JPH11323290A - ふっ素樹脂接着用接着剤組成物、ふっ素樹脂被覆金属板およびその製造方法 - Google Patents

ふっ素樹脂接着用接着剤組成物、ふっ素樹脂被覆金属板およびその製造方法

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JPH11323290A
JPH11323290A JP5393399A JP5393399A JPH11323290A JP H11323290 A JPH11323290 A JP H11323290A JP 5393399 A JP5393399 A JP 5393399A JP 5393399 A JP5393399 A JP 5393399A JP H11323290 A JPH11323290 A JP H11323290A
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JP
Japan
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fluororesin
metal plate
layer
adhesive layer
coated metal
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Application number
JP5393399A
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English (en)
Inventor
Kunihiko Eguchi
邦彦 江口
Hidetsugu Fujisawa
英嗣 藤沢
Toshio Irie
敏夫 入江
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JFE Steel Corp
Kawatetsu Galvanizing Co Ltd
Original Assignee
Kawatetsu Galvanizing Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属板とフッ素樹脂層との接着性改善に有利
に作用する組成物を開発し、高温多湿環境下に曝しても
金属板とフッ素樹脂層との接着力が極めて高いフッ素樹
脂被覆金属板を提供すること。 【解決手段】 本発明のフッ素樹脂接着用接着剤組成物
は、フッ素樹脂(a) 、チオエーテル基、スルホニル基お
よびカルボニル基の中から選ばれるいずれか少なくとも
一種の基を主鎖中に有し、かつ溶融温度が150 ℃以上で
ある熱可塑性樹脂(b) および平均粒径1μm以下体質顔
料(c) を含有し、(a), (b), (c) の配合割合が、重量比
で、 (a):(b) =30〜95:70〜5 、かつ{ (a)+(b)
}:(c) = 100:0.8 以上20未満であることを特徴と
するものであり、この接着剤組成物を用いた本発明のフ
ッ素樹脂被覆金属板は、金属板6の少なくとも一方の面
に、接着剤層5を介してフッ素樹脂層4を被覆してなる
フッ素樹脂被覆金属板であって、該接着剤層5が、上記
成分(a), (b), (c) からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ふっ素樹脂接着用
接着剤組成物と、この組成物を使って、高温多湿環境下
においても接着性に優れたふっ素樹脂被覆層を有するふ
っ素樹脂被覆金属板と、この金属板を得るための製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ふっ素樹脂は、耐熱性や耐食
性、耐汚染性、非粘着性、不燃性などの諸性質に優れて
いることは周知である。そこで、ふっ素樹脂を金属板に
強固に接着することができれば、該ふっ素樹脂の特性を
金属板のもつ優れた強度や加工性などの特性に付加する
ことができ、加熱調理器具をはじめとする各種厨房用品
などへの適用が可能となる。したがって、ふっ素樹脂被
覆金属板を工業的に製造する技術の確立が望まれてい
た。
【0003】しかしながら、ふっ素樹脂は、その優れた
非粘着性に起因して金属板表面との接着力が低いという
欠点があった。このため、従来、このふっ素樹脂と金属
板表面との接着性を改善するために種々の方策が講じら
れてきた。このうち、幾つかの従来技術について以下に
説明する。
【0004】(1) 特開平5−162243号公報:この公報に
開示の技術は、ふっ素樹脂と耐熱性樹脂との混合物から
なる接着剤層を介してふっ素樹脂フィルムを熱融着して
なる被覆鋼板を提案するものである。この発明にかかる
被覆鋼板は、加熱によって、接着剤層内部のふっ素樹脂
と耐熱性樹脂の分離が進み、接着剤層の表面にふっ素樹
脂が高濃度に偏在するので、ふっ素樹脂フィルムと接着
剤層表面との接着は十分である。しかしながら、この技
術については、両樹脂の分離に起因して接着剤層の凝集
力が低下するため、前記被覆鋼板が、高温多湿環境下に
曝されると、ふっ素樹脂フィルムの接着が不十分とな
り、フィルムが剥離しやすいという問題があった。
【0005】(2) 特開平6−264000号公報:この公報に
開示の技術は、ふっ素樹脂、ポリエーテルスルホン、ポ
リアミドイミド(PAI)および/またはポリイミド
(PI)ならびに金属粉末からなる接着剤組成物を金属
表面に施し、ふっ素樹脂フィルムを熱溶融し接着する方
法を提案するものである。しかしながら、この方法の下
で得られる被覆鋼板は、ふっ素樹脂フィルムと接着剤層
との間で接着不良が生じるという問題があった。即ち、
この接着不良の原因は、加熱によって、架橋性樹脂であ
るPAI、PIの架橋反応が進行し、接着剤層の溶融粘
度を高めること、およびフレーク状の金属粉末が障害に
なることによって、接着剤層内のふっ素樹脂の表面への
移行が妨げられるためと考えられる。そのため、前記被
