JPH11326778A - 顕微鏡画像観察装置 - Google Patents

顕微鏡画像観察装置

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JPH11326778A
JPH11326778A JP5853599A JP5853599A JPH11326778A JP H11326778 A JPH11326778 A JP H11326778A JP 5853599 A JP5853599 A JP 5853599A JP 5853599 A JP5853599 A JP 5853599A JP H11326778 A JPH11326778 A JP H11326778A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】顕微鏡鏡体に熱変形が生じた場合であっても、
観察者が煩雑な操作を行なうことなしに、常に対象画像
を観察視野の基準位置に位置するようにして表示させる
ことが可能な顕微鏡画像観察装置を提供すること。 【解決手段】画像中の観察対象に係る平面方向の第1の
位置情報及び観察光軸方向の第2の位置情報の少なくと
も一方を求め、かつ前記画像に係る平面方向の基準位置
に対する前記第1の位置情報のずれ量とずれ方向、及び
前記画像に係る観察光軸方向の基準値に対する前記第2
の位置情報のずれ量とずれ方向の少なくとも一方を算出
する算出手段(23d,23q)と、前記顕微鏡の対物
レンズと前記観察対象を載置したステージとの相対位置
を変化させる駆動手段(23g,23r)と、前記算出
手段で得たずれ量とずれ方向の少なくとも一方に基いて
前記駆動手段の駆動を制御する制御手段(23e3)
と、を具備。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学顕微鏡や走査
型レーザ顕微鏡に適用され、観察対象を画像表示する顕
微鏡画像観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光学顕微鏡は、ステージ上に搭載したプ
レパラート上の試料を対物レンズで拡大して観察する構
成となっており、一般に試料への照明としてランプなど
の光源からの光をコンデンサレンズを用いて試料の観察
領域全体に均等になるように照射する構造を採用してい
る。通常、接眼レンズを介して像の観察を行なうが、画
像の簡単な観察、記録を行なえるようにテレビカメラで
撮影し、モニタディスプレイで観察する方法が一般的と
なっており、近年はテレビカメラの解像度も向上して鮮
明に観察を行なうことも可能となった。
【0003】このように観察画像をデータとして扱うこ
とで、顕微鏡の接眼レンズを覗き込む動作が不要とな
り、特に試料として生物の培養細胞などの画像をモニタ
ディスプレイにて長時間観察することができる。また、
観察している画像をビデオテープレコーダにより容易に
記録することもできる。
【0004】そして、さらに画像の観察を高い分解能で
コントラストよく行ないたい場合に、光学顕微鏡による
観察では照明系としてフレア等の問題があり、また特に
低コントラストの試料を観察する際に得られる画像が大
変見づらいものになるという不具合が発生する。これを
改善するものとして、点状光投射型(スポット光投射
型)の走査型光学顕微鏡が提案されている。
【0005】この走査型光学顕微鏡は、高輝度の光を光
源から対物レンズを介して試料へ点状に照射し、試料か
らの反射光、もしくは点状の光を照射したことで試料か
ら発生する蛍光を、再び対物レンズ及び光学系を介して
点状に結像し、その光をピンホール開口を有する検出器
で検出して像の濃度情報を得るようにしたものである。
【0006】ただし、これだけでは点状光源が照射され
たことによる1点の濃度情報しか得られないため、試料
をX軸、Y軸の方向にそれぞれ移動して二次元平面内で
機械的に移動させるX−Y走査方式を用いたり、光路の
走査をCRTディスプレイなどの画像表示装置の画面走
査と同期させることで、X−Y走査に対応した上記濃度
情報の信号の強度を表示し、画像として観察できるよう
にしている。
【0007】以上が走査型光学顕微鏡の原理構成であ
り、光源としてレーザ光を使うと画像の解像が向上する
ことが広く知られており、実際に光源としてレーザ光を
用いたものは走査型レーザ顕微鏡と呼称されている。
【0008】この走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を走
査することにより生じる試料の反射光または蛍光を、検
出器である光電子増倍管やフォトダイオードなどで光電
変換により電気信号に変換し、画像データとして保存、
加工、表示する構成をなしている。
【0009】図10は、一般的な走査型レーザ顕微鏡の
基本構成を示すブロック図である。図10において、1
1は光学顕微鏡本体であり、レーザ光源12を用いてこ
の光学顕微鏡本体11の顕微鏡ステージ111上の試料
112表面にレーザ光によるスポット光を照射させる。
実際には、試料112表面上をXY走査するために、レ
ーザ光源12からのレーザ光に対し、2次元走査機構部
13が対物レンズ113に対するスポット光の光路をX
Y光路にそれぞれ振らせることになる。
【0010】図11は、2次元走査の原理を説明するた
めの図である。図11では、X,Y方向の各ガルバノミ
ラーGM1,GM2の2枚を使った場合のXY走査部の
概略例を示しており、テレビジョン方式で用いられる所
謂ラスタスキャンを実現している。スポット光を照射し
た結果、試料から得られる反射光または蛍光は、光学顕
微鏡本体11の対物レンズ113を通り、2次元走査機
構部13を介してピンホール板14を通過した後、光検
出部15で受光され、その輝度に応じた電気信号に光電
変換される。
【0011】上記ピンホール板14は、所定径のピンホ
ールが開孔され、光検出部15の前面の結像位置に配置
されるもので、ピンホールを通過した光を検出すること
で試料面上の観察点で合焦している情報のみを検出で
