JPH08206789A - 連続鋳造用鋳型及びその製造方法 - Google Patents
連続鋳造用鋳型及びその製造方法Info
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- JPH08206789A JPH08206789A JP3930695A JP3930695A JPH08206789A JP H08206789 A JPH08206789 A JP H08206789A JP 3930695 A JP3930695 A JP 3930695A JP 3930695 A JP3930695 A JP 3930695A JP H08206789 A JPH08206789 A JP H08206789A
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- continuous casting
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 メニスカス直下約5cmの最高伝熱区域を中
心とした逆三角形状の高伝熱域(凝固鋳片と鋳型とが溶
鋼静圧により高圧で接触する区域)の熱伝導を緩和し任
意の断面での辺部とコーナー部の凝固シェルの発達を均
一化することにより菱形変形及びコーナー割れの発生を
軽減する連続鋳造用鋳型及びその製造方法を提供する。 【構成】 ビレット又はブルームの連続鋳造に用いる鋳
型及びその製造方法であって、鋳型2の各内面中央部で
メニスカスより下部に、中心付近から周縁部に行くほど
薄くなって、その形状が逆三角形又は逆台形状で、しか
も鋳型2を構成する銅母材より熱伝導性が劣る金属のめ
っき層15が埋設形成する。
心とした逆三角形状の高伝熱域(凝固鋳片と鋳型とが溶
鋼静圧により高圧で接触する区域)の熱伝導を緩和し任
意の断面での辺部とコーナー部の凝固シェルの発達を均
一化することにより菱形変形及びコーナー割れの発生を
軽減する連続鋳造用鋳型及びその製造方法を提供する。 【構成】 ビレット又はブルームの連続鋳造に用いる鋳
型及びその製造方法であって、鋳型2の各内面中央部で
メニスカスより下部に、中心付近から周縁部に行くほど
薄くなって、その形状が逆三角形又は逆台形状で、しか
も鋳型2を構成する銅母材より熱伝導性が劣る金属のめ
っき層15が埋設形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は連続鋳造用鋳型及びその
製造方法に係り、特に鋳型中央部に配設された1個の溶
鋼吐出ノズルを通して溶鋼が鋳型内に注入される断面が
正方形あるいは長方形のブルームあるいはビレットの菱
形変形あるいはコーナー縦割れを防止し鋳造速度の増大
を可能とする連続鋳造用鋳型及びその製造方法に関す
る。
製造方法に係り、特に鋳型中央部に配設された1個の溶
鋼吐出ノズルを通して溶鋼が鋳型内に注入される断面が
正方形あるいは長方形のブルームあるいはビレットの菱
形変形あるいはコーナー縦割れを防止し鋳造速度の増大
を可能とする連続鋳造用鋳型及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ブルーム、ビレットの菱形変形の原因は
溶鋼温度の高過ぎ、連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型と
記載する場合もある)への注入流のセンタリング不良、
鋳型の変形、テーパ不良、鋳型内各面の冷却の不均一、
潤滑の不均一、フットロールのアライメント不良、鋳型