覆鋼板は、高温多湿環境下に曝されると、前記接着不良
に起因してふっ素樹脂フィルムが剥離しやすいという問
題があった。
【0006】(3) 特開平7−290637号公報:この公報に
開示の技術は、ふっ素樹脂と極性基を持つ耐熱性樹脂と
の混合物からなる接着剤層を介して、接着剤層中のふっ
素樹脂と同種のふっ素樹脂フィルムを熱融着し、その
後、未加圧の状態で焼成処理してなる被覆鋼板を提案す
るものである。しかしながら、この被覆鋼板は、特開平
5−162243号公報の場合と同様に、接着剤層内部のふっ
素樹脂と耐熱性樹脂の分離に起因して、接着剤層の凝集
力が低下するため、高温多湿環境下に曝されると、ふっ
素樹脂フィルムの接着が不十分となり、フィルムが剥離
しやすいという問題があった。
【0007】また、ふっ素樹脂被覆金属板を厨房用品な
どに適用するうえでは、文字、模様、印などの意匠を具
備すること (以下、「意匠性」とも称す。) が求められ
る。そこで、ふっ素樹脂被覆金属板において、意匠性の
発現を目的とした従来技術としては、以下のものが代表
的なものである。 (4) 特開平4−04441 号公報:この公報に開示の技術
は、金属板の表面に着色樹脂層が形成され、その上に模
様等の表示層が形成され、さらに該表示層の上に、塗装
もしくはフィルムの熱間圧着によってクリヤー系ふっ素
樹脂層を設けてなる被覆金属板を提案するものである。
しかしながら、この技術の下で得られる被覆金属板は、
意匠性を有するものの、ふっ素樹脂層と表示層との接着
力が低く、前述の従来技術と同様に高温多湿環境下に曝
されると、ふっ素樹脂層が剥離してしまうという問題が
あった。
【0008】(5) 特開平8−174757号公報:この公報に
開示の技術は、ヘアライン等の意匠性を有する金属板の
表面に透明な接着剤を介してふっ素樹脂フィルムを接着
してなる被覆金属板を提案するものである。しかしなが
ら、この技術の下で得られる被覆金属板は、意匠性を有
するものの、ふっ素樹脂フィルムと接着剤との接着機構
が、互いの極性基に由来する接着によるものであり、
(1) 〜(4) に述べた熱融着法による従来技術と比較して
も、高温における接着力が格段に低いものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温多湿環
境下での金属板とふっ素樹脂層との接着性の向上を図る
ことによって、従来技術が抱える上述した問題を解決す
ることを目的とする。本発明の他の目的は、金属板とふ
っ素樹脂層との接着性改善に有利に作用する接着剤組成
物を開発することにある。本発明のさらに他の目的は、
高温多湿環境下に曝しても金属板とふっ素樹脂層との接
着力が極めて高く、金属板表面に施した意匠が鮮明に認
められるふっ素樹脂被覆金属板と、その有利な製造方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上述した課
題の解決に向け鋭意研究した。その結果、金属板とふっ
素樹脂との接着には、ふっ素樹脂(a) 、チオエーテル
基、スルホニル基およびカルボニル基の中から選ばれる
いずれか少なくとも一種の基を主鎖中に有し、かつ溶融
温度が 150℃以上である熱可塑性樹脂(b) および平均粒
径1μm以下の体質顔料を含有させてなる接着剤組成物
を採用することが有利であり、とくにこの透明な組成物
を用いると、高温多湿環境下において優れた接着性を示
すのみならず、金属板表面に施した意匠を鮮明に認める
ことができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は第1に、(a) ふっ素樹
脂、(b) チオエーテル基、スルホニル基およびカルボニ
ル基の中から選ばれるいずれか少なくとも一種の基を主
鎖中に有し、かつ溶融温度が 150℃以上である熱可塑性
樹脂、および(c) 平均粒径1μm以下の体質顔料を含有
し、上記(a), (b), (c) の配合割合は、重量比で、
(a):(b) =30〜95:70〜5 、かつ{ (a)+(b) }:(c)
= 100:0.8 以上20未満であるふっ素樹脂接着用接着
剤組成物を提案する。
【0012】本発明のふっ素樹脂接着用接着剤組成物は
また、前記(a), (b), (c) の他に、さらに有機溶媒を加
えてなるものが好ましい。この場合、前記(a), (b),
(c) の配合割合は、 (a):(b) =30〜90:70〜10で、か
つ{ (a)+(b) }:(c) = 100:1以上20未満とするこ
とが好ましく、さらに好ましい配合割合は、 (a):(b)
=50〜90:50〜10でかつ{ (a)+(b) }:(c) = 100:
1〜15である。
【0013】このようなふっ素樹脂接着用接着剤組成物
において、前記ふっ素樹脂(a) はパーフルオロ型のふっ
素樹脂であり、前記熱可塑性樹脂(b) は、ポリエーテル
スルホン、ポリフェニレンサルファイドおよびポリエー
テルエーテルケトンの中から選ばれるいずれか少なくと
も1種であることが好ましい。より好ましくは、前記ふ
っ素樹脂(a) がテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体であり、前記熱可塑性樹脂(b) が
ポリエーテルスルホンであることが好適である。
【0014】本発明の第2の提案は、金属板の少なくと
も一方の面に、接着剤層を介してふっ素樹脂層を被覆し
てなるふっ素樹脂被覆金属板において、その接着剤層
が、(a) ふっ素樹脂、(b) チオエーテル基、スルホニル
基およびカルボニル基の中から選ばれるいずれか少なく
とも一種の基を主鎖中に有し、かつ溶融温度が 150℃以
上である熱可塑性樹脂、および(c) 平均粒径1μm 以下
の体質顔料を含有し、上記(a), (b), (c) の配合割合
が、重量比で、 (a):(b) =30〜95:70〜5 、かつ{
(a)+(b) }:(c) = 100:0.8 以上20未満からなるも
