JPH11310485A - 窯業系建築板及びその製造方法 - Google Patents

窯業系建築板及びその製造方法

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JPH11310485A
JPH11310485A JP11570498A JP11570498A JPH11310485A JP H11310485 A JPH11310485 A JP H11310485A JP 11570498 A JP11570498 A JP 11570498A JP 11570498 A JP11570498 A JP 11570498A JP H11310485 A JPH11310485 A JP H11310485A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠面が不特定な複雑模様を有し,より自然
な外観を有する窯業系建築板とその製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 意匠面11の上にシーラー層及び塗料層
を設けてなる窯業系建築板1において,該K窯業系建築
板1は,上記意匠面11に比較的平坦な平坦部分と模様
凹部とを有している。上記意匠面11には,上記模様凹
部の内面も含めて,その全面にシーラー層及び中塗塗料
層を順次設けてなる。更に,上記意匠面11には,上記
中塗塗料層の上に油性塗料層3を設けると共に少なくと
も上記模様凹部3の上部には,上記油性塗料層3とは異
なる色調の水性ステイン塗料層4が設けられている。上
記意匠面11に上記油性塗料層3と部分的な水性ステイ
ン塗料層4とからなる複雑模様を形成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,自然な外観を有する意匠性に優
れた窯業系建築板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来の窯業系建築板には,意匠面に溝部を
形成し,該溝部に暗めの色相の塗装を行ない,その他の
意匠面には明るい色相の塗装を行なうことにより立体感
を表出したものがある。また,プリントローラ,スプレ
ー等を用いた多色塗装により,カラフルで自然な感じを
表出した窯業系建築板もある。或いは,着色塗装後にお
いて,塗膜の中にプラスチックビーズ,砂等の骨材を散
布することにより自然な石肌感を表出した窯業系建築板
もある。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の窯
業系建築板は,ある程度の立体感は表出できるものの,
上記溝部以外の意匠面における単調感は解消できない。
そこで,上記意匠面に予め細かい凹部である模様凹部が
形成された基板を作成し,これに塗装を施すことにより
単調感を解消することが考えられる。
【0004】しかし,従来のロールコータ法,フローコ
ータ法,或いはスプレー法等の一般的な塗装方法では,
上記模様凹部にもその他の意匠面と同様に塗装が行なわ
れてしまう。そのため,上記模様凹部を他の意匠面と区
別して異なる色相で塗装するスポット塗装を行なうこと
ができず,結局単調感を解消することができない(図6
参照)。
【0005】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,意匠面が不特定な複雑模様を有し,より
自然な外観を有する窯業系建築板とその製造方法を提供
しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,意匠面の上にシ
ーラー層及び塗料層を設けてなる窯業系建築板におい
て,該窯業系建築板は,上記意匠面に比較的平坦な平坦
部分と模様凹部とを有しており,また,上記意匠面に
は,上記模様凹部の内面も含めて,その全面にシーラー
層及び中塗塗料層を順次設けてなり,更に,上記意匠面
には,上記中塗塗料層の上に油性塗料層を設けると共に
少なくとも上記模様凹部の上部には,上記油性塗料層と
は異なる色調の水性ステイン塗料層が設けられており,
上記意匠面に上記油性塗料層と部分的な水性ステイン塗
料層とからなる複雑模様を形成してなることを特徴とす
る窯業系建築板にある。
【0007】本発明で最も注目すべき点は,上記窯業系
建築板は上記意匠面に模様凹部を有しており,該模様凹
