモル比を示し、z=(x−y)/(1−y)とする)で表わされるセラミック組成物において、0≦z≦0.2であって、0≦z<0.05のとき2z+0.3<y<0.9、0.05≦z≦0.15のとき0.4<y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.1<y<0.9を満足するとき、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、イオン伝導性が低く、電子伝導率(導電率)が高く、焼結温度を1200〜1300℃程度に低くすることができることがわかった。
また、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oで表わされるセラミック組成物において、0≦z≦0.2であって、0≦z≦0.15のとき0.6≦y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.4≦y<0.9を満足するとき、1000℃という高い温度の還元雰囲気においても化学的に安定な材料を得ることができることがわかった。
このような本願発明者の知見に基づいて、上記の限定されたセラミック組成物を主成分とすることにより、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、イオン伝導性が低く、電子伝導率(導電率)が高く、1200〜1300℃程度の低い焼結温度で緻密化することが可能なインターコネクタ用材料を得ることができる。なお、[Mn4+]/[Mn]を表すzの上限値を0.2としたのは固体電解質を構成するジルコニアとの反応性を考慮したためである。
さらに、固体電解質形燃料電池において、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルの間に配置されるセル間分離構造体に含まれる電気導電体の材料に、上記のインターコネクタ用材料を用いることができる。セル間分離構造体は、複数のセルの各々に供給されるアノードガスとカソードガスとを分離する電気絶縁体と、電気絶縁体内に形成され、かつ、複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体とからなり、電気絶縁体と電気導電体とが共焼結によって形成される。この電気導電体が、上記の特徴を有するインターコネクタ用材料から形成されることにより、固体電解質形燃料電池の作動温度である800℃〜1000℃の高温環境下で、かつ、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるセル間分離構造体を1200〜1300℃程度の低温で共焼結によって得ることができる。
さらにまた、固体電解質形燃料電池は、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルと、複数のセルの間に配置されるセル間分離構造体とを備え、複数のセルとセル間分離構造体とが共焼結によって形成される。このセル間分離構造体の一部を構成する電気導電体が、上記の特徴を有するインターコネクタ用材料から形成されることにより、固体電解質形燃料電池の作動温度である800℃〜1000℃の高温環境下で、かつ、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるセル間分離構造体を備えた固体電解質形燃料電池を1200〜1300℃程度の低温で共焼結によって得ることができ、特にインターコネクタと空気極との間の接合界面に絶縁層が形成されることもなく、空気極との接合性が良好なインターコネクタを備えた固体電解質形燃料電池を得ることができる。その結果、インターコネクタと空気極との反応による電気抵抗の増加がなくなる。
以下、この発明の実施例について説明する。
まず、以下のようにして、インターコネクタ用材料として、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oで表わされるセラミック組成物のバルク試料を種々の組成比率で作製し、各試料を評価した。
(バルク試料の作製)
組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oにおけるモル比であるxとyの値、想定される全Mn中の4価のMnの存在比率([Mn4+]/[Mn])z=(x−y)/(1−y)の値が表1と表2に示される値になるように、試料番号1〜51の各試料の出発材料として、炭酸ストロンチウム(SrCO)と酸化ランタン(La)、酸化マンガン(Mn)、酸化チタン(TiO)を化学量論に従い秤量し、水を添加してジルコニアボールで粉砕して混合した後、この混合粉を乾燥させて、温度1000℃で仮焼を行った。得られた仮焼粉に有機溶剤とブチラール系バインダーを添加して混合することによってスラリーを作製した。このスラリーからドクターブレード法でシートを成形した。得られたグリーンシートに脱バインダー処理を施した後、グリーンシートを温度1200℃と1300℃で保持することにより、本焼結を行った。得られた各試料を用いて以下に示す評価を行った。
