JPH11302640A - 蛍光体及びその製造方法 - Google Patents
蛍光体及びその製造方法Info
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- JPH11302640A JPH11302640A JP10633298A JP10633298A JPH11302640A JP H11302640 A JPH11302640 A JP H11302640A JP 10633298 A JP10633298 A JP 10633298A JP 10633298 A JP10633298 A JP 10633298A JP H11302640 A JPH11302640 A JP H11302640A
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- sio
- mol
- crucible
- fed
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Abstract
(57)【要約】
【課題】FED用の青色発光蛍光体として使用可能なよ
うにY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿命や発光効率を改善
する。 【解決手段】1molのY2 O3 に対し、0.8mol
以上1mol以下のSiO2 と、フラックスとしてのB
aCl2 と、Ceを添加するためのCeCl3 を用い
る。これらをMgOのるつぼに入れて焼成する。粉砕
し、アニールする。Y 2 SiO5 :Ce蛍光体が得られ
る。組成上はYが多く表面に析出しており、Siが少な
い。蛍光体の表面にはBaOの膜があり、ガスを吸着す
る等の機能により蛍光体を保護している。Y2 Si
O5 :Ce蛍光体の寿命特性は従来に比べて大幅に改善
された。MgOのるつぼによって合成したため、アルミ
ナのるつぼで合成した場合に生じるようなSiやY等を
主成分としたウイスカー(非発光の偏析分)は発生しな
い。
うにY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿命や発光効率を改善
する。 【解決手段】1molのY2 O3 に対し、0.8mol
以上1mol以下のSiO2 と、フラックスとしてのB
aCl2 と、Ceを添加するためのCeCl3 を用い
る。これらをMgOのるつぼに入れて焼成する。粉砕
し、アニールする。Y 2 SiO5 :Ce蛍光体が得られ
る。組成上はYが多く表面に析出しており、Siが少な
い。蛍光体の表面にはBaOの膜があり、ガスを吸着す
る等の機能により蛍光体を保護している。Y2 Si
O5 :Ce蛍光体の寿命特性は従来に比べて大幅に改善
された。MgOのるつぼによって合成したため、アルミ
ナのるつぼで合成した場合に生じるようなSiやY等を
主成分としたウイスカー(非発光の偏析分)は発生しな
い。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、青色発光蛍光体で
あるY2 SiO5 :Ce蛍光体に関する。特に本発明
は、電界放出形陰極(Field Emission Cathode, FEC) を
電子源に用いた電界放出形表示素子(Field Emission Di
splay, FED) において、発光表示部に設ける蛍光体とし
て有用な物質を提供するものである。
あるY2 SiO5 :Ce蛍光体に関する。特に本発明
は、電界放出形陰極(Field Emission Cathode, FEC) を
電子源に用いた電界放出形表示素子(Field Emission Di
splay, FED) において、発光表示部に設ける蛍光体とし
て有用な物質を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電界放出形陰極(Field Emission
Cathode, FEC) を用いたディスプレイである電界放出形
表示素子(Field Emission Display, FED) の実用化への
検討がなされている。FEDに必要な青色発光蛍光体の
