JPH11334014A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JPH11334014A
JPH11334014A JP14459498A JP14459498A JPH11334014A JP H11334014 A JPH11334014 A JP H11334014A JP 14459498 A JP14459498 A JP 14459498A JP 14459498 A JP14459498 A JP 14459498A JP H11334014 A JPH11334014 A JP H11334014A
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film
less
biaxially oriented
polyester
oriented laminated
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JP14459498A
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English (en)
Inventor
Yukari Nakamori
ゆか里 中森
Shoji Nakajima
彰二 中島
Iwao Okazaki
巌 岡崎
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粘着斑や表面うねりのない、磁気記録媒体用基
材フィルムとして優れたフィルムを提供することを目的
とする。 【解決手段】少なくとも2層以上の積層構成をとる二軸
配向積層ポリエステルフィルムであって、一方の表面の
中心線表面粗さRaが9nm以下、表面突起間隔Smが
15μm以下であり、他方の表面の中心線表面粗さが9
nmより大きく30nm以下、表面突起間隔Smが15
μm以下、両表面の突起の80%以上が両表面層を構成
するポリエステルの結晶によって形成されている二軸配
向積層ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二軸配向積層ポリエ
ステルフィルム、特に、表面に微細な突起を緻密に形成
した二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】製造法の工夫により、ポリエステルの結
晶によって表面突起を形成した表裏の表面粗さが異なる
フィルム(例えば特開平6−320694号公報)が知
られている。
【0003】しかしながら、上記従来の二軸配向積層ポ
リエステルフィルムでは、未延伸フィルムの熱処理温度
に差を持たすことによって表裏の表面粗さを変えていた
が、表面粗さが高い面側の熱処理温度が高温となるため
にロール上で粘着が発生したり、基層部のポリエステル
層までもが熱処理の影響を受けることによって、表面に
うねりが発生したりするという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決し、表面欠点のない、磁気記録媒体用基材として有
用なフィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的にそう本発明の
二軸配向積層ポリエステルフィルムは、少なくとも2層
以上の積層構成をとる二軸配向積層ポリエステルフィル
ムであって、一方の表面の中心線表面粗さRaが9nm
以下であって表面突起間隔Smが15μm以下であり、
他方の表面の中心線表面粗さが9nmより大きく30n
m以下であって表面突起間隔Smが15μm以下であ
り、両表面の突起の80%以上が両表面層を構成するポ
リエステルの結晶によって形成されている二軸配向積層
ポリエステルフィルムからなる。
【0006】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明の二軸配向積層
ポリエステルフィルムは、少なくとも2層以上の積層構
成をとる必要がある。2層以上であれば3層でも4層で
も構わないが、安定製膜性(延伸性)、フィルムの強度
の点から3層積層が好ましい。
【0007】本発明の一方の表面層Aは、表面の中心線
表面粗さRaが9nm以下、表面突起間隔Smが15μ
m以下である。好ましくは、表面の中心線表面粗さRa
が6nm以下、表面突起間隔Smが10μm以下であ
る。
【0008】本発明の他方の表面層Cは、表面の中心線
表面粗さRaが9nmより大きく30nm以下、表面突
起間隔Smが15μm以下である。好ましくは、表面の
中心線表面粗さRaが12nm以上20nm以下、表面
突起間隔Smが10μm以下である。
【0009】両表面層のRaおよびSmをそれぞれ本発
明の範囲内とすることによって、磁気記録媒体、特に、
デジタル記録方式の磁気テープとしたときの走行性と出
力特性を高いレベルで両立できる。
【0010】本発明の両表面層を構成するポリエステル
の結晶化指数ΔTcgは60℃以下であることが好まし
い。ΔTcgが60℃以下のものとすることにより、本
発明の目標とする表面形態が得られ易くなる。
【0011】また、表面層Cを構成するポリエステルの
結晶化指数ΔTcgが表面層Aを構成するポリエステル