なお、表1と表2において、試料番号1〜5の試料は、yとzがy=0、0≦z≦0.2の範囲内であり、以下の評価(1)〜(4)を行った。試料番号6〜50の試料は、yとzが0.1≦y≦0.9、0≦z≦0.2の範囲内であり、以下の評価(1)〜(4)を行った。試料番号1の試料は、yとzがy=0、z=0であり、以下の評価(5)を行った。試料番号21〜50の試料は、yとzが0.4≦y≦0.9、0≦z≦0.2の範囲内であり、以下の評価(5)を行った。試料番号51の試料は、yとzがy=1、z=0であり、以下の評価(5)を行った。
(インターコネクタ用材料のバルク試料の評価)
(1)X線回折
各試料の仮焼後と本焼結後において、粉末X線回折分析(XRD、CuKα線)を行うことにより、生成相の確認を行った。焼結後、すべての試料においてペロブスカイト構造の単相であることが確認された。
(2)焼結性
本焼結後の各試料の密度をアルキメデス法で測定した。いずれの試料においても温度1200℃と1300℃で焼結した後の相対密度は95%以上であった。表1と表2において、焼結性が良好であることを○印で示す。
(3)導電率
本焼結後の各試料について、温度900℃の大気中(酸化雰囲気)と、温度30℃の加湿水素(H)ガス雰囲気中(酸素分圧:p(O)=10−19atm)(還元雰囲気)の導電率を交流四端子測定法により測定した。yが小さく、xが大きいほど導電率は大きかった。平板状の固体電解質形燃料電池セルで、0.3A/cmの電流密度で発電時、試料の厚みが40μmのとき、オーム損を50mV以下にするためには、導電率が0.025S/cm以上必要である。このことを考慮して、表1と表2では、導電率が0.025S/cm以上のものを○印、0.025S/cm未満のものを×印で示す。
(4)還元安定性
温度30℃の加湿水素(H)ガス雰囲気中(酸素分圧:p(O)=10−19atm)と、温度1000℃の還元雰囲気中(酸素分圧:p(O)=10−17.3atm)と、温度800℃の還元雰囲気中(酸素分圧:p(O)=10−21.1atm)で、各試料を60時間、アニールし、ペロブスカイト構造の単相が分解するかどうかについて粉末X線回折分析で調べた。y<0.6の範囲内にある組成の一部の試料で、ペロブスカイト構造の相と(La,Sr)(Mn,Ti)OおよびMnOの混合相に変化した。また、一部の試料ではアニール後にクラックが生じた。相の分解およびクラックが、温度1000℃の還元雰囲気中でも生じない試料を◎印で、温度800℃の還元雰囲気中で生じない試料を○印で、温度800℃の還元雰囲気中で生じる試料を×印で表1に示す。
(5)イオン伝導性
y≧0.4の範囲内にある組成の試料について、直径が30mm、厚みが10mmのディスク状にグリーンシートを加工した。これらのグリーンシートを焼結した後、焼結体の両面に白金電極を形成した。温度900℃に保持された状態の焼結体の一方の表面に、燃料ガスの酸素分圧に相当する酸素分圧を有する温度55℃の加湿混合ガス(水素ガスと窒素ガスの混合比率が2:1、酸素分圧がp(O)=10−17.4atm)を、焼結体の他方の表面に空気を噴きつけて、水素濃淡電池として起電力を測定した。酸素イオン伝導があれば最大で理論値0.974Vの電圧が生じるが、評価したすべての試料で起電力は生じなかった。表1と表2では、イオン伝導性がないことを無と示す。
Figure 0005272572
Figure 0005272572
図1は、以上のバルク試料の評価に基づいて本発明のインターコネクタ用材料の組成範囲としてyとzの関係を示す図である。