き、共焦点効果が得られるようになる。なお、2次元走
査機構部13を駆動する場合には、後述する信号処理部
16内のCPU16fから走査制御信号が発生され、同
時にCPU16fで前記走査制御信号を基準にデータ処
理が行なわれる。
【0012】そして、光検出部15で検出された電気信
号は、信号処理部16にて画像処理され、画像信号化さ
れてモニタディスプレイである表示部17に送られ、こ
の表示部17にて表示出力される。
【0013】次に、上記信号処理部16にて行なう信号
処理の内容を詳述する。光検出部15で得た電気信号に
ついて、まず利得可変部16aで所望の電圧値となるよ
うに信号増幅を行ない、次にオフセット調整部16bに
て所望のオフセット量の増減を行なう。そのオフセット
量は、CPU16fによりD/A変換器16h,16g
を用いて所望の値に設定される。
【0014】オフセット調整部16bで得られた信号
は、次にA/D変換器16cにてデジタル化された後、
記憶部16dに画像データとして一時記憶される。記憶
部16dに記憶された画像データは、その後CPU16
fにより適宜加工、表示、保存される。すなわち、加工
とはCPU16fにより所望の画像処理を行なうことで
あり、表示とは記憶部16dから読出した画像データを
D/A変換器16eにてアナログ化した後に上記表示部
17に表示し、画像を観察することである。
【0015】また特に、併せて試料の深さ方向の情報つ
まり3次元情報が必要な場合には、Z走査駆動部16j
によりステージ111を所望のZ位置へ移動させ、必要
な画像を順次記憶部16dに構築させることにより、3
次元画像の表示、観察も可能となる。
【0016】上記のような走査型レーザ顕微鏡では、異
なる画像観察システムであっても、同じ顕微鏡鏡体を使
用しているため、鏡体の性能が及ぼす影響は共通であ
る。一般に、顕微鏡の鏡体は金属の材質で作られてお
り、熱による鏡体自身の伸縮の影響がある。金属は、材
質により固有の熱収縮率を持ち、温度の変化により収縮
伸長をする。環境温度にもよるが、顕微鏡鏡体の熱安定
まで数時間程度かかることがよくある。また、外部温度
が変化するとさらに多くの安定時間を要する。この影響
は通常の観察では目立たないが、高倍率及び長時間の画
像観察においては、観察画像の位置が視野からずれる要
因となる。
【0017】図12は、観察対象となる試料が視野から
外れた場合を例示するもので、図12(a)は観察視野
OFのほぼ中心に観察細胞OCが位置している状態、図
12(b)は顕微鏡鏡体の熱収縮により観察細胞OCが
観察視野OFの中心COFから大きく外れている状態を
示す。具体的には、例えば100倍観察において視野が
20mmである場合、試料が数十μmずれることで視野
中心から外れることとなる。これは、顕微鏡鏡体に約1
0℃の温度変化が生じたことで実際に起こり得るもので
ある。
【0018】上記温度変化による熱収縮が生じる主な原
因として、ランプ照明からの熱伝導、顕微鏡内部に配置
されているユニット、例えばIC、モータ等の電気部品
からの熱、及び周囲の環境温度変化等が挙げられる。ま
た、この収縮現象は、顕微鏡の鏡体の形、ユニット構
成、材質等に影響を受けるものであって、一概にどのよ
うに変化するかを容易に知ることはできない。
【0019】このような不具合を解消し、画像の取込み
状態を改善して見易い画像を取得するシステムが従来よ
りいくつか提案されている。例えば特開平9−1383
53号公報には、一般的にレーザ顕微鏡の画像を取得す
るシステムが開示されている。このシステムでは、画像
の明るさの調整を行ない見易くした画像を取得してお
り、より詳しくは、見やすい画像を得るために画像の明
るさ成分に関して最適な調整を行なっている。
【0020】また、特開平9−197287号公報で
は、レーザ顕微鏡のシステムにおいて、標本の位置を所
定の視野内に位置させることを目的としている。そし
て、接眼レンズから見ることのできる観察画像範囲位置
とモニタ画面に表示される範囲とがずれることがあるた
め、ステージの位置を再調整して観察視野内に合わせる
ようにしている。この手法として、入力手段により表示
画面上で指定された位置に対応するようステージを制御
し、XY移動させることで観察視野の中心に位置させて
いる。また、位置の入力手段としては、表示画面上にタ
ッチパネルを設けたり、あるいは表示画面にファンクシ
ョンスイッチを設けたりしている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平9−138
353号公報のシステムは、一般的なレーザ顕微鏡の画
像を取得するものであり、画像の明るさの調整を行なっ
て見やすい画像を取得している。しかしながら、画像の
明るさ成分に関しての調整のみしか行なっておらず、位
置のずれについては何ら補正が行なわれていない。
【0022】また、上記特開平9−197287号公報
においては、モニタ画面を見ながら画像のずれを手動操
作により指定し、ずれ補正を行なっている。そのため、
画像を観察する毎に同様の操作を行なう必要があり、そ
の操作が煩雑となる。また、長時間にわたる観察におい
ては、顕微鏡鏡体の変形に伴なって観察像位置がずれ、
次の画像取込み及び観察操作の際には観察対象が観察視
野から大きく外れてしまい、再度観察対象を画像から探
さなければならない。このため、観察者は常に監視を続
行しなければならない。
【0023】これは、基本的に接眼レンズからの観察画
像と走査して得たモニタ画像との位置ずれの補正が、初
期状態にしか対応していないことに起因するもので、顕
微鏡鏡体の熱変形が生じたときの観察画像の位置ずれ
は、その度毎に手動で補正せざるを得ない。
【0024】本発明の目的は、顕微鏡鏡体に熱変形が生
じた場合であっても、観察者が煩雑な操作を行なうこと
なしに、常に対象画像を観察視野の基準位置に位置する
ようにして表示させることが可能な顕微鏡画像観察装置
を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
顕微鏡で得た画像を観察するための顕微鏡画像観察装置