の結晶化指数ΔTcgよりも小さいことが好ましく、Δ
Tcgの差(表面層A−表面層C)が10℃以上である
ことがさらに好ましい。両表面層の結晶化指数ΔTcg
を特定の範囲にそれぞれ調節することによって、表裏の
表面形態を効率よく調節することができる。
【0012】本発明の二軸配向積層フィルムの両表面層
の表面突起の80%以上は、該表面層を構成するポリエ
ステルの結晶によって形成される。表面突起の多くは、
本質的に、粒子によって形成されるのではなく、特定の
結晶化指数ΔTcgを有するポリエステル自身の結晶化
を利用して形成される。従って、粒子を添加する場合は
ボイド発生の問題が起こるが、本発明のフィルムは、ボ
イド発生が著しく低減するため、破壊されにくい表面突
起を形成することができるので、耐摩耗性が向上する。
【0013】また、フィルムの製造方法を調節し、表面
層を構成するポリエステルの結晶については、未延伸フ
ィルム中での直径を1μm未満となるようにすることに
よって、緻密で極めて突起高さの揃った表面を得ること
ができるので、ドロップアウトの原因となる粗大突起が
極めて減少する。該球晶の大きさは、より好ましくは
0.3μm〜0.85μmである。該球晶の大きさを調
節する方法としては、表面層を構成するポリエステルの
種類によって異なり、特に限定されないが、未延伸フィ
ルムを延伸するときの前処理として、熱処理を施し、こ
の熱処理温度と処理時間を調節する方法、口金からシー
ト状に押し出したフィルムのキャスト条件を調節する方
法、該ポリエステルの積層厚みを変更する方法、結晶化
指数ΔTcgを60℃以下に調節する方法等が好ましい
方法として挙げられ、これらの適切な組み合わせによっ
て球晶の大きさを調節することができる。
【0014】本発明の二軸配向積層フィルムの表面突起
がポリエステルの結晶に起因するものか否かについて
は、対象となる突起の下をフィルム厚さ方向に適当な溶
媒でエッチングしていき、その突起を形成する起因物が
不溶物として残存する場合は、外部から添加された粒
子、あるいは、内部析出した粒子とする(I)。不溶物
として残存するものが実質的になかった場合は、その突
起を形成する起因物は微細結晶であると推定できる(I
I)。上記の溶媒としては、例えば、フェノール/四塩
化炭素(重量比:6/4)の混合溶媒などが好ましく用
いられる。この方法で視野を1mm2とした時のIの頻
度、IIの頻度を求め、II/(I+II)の値を結晶
起因の突起の割合として用いることができる。ただし、
表面突起がポリエステルの微細結晶からなるものか否か
の判定法については、上記の方法に限定されるものでは
なく、適切な方法、例えば、SEM−XMAやTEM、
プラズマエッチング、フィルム中のボイド測定等から選
択することもできる。
【0015】表面層を構成するポリエステルは特に限定
されないが、エチレンテレフタレ−ト、エチレン2,6-ナ
フタレ−ト、プロピレンテレフタレート、エチレンα,
β−ビス(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4'-ジカルボ
キシレ−ト単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位
を主要構成成分とする場合が好ましく、特に、エチレン
テレフタレ−トを繰り返し単位に85モル%以上含有す
るポリエステルの場合が好ましい。また、ポリエステル
Aの結晶化指数ΔTcgが10〜60℃、好ましくは2
0〜50℃の範囲の場合に、本発明の表面形態が得やす
く、また、耐削れ性も一層良好となるので好ましい。こ
のような結晶化指数の小さなポリエステルとしては、結
晶核剤効果により結晶化速度が速くなるように調整した
ポリエステルなどが好ましい。例えば結晶核剤効果を高
め、結晶化指数ΔTcgの小さいポリエステルを得るた
めには、エステル交換、重合時に酢酸リチウム、酢酸マ
グネシウム、酢酸カリウム、亜リン酸、ホスホン酸、ホ
スフィン酸あるいはそれらの誘導体、酸化アンチモン、
酸化ゲルマニウムを存在させることが有効である。特に
望ましい組み合わせは、酢酸マグネシウムとホスホン酸
(またはその誘導体)および酸化アンチモンであり、ホ
スホン酸(またはその誘導体)としては、フェニルホス
ホン酸、ジメチルフェニルホスホネートなどが挙げられ
る。また、分子の可動性を高め、結晶化速度が速いポリ
エステルを得るためには、柔軟可動成分を少量添加もし
くは共重合することが有効である。ここで柔軟可動成分
とは、長い柔軟鎖を主鎖に持ち、ポリエステルと親和性
の高い、もしくは共重合可能な長鎖脂肪族のジカルボン
酸、長鎖脂肪族のジオール、ポリアルキレングリコール
をいい、このような成分としてポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ールなどのポリアルキレングリコールを用いることが特
に有効である。中でも特に、数平均分子量が1000以
上50000以下、好ましくは3000以上30000
以下のポリエチレングリコールを、ポリエステルに対し
て0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.
