JP2004353299A - 建築板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建築板1は,複数の木目形成凸部21を形成してなる木目凹凸模様203を有する原板2の意匠表面201に,下側塗料層3及び上側塗料層4を順次設けてなる。上側塗料層4は,下側塗料層3を構成する塗料よりも濃色の塗料により構成されている。木目形成凸部21としての平坦凸部21Aの頂点部210に形成された1mm以上の幅を有する略平坦面211と,木目形成凸部21同士の間に位置する凹部22としての平坦凹部22Aに形成された15mm以上の幅を有する底面221とには,下側塗料層3が露出した露出表面101が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【技術分野】
本発明は,建築物の外壁として施工する建築板であって,特に凹凸模様を形成した意匠表面に塗装を行って形成した建築板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば,建築物の外壁として施工するために量産される建築板においては,単調な仕上り感を避けるために,建築板の意匠表面の凹凸模様,この意匠表面の塗装の仕方等の工夫がなされている。そして,例えば,特許文献1,2に示すように,上記意匠表面が,自然な外観や,立体的な外観を呈するように努力がなされている。
【0003】
特許文献1においては,建築板の意匠表面に,平坦部分とこの平坦部分より陥没形成した模様凹部とを有しており,上記平坦凸部と上記模様凹部との色調を異ならせることにより,意匠表面が自然な外観を呈する建築板を形成している。
また,特許文献2においては,建築板の意匠表面に木目調を呈する凹凸模様を形成し,この凹凸模様における凸部と凹部との色彩を異ならせることにより,意匠表面が立体的な外観を呈する建築板を形成している。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−310485号公報
【特許文献2】
特開平10−317631号公報
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記特許文献1の建築板においては,上記意匠表面に表現する色調の違いは,上記平坦部分における模様凹部の陥没に対応して形成されたものである。すなわち,この色調の違いは,上記模様凹部の意匠表面突出高さが,上記平坦部分よりも低いことにより形成されたものである。
【0006】
また,上記特許文献2の建築板においては,上記意匠表面に表現する色彩の違いは,上記凹凸模様における凸部の突出に対応して形成されたものである。すなわち,この色彩の違いは,上記凸部の意匠表面突出高さが,上記凹部よりも高いことにより形成されたものである。
そのため,上記従来の建築板における色調又は色彩の変化は,あくまでも建築板の意匠表面における各部の意匠表面突出高さの違いに対応して形成されてものである。そのため,建築板の意匠表面に,より複雑な意匠外観を形成するためには,一層の工夫が必要とされる。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,木目凹凸模様の木目形成凸部だけにおいて,また凹部だけにおいても異なる色外観を呈することができ,より複雑な木目調の意匠外観を呈することができる建築板及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
第1の発明は,木目調を呈するための複数の木目形成凸部を形成してなる木目凹凸模様を有する原板の意匠表面に,下側塗料層及び上側塗料層を順次設けてなる建築板において,
上記上側塗料層は,上記下側塗料層を構成する塗料よりも濃色の塗料により構成されており,
上記木目形成凸部の頂点部に形成された1mm以上の幅を有する略平坦面と,上記木目形成凸部同士の間に位置する凹部に形成された15mm以上の幅を有する底面とには,上記下側塗料層が露出した露出表面が形成されていることを特徴とする建築板にある(請求項1)。
【0009】
本発明の建築板は,下側塗料層の表面にこの下側塗料層を構成する塗料よりも濃色の塗料により構成された上側塗料層を有してなるものである。
そして,上記木目形成凸部の頂点部に形成された1mm以上の幅を有する略平坦面と,上記凹部に形成された15mm以上の幅を有する底面とには,上記上側塗料層を構成する塗料よりも淡色の塗料により構成された下側塗料層が露出してなる露出表面が形成されている。また,木目形成凸部及び凹部における露出表面が形成されていない残りの部分には,下側塗料層の表面を上記濃色の塗料による上側塗料層が覆った被覆表面が形成されている。
【0010】
具体的には,上記被覆表面は,上記木目形成凸部の頂点部に形成された1mm未満の幅を有する略平坦面と,上記凹部に形成された15mm未満の幅を有する底面とに形成されている。
ここで,上記幅とは,上記木目調の形成方向に直交する直交方向の断面における幅のことをいう。
また,木目形成凸部の頂点部においては,上記略平坦面が形成されておらず,鋭角状の曲状端部が形成されていることもある。この場合には,この曲状端部には上記被覆表面が形成されている。
【0011】
本発明の建築板の意匠表面においては,上記木目凹凸模様の木目形成凸部だけにおいて,また上記凹部だけにおいても,上記下側塗料層による淡色の色外観を呈する露出表面と,上記上側塗料層による濃色の色外観を呈する被覆表面とが混在する。そのため,本発明の建築板の意匠表面は,従来のように各部(凹凸)の意匠表面突出高さの違いに対応して異なる色外観を呈するのではなく,木目形成凸部だけにおいて,また凹部だけにおいても異なる色外観を呈することができる。それ故,本発明の建築板の意匠表面は,より複雑な木目調の意匠外観を呈することができる。
【0012】
第2の発明は,木目調を呈するための複数の木目形成凸部による木目凹凸模様を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と,