であり、前記画像中の観察対象に係る平面方向の第1の
位置情報及び観察光軸方向の第2の位置情報の少なくと
も一方を求め、かつ前記画像に係る平面方向の基準位置
に対する前記第1の位置情報のずれ量とずれ方向、及び
前記画像に係る観察光軸方向の基準値に対する前記第2
の位置情報のずれ量とずれ方向の少なくとも一方を算出
する算出手段と、前記顕微鏡の対物レンズと前記観察対
象を載置したステージとの相対位置を変化させる駆動手
段と、前記算出手段で得たずれ量とずれ方向の少なくと
も一方に基いて前記駆動手段の駆動を制御する制御手段
と、を具備したことを特徴とする。
【0026】このような構成とした結果、顕微鏡の顕微
鏡鏡体に熱変形が生じた場合であっても、観察者が煩雑
な操作を行なうことなしに、常に対象画像を観察視野の
基準位置に位置するようにして表示させることが可能と
なる。
【0027】請求項2記載の発明は、観察対象に対して
スポット光を走査して得られる光信号から画像を構築し
て観察するための顕微鏡画像観察装置であり、前記光信
号を検出する検出機構とは別に設けられ、前記画像を撮
像する撮像手段と、前記撮像手段で得た画像中の観察対
象に係る平面方向の第1の位置情報及び観察光軸方向の
第2の位置情報の少なくとも一方を求め、かつ前記画像
に係る平面方向の基準位置に対する前記第1の位置情報
のずれ量とずれ方向、及び前記画像に係る観察光軸方向
の基準値に対する前記第2の位置情報のずれ量とずれ方
向の少なくとも一方を算出する算出手段と、前記顕微鏡
の対物レンズと前記観察対象を載置したステージとの相
対位置を変化させる駆動手段と、前記算出手段で得たず
れ量とずれ方向の少なくとも一方に基いて前記駆動手段
の駆動を制御する制御手段と、を具備したことを特徴と
する。
【0028】このような構成とした結果、特に走査型レ
ーザ顕微鏡等で、観察画像を得るためのレーザ光源や2
次元走査機構を用いることなしに、顕微鏡鏡体に熱変形
が生じた場合でも、観察者が煩雑な操作を行なうことな
しに、無駄な電力消費を抑え、レーザ光源の長寿命化を
図りながら、常に対象画像を観察視野の基準位置に位置
するようにして表示させることが可能となる。
【0029】請求項3記載の発明は上記請求項1または
2記載の発明において、前記算出手段が、算出したずれ
量及びずれ方向の少なくとも一方を、顕微鏡鏡体の熱変
形に係る情報を基に補正することを特徴とする。
【0030】このような構成とした結果、上記請求項1
または2記載の発明の作用に加えて、顕微鏡鏡体に熱変
形による平面方向または観察光軸方向の位置ずれが発生
した場合であっても対物レンズの合焦範囲を考慮してこ
れを補正することができる。
【0031】請求項4記載の発明は上記請求項1乃至3
記載の発明において、前記第1の位置情報は前記観察対
象の重心位置であり、前記基準位置は前記画像の中心位
置であることを特徴とする。
【0032】このような構成とした結果、上記請求項1
乃至3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、顕微鏡
の顕微鏡鏡体に熱変形が生じた場合であっても、観察者
が煩雑な操作を行なうことなしに、常に対象画像を観察
視野の中心に位置するようにして表示させることが可能
となる。
【0033】請求項5記載の発明は上記請求項1乃至3
記載の発明において、前記第2の位置情報と前記基準値
は、各々前記画像のコントラスト値であることを特徴と
する。
【0034】このような構成とした結果、上記請求項1
乃至3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、画像の
コントラスト値を基に観察光軸方向の位置ずれ、すなわ
ち合焦位置ずれを補正し、合焦位置のずれていない観察
画像を得ることが可能となる。
【0035】請求項6記載の発明は上記請求項1乃至3
記載の発明において、前記第2の位置情報と前記基準値
は、各々前記対物レンズと前記ステージとの相対位置で
あることを特徴とする。
【0036】このような構成とした結果、上記請求項1
乃至3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、演算処
理を行なうことなく、前記対物レンズと前記ステージと
の相対位置を基に観察光軸方向の位置ずれ、すなわち合
焦位置ずれを補正し、合焦位置のずれていない観察画像
を得ることが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明の第1の実施の形態について図面を参照して説明す
る。
【0038】図1は、光学顕微鏡を用いた顕微鏡画像観
察装置の構成を示すブロック図である。光学顕微鏡本体
21には、観察画像のXY平面方向に移動可能なスキャ
ニングステージ211が設けられ、画像観察用のテレビ
カメラ22が取付けられている。テレビカメラ22で得
たステージ211上の試料213の画像信号は、信号処
理部231とモニタディスプレイからなる表示部24へ
送られる。
【0039】信号処理部231では、テレビカメラ22
で得た画像信号をA/D変換器23aによりデジタル化
した後、記憶部23bに記憶させる。この記憶部23b
に記憶された画像信号は、D/A変換器23cで読出さ
れて再びアナログ化された後、表示部24とビデオテー
プレコーダからなる画像記録部25へ送られる一方、重
心検出部23dでも読出され、特定の画像処理、すなわ
ち観察視野中の観察対象である試料213における重心
位置の算出がなされる。
【0040】なお、CPU23e1の有する図示しない
メモリには、後述する光学顕微鏡本体21の鏡体の熱変
形によって生じる位置ずれを補正するための補正処理情
報が記憶されている。
【0041】さらに、重心検出部23dでは、求めた重
心位置と観察視野の中心位置とのなす距離及び方向をず
れ情報として算出し、その算出結果により距離換算部2
3fが、その時点での光学顕微鏡本体21における対物
レンズの倍率等を考慮し、実際のX,Y各方向の移動量
に換算し、XY駆動部23gへ送る。XY駆動部23g