部の上部には水性ステイン塗料層が設けられ,上記油性
塗料層と部分的な水性ステイン塗料層とからなる複雑模
様を形成してなることにある。
【0008】次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記窯業系建築板は上記意匠面における模様凹部の上部
に上記水性ステイン塗料層が設けられ,その他の意匠面
は油性塗料層の上に部分的に不特定な形状模様の水性ス
テイン塗料層が設けられる。そして,上記水性ステイン
塗料層と油性塗料層は,異なる色調を有する。そのた
め,複雑模様が形成される。
【0009】そのため,上記意匠面は,単調な仕上がり
となることが避けられ,凹凸模様のエッジがより強調さ
れ,立体感が表出される。また,上記水性ステイン塗料
層は水性であり,一方油性塗料層は油性である。そのた
め,油性塗料層の上に水性ステイン塗料層を塗布して
も,水性ステイン塗料層によって,油性塗料層が溶かし
出されるおそれがない。そのため,上記意匠面におい
て,上記油性塗料層と水性ステイン塗料層は互いに混ざ
り合うことはなく,複雑模様を形成することができる。
【0010】次に,請求項2の発明のように,上記意匠
面には,所定の間隔で溝部を設けてなり,該溝部には上
記油性塗料層及び水性ステイン塗料層は設けられていな
いことが好ましい。上記溝部は,上記平坦部分よりも低
い位置において,例えば長方形,菱形などの形状に設け
られる(図1参照)。この場合には,より立体感を有す
る煉瓦建築板風の窯業系建築板を得ることができる。
【0011】次に,請求項3の発明のように,上記水性
ステイン塗料層は,上記摸様凹部の上部の他に,上記平
坦部分における油性塗料層の上にも,部分的に複雑模様
に設けてあることが好ましい。この場合には,凹凸模様
がより一層表出された窯業系建築板を得ることができ
る。
【0012】次に,請求項4の発明のように,上記油性
塗料層の上に部分的に複雑模様に設けられた水性ステイ
ン塗料層は,上記油性塗料層の全面に水性ステイン塗料
層を一旦塗布し,その後直ちに該水性ステイン塗料層を
掻き取ることにより,残存形成したものであることが好
ましい。
【0013】この場合には,上記意匠面における模様凹
部の上部に上記水性ステイン塗料層が形成されていると
共に,上記平坦部分においては,上記油性塗料層が表面
に露出している。また,上記平坦部分においても上記水
性ステイン塗料層が除去されない部分が発生するため,
部分的に上記水性ステイン塗料層が残存する。そのた
め,上記平坦部分においても,上記水性ステイン塗料層
によるかすれ感が表出される。このかすれ感により地肌
感,立体感が一層際立った窯業系建築板を得ることがで
きる。
【0014】次に,請求項5の発明のように,上記意匠
面には,その最表面にクリア塗料層が設けられているこ
とが好ましい。この場合には,耐候性,意匠性に一層優
れた窯業系建築板を得ることができる。
【0015】次に,請求項6の発明のように,意匠面に
比較的平坦な平坦部分と模様凹部とを有する基板を準備
し,次いで,該基板の意匠面の全面にシーラー層及び中
塗塗料層を順次施し,次いで,上記意匠面上の中塗塗料
層の上に油性塗料層を施し,次いで,該油性塗料層を指
触乾燥状態に乾燥させた後,その上に上記油性塗料層と
は異なる色調の水性ステイン塗料層を施し,その後,直
ちに該水性ステイン塗料層を掻き取り処理することによ
り,上記油性塗料層の上面において,少なくとも上記模
様凹部の上部に水性ステイン塗料層が残存されて,上記
油性塗料層と部分的な水性ステイン塗料層とからなる複
雑模様を形成した窯業系建築板を得ることを特徴とする
窯業系建築板の製造方法がある。
【0016】本製造方法においては,意匠面に比較的平
坦な平坦部分と模様凹部とを有する基板を用いる。その
ため,上記模様凹部の上部には水性ステイン塗料層を形
成することができ,上記平坦部分に設けた油性塗料層と
は異なる色調に仕上げることが可能となる。また,上記
油性塗料層を指触乾燥状態に乾燥させた後,その上に上
記油性塗料層とは異なる色調の水性ステイン塗料層を施
す。また,両者は油性と水性であるため混合しない。そ
のため,上記油性塗料層と水性ステイン塗料層は互いに
混ざり合うことなく,複雑模様を形成することができ
る。
【0017】また,上記水性ステイン塗料層の塗布後,