上記原板の意匠表面に第1塗料を塗布し乾燥して,下側塗料層を形成する下側塗料層形成工程と,
上記下側塗料層の表面に,上記第1塗料よりも濃色の第2塗料を塗布して,上側塗料層を形成する上側塗料層形成工程と,
上記第2塗料が乾燥する前に,上記木目形成凸部の頂点部における1mm以上の幅を有する略平坦面について上記第2塗料を掻き取ると共に,上記木目形成凸部同士の間に位置する凹部における15mm以上の幅を有する底面について上記第2塗料を掻き取って,上記木目形成凸部における略平坦面及び上記凹部における底面に上記下側塗料層が露出した露出表面を形成する掻取り工程とを行うことを特徴とする建築板の製造方法にある(請求項7)。
【0013】
本発明の製造方法においては,上記準備工程,上記下側塗料層形成工程,上側塗料層形成工程及び上記掻取り工程を行うことによって,上述した優れた作用効果を有する建築板を効率的に製造することができる。
そして,上記各工程を行うことによって,上記木目形成凸部の頂点部における1mm以上の幅を有する略平坦面と,上記凹部における15mm以上の幅を有する底面とには,上記上側塗料層を構成する塗料よりも淡色の塗料により形成された下側塗料層が露出してなる露出表面が形成される。また,木目形成凸部及び凹部における露出表面が形成されていない残りの部分には,下側塗料層の表面を上記濃色の塗料による上側塗料層が覆った被覆表面が形成される。
【0014】
これにより,上記発明と同様に,上記建築板の意匠表面においては,上記木目形成凸部だけにおいて,また凹部だけにおいても,下側塗料層による淡色の色外観を呈する露出表面と,上側塗料層による濃色の色外観を呈する被覆表面とが混在する。
そのため,本発明の製造方法によれば,木目凹凸模様の木目形成凸部だけにおいて,また凹部だけにおいても異なる色外観を呈することができ,より複雑な木目調の意匠外観を呈することができる建築板を効率的に製造することができる。
【0015】
また,上記掻取り工程において,上記木目形成凸部の頂点部における1mm以上の幅を有する略平坦面と,上記凹部における15mm以上の幅を有する底面とに露出表面を形成できる理由は,以下のように考える。
すなわち,上記木目形成凸部の頂点部には,1mm未満の幅を有する略平坦面も形成されている。そして,上記木目形成凸部における1mm以上の幅を有する略平坦面は,1mm未満の幅を有する略平坦面よりも大きな接触面積で掻取り具に当接する。そのため,この当接の際に,木目形成凸部における1mm以上の幅を有する略平坦面に塗布された第2塗料が掻取り具に付着して掻き取られ,上記露出表面を形成すると考える。
【0016】
一方で,木目形成凸部における1mm未満の幅を有する略平坦面は,1mm以上の幅を有する略平坦面よりも掻取り具に当接する接触面積が小さい。そのため,この当接の際に,木目形成凸部における1mm未満の幅を有する略平坦面に塗布された第2塗料が掻取り具に付着して掻き取られることはあっても,この掻き取られた部分がその周辺の第2塗料により補填されることによって上記被覆表面を形成すると考える。また,木目形成凸部における1mm未満の幅を有する略平坦面に塗布された第2塗料は,掻取り具に掻き取られることなく,この略平坦面へと引っ張られて,この略平坦面に残存することもあると考える。
【0017】
また,上記凹部には,15mm未満の幅を有する底面も形成されている。そして,上記凹部における15mm以上の幅を有する底面は,その幅が大きいことにより掻取り具に当接することができる。そのため,この当接の際に,凹部における15mm以上の幅を有する底面に塗布された第2塗料が掻取り具に付着して掻き取られ,上記露出表面を形成すると考える。
【0018】
一方で,凹部における15mm未満の幅を有する底面は,その幅が狭いために掻取り具に当接しないことが多い。そのため,この当接の際に,凹部における15mm未満の幅を有する底面に塗布された第2塗料は,掻取り具に付着することなく,この底面に残存し,上記被覆表面を形成すると考える。
【0019】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第1,第2の発明において,上記露出表面を形成した木目形成凸部の頂点部における略平坦面の幅の上限は,建築板の意匠表面に形成する木目調の外観意匠性から考慮して15mm未満とすることが好ましい。
また,上記露出表面を形成した木目形成凸部の頂点部における略平坦面の幅が1mm未満である場合には,この露出表面を形成することが困難になる。
【0020】
また,上記露出表面を形成した凹部における底面の幅の上限は,建築板の意匠表面に形成する木目調の外観意匠性から考慮して50mm未満とすることが好ましい。
また,上記露出表面を形成した凹部における底面の幅が15mm未満である場合には,この露出表面を形成することが困難になる。
また,上記凹部の底面に対する上記木目形成凸部の頂点部までの高さは,0.5〜3mmとすることが好ましい。
【0021】
また,上記第1の発明において,上記露出表面は,上記下側塗料層の表面に上記上側塗料層を構成するための塗料を塗布した後,該塗料が乾燥する前に,該塗料の一部を除去することにより形成したものであることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記下側塗料層の表面に上記上側塗料層を形成するための塗料を塗布し,その後,この塗料の一部を除去して上記露出表面を形成することができる。そのため,上記露出表面を,特別な塗装等を行うことなく,容易かつ効率的に形成することができる。
【0022】
また,上記塗料の除去は,上記上側塗料層を構成する塗料を塗布した建築板の意匠表面に,掻取り具を当接させて,上記塗料の一部を掻き取ることによって行うことができる。この場合には,木目形成凸部における1mm以上の幅を有する略平坦面が,1mm未満の幅を有する略平坦面よりも大きな接触面積で掻取り具に当接することを利用して,上記露出表面を形成することができる。