候補としては、CRTに用いられているZnS:Ag蛍
光体やZnS:Ag,Al蛍光体等が考えられる。これ
らは優れた色調及び発光効率の点から一CRT用の青色
発光蛍光体としては一般的であるが、FEDにおいては
電子線励起によるZnSの分解飛散が防止できず、かつ
飛散物によるFECの電子放出能の劣化等が問題とな
り、ZnS:Ag系蛍光体はFEDにおいては実用に到
っていない。
Cathode, FEC) を用いたディスプレイである電界放出形
表示素子(Field Emission Display, FED) の実用化への
検討がなされている。FEDに必要な青色発光蛍光体の
候補としては、CRTに用いられているZnS:Ag蛍
光体やZnS:Ag,Al蛍光体等が考えられる。これ
らは優れた色調及び発光効率の点から一CRT用の青色
発光蛍光体としては一般的であるが、FEDにおいては
電子線励起によるZnSの分解飛散が防止できず、かつ
飛散物によるFECの電子放出能の劣化等が問題とな
り、ZnS:Ag系蛍光体はFEDにおいては実用に到
っていない。
【0003】他方では、前述したような硫化物系の蛍光
体の問題を避けるため、青色発光蛍光体としてY2 Si
O5 :Ce蛍光体が検討されている。この蛍光体は、色
調及び輝度は前述したような硫化物系の蛍光体よりも劣
っているにもかかわらず、分解飛散が無くFECのエミ
ション劣化への影響が少ないことから、FEDへの適用
検討がなされているのである。この蛍光体を合成する際
には、フラックスとしてアルカリ金属ハライド、アルカ
リ土類ハライドが使用されるのは公知のことである。
体の問題を避けるため、青色発光蛍光体としてY2 Si
O5 :Ce蛍光体が検討されている。この蛍光体は、色
調及び輝度は前述したような硫化物系の蛍光体よりも劣
っているにもかかわらず、分解飛散が無くFECのエミ
ション劣化への影響が少ないことから、FEDへの適用
検討がなされているのである。この蛍光体を合成する際
には、フラックスとしてアルカリ金属ハライド、アルカ
リ土類ハライドが使用されるのは公知のことである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図5は、前述したY2
SiO5 :Ce蛍光体をFEDの表示部に使用した際の
寿命特性を示すグラフである。このグラフから分かるよ
うに、前述したY2 SiO5 :Ce蛍光体は、寿命が極
端に短く、発光開始電圧も高電圧側にシフトしてしまう
という問題があった。特に顕著な現象として、点灯開始
の初期の数時間で極端な発光効率の低下が生じるという
問題があった。
SiO5 :Ce蛍光体をFEDの表示部に使用した際の
寿命特性を示すグラフである。このグラフから分かるよ
うに、前述したY2 SiO5 :Ce蛍光体は、寿命が極
端に短く、発光開始電圧も高電圧側にシフトしてしまう
という問題があった。特に顕著な現象として、点灯開始
の初期の数時間で極端な発光効率の低下が生じるという
問題があった。
【0005】本発明は、FED用の青色発光蛍光体とし
て使用可能なようにY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿命や
発光効率を改善することを目的としている。
て使用可能なようにY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿命や
発光効率を改善することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された蛍
光体は、1molのY2 O3 と0.8mol以上1mo
l以下のSiO2 を反応させて得たY2 SiO5 にCe
をドープさせてなり、表面にBaOを有することを特徴
としている。
光体は、1molのY2 O3 と0.8mol以上1mo
l以下のSiO2 を反応させて得たY2 SiO5 にCe
をドープさせてなり、表面にBaOを有することを特徴
としている。
【0007】請求項2に記載された蛍光体は、表面にY
2 O3 とBaOを有するY2 SiO 5 :Ce蛍光体であ
ることを特徴としている。
2 O3 とBaOを有するY2 SiO 5 :Ce蛍光体であ
