JPH09164641A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JPH09164641A
JPH09164641A JP32694995A JP32694995A JPH09164641A JP H09164641 A JPH09164641 A JP H09164641A JP 32694995 A JP32694995 A JP 32694995A JP 32694995 A JP32694995 A JP 32694995A JP H09164641 A JPH09164641 A JP H09164641A
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film
biaxially oriented
layer
particles
sum
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JP32694995A
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English (en)
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Katsuya Okamoto
克哉 岡本
Toru Miyake
徹 三宅
Yukari Nakamori
ゆか里 中森
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の2,6−PENフィルムでは、ヤング
率と熱収縮率と引き裂き伝播抵抗が両立できず、また表
面欠点によるドロップアウトが多かった点を解決する。 【解決手段】 ポリエチレン−2,6−ナフタレートか
らなる二軸配向フィルムであって、フィルム全体の固有
粘度が0.54未満であり、長手方向と横方向のヤング
率の和が14GPa以上、長手方向と横方向の150
℃、30分処理時の熱収縮率の和が6.0%未満、さら
に長手方向と横方向の引き裂き伝播抵抗の和が3.0N
/mm以上であることを特徴とする二軸配向ポリエステ
ルフィルムとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸配向ポリエス
テルフィルムに関するものであり、優れた機械的物性と
ハンドリング性の両立を図った、磁気記録媒体用ベース
フィルム、特にデジタル記録方式のVTRテープ用ベー
スフィルムとして好適なポリエステルフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、二軸配向ポリエステルフィル
ムとして、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下
2,6−PENと略記する)からなるフィルムが知られ
ている(例えば、特開昭62-241129 号公報、特開昭63-1
13931 号公報など)。2,6−PENからなる二軸配向
フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(以下PET
と略記する)に比べて機械強度、特に弾性率が高いこと
が知られており、薄膜化が要求される長時間記録用のV
TRテープあるいは大容量のコンピューターテープ用の
ベースフィルムとしてその使用量は増加しつつある。し
かしながら、2,6−PENはPETに比べて溶融粘度
が高いために、フィルム製造時のポリマ濾過(異物を除
去するため)が行いにくいという問題点がある。特に高
密度記録が必要とされる、家庭用、業務用の小型デジタ
ルVTR用テープ、さらにHDTV方式対応のVTRテ
ープにおいては、わずかな異物による粗大突起でもエラ
ーの原因となるのでポリマ濾過の高精度化は大きな課題
である。この課題を解決するために、2,6−PENを
芯層としてPETを外層とした二軸配向積層ポリエステ
ルフィルム(特開平4-270656)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
PET層と2,6−PEN層を積層した構成の積層ポリ
エステルフィルムでは、異物による粗大突起は減少する
が、製膜性が悪く、また各層の結晶特性の差が大きいた
めにフィルム表面にウロコ状の表面欠点が発生しやすい
という問題点があった。また、溶融粘度を低下させるた
めに2,6−PENの固有粘度を低く抑えることも、ポ
リマ濾過精度を高め、異物による粗大突起を減少させる
効果はあるが、弾性率が低下し、かつ引き裂き伝播抵抗
も小さくなるためにテープ切れを起こしやすいという問
題点があった。
【0004】本発明はかかる問題点を解決し、磁気テー
プの薄膜化に対応できる高い機械強度を損なうことな
