JP2006073230A - 燃料電池セル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸素極層と燃料極層との間にペロブスカイト型固体電解質層が配置されている燃料電池セルにおいて、前記固体電解質層と前記酸素極層との間に、CeO2とLn2O3(Lnは希土類元素)からなる複合酸化物で構成された中間層が形成されており、前記酸素極層が、第1の酸素極層と第2の酸素極層との2層構造を有し、第1の酸素極層は、前記中間層上に設けられた第2の酸素極層上に位置し、且つペロブスカイト型酸化物から形成され、前記中間層上に設けられた第2の酸素極層は、前記中間層形成用複合酸化物と前記ペロブスカイト型酸化物とから形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1。
Description
(La1−xSrx)(Ga1−yMgy)O3
で表されるランタンガリウムペロブスカイト型酸化物(以下LSGM又はランタンガレートと略す)が注目されており、多くの研究が行われている。
前記固体電解質層と前記酸素極層との間に、CeO2とLn2O3(Lnは希土類元素)からなる複合酸化物で構成された中間層が形成されており、
前記酸素極層が、第1の酸素極層と第2の酸素極層との2層構造を有し、第1の酸素極層は、前記中間層上に設けられた第2の酸素極層上に位置し、且つペロブスカイト型酸化物から形成され、前記中間層上に設けられた第2の酸素極層は、前記中間層形成用複合酸化物と前記ペロブスカイト型酸化物とから形成されていることを特徴とする燃料電池セルが提供される。
(CeO2)1−x(LnO1.5)x
式中、Lnは、La、Sm、Yの少なくとも1種であり、
xは、0.1≦x≦0.3を満足する数である、
で表される組成を有していることが好ましい。かかる組成のCe−希土類元素系複合酸化物を使用することにより、中間層の熱膨張係数を、他のセル構成層である固体電解質層や酸素極層或いは燃料極層等との熱膨張係数に近似させることができ、熱膨張差によるクラックの発生や層剥離を有効に防止することができる。また、このようなCe−希土類元素系複合酸化物は、固体電解質と機能し、イオン導電性と電子伝導性とを有する混合導電体であるため、燃料電池セルの発電性能に悪影響を与えることはない。
図1は、本発明の燃料電池セルの代表的な構造を示す図であり、図1中(a)は、横断面図であり、(b)は部分斜視図である。
図2は、本発明の燃料電池セルの他の例の構造を示す図であり、図2中(a)は、横断面図であり、(b)は部分斜視図である。
図3は、本発明の燃料電池セルにおける発電部分の層構造を示す概略横断面図である。
酸素極層: 1/2O2+2e− → O2− (固体電解質) (1)
燃料極層: O2− (固体電解質)+ H2 → H2O+2e− …(2)
支持基板31は、燃料ガスを燃料極まで透過させるためにガス透過性であること、及びインターコネクタ37を介しての集電を行うために導電性であることが要求される。このことから、支持基板31は、例えば鉄属等の金属成分と特定の希土類酸化物とから支持基板31を構成することが望ましい。
燃料極層32は、前述した式(2)の電極反応を生じせしめるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているセリア(CeO2)と、Ni及び/またはNiOとから形成される。
支持基板31上に設けられている固体電解質層33は、それ自体公知であり、例えば各種のペロブスカイト型酸化物から形成されるが、特にランタンガレート系酸化物が好適に使用される。このランタンガレート系酸化物は、ABO3型のペロブスカイト型酸化物であり、AサイトにLaを有し、BサイトにGaを有している。特に、下記式:
(La,Sr)(Ga,Mg)O3
で表されるように、Laの一部(特に10〜20原子%)がSrで置換され、さらにGaの一部(特に10〜20原子%)がMgで置換されたランタンガレートは、優れた酸化物イオン伝導体であり、このような酸化物によって固体電解質層33を形成することにより、例えば500〜700℃の低温で燃料電池セルを作動させ、高出力を得ることができる。また、上記のランタンガレートは、Ga位置にさらにCo、Fe、Ni、Cu等を1〜20原子%置換することにより、さらにイオン伝導度を高めることができる。
本発明において、固体電解質層33と酸素極層35との間に設けられる中間層34は、CeO2とLn2O3(Lnは希土類元素)からなるCe−希土類元素系複合酸化物により形成される。即ち、このCe−希土類元素系複合酸化物は、固体電解質と機能し、イオン導電性と電子伝導性とを有する混合導電体であるため、燃料電池セルの発電性能に悪影響を与えることがないばかりか、固体電解質層33や後述する酸素極層35のようにペロブスカイト型酸化物を含有せず、各層の結晶構造が異なるため、元素拡散が起こりにくく、その結果として、長時間に亘って発電を行った場合の固体電解質層のイオン伝導性の劣化を防止することができ、燃料電池セルの性能低下を有効に回避することができる。