ることを特徴としている。
【0008】請求項3に記載された蛍光体の製造方法
は、1molのY2 O3 と、0.8mol以上1mol
以下のSiO2 と、BaCl2 と、Ce化合物をMgO
からなるるつぼで反応させてY2 SiO5 :Ceを合成
することを特徴としている。
は、1molのY2 O3 と、0.8mol以上1mol
以下のSiO2 と、BaCl2 と、Ce化合物をMgO
からなるるつぼで反応させてY2 SiO5 :Ceを合成
することを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】〔発明が解決しようとする課題〕
の項で説明したように、従来のY2 SiO5:Ce蛍光
体は、FED用に使用した場合に寿命が極端に短く、発
光開始電圧も高電圧側にシフトしてしまうという問題が
あった。本発明者等は、このような不都合の原因を蛍光
体の表面にH2 OやCO2 等のガスが吸着して劣化させ
るからであると考えた。そして、さらに本発明者等は、
これらのガスが吸着し易いのは、前記蛍光体の表面にガ
スを吸着させやすいSiが多く存在するからであると考
えた。そこで、本発明者等は、蛍光体の表面のSiにガ
スが吸着されないようにする手段として、蛍光体の合成
の過程においてフラックスとしてBaCl2 を用い、得
られた蛍光体の表面の一部をBaOで覆い、保護するこ
とを案出した。さらに、これに加えて、ガスを吸着しや
すいSiを少なくし、相対的にYが多い組成にすれば、
ガスの吸着による悪影響をさらに減少させることができ
ると考え、そのために蛍光体の合成時に原料の配合をY
が多い所定の組成範囲にするとともに、MgOのるつぼ
を使用することを案出した。
の項で説明したように、従来のY2 SiO5:Ce蛍光
体は、FED用に使用した場合に寿命が極端に短く、発
光開始電圧も高電圧側にシフトしてしまうという問題が
あった。本発明者等は、このような不都合の原因を蛍光
体の表面にH2 OやCO2 等のガスが吸着して劣化させ
るからであると考えた。そして、さらに本発明者等は、
これらのガスが吸着し易いのは、前記蛍光体の表面にガ
スを吸着させやすいSiが多く存在するからであると考
えた。そこで、本発明者等は、蛍光体の表面のSiにガ
スが吸着されないようにする手段として、蛍光体の合成
の過程においてフラックスとしてBaCl2 を用い、得
られた蛍光体の表面の一部をBaOで覆い、保護するこ
とを案出した。さらに、これに加えて、ガスを吸着しや
すいSiを少なくし、相対的にYが多い組成にすれば、
ガスの吸着による悪影響をさらに減少させることができ
ると考え、そのために蛍光体の合成時に原料の配合をY
が多い所定の組成範囲にするとともに、MgOのるつぼ
を使用することを案出した。
【0010】即ち、1molのY2 O3 に対し、0.8
mol以上1mol以下のSiO2と、フラックスとし
てのBaCl2 と、Ceを添加するためのCeCl3 を
用いる。これらの原料をMgOのるつぼに入れて焼成す
る。BaCl2 は融点が低く、溶けることにより成分の
異なる原料粒子同志を互いに接着する。その際、溶融し
たBaCl2 中に原料粒子から成分の原子が溶け込み、
本来原料粒子が溶解しうる温度よりもはるかに低い温度
でこれらの原料同志の反応を起こさせる。
mol以上1mol以下のSiO2と、フラックスとし
てのBaCl2 と、Ceを添加するためのCeCl3 を
用いる。これらの原料をMgOのるつぼに入れて焼成す
る。BaCl2 は融点が低く、溶けることにより成分の
異なる原料粒子同志を互いに接着する。その際、溶融し
たBaCl2 中に原料粒子から成分の原子が溶け込み、
本来原料粒子が溶解しうる温度よりもはるかに低い温度
でこれらの原料同志の反応を起こさせる。
【0011】これによって、Y2 SiO5 :Ce蛍光体
が得られるが、組成上はYが多く表面に析出しており、
Siは少ない。また蛍光体の表面にはBaOの膜があ
り、ガスを吸着する等の機能により蛍光体を保護してい
る。これによって、このY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿
命特性は従来に比べて大幅に改善された。