く、さらに熱に対する寸法安定性、耐引き裂き性に優
れ、しかも表面欠点の発生がきわめて少ない、特にデジ
タル記録方式のVTRテープまたはコンピューターテー
プ用のベースフィルムとして好適な二軸配向ポリエステ
ルフィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエチレン−2,
6−ナフタレートからなる二軸配向フィルムであって、
フィルム全体の固有粘度が0.54未満であり、長手方
向と横方向のヤング率の和が14GPa以上、長手方向
と横方向の150℃、30分処理時の熱収縮率の和が
6.0%未満、さらに長手方向と横方向の引き裂き伝播
抵抗の和が3.0N/mm以上であることを特徴とする
ものからなる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のフィルムを構成するポリ
エステルとしては2,6−PENを用いることが必要で
ある。2,6−PENの優れた機械強度を発揮させるた
めには他成分の共重合またはブレンドは10重量%以
内、好ましくは5重量%以内であることが望ましい。ま
た、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、酸化防
止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、結晶核生成剤等
の無機または有機添加剤が添加されていてもよい。
【0007】本発明のフィルムは、フィルム全体として
の固有粘度が0.54未満であることが必要である。固
有粘度が上記よりも大きいと異物による粗大突起が多く
なるばかりか、熱に対する収縮率が大きくなるという問
題が生じる。好ましくは0.52未満の場合により効果
が顕著となるので好ましい。そのために、ポリマの固有
粘度としては0.60未満、好ましくは0.57未満の
ものを用いることが効果的である。なお、本発明のフィ
ルムにおいて安定に製膜しうる溶融粘度の下限は0.4
2付近であり、固有粘度0.47〜0.52の範囲が最
も好ましい。
【0008】本発明のフィルムは、長時間記録用の薄膜
型テープとした場合に優れた機械強度を発揮させるため
に、長手方向と横方向のヤング率の和が14GPa以上
であることが必要である。好ましくは15GPa以上、
さらに好ましくは16GPa以上が望ましい。長手方向
と横方向のヤング率の和が14GPa未満では、テープ
としての機械強度が劣るため、テープ走行時に変形を起
こしたり、磁気ヘッドとの接触が不均一となって出力低
下を招いたりする。
【0009】さらに、一般にヤング率を高めると熱収縮
率は大きくなるが、本発明のフィルムにおいては、15
0℃、30分熱処理を行った場合の長手方向と横方向の
熱収縮率の和が6.0%未満であることが必要である。
好ましくは5.5%未満、さらに好ましくは5.0%未
満の場合にテープとしての熱に対する寸法安定性を高ま
るので望ましい。長手方向と横方向の熱収縮率の和が
6.0%以上であると、テープとしての熱に対する寸法
安定性が低下するのみならず、蒸着時に熱によってフィ
ルムに穴が開いたり、破断したりするいわゆる「熱負け
現象」が生じる。これは、金属を真空蒸着する際にフィ
ルムが高温にさらされるために、収縮して平面性が悪化
しフィルムと冷却ドラムの密着性が低下することによる
ものである。この「熱負け現象」は、フィルムの熱収縮
率だけではなく、フィルムの引き裂き伝播抵抗も大きく
関与していることを、本発明者らは見出し、種々検討し
た結果、熱収縮率が上記範囲内であり、かつ、長手方向
と幅方向の引き裂き伝播抵抗の和が3.0N/mm以上
である場合に、蒸着時の熱負けが発生せず、さらにスリ
ット時のフィルム切れもきわめて少なく、製膜工程やテ
ープ製造工程におけるハンドリング性に優れていること
がわかった。長手方向と幅方向の引き裂き伝播抵抗の和
が好ましくは3.5N/mm以上、さらに好ましくは
4.0N/mm以上であることがハンドリング性をさら
に高め、製品収率を高めるために望ましい。
【0010】本発明フィルムは、単層フィルムでもかま
わないが、少なくとも3層以上の積層構成とすることが
上記範囲の機械強度、熱収縮率、引き裂き伝播抵抗を達
成するためには極めて有効である。
【0011】3層構成の場合、表裏で同一の原料(ポリ
マ、粒子など)、積層厚みとなるA/B/A構成とする
ことも可能であるが、本願の目的を達成するためには、
表裏で原料処方を変更した構成、すなわちA層、B層、
C層の3層がこの順に積層された(これをA/B/Cと
表す)フィルムとすることが好ましい。3層以上であれ
ば4層でも5層でもかまわない。
【0012】積層フィルムの場合、少なくとも一方の最