(CeO2)1−x(LnO1.5)x (3)
式中、Lnは、La、Sm、Yの少なくとも1種であり、
xは、0.1≦x≦0.3を満足する数である、
で表される組成を有していることが好ましい。即ち、希土類元素LnがLa、Sm或いはYであり、且つ上記組成を有するものにより中間層34を形成した場合には、中間層34の熱膨脹係数を他のセル構成部材熱膨張係数に近づけることができため、熱膨張差に起因するクラックの発生や剥離を抑制することができる。
酸素極層35は、通常、ABO3型のペロブスカイト型酸化物から形成されるが、特に本発明においては、この酸素極層35を第1の酸素極層35aと第2の酸素極層35bとの2層構造とすることが重要である。即ち、この第1の酸素極層35aは、中間層34上に設けられている第2の酸素極層35b上に形成され、この第1の酸素極層35aを、ABO3型のペロブスカイト型酸化物から形成し、中間層34に設けられている第2の酸素極層35bを、上記のペロブスカイト型酸化物と中間層34を形成しているCe−希土類元素系複合酸化物とから形成することが重要である。即ち、このような2層構造とすることにより、第2の酸素極層35bが第1の酸素極層35aと中間層34との接着剤層的な役割を果たし、両層の密着強度を高め、これら層の剥離を有効に防止することができ、長期にわたって安定した発電性能を確保することができる。しかも、第2の酸素極層35b中のCe−希土類元素系複合酸化物は、イオン導電性と電子伝導性を有する混合導電体であるため、ペロブスカイト型酸化物と混合されることで所謂3相界面を形成し、酸素極層35中に電子の反応場である3層界面が増加することとなり、燃料電池セル10の出力を高めることができる。従って、第2の酸素極層35b中のCe−希土類元素系複合酸化物としては、中間層34と同様、前記式(3)で表される組成を有するものが好適である。
本発明においては、インターコネクタ37を支持基板31に接合するために、接合層36を設けることができる。かかる接合層36は、Ni金属及び/又はNi金属の酸化物と希土類で安定化したジルコニアからなり、接合層36中の安定化ジルコニア含量は、35乃至45体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65乃至55体積%であるのがよい。即ち、燃料極層32のNi含有量より接合層36中のNi含有量の方を大きくすることで、接合層36による電位降下を小さくすることができるため、発電性能の低下を回避することができる。
上記の酸素極層32に対面するように、支持基板31上に設けられているインターコネクタ37は、導電性セラミックスからなるが、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、かかる導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用される。また、支持基板31の内部を通る燃料ガス及び支持基板31の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。
また、図1に示されているように、インターコネクタ37の外面(上面)には、P型半導体層38を設けることが好ましい。即ち、この燃料電池セルから組み立てられるセルスタック(図示せず)では、インターコネクタ37には、導電性の集電部材が接続される。この集電部材を、P型半導体層38を介してインターコネクタ37に接続させることにより、接触抵抗による電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となり、例えば、一方の燃料電池セル30の酸素極層35からの電流を、他方の燃料電池セル30の支持基板31に効率良く伝達できる。このようなP型半導体としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。具体的には、インターコネクタ37を構成するLaCrO3系酸化物よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができ、特に酸素極層35の形成に使用されている材料から形成することが望ましい。
本発明においては、燃料極層32と固体電解質層33との相互元素拡散による界面抵抗層の形成を回避するために、燃料極層32上に反応防止層39を設けることが好ましい。この反応防止層39は、Laが固溶したCeO2、又はCeが固溶したLa2O3、あるいはそれらの混合体から形成される。このような複合酸化物は、一般に、下記式(4):