ので構成されていることを特徴とするふっ素樹脂被覆金
属板である。そして、上記(a), (b), (c) の配合割合
は、 (a):(b) =30〜90:70〜10でかつ{ (a)+(b)
}:(c) = 100:1以上20未満とすることが好まし
く、さらに好ましい配合割合は、 (a):(b) =50〜90:
50〜10でかつ{ (a)+(b) }:(c) =100:1〜15であ
る。
【0015】本発明において上記金属板の接着剤層と接
する面には、印刷層が設けられていることが好ましい。
また、本発明において、上記金属板と接着剤層との間
に、着色顔料および/または防錆顔料を含有する樹脂層
が設けられていることが好ましい。また、本発明におい
て、上記金属板と接着剤層との間に、着色顔料および/
または防錆顔料を含有する樹脂層を有し、かつ前記着色
顔料および/または防錆顔料を含有する樹脂層が接着剤
層に接する面に印刷層を有することが好ましい。
【0016】このようなふっ素樹脂被覆金属板におい
て、前記ふっ素樹脂層を構成するふっ素樹脂および前記
接着剤層を構成するふっ素樹脂(a) は、パーフルオロ型
のふっ素樹脂であり、前記熱可塑性樹脂(b) は、ポリエ
ーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイドおよびポ
リエーテルエーテルケトンの中から選ばれるいずれか少
なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、
前記ふっ素樹脂層を構成するふっ素樹脂がテトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体であり、前記接着剤層を構成するふっ素樹脂(a) が
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体であり、前記熱可塑性樹脂(b) がポリエーテルス
ルホンであることが好適である。
【0017】本発明の第3の提案は、金属板の少なくと
も一方の面に、上述した本発明にかかるふっ素樹脂接着
用接着剤組成物を塗布し、乾燥して接着剤層を形成し、
その接着剤層の上に、ふっ素樹脂を積層して熱圧着する
ことにより、ふっ素樹脂被覆金属板を製造する方法であ
る。
【0018】本発明はまた、金属板の少なくとも一方の
面に印刷層を形成し、その金属板の上に、上述したふっ
素樹脂接着用接着剤組成物を塗布、乾燥して接着剤層を
形成し、その接着剤層の上に、ふっ素樹脂を積層して熱
圧着することにより、ふっ素樹脂被覆金属板を製造する
方法を提案する。
【0019】本発明はまた、金属板の少なくとも一方の
面に、着色顔料および/または防錆顔料を含有する樹脂
層を形成し、その樹脂層の上に上述したふっ素樹脂接着
用接着剤組成物を塗布し、乾燥して接着剤層を形成し、
その後、該接着剤層の上に、ふっ素樹脂を積層して熱圧
着することにより、ふっ素樹脂被覆金属板を製造する方
法を提案する。
【0020】本発明はまた、金属板の少なくとも一方の
面に、着色顔料および/または防錆顔料を含有する樹脂
層を形成し、その樹脂層の上に印刷層を形成し、その印
刷層を有する樹脂層の上に上述したふっ素樹脂接着用接
着剤組成物を塗布し、乾燥して接着剤層を形成し、その
接着剤層の上に、ふっ素樹脂を積層して熱圧着すること
により、ふっ素樹脂被覆金属板を製造する方法を提案す
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明にかかるふっ素樹脂接着用
接着剤組成物の特徴は、熱可塑性樹脂(b) が、主鎖中に
チオエーテル基、スルホニル基およびカルボニル基の中
から選ばれるいずれか少なくとも一種の基を含有するも
のであるため、ふっ素樹脂(a) よりも表面自由エネルギ
ーが高くなることにある。即ち、基材の表面にこの接着
剤組成物を塗布し加熱乾燥すると、表面にふっ素樹脂
(a) が浮上してくる。その結果、かかるふっ素樹脂接着
用接着剤組成物を被覆したふっ素樹脂被覆金属板につい
ては、図1の断面模式図に示すように、接着剤層の表層
側にふっ素樹脂(a) 1に富む層ができ、一方、基材 (金
属板) 6側には熱可塑性樹脂(b) 2に富む層が出現す
る。金属板上にこのような接着剤層5を形成すると、そ
の表層側はふっ素樹脂(a)1に富むため、その上に被覆
するふっ素樹脂層4との馴染みがよく、強く接着される
のに対し、基材 (金属板) 6に対しても熱可塑性樹脂
(b) 2が富む層になるために極めて強固に接着する。
【0022】また、上記接着剤組成物は、この組成物中
に含まれる体質顔料(c) 3の作用によって、接着剤層5
表層部のふっ素樹脂(a) 1量を十分に確保すると同時
に、ふっ素樹脂(a) の接着剤層表層側への移行が適度に
阻害される結果、ふっ素樹脂(a) 1が接着剤層の厚み方
向に対して傾斜的に濃度勾配をもって分散含有(不連続
的に存在)するようになる。このことが、基材 (金属
板) とふっ素樹脂層との接着力が高温多湿環境下に曝し
た場合でもなお極めて高いふっ素樹脂被覆金属板11を得
るのに役立つものと考えられる。
【0023】次に、かかるふっ素樹脂接着用接着剤組成
物を用いたふっ素樹脂被覆金属板について説明する。本
発明にかかるふっ素樹脂被覆金属板の代表的な構成は、 金属板6、ふっ素樹脂接着用接着剤層5、ふっ素樹
脂層4からなるふっ素樹脂被覆金属板 (図2) 、 表面に模様、文字、図形、印などの意匠が施された
印刷層8を有する金属板6、接着剤層5、ふっ素樹脂層
4からなるふっ素樹脂被覆金属板 (図3) 、 金属板6、着色顔料および/または防錆顔料を含有
する樹脂層7、接着剤層5、ふっ素樹脂層4からなるふ
っ素樹脂被覆金属板 (図4) 、 金属板6、表面に模様、文字、図形、印などの意匠
8′が施された、着色顔料および/または防錆顔料を含
有する樹脂層7、接着剤層5、ふっ素樹脂層4からなる