表層を構成するフィルム層の固有粘度と、内層(内層が
2層以上ある場合は、その少なくとも一つの層)を構成
するフィルム層の固有粘度との差が0.05以上である
ことが本発明の目的を達成するために有効である。好ま
しくは、0.07以上、さらに好ましくは0.09以上
異なる場合にフィルムの耐引き裂き性がより一層良好と
なるので望ましい。本発明においては、内層部の固有粘
度を最表層部の固有粘度よりも小さい値としておくこと
が良好な機械特性を得るために望ましい。
【0013】また、内層部の固有粘度を低下させること
により、製膜時にポリマーを溶融押出する際の溶融粘度
が低下するため、高精度濾過が可能となり、異物による
粗大突起が減少し、ドロップアウトが抑制されるという
効果もある。
【0014】本発明のフィルムの少なくとも一方の表面
には、磁気記録媒体用とした場合の磁性面側の走行耐久
性を良好にする目的で、高さ10〜100nmの突起を
50万〜1000万個/mm2 程度形成させることが望
ましい。表面突起数が50万個/mm2 よりも少ない
と、磁性面の走行摩擦が大きくなり、テープが磁気ヘッ
ドに貼り付くなどのトラブルの原因となる。
【0015】上記の突起を形成させるために、例えばA
/B/Cの3層構成フィルムの場合、A層には不活性粒
子をA層の総重量に対して0.05〜1.5重量%含有
させることが望ましい。含有量が上記範囲より少ない
と、突起数が少なすぎて走行摩擦が大きくなり、また上
記範囲より多いと出力、C/Nが低くなるので望ましく
ない。好ましくは0.2〜1.2重量%、さらに好まし
くは0.4〜1.0重量%の場合に金属薄膜型テープと
した時の特性が特に良好となる。含有される粒子の平均
粒径は0.01〜0.10μm の範囲であることが好ま
しく、より好ましくは0.01〜0.06μm 、さらに
好ましくは0.02〜0.045μm であることが望ま
しい。平均粒径が上記範囲より小さいと滑り性と走行耐
久性が悪化し、この範囲より大きいと、磁性面に形成さ
れる突起の高さが大きくなりすぎるため、スペーシング
損失が大きくなり出力が低下するので好ましくない。使
用される不活性粒子の種類は特に限定されないが、出力
特性、走行耐久性の点からコロイダルシリカもしくは有
機粒子、中でも架橋型有機粒子、特にジビニルベンゼン
粒子が好ましい。その他の粒子として、アルミナ、ジル
コニア、シリカ、酸化チタンなどの凝集粒子、または単
分散した炭酸カルシウム、酸化チタンなども適切なポリ
マ中での粒子分散により用いることが可能である。これ
らの粒子を複数併用してもよい。
【0016】積層フィルムの場合、上記の粒子を所定量
含有し、A層の厚みを0.01〜0.3μm とすること
により、高さの均一な突起が高密度に形成できるので好
ましい。
【0017】一方、上記表面と反対側の面を形成する層
(C層)には、ハンドリング性、走行耐久性を向上させ
るために、平均粒径0.05〜1.0μm 、好ましくは
0.1〜0.8μm の不活性粒子を0.05〜3.0重
量%含有することが望ましい。粒子種としては特に限定
されないが、前述の有機粒子、または炭酸カルシウム、
アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、カーボンブ
ラック等から選ばれる粒子を含有することが好ましい。
【0018】内層部には、実質的に不活性粒子を含有し
ないことが、出力特性、ドロップアウトを向上させるた
めに好ましい。
【0019】本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せ
しめたフィルムである。一軸あるいは無配向フィルムで
は機械強度が不足するので好ましくない。
【0020】本発明のフィルムは磁気記録媒体用途、特
に金属薄膜型磁気記録媒体用途に好ましく供される。さ
らに、特に高出力および低いエラーレートが要求され
る、民生用および業務用、放送局用デジタル記録方式V
TR用もしくはコンピューター用磁気記録媒体のベース
フィルムとして好ましく用いられる。
【0021】次に本発明フィルムの好ましい製造方法に
ついて説明するが、これに限定されるものではない。
【0022】本発明で用いる2,6−PENはそれ自体
公知であり、公知の方法(例えば2,6−ナフタレンジ
カルボン酸とエチレングリコールを用いての直接重合
法、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル
とエチレングリコールを用いてのエステル交換法など)
により製造することができる。
【0023】2,6−PENに粒子を含有せしめる方法
としては、ジオール成分であるエチレングリコールのス
ラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールを所