では、距離換算部23fから送られてくる情報に基い
て、光学顕微鏡本体21のスキャニングステージ211
をX,Y各方向へ駆動して移動させ、試料213の重心
位置と観察視野の中心位置とを一致させる。
【0042】なお、記憶部23bでの画像信号の記憶、
重心検出部23dでの重心位置の算出、距離換算部23
fでのずれ状態の算出、及びXY駆動部23gでのスキ
ャニングステージ211の駆動は、すべてCPU23e
1の駆動制御によりなされる。表示部24では、テレビ
カメラ22から直接送られる画像信号、あるいは信号処
理部231のD/A変換器23cから出力される画像信
号の一方を、モニタ画面で表示する。また、画像記録部
25は、表示部24を介して送られてきた画像信号ある
いはD/A変換器23cからの画像信号を順次記録す
る。
【0043】次に、本顕微鏡画像観察装置の動作につい
て説明する。テレビカメラ22により撮像された観察対
象の画像信号は、信号処理部231にて画像処理され
る。すなわち、まずA/D変換器23aにおいてデジタ
ル化され、画像データとして記憶部23bに記憶され
る。この記憶部23bに記憶された画像データを用い
て、重心検出部23dで観察対象となる試料の重心が求
められる。
【0044】図2は、試料である観察細胞OCの観察視
野OFにおける位置関係を例示する図である。図2に示
すように、観察細胞OCの重心COCと観察視野OFの
中心COFとが大きく離れており、観察細胞OCが観察
視野OF中の外れた位置にあることがわかる。なお、観
察当初の観察位置の設定に関しては、必ずしも自動で重
心位置を求めずとも、重心もしくは画像中心と思われる
位置を観察者が表示部24を見て視野中心となるよう設
定してもよい。
【0045】次に、観察を開始してからの時間経過に伴
ない、光学顕微鏡本体21に生じる顕微鏡鏡体の熱変形
に起因した位置ずれの補正処理について説明する。信号
処理部231では、CPU23e1が一定の時間間隔で
順次更新記憶されている記憶部23bの画像データを重
心検出部23dに読出し、観察対象となる試料の重心位
置を自動算出させる。そして重心検出部23dは、算出
した重心位置と視野の中心位置との画素差を求め、求め
た画素差を続く距離換算部23fで移動距離に換算す
る。
【0046】図3は、上記画像データにおける観察細胞
OCの重心COCの位置と観察視野OFの中心COFの
位置との関係を示す図である。距離換算部23fは、図
3に示すように重心検出部23dで求められた画素差L
x,Lyを実際の移動距離に換算する。ここで実際の移
動距離とは、観察している対物レンズの倍率により決ま
る実寸法であり、それがスキャニングステージ211の
移動量Sx,Syとなる。
【0047】例えば、使用するテレビカメラ22がアス
ペクト比4:3、縦横の画素数640×480ドット
(正方格子画素)の画像信号を出力するものとし、観察
視野の対角線距離が20mmであったとすると、対物レ
ンズの倍率が1倍のときの観察視野OFの横、縦の距離
は、それぞれ (横) 20×4÷5=16mm (縦) 20×3÷5=12mm となり、これを1画素間あたりの距離に換算すると、 (横縦共) 16mm÷640=25μm となる。
【0048】もし、対物レンズの倍率が10倍の観察
で、そのずれ量が画素数Lx=20画素、Ly=10画
素であったとすると、 Sx=25×20÷10=50[μm] Sy=25×10÷10=25[μm] となり、これが距離換算部23fで換算されてXY駆動
部23gに送られる。XY駆動部23gでは、この送ら
れてきた情報に基いて光学顕微鏡本体21のスキャニン
グステージ211をX,Y方向に移動させ、観察対象の
試料である観察細胞OCの中心COCを観察視野OFの
中心COFに一致させる。
【0049】なお、上記位置補正処理において、実際に
は光学顕微鏡本体21から送られる対物レンズの倍率の
情報をCPU23e1が読取り、その情報を重心検出部
23dに与えることで移動量を得ることができる。
【0050】以上の処理により移動制御された後の画像
は、観察対象が正確に視野の中心に位置することとな
り、D/A変換器23cにてアナログ化された後、表示
部24に表示、あるいは画像記録部25に記録される。
なお、D/A変換器23cから得た画像信号に代えて、
テレビカメラ22で得た画像信号を直接表示部24に表
示、あるいは画像記録部25に記録するものとしてもよ
い。
【0051】また、上記位置ずれの補正処理を実行する
補正処理情報、ここでは時間間隔は、実際の光学顕微鏡
本体21の鏡体の熱変形の速度により異なるが、所望の
時間間隔を設定可能であるものとする。
【0052】図4は、CPU23e1のメモリに記憶さ
れている画像取得時間間隔をT1、位置ずれの補正時間
間隔をT2(T1>T2)とした場合の、両者の関係を
例示した図である。上記補正処理は、画像取得から次の
画像取得までの間に行なわなければならないため、図4
に示すように、時間T1内で1回あるいは時間間隔T2
毎に複数回位置ずれ補正を行なうよう設定すればよい。
【0053】また、リアルタイムで常に補正処理を行な
い観察対象を視野の中心に置きたい場合、テレビカメラ
22の1画面の露光時間に同期して、例えばテレビジョ
ン方式がNTSC方式であれば1/30秒間隔で補正処
理を行なうことも可能である。
【0054】一般に、顕微鏡鏡体の熱変形の速度は十分
に遅いものであるため、上記のような補正処理に要する
処理時間も十分確保することができ、見やすい位置にあ
る所望の観察が可能である。ただし、全体の処理時間
は、入力画像の取込み速度により制限される。
【0055】以上の動作により、初期の設定を行なうの
みで、その後は顕微鏡鏡体に熱変形を生じた場合であっ
ても、自動的に長時間にわたって常に観察対象が視野の
中心に位置するようにでき、画像を観察、記録すること
が可能となる。
【0056】また、画像記録部25はビデオテープレコ
ーダからなるものとしたが、その他にもパーソナルコン
ピュータを介した記録媒体、例えば光磁気ディスク、ハ