1重量%以上5重量%以下の範囲で用いることが好まし
い。ただし、ポリエステルAの製造方法は上記になんら
限定されるものではない。なお、本発明の目的を阻害し
ない範囲内で、二種以上のポリエステルを混合してもよ
い。
【0016】本発明の二軸配向積層フィルムの両表面層
の各々における最大高さRtと中心線表面粗さRaの
比、Rt/Raは12以下であることが好ましく、より
好ましくは10以下である。両表面層の各々におけるR
t/Raの比をかかる範囲内とすることによって、工程
内での耐削れ性や巻姿が向上すると共に、磁気記録テー
プとしたときの出力特性が向上する。
【0017】本発明の二軸配向積層フィルムは特定の大
きさを有するポリエステルの球晶を利用して、延伸する
ことによって、粒子を含有するフィルムと同様に、フィ
ルム表面に突起を形成することができるが、該球晶が、
延伸時に変形するためか、あるいは、延伸方向に分子鎖
に沿って成長するためかはっきりしないが、線状の突起
のつながり(網目状)となるので、極めて突起が緻密か
つ均一な突起高さとなる。
【0018】本発明の二軸配向積層フィルムは、ポリエ
ステルの球晶を利用して突起形成したものであるが、少
なくとも一方の表面層において粒子数が3000個/m
2未満の範囲内であれば、粒子を含有しても構わな
い。この場合、本発明の特徴面を阻害しない範囲内であ
れば、含有する粒子としては特に限定されないが、平均
粒径が0.005〜1.5μmの不活性無機粒子や有機
粒子が好ましい。
【0019】本発明の二軸配向積層フィルムは、表面層
を構成するポリエステルの積層厚さは0.01μm以上
2μm以下であることが好ましく、0.05μm以上1
μm以下であることがより好ましい。表裏の厚みは同じ
であっても異なっていてもかまわない。積層厚みがかか
る範囲内であると、球晶の大きさを本発明の範囲内に調
節することができ、また、本発明の表面形態が効率よく
得られるので好ましい。さらに必要であれば、易接着
性、帯電防止性を付与するために、少なくとも片面にコ
ーティング層を設けてもよい。
【0020】次に、本発明フィルムの製造方法の具体例
について説明する。
【0021】中間層に用いるポリエステルBと、結晶化
指数ΔTcgが60℃以下のポリエステルA,Cをそれ
ぞれ乾燥した後、3台の公知の溶融押出機に別々に供給
して、3層のマニホールドまたは合流ブロックを用い
て、ポリエステルA,Cがフィルムの最外層を構成する
ように積層した、3層構成の溶融押出フイルムを、静電
印加キャスト法を用いて、冷却金属ロール表面を10℃
〜60℃で冷却し、未延伸フィルムを作る。
【0022】次に未延伸フィルムの片面に熱処理を施
し、その後に二軸延伸を行うことが本発明の特徴面を効
率的に得るのに特に有効な方法である。ここで未延伸フ
ィルムとは、口金から押し出された直後の冷却固化され
る前の状態から、冷却固化後、一軸方向にわずかに微延
伸(2倍程度まで)されたものまでを指す。この熱処理
の目的は、延伸前のフィルム中に特定の球晶を形成する
ことであり、処理方法としては、1.押出し直後の温度
の高いフィルムを徐冷することにより結晶化させる方
法、2.一旦冷却、固化したフィルムを、ポリエステル
A,Cのガラス転移温度Tg以上、かつ融解温度Tm以
下で、未延伸フィルムを予熱ロール上で再加熱して結晶
化させる方法、3.一軸方向に微延伸させた状態で加熱
処理する方法4.未延伸フィルムを冷却ロールと接触す
る面と反対の面から熱風または、赤外線ヒータによる輻
射熱を用いる方法などがあるが、これらの方法に限定さ
れるものではない。これらの方法の少なくとも一つをフ
イルムの製膜プロセスのなかで実施し、目標とする表面
形態を得ることができるが、これらの方法を二つ以上併
用して、フイルムの製膜プロセスのなかで実施してもよ
い。
【0023】本発明において、球晶の大きさを1μm以
下とするために、冷却固化した未延伸フィルムを、長手
方向の延伸前に熱処理ロールを用いて、表面材質として
は非粘着性のテフロン、あるいはシリコンゴムのロール
表面上でフィルム温度が135℃〜150℃以下で1〜