ふっ素樹脂被覆金属板 (図5) 、である。
【0024】以下、本発明の構成の詳細を説明する。 〔ふっ素樹脂接着用接着剤組成物〕本発明にかかるふっ
素樹脂接着用接着剤組成物は、ふっ素樹脂(a) 、チオエ
ーテル基、スルホニル基およびカルボニル基の中から選
ばれるいずれか少なくとも一種の基を主鎖中に有し、か
つ溶融温度が 150℃以上である熱可塑性樹脂(b) および
平均粒径1μm以下の体質顔料(c) を含有するものであ
る。なお、この接着剤組成物は、さらに有機溶媒(d) を
含むことが好ましい。
【0025】この組成物中に含まれるふっ素樹脂(a) と
しては、C−F結合を有する各種ふっ素樹脂を用いるこ
とができ、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレ
ン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(EPE)、テトラフルオロエ
チレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)などが挙げられる。特に、耐熱
性の観点からはパーフルオロ型ふっ素樹脂が好ましく、
PFA、FEP、PTFEが最適である。さらに好まし
くはFEPである。なお、このふっ素樹脂(a) を用いて
接着剤組成物を調製する場合には、有機溶媒中に分散さ
せることが好ましい。この場合、ふっ素樹脂(a) の分散
粒子径は、平均粒径で10μm以下、より好ましくは 0.1
〜10μmとする。この理由は、平均粒子径が10μmを超
えるとふっ素樹脂層の接着力の低下を招くからである。
【0026】この組成物中に含まれる熱可塑性樹脂(b)
としては、チオエーテル基、スルホニル基およびカルボ
ニル基の中から選ばれるいずれか少なくとも一種の基を
主鎖中に有し、かつ溶融温度が 150℃以上、好ましくは
180 ℃以上、さらに好ましくは200 ℃以上であるものを
用いる。この理由は、かかる熱可塑性樹脂の主鎖中にチ
オエーテル基 (−S−) 、スルホニル基 (SO2 −) 、
およびカルボニル基 (−CO−) を含有すると、この樹
脂の表面自由エネルギーが高くなり、ふっ素樹脂(a) の
表面への移動に伴う該熱可塑性樹脂の濃化が起こるから
である。また、熱可塑性樹脂の溶融温度を150 ℃以上と
する理由は、溶融温度が150 ℃未満の場合、高温多湿環
境下での接着性が低下するからである。ここで、溶融温
度とは、成膜が可能な下限温度であり、例えば、結晶性
樹脂 (例えば、ポリフェニレンスルフィド, ポリエーテ
ルエーテルケトン) では融点、非晶性樹脂 (例えばポリ
エーテルサルホン, ポリアリレート) ではガラス転移温
度で示される。この熱可塑性樹脂には、ポリエーテルサ
ルホン(PES)、ポリアリレート、ポリフェニレンス
ルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)などが金属板との優れた接着性や高耐熱性に優
れるものとして好適であり、なかでもPES、PPS、
PEEKが好ましく、そのうちPESは最適である。な
お、この熱可塑性樹脂(b) は、変性されたものであって
もよく、また複数種を混合したものであってもよい。そ
して、この熱可塑性樹脂(b) を用いて接着剤組成物を調
製する場合には、有機溶媒中に分散あるいは溶解させる
ことが好ましく、特に溶解させることが好ましい。
【0027】この組成物中に含まれる体質顔料(c) とし
ては、無彩色の顔料であって、あまに油 (屈折率1.48)
などと混合しても屈折率に差がほとんどない、透明なも
のが用いられる。この体質顔料(c) の例としては、有機
ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイトクレ
ー、アルミナ、ホワイトカーボン、無水シリカがある。
これらの体質顔料は、複数種のものを混合して用いるこ
とができる。なお、この体質顔料(c) は、平均粒子径を
1μm以下、より好ましくは 500nm以下とすることが好
ましい。この理由は、平均粒子径が1μmを超えると、
ふっ素樹脂の濃度勾配が生じ難く、接着力が低くなり、
接着力を高めるために多くの配合量を必要とする結果、
接着剤層の透明性が損なわれるからである。 また、こ
の体質顔料(c) を用いて接着剤組成物を調製する場合に
は、有機溶媒中に分散させることが好ましい。
【0028】この組成物中に上記(a), (b), (c) ととも
に配合して用いる有機溶剤(d) としては、N−メチルピ
ロリドン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、
キシレン、塩化メチレンなどを単独あるいは複数を混合
して用いることができる。
【0029】次に、接着剤組成物を構成する上記(a),
(b), (c) 各成分の配合割合について説明する。本発明
において、接着剤層を構成するふっ素樹脂(a) 、熱可塑
性樹脂(b) および体質顔料(c) の基本的な配合割合は、
重量比で (a):(b) =30〜95:70〜5 とし、かつ (c)
を、 (a)と(b) の固形分総量 100重量部に対して、0.8
重量部以上20重量部未満の範囲とする。このような範囲
に規定した理由は以下のとおりである。即ち、ふっ素樹
脂(a) が全樹脂分に対して30重量%未満だと、ふっ素樹
脂層と接着剤層との接着が不十分となる。一方、ふっ素
樹脂(a) が全樹脂分に対して90重量%を超えると、接着
剤層と基材 (金属板) との接着が不十分となり好ましく
ない。また、体質顔料(c) が全樹脂分{ (a)+(b) }10
0 重量部に対して、0.8 重量部未満であると、接着剤層
の凝集力が低下し、体質顔料の配合によるふっ素樹脂の
接着性の改善効果が得られない。一方、体質顔料(c) 量
が20重量部以上であると、逆にふっ素樹脂の接着性が低