また,凹部における15mm以上の幅を有する底面が掻取り具に当接し,15mm未満の幅を有する底面が掻取り具に当接しないことを利用して,上記露出表面を形成することができる。
【0023】
また,上記木目凹凸模様は,上記木目形成凸部と,節部を呈するための節形成凸部とを有していることが好ましい(請求項3)。
この場合には,上記木目形成凸部の頂点部における1mm以上の幅を有する略平坦面だけでなく,上記節形成凸部の頂点部に形成された1mm以上の幅を有する略平坦面にも上記露出表面を形成することができる。そのため,上記建築板は,上記木目形成凸部及び節形成凸部により,実際の木材に近似したリアリティのある意匠外観を呈することができる。
【0024】
また,上記建築板の意匠表面は,上記木目凹凸模様を形成した模様形成領域と,該模様形成領域よりも陥没した目地溝とを有しており,該目地溝には,上記下側塗料層の表面を上記上側塗料層が覆った被覆表面が形成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記模様形成領域と上記目地溝とを有する建築板において,目地溝には上記被覆表面を形成することにより,目地溝が目立たないようにして,上記模様形成領域における木目凹凸模様に形成した露出表面を際立たせることができる。
【0025】
また,上記目地溝は,建築物の外壁に複数の建築板を横方向又は縦方向に並べて施工したときに,建築板同士の間の繋ぎ目が目立たなくすることを意図して形成することができる。すなわち,目地溝は,建築板の一方側の端部には,この目地溝の底面及び一方側壁を形成し,建築板の他方側の端部には,この目地溝の他方側壁を形成して,建築板を横方向又は縦方向に並べて施工したときに1つの目地溝を形成するよう構成することができる(図8参照)。また,目地溝は,建築板の両端部同士の間にも,所定の間隔を保って形成することができる。
【0026】
また,上記各木目形成凸部は,上記木目調の形成方向に直交する直交方向の断面において,それぞれ上記木目調の中心側に位置する内側壁面が,他方側に位置する外側壁面よりも緩やかな緩傾斜状に形成されていることが好ましい(請求項5)。
【0027】
ところで,上記木目調とは,樹木を挽いた断面において,この樹木の内部に形成された年輪により呈する外観とほぼ同様の外観もしくはこれに近似した外観のことをいう。また,上記木目調の中心側とは,この木目調で表現しようとする樹木の中心,すなわち樹木の髄のある側をいう。よって,上記木目調の中心側は,必ずしも上記意匠表面の中心側に位置するものではなく,場合によっては意匠表面の端部に位置することもある。
また,上記木目調の形成方向とは,この木目調が表現しようとする樹木の長手方向(樹木が伸びる方向)のことをいう。
【0028】
上記の場合には,各木目形成凸部における内側壁面は,上記木目調の中心側を向く明確な方向性を有して形成されており,上記緩傾斜状の内側壁面には光が照射され易く,外側壁面には光が照射され難い状態を形成することができる。そのため,上記木目調の中心側を向く内側壁面は明るい外観を呈し,この中心側とは反対側の他方側を向く外側壁面は暗い外観を呈することができる。
そのため,上記建築板の意匠表面の各木目形成凸部に意図的に陰影効果を発揮させることができ,上記建築板は,リアリティのある立体的な木目調の意匠外観を呈することができる。
【0029】
また,上記各木目形成凸部における内側壁面には,上記露出表面が形成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には,上記内側壁面は,上記淡色の塗料からなる下側塗料層により一層明るい外観を呈し,一方で,上記外側壁面は,上記濃色の塗料からなる上側塗料層により一層暗い外観を呈することができる。そのため,上記各木目形成凸部に,一層明確な陰影効果を発揮させることができ,上記建築板は,一層リアリティのある立体的な木目調の意匠外観を呈することができる。
【0030】
また,上記第1,第2の発明において,上記露出表面は,上記下側塗料層の表面に上記上側塗料層を構成するための塗料を塗布した後,該塗料が乾燥する前に,上記木目形成凸部のいずれに対しても,掻取り具を当接させて形成することができる。この場合には,掻取り具に特別な工夫を必要とすることがなく,一層容易かつ効率的に上記露出表面を形成することができる。
【0031】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の建築板及びその製造方法にかかる実施例につき説明する。
本例の建築板1は,図1〜図3に示すごとく,木目調を呈するための多数の木目形成凸部21を形成してなる木目凹凸模様203を有する原板2の意匠表面201に,下側塗料層3及び上側塗料層4を順次設けてなるものである。また,上記上側塗料層4は,上記下側塗料層3を構成する淡色の第1塗料30よりも色彩が濃い濃色の第2塗料40により構成されている。
【0032】
上記各木目形成凸部21においては,その頂点部210に略平坦状の略平坦面211を形成してなる平坦凸部21Aと,その頂点部210に鋭角状の曲状端部212を形成してなる曲状凸部21Bとがある。また,各木目形成凸部21同士の間に位置する各凹部22には,略平坦状の底面221を形成してなる平坦凹部22Aと,曲状の曲状面222を形成してなる曲状凹部22Bとがある。
【0033】
そして,上記木目形成凸部21による上記木目調の形成方向(木目調の長尺方向)Lに直交する直交方向Wの幅が1mm以上である平坦凸部21Aにおける略平坦面211には,上記下側塗料層3が露出した露出表面101が形成されている。また,上記直交方向Wの幅が1mm未満である平坦凸部21Aにおける略平坦面211には,上記下側塗料層3の表面を上記上側塗料層4が覆った被覆表面102が形成されている。
【0034】