を出てからのスプレー冷却の不均一等、各種の要因が考
えられるが、最も影響の大きいのは鋳型内での冷却の不
均一である。鋳型内での冷却不均一が発生する要因とし
ては、鋳型の変形、鋳型4面の各面に対する潤滑油、冷
却水の分配不均一といった鋳片外部からの要因に加え、
鋳片内部での辺部とコーナー部での凝固シェル発達の不
均一が菱形変形を助長し且つそのコーナー部に割れを発
生させる重大な要因となっている。即ち、図2に示すよ
うに溶鋼1は鋳型2の内部において鋳型壁面から冷却さ
れて凝固するが同時に温度降下により収縮する。一方、
凝固シェル4は内面側から溶鋼1の静圧を受けているた
め外に膨らみ、バルジングを起こすがコーナー部分はバ
ルジングに対する抵抗力が辺中央部に比べ高いため中央
部のみが鋳型2と接触しコーナー部及びコーナー付近は
鋳型2との間に空隙5が発生した状態となる。鋳型2と
凝固シェル4の間の熱伝達は接触部Pで高く、空隙部Q
で低いため接触部、即ち辺部はコーナー部よりも冷却さ
れ、辺部のシェル厚がコーナー部シェル厚よりも厚いと
いう凝固不均一が発生する。4つのコーナーの凝固遅れ
が均一でない場合、凝固シェルは徐々に菱形に変形し下
方に行くに従い助長される。また、バルジング変形時に
コーナー部及びコーナー付近の凝固先端に働く引張応力
により、図3(B)に示すようにコーナー半径が比較的
小さい場合はコーナー付近に割れ6が発生し、図3
(A)に示すようにコーナー半径が比較的大きい場合は
コーナー部に割れ7が発生する。そして、図4に示すよ
うに菱形変形が起こると鈍角コーナー8において引張応
力がより大きくなるため割れ9も大きくなり、ブレーク
アウトの原因となる。また、鋳型2の上部メニスカス付
近では未だ凝固シェル4の厚さも薄くシェル温度も高い
ためシェル強度が低く溶鋼静圧によるバルジングで平面
部の広い範囲でシェルと鋳型が高面圧で接するが下方に
行くに従いシェル厚が増し、シェル温度が下がるためシ
ェル強度が増しバルジングに対する抵抗力も増すため、
シェルと鋳型の高面圧での接触域もだんだんと面中央部
のみに収斂して来る。即ち、高面圧で接している区域は
鋳型各面にメニスカス近辺を底辺とした逆三角形状(又
は逆台形形状)となる。このことは従来の鋳型を長時間
使用していると、図5(B)に示すように鋳型外面の黒
色変色域(高温度域)10が逆三角形状となっているこ
とからも判る。また、逆三角形の黒色変色域10の内側
でも面圧の強弱によって熱伝達の度合いが異なり図5
(A)に示すような等温線(=等熱伝達線)11とな
る。従来これら凝固不均一による菱形変形の発生及びバ
ルジングによるコーナー割れ発生防止のため種々の試み
がなされている。その1例として特開平2−7035
7号公報ではメニスカス近傍に格子状の溝を設けその上
をめっきで覆って格子状の空間を形成し辺部を緩冷却す
るもの、あるいは特開平4−319044ではメニス
カス近傍の断面をクラウン型とし下部に行くほど正方形
(あるいは長方形)に近づけて空隙の発生及びコーナー
部あるいはコーナー近傍の引張応力発生を防止したもの
がある。
溶鋼温度の高過ぎ、連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型と
記載する場合もある)への注入流のセンタリング不良、
鋳型の変形、テーパ不良、鋳型内各面の冷却の不均一、
潤滑の不均一、フットロールのアライメント不良、鋳型
を出てからのスプレー冷却の不均一等、各種の要因が考
えられるが、最も影響の大きいのは鋳型内での冷却の不