10秒間の熱処理を施すことが特に有効である。この熱
処理温度が低すぎると、表層部ポリエステルA、Cの結
晶化が十分でなく、結晶に起因する突起が形成されなく
なり、逆に、予熱温度が高すぎると、球晶が大きくなり
すぎ本発明の特徴面を形成することが困難となったり、
表層ポリマがロール表面と粘着しやすくなり、表面欠点
が発生し易くなるので好ましくない。
【0024】長手方向の延伸は、通常ロールを用いて行
われるが、予熱、延伸ロール群の表面材質としては非粘
着性のテフロン、あるいはシリコンゴム等が好ましい。
長手方向の延伸温度を好ましくは80〜150℃、より
好ましくは90〜130℃とすることが本発明の目的と
するフィルムを得るのに有効である。延伸温度がこの範
囲をはずれると延伸斑や面粗れが起こることがある。ま
た、このポリエステルA、C層の厚みは、特に限定され
ないが、0.01μm〜2μm、好ましくは、0.05
μ〜1μmの範囲であることが本発明のフィルム表面を
得るのに有効である。長手方向の延伸倍率は3段階以上
に分けて、総延伸倍率を2〜6倍とするのが好ましく、
さらには2.5〜5倍の範囲とすることが好ましい。
【0025】幅方向の延伸は、公知のテンターを用い
て、90〜160℃、好ましくは100〜150℃の延
伸温度で3〜7倍、好ましくは3.2〜6.5倍、幅方
向の延伸速度は3000〜30000%/分の範囲で行
うのが望ましい。幅方向の延伸条件をこの範囲とするこ
とは、本発明の耐削れ性と強度を有効に得るのに特に好
ましい。さらに、この二軸延伸フィルムを再度縦、幅方
向に延伸を行うことは、本発明の目的とするフィルムを
得るのに効果的であり、さらにヤング率の高いフィルム
とするためにも有効である。この場合の延伸倍率は、
1.1〜1.9倍にすることが好ましい。これらの範囲
を外れると、強度が不十分となり、均一な延伸ができな
くなったり、緻密で均一な突起高さのフィルム表面もで
きなかったりすることがある。
【0026】次にこの延伸フィルムを熱処理する。この
場合の熱処理温度は180〜250℃、特に200〜2
20℃であることが好ましい。
【0027】本発明の用途は特に限定されないが、工程
内での耐摩耗性が要求され、削れによる粉発生が少ない
ことが要求されるような用途、例えば、磁気材料や包装
材料、コンデンサや電気絶縁用のフィルム、ラベル、カ
バーフィルム、反射シートなどが挙げられる。特に、平
滑性を要するデジタル記録方式の磁気記録媒体に最適で
ある。
【0028】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】本発明にお
ける特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通り
である。
【0029】(1)中心線平均粗さRa、最大高さR
t、突起間隔Sm 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て、中心線平均粗さRa、突起間隔Sm、最大高さRt
を測定した。条件は下記のとおりであり、フィルム幅方
向に走査して20回測定を行った平均値をもって値とし
た。
【0030】・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm なお、Ra、Rt、Smなどの定義は、奈良治郎著「表
面粗さの測定・評価法」(総合技術センター、198
3)に示されているものである。
【0031】(2)粒子の含有量 顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組
成分析を行い、ポリエステルのカルボニル基に起因する
ピークと、ポリエステル以外の物質に起因するピークの
比から求めた。なお、ピーク高さ比を重量比に換算する
ために、あらかじめ重量比既知のサンプルで検量線を作
成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対する
ポリエステル比率を求めた。また、必要に応じてX線マ
イクロアナライザーを併用した。また、ポリエステルは