また,上記直交方向Wの幅が15mm以上である上記平坦凹部22Aにおける底面221には,上記下側塗料層3が露出した露出表面101が形成されている。また,上記直交方向Wの幅が15mm未満である上記平坦凹部22Aにおける底面221には,上記被覆表面102が形成されている。
また,上記曲状凸部21B及び上記曲状凹部22Bにも,上記被覆表面102が形成されている。
【0035】
以下に,これを詳説する。
図1〜図3に示すごとく,本例の建築板1は,量産可能な窯業系建築板1でありながら,木材を挽いたときの切断面の外観に近似した木目調の凹凸外観を有するものである。
図1,図2は,上記建築板1を,上記木目調の形成方向(長尺方向)Lに直交する直交方向Wにおいて切断して観察した断面説明図である。なお,これらの図は説明用の模式図なので,木目形成凸部21及び凹部22が,実際にはこれらの図に示した数よりも多数形成されている。
【0036】
図1,図2に示すごとく,上記平坦凸部21Aにおける略平坦面211は,必ずしも平坦である必要はなく,若干円弧凸状に曲がって形成されていてもよい。また,上記平坦凹部22Aにおける底面221は,必ずしも平坦である必要はなく,若干曲がって形成されていてもよい。
【0037】
上記平坦凸部21A又は曲状凸部21Bである各木目形成凸部21は,上記建築板1が表現しようとする木材(樹木)における年輪の晩材部を表現するものであり,上記平坦凹部22A又は曲状凹部22Bである各凹部22は,上記年輪の早材部を表現するものである。
上記早材部とは,1年間に形成される1年輪において,春から初夏にかけて樹木の成長が早い時期にできる部分をいい,上記晩材部とは,初夏以後,樹木の生長が緩やかな時期にできる部分をいう。
本例の各木目形成凸部21は,上記年輪の外観を呈する木材(樹木)において,晩材部の硬さが早材部の硬さよりも硬いことに対応して,各凹部22よりも突出させて形成したものである。
【0038】
また,図1,図2に示すごとく,上記各木目形成凸部21は,上記直交方向Wの断面において,それぞれ上記木目調の中心側Cに位置する内側壁面215が,他方側Dに位置する外側壁面216よりも緩やかな緩傾斜状に形成されている。なお,木目調の中心側Cとは,この木目調で表現しようとする樹木の中心O,すなわち樹木の髄Oのある側をいう(図4参照)。
そして,上記内側壁面215は,樹木の1年輪の形成過程において,早材部から晩材部に移り変わるときの年輪の状態を表現しており,上記外側壁面216は,晩材部から早材部に移り変わるときの年輪の状態を表現している。
【0039】
すなわち,上記内側壁面215は,早材部から晩材部に移り変わるときには,徐々に年輪の硬さが増加することに対応して形成されており,上記外側壁面216は,晩材部から早材部に移り変わるときには,急激に年輪の硬さが減少することに対応して形成されたものである。
そして,上記内側壁面215及び外側壁面216はいずれも傾斜状に形成されており,内側壁面215の傾斜角度は外側壁面216の傾斜角度よりも緩やかに形成されている。
【0040】
図1〜図3に示すごとく,上記各木目形成凸部21及び各凹部22は,木目調における柾目部を呈するための柾目形成部205と,木目調における板目部を呈するための板目形成部206として形成されている。そして,上記1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211を備えた平坦凸部21Aのほとんどは,上記板目形成部206において形成されている。一方で,上記1mm未満の直交方向Wの幅を有する略平坦面211を備えた平坦凸部21A,及び上記曲状端部212を備えた曲状凸部21Bのほとんどは,上記柾目形成部205において形成されている。
【0041】
また,上記15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221を備えた平坦凹部22Aのほとんどは,上記板目形成部206において形成されている。一方で,上記15mm未満の直交方向Wの幅を有する底面221を備えた平坦凹部22A,及び上記曲状面222を備えた曲状凹部22Bのほとんどは,上記柾目形成部205において形成されている。
【0042】
また,図3に示すごとく,上記柾目形成部205は,これを構成する各木目形成凸部21を互いに平行に近い状態で長尺状に形成してなる。一方で,上記板目形成部206は,これを構成する各木目形成凸部21を長尺状に形成してなると共に,上記木目調の形成方向Lの一方向に向けて山状又は波状等の不規則な形状を形成してなる。
【0043】
また,図1,図2に示すごとく,上記板目形成部206における各木目形成凸部21の内側壁面215には,上記露出表面101が形成されている。本例では,上記1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211を備えた平坦凸部21Aにおける内側壁面215に,上記露出表面101が形成されている。
一方で,上記板目形成部206における各木目形成凸部21の外側壁面216には,上記被覆表面102が形成されている。また,上記柾目形成部205における各木目形成凸部21の内側壁面215及び外側壁面216には,上記被覆表面102が形成されている。
【0044】
また,図1に示すごとく,上記板目形成部206における上記15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221を備えたいずれかの平坦凹部22Aには,底面221よりもさらに陥没した多数の微細凹部223が形成されている。そして,上記15mm以上の直交方向Wの幅を有する平坦凹部22Aの底面221には,上記露出表面101が形成されており,上記多数の微細凹部223には,上記被覆表面102が形成されている。
【0045】
また,本例では,上記各木目形成凸部21における略平坦面211において,直交方向Wの幅は最大でも15mm以下となっている。また,上記各凹部22における底面221において,直交方向Wの幅は最大でも50mm以下となっている。