直ちに該水性ステイン塗料層を掻き取り処理する。その
ため,上記意匠面における模様凹部の上部に上記水性ス
テイン塗料層が形成されると共に,上記平坦部分におい
ては,上記油性塗料層が表面に現れる。なお,上記の,
「水性ステイン塗料層を施し,その後直ちに掻き取る」
とは,水性ステイン塗料層が塗膜を形成する前に掻き取
ることをいい,例えば水性ステイン塗料層を形成した後
0.5〜10秒位の間に掻き取ることをいう。
【0018】また,上記平坦部分においても上記水性ス
テイン塗料層が除去されない部分が発生するため,部分
的に上記水性ステイン塗料層が残存する。そのため,上
記平坦部分において,上記油性塗料層の上に水性ステイ
ン塗料層によるかすれ感のある複雑模様が表出される。
このかすれ感により地肌感,立体感が一層際立った窯業
系建築板を容易に得ることができる。
【0019】次に,請求項7の発明のように,上記意匠
面には,所定の間隔で溝部を設け,該溝部には上記油性
塗料層及び水性ステイン塗料層は設けないことが好まし
い。この場合には,より一層立体感を有する煉瓦建築風
の窯業系建築板を得ることができる。
【0020】次に,請求項8の発明のように,上記水性
ステイン塗料層は,上記掻き取り処理の際に,上記模様
凹部の上部の他に,上記平坦部分上の油性塗料層の上
に,部分的に複雑模様に残存させることが好ましい。こ
の場合には,上記平坦部分において,上記のごとく水性
ステイン塗料層によるかすれ感が表出される。このかす
れ感により地肌感,立体感が一層際立った窯業系建築板
を容易に得ることができる。
【0021】次に,請求項9の発明のように,上記水性
ステイン塗料層は,ゴム硬度30〜50度の塗装用ロー
ラにより塗布することが好ましい。この場合には,適当
量の水性ステイン塗料を塗布することができる。上記ゴ
ム硬度が,30度未満の場合には,塗布したくない部分
にまで塗料が入り込んでしまうおそれがある。一方,上
記ゴム硬度が50度を超える場合には,凸状模様の一部
分にしか塗布できず,表現が乏しい意匠面になってしま
うおそれがある。
【0022】次に,請求項10の発明のように,上記水
性ステイン塗料層の掻き取り処理は,ゴム硬度60〜7
0度の掻き取りローラにより行なうことが好ましい。こ
の場合には,上記意匠面上に適当量の水性ステイン塗料
層が残存し,程よいかすれ感が発現され,地肌感,立体
感が一層際立った窯業系建築板を容易に得ることができ
る。
【0023】次に,請求項11の発明のように,上記水
性ステイン塗料層の塗布は,基板を移動させながら,該
基板の進行方向に回転する塗装用ローラを用いて行な
い,上記水性ステイン塗料層の掻き取り処理は上記塗装
用ローラと同方向に回転するナチュラルローラ,又は反
対方向に回転するリバースローラにより行なうことが好
ましい。この場合には,より自然な風合いのかすれ感が
発現され,地肌感,立体感が一層際立った窯業系建築板
を容易に,かつ連続的に,生産効率良く製造することが
できる。
【0024】次に,請求項12の発明のように,上記水
性ステイン塗料層はスプレー法により塗布することが好
ましい。この場合には,水性ステイン塗料層の均一塗布
ができるという利点がある。
【0025】次に,請求項13の発明のように,上記水
性ステイン塗料層の掻き取り処理は,スキージにより行
なうことが好ましい。この場合には,掻き取られた水性
ステイン塗料は効率的に回収され,再利用できるという
利点がある。
【0026】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる窯業系建築板につき,図1
〜図4を用いて説明する。まず,本例の窯業系建築板1
は,図2,図3に示すごとく,意匠面11に比較的平坦
な平坦部分12と模様凹部13を有している。
【0027】また,図1,図3(E)に示すごとく,上
記意匠面11には,上記模様凹部13の内面も含めて,
その全面にシーラー層21及び中塗塗料層22を順次設
けてなる。更に,上記意匠面11には,上記中塗塗料層
22の上に油性塗料層3を設けると共に少なくとも上記
模様凹部13の上部には,上記油性塗料層23とは異な
る色調の水性ステイン塗料層4が設けられている。そし
て,図1に示すごとく,上記意匠面11に上記油性塗料
層3と部分的な水性ステイン塗料層4とからなる複雑模
様を形成してなる。
【0028】また,上記意匠面11には,図1〜図3に