が得られるが、組成上はYが多く表面に析出しており、
Siは少ない。また蛍光体の表面にはBaOの膜があ
り、ガスを吸着する等の機能により蛍光体を保護してい
る。これによって、このY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿
命特性は従来に比べて大幅に改善された。
【0012】また、MgOのるつぼによって合成したた
め、アルミナのるつぼで合成した場合に生じるようなS
iやY等を主成分としたウイスカー(非発光の偏析分)
は発生しない。
め、アルミナのるつぼで合成した場合に生じるようなS
iやY等を主成分としたウイスカー(非発光の偏析分)
は発生しない。
【0013】1.Y2 SiO5 :Ce蛍光体の合成の一
具体例を説明する。 (1) 原料の粉砕混合 (Y0.975 ,Ce0.025 )2 SiO5 の合成方法を以下
に示す。25g合成する場合の各原料必要量は次の通り
である。 原料化合物 重量 Y2 O3 19.274 SiO2 5.193 CeCl3 0.533 BaCl2 0.540
具体例を説明する。 (1) 原料の粉砕混合 (Y0.975 ,Ce0.025 )2 SiO5 の合成方法を以下
に示す。25g合成する場合の各原料必要量は次の通り
である。 原料化合物 重量 Y2 O3 19.274 SiO2 5.193 CeCl3 0.533 BaCl2 0.540
【0014】まず、Y2 O3 ,SiO2 を必要量秤量
し、150gの3mmφジルコニアボール及び約100
mlエタノールを含む250molPPポリビンに入
れ、混合機にて約2時間混合粉砕する。所定時間後、ふ
るいを通し遠心分離器にて原料粉を強制沈降させ、分離
しドライオーブン中で乾燥させる。
し、150gの3mmφジルコニアボール及び約100
mlエタノールを含む250molPPポリビンに入
れ、混合機にて約2時間混合粉砕する。所定時間後、ふ
るいを通し遠心分離器にて原料粉を強制沈降させ、分離
しドライオーブン中で乾燥させる。
【0015】(2) 原料混合・焼成 所定のBaCl2 ,CeCl3 を秤量し原料とメノウ乳
鉢にて混合する。これをMgOるつぼに入れ蓋をする。
これを中るつぼであるB3アルミナるつぼに入れ蓋を
し、さらに外るつぼであるB5アルミナるつぼにいれB
3アルミナの蓋上部に炭素粉を充填し、蓋をする。炭素
粉は高純度化学製2N炭素を用いた。このように3重る
つぼとした理由は、次の通りである。
鉢にて混合する。これをMgOるつぼに入れ蓋をする。
これを中るつぼであるB3アルミナるつぼに入れ蓋を
し、さらに外るつぼであるB5アルミナるつぼにいれB
3アルミナの蓋上部に炭素粉を充填し、蓋をする。炭素
粉は高純度化学製2N炭素を用いた。このように3重る
つぼとした理由は、次の通りである。
【0016】 外るつぼは、外気をなるべく遮断し炭
素還元雰囲気をつくりだすものである。
素還元雰囲気をつくりだすものである。
【0017】 中るつぼは、内るつぼの炭素との接触
を防止し、MgOるつぼの寿命を延ばすためのものであ
る。
を防止し、MgOるつぼの寿命を延ばすためのものであ
る。
【0018】 MgOるつぼを使用する理由は次の通
りである。アルミナルツボを使用すると、フラックスと
してBaCl2 を使用し、1400℃前後で合成する場
合、フラックスBaCl2 と蛍光体原料であるSi
O2 、Y2 O3 等の原料が気化し、アルミナるつぼ表面
を核としたウイスカーを形成する。また同時に、特に蛍
光体のるつぼ及び上部には非発光部が作製され、発光効
率の低下が生じる。MgOるつぼを使用するのは、蛍光
体へのウイスカーの形成の防止とMgOるつぼにて密閉
度を高めてフラックスBaCl2 の効果を有効に利用す
るとともに、気化を防止すること及びウイスカーの蛍光
体塊への混入を防止することに主眼がある。
りである。アルミナルツボを使用すると、フラックスと
してBaCl2 を使用し、1400℃前後で合成する場
合、フラックスBaCl2 と蛍光体原料であるSi
O2 、Y2 O3 等の原料が気化し、アルミナるつぼ表面
を核としたウイスカーを形成する。また同時に、特に蛍
光体のるつぼ及び上部には非発光部が作製され、発光効