また,上記各木目形成凸部21の直交方向Wにおける断面形状は,上記木目調の形成方向Lに向けて一定ではなく,複雑に変化している。また,これに伴って,上記各凹部22の直交方向Wにおける断面形状も,上記木目調の形成方向Lに向けて一定ではなく,複雑に変化している。
【0046】
図4は,樹木をこれが伸びる長手方向に沿って挽いたときに,その切断断面に現れる外観を示す図である。そして,本例の建築板1における木目凹凸模様203は,同図に示すごとく,樹木の中心(髄)Oからずれた位置X1で挽いたときに現れる板目形成部206と柾目形成部205とが混在する外観を表現するものである。
一方で,上記木目凹凸模様203は,樹木の中心(髄)Oの位置X0又はその近傍の位置X0を通って挽いたときに現れる柾目形成部205のみの外観を表現することもできる。
【0047】
また,図5に示すごとく,建築板1においては,上記木目凹凸模様203によって,樹木の長手方向に沿った切断断面の左右いずれかの年輪による外観を表現することもできる。この場合には,上記木目調の中心側Cは,上記建築板1における一方向側Cとなり,各木目形成凸部21は,一方向側Cに上記内側壁面215を有すると共に,一方向側Cとは反対側の他方向側Dに上記外側壁面216を有することとなる。
【0048】
また,図3に示すごとく,上記木目凹凸模様203は,上記木目調を呈するための各木目形成凸部21と,節部を呈するための節形成凸部21Cとを有してなる。ここで,節部とは,枝が樹木の成長過程において幹に包み込まれることによりできる部分をいう。
そして,本例においては,上記建築板1の意匠表面201は,上記木材(樹木)の年輪の晩材部が突出すると共に上記木材(樹木)の節部が突出した木目調の凹凸外観を有している。
【0049】
そして,節形成凸部21Cは,以下のように種々の形態で形成されている。
すなわち,図6に示すごとく,1つの形態の節形成凸部21Cは,上記柾目形成部205における複数の木目形成凸部21を分断するよう形成されている。
また,図7に示すごとく,他の形態の節形成凸部21Cは,上記板目形成部206における木目形成凸部21同士の間に形成されている。
なお,上記節形成凸部21Cは,上記建築板1の意匠表面201に種々の環状形状として形成されていてもよく,上記意匠表面201の端部で分断された状態で形成されていてもよい。
【0050】
また,図2,図6,図7に示すごとく,上記節形成凸部21C内には,この節形成凸部21Cの頂点部210よりも陥没してなる節凹部213が形成されている。そして,節形成凸部21Cは,その頂点部210に1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211を有しており,この略平坦面211には上記露出表面101が形成されている。一方で,上記節凹部213には,上記被覆表面102が形成されている。
【0051】
また,上記各木目形成凸部21A,B,上記各凹部22及び上記節形成凸部21Cに形成した露出表面101は,下側塗料層3の表面に上側塗料層4を構成するための第2塗料40を塗布した後,この第2塗料40が乾燥する前に,この第2塗料40の一部を掻取り具により掻き取って形成したものである。
また,上記下側塗料層3は,淡色の第1塗料30を用いて形成し,上記上側塗料層4は,上記第1塗料30よりも色彩が濃い濃色の第2塗料40を用いて形成したものである。
【0052】
なお,色には,色相,明度及び彩度の3属性があるが,本例においては,第1塗料30及び第2塗料40は,ほぼ同じ色相を有する同系色の塗料からなり,色彩としての明度を異ならせてなる塗料から構成されている。
なお,第1塗料30及び第2塗料40は,色彩としての彩度を異ならせて構成してもよい。
また,上記原板2の意匠表面201に,これらの塗料30,40の塗装を行う際には,略同一の色素(色相)を有する第1塗料30及び第2塗料40を1組とし,この塗料30,40の組を,種々の色素についても準備して使い分けることができる。
【0053】
また,図3,図8に示すごとく,上記建築板1の意匠表面201は,上記木目凹凸模様203を形成した模様形成領域24と,この模様形成領域24よりも陥没した目地溝25とを有している。そして,この目地溝25には,上記上側塗料層4による被覆表面102が形成されている。
また,本例では,上記目地溝25は,建築板1の長手方向Lに沿って形成された縦目地溝25Aと,直交方向Wに沿って形成された横目地溝25Bとからなる。
【0054】
また,図8に示すごとく,建築板1の一方側の端部Eには,この縦目地溝25Aの底面251及び一方側壁252が形成されており,建築板1の他方側の端部Fには,この縦目地溝25Aの他方側壁253が形成されている。そして,建築板1を横方向又は縦方向に並べて建築物の外壁に施工したときに1つの縦目地溝25Aを形成することができる。また,縦目地溝25Aは,建築板1の両端部E,F同士の間にも,所定の間隔を保って1箇所又は複数箇所に形成されている。
また,上記目地溝25に被覆表面102を形成したことにより,複数の建築板1を横方向又は縦方向に並べて施工した際に,建築板1同士の間の繋ぎ目109が目立たないようにして,上記露出表面101による複雑な意匠外観を際立たせることができる。
【0055】
以下に,意匠表面201に上記上側塗料層4による露出表面101を形成してなる建築板1を製造する方法につき説明する。
本例の建築板1の製造方法においては,以下の準備工程,下側塗料層形成工程,上側塗料層形成工程,掻取り工程及びクリアー層形成工程を行って,上記建築板1を製造する。
すなわち,図9,図10に示すごとく,上記準備工程においては,木目凹凸模様203を形成してなる意匠表面201を有する原板2を準備する。この原板2における木目凹凸模様203は,木目調を呈するための複数の木目形成凸部21A,Bと,木目調における節部を呈するための節形成凸部21Cとを有してなる。
【0056】