定のジカルボン酸成分と重合せしめるのが好ましい。ま
た、粒子のエチレングリコールのスラリーを140〜2
00℃、特に180〜200℃の温度で30分〜5時
間、特に1〜3時間熱処理する方法は本発明の効果をよ
り一層高めるために有効である。
【0024】また、他の方法として、粒子をエチレング
リコール中で熱処理した後、溶媒を水に置換したスラリ
ーの形で2,6−PENと混合し、ベント方式の二軸押
出機を用いて混練してポリマー中に練り込む方法も本発
明の目的を達成するためにはきわめて有効である。
【0025】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に
粒子を実質的に含有しないポリマで希釈して粒子の含有
量を調節する方法が有効である。
【0026】かくして、粒子を所定量含有する2,6−
PEN原料A(A層用)、粒子を実質的に含有せず、さ
らに固有粘度がAよりも0.05以上低い2,6−PE
N原料B(B層用)、粒子を所定量含有し、かつAと同
等の固有粘度を有する2,6−PEN原料C(C層用)
を必要に応じて乾燥する。
【0027】A/B/Cの3層構成の積層フィルムとす
る場合は、上記のポリエステルA、B、Cを3台の押出
機に供給し、3層のマニホールドまたは、合流ブロック
を用いて積層する。各層の厚みは、押出機もしくはポリ
マ流路内に設けられたギヤポンプの回転数を調節してポ
リマ押出量を制御することにより行う。かくして積層さ
れたシートを口金より押出し、キャスティングロールで
冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、ポリエステ
ルAのポリマ流路に、スタティックミキサー、ギヤポン
プを設置する方法は本発明の効果をより一層良好とする
ために有効である。また、C層側表面が、キャスティン
グロールと接触するようにキャストすることが、出力特
性、ドロップアウトの点から好ましい。
【0028】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法また
は同時二軸延伸法を用いることができるが、最初に長手
方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法が、延伸
破れなく本発明フィルムを得るのに有効である。
【0029】長手方向の延伸は、通常ロールを用いて行
われるが、予熱、延伸ロール群の表面材質は非粘着性の
もの(例えばテフロンやシリコンゴム)が好ましい。長
手方向の延伸温度は、120〜150℃、好ましくは1
25〜145℃である。延伸温度がこの範囲を外れると
延伸斑や面粗れが発生しやすく耐引き裂き性が悪化した
り、蒸着時の熱負けが発生しやすくなるので好ましくな
い。延伸倍率は3.5〜6.5倍、好ましくは4〜5.
5倍である。延伸倍率がこの範囲よりも小さいと延伸斑
を生じやすく、十分な機械強度が得られない。一方、こ
の範囲より大きいと幅方向の均一な延伸が難しく、耐引
き裂き性も悪化する傾向にある。また、長手方向の延伸
速度は5000〜20000 %/min が均一延伸する上で好まし
い。
【0030】次いで、幅方向に延伸する方法としてはテ
ンタを用いる方法が一般的であり、延伸温度としては1
00〜160℃、好ましくは110〜150℃である。
延伸温度がこの範囲を外れると均一な延伸が難しくな
る。延伸倍率としては、3〜7倍、好ましくは4〜6倍
である。延伸倍率がこの範囲より小さいと十分な機械強
度が得られず、一方この範囲より大きいとフィルム破れ
が頻繁に発生するために好ましくない。幅方向の延伸速
度は1000〜20000 %/min が均一延伸する上で好まし
い。
【0031】また、一旦二軸延伸されたフィルムを少な
くとも一方向にさらに延伸しても良い。再延伸する場合
には、延伸温度を120〜170℃、延伸倍率を1.1
〜2倍にすることが好ましい。これらの範囲を外れる
と、均一な延伸ができなかったり、フィルム破れが頻繁
に発生したりする。また耐引き裂き性も低下する傾向に
あるため好ましくない。
【0032】次にこの延伸フィルムを熱処理する。熱処
理温度としては、160〜240℃、好ましくは170
〜220℃である。熱処理温度がこの範囲を外れると、
フィルムの平面性が悪化し、蒸着時の冷却ドラムとの密
着性が悪化して、熱負けが発生しやすくなるので好まし
くない。熱処理時間は0.5〜60秒が好ましい。
【0033】さらに、熱処理後のフィルムは、テンター
内で50〜60℃にまで冷却されるが、このときに10
0〜140℃、好ましくは110〜130℃の温度範囲
で、1〜20秒間、好ましくは2〜10秒間処理する工