ードディスク等を用いて記録するものとしてもよい。ま
た、テレビカメラ22のサイズ、信号方式には制限はな
く、解像度の高いものであれば、位置合わせを行なう精
度がより高くなることは言うまでもない。また、テレビ
カメラを複数用いて、一度に複数の画像を得るようにし
てもよい。
【0057】さらに、上述した補正処理のための情報と
して、所望の時間間隔で得る熱変形の速度等の情報を用
いる他に、顕微鏡鏡体の温度を逐一検出することができ
る温度センサを鏡体に設け、その温度センサの検出結果
を基に、実際の鏡体の熱変形に応じて位置ずれを補正処
理するようにしてもよい。
【0058】(第2の実施の形態)以下、本発明の第2
の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0059】図5は、レーザ顕微鏡を用いた顕微鏡画像
観察装置の構成を示すブロック図である。図5の基本構
成は上記第1の実施の形態に示した図1と同様であるた
め、図1と同一な部分に同一符号を付してその説明を省
略する。
【0060】図5において、31はレーザ顕微鏡本体で
あり、レーザ光源32から発振されたレーザ光は、必要
に応じて光ファイバを介してレーザ顕微鏡本体31に導
かれ、対物レンズを通り、そのスポット光が観察光軸と
直交する観察画像のXY平面方向に移動可能なスキャニ
ングステージ211上に載置された試料213表面に照
射される。
【0061】2次元走査機構部33は、後述する信号処
理部232内の2次元走査駆動制御部23lが発生する
走査制御信号により試料213に対してXY走査するも
のであり、具体的には上記図12で例示したように、2
枚のガルバノミラーを用いてX方向とY方向へ走査し、
レーザ光をラスタスキャンする。
【0062】そして、試料213にスポット光を照射し
た結果得られる試料213からの反射光または蛍光を、
レーザ顕微鏡本体31の対物レンズを介して図示しない
光路分割部により光路分割する。その分割された一方の
光を、2次元走査機構部33を介してピンホール板34
を通過させた後、一般に光電子増倍管(PMT)で構成
される光検出部35にて輝度に応じた電気信号に光電変
換する。
【0063】ピンホール板34は、所定径のピンホール
を開孔したものであり、光検出部35の前面の結像位置
に配置される。ピンホール板34を通過した光を光検出
部35で検出することにより、試料面上の観察点での合
焦により得た情報のみを検出でき、共焦点効果が得られ
る。光検出部35で変換された電気信号は、信号処理部
232において画像処理され、得られた画像信号が表示
部24で表示されるとともに、画像記録部25で記録さ
れる。
【0064】信号処理部232では、まず光検出部35
で得た電気信号を利得可変部23hにて所望の増幅率に
より増幅し、次に増幅した電気信号についてオフセット
調整部23iで所望分だけオフセット量の増減を行な
う。これらの設定量は、CPU23e2がそれぞれD/
A変換器23j,23kに所望の値を可変設定すること
で決められる。そして、オフセット調整部23iから出
力された信号がA/D変換器23aに送られてデジタル
化され、順次記憶部23bに書込まれる。
【0065】この記憶部23bでのアドレス指定はCP
U23e2により行なわれる。CPU23e2は、2次
元走査駆動制御部23lの制御による2次元走査機構部
33での走査に同期して、記憶部23bに1画面分の信
号を画像データとして記憶させる。
【0066】次に、本顕微鏡画像観察装置の動作につい
て説明する。まず、2次元走査機構部33によりレーザ
光源32からのレーザ光を試料213表面に走査し、得
られた反射光または蛍光を順次ピンホール板34を介し
て光検出部35で検出する。光検出部35では検出した
光に対して光電変換を行ない、信号処理部232の利得
可変部23h及びオフセット調整部23iでその電気信
号の振幅及びオフセット値の調整をした後、A/D変換
器23aでデジタル化して記憶部23bに記憶する。
【0067】この記憶部23bに記憶された1画面分の
画像に対して画像処理が実行されるが、その画像処理の
内容自体は上記第1の実施の形態と同様であるので説明
を省略する。そして、常に観察対象となる試料の重心位
置が観察視野の中心位置と一致するよう、XY駆動部2
3gによりレーザ顕微鏡本体31のスキャニングステー
ジ211を自動的に移動させる。
【0068】一般的にレーザ顕微鏡の場合、画像取得の
方法としてはXYTスキャン、XYZTスキャンといっ
た時間経過を観察する方法があり、上記第1の実施の形
態の場合と同様に長時間観察が必要である。したがっ
て、このようなレーザ顕微鏡の画像取込みモードにおい
ても適切な位置補正を行なうことで、良好な画像の確実
な取得が可能となる。
【0069】(第3の実施の形態)レーザ顕微鏡で画像
を取得するためには、レーザ光源、2次元走査機構部と
いった主要部分を動かす要素が必須となり、多大な電力
を消費する。これに対してテレビカメラで画像を得る場
合は、かかる消費電力がはるかに少ないという利点があ
る。また、特にレーザ顕微鏡で用いられる気体レーザ
は、一般的に固体レーザに比べて寿命が短い。したがっ
て、顕微鏡画像観察装置において画像の条件を抽出する
間は、レーザ光による走査を一時的に停止し、電源を切
断しておくことが望ましい。
【0070】これは、画像の位置ずれに対する補正処理
を実行する場合も同様であり、やはりレーザ光による走
査にかかる停止作業が必要とされる。そのため、画像の
位置ずれの検出に関してはテレビカメラの画像を使い、
実際に記憶したい顕微鏡画像としてレーザ光の走査で得
た画像を記憶するという使い方を行なえば、必要な電力
消費を充分低く抑えることができる。
【0071】以下、本発明の第3の実施の形態について
図面を参照して説明する。本第3の実施の形態では、レ
ーザ光の走査により顕微鏡画像を取得する時間間隔が長
い場合に、必要時以外はレーザ光の走査に係る回路の電
源を一時的に切断し、その間に複数回テレビカメラで画
像を得て、位置ずれの補正処理を行なう。