率の低下が生じる。MgOるつぼを使用するのは、蛍光
体へのウイスカーの形成の防止とMgOるつぼにて密閉
度を高めてフラックスBaCl2 の効果を有効に利用す
るとともに、気化を防止すること及びウイスカーの蛍光
体塊への混入を防止することに主眼がある。
【0019】(3) 粉砕 粉砕は、合成原料粉の粉砕混合と同様にして行われる。
ポリビンにエタノール100ml、蛍光体約25gに対
し100gのジルコニアボールにて30分間混合機にて
粉砕し、濾過し乾燥する。
ポリビンにエタノール100ml、蛍光体約25gに対
し100gのジルコニアボールにて30分間混合機にて
粉砕し、濾過し乾燥する。
【0020】(4) アニール 外るつぼとしてアルミナるつぼ、例えばSSAのB3る
つぼに、蛍光体粉砕品を入れたSSAのB1アルミナる
つぼを入れ、これらの内外るつぼの間に炭素粉末を充填
した2重るつぼを用いて、炭素還元雰囲気にて1000
℃1時間アニールを行う。その後、必要に応じ軽い粉砕
・乾燥を行う。この蛍光体を用い、VFDの陽極導体に
蛍光体膜をスクリーン印刷によって形成し、評価を行
う。尚、Ce濃度に関しては、添加量に依存した発光色
度値を示し、それにより効率等も変わる。
つぼに、蛍光体粉砕品を入れたSSAのB1アルミナる
つぼを入れ、これらの内外るつぼの間に炭素粉末を充填
した2重るつぼを用いて、炭素還元雰囲気にて1000
℃1時間アニールを行う。その後、必要に応じ軽い粉砕
・乾燥を行う。この蛍光体を用い、VFDの陽極導体に
蛍光体膜をスクリーン印刷によって形成し、評価を行
う。尚、Ce濃度に関しては、添加量に依存した発光色
度値を示し、それにより効率等も変わる。
【0021】2.原料のモル比、SiO2 /Y2 O3 の
発光特性に対する影響 Y2 SiO5 :Ce蛍光体においては、CeはYを置換
することにより+3価の付活剤として発光に関与する。
前記3重るつぼによる合成に関して、使用する原料のモ
ル比SiO2 /Y2 O3 は、得られる蛍光体の特性に影
響を与える。即ち、前述したように、組成上、ガスを吸
着しやすいSiよりも、ある程度Yが多い方が蛍光体の
発光特性が高くなるとすれば、YとSiの比の好ましい
値乃至範囲を考察することが必要であると考えられる。
発光特性に対する影響 Y2 SiO5 :Ce蛍光体においては、CeはYを置換
することにより+3価の付活剤として発光に関与する。
前記3重るつぼによる合成に関して、使用する原料のモ
ル比SiO2 /Y2 O3 は、得られる蛍光体の特性に影
響を与える。即ち、前述したように、組成上、ガスを吸
着しやすいSiよりも、ある程度Yが多い方が蛍光体の
発光特性が高くなるとすれば、YとSiの比の好ましい
値乃至範囲を考察することが必要であると考えられる。
【0022】例えば、Siリッチでは、過剰のSiO2
とMgOが反応し発光特性に好ましくない影響を与え
る。また、(Y+Ce)が過剰でありすぎると、結晶中
や結晶の表面にY2 O3 が生成することにより発光特性
が低下する。これらのことから、SiとYの比には、最
適値があると考えられ、本発明者等はその好ましい値乃
至範囲を実験によって特定した。このように、原料のモ
ル比、SiO2 /Y2 O 3 は本発明の蛍光体の特性にと
って重要な因子である。
とMgOが反応し発光特性に好ましくない影響を与え
る。また、(Y+Ce)が過剰でありすぎると、結晶中
や結晶の表面にY2 O3 が生成することにより発光特性
が低下する。これらのことから、SiとYの比には、最
適値があると考えられ、本発明者等はその好ましい値乃
至範囲を実験によって特定した。このように、原料のモ
ル比、SiO2 /Y2 O 3 は本発明の蛍光体の特性にと
って重要な因子である。
【0023】図1は、Ce濃度2.0mol%仕込量に
おける、原料のモル比SiO2 /Y 2 O3 と、発光効率
の相対値との関係を示すグラフである。図2は、その時
のMgの溶出量の測定結果(蛍光X線半定量分析結果)
を示す。これらの結果から、実用的な発光効率と許容し
うる溶出Mg量を考慮すると、原料のモル比SiO2/
Y2 O3 は、Y2 O3 1molに対し、SiO2 は0.
