JPH11302023A - 中空硝子製品成形用プランジャー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プランジャーの側面成形部の塑性変形を抑制
し、成形面の温度制御のために屈曲面成形部を薄肉化さ
れた構造のプランジャーにおいても、側面成形部の塑性
変形が殆どなく、長期に亘り安定した中空硝子製品の成
形を行い得る中空硝子製品成形用プランジャーを提供す
る。 【解決手段】 内部に冷却空洞部２２を備え、中空硝子
製品の内表面を形成するための成形面を有し、該成形面
は側面成形部２０と前面成形部１８およびこれらを結ぶ
屈曲面成形部１９とからなり、屈曲面成形部１９の内面
に、側面成形部２０を補強するための複数のリブ２３が
配設されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中空硝子製品、特にブ
ラウン管用パネルを成形するのに適したプランジャーに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ブラウン管用パネルを成形する場合、ま
ず所定量の溶融硝子塊（ゴブ）を、図３に示すシェルリ
ング（胴型）１０とボトムモールド（底型）１１とを組
み合わせたモールド内に供給し、プランジャー（矢型）
１２を下降して、溶融硝子を押圧し、モールドとプラン
ジャー１２の成形面によって形成される空間に溶融硝子
を伸展させることによって、所望形状のパネル１３を成
形する。

【０００３】このようなパネル１３は、前面部となるフ
ェース部１４と、そこから屈曲する屈曲部１５と、それ
につながるスカート部１６とからなっている。プランジ
ャー１２は、全体がヘッド体１７に取り付けられてお
り、パネル１３のフェース部１４，屈曲部１５、スカー
ト部１６の各々の内表面を形成するための成形面を有す
る前面成形部１８，屈曲面成形部１９、側面成形部２０
とを備えている。

【０００４】成形されるパネル１３の内表面の形状やク
ラックの発生は、プランジャー１２の成形面の温度分布
に左右されることから、プランジャー１２の成形面の温
度分布を制御されることが要求され、例えば図４のよう
に、その内部に冷却水や冷却用空気といった冷却流体が
供給される分配室２１と、分配室２１の周囲に位置する
箇所、すなわち前面成形部１８，屈曲面成形部１９、側
面成形部２０に沿って冷却空洞部２２を備え、冷却空洞
部２２に冷却流体を流すことにより、成形面の温度分布
を管理している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
プランジャー１２においては、使用時間に伴い、その側
面成形部２０が塑性変形して外方に膨張し、プランジャ
ー１２の下降時に側面成形部２０の成形面２０′がシェ
ルリング１０の内側面１０′と擦れることにより、擦傷
が生じ、その擦傷がパネルに転写されて、パネルが不良
品になるという問題がある。

【０００６】特に、側面成形部２０に比べて高温になる
屈曲面成形部１９について、プランジャー１２内部から
の冷却効果を上げるために、図５に示すように屈曲面成
形部１９の厚みを薄肉化されたプランジャー１２にあっ
ては、前記側面成形部２０の塑性変形量が更に大きくな
るため、例えば数十時間の使用により、生産続行が不可
能になるという問題がある。

【０００７】また、プランジャー１２とシェルリング１
０の寸法を初期設定する際、予めプランジャー１２の側
面成形部２０の見込み変形量を考慮して設定することも
行われているが、この場合には、初期設定時において側
面成形部２０の成形面２０′とシェルリング１０の内側
面１０′との間隙が大きくなりすぎる場合があり、押圧
時に溶融硝子が間隙に伸展し、所望形状のパネルが成形
できなくなるという問題が生じる。

【０００８】そこで、本発明の目的は、プランジャーの
側面成形部の塑性変形を抑制でき、成形面の温度制御の
ために屈曲面成形部を薄肉化されたプランジャーにおい
ても、側面成形部の塑性変形が殆どなく、長期に亘り安
定した中空硝子製品の成形を行い得る中空硝子製品成形
用プランジャーを提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題お
よび目的に鑑みてなされたもので、内部に冷却空洞部を
備え、中空硝子製品の内表面を形成するための成形面を
有し、該成形面は側面成形部と前面成形部およびこれら
を結ぶ屈曲面成形部とからなり、屈曲面成形部の内面
に、側面成形部を補強するための複数のリブが配設され
てなることを特徴とする中空硝子製品成形用プランジャ
ーである。