溶解し粒子は溶解させない溶媒が選べる場合は、ポリエ
ステルを溶解し、粒子をポリエステルから遠心分離し、
粒子の重量百分率を求めた。
【0032】(3)フィルムの表層部分の粒子含有量 フィルムを幅1/2インチにテープ状にスリットしたもの
を用い、ポリエステルAが積層されている側の表面に片
刃を垂直に押しあて、さらに0.5mm押し込んだ状態
で20cm走行させる(走行張力:500g、走行速
度:6.7cm/秒)。このとき片刃の先に付着したフ
ィルム表面の削れ物の粒子含有量を上記粒子含有量の測
定法に従って求めた。
【0033】(4)粒子の平均粒径と粒子個数 フィルムからポリエステルをプラズマ灰化処理法で除去
し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化される
が粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像
をイメージアナライザーで処理する。SEMの倍率はお
よそ2000〜10000倍、また1回の測定での視野
は一辺がおよそ10〜50μmから適宜選択する。観察
箇所を変えて100視野以上について、粒径との体積分
率から、次式で体積平均径dを得る。 d=Σdi・Nvi ここでdiは粒径、Nviはその体積分率である。
【0034】粒子数は、100以上の観察箇所につい
て、粒子の個数をカウントし、得られた値をmm2あた
りに換算する。
【0035】粒子が有機粒子等で、プラズマ低温灰化処
理法で大幅にダメージを受ける場合には、以下の方法を
用いてもよい。すなわち、フィルム断面を透過型電子顕
微鏡を用い、3000〜100000倍で観察する。T
EMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて50
0視野以上測定し、上記の式から体積平均径dや、粒子
数を求める。
【0036】(5)結晶起因の突起の割合 フィルム断面を透過型電子顕微鏡を用い、3000〜2
00000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100
nmとし、場所を変えて500視野以上測定し全突起数
と粒子起因による突起数を求めて結晶起因の突起の割合
とした。
【0037】また、対象となる突起の下をフィルム厚さ
方向に適当な溶媒でエッチングしていき、その突起を形
成する起因物が不溶物として残存する場合は、外部から
添加された粒子、あるいは、内部析出した粒子とする
(I)。不溶物として残存するものが実質的になかった
場合は、その突起を形成する起因物は微細結晶であると
推定できる(II)。上記の溶媒としては、例えば、フ
ェノール/四塩化炭素(重量比:6/4)の混合溶媒な
どが好ましく用いられる。この方法で視野を1mm2
した時のIの頻度、IIの頻度を求め、II/(I+I
I)の値を結晶起因の突起の割合として用いることもで
きる。
【0038】(6)耐摩耗性、摩擦係数 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を用いてステンレス製ガイドピン
(表面粗度:Raで100nm)上を走行させる(走行
速度250m/分、巻き付け角60゜、入側張力50
g、走行回数1回)。このとき、フィルムに入った傷を
顕微鏡で観察し、幅2.5μm以上の傷がテープ幅あた
り2本未満は優、2本以上10本未満は良、10本以上
は不良と判定した。優が望ましいが、良でも実用的には
使用可能である。
【0039】また、このときの初期のμkを下記の式よ
り求めた。
【0040】μk=3/πln(T/50) ここで、Tは出側の張力である。このμkが0.3以下
だと滑り性良好、0.3を越えると滑り性不良と判断し
た。このμk値0.3は、印刷工程など加工工程で滑り
性不良によるトラブルが発生するか否かの臨界点であ
る。
【0041】(7)積層厚さ 透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加
速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(R