8mol以上1mol以下となる。
おける、原料のモル比SiO2 /Y 2 O3 と、発光効率
の相対値との関係を示すグラフである。図2は、その時
のMgの溶出量の測定結果(蛍光X線半定量分析結果)
を示す。これらの結果から、実用的な発光効率と許容し
うる溶出Mg量を考慮すると、原料のモル比SiO2/
Y2 O3 は、Y2 O3 1molに対し、SiO2 は0.
8mol以上1mol以下となる。
【0024】3.表面のフラックス残渣の影響について 図3は、Y2 SiO5 :Ce蛍光体について、FEDの
発光部に使用してエージングした場合における経過時間
と輝度の関係を示すグラフである。同図において、実線
は、エタノールを用いて粉砕した後、洗浄せずにアニー
ルした蛍光体を表す。破線は、純水を用いて粉砕した
後、水洗してアニールした蛍光体を示す。一点鎖線は、
純水を用いて粉砕した後、酸洗浄してアニールした蛍光
体を示す。エージングの条件は、陽極電圧400V、3
0Wである。
発光部に使用してエージングした場合における経過時間
と輝度の関係を示すグラフである。同図において、実線
は、エタノールを用いて粉砕した後、洗浄せずにアニー
ルした蛍光体を表す。破線は、純水を用いて粉砕した
後、水洗してアニールした蛍光体を示す。一点鎖線は、
純水を用いて粉砕した後、酸洗浄してアニールした蛍光
体を示す。エージングの条件は、陽極電圧400V、3
0Wである。
【0025】また、図4は、Y2 SiO5 :Ce蛍光体
について、FEDの発光部に使用してエージングした場
合における発光開始アノード電圧と電流値の関係を示す
グラフである。図3で示した3種類の上記各蛍光体につ
いて、それぞれ初期及び48時間後の状態を示してい
る。
について、FEDの発光部に使用してエージングした場
合における発光開始アノード電圧と電流値の関係を示す
グラフである。図3で示した3種類の上記各蛍光体につ
いて、それぞれ初期及び48時間後の状態を示してい
る。
【0026】表1に、図3乃至図4で示した3種類の上
記各蛍光体について、その表面をAES分析した結果を
示す。Siが少ない点、YとBaが多い点において、水
洗の蛍光体と、非洗浄の蛍光体(エタノール)は、酸洗
浄のものに比べて優れている。
記各蛍光体について、その表面をAES分析した結果を
示す。Siが少ない点、YとBaが多い点において、水
洗の蛍光体と、非洗浄の蛍光体(エタノール)は、酸洗
浄のものに比べて優れている。
【0027】
【表1】
【0028】図3、図4、表1で示した結果から、水洗
の蛍光体と、非洗浄の蛍光体(エタノール)の表面に
は、フラックス残渣(BaO)が時間の経過に対して有
効に残存し、蛍光体の発光効率に影響を与えていると考
えられる。なお、フラックス残渣は非発光物質であり、
これが蛍光体粒子の表面に存在するため、初期の発光効
率は洗浄品と比較し非洗浄品の方が低い。BaCl2 の
フラックス量は、蛍光母体のmol数に対する混合量と
しては、1mol%〜5mol%、望ましくは3mol
%が必要である。
の蛍光体と、非洗浄の蛍光体(エタノール)の表面に
は、フラックス残渣(BaO)が時間の経過に対して有
効に残存し、蛍光体の発光効率に影響を与えていると考
えられる。なお、フラックス残渣は非発光物質であり、
これが蛍光体粒子の表面に存在するため、初期の発光効
率は洗浄品と比較し非洗浄品の方が低い。BaCl2 の
フラックス量は、蛍光母体のmol数に対する混合量と
しては、1mol%〜5mol%、望ましくは3mol
%が必要である。
【0029】
【発明の効果】本発明のY2 SiO5 :Ce蛍光体は、
1molのY2 O3 と0.8mol以上1mol以下の
SiO2 を反応させて製造したので、表面にYが多く、
Siが少なく、また表面がBaOで保護されているの
で、表面にH2 OやCO2 等のガスを吸着しにくい。従
って、本発明によれば、FED用の青色発光蛍光体であ
るY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿命や発光効率が改善さ
れ、有用な蛍光体を提供できるという効果がある。
1molのY2 O3 と0.8mol以上1mol以下の
SiO2 を反応させて製造したので、表面にYが多く、
Siが少なく、また表面がBaOで保護されているの
で、表面にH2 OやCO2 等のガスを吸着しにくい。従
って、本発明によれば、FED用の青色発光蛍光体であ
るY2 SiO5 :Ce蛍光体の寿命や発光効率が改善さ
れ、有用な蛍光体を提供できるという効果がある。
【図1】Ce濃度2.0mol%仕込量における、原料
のモル比SiO2 /Y2 O3 と、発光効率の相対値との
関係を示すグラフである。
のモル比SiO2 /Y2 O3 と、発光効率の相対値との
関係を示すグラフである。
【図2】Ce濃度2.0mol%仕込量における、原料