【００１０】また、本発明においては、前記屈曲面成形
部の肉厚が他の成形部よりも薄肉化されてなることを特
徴とする。

【００１１】

【作用】本発明の中空硝子製品成形用プランジャーによ
れば、プランジャーの屈曲面成形部の内面に側面成形部
を補強するためのリブが配設されていることにより、プ
ランジャーの側面成形部が外方に塑性変形するのを抑制
でき、押圧時のプランジャーの側面成形部とシェルリン
グの内側面との擦れを生じさせることがない。

【００１２】また、リブは、配設すなわち間隔を有して
設けられていることにより、プランジャー内部からの冷
却作用を阻害するすることはないので、特に、成形面の
温度制御のために屈曲面成形部を他の成形部よりも薄肉
化された構造のプランジャーにおいても、屈曲面成形部
における内部からの冷却効果を低下させることなく、プ
ランジャーの側面成形部の塑性変形を抑制できる。

【００１３】

【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明の中空硝子
製品成形用プランジャーを説明する。

【００１４】図１は、本発明のプランジャーを用いたブ
ラウン管用パネルの成形を示す一部断面図、図２は本発
明のプランジャーにおいて、リブの位置を説明するため
の概略平面図である。なお、以下の説明において、図３
〜図５と同一部分及び同一相当部分には、図１および図
２中に同一番号を付し、この部分についての説明を省略
する。

【００１５】本実施例のプランジャー１２は、略矩形の
フェース面を有するブラウン管用パネル１３を成形する
ためのもので、プランジャー１２の成形面は略矩形の前
面成形部１８と４辺の側面成形部２０およびこれらを結
ぶ屈曲面成形部１９からなり、プランジャー１２内部か
らの冷却効果を上げるために、屈曲面成形部１９の肉厚
は他の成形部よりも薄肉化されている。

【００１６】プランジャー１２は、内部に冷却空洞部２
２を備え、プランジャー１２の屈曲面成形部１９の内面
には、側面成形部２０を補強するためのプランジャー１
２と一体加工されたリブ２３が配設されている。リブ２
３は１０ｍｍの厚みを有し、プランジャー１２の側面成
形部２０の両短辺側の２カ所、両長辺側の３カ所に各々
間隔を設けて、溶接により接合されている。

【００１７】上記構成を有するプランジャー１２を、２
９インチのブラウン管用パネル１３の成形に使用したと
ころ、５０時間使用後のプランジャー１２の側面成形部
２０の塑性変形量は約０．０５ｍｍであり、プランジャ
ー１２の側面成形部２０の成形面２０′とシェルリング
１０の内側面１０′との擦れは実質的に生じず、両部材
における擦傷の発生はなかった。また、本実施例の側面
成形部２０の変形量は同条件における従来のプランジャ
ーの変形量に比べて、１／６まで低減された。その結
果、プランジャー１２の側面成形部２０が外方に塑性変
形するのを長期間に亘って抑制でき、また、プランジャ
ー１２内部からの冷却作用が阻害されることはなく、良
好にパネル１３を成形することが可能であった。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の中空硝子
製品成形用プランジャーは、側面成形部の塑性変形が殆
どなく、プランジャーとシェルリングとの寸法を見込み
変形量を用いて設定しなくとも、両部材に擦れを生じさ
せずに、長期に亘って安定して中空硝子製品を成形する
ことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】ブラウン管用パネルを成形する本発明のプラン
ジャーの一部断面図である。

【図２】本発明のプランジャーのリブの位置を説明する
ための概略平面図である。

【図３】ブラウン管用パネルを成形した状態の説明図で
ある。

【図４】ブラウン管用パネルを成形する従来のプランジ
ャーの一部断面図である。

【図５】ブラウン管用パネルを成形する従来のプランジ
ャーの一部断面図である。

【符号の説明】

１２ プランジャー １３ パネル １８ 前面成形部 １９ 屈曲面成形部 ２０ 側面成形部 ２３ リブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に冷却空洞部を備え、中空硝子製品
   の内表面を形成するための成形面を有し、該成形面は側
   面成形部と前面成形部およびこれらを結ぶ屈曲面成形部
   とからなり、屈曲面成形部の内面に、側面成形部を補強
   するための複数のリブが配設されてなることを特徴とす
   る中空硝子製品成形用プランジャー。
2. 【請求項２】 前記屈曲面成形部の肉厚が他の成形部よ
   りも薄肉化されてなることを特徴とする請求項１記載の
   中空硝子製品成形用プランジャー。