示すごとく,所定の間隔で溝部14を設けてなり,該溝
部14には上記油性塗料層3及び水性ステイン塗料層4
は設けられていない。従って,上記溝部14には,上記
中塗塗料層22が最表面に露出している。また,上記水
性ステイン塗料層4は,上記摸様凹部13の上部の他
に,上記平坦部分12における油性塗料層3の上にも,
部分的に複雑模様に設けてある。
【0029】次に,上記窯業系建築板1の製造方法につ
き,図2〜図4を用いて説明する。即ち,まず図2
(A)に示すごとく,意匠面11に比較的平坦な平坦部
分12と模様凹部13とを有する基板10を準備し,次
いで,該基板の意匠面11の全面にシーラー層21及び
中塗塗料層22を順次施す(図2(A),(B))。
【0030】次いで,上記意匠面11上の中塗塗料層2
2の上に油性塗料層3を施す(図2(C))。次いで,
該油性塗料層3を指触乾燥状態に乾燥させた後,その上
に上記油性塗料層3とは異なる色調の水性ステイン塗料
層4を施す(図3(D))。その後,直ちに該水性ステ
イン塗料層4を掻き取り処理する(図3(E))。
【0031】上記一連の工程により,図1,図3(D)
に示すごとく,上記油性塗料層3の上面において,上記
模様凹部13の上部,及び上記平坦部分12における油
性塗料層3の上に水性ステイン塗料層4が残存される。
そのため,上記油性塗料層3と部分的な水性ステイン塗
料層4とからなる複雑模様を形成した窯業系建築板1が
得られる。
【0032】なお,上記水性ステイン塗料層3の塗布及
び掻き取り処理は,図4に示す塗装装置5及び掻き取り
装置6を用いて行なう。上記塗装装置は,ゴム硬度30
〜50度の塗装用ローラ51と,該塗装用ローラ51の
下方に配設されたバックアップローラ52,及び上記塗
装用ローラ51の後方に圧接されたドクターローラ53
とよりなる。そして,上記塗装用ローラ51と上記ドク
ターローラ53との圧接部の上部には,水性ステイン塗
料40を供給するための塗料供給部54が形成されてい
る。
【0033】一方,掻き取り装置6は,ゴム硬度60〜
70度の掻き取りローラ61と,該掻き取りローラ61
の下方に配設されたバックアップローラ62と,上記掻
き取りローラ61に接触配設されたブレード64とより
なる。上記掻き取りローラ61と上記ブレード64との
接触部の上部には,貯留部65が形成される。該貯留部
65に上記水性ステイン塗料40又は水を貯留しておく
ことにより上記掻き取りローラ61の乾燥を防いでい
る。
【0034】そして,上記窯業系建築板1は,コンベア
(図示略)により搬送されながら,上記塗装用ローラ5
1と上記バックアップローラ52との間を通過する。こ
の間に,意匠面11上の油性塗料層3の上に,上記水性
ステイン塗料層4が施される。次いで,上記窯業系建築
板1が,上記掻き取りローラ61と上記バックアップロ
ーラ62との間を通過することにより,上記水性ステイ
ン塗料層4が上記掻き取りローラ61に付着し,更に上
記ブレード64によっての掻き取り処理がなされる。そ
して,掻き取られた水性ステイン塗料40は,上記貯留
部65に貯えられる。
【0035】次に,本例の作用効果について説明する。
上記窯業系建築板1は,図1,図3(E)に示すごと
く,上記意匠面11における模様凹部13の上部に上記
水性ステイン塗料層4が設けられ,その他の意匠面11
は油性塗料層3の上に部分的に不特定な形状模様の水性
ステイン塗料層4が設けられる。そして,上記水性ステ
イン塗料層4と油性塗料層3は,異なる色調を有するた
め,複雑模様が形成される。
【0036】そのため,上記意匠面11は,単調な仕上
がりとなることが避けられ,より一層地肌感,立体感が
表出される。また,上記水性ステイン塗料層4は水性で
あり,一方上記油性塗料層3は油性である。そのため,
上記油性塗料層3の上に上記水性ステイン塗料層4を塗
布しても,水性ステイン塗料層3によって油性塗料層が
溶かし出されるおそれがない。そのため,上記意匠面1
1において,上記油性塗料層13と水性ステイン塗料層
4は互いに混ざり合うことがなく,複雑模様を形成する
ことができる。
【0037】また,上記意匠面11には,所定の間隔で
溝部14を設けてなり,該溝部14には上記油性塗料層
3及び水性ステイン塗料層4は設けられていない。従っ
て,上記溝部14には,上記中塗塗料層22が最表面に