本例の原板2は,セメント質原料(セメント,ケイ酸原料等)に,木質原料(木繊維,木チップ等),添加剤及び水等を混合して混合原料とし,これを成形型の成形面上に散布して成形(フォーミング)したセメント系原板2である。
そして,このセメント系原板2の意匠表面201には,多数の木目形成凸部21A,B及び1つ又は複数の節形成凸部21Cが形成されている。また,このセメント系原板2の意匠表面201は,全体の木目形成凸部21A,B及び節形成凸部21Cの意匠表面突出高さHが,ほぼ同一の高さになるよう形成した。
【0057】
なお,本例の意匠表面突出高さHとは,図9に示すごとく,上記セメント系原板2の裏面202から木目形成凸部21A,Bの頂点部210又は節形成凸部21Cの頂点部210までの高さ(厚み)Hのことをいう。
また,セメント系原板2の意匠表面201は,上記各凹部22の底面221から各木目形成凸部21A,B及び節形成凸部21Cの頂点部210までの高さ(各木目形成凸部21A,B及び節形成凸部21Cの頂点部210から各凹部22の底面221までの深さ)Iが,ほぼ0.7mmとなるよう形成した。
【0058】
また,図10に示すごとく,上記セメント系原板2の意匠表面201においては,上記木目調の柾目部の外観を呈する柾目形成部205と,上記木目調の板目部の外観を呈する板目形成部206と,上記節部の外観を呈する節形成凸部21Cとにより,木材の外観に近似した複雑でリアリティのある凹凸外観が形成されている。
【0059】
次いで,図11に示すごとく,上記下側塗料層形成工程においては,上記セメント系原板2の意匠表面201に第1塗料30を塗布し,この第1塗料30を乾燥させる。そして,セメント系原板2の意匠表面201の全体,すなわち,木目凹凸模様203を形成した模様形成領域24及び上記目地溝25の全体に,下側塗料層3を形成する。
【0060】
次いで,上記上側塗料層形成工程においては,上記下側塗料層3の表面に第2塗料40を塗布して,上側塗料層4を形成する。本例では,この第2塗料40には,水系の塗料を用いた。
上記掻取り工程においては,図12に示すごとく,上記セメント系原板2の意匠表面201に当接して第2塗料40の一部を掻き取る掻取り具としての掻取りロール51と,この掻取りロール51に対向配設すると共に,上記セメント系原板2の裏面202に当接するバックアップロール52とを有する掻取り装置5を用いる。
【0061】
そして,セメント系原板2を,掻取りロール51とバックアップロール52との間の隙間53に搬入させたときには,掻取りロール51のロール表面510には,第2塗料40を塗布したセメント系原板2の意匠表面201が当接し,バックアップロール52のロール表面520には,セメント系原板2の裏面202が当接する。
【0062】
そして,図13に示すごとく,上記掻取り工程においては,上記塗布した第2塗料40が乾燥する前に,この第2塗料40を塗布したセメント系原板2の意匠表面201に掻取りロール51を当接させる。
このとき,同図に示すごとく,各木目形成凸部21A,Bと節形成凸部21Cとの意匠表面突出高さHは,略同一になるよう形成されているため,掻取りロール51のロール表面510は,いずれの各木目形成凸部21A,B及び節形成凸部21Cに対しても当接する。
【0063】
また,このとき,図13に示すごとく,上記平坦凹部22Aにおける15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221に対しても,掻取りロール51のロール表面510が当接する。また,15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221を備えた平坦凹部22Aに隣接する木目形成凸部21の内側壁面215にも,掻取りロール51のロール表面510が当接する。
【0064】
そして,図14に示すごとく,上記木目形成凸部21としての平坦凸部21Aにおける1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211に塗布された第2塗料40は,掻取りロール51のロール表面510に付着して掻き取られる。
また,図14に示すごとく,上記平坦凹部22Aにおける15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221及びこの平坦凹部22Aに隣接する木目形成凸部21の内側壁面215に塗布された第2塗料40もまた,掻取りロール51のロール表面510に付着して掻き取られる。
また,図15に示すごとく,上記節形成凸部21Cの頂点部210に塗布された第2塗料40もまた,掻取りロール51のロール表面510に付着して掻き取られる。
【0065】
そして,図1,図2に示すごとく,上記掻取りが行われた平坦凸部21Aにおける1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211,節形成凸部21Cの頂点部210,上記平坦凹部22Aにおける15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221及びこの平坦凹部22Aに隣接する木目形成凸部21の内側壁面215には,上記下側塗料層3が露出した露出表面101が形成される。
【0066】
一方で,上記掻取りが行われていない木目凹凸模様203における残りの部分には,上記下側塗料層3の表面を上記第2塗料40による上側塗料層4が覆った被覆表面102が形成される。すなわち,上記平坦凸部21Aにおける1mm未満の直交方向Wの幅を有する略平坦面211,上記曲状凸部21B,上記節形成凸部21C内の節凹部213,上記平坦凹部22Aにおける15mm未満の直交方向Wの幅を有する底面221,上記曲状凹部22B,上記微細凹部223,上記木目形成凸部21の外側壁面216等には,被覆表面102が形成される。
【0067】
特に,上記平坦凸部21Aにおける1mm未満の直交方向Wの幅を有する略平坦面211,上記曲状凸部21Bに塗布された第2塗料40は,掻取りロール51のロール表面510に当接しながらもこの掻取りロール51によって掻き取られずに,上記意匠表面201に残存する。