下することがあるほか、接着剤層の透明性が低下し、金
属光沢や意匠が鮮明に認められないので好ましくない。
【0030】なお、かかる接着剤組成物の他の配合例と
しては上記(a), (b), (c) の他、さらに有機溶媒(d) を
配合したものであってもよい。この例における上記(a),
(b), (c) の配合割合は、 (a):(b) =30〜90:70〜10
でかつ{ (a)+(b) }:(c) = 100:1以上20未満とす
ることが好ましく、さらに好ましい配合割合は、 (a):
(b) =50〜90:50〜10でかつ{ (a)+(b) }:(c) = 1
00:1〜15である。
【0031】〔ふっ素樹脂被覆金属板〕 (1) 図2に示すふっ素樹脂被覆金属板の構成について以
下に説明する。このふっ素樹脂被覆金属板は、基材 (金
属板) の少なくともその一方の面に、接着剤層を介して
ふっ素樹脂層を被覆して構成される。そこで、以下、基
材 (金属板) 、接着剤層, ふっ素樹脂層について説明す
る。 金属板;本発明のふっ素樹脂被覆金属板の基材を構成
する金属板としては、鉄、鋼、ステンレス、アルミニウ
ム、銅などの金属板を用いることができる。なかでも、
価値、性能の点から、鋼、ステンレスが好ましい。ま
た、この金属板には、Al−Zn合金めっき、Zn−Fe合金め
っき、Al−Si合金めっき, Zn−Ni合金めっき、Alめっき
などの各種めっき、化成処理、粗面化、研磨、艶消し処
理、光沢処理、発色薬品処理などの各種表面処理を施し
たものも含み、表面に凹凸があってもよい。なお、この
金属板は、切板形状のみならず、金属帯を用いることも
できる。
【0032】接着剤層;本発明のふっ素樹脂被覆金属
板を構成する接着剤層は、ふっ素樹脂(a) 、チオエーテ
ル基、スルホニル基およびカルボニル基の中から選ばれ
るいずれか少なくとも一種の基を主鎖中に有し、かつ溶
融温度が 150℃以上である熱可塑性樹脂(b) および平均
粒径1μm以下の体質顔料(c) からなり、この点に本発
明の主たる特徴がある。これらの成分(a),(b),(c) とそ
の配合割合(固形分の割合)については、前述したとお
りである。この接着剤層は、その目付量を3〜20g/m2
とすることが好ましい。この理由は、接着剤層の厚みが
この範囲から逸脱すると、高温多湿環境下におけるふっ
素樹脂の接着力が低下するほか、とくにその目付量が20
g/m2を超えると接着剤層の透明性が損なわれ、金属光
沢や意匠が鮮明に認められないからである。なお、この
接着剤層には、接着性を損なわない範囲において、安定
剤、粘度調整剤、分散剤、消泡剤等を配合してもよく、
さらに着色顔料や金属粉末などを配合し、接着剤層に意
匠性を付与することも可能である。
【0033】ふっ素樹脂層;このふっ素樹脂層を構成
する樹脂としては、C−F結合を有する各種ふっ素樹脂
が使用可能であり、例えば、PVF,PVDF,EP
E,ETFE,FEP,PFA,PTFEなどが挙げら
れる。特に耐熱性や耐汚染性などの点から、パーフルオ
ロ型ふっ素樹脂が好ましく、PFAが最適である。な
お、このふっ素樹脂層は、プラズマ放電処理、コロナ放
電処理、スパッタエッチング処理、火炎処理、オゾン処
理、電離活性線処理、化学薬品処理などにより接着表面
を改質したもの、着色顔料や染料を混練あるいは印刷し
たもの、ふっ素樹脂分子中に官能基を導入したもの、F
EPなどの他のふっ素樹脂や他の極性樹脂を一部混合し
たものであってもよい。また、このふっ素樹脂層の厚み
は、特に限定するものではないが、10〜100 μmの範囲
が好ましい。なお、ふっ素樹脂は通常透明であり、金属
光沢や意匠を鮮明に認めるために、ふっ素樹脂層も透明
であることが好ましい。
【0034】(2) 次に、図3に示すふっ素樹脂被覆金属
板の構成について以下に説明する。このふっ素樹脂被覆
金属板は、(1) で述べた金属板6として、そのいずれか
一方の表面に、樹脂などの有機物や金属酸化物などの無
機物を付着させて、金属表面に意匠を施した印刷層8を
形成したものを用いた点に特徴があり、その他は(1) で
説明したふっ素樹脂被覆金属板の構成と同じである。な
お、かかる印刷層は、印、文字、図形、模様などの意匠
を示すものであり、通常、印刷して形成し、その上層に
接着剤層5と、ふっ素樹脂層4とを被覆形成する。ここ
で、接着剤層およびふっ素樹脂層は、上記(1) で述べた
ものと同じものが使用できる。
【0035】(3) 次に、図4に示すふっ素樹脂被覆金属
板の構成について以下に説明する。このふっ素樹脂被覆
金属板は、上記(1) で述べた金属板6と接着剤層5との
間に、着色顔料および/または防錆顔料を含有する樹脂
層7を形成した点が特徴である。
【0036】この例の金属板において、金属板と接着剤
層との間に形成される着色顔料および/または防錆顔料
を含有する樹脂層は、金属板および接着剤層の両方に対
して良好な接着性を有するものが用いられる。たとえ
ば、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂
系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテルサ
ルホン系などの既知の樹脂が用いられる。なかでも、溶
融温度が150 ℃以上の樹脂からなるものが好ましく、ポ
リエーテルサルホン系の樹脂が特に好ましい。
【0037】この場合において、金属板6上に着色顔料
を含有する樹脂層7を形成すると、着色された被覆金属
板が得られ、この着色が最終的に得られるふっ素樹脂被
覆金属板の外観に現れる。その着色顔料としては、公知
の各種着色顔料が使用可能であるが、なかでも耐熱性に
優れるTiO2、BaO、NiO、CoO、ZnOなどの金属酸化物
顔料や焼成顔料、カーボンブラックが好適である。ま
た、樹脂に防錆顔料を含有させた場合には、耐食性に優
れる被覆金属板が得られ、最終的に得られるふっ素樹脂