のモル比SiO2 /Y2 O3 とMgの溶出量の測定結果
(蛍光X線半定量分析結果)との関係を示すグラフであ
る。
のモル比SiO2 /Y2 O3 とMgの溶出量の測定結果
(蛍光X線半定量分析結果)との関係を示すグラフであ
る。
【図3】Y2 SiO5 :Ce蛍光体について、FEDの
発光部に使用してエージングした場合における経過時間
と輝度の関係を示すグラフである。実線は非洗浄、破線
は水洗浄、一点鎖線は酸洗浄の場合を示す。
発光部に使用してエージングした場合における経過時間
と輝度の関係を示すグラフである。実線は非洗浄、破線
は水洗浄、一点鎖線は酸洗浄の場合を示す。
【図4】Y2 SiO5 :Ce蛍光体について、FEDの
発光部に使用してエージングした場合における発光開始
アノード電圧と電流値の関係を示すグラフである。
発光部に使用してエージングした場合における発光開始
アノード電圧と電流値の関係を示すグラフである。
【図5】Y2 SiO5 :Ce蛍光体をFEDの表示部に
使用した際の寿命特性を示すグラフである。
使用した際の寿命特性を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】1molのY2 O3 と0.8mol以上1
mol以下のSiO 2 を反応させて得たY2 SiO5 に
Ceをドープさせてなり、表面にBaOを有する蛍光
体。 - 【請求項2】表面にY2 O3 とBaOを有するY2 Si
O5 :Ce蛍光体。 - 【請求項3】1molのY2 O3 と、0.8mol以上
1mol以下のSiO2 と、BaCl2 と、Ce化合物
をMgOからなるるつぼで反応させてY2 SiO5 :C
eを合成する蛍光体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10633298A JPH11302640A (ja) | 1998-04-16 | 1998-04-16 | 蛍光体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10633298A JPH11302640A (ja) | 1998-04-16 | 1998-04-16 | 蛍光体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11302640A true JPH11302640A (ja) | 1999-11-02 |
Family
ID=14430938
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10633298A Pending JPH11302640A (ja) | 1998-04-16 | 1998-04-16 | 蛍光体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11302640A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001234166A (ja) * | 1999-12-23 | 2001-08-28 | Samsung Sdi Co Ltd | 低電圧駆動用のイットリウムシリケート系蛍光体及びその製造方法 |
KR100356266B1 (ko) * | 2000-04-08 | 2002-10-12 | 한국과학기술연구원 | 세륨실리케이트 발광재료 및 그 제조방법 |
US6517740B2 (en) * | 2000-03-27 | 2003-02-11 | Futaba Denshi Kogyo Kabushiki Kaisha | Phosphor and method for preparing same |
-
1998
- 1998-04-16 JP JP10633298A patent/JPH11302640A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001234166A (ja) * | 1999-12-23 | 2001-08-28 | Samsung Sdi Co Ltd | 低電圧駆動用のイットリウムシリケート系蛍光体及びその製造方法 |
US6517740B2 (en) * | 2000-03-27 | 2003-02-11 | Futaba Denshi Kogyo Kabushiki Kaisha | Phosphor and method for preparing same |
KR100356266B1 (ko) * | 2000-04-08 | 2002-10-12 | 한국과학기술연구원 | 세륨실리케이트 발광재료 및 그 제조방법 |
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