【0068】
このように,上記平坦凸部21Aにおける1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211に露出表面101が形成された理由としては,この平坦凸部21Aにおける略平坦面211は比較的広い接触面積で掻取りロール51に当接したためであると考えられる。すなわち,掻取りロール51によって,セメント系原板2の意匠表面201に塗布した第2塗料40を掻き取るには,ロール表面に対する接触幅が1mm以上必要であると考えられる。
【0069】
また,上記節形成凸部21Cの頂点部210に露出表面101が形成された理由としては,この節形成凸部21Cの頂点部210には,1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211が形成されていたためであると考える。そして,この節形成凸部21Cの略平坦面211が比較的広い接触面積で掻取りロール51に当接したためであると考えられる。
【0070】
また,上記平坦凹部22Aにおける15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221に露出表面101が形成された理由としては,この平坦凹部22Aにおける底面221が,その直交方向Wの幅が15mm以上と大きいことにより,掻取りロール51に当接することができ,この当接の際に比較的広い(15mm以上の)接触面積で当接することができたためであると考えられる。
【0071】
また,上記15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221を備えた平坦凹部22Aに隣接する木目形成凸部21の内側壁面215に露出表面101が形成された理由としては,平坦凹部22Aにおける底面221の直交方向Wの幅が15mm以上と大きく,木目形成凸部21の内側壁面215が緩やかな緩傾斜状に形成されていることにより,この木目形成凸部21の内側壁面215が掻取りロール51に当接することができたためであると考えられる。
【0072】
一方で,上記平坦凸部21Aにおける1mm未満の直交方向Wの幅を有する略平坦面211及び上記曲状凸部21Bに被覆表面102が形成された理由としては,以下のように考えられる。すなわち,上記1mm未満の直交方向Wの幅を有する略平坦面211及び曲状凸部21Bは掻取りロール51に対して当接するものの,その接触面積が小さい。そのため,この略平坦面211及び曲状凸部21Bに塗布された第2塗料40が掻取りロール51に付着して掻き取られることはあっても,この掻き取られた部分がその周辺の第2塗料40により補填されたためであると考えられる。
【0073】
また,上記節形成凸部21C内の節凹部213,上記平坦凹部22Aにおける15mm未満の直交方向Wの幅を有する底面221,上記曲状凹部22B,上記微細凹部223,上記木目形成凸部21の外側壁面216等に被覆表面102が形成された理由としては,これらは掻取りロール51に当接しなかったためであると考えられる。
【0074】
なお,上記各木目形成凸部21A,B,節形成凸部21C,各凹部22の各部への露出表面101の形成には,上記直交方向Wの幅以外にも,掻取りロール51の材質,掻取りロール51のロール表面510の硬度等も若干影響していると考えられる。本例では,上記掻取りロール51は,ブチルスポンジゴム等のスポンジ材料よりなるスポンジ層511と,ゴム硬度が約50度のEPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴム材料よりなると共に上記スポンジ層511の外周側に配設したゴム層512とを用いて構成した(図12参照)。
【0075】
次いで,図示は省略するが,上記露出表面101及び被覆表面102を形成したセメント系原板2を乾燥させた後には,上記クリアー層形成工程として,上記乾燥させた露出表面101及び被覆表面102に,クリアー塗料層を形成するためのクリアー塗料を塗布して乾燥させる。そして,セメント系原板2の意匠表面201の最表面に,耐候性等を向上させるためのクリアー塗料層を形成する。
こうして,上記各平坦凸部21A,各平坦凹部22A及び節形成凸部21Cに露出表面101を形成してなる建築板1を製造することができる。
【0076】
以下に,上記建築板1及びその製造方法における作用効果につき説明する。
上記のごとく,本例においては,上記平坦凸部21Aにおける1mm以上の直交方向Wの幅を有する略平坦面211,上記節形成凸部21Cの頂点部210,上記平坦凹部22Aにおける15mm以上の直交方向Wの幅を有する底面221及びこの平坦凹部22Aに隣接する木目形成凸部21の内側壁面215には,上記淡色の第1塗料30からなる下側塗料層3が露出した露出表面101を形成した。一方で,上記建築板1の意匠表面201において,露出表面101を形成した以外の部分には,下側塗料層3の表面を上記濃色の第2塗料40からなる上側塗料層4で覆った被覆表面102を形成した。
【0077】
そして,上記建築板1の意匠表面201においては,上記木目凹凸模様203の各木目形成凸部21だけにおいて,また各凹部22だけにおいても,下側塗料層3による淡色の色外観を呈する露出表面101と,上側塗料層4による濃色の色外観を呈する被覆表面102とが混在している。そのため,建築板1の意匠表面201は,従来のように各部(凹凸)の意匠表面突出高さHの違いに対応して異なる色外観を呈するのではなく,各木目形成凸部21だけにおいて,また各凹部22だけにおいても異なる色外観を呈することができる。
また,上記節形成凸部21Cの形成により,上記建築板1は,あたかも実際の木材より製作した木材板であるかのような複雑でリアリティのある意匠外観を呈することができる。
【0078】