被覆金属板の耐食性を高めることができる。その防錆顔
料としては、既知の各種防錆顔料が使用可能であり、ス
トロンチウムクロメートに代表されるクロム系防錆顔
料、ZnO、SiO2、MgO、MoO3、CaO、P2O5、P2O3などの
非クロム系防錆顔料が例示される。前述の着色顔料と防
錆顔料とを併用し、意匠性と耐食性の両方を発現するこ
ともできる。
【0038】上記樹脂層7の目付量は、1〜20g/m2
することが好ましい。この理由は、1g/m2未満の場合
は、着色顔料による隠蔽性や防錆顔料による耐食性が小
さいものになるからである。一方、20g/m2超の場合
は、樹脂層7を形成する際にワキなどの問題を生じた
り、製品板の加工性が低下することがあるからである。
なお、この例においても、接着剤層、ふっ素樹脂層は、
上記(1) で述べたものと同じものが使用できる。
【0039】(4) 次に、図5に示すふっ素樹脂被覆金属
板の構成について以下に説明する。このふっ素樹脂被覆
金属板は、上記(3) で述べた着色顔料および/または防
錆顔料を含有する樹脂層の表面に、樹脂などの有機物や
金属酸化物などの無機物を付着させた印刷層8′を設け
ることにより、樹脂層7の表面に意匠性を付与した点
が、上記(3) のふっ素樹脂被覆金属板の構成と異なる。
その印刷層8′は、印、文字、図形、模様などの意匠を
示すものであり、このような着色顔料および/または防
錆顔料を含有する樹脂層8′の上層に接着剤層5とふっ
素樹脂層4とを形成する。なお、この例においても、接
着剤層、ふっ素樹脂層は、上記(1) で述べたものと同じ
ものが使用できる。
【0040】〔ふっ素樹脂被覆金属板の製造方法〕以
下、本発明にかかるふっ素樹脂被覆金属板の製造方法に
ついて説明する。 まず、金属板6あるいは意匠となる印刷層8を有す
る金属板6の表面に、前述した各成分を含有するふっ素
樹脂接着用接着剤組成物を塗装する。この塗装には、工
業的に一般に用いられるスプレー塗装、ロールコータ
ー、フローコーター、ナイフコーターなどの方法が適用
され、加熱乾燥後の付着量(目付量)が3〜20g/m2
なるように塗装することが好ましい。
【0041】 次に、金属板の表面に塗装した接着剤
組成物を加熱乾燥する。この加熱乾燥は、ふっ素樹脂
(a) およびふっ素樹脂層の融点以上で加熱乾燥すること
が好ましい。通常は 250〜500 ℃で加熱乾燥される。加
熱乾燥温度がふっ素樹脂(a) あるいはふっ素樹脂層の融
点未満であると、ふっ素樹脂層の熱融着が不十分となり
好ましくない。一方、加熱乾燥温度が500 ℃を超える
と、接着剤層を構成する樹脂の熱分解が生じ、ふっ素樹
脂層の接着力が低下するからである。なお、加熱乾燥方
法については、通常実施される熱風式、赤外式、誘導加
熱式などが使用可能であり、特に規定されない。また、
加熱乾燥時間も特に規定はないが、通常、10〜180 秒の
範囲で所定の温度にまで加熱される。
【0042】(3) そして、金属板表面に形成した接着剤
層の表面に、ふっ素樹脂フィルムを熱圧着することによ
りふっ素樹脂層を形成し、本発明にかかるふっ素樹脂被
覆金属板を得る。この工程では、加熱乾燥後の塗装面の
温度降下中に、引き続き接着剤層表面にふっ素樹脂フィ
ルムを重ね合わせ、一対以上のロールやプレスによって
熱圧着する。ロールやプレス盤の表面温度は 100〜260
℃が好ましい。より好ましくは 120〜220 ℃である。こ
の理由は、該表面温度が 100℃未満では、金属板の温度
を高くしてもフィルムの接着力が低いものとなる。一
方、該表面温度が 260℃を超えると、圧着後にフィルム
がロールやプレス盤の表面に融着し、金属板から浮き上
がることがあるからである。ロール圧力は特に規定しな
いが、通常はロール線圧で 0.1〜30kg/cm、圧力に換算
して 0.5〜100 kg/cm2 の範囲とする。また、この工程
では、ふっ素樹脂フィルムのかわりに粉体状のふっ素樹
脂を用いることが可能である。
【0043】金属板の表面に直接、意匠を発現させる方
法の1つとしては、図3に示すように、前述した樹脂な
どの有機物や金属酸化物などの無機物を、スパッタ塗
装、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷し
たり、レーザー照射を施すなどの方法で行うことができ
る。また、このような有機物、無機物を用いずに、エッ
チング、ヘアライン、鏡面化、粗面化、彫刻などの方法
で金属板表面に意匠を発現させてもよい。そして、この
ように処理した金属板の表面に、接着剤層、ふっ素樹脂
層を形成させる。接着剤層とふっ素樹脂層の形成方法は
前述した通りである。
【0044】金属板の表面に意匠を発現させる他の方法
は、金属板の上に、着色顔料および/または防錆顔料を
含有する樹脂層を形成させる方法であってもよい。この
方法には、スプレー、ロールコーター、フローコータ
ー、ナイフコーターなどの塗装方法を採用することがで
きる。そして、このような樹脂層を形成した後に、接着
剤層、ふっ素樹脂層を形成させる。接着剤層とふっ素樹
脂層の形成方法は前述した通りである。
【0045】金属板の表面に意匠を発現させるさらに他
の方法は、着色顔料および/または防錆顔料を含有する
樹脂層の表面にさらに、樹脂などの有機物や金属酸化物
などの無機物を、スパッタ塗装、スクリーン印刷、オフ
セット印刷、グラビア印刷したり、レーザー照射を施す
などの方法で行うことにより、意匠を発現させる方法で
ある。そして、その上層に接着剤層やふっ素樹脂層を形
成するが、その方法は前述したとおりである。
【0046】以上説明したように本発明の製造方法によ
れば、本発明のふっ素樹脂接着用接着剤組成物を用いる
ことで、従来技術のようにバッチ式で長時間の焼成処理