程を経ることが、本発明範囲内の機械強度と熱収縮率を
得るために効果的である。
【0034】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】本発明の特
性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0035】(1)粒子の平均粒径 フィルムを厚さ方向に1000〜8000オングストロ
ーム程度の超薄切片とし、透過型電子顕微鏡(日本電子
製JEM−1200EX)を用いて3万〜20万倍程度
の倍率で場所を変えて粒子を観察し、次式により求め
た。数平均径Dを平均粒径とした。
【0036】D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは個数である。
【0037】(2)粒子の含有量 ポリエステルを溶解し、粒子を溶解しない溶媒を選択
し、粒子を熱可塑性樹脂から遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては、赤外分光法の併用も可能である。
【0038】(3)積層厚さ 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子の内、最
も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元
素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深
さ3000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表
面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざか
るにつれて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場合
はいったん極大値となった粒子濃度がまた減少し始め
る。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の
1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも
深い)を求め、これを積層厚さとした。条件は次の通り
とした。
【0039】 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA 社製 A-DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12kV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm □ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :5.0×10-9Torr E−GUN :0.5kV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有
される粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定
が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X
線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様
のデプスプロファイルを測定し、積層厚さを求めても良
いし、また電子顕微鏡などによる断面観察で粒子濃度の
変化状態やポリマの違いによるコントラストの差から界
面を認識し、積層厚さを求めることもできる。さらに
は、積層ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層
厚さを求めることもできる。
【0040】(4)表面突起個数、高さ 4検出方式のフィールドエミッション電子線三次元粗さ
解析装置(エリオニクス社製ERA-8000 FE)を用い
て、フィルム表面の平坦面の高さを0としたときの突起
高さを測定した。ここで、走査型電子顕微鏡の倍率は50
00〜30000 倍の間を選択し、測定を100 視野について行
い、0.005 μm 以上の高さを有するものを突起として、
突起個数を求め、測定された突起についてその高さの平
均値を平均高さとした。なお、場合によっては、原子間
力顕微鏡(Digital Instruments社製 Nanoscope III
)を用いて、5μm 四方の視野を走査速度0.69Hzで走
査することによって得られる高さ情報を、上記粗さ解析
装置の値に読み替えてもよい。
【0041】(5)フィルム固有粘度 o−クロロフェノールを溶媒として、25℃で測定し
た。なお、積層部分および内層部分の固有粘度について