【0072】図6は、レーザ顕微鏡を用いた顕微鏡画像
観察装置の構成を示すブロック図である。図6の基本構
成は上記第2の実施の形態に示した図5と同様であるた
め、図5と同一な部分に同一符号を付してその説明を省
略する。
【0073】図6において、2次元走査機構部33の対
物レンズ側には光路分割部41が設けられ、レーザ光の
走査を行なっていない状態では、この光路分割部41に
より観察対象となる試料213の光像をテレビカメラ4
2に導く。テレビカメラ42により撮像された観察対象
の画像信号は、信号処理部233内のA/D変換器23
mでデジタル化された後に記憶部23nに記憶される。
この記憶部23nは、記憶制御部23oの制御に基いて
送られくる画像信号を記憶し、記憶部23nに記憶され
る画像に基いて、重心検出部23dが観察視野中におけ
る観察対象となる試料の重心位置を検出する。
【0074】そして、レーザ光の走査により得られた顕
微鏡画像の記憶部23bへの記憶は記憶制御部23pに
より、またテレビカメラ42で得られた画像の記憶部2
3nへの記憶は記憶制御部23oにより、それぞれ制御
される。CPU23e3では、光路分割部41を切換え
るとともに、これら記憶制御部23p,23oを統括制
御して、記憶部23bと記憶部23nのいずれか一方で
顕微鏡画像を記憶するよう切換制御する。
【0075】このような構成とすることにより、試料の
観察を行なう場合には、レーザ光源32で発振したレー
ザ光を2次元走査機構部33で当該試料の表面に走査し
ながら照射する。そして、光路分割部41を光検出部3
5側に切換えることで、試料213から得られた反射光
あるいは蛍光はピンホール板34を通過し、光検出部3
5で検出される。
【0076】光検出部35は、検出した光を順次電気信
号に光電変換し、その電気信号は利得可変部23h,オ
フセット調整部23iを介してA/D変換器23aでデ
ジタル化され、記憶制御部23pの制御により記憶部2
3bに記憶され、適宜D/A変換器23cを介して表示
部24で表示出力される。
【0077】一方、上述した観察の合間に観察視野の位
置ずれの補正処理を行なう場合には、光路分割部41を
テレビカメラ42側に切換え、試料の画像を光路分割部
41を介してテレビカメラ42で撮像する。テレビカメ
ラ42で得られた画像信号は、A/D変換器23mでデ
ジタル化され、記憶制御部23oの制御により記憶部2
3nに記憶される。
【0078】この記憶部23nに記憶された画像に基い
て、重心検出部23dは試料の重心位置を算出し、さら
にその重心位置と観察視野の中心とのずれ量を座標値で
算出し、その結果を距離換算部23fに送出する。距離
換算部23fでは、送られてきたずれ量の情報と対物レ
ンズの倍率とから上記第1の実施の形態で説明したよv
うにXY各方向のずれ量の示す各距離を算出し、その算
出結果をXY駆動部23gに出力する。XY駆動部23
gは、この距離換算部23fからの距離値に応じてレー
ザ顕微鏡本体31のスキャニングステージ211をX,
Y各方向に移動させる。これにより、レーザ顕微鏡本体
31の鏡体に熱変形等が生じた場合であっても、観察視
野の中心に確実に試料の重心が位置し、試料を観察視野
の中央で観察することができるようになる。
【0079】(第4の実施の形態)上記第1乃至第3の
実施の形態では、いずれも位置ずれの補正処理として観
察光軸に直交するXY平面に沿ってステージの移動を行
なうものとしたが、観察光軸と平行したZ方向へも位置
ずれが生じることがある。この問題は、自動合焦機能を
有する顕微鏡であれば、後述するようにZ方向の補正処
理をXY方向の補正処理と並列して実行することで解決
できる。これにより、特に焦点深度の浅い対物レンズを
使用するような場合であっても、確実に試料の高さ方向
の変化に対応させ、常に合焦を得ることができる。
【0080】顕微鏡において観察者が観察する際に、X
Y方向の位置を決める調整操作を行なうとともに、Z方
向の合焦位置を決める。具体的には、ステージのXY操
作、Z操作を行ない所望の位置を確定することで、XY
観察位置合わせと合焦を行なう。これは、一般的に行な
われている位置合わせである。したがって、XY方向の
位置決めにより観察重心位置を決め、Z方向の位置決め
により合焦位置を決めることになる。本第4の実施の形
態では、このときのZ方向の合焦位置をZ0とし、この
状態で撮像された初期画像のコントラスト値を合焦位置
ずれ補正の基準とする。
【0081】以下、本発明の第4の実施の形態について
図面を参照して説明する。
【0082】図7は、レーザ顕微鏡を用いた顕微鏡画像
観察装置の構成を示すブロック図である。図7の基本構
成は上記第3の実施の形態に示した図6と同様であるた
め、図6と同一な部分に同一符号を付してその説明を省
略する。本第4の実施の形態では、観察光軸方向(Z方
向)の位置ずれ、すなわち合焦位置ずれに関して、その
ずれ量を以下の処理にて補正し、合焦位置で撮像した初
期の観察画像に対して合焦位置のずれていない観察画像
を得ることを可能とする。
【0083】図7において、コントラスト算出部23q
は、記憶部23nに記憶された観察対象の初期の画像の
コントラスト値を、該初期画像の各周辺画素間の差分値
を用いて算出する。
【0084】図8は、試料である観察細胞OCの画像を
示す図である。図8において、81,82は、それぞれ
コントラスト値算出用のX,Yラインを示している。コ
ントラスト算出部23qは、図8に示す画像におけるX
Y平面内でのXライン81とYライン82の輝度の差分
値の絶対値の和をコントラスト値とする。この場合、X
ライン81,Yライン82でのコントラスト値とZ位置
でのコントラスト値は、以下のようになる。
【0085】 CX=Σ|D(Xn,Yk)−D(Xn+1,Yk)|2 …(1) CY=Σ|D(Xk,Yn)−D(Xk,Yn+1)|2 …(2) CZ=CX+CY …(3) ここで、Xn,Ynは画像中の各画素の位置を示し、D
(Xn,Yn)はXn,Yn位置での画像の輝度を示
す。また、kは任意の画像位置である。(1),(2)