uO4染色)で観察し、その界面をとらえ、その積層厚
さを求める。倍率は、判定したい積層厚さによって選ぶ
ことが通常であり、特に限定されないが、1万〜10万
倍が適当である。
【0042】 (8)ポリエステルA、Cの結晶化指数ΔTcg フィルムを幅1/2インチにテープ状にスリットしたも
のを用い、ポリエステルAが積層されている側の表面に
片刃を垂直に押しあて、さらに0.5mm押し込んだ状
態で20cm走行させる(走行張力:500g、走行速
度:6.7cm/秒)。このとき片刃の先に付着したフ
ィルム表面の削れ物を10mg集めて試料とした。1回
の走行で削れ物が10mgに満たない場合は別のフィル
ムを用いて同じ操作を行い、試料を10mg集めた。
【0043】パーキングエルマ社製のDSC(示差走査
熱量計)II型を用いて測定した。試料10mgをDSC
装置にセットし、300℃の温度で5分間溶融した後、
液体窒素中で急冷する。この試料を10℃/分で昇温
し、ガラス転移点Tgを検知する。さらに昇温を続け、
ガラス状態からの結晶化発熱ピーク温度をもって冷結晶
化温度Tcc、結晶融解に基づく吸熱ピーク温度を融解
温度Tm、同じように降温時の結晶化発熱ピーク温度を
降温結晶化温度Tmcとした。TccとTgの差(Tc
c−Tg)を結晶化指数△Tcgと定義する。
【0044】(9)繰り返し走行時の粉発生 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を用いてステンレス製ガイドピン
(表面粗度:Raで40nm)上を走行させる(走行速
度50m/分、巻き付け角90゜、出側張力50g、走
行回数20往復)。走行後ガイドピン表面に付着した付
着粉を目視で観察し次の基準で判定を行った。
【0045】 全く粉が付着していない 5点 やや粉が付着している 3点 多量に粉が付着している 1点 5点と3点の間を4点、3点と2点の間を1点とし、4
点より点数の高いものを金属ピン粉付着良好とした。
【0046】(10)ヤング率 ASTM−D−882にしたがって、インストロン式の
引張試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定した。
【0047】(11)出力特性(C/N) 本発明のフィルムに連続真空蒸着装置を用いて、微量の
酸素の存在下にコバルト・ニッケル合金(Ni20重量
%)の厚み200nmの蒸着層を設けた。さらに、蒸着層
表面にカーボン保護膜を公知の手段で形成させた後、8
mm幅にスリットし、パンケーキを作成した。次いで、
このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込
み、カセットテープとした。
【0048】このテープについて、市販のHi8用VT
R(SONY社製 EV-BS3000)を用いて、7MHz±
1MHzのC/Nの測定を行った。
【0049】このC/Nを市販のHi8用ビデオテープ
(120分ME)と比較して +3dB以上 :優 +1〜+3dB :良 +1dB未満 :不良 と判定した。出力特性が市販のHi8用ビデオテープ
(120分ME)と比較して、+1dB以上あれば、デ
ジタル記録方式のVTRテープとして充分使用できるレ
ベルである。
【0050】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0051】実施例、比較例 表1に示した組成の触媒を用いて、常法により重合した
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレートもしくはエチレンテ
レフタレートを主な繰り返し単位に持つ共重合ポリエス
テルを用いた。粒子を添加する場合は、粒子を含むエチ
レングリコールあるいは、1.3プロピレングリコール
を用いて、常法により重合したポリエチレンテレフタレ
ートあるいはポリプロピレンテレフタレートを用いた。
【0052】表1に記載のポリエステルA,Bのペレッ
トを、それぞれ120〜180℃のそれぞれの原料に適