露出している。上記溝部14は,図1に示すごとく,上
記平坦部分12よりも低い位置において,長方形の形状
に設けられている。そのため,窯業系建築板1は,より
立体感を有する煉瓦建築板風とすることができる。
【0038】また,最終的に形成される水性ステイン塗
料層4は,上記掻き取り処理により,残存形成したもの
である。そのため,上記意匠面11における模様凹部1
3の上部に上記水性ステイン塗料層4が形成されると共
に,上記平坦部分12においては,上記油性塗料層3が
表面に現れる。
【0039】また,上記平坦部分12においても上記水
性ステイン塗料層4が除去されない部分が発生するた
め,部分的に上記水性ステイン塗料層4が残存する。そ
のため,上記平坦部分12においても,上記水性ステイ
ン塗料層4によるかすれ感が表出される。このかすれ感
により凹凸状の地肌感,立体感が一層際立った窯業系建
築板1を得ることができる。従って,本例によれば,意
匠面が不特定な複雑模様を有し,より自然な外観を有す
る窯業系建築板を容易に得ることができる。
【0040】実施形態例2 本例は,上記窯業系建築板の最表層にクリア塗料層を設
けた例である(図示略)。その他は,実施形態例1と同
様である。本例によれば,耐候性,意匠性に一層優れた
窯業系建築板を得ることができる。その他は実施形態例
1と同様の作用効果を有する。
【0041】実施形態例3 本例は,本発明の窯業系建築板及びその製造方法の具体
例である。即ち,上記シーラー層の塗布には,塗料とし
て,ウレタン系シーラーをシンナーで希釈し,硬化剤を
添加したものを用いた。塗料粘度は,岩田カップにて1
0〜15秒となる粘度に調整した。上記塗料を,基板上
にスポンジロールコータを用いて塗布した後,更にエア
レススプレーを用いて塗布した。塗布後の乾燥は,10
0〜120℃にて1分45秒間行なった。
【0042】次に,中塗塗料層の塗布には,塗料とし
て,ウレタン系塗料をシンナーで希釈し,硬化剤を添加
したものを用いた。塗料粘度は,岩田カップにて10〜
15秒となる粘度に調整した。上記塗料を,基板上にエ
アレススプレーを用いて塗布した。塗布後の乾燥は,1
00℃にて3分間行なった。
【0043】次に,油性塗料層の塗布には,塗料とし
て,ウレタン系塗料をシンナーで希釈したものを用い
た。塗料粘度は,ザンカップ#4にて20〜30秒とな
る粘度に調整した。上記塗料を,基板上にスポンジロー
ルコータを用いて塗布した後,更にナチュラルロールコ
ータを用いて塗布した。
【0044】次に,水性ステイン塗料層の塗布には,塗
料として,水性ステイン塗料を水で希釈したものを用い
た。塗料粘度は,岩田カップにて25〜40秒となる粘
度に調整した。上記塗料を,基板上にゴム硬度40〜6
0度のスポンジロールコータを用いて塗布した。その
後,直ちに,ゴム硬度60〜80度の掻き取りローラに
て,上記水性ステイン塗料層の掻き取り処理を行なっ
た。
【0045】次に,クリア塗料層の塗布には,着色ビー
ズ,銀粉を添加したクリアコート塗料を用意し,該クリ
アコート塗料をシンナーで希釈し,硬化剤を添加したも
のを用いた。塗料粘度は,岩田カップにて10〜20秒
となる粘度に調整した。上記塗料を,上記水性ステイン
塗料層を掻き取った後,基板上にエアレススプレーを用
いて塗布した。塗布後の乾燥は,100℃にて15分間
行なった。
【0046】上記製造条件により製造された窯業系建築
板1を図5に示す。一方,比較のため,上記油性塗料層
3の形成までは上記と同様に行ない,水性ステイン塗料
層4の掻き取り処理は行なわなかった比較例の窯業系建
築板9(図6)を作製した。図5に示すごとく,上記窯
業系建築板1は,意匠面に,複雑模様が形成され,一
方,図6に示す比較例としての従来の窯業系建築板9
は,このような複雑模様は形成されていない。特に,本
例の窯業系建築板1は,従来の窯業系建築板9と比較し
て,地肌感,立体感が表出され,より一層自然な外観を
有することが分かる。
【0047】実施形態例4 本例は,図7に示すごとく,上記水性ステイン塗料40
を,スプレー56を用いて塗布する例ある。その他は,
実施形態例1と同様である。本例によれば,水性ステイ
ン塗料層4の均一塗布が容易となる。その他は実施形態
例1と同様の作用効果を有する。
【0048】実施形態例5 本例は,図8に示すごとく,上記水性ステイン塗料層の
塗布は,基板を移動させながら,該基板の進行方向に回