式に示すCX,CYは、X,Yラインでのコントラスト
値、(3)式に示すCZは最終的なZ位置でのコントラ
スト値であり、CXとCYを加算することによりZ位置
でのコントラスト値CZを求める。
【0086】図9は、光軸方向の位置(Z位置)に対す
るコントラスト値の変化を示す図である。前述したよう
にコントラスト算出部23qによりZ位置でのコントラ
スト値を求めた後、光軸方向の位置ずれの補正を行な
う。この場合、今回取得した画像に対して、同様にコン
トラスト算出部23qでコントラスト値(Znの位置で
のコントラスト値)を算出し、前回取得した初期画像の
コントラスト値(合焦位置Z0でのコントラスト値)と
比較する。
【0087】これら二つのコントラスト値が異なれば合
焦位置がずれているため、CPU23e3は以下のよう
にZ駆動部23rでステージ211を光軸方向で移動さ
せ、前記二つのコントラスト値が一致する光軸位置すな
わち合焦位置Z0を探す。すなわち、光軸方向の位置ず
れ補正処理の際に上記二つのコントラスト値が異なる場
合、今回取得したコントラスト値が合焦位置Z0のとき
の値と一致するようにステージ211をZ方向で動か
す。
【0088】まずCPU23e3は、標本213と対物
レンズの衝突を防ぐため、初めにそれらが離れる方向へ
Z駆動部23rによりステージ211を移動する。この
移動量は、使用している対物レンズの焦点深度量のステ
ップに合わせる。これは、焦点深度内でステージ211
を動かしても、合焦範囲内であるため変化を認識できな
いからである。
【0089】このとき、ステージ211を2または3ス
テップ移動してコントラスト値が大きくなるなら、合焦
位置のコントラスト値に至るまで、同じ方向で移動を続
け合焦点に合わせる。もし、コントラスト値が小さくな
るなら、合焦点からずれてゆくので、ステージ211を
逆方向へ移動し、合焦位置に到達するようZ方向の位置
合わせを行なう。このZ方向の位置ずれ補正処理を行な
う時間間隔は、実際の顕微鏡鏡体の熱変形の速度により
異なるが、所望の時間間隔を設定可能である。
【0090】なお、画像取得時間と位置補正時間の関係
については、第1の実施の形態の説明で用いた図4と同
様であり、例えば、画像取得時間(T1)に対し、位置
ずれ補正時間(T2)とした場合(T1>T2)、位置
補正は次の画像取得までの間に行なわれなければならな
いため、T1内にT2の時間間隔で複数回(あるいは1
回)位置ずれ補正を行なうよう設定すればよい。また、
リアルタイムで常に補正処理を行ない、観察位置を中心
に置きたい場合、テレビカメラの1画面の露光時間に同
期して例えば1/30s間隔で補正処理を行なうことも
可能である。
【0091】一般に、通常の熱変形の速度は十分に遅い
ため、処理時間も十分確保でき、所望の観察が可能にな
る。ただし、全体の処理時間は、入力画像の取り込み速
度に制限される。以上により、初期の設定を行なうのみ
で、その後は自動でZ方向の位置ずれ補正を行ない長時
間の画像記録が可能となるため、観察に係る作業効率が
向上する。
【0092】また、Z方向の位置ずれ補正を画像のコン
トラスト値を基に行なうのでなく、対物レンズとステー
ジの相対距離を基に行なうようにしてもよい。この場
合、顕微鏡本体に対物レンズとステージの相対距離を測
定するセンサを設け、このセンサで測定される相対距離
をCPU23e3で検出する。そしてCPU23e3
は、補正処理時に、検出した相対距離と初期の合焦時に
おける相対距離とが一致するよう、Z駆動部23rによ
りステージ211を光軸方向で移動させる。
【0093】また、画像記録部25はビデオテープレコ
ーダからなるものとしたが、その他にもパーソナルコン
ピュータを介した記録媒体、例えば光磁気ディスク、ハ
ードディスク等を用いて記録するものとしてもよい。ま
た、テレビカメラ22のサイズ、信号方式には制限はな
く、解像度の高いものであれば、位置合わせを行なう精
度がより高くなることは言うまでもない。また、テレビ
カメラを複数用いて、一度に複数の画像を得るようにし
てもよい。
【0094】一般的にレーザー顕微鏡の場合、XYTス
キャン、XYZTスキャンといった方法により時間経過
に応じて画像を取得し観察をするため、長時間の観察が
必要となる。しかし、以上このようなレーザ顕微鏡の画
像取り込みモードによれば、適切な位置補正を行なうこ
とで、長時間による良好な画像の取得が可能となる。こ
れにより、XY方向すなわち平面方向だけでなく、光軸
方向の合焦ずれも補正され、長時間において観察位置が
ずれない画像を取得できる。
【0095】なお、本発明はその要旨を逸脱しない範囲
内で種々変形して実施することが可能であるものとす
る。
【0096】(変形例)上記各実施の形態では示さなか
ったが、当然ながらレーザ顕微鏡システムでは、透過検
出画像に関しても同様の処理を実行することができる。
また、複数の画像に対しても同様の位置ずれの補正処理
を行なうことが可能である。その場合の構成は上記各実
施の形態と同様で、異なる波長の蛍光画像を同時または
時分割により記憶部23nに記憶する。そして、複数の
蛍光画像に対してそれぞれ位置ずれの補正処理を行な
い、全ての画像に対して補正処理を終了した後、表示部
24にてマルチ画像を表示させる。
【0097】さらに、上記第2〜4の実施の形態では、
光検出部35を光電子増倍管(PMT)で構成するもの
として説明したが、これに限らず、フォトダイオード
(PD)、CCD、CMD等の光電変換の効率が良いも
のであれば他の素子を用いてもよい。また2次元走査機
構部33は、ガルバノミラーや、共振ガルバノミラー、
ポリゴンミラー、あるいはAODでもよく、要はXYの
走査が制御できればよい。また、上述した位置合わせの
処理は、ハードウェアとソフトウェアのどちらでも実現
可能である。
【0098】
【発明の効果】本発明のようにすれば、光学顕微鏡ある
いは走査型レーザ顕微鏡等において、顕微鏡鏡体に熱変
形が生じた場合であっても、観察者が煩雑な操作を行な
うことなしに、常に対象画像を観察視野の基準位置に位