を施す必要がなくなり、簡単に連続製造が可能となる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。 (実施例1) (1) 平均粒径5μmのテトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)が分散されたN
−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、ジアセトンア
ルコールの混合溶剤(3:1:1)中に、ポリエーテル
サルホン(PES)を溶解した。このとき、樹脂分であ
るFEPとPESの配合量は、固形分重量比で70:30と
した。次いで、前記樹脂分 100重量部に対して平均粒径
0.016μmの無水シリカを4重量部添加して、接着剤組
成物を得た。 (2) こうして得られた接着剤組成物を、あらかじめ表面
を光沢仕上げし、さらに塗布型クロメート液で被覆処理
(クロム付着量を30mg/m2、150 ℃で30の乾燥)したス
テンレス 430鋼板の表面に、加熱乾燥後の付着量が8g
/m2になるようにロールコーターを用いて塗装した。 (3) 塗装後、120 秒で到達板温が380 ℃になる条件で塗
膜の加熱乾燥を行い、引き続き、塗装面の自然冷却中
に、厚み40μmのPFAのクリアーフィルムを積層し、
1対のロール(ロール表面温度は180 ℃)を用いて線圧
5kg/cmで圧着することにより、ふっ素樹脂被覆金属板
を作製した。
【0048】(実施例2〜15および比較例1〜7)ふっ
素樹脂フィルムの種類、接着剤組成物中の樹脂、体質顔
料の種類、平均粒子径、混合重量比などを表1に示すよ
うに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてふっ素樹
脂被覆金属板を作製した。なお、ふっ素樹脂層としてF
EP,PTFEを用いた場合、膜厚は50μmとした。
【0049】(実施例16)金属板として、ヘアライン、
エッチング、ダル仕上げにより黒色ヘアラインを有する
ステンレス430 鋼板を用いたこと以外は、実施例1と同
様にしてふっ素樹脂被覆金属板を作製した。
【0050】(実施例17)塗布型クロメート液で被覆処
理 (クロム付着量を30mg/m2、150 ℃で30秒の乾燥) し
た55%アルミ−亜鉛溶融めっき鋼板 (めっき目付け量AZ
70) の表面に、 N−メチルピロリドン 75重量部 ポリエーテルサルホン 25重量部 酸化チタン (着色顔料) 20重量部 ZnOおよびMoO3からなる防錆顔料 5重量部 上記混合割合からなる塗料を、加熱乾燥後の付着量が10
g/m2になるようにロールコーターを用いて塗装した。
得られた樹脂被覆金属板は白色の外観を呈していた。次
に、実施例1と同じ接着剤組成物とふっ素樹脂を用い、
実施例1と同様にしてふっ素樹脂被覆金属板を作製し
た。
【0051】(実施例18)実施例17の方法によって得ら
れた樹脂被覆金属板の表面に、黒色インキ (N−メチル
ピロリドン、ポリエーテルサルホン、カーボンブラック
の混合液) を、グラビアロールを用いて印刷した。得ら
れた樹脂被覆金属板は白色の下地に黒色の模様を有する
外観を呈していた。次に、実施例1と同じ接着剤組成物
とふっ素樹脂を用い、実施例1と同様にしてふっ素樹脂
被覆金属板を作製した。
【0052】(実施例19)表面を光沢仕上げした後、塗
布型クロメート液で処理 (クロム付着量30mg/m2、150
℃で30秒乾燥) したステンレス430 鋼板に、黒色インキ
(N−メチルピロリドン、ポリエーテルサルホン、カー
ボンブラックの混合液) をスパッタ塗装機を用いて散布
した。得られた金属板は、金属光沢の下地に黒色の点状
模様を有していた。次に、実施例1と同じ接着剤組成物
とふっ素樹脂を用い、実施例1と同様にしてふっ素樹脂
被覆金属板を作製した。
【0053】このようにして作製したふっ素樹脂被覆金
属板について、以下の評価試験を行い、その結果を表1
に示す。 (A)フィルム剥離強度 ふっ素樹脂被覆金属板サンプルを短冊状に裁断して供試
料とし、この試料をオートクレーブ中で 200℃の飽和水
蒸気雰囲気に2時間曝した。次いで、試料を取り出した
後、常温において、その試料表面に対して垂直方向にふ
っ素樹脂フィルムを強制剥離し、そのふっ素樹脂フィル
ムの剥離幅1cmあたりの剥離荷重を測定し、フィルム剥
離強度を評価した。 (B)焼付汚染試験 ふっ素樹脂被覆金属板サンプル上に、卵、砂糖および醤
油の混合物をのせ、230 ℃のオーブン中で15分間焼成
し、取り出し後のふっ素樹脂フィルムの外観変化を観察
した。この試験は、ふっ素樹脂フィルムに膨れが生じた
り、炭化物の付着が生じるまで、同じ試料を用いて最高
5回まで繰り返し行い、外観不良を生じない連続合格回
数によって評価した。なお、この試験は、試験中に水蒸
気が発生するため、高温高湿下での耐久性試験にもな
る。 (C)外観 ふっ素樹脂被覆金属板サンプル中のフィルムの浮きやし
わなどの異常の有無を観察した。その評価は、異常の認
められる場合を×、認められない場合を○とした。 (D)意匠性 ふっ素樹脂被覆金属板サンプル中のフィルム面の色調を
観察した。その評価は、金属板あるいは樹脂層表面の意
匠が、フィルムを透して鮮明に認められる場合を○、接
着剤層が濁り、金属板表面の意匠が認められない場合を
×とした。
【0054】なお、溶融温度は、DSCを用いて測定
し、結晶性樹脂であるPPS,FEP,PFA,PTF
E,ポリエステルについては吸熱ピーク温度を、非晶性
樹脂であるPESについては吸熱開始温度を溶融温度と
した。各樹脂の溶融温度は、PPS:280 ℃、PES:
225 ℃、FEP:275 ℃、PFA:310 ℃、PTFE:
327 ℃、ポリエステル:130 ℃であった。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示す結果から明らかなように、本発
明にかかるふっ素樹脂被覆金属板は、高温多湿環境下で
のふっ素樹脂層の接着性、耐焼付汚染性(高温多湿下で