(CeO2)1−y(LaO1.5)y (4)
式中、yは、0.3<y≦0.6を満足する数である、
であらわされる組成を有していることが、燃料極層32から固体電解質層33へのNiの拡散を遮断または抑制する効果を高くできるという点で好ましい。特に式(4)中のyの値が0.35≦y≦0.45の範囲にあるものは、反応防止層39の熱膨脹係数を他のセル構成部材の値に近づけることができ、熱膨張差に起因するクラックの発生や剥離を抑制することができるという点で最も好適である。
また、本発明においては、P型半導体層38の上面及び酸素極層35の上面には、集電補助層40を設けることが好ましい。即ち、この燃料電池セルから組み立てられるセルスタック(図示せず)では、インターコネクタ37には、導電性の集電部材が接続されるが、集電部材をP型半導体層38に接続すると、接触抵抗が大きいため、電位降下が大きくなってしまい、集電性能が低下してしまう。しかるに、集電部材を、集電補助層40及びP型半導体層38を介してインターコネクタ37に接続させることにより、接触抵抗が小さくなり、電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となり、例えば、一方の燃料電池セル30の酸素極層35からの電流を、他方の燃料電池セル30の支持基板31に効率良く伝達できる。このような集電補助層40としては、貴金属を例示することができ、特に酸素含有ガス雰囲気下で酸化され難く、高融点であるPt、Ag、Pd等により集電補助層40を形成することが好適である。このような集電補助層40の厚みは、一般に、10〜80μmの範囲にあることが好ましい。
以上のような構造を有する燃料電池セルは、以下のようにして製造される。
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と平均粒径0.9μmのY2O3粉末とを、焼成―還元後における体積比率をNiが48体積%、Y2O3が52体積%となるように混合し、有機バインダーと溶媒にて作製したスラリーを押し出し成型法にて成形し、乾燥、脱脂して支持基板成形体を作製した。
(La0.6Sr0.4)(Co0.6Fe0.4)O3粉末:6464と略す。
(La0.6Sr0.4)(Co0.2Fe0.8)O3粉末:6428と略す。
31・・・支持基板
31a・・・燃料ガス通路
32・・・燃料極層
33・・・固体電解質層
34・・・中間層
35a・・・第2酸素極層
35b・・・第1酸素極層
Claims (7)
- 酸素極層と燃料極層との間にペロブスカイト型固体電解質層が配置されている燃料電池セルにおいて、
前記固体電解質層と前記酸素極層との間に、CeO2とLn2O3(Lnは希土類元素)からなる複合酸化物で構成された中間層が形成されており、
前記酸素極層が、第1の酸素極層と第2の酸素極層との2層構造を有し、第1の酸素極層は、前記中間層上に設けられた第2の酸素極層上に位置し、且つペロブスカイト型酸化物から形成され、前記中間層上に設けられた第2の酸素極層は、前記中間層形成用複合酸化物と前記ペロブスカイト型酸化物とから形成されていることを特徴とする燃料電池セル。 - 前記中間層を構成する複合酸化物は、下記式:
(CeO2)1−x(LnO1.5)x
式中、Lnは、La、Sm、Yの少なくとも1種であり、
xは、0.1≦x≦0.3を満足する数である、
で表される組成を有している請求項1に記載の燃料電池セル。 - 前記中間層の厚みが10μm以下である請求項1または2に記載の燃料電池セル。
- 前記固体電解質層がランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物から形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 前記燃料極層が導電性支持基板上に設けられており、該燃料極層上に、前記固体電解質層、中間層及び酸素極層が設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 第2の酸素極層の気孔率Bと第1の酸素極層の気孔率Aとの気孔率比B/Aが、0.5よりも低く、第2の酸素極層の厚みCが第1の酸素極層の厚みDよりも薄く、且つ第2の酸素極層の厚みDが35〜85μmである請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池セルの複数を電気的に直列に接続してなる少なくとも1個のセルスタックを収容容器に収容してなることを特徴とする燃料電池。
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