図1に示すように、○印と◎印で示す組成の試料(試料番号21、26〜29、31〜45)は、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)O(x、yはモル比を示す)で表わされるセラミック組成物において、0≦z≦0.2であって、0≦z<0.05のとき2z+0.3<y<0.9、0.05≦z≦0.15のとき0.4<y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.1<y<0.9を満足するときであり、上記のバルク試料の評価に基づいて、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、イオン伝導性がなく、電子伝導率(導電率)が高く、焼結温度を1200〜1300℃程度に低くすることができることがわかった。◎印で示す組成の試料(試料番号31〜34、36〜39、41〜45)は、組成式(La1−xSr)(Mn1−yTi)Oで表わされるセラミック組成物において、0≦z≦0.2であって、0≦z≦0.15のとき0.6≦y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.4≦y<0.9を満足するときであり、上記のバルク試料の評価に基づいて、1000℃という高い温度の還元雰囲気においても化学的に安定な材料を得ることができることがわかった。
(燃料電池試料の作製と発電試験)
次に、インターコネクタ用材料として表2の試料番号33に示す組成のセラミック組成物を用いて、平板状固体電解質形燃料電池の試料を作製し、発電試験を行った。
図2は、平板状固体電解質形燃料電池を構成する各部材を分解して示す分解斜視図、図3は、平板状固体電解質形燃料電池を構成する各シートの積み重ねられた状態を分解して示す分解斜視図、図4は、平板状固体電解質形燃料電池の断面を模式的に示す断面図である。
図2〜図4に示すように、固体電解質型燃料電池1は、アノード層としての燃料極層11、固体電解質層12、および、カソード層としての空気極層13からなる複数のセルと、複数のセル間に配置されるセル間分離構造体とを備える。セル間分離構造体は、複数のセルの各々に供給されるアノードガスとしての燃料ガスとカソードガスとしての空気とを分離する電気絶縁体からなる支持構造体14と、支持構造体14内に形成され、かつ、複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体としてのインターコネクタ15とからなる。作製される固体電解質型燃料電池1の試料では、インターコネクタ15は、表2の試料番号33に示す組成のセラミック組成物を用いて形成される。また、作製される固体電解質型燃料電池1の試料では、単一のセルを備えた電池であり、セルの両側にセル間分離構造体が配置されている。さらに、燃料極層11とインターコネクタ15の間には燃料極集電層31が配置され、空気極層13とインターコネクタ15の間には空気極集電層32が配置される。
まず、図2〜図4に示す固体電解質型燃料電池1の試料を構成する各部材の材料粉末を以下のとおり準備した。
燃料極層11:酸化ニッケル(NiO)60重量%と、添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)40重量%との混合物。
固体電解質層12:添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)。
空気極層13:La0.8Sr0.2MnO60重量%と、添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)40重量%との混合物。
支持構造体14:添加量15モル%のYO1.5と添加量15モル%のTaO2.5で安定化されたジルコニア(ZrO)(電気絶縁材料)。
インターコネクタ15:(La0.36Sr0.64)(Mn0.4Ti0.6)Oの出発材料の仮焼粉。
なお、焼結後、ガス拡散に必要な気孔が十分に形成されるように、燃料極層11と空気極層13のそれぞれの材料粉末100重量部に対してカーボン粉末を20〜40重量部添加した。
次に、以上のように準備された材料を用いて、図2に示すように、燃料極層11、固体電解質層12、空気極層13、支持構造体14、インターコネクタ15のグリーンシートを次のようにして作製した。
各材料粉末と、ポリビニルブチラール系バインダーと、有機溶媒としてのエタノールとトルエンとの混合物(重量比率で混合比が1:4)とを混合した後、ドクターブレード法によりグリーンシートを作製した。
セル間分離構造を構成する支持構造体14のグリーンシートでは、図2にて破線で示すように、複数のインターコネクタ15のグリーンシートを充填するための貫通孔15aを形成した。
また、支持構造体14のグリーンシートでは、それぞれ、図2にて破線で示すように、メカパンチャーにより穴あけ加工を施すことによって、図3に示す燃料ガス供給路21と空気供給路22を形成するための細長い貫通孔21a、22aを形成した。
さらに、燃料極層11、固体電解質層12、空気極層13が配置される支持構造体14のグリーンシートには、それぞれ、燃料極層11、固体電解質層12、空気極層13のグリーンシートを嵌め込むための嵌合部11a、12a、13aを形成した。