また,上記各木目形成凸部21には傾斜角度の異なる各内側壁面215及び各外側壁面216を形成し,各内側壁面215は上記木目調の中心側Cを向く明確な方向性を有して形成したことにより,緩傾斜状の各内側壁面215には光が照射され易く,各外側壁面216には光が照射され難い状態を形成することができる。また,上記露出表面101は各内側壁面215にのみ形成したことにより,各内側壁面215は明るい外観を呈し,各外側壁面216は暗い外観を呈することができる。そのため,建築板1の意匠表面201の各木目形成凸部21には,意図的に陰影効果を発揮させることもできる。
それ故,上記建築板1の意匠表面201は,より複雑であると共に,リアリティのある立体的な木目調の意匠外観を呈することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,建築板の意匠表面における木目形成凸部及び凹部を拡大して示す断面説明図。
【図2】実施例における,建築板の意匠表面における節形成凸部の形成部位を拡大して示す断面説明図。
【図3】実施例における,建築板の意匠表面を示す平面図。
【図4】実施例における,樹木を挽いたときの切断断面の状態を示す説明図。
【図5】実施例における,木目調の中心側を一方向側に有する他の建築板の意匠表面における木目形成凸部及び凹部を拡大して示す断面説明図。
【図6】実施例における,木目形成凸部の一部を分断するよう形成した節形成凸部を示す平面図。
【図7】実施例における,木目形成凸部同士の間に形成した節形成凸部を示す平面図。
【図8】実施例における,建築板を横方向又は縦方向に並べて施工した状態を示す断面説明図。
【図9】実施例における,セメント系原板の一部を拡大して示す断面説明図。
【図10】実施例における,セメント系原板の意匠表面を示す平面図。
【図11】実施例における,下側塗料層を形成したセメント系原板の一部を拡大して示す断面説明図。
【図12】実施例における,塗料の掻取り装置を示す説明図。
【図13】実施例における,第2塗料を塗布したセメント系原板の意匠表面に,掻取りロールを当接させた状態の一部を拡大して示す断面説明図。
【図14】実施例における,セメント系原板の意匠表面における平坦凸部の略平坦面及び平坦凹部の底面から第2塗料を掻き取った状態を拡大して示す断面説明図。
【図15】実施例における,セメント系原板の意匠表面における節形成凸部の略平坦面から第2塗料を掻き取った状態を拡大して示す断面説明図。
【符号の説明】
1...建築板,
101...露出表面,
102...被覆表面,
2...セメント系原板(原板),
201...意匠表面,
202...裏面,
203...木目凹凸模様,
21A...平坦凸部(木目形成凸部),
21B...曲状凸部(木目形成凸部),
21C...節形成凸部,
210...頂点部,
211...略平坦面,
212...曲状端部,
213...節凹部,
215...内側壁面,
216...外側壁面,
22A...平坦凹部(凹部),
22B...曲状凹部(凹部),
221...底面,
222...曲状面,
223...微細凹部,
24...模様形成領域,
25...目地溝,
3...下側塗料層,
30...第1塗料,
4...上側塗料層,
40...第2塗料,
C...中心側,
D...他方側,
51...掻取りロール,
Claims (7)
- 木目調を呈するための複数の木目形成凸部を形成してなる木目凹凸模様を有する原板の意匠表面に,下側塗料層及び上側塗料層を順次設けてなる建築板において,
上記上側塗料層は,上記下側塗料層を構成する塗料よりも濃色の塗料により構成されており,
上記木目形成凸部の頂点部に形成された1mm以上の幅を有する略平坦面と,上記木目形成凸部同士の間に位置する凹部に形成された15mm以上の幅を有する底面とには,上記下側塗料層が露出した露出表面が形成されていることを特徴とする建築板。 - 請求項1において,上記露出表面は,上記下側塗料層の表面に上記上側塗料層を構成するための塗料を塗布した後,該塗料が乾燥する前に,該塗料の一部を除去することにより形成したものであることを特徴とする建築板。
- 請求項1又は2において,上記木目凹凸模様は,上記木目形成凸部と,節部を呈するための節形成凸部とを有していることを特徴とする建築板。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記建築板の意匠表面は,上記木目凹凸模様を形成した模様形成領域と,該模様形成領域よりも陥没した目地溝とを有しており,該目地溝には,上記下側塗料層の表面を上記上側塗料層が覆った被覆表面が形成されていることを特徴とする建築板。
- 請求項3又は4において,上記各木目形成凸部は,上記木目調の形成方向に直交する直交方向の断面において,それぞれ上記木目調の中心側に位置する内側壁面が,他方側に位置する外側壁面よりも緩やかな緩傾斜状に形成されていることを特徴とする建築板。
- 請求項5において,上記各木目形成凸部における内側壁面には,上記露出表面が形成されていることを特徴とする建築板。
- 木目調を呈するための複数の木目形成凸部による木目凹凸模様を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と,
上記原板の意匠表面に第1塗料を塗布し乾燥して,下側塗料層を形成する下側塗料層形成工程と,
上記下側塗料層の表面に,上記第1塗料よりも濃色の第2塗料を塗布して,上側塗料層を形成する上側塗料層形成工程と,
上記第2塗料が乾燥する前に,上記木目形成凸部の頂点部における1mm以上の幅を有する略平坦面について上記第2塗料を掻き取ると共に,上記木目形成凸部同士の間に位置する凹部における15mm以上の幅を有する底面について上記第2塗料を掻き取って,上記木目形成凸部における略平坦面及び上記凹部における底面に上記下側塗料層が露出した露出表面を形成する掻取り工程とを行うことを特徴とする建築板の製造方法。
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