は、所定部分を表面から削り取り、同様にして測定を行
った。
【0042】(6)ヤング率 JIS Z−1702に規定された方法に従って、イン
ストロンタイプの引っ張り試験機を用いて25℃、65
%RHにて測定した。
【0043】(7)熱収縮率 フィルムの長手方向(MD)、幅方向(TD)に約200mm間
隔で標線を入れ、その間の長さを精密に測定する(AM
D、ATD)。次に該試料を150℃のオーブンに30分
間放置した後、上記標線間を精密に測定し(BMD、BT
D)、下式で得られる値を長手方向、幅方向のそれぞれ
の熱収縮率(SMD、STD)とした。
【0044】 SMD=100×(AMD−BMD)/AMD (%) STD=100×(ATD−BTD)/ATD (%)
【0045】(8)引き裂き伝播抵抗 エルメンドルフ引き裂き試験機(東洋精機製作所製)を
用いた。50.8(長手方向)×63.5(幅方向)mmのフィル
ム試料を採取して、長手方向に沿う両ツカミの中央で直
角に幅方向に12.7mmの亀裂をつくり、残りの50.8
mmに対する引き裂きの力(N)を求めた。この力をフィ
ルムの厚みで除して引き裂き伝播抵抗とした。この測定
をフィルム長手方向、幅方向に行った。
【0046】(9)出力特性(C/N) 本発明のフィルムのA層表面に、連続真空蒸着装置を用
いて、微量の酸素の存在下にコバルト・ニッケル合金
(Ni20重量%)の厚み200nm の蒸着層を設けた。次い
で、蒸着層表面にカーボン保護膜、反対面にバックコー
ト層を公知の手段で形成させた後、8mm 幅にスリット
し、パンケーキを作成した。次いで、このパンケーキか
ら長さ200m分をカセットに組み込み、カセットテープと
した。
【0047】このテープについて、市販のHi8用VT
R(SONY社製 EV-BS3000 )を用いて、7MHz ±1
MHz のC/Nの測定を行った。
【0048】このC/Nを市販のHi8用ビデオテープ
(120分ME)と比較して、 +3dB以上 :優 +1〜+3dB :良 +1dB未満 :不良 と判定した。
【0049】(10)ドロップアウト 上記の8mm幅テープをHi8用VTR(SONY社製
EV-BS3000 )を用いて評価を行った。TV試験信号発
生器から4.4MHzの信号を供給し、ドロップアウト
カウンターを用いて、再生信号の減衰が−16dB以
上、長さが15μsec 以上のドロップアウトの個数を求
めた。25℃、65%RH下で3分間再生/巻き戻しを
100回繰り返した後のドロップアウトの個数を1分間
あたりの個数に換算し、以下のように判定した。
【0050】 0〜15個/分 :優 16〜30個/分 :良 31〜 個/分 :不良
【0051】(11)蒸着時の熱負け 本発明のフィルムのA層表面に、連続真空蒸着装置を用
いて、微量の酸素の存在下にコバルト・ニッケル合金
(Ni20重量%)の厚み200nm の蒸着層を設けた。この
ときの冷却キャンの温度を70℃とし、蒸着速度を変更
し、熱負けが発生し始める速度をもって、熱負け性の判
断を行った。冷却キャンに巻かれたフィルムにしわが入
り、局所的にキャンとの密着が不良となった状態を熱負
け発生と判断した。熱負けが発生する蒸着速度が、 50m/分以上 :優 25m/分以上50m/分未満 :良 25m/分未満 :不良 と判定した。
【0052】(12)スリット時のフィルム切れ 小型スリッター(切断方式:シェアカッター)で200
mm幅のフィルム原反を巻取り速度100m/分で8m
m幅に裁断する際に、フィルム切れが発生する頻度をも
って判断した。切断長さ10万mについての発生回数
が、 0.1未満のもの :優 0.1以上1未満のもの:良 1以上のもの :不良 と判定した。
【0053】
【実施例】本発明を実施例、比較例に基づいて説明す
る。
【0054】実施例1 常法により、固有粘度0.54の2,6−PENのペレ
ットを作成した。なお、滑り性を付与するために平均粒
径0.3μm の架橋ジビニルベンゼン粒子を0.05重
量%添加した。このペレットを170℃で5時間真空乾
燥した後、公知の押出機に供給し、290℃で溶融押出
を行い、スリット幅1mmの口金から吐出させて、静電
印加キャスト法により表面温度30℃のキャスティング
ドラムに巻き付けて冷却固化して厚さ150μm の未延
伸フィルムを作った。この未延伸フィルムをロール表面
温度130℃にて長手方向に5倍延伸し、さらに引き続
いてテンタにて雰囲気温度135℃にて幅方向に5倍延
伸し、200℃にて5秒間熱固定を行った。さらに、一
旦120℃にまで冷却した後、同温度で3秒間処理を行
い、その後テンタ外で50℃まですみやかに冷却を行
い、総厚み6μm の二軸配向2,6−PENフィルムを