さらにまた、燃料極集電層31、空気極集電層32が配置される支持構造体14のグリーンシートには、それぞれ、燃料極集電層31、空気極集電層32のグリーンシートを嵌め込むための嵌合部31a、32aを形成した。なお、燃料極集電層31と空気極集電層32のグリーンシートは、燃料極層11と空気極層13のそれぞれの材料粉末と同じ組成のものを用いて作製した。
以上のようにして作製された支持構造体14のグリーンシートの各々において、貫通孔15aにインターコネクタ15のグリーンシート、嵌合部11a、12a、13aに燃料極層11、固体電解質層12、空気極層13のグリーンシート、嵌合部31a、32aに燃料極集電層31、空気極集電層32のグリーンシートを嵌め込んだ。このようにして得られた5枚のグリーンシートを図3に示すように順に積み重ねた。なお、焼結後の厚みが、燃料極層11:50μm、固体電解質層12:50μm、空気極層13:50μm、インターコネクタ15:200μm、燃料極集電層31:200μm、空気極集電層32:200μmとなるように、各グリーンシートの厚みを設定した。
この積み重ねられたものを1000kgf/cmの圧力、80℃の温度にて2分間、温間静水圧成形(WIP)することにより圧着した。この圧着体を温度400〜500℃の範囲内で脱脂処理を施した後、温度1300℃で3時間保持することにより、焼結した。
得られた固体電解質形燃料電池1の試料を900℃に昇温して、水素ガスと窒素ガスの
混合比率が2:1の混合ガスと、空気とをそれぞれ、燃料ガス供給路21と空気供給路22とを通じて供給して発電試験を行い、開回路電圧(open circuit voltage:OCV)を測定した。開回路電圧は、理論値と等しく、0.974Vであった。発電時において、電流密度が0.3A/cmのとき、インターコネクタ15のオーム損は50mV以下であった。このことから、インターコネクタ15を含む固体電解質形燃料電池1は、共焼結によって、クラックが生じることなく、緻密に形成することができ、特にインターコネクタ15と空気極層13との間に高抵抗層を形成していないことがわかる。
なお、上記の実施例では、図4に示すように、複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体の全体が本発明のインターコネクタ用材料から形成されたインターコネクタ15からなるが、電気導電体の一部が本発明のインターコネクタ用材料から形成されていてもよい。
図5〜図7は、電気導電体の一部が本発明のインターコネクタ用材料から形成されたいくつかの例として平板状固体電解質形燃料電池の断面を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、セル間分離構造体は、複数のセルの各々に供給されるアノードガスとしての燃料ガスとカソードガスとしての空気とを分離する電気絶縁体からなる支持構造体14と、支持構造体14内に形成され、かつ、複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体として、本発明のインターコネクタ用材料からなるインターコネクタ15と、このインターコネクタ15に接続するように形成されたインターコネクタ用導電体16とからなる。インターコネクタ15は、空気極層13の側に形成され、空気に接触するように形成され、具体的には、空気極集電層32を通じて空気極層13に接続されるように形成されている。インターコネクタ用導電体16は、燃料ガスに接触するように形成され、具体的には、燃料極集電層31を通じて燃料極層11に接続されるように形成され、たとえば、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物からなる。
また、図6に示すように、セル間分離構造体は、複数のセルの各々に供給されるアノードガスとしての燃料ガスとカソードガスとしての空気とを分離する電気絶縁体からなる支持構造体14と、支持構造体14内に形成され、かつ、複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体として、本発明のインターコネクタ用材料からなるインターコネクタ15と、このインターコネクタ15に接続するように形成されたインターコネクタ用導電体17とからなる。インターコネクタ15は、燃料極層11の側に形成され、燃料ガスに接触するように形成され、具体的には、燃料極集電層31を通じて燃料極層11に接続されるように形成されている。インターコネクタ用導電体17は、空気に接触するように形成され、具体的には、空気極集電層32を通じて空気極層13に接続されるように形成され、たとえば、ランタンマンガナイト((La,Sr)MnO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物からなる。