均一である。鋳型内での冷却不均一が発生する要因とし
ては、鋳型の変形、鋳型4面の各面に対する潤滑油、冷
却水の分配不均一といった鋳片外部からの要因に加え、
鋳片内部での辺部とコーナー部での凝固シェル発達の不
均一が菱形変形を助長し且つそのコーナー部に割れを発
生させる重大な要因となっている。即ち、図2に示すよ
うに溶鋼1は鋳型2の内部において鋳型壁面から冷却さ
れて凝固するが同時に温度降下により収縮する。一方、
凝固シェル4は内面側から溶鋼1の静圧を受けているた
め外に膨らみ、バルジングを起こすがコーナー部分はバ
ルジングに対する抵抗力が辺中央部に比べ高いため中央
部のみが鋳型2と接触しコーナー部及びコーナー付近は
鋳型2との間に空隙5が発生した状態となる。鋳型2と
凝固シェル4の間の熱伝達は接触部Pで高く、空隙部Q
で低いため接触部、即ち辺部はコーナー部よりも冷却さ
れ、辺部のシェル厚がコーナー部シェル厚よりも厚いと
いう凝固不均一が発生する。4つのコーナーの凝固遅れ
が均一でない場合、凝固シェルは徐々に菱形に変形し下
方に行くに従い助長される。また、バルジング変形時に
コーナー部及びコーナー付近の凝固先端に働く引張応力
により、図3(B)に示すようにコーナー半径が比較的
小さい場合はコーナー付近に割れ6が発生し、図3
(A)に示すようにコーナー半径が比較的大きい場合は
コーナー部に割れ7が発生する。そして、図4に示すよ
うに菱形変形が起こると鈍角コーナー8において引張応
力がより大きくなるため割れ9も大きくなり、ブレーク
アウトの原因となる。また、鋳型2の上部メニスカス付
近では未だ凝固シェル4の厚さも薄くシェル温度も高い
ためシェル強度が低く溶鋼静圧によるバルジングで平面
部の広い範囲でシェルと鋳型が高面圧で接するが下方に
行くに従いシェル厚が増し、シェル温度が下がるためシ
ェル強度が増しバルジングに対する抵抗力も増すため、
シェルと鋳型の高面圧での接触域もだんだんと面中央部
のみに収斂して来る。即ち、高面圧で接している区域は
鋳型各面にメニスカス近辺を底辺とした逆三角形状(又
は逆台形形状)となる。このことは従来の鋳型を長時間
使用していると、図5(B)に示すように鋳型外面の黒
色変色域(高温度域)10が逆三角形状となっているこ
とからも判る。また、逆三角形の黒色変色域10の内側
でも面圧の強弱によって熱伝達の度合いが異なり図5
(A)に示すような等温線(=等熱伝達線)11とな
る。従来これら凝固不均一による菱形変形の発生及びバ
ルジングによるコーナー割れ発生防止のため種々の試み
がなされている。その1例として特開平2−7035
7号公報ではメニスカス近傍に格子状の溝を設けその上
をめっきで覆って格子状の空間を形成し辺部を緩冷却す
るもの、あるいは特開平4−319044ではメニス
カス近傍の断面をクラウン型とし下部に行くほど正方形
(あるいは長方形)に近づけて空隙の発生及びコーナー
部あるいはコーナー近傍の引張応力発生を防止したもの
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
に示す方法では、メニスカス位置近傍のみの均一な格子
状空隙のため格子状空隙を設けた範囲内での抜熱抵抗増
加の度合いが均一であって前述した逆三角形状の伝熱勾
配を解消するには至らない。また、上記に示す方法で
は、凝固シェルを強制的にクラウン型から正方形あるい
は長方形に絞り込んでゆくため摩擦力、引抜力が増大
し、菱形変形やコーナー縦割れは減少しても摩擦過大に
よるコーナー横割れの増大、スティッキングの増大を招