転する塗装用ロールコータ51を用いて行ない,上記水
性ステイン塗料層の掻き取り処理は上記塗装用ロールコ
ータ51と反対方向に回転するリバースロール66によ
り行なう例である。その他は,実施形態例1と同様であ
る。
【0049】本例によれば,より自然な風合いのかすれ
感が発現され,地肌感,立体感が一層際立った窯業系建
築板を容易に得ることができる。その他は実施形態例1
と同様の作用効果を有する。
【0050】実施形態例6 本例は,図9に示すごとく,請求項13の発明のよう
に,上記水性ステイン塗料層の掻き取り処理は,スキー
ジ67により行なう例である。その他は,実施形態例1
と同様である。
【0051】本例によれば,掻き取られた水性ステイン
塗料40は効率的に回収され,再利用できるという利点
がある。その他は実施形態例1と同様の作用効果を有す
る。
【0052】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,意匠面
が不特定な複雑模様を有し,より自然な外観を有する窯
業系建築板とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1にかかる,窯業系建築板の斜視
図。
【図2】実施形態例1にかかる,窯業系建築板の製造工
程における油性塗料層形成までの説明図。
【図3】実施形態例1にかかる,窯業系建築板の製造工
程における水性ステイン塗料層形成方法の説明図。
【図4】実施形態例1にかかる,水性ステイン塗料層の
塗布及び掻き取り処理の説明図。
【図5】実施形態例3にかかる,本発明の窯業系建築板
の複雑模様を示す平面図。
【図6】実施形態例3にかかる,比較例の窯業系建築板
の複雑模様を示す平面図。
【図7】実施形態例4にかかる,水性ステイン塗料層の
塗布及び掻き取り処理の説明図。
【図8】実施形態例5にかかる,水性ステイン塗料層の
塗布及び掻き取り処理の説明図。
【図9】実施形態例6にかかる,水性ステイン塗料層の
塗布及び掻き取り処理の説明図。
【符号の説明】
1...窯業系建築板, 10...基板, 11...意匠面, 12...平坦部分, 13...模様凹部, 14...溝部, 21...シーラー層, 22...中塗塗料層, 3...油性塗料層, 4...水性ステイン塗料層, 5...塗装装置, 51...塗装用ローラ, 56...スプレー, 6...掻き取り装置, 61...掻き取りローラ, 66...リバースローラ, 67...スキージ,

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 意匠面の上にシーラー層及び塗料層を設
    けてなる窯業系建築板において,該窯業系建築板は,上
    記意匠面に比較的平坦な平坦部分と模様凹部とを有して
    おり,また,上記意匠面には,上記模様凹部の内面も含
    めて,その全面にシーラー層及び中塗塗料層を順次設け
    てなり,更に,上記意匠面には,上記中塗塗料層の上に
    油性塗料層を設けると共に少なくとも上記模様凹部の上
    部には,上記油性塗料層とは異なる色調の水性ステイン
    塗料層が設けられており,上記意匠面に上記油性塗料層
    と部分的な水性ステイン塗料層とからなる複雑模様を形
    成してなることを特徴とする窯業系建築板。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記意匠面には,所
    定の間隔で溝部を設けてなり,該溝部には上記油性塗料
    層及び水性ステイン塗料層は設けられていないことを特
    徴とする窯業系建築板。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記水性ステ
    イン塗料層は,上記摸様凹部の上部の他に,上記平坦部
    分における油性塗料層の上にも,部分的に複雑模様に設
    けてあることを特徴とする窯業系建築板。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記油性塗料層の上に部分的に複雑模様に設けられた水
    性ステイン塗料層は,上記油性塗料層の全面に水性ステ
    イン塗料層を一旦塗布し,その後直ちに該水性ステイン
    塗料層を掻き取ることにより,残存形成したものである