した温度で3時間乾燥後、3台の公知の押出機を用いて
溶融押出しを行い、3層用の矩形の合流ブロック(フィ
ードブロック)で、表2記載の積層構成になるように合
流積層し、静電印加キャスト法を用いて、表面温度20
℃〜40℃の金属キャスティングドラム上に巻き付け
て、冷却、固化し、未延伸フィルムを得た。
【0053】この未延伸フィルムを、延伸前熱処理を行
う場合は表2に記載の条件で、公知のシリコーンゴム製
ロール上で加熱処理を行った後、ロール間で縦方向に3
段階以上に分けて延伸後、公知のステンタを用いて幅方
向に延伸を行った。また、必要に応じて幅方向に再度延
伸し、定長下で200℃にて3秒間熱処理を行い、表2
に記載の厚さの2軸配向積層フィルムを得た。
【0054】上記の各実施例および比較例における、各
フィルム特性を表2,3に示す。
【0055】実施例では好ましい中心線平均粗さRa、
突起間隔Sm、表層の粒子個数を有するフィルムが得ら
れ、出力特性、摩擦係数、耐摩耗性に優れ、繰り返し走
行時の粉発生にも優れたフィルムであったが、比較例で
得られたポリエステルフィルムは、出力特性、摩擦係
数、耐摩耗性、繰り返し走行時の粉発生のいずれかの劣
るフィルムであった。
【0056】
【表1】
【表2】
【表3】
【0057】
【発明の効果】出力特性、ハンドリング性、耐削れ性に
優れ、繰り返し走行時の粉発生が少ないポリエステルフ
ィルムを提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2層以上の積層構成をとる二
    軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、一方の表面
    の中心線表面粗さRaが9nm以下であって表面突起間
    隔Smが15μm以下であり、他方の表面の中心線表面
    粗さが9nmより大きく30nm以下であって表面突起
    間隔Smが15μm以下であり、両表面の突起の80%
    以上が両表面層を構成するポリエステルの結晶によって
    形成されていることを特徴とする二軸配向積層ポリエス
    テルフィルム。
  2. 【請求項2】 該結晶の未延伸フィルム中での直径が1
    μm未満である請求項1に記載の二軸配向積層ポリエス
    テルフィルム。
  3. 【請求項3】 両表面を構成するポリエステルの結晶化
    指数ΔTcgが60℃以下であり、一方の表面層を構成
    するポリエステルの結晶化指数ΔTcgが他方の表面層
    を構成するポリエステルの結晶化指数ΔTcgよりも小
    さいものである請求項1または請求項2に記載の二軸配
    向積層ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 少なくとも一方の表面層中の粒子個数が
    3000個/mm2未満である請求項1〜3のいずれか
    に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 両表面層の積層部の厚さがそれぞれ0.
    01μm以上2μm以下である請求項1〜4のいずれか
    に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 磁気記録媒体用基材として用いられる請
    求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステ
    ルフィルム。
  7. 【請求項7】 デジタル記録方式のVTRテープ用に用
    いられる請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向積層
    ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4858818B2 (ja) * 2004-02-17 2012-01-18 東レ株式会社 二軸配向ポリエステルフィルム

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