き、スティッキングを防止するには引抜力を大幅にアッ
プし強制的に引抜く必要があり多額の設備改善を要す
る。本発明はこのような背景を基にしてなされたもの
で、メニスカス直下約5cmの最高伝熱区域を中心とし
た逆三角形状の高伝熱域(凝固鋳片と鋳型とが溶鋼静圧
により高圧で接触する区域)の熱伝導を緩和し任意の断
面での辺部とコーナー部の凝固シェルの発達を均一化す
ることにより菱形変形及びコーナー割れの発生を軽減す
る連続鋳造用鋳型及びその製造方法を提供するものであ
る。
に示す方法では、メニスカス位置近傍のみの均一な格子
状空隙のため格子状空隙を設けた範囲内での抜熱抵抗増
加の度合いが均一であって前述した逆三角形状の伝熱勾
配を解消するには至らない。また、上記に示す方法で
は、凝固シェルを強制的にクラウン型から正方形あるい
は長方形に絞り込んでゆくため摩擦力、引抜力が増大
し、菱形変形やコーナー縦割れは減少しても摩擦過大に
よるコーナー横割れの増大、スティッキングの増大を招
き、スティッキングを防止するには引抜力を大幅にアッ
プし強制的に引抜く必要があり多額の設備改善を要す
る。本発明はこのような背景を基にしてなされたもの
で、メニスカス直下約5cmの最高伝熱区域を中心とし
た逆三角形状の高伝熱域(凝固鋳片と鋳型とが溶鋼静圧
により高圧で接触する区域)の熱伝導を緩和し任意の断
面での辺部とコーナー部の凝固シェルの発達を均一化す
ることにより菱形変形及びコーナー割れの発生を軽減す
る連続鋳造用鋳型及びその製造方法を提供するものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1記載の連続鋳造用鋳型は、ビレット又はブルームの
連続鋳造に用いる鋳型において、上記鋳型の各内面中央
部でメニスカスより下部に、中心付近から周縁部に行く
ほど薄くなって、その形状が逆三角形又は逆台形状で、
しかも該鋳型を構成する銅母材より熱伝導性が劣る金属
のめっき層が埋設形成されている。請求項2記載の連続
鋳造用鋳型は、請求項1記載の連続鋳造用鋳型におい
て、上記銅母材より熱伝導性が劣る金属は、Ni又はN
i合金からなって、鋳型内面の中央部でその厚みが0.
1〜1mmであって、しかも上記鋳型内面には、通常の
Crめっきが施されている。請求項3記載の連続鋳造用
鋳型は、請求項2記載の連続鋳造用鋳型において、上記
逆三角形あるいは逆台形状のNiめっき区域の長さ(逆
三角形の長さあるいは逆台形の高さ)は、鋳造速度、鋳
型内面テーパの度合いに応じ100〜500mmの範囲
で変化させている。そして、請求項4記載の連続鋳造用
鋳型の製造方法は、ビレット又はブルームの連続鋳造に
用いる鋳型の製造方法であって、上記鋳型の各内面中央
部でメニスカスより下部に、中心付近の厚さ0.1〜
1.0mmで周縁部に行くほど薄くなった逆三角形状あ
るいは逆台形状のNi又はNi合金めっきを施した後、
塑性加工によって上記めっきによって突出した部分を銅
母材に埋め込ませて平面状となし、その上に通常のCr
めっきを施している。
項1記載の連続鋳造用鋳型は、ビレット又はブルームの
連続鋳造に用いる鋳型において、上記鋳型の各内面中央
部でメニスカスより下部に、中心付近から周縁部に行く
ほど薄くなって、その形状が逆三角形又は逆台形状で、
しかも該鋳型を構成する銅母材より熱伝導性が劣る金属
のめっき層が埋設形成されている。請求項2記載の連続
鋳造用鋳型は、請求項1記載の連続鋳造用鋳型におい
て、上記銅母材より熱伝導性が劣る金属は、Ni又はN
i合金からなって、鋳型内面の中央部でその厚みが0.