さらに、図7に示すように、セル間分離構造体は、複数のセルの各々に供給されるアノードガスとしての燃料ガスとカソードガスとしての空気とを分離する電気絶縁体からなる支持構造体14と、支持構造体14内に形成され、かつ、複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体として、本発明のインターコネクタ用材料からなるインターコネクタ15と、このインターコネクタ15に接続するように形成されたインターコネクタ用導電体16、17とからなる。インターコネクタ用導電体16は、燃料ガスに接触するように形成され、具体的には、燃料極集電層31を通じて燃料極層11に接続されるように形成され、たとえば、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物からなる。インターコネクタ用導電体17は、空気に接触するように形成され、具体的には、空気極集電層32を通じて空気極層13に接続されるように形成され、たとえば、ランタンマンガナイト((La,Sr)MnO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物からなる。インターコネクタ15は、インターコネクタ用導電体16と17の間を接続するように形成されている。
上述したように本発明のセル間分離構造体において、図5〜図7に示すように本発明のインターコネクタ用材料から形成されるインターコネクタ15は、図5または図6に示すように、アノード層としての燃料極層11、または、カソード層としての空気極層13の側に形成され、アノードガスとしての燃料ガス、または、カソードガスとしての空気に接触するように形成されてもよく、図7に示すように電気導電体の中間部に形成されてもよい。
このように構成することにより、ガスを透過しない緻密な部分である本発明のインターコネクタ用材料から形成される部分を小さくすることによって、セル間分離構造体の製造時(共焼結時)や固体電解質形燃料電池の運転時に生じる熱応力を緩和することができる。また、上記の電気導電体において電子が流れる経路を構成する材料として、本発明のインターコネクタ用材料よりもさらに電気抵抗が小さい材料を選択して用いることができる。
たとえば、図5に示されるようなセル間分離構造体のグリーンシートは、次のようにして製造される。まず、支持構造体14用のグリーンシートを作製する。支持構造体14用のグリーンシートに貫通孔を形成し、その貫通孔に、酸化ニッケル(NiO)と8モル%のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とが混合されたペーストを充填する。このペーストは、NiOを80重量部、YSZを20重量部、ビヒクルを60重量部の配合割合で混合し、3本ロールで混錬して作製する。ビヒクルは、エチルセルロースと溶剤の混合物で日新化成株式会社製の商品名EC−200FTRを使用する。一方、インターコネクタ15用のグリーンシートを作製する。そして、上記の貫通孔よりも大きい直径になるように、図2に示すような円板状にインターコネクタ15用のグリーンシートを切断し、この円板状のインターコネクタ15用のグリーンシートを支持構造体14用のグリーンシートの貫通孔部分の空気極側に圧着する。なお、図7に示されるようなセル間分離構造体のグリーンシートを作製するためには、支持構造体14用のグリーンシートを2枚作製し、円板状のインターコネクタ15用のグリーンシートが2枚の支持構造体14用のグリーンシートによって挟まれるように圧着される。
また、上記の実施例では、本発明のインターコネクタ用材料を平板状の固体電解質形燃料電池のインターコネクタ、そのインターコネクタを含むセル間分離構造体に適用した例を説明したが、本発明のインターコネクタ用材料は、円筒形状の固体電解質形燃料電池における円筒外周面の一部に形成されるインターコネクタ、フラットチューブ形状の固体電解質形燃料電池における平坦面に形成されるインターコネクタにも適用することができ、その他、種々の形状のインターコネクタに適用することができる。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものであることが意図される。
酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるとともに、イオン伝導性が低く、電子伝導率(導電率)が高く、1200〜1300℃程度の低い温度で緻密化することが可能なインターコネクタ用材料を得ることができるので、このインターコネクタ用材料を用いることにより、固体電解質形燃料電池の作動温度である800℃〜1000℃の高温環境下で、かつ、酸化雰囲気および還元雰囲気のいずれの雰囲気においても化学的に安定であるセル間分離構造体とそれを備えた固体電解質形燃料電池を1200〜1300℃程度の低温で共焼結によって得ることができる。
バルク試料の評価に基づいて本発明のインターコネクタ用材料の組成範囲としてyとzの関係を示す図である。 実施例で作製された平板状固体電解質形燃料電池の試料を構成する各部材を分解して示す分解斜視図である。 平板状固体電解質形燃料電池を構成する各シートの積み重ねられた状態を分解して示す分解斜視図である。 平板状固体電解質形燃料電池の断面を模式的に示す断面図である。 電気導電体の一部が本発明のインターコネクタ用材料から形成された一つの例として平板状固体電解質形燃料電池の断面を模式的に示す断面図である。 電気導電体の一部が本発明のインターコネクタ用材料から形成されたもう一つの例として平板状固体電解質形燃料電池の断面を模式的に示す断面図である。 電気導電体の一部が本発明のインターコネクタ用材料から形成された別の例として平板状固体電解質形燃料電池の断面を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1:固体電解質形燃料電池、11:燃料極層、12:固体電解質層、13:空気極層、14:支持構造体、15:インターコネクタ、21:燃料ガス供給路、22:空気供給路。

Claims (5)

  1. 固体電解質形燃料電池において、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルの間に配置され、複数のセルを相互に電気的に直列に接続するインターコネクタの材料であって、
    組成式(La1-xSrx)(Mn1-yTiy)O3(ただし、x、yはモル比を示し、z=(x−y)/(1−y)とすると、0≦z≦0.2であって、0≦z<0.05のとき2z+0.3<y<0.9、0.05≦z≦0.15のとき0.4<y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.1<y<0.9を満足する)で表わされるセラミック組成物からなる、インターコネクタ用材料。
  2. 組成式(La1-xSrx)(Mn1-yTiy)O3(ただし、x、yはモル比を示し、z=(x−y)/(1−y)とすると、0≦z≦0.2であって、0≦z≦0.15のとき0.6≦y<0.9、0.15<z≦0.2のとき2z+0.4≦y<0.9を満足する)で表わされるセラミック組成物からなる、請求項1に記載のインターコネクタ用材料。
  3. 固体電解質形燃料電池において、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルの間に配置されるセル間分離構造体であって、
    前記セル間分離構造体は、前記複数のセルの各々に供給されるアノードガスとカソードガスとを分離する電気絶縁体と、前記電気絶縁体内に形成され、かつ、前記複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体とからなり、前記電気絶縁体と前記電気導電体とが共焼結によって形成され、
    前記電気導電体が、請求項1または請求項2に記載のインターコネクタ用材料から形成されている、セル間分離構造体。
  4. 固体電解質形燃料電池において、各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルの間に配置されるセル間分離構造体であって、
    前記セル間分離構造体は、前記複数のセルの各々に供給されるアノードガスとカソードガスとを分離する電気絶縁体と、前記電気絶縁体内に形成され、かつ、前記複数のセルを相互に電気的に接続する電気導電体とからなり、前記電気絶縁体と前記電気導電体とが共焼結によって形成され、
    前記電気導電体の一部が、請求項1または請求項2に記載のインターコネクタ用材料から形成されている、セル間分離構造体。
  5. 各々が順に積み重ねられたアノード層、固体電解質層およびカソード層から構成される複数のセルと、
    複数のセルの間に配置される、請求項3または請求項4に記載のセル間分離構造体とを備え、
    前記複数のセルと前記セル間分離構造体とが共焼結によって形成されている、固体電解質形燃料電池。
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