得た。表1に示す通り、優れた特性を有するフィルムが
得られた。
【0055】比較例1 固有粘度0.65の2,6−PENのペレットを用い
て、実施例1と同様のプロセスにて二軸配向2,6−P
ENフィルムを得た。フィルム全体の固有粘度が本発明
の範囲から外れており、熱収縮率、ドロップアウト、蒸
着時の熱負けに劣ったフィルムであった。
【0056】実施例2、比較例2,3 所定の固有粘度を有し、平均粒径0.3μm の架橋ジビ
ニルベンゼン粒子を0.4重量%含有する2,6−PE
Nのペレット(原料A)と、不活性粒子を実質的に含有
しない2,6−PENのペレット(原料B)をそれぞれ
170℃で5時間真空乾燥した。原料A、Bをそれぞれ
別の押出機に供給し、290℃で溶融し、これらの溶融
ポリマを3層の合流ブロックで合流積層し、実施例1と
同様にキャストを行い、積層比が1:7:1のA/B/
A構成の未延伸積層フィルムを得た。実施例1と同様の
延伸プロセスにより、総厚み4.5μm の二軸配向2,
6−PENフィルムを得た。ただし、熱固定後、冷却過
程での熱処理を比較例2では特に行わず、すみやかに5
0℃にまで冷却した。
【0057】実施例3 所定の固有粘度を有し、平均粒径0.03μm のコロイ
ダルシリカ粒子を0.5重量%含有する2,6−PEN
のペレット(原料A)と不活性粒子を実質的に含有しな
い2,6−PENのペレット(原料B)および、平均粒
径0.3μm の架橋ジビニルベンゼン粒子を0.2重量
%含有する2,6−PENのペレット(原料C)をそれ
ぞれ170℃で5時間真空乾燥した。原料A,B,Cを
それぞれ別の押出機に供給し、290℃で溶融し、これ
らの溶融ポリマを3層の合流ブロックで合流積層し、実
施例1と同様にキャストを行い、所定の積層比を有する
A/B/C構成の未延伸積層フィルムを得た。実施例1
と同様の延伸プロセスにより、総厚み4.5μm の二軸
配向2,6−PENフィルムを得た。
【0058】比較例4 実施例3で用いた原料Aの粒子を平均粒径0.45μm
の炭酸カルシウム粒子とし、固有粘度をそれぞれ変更し
た原料を用いて、実施例3と同様にしてA/B/C構成
の二軸配向2,6−PENフィルムを得た。ただし、熱
固定後、冷却過程での熱処理を70℃で3秒間とした。
【0059】
【表1】
【表2】
【0060】
【発明の効果】本発明のフィルムは、2,6−PENか
らなるフィルムであって、特定の固有粘度を有し、さら
に製膜工程内での熱処理条件を工夫することにより、ヤ
ング率と熱収縮率および引き裂き伝播抵抗を特定の範囲
としたので、特に高性能が要求される金属薄膜型磁気記
録媒体用途において、優れた出力特性と、少ないドロッ
プアウトを両立でき、さらに蒸着時の熱負けが起こりに
くく、スリット時のフィルム切れが少ない、生産適性に
優れた二軸配向ポリエステルフィルムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/704 G11B 5/704 // B29K 67:00 105:16 B29L 9:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレン−2,6−ナフタレートから
    なる二軸配向フィルムであって、フィルム全体の固有粘
    度が0.54未満であり、長手方向と横方向のヤング率
    の和が14GPa以上、長手方向と横方向の150℃、
    30分処理時の熱収縮率の和が6.0%未満、さらに長
    手方向と横方向の引き裂き伝播抵抗の和が3.0N/m
    m以上であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフ
    ィルム。
  2. 【請求項2】少なくとも3層以上の積層ポリエステルフ
    ィルムであって、その少なくとも一方の最表層を構成す
    るフィルム層の固有粘度と内層を構成するフィルム層の
    固有粘度の差が0.05以上であることを特徴とする請
    求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】磁気記録媒体用に用いられることを特徴と
    する請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフ
    ィルム。
  4. 【請求項4】デジタル記録方式のVTRテープまたはコ
    ンピューターテープのベースフィルムとして用いられる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸
    配向ポリエステルフィルム。
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