の耐久性)、ならびに外観,意匠性に優れていた。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のふっ素樹
脂被覆鋼板は、高温多湿環境下に曝しても、ふっ素樹脂
層の接着性に優れ、高温使用を繰り返してもふっ素樹脂
層のふくれや炭化物の付着がない、耐久性、耐食性に優
れたものである。しかも、本発明のふっ素樹脂被覆鋼板
は、基材である金属板や下地の樹脂層が有する意匠を鮮
明に認めることができるという外観性にも優れたもので
ある。したがって、本発明のふっ素樹脂被覆鋼板は、パ
ン、ケーキ、菓子などを焼くために用いる焼型、炊飯器
の内釜、ガステーブルの天板などの加熱調理器具用材
料、平板の食品調理・加熱器具、レンジフード用素材な
どの厨房用品用素材として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のふっ素樹脂被覆金属板の断面模式図で
ある。
【図2】本発明のふっ素樹脂被覆金属板の断面模式図で
ある。
【図3】本発明のふっ素樹脂被覆金属板の断面模式図で
ある。
【図4】本発明のふっ素樹脂被覆金属板の断面模式図で
ある。
【図5】本発明のふっ素樹脂被覆金属板の断面模式図で
ある。
【符号の説明】
1 ふっ素樹脂(a) 2 熱可塑性樹脂(b) 3 体質顔料(c) 4 ふっ素樹脂層 5 接着剤層 6 金属板 7 顔料および/または防錆顔料を含有する樹脂層 8, 8′ 印刷層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 敏夫 千葉県船橋市前原西3−15−6

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) ふっ素樹脂、 (b) チオエーテル基、スルホニル基およびカルボニル基
    の中から選ばれるいずれか少なくとも一種の基を主鎖中
    に有し、かつ溶融温度が 150℃以上である熱可塑性樹
    脂、および (c) 平均粒径1μm以下の体質顔料を含有し、上記(a),
    (b), (c) の配合割合が、重量比で、 (a):(b) =30〜
    95:70〜5 、かつ{ (a)+(b) }:(c) = 100:0.8 以
    上20未満であることを特徴とするふっ素樹脂接着用接着
    剤組成物。
  2. 【請求項2】 金属板の少なくとも一方の面に、接着剤
    層を介してふっ素樹脂層を被覆してなるふっ素樹脂被覆
    金属板において、その接着剤層が、 (a) ふっ素樹脂、 (b) チオエーテル基、スルホニル基およびカルボニル基
    の中から選ばれるいずれか少なくとも一種の基を主鎖中
    に有し、かつ溶融温度が 150℃以上である熱可塑性樹
    脂、および (c) 平均粒径1μm以下の体質顔料を含有し、かつ上記
    (a), (b), (c) の配合割合が、重量比で、 (a):(b) =
    30〜95:70〜5 、かつ{ (a)+(b) }:(c) = 100:0.
    8 以上20未満からなるもので構成されていることを特徴
    とするふっ素樹脂被覆金属板。
  3. 【請求項3】 上記金属板は、接着剤層に接する面に、
    印刷層が設けられていることを特徴とする請求項2に記
    載のふっ素樹脂被覆金属板。
  4. 【請求項4】 上記金属板と接着剤層との間に、着色顔
    料および/または防錆顔料を含有する樹脂層が設けられ
    ていることを特徴とする請求項2に記載のふっ素樹脂被
    覆金属板。
  5. 【請求項5】 上記金属板と接着剤層との間に、着色顔
    料および/または防錆顔料を含有する樹脂層を有し、か
    つ、この樹脂層の前記接着剤層に接する面に印刷層が設
    けられていることを特徴とする請求項2に記載のふっ素
    樹脂被覆金属板。
  6. 【請求項6】 金属板の少なくとも一方の面に、請求項
    1に記載のふっ素樹脂接着用接着剤組成物を塗布し、乾
    燥して接着剤層を形成し、その接着剤層の上に、ふっ素
    樹脂を積層して熱圧着することを特徴とするふっ素樹脂
    被覆金属板の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属板の少なくとも一方の面に印刷層を
    形成し、その印刷層を有する金属板の上に請求項1に記
    載のふっ素樹脂接着用接着剤組成物を塗布、乾燥して接
    着剤層を形成し、その接着剤層の上にふっ素樹脂を積層
    して熱圧着することを特徴とするふっ素樹脂被覆金属板
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属板の少なくとも一方の面に、着色顔
    料および/または防錆顔料を含有する樹脂層を形成し、
    その樹脂層の上に請求項1に記載のふっ素樹脂接着用接
    着剤組成物を塗布、乾燥して接着剤層を形成し、その接
    着剤層の上に、ふっ素樹脂を積層して熱圧着することを
    特徴とするふっ素樹脂被覆金属板の製造方法。
  9. 【請求項9】 金属板の少なくとも一方の面に、着色顔
    料および/または防錆顔料を含有する樹脂層を形成し、
    その樹脂層の上に印刷層を形成し、その印刷層を有する
    樹脂層の上に請求項1に記載のふっ素樹脂接着用接着剤
    組成物を塗布、乾燥して接着剤層を形成し、その接着剤
    層の上に、ふっ素樹脂を積層して熱圧着することを特徴
    とするふっ素樹脂被覆金属板の製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160113595A (ko) * 2014-01-28 2016-09-30 주식회사 쿠라레 광학 필름 제조용 원반 필름
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