置するようにして表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光学顕微鏡を
用いた顕微鏡画像観察装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る試料である観
察細胞OCの観察視野OFにおける位置関係を例示する
図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像データに
おける観察細胞OCの重心COCと観察視野OFの中心
COFを示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像所得時間
間隔と位置ずれの補正時間間隔の関係を例示した図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るレーザ顕微鏡
を用いた顕微鏡画像観察装置の構成を示すブロック図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るレーザ顕微鏡
を用いた顕微鏡画像観察装置の構成を示すブロック図。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るレーザ顕微鏡
を用いた顕微鏡画像観察装置の構成を示すブロック図。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る試料である観
察細胞OCの画像を示す図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る光軸方向の位
置に対するコントラスト値の変化を示す図。
【図10】従来例に係る一般的な走査型レーザ顕微鏡の
基本構成を示すブロック図。
【図11】従来例に係る2次元走査の原理を説明するた
めの図。
【図12】従来例に係る観察対象となる試料が視野から
外れた場合を例示する図。
【符号の説明】
21…光学顕微鏡本体 211…スキャニングステージ 213…試料 22…テレビカメラ 231,232,233…信号処理部 23a…A/D変換器 23b…記憶部 23c…D/A変換器 23d…重心検出部 23e1,23e2,23e3…CPU 23f…距離換算部 23g…XY駆動部 23h…利得可変部 23i…オフセット調整部 23j…D/A変換器 23k…D/A変換器 23l…2次元走査駆動制御部 23m…A/D変換器 23n…記憶部 23o…記憶制御部 23p…記憶制御部 23q…コントラスト算出部 23r…Z駆動部 24…表示部 25…画像記録部 31…レーザ顕微鏡本体 32…レーザ光源 33…2次元走査機構部 34…ピンホール板 35…光検出部 41…光路分割部 42…テレビカメラ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顕微鏡で得た画像を観察するための顕微鏡
    画像観察装置であり、 前記画像中の観察対象に係る平面方向の第1の位置情報
    及び観察光軸方向の第2の位置情報の少なくとも一方を
    求め、かつ前記画像に係る平面方向の基準位置に対する
    前記第1の位置情報のずれ量とずれ方向、及び前記画像
    に係る観察光軸方向の基準値に対する前記第2の位置情
    報のずれ量とずれ方向の少なくとも一方を算出する算出
    手段と、 前記顕微鏡の対物レンズと前記観察対象を載置したステ
    ージとの相対位置を変化させる駆動手段と、 前記算出手段で得たずれ量とずれ方向の少なくとも一方
    に基いて前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、 を具備したことを特徴とする顕微鏡画像観察装置。
  2. 【請求項2】観察対象に対してスポット光を走査して得
    られる光信号から画像を構築して観察するための顕微鏡
    画像観察装置であり、 前記光信号を検出する検出機構とは別に設けられ、前記
    画像を撮像する撮像手段と、 前記撮像手段で得た画像中の観察対象に係る平面方向の
    第1の位置情報及び観察光軸方向の第2の位置情報の少
    なくとも一方を求め、かつ前記画像に係る平面方向の基
    準位置に対する前記第1の位置情報のずれ量とずれ方
    向、及び前記画像に係る観察光軸方向の基準値に対する
    前記第2の位置情報のずれ量とずれ方向の少なくとも一
    方を算出する算出手段と、 前記顕微鏡の対物レンズと前記観察対象を載置したステ
    ージとの相対位置を変化させる駆動手段と、 前記算出手段で得たずれ量とずれ方向の少なくとも一方
    に基いて前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、 を具備したことを特徴とする顕微鏡画像観察装置。
  3. 【請求項3】前記算出手段は、算出したずれ量及びずれ
    方向の少なくとも一方を、顕微鏡鏡体の熱変形に係る情
    報を基に補正することを特徴とする請求項1または2に
    記載の顕微鏡画像観察装置。
  4. 【請求項4】前記第1の位置情報は前記観察対象の重心
    位置であり、前記基準位置は前記画像の中心位置である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の顕
    微鏡画像観察装置。
  5. 【請求項5】前記第2の位置情報と前記基準値は、各々
    前記画像のコントラスト値であることを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれかに記載の顕微鏡画像観察装置。
  6. 【請求項6】前記第2の位置情報と前記基準値は、各々
    前記対物レンズと前記ステージとの相対位置であること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の顕微鏡
    画像観察装置。
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