    ことを特徴とする窯業系建築板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
    上記意匠面には,その最表面にクリア塗料層が設けられ
    ていることを特徴とする窯業系建築板。
  6. 【請求項6】 意匠面に比較的平坦な平坦部分と模様凹
    部とを有する基板を準備し,次いで,該基板の意匠面の
    全面にシーラー層及び中塗塗料層を順次施し,次いで,
    上記意匠面上の中塗塗料層の上に油性塗料層を施し,次
    いで,該油性塗料層を指触乾燥状態に乾燥させた後,そ
    の上に上記油性塗料層とは異なる色調の水性ステイン塗
    料層を施し,その後,直ちに該水性ステイン塗料層を掻
    き取り処理することにより,上記油性塗料層の上面にお
    いて,少なくとも上記模様凹部の上部に水性ステイン塗
    料層が残存されて,上記油性塗料層と部分的な水性ステ
    イン塗料層とからなる複雑模様を形成した窯業系建築板
    を得ることを特徴とする窯業系建築板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において,上記意匠面には,所
    定の間隔で溝部を設け,該溝部には上記油性塗料層及び
    水性ステイン塗料層は設けないことを特徴とする窯業系
    建築板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7において,上記水性ステ
    イン塗料層は,上記掻き取り処理の際に,上記模様凹部
    の上部の他に,上記平坦部分上の油性塗料層の上に,部
    分的に複雑模様に残存させることを特徴とする窯業系建
    築板の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれか一項において,
    上記水性ステイン塗料層は,ゴム硬度30〜50度の塗
    装用ローラにより塗布することを特徴とする窯業系建築
    板の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれか一項におい
    て,上記水性ステイン塗料層の掻き取り処理は,ゴム硬
    度60〜70度の掻き取りローラにより行なうことを特
    徴とする窯業系建築板の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項6〜10のいずれか一項におい
    て,上記水性ステイン塗料層の塗布は,基板を移動させ
    ながら,該基板の進行方向に回転する塗装用ローラを用
    いて行ない,上記水性ステイン塗料層の掻き取り処理は
    上記塗装用ローラと同方向に回転するナチュラルロー
    ラ,又は反対方向に回転するリバースローラにより行な
    うことを特徴とする窯業系建築板の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項6〜8及び10のいずれか一項
    において,上記水性ステイン塗料層はスプレー法により
    塗布することを特徴とする窯業系建築板の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項6〜9及び12のいずれか一項
    において,上記水性ステイン塗料層の掻き取り処理は,
    スキージにより行なうことを特徴とする窯業系建築板の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004353299A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Nichiha Corp 建築板及びその製造方法
JP2006088502A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Nichiha Corp 化粧建築板及びその製造方法
JP2006264036A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Nichiha Corp 化粧建築板及びその製造方法

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