1〜1mmであって、しかも上記鋳型内面には、通常の
Crめっきが施されている。請求項3記載の連続鋳造用
鋳型は、請求項2記載の連続鋳造用鋳型において、上記
逆三角形あるいは逆台形状のNiめっき区域の長さ(逆
三角形の長さあるいは逆台形の高さ)は、鋳造速度、鋳
型内面テーパの度合いに応じ100〜500mmの範囲
で変化させている。そして、請求項4記載の連続鋳造用
鋳型の製造方法は、ビレット又はブルームの連続鋳造に
用いる鋳型の製造方法であって、上記鋳型の各内面中央
部でメニスカスより下部に、中心付近の厚さ0.1〜
1.0mmで周縁部に行くほど薄くなった逆三角形状あ
るいは逆台形状のNi又はNi合金めっきを施した後、
塑性加工によって上記めっきによって突出した部分を銅
母材に埋め込ませて平面状となし、その上に通常のCr
めっきを施している。
【0005】
【作用】請求項1〜3記載の連続鋳造用鋳型及び請求項
4記載の連続鋳造用鋳型の製造方法の作用について、以
下に説明する。母材である銅(又は銅合金)と銅母材よ
り熱伝導度の劣る金属のめっきの一例であるNi(又は
Ni合金)めっきとCrめっきとの熱伝導率の比較を表
1に示す。
4記載の連続鋳造用鋳型の製造方法の作用について、以
下に説明する。母材である銅(又は銅合金)と銅母材よ
り熱伝導度の劣る金属のめっきの一例であるNi(又は
Ni合金)めっきとCrめっきとの熱伝導率の比較を表
1に示す。
【0006】
【表1】
【0007】即ち、NiあるいはNi合金めっきは熱伝
導率が低くCrめっきの1/12、銅の1/70である
からメニスカス近傍に逆三角形状あるいは逆台形状のN
iあるいはNi合金めっきを施すと、その部分のみ伝熱
が阻害され緩冷却となる。緩冷却の度合いはNiあるい
はNi合金めっきの厚い部分ほど大きくなる。従って、
通常最も伝熱の大きいメニスカス下約5cmの面中央部
を最も厚く、周縁部又は長さ方向下部に行くほど徐々に
めっき厚を薄くした逆三角形状あるいは逆台形状のNi
あるいはNi合金めっきを施せば前項に示した高熱伝導
域の伝熱を緩和且つ一定化し平面部とコーナー部の熱伝
達の差を縮め、鋳型全体として均一な冷却がなされ均一
な凝固シェルの発達が得られる。その結果、菱形変形の
発生が抑制されコーナー部あるいはコーナー近傍の割れ
が軽減される。このことを凝固シェルの収縮量に見合っ
た無段階に変化するテーパを備えた鋳型に適用すれば凝
固シェルの収縮に伴うエアーギャップの発生が少なく、
必然的にバルジングも小さくなるためコーナー割れの発
生を更に減少させることができる。この場合凝固シェル
と鋳型が高圧力で接する区間が単純テーパ鋳型に比べ長
くなるためNiあるいはNi合金めっきの施工区間も長
くなる。Ni又はNi合金めっきの厚さを0.1〜1.
0mmとしたのは0.1mm以下では緩冷却効果が充分
に得られないためであり1.0mm以上では施工(特に
塑性加工)が難しくなり、コスト高になると共に、伝熱
抵抗が高くなりすぎてシェルの発達が遅れブレークアウ
トの原因となるためである。Ni又はNi合金を下地め
っきに選んだのは銅あるいはクロムめっきとの密着性
(なじみ)が良く熱伝導度が低いことと施工が容易且つ
安価で強度的にも問題なきためである。NiあるいはN
i合金めっきの上に更にCrめっきを施すのはNiある
いはNi合金めっきは融点が低く溶鋼のスプラッシュ
(飛沫)が付着しやすいことと、鋳型全体の耐磨耗性を
向上させることを目的としている。
導率が低くCrめっきの1/12、銅の1/70である
からメニスカス近傍に逆三角形状あるいは逆台形状のN
iあるいはNi合金めっきを施すと、その部分のみ伝熱
が阻害され緩冷却となる。緩冷却の度合いはNiあるい
はNi合金めっきの厚い部分ほど大きくなる。従って、
通常最も伝熱の大きいメニスカス下約5cmの面中央部
を最も厚く、周縁部又は長さ方向下部に行くほど徐々に
めっき厚を薄くした逆三角形状あるいは逆台形状のNi
あるいはNi合金めっきを施せば前項に示した高熱伝導
域の伝熱を緩和且つ一定化し平面部とコーナー部の熱伝
達の差を縮め、鋳型全体として均一な冷却がなされ均一
な凝固シェルの発達が得られる。その結果、菱形変形の
発生が抑制されコーナー部あるいはコーナー近傍の割れ
が軽減される。このことを凝固シェルの収縮量に見合っ
た無段階に変化するテーパを備えた鋳型に適用すれば凝
固シェルの収縮に伴うエアーギャップの発生が少なく、
必然的にバルジングも小さくなるためコーナー割れの発
生を更に減少させることができる。この場合凝固シェル
と鋳型が高圧力で接する区間が単純テーパ鋳型に比べ長
くなるためNiあるいはNi合金めっきの施工区間も長
くなる。Ni又はNi合金めっきの厚さを0.1〜1.
0mmとしたのは0.1mm以下では緩冷却効果が充分
に得られないためであり1.0mm以上では施工(特に
塑性加工)が難しくなり、コスト高になると共に、伝熱
抵抗が高くなりすぎてシェルの発達が遅れブレークアウ
トの原因となるためである。Ni又はNi合金を下地め
っきに選んだのは銅あるいはクロムめっきとの密着性
(なじみ)が良く熱伝導度が低いことと施工が容易且つ
安価で強度的にも問題なきためである。NiあるいはN
i合金めっきの上に更にCrめっきを施すのはNiある
いはNi合金めっきは融点が低く溶鋼のスプラッシュ
(飛沫)が付着しやすいことと、鋳型全体の耐磨耗性を
向上させることを目的としている。
【0008】
【実施例】図1は、本発明の実施例に係る連続鋳造用鋳
型を示し、鋳型2aのメニスカスMより下部に逆三角形
状で下方に薄くなったNiめっき部15が形成されてい
る。このNiめっき部15は塑性加工によって、鋳型2
aの母材内に埋め込まれて表面には段や窪みは形成され
ていない。また、Niめっき部15の厚みは、最上部中
央が0.5mmで、最下部が0.1mm程度となって、
両側に向けて薄くなっている。塑性加工を行って鋳型2
aの内面を平坦状にした後、全体に通常のCrめっき1
6が成されている。
型を示し、鋳型2aのメニスカスMより下部に逆三角形
状で下方に薄くなったNiめっき部15が形成されてい
る。このNiめっき部15は塑性加工によって、鋳型2
aの母材内に埋め込まれて表面には段や窪みは形成され
ていない。また、Niめっき部15の厚みは、最上部中
央が0.5mmで、最下部が0.1mm程度となって、
両側に向けて薄くなっている。塑性加工を行って鋳型2
aの内面を平坦状にした後、全体に通常のCrめっき1
6が成されている。
【0009】表2はこの鋳型2aを使用し鋳造した場合
と、逆三角形状のNi下地めっきがないのみで他の仕様
は全く従来の同じ鋳型2を使用し鋳造した場合の菱形変
形及びコーナー割れの発生状況の違いを示したものであ
る。なお、表2においてAは図4に示すAに対応し、菱
形変形の度合いを示す。
と、逆三角形状のNi下地めっきがないのみで他の仕様
は全く従来の同じ鋳型2を使用し鋳造した場合の菱形変
形及びコーナー割れの発生状況の違いを示したものであ
る。なお、表2においてAは図4に示すAに対応し、菱
形変形の度合いを示す。
【0010】
【表2】
【0011】表2からも明らかなように、上記実施例に
係る鋳型2aにおいては、菱型変形及びコーナー割れが
従来の鋳型2より改善されていることが判る。上記実施
例においては、逆三角形状のめっき部について説明した
が、逆台形状であってもよく、更には、母材より熱伝導
度の劣る金属には、鉄、クロム等、銅より熱伝導が悪く
て、しかも銅の融点と同等又はそれ以上高い融点を有す
るものであれば、他の金属であっても適用可能である。
係る鋳型2aにおいては、菱型変形及びコーナー割れが
従来の鋳型2より改善されていることが判る。上記実施
例においては、逆三角形状のめっき部について説明した
が、逆台形状であってもよく、更には、母材より熱伝導
度の劣る金属には、鉄、クロム等、銅より熱伝導が悪く
て、しかも銅の融点と同等又はそれ以上高い融点を有す
るものであれば、他の金属であっても適用可能である。
【0012】
【発明の効果】請求項1〜3記載の連続鋳造用鋳型及び
請求項4記載の連続鋳造用鋳型の製造方法は以上のよう
に構成されているので、菱形変形及び、コーナー割れの
発生を少なくすることができた。これによって、品質の
良いビレットやブルームをより効率良く生産できること
になった。
請求項4記載の連続鋳造用鋳型の製造方法は以上のよう
に構成されているので、菱形変形及び、コーナー割れの
発生を少なくすることができた。これによって、品質の
良いビレットやブルームをより効率良く生産できること
になった。
【図1】本発明の実施例に係る連続鋳造用鋳型の説明図
である。
である。
【図2】従来例に係る鋳型の動作説明図である。
【図3】鋳型のコーナー部の説明図である。
【図4】菱形変形した鋳型の説明図である。
【図5】鋳型の説明図である。
1 溶鋼 2 鋳型(連続鋳造用鋳型) 2a 鋳型(連続鋳造用鋳型) 4 凝固シェル 5 空隙 6 割れ 7 割れ 8 鈍角コーナー 9 割れ 10 黒色変色域 11 等温線 15 Niめっき部 16 Crめっき
Claims (4)
- 【請求項1】 ビレット又はブルームの連続鋳造に用い
る鋳型において、上記鋳型の各内面中央部でメニスカス
より下部に、中心付近から周縁部に行くほど薄くなっ
て、その形状が逆三角形又は逆台形状で、しかも該鋳型
を構成する銅母材より熱伝導性が劣る金属のめっき層が
埋設形成されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。 - 【請求項2】 上記銅母材より熱伝導性が劣る金属は、
Ni又はNi合金からなって、鋳型内面の中央部でその
厚みが0.1〜1mmであって、しかも上記鋳型内面に
は、通常のCrめっきが施されている請求項1記載の連
続鋳造用鋳型。 - 【請求項3】 上記逆三角形あるいは逆台形状のNiめ
っき区域の長さは、鋳造速度、鋳型内面テーパの度合い
に応じ100〜500mmの範囲で変化させている請求
項2記載の連続鋳造用鋳型。 - 【請求項4】 ビレット又はブルームの連続鋳造に用い
る鋳型の製造方法であって、上記鋳型の各内面中央部で
メニスカスより下部に、中心付近の厚さ0.1〜1.0
mmで周縁部に行くほど薄くなった逆三角形状あるいは
逆台形状のNi又はNi合金めっきを施した後、塑性加
工によって上記めっきによって突出した部分を銅母材に
埋め込ませて平面状となし、その上に通常のCrめっき
を施すことを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3930695A JPH08206789A (ja) | 1995-02-02 | 1995-02-02 | 連続鋳造用鋳型及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3930695A JPH08206789A (ja) | 1995-02-02 | 1995-02-02 | 連続鋳造用鋳型及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08206789A true JPH08206789A (ja) | 1996-08-13 |
Family
ID=12549438
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3930695A Pending JPH08206789A (ja) | 1995-02-02 | 1995-02-02 | 連続鋳造用鋳型及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08206789A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010515583A (ja) * | 2007-01-18 | 2010-05-13 | エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト | コーティングを備えた金型 |
WO2010124073A3 (en) * | 2009-04-23 | 2011-02-10 | Dunn Edmund M Ph D | Improved process and apparatus for direct chill casting |
CN102463339A (zh) * | 2010-11-10 | 2012-05-23 | 北京航空航天大学 | 合金管材制作方法和设备 |
-
1995
- 1995-02-02 JP JP3930695A patent/JPH08206789A/ja active Pending
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