JPH11297355A - 常温溶融塩 - Google Patents

常温溶融塩

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JPH11297355A
JPH11297355A JP10108482A JP10848298A JPH11297355A JP H11297355 A JPH11297355 A JP H11297355A JP 10108482 A JP10108482 A JP 10108482A JP 10848298 A JP10848298 A JP 10848298A JP H11297355 A JPH11297355 A JP H11297355A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】新規な常温溶融塩を提供する。 【解決手段】カチオン成分が、下記式(1) NR (1) 〔式中、R,R,Rは同一又は異なって低級アル
キル基、アリール基、複素環基、アラルキル基を示す。
或いは、R,Rはともにシクロアルキル基を形成す
る。Rはアルキル基を示す。〕で表される4級アンモ
ニウムで、アニオン成分がN(CFSO ,C
SO ,BF ,AlCl ,AlCl
,AlCl およびPF からなる群から選ば
れる成分で構成され、−3.4V〜2.4Vの電位領域
で安定に存在する常温溶融塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温溶融塩に関す
る。
【0002】
【従来の技術およびその課題】1−エチル−3−メチル
イミダゾリウム(EMI)クロリドとAlCl3を混合
することにより、常温溶融塩を生成することは古くから
知られており、該塩は比較的高い導電率や広い電位窓を
持つこと、さらに不燃性、不揮発性という従来の電解質
系とは異なるユニークな特性を有することから電池電解
質としての可能性が検討されてきた。
【0003】近年、AlCl4アニオンの代わりに含フ
ッ素アニオン種(N(CF3SO2)2 -、CF3SO3 -、B
4 -)を用い、より耐水性が高く、取り扱いの容易な常
温溶融塩が提案された(Bonhote, P. et al., Inorg. C
hem., 35, 1168 (1996))。
【0004】一方、常温溶融塩のカチオン種としては、
従来EMIクロリドのようなイミダゾリウム塩が用いら
れていたが、このカチオンは、リチウムよりも貴な電位
(約−2.2V vs.I-/I3 -)で分解し、かつ耐電
圧性は4.5V程度であるため、リチウム二次電池の電
解質としての安定性に劣る欠点があった。
【0005】本発明は、より広い電位範囲で安定な常温
溶融塩及び該常温溶融塩を含むリチウム二次電池を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の常温溶
融塩及びリチウム二次電池を提供するものである。
【0007】項1. 5.8V以上の耐電圧性を有する
常温溶融塩。
【0008】項2. カチオン成分が、下記式(1) NR1234 (1) 〔式中、R1、R2、R3は同一又は異なって低級アルキ
ル基、アリール基、複素環基、アラルキル基を示す。或
いは、R1、R2はともにシクロアルキル基を形成する。
4はアルキル基を示す。〕で表される4級アンモニウ
ムである項1に記載の常温溶融塩。
【0009】項3. アニオン成分がN(CF3
2)2 -、CF3SO3 -、BF4 -、Al3Cl8 -、Al2
7 -、AlCl4 -およびPF6 -からなる群から選ばれる
項1〜2のいずれかに記載の常温溶融塩。
【0010】項4. 項1〜3のいずれかに記載の常温
溶融塩を電解質として含むリチウム二次電池。
【0011】項1の「5.8V以上の耐電圧性を有する
常温溶融塩」は、例えば「−3.4V〜2.4V v
s.I-/I3 -の電位領域で安定に存在する常温溶融
塩」を包含する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の常温溶融塩は、20℃〜
100℃、好ましくは20℃〜80℃、より好ましくは
20℃〜60℃、さらに好ましくは20℃〜40℃、特
に20℃で液体として存在する塩であり、カチオン成分
とアニオン成分からなる。
【0013】アニオン成分としては、N(CF3SO2)2 -
(以下、”TF2N”と略す)、CF3SO3 -およびBF
4 -が挙げられる。
【0014】カチオン成分としては、下記式(1) NR1234 (1) 〔式中、R1、R2、R3は同一又は異なって低級アルキ
ル基、アリール基、複素環基、アラルキル基を示す。R
4はアルキル基を示す。〕で表される4級アンモニウム
が挙げられる。
【0015】低級アルキル基としては、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブ
チル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル、ヘフ゜チル、オクチル、ノニル、デシルなどの直鎖また
は分枝を有する炭素数1〜10の低級アルキル基が挙げ
られる。
【0016】アリール基としては、フェニル、ナフチ
ル、トルイル、キシリル等が挙げられ、該アリール基
は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、水酸基、低
級アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブ
トキシ)、カルボキシル基、アセチル基、プロパノイル
基、チオール基、アルキルチオ基(メチルチオ、エチル
チオ、プロピルチオ、ブチルチオ)、アミノ基、低級ア
ルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基などの置換基
を1〜3個有していてもよい。
【0017】本発明の好ましいカチオン成分としては、
以下のものが例示される: ・トリメチルヘキシルアンモニウム; ・トリメチルフェニルアンモニウム; ・トリメチルシクロヘキシルアンモニウム; ・ジメチルエチルヘキシルアンモニウム; ・トリメチルベンジルアンモニウム; ・トリメチルビニルアンモニウム; ・トリメチル(メトキシカルボニルエチル)アンモニウ
ム; ・トリメチルエチルアンモニウム; ・トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム; ・トリエチルメチルアンモニウム; ・ジエチルメチルヘキシルアンモニウム; ・トリメチル(ペンタメチルフェニル)アンモニウム; ・トリエチルベンジルアンモニウム; ・N−メチルブチルピペリジニウム; ・N−ジメチルピペリジニウム; ・トリエチルブチルアンモニウム; ・トリエチルアミルアンモニウム; ・トリブチルメチルアンモニウム; ・トリブチルフェニルアンモニウム; ・トリブチルベンジルアンモニウム;および ・トリメチルアリルアンモニウム。
【0018】複素環基としては、ピリジル、チエニル
基、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオ
キサゾリ、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル
等が挙げられる。
【0019】アラルキル基としては、ベンジル、フェネ
チルなどが挙げられる。
【0020】本発明の常温溶融塩は、サイクリックボル
タモグラムで電気化学的安定性を測定すると、−3.2
V〜2.4V vs.I-/I3 -(5.6V以上の耐電
圧性)、−3.3V〜2.4V vs.I-/I
3 -(5.7V以上の耐電圧性)、特に−3.4V〜2.
4V vs.I-/I3 -(5.8V以上の耐電圧性)の
電位領域で安定であり、耐還元性が高く、結果として従
来のもの(EMI−Tf2Nなど)に比べ耐電圧性が
4.5V以上から、5.6V以上、好ましくは5.7V
以上、特に5.8V以上に向上した。
【0021】本発明の常温溶融塩は、−3.2V v
s.I-/I3 -よりも還元側の電位、好ましくは−3.
3V vs.I-/I3 -以下の還元電位、特に−3.4
V vs.I-/I3 -以下の還元電位で安定である。
【0022】本発明の常温溶融塩は、既知のイミダゾリ
ウムなどよりも耐還元性が優れているため、リチウム二
次電池の電解質として好適に使用できる。リチウム二次
電池の正極、負極、セパレータなどは、従来公知のもの
がそのまま使用できる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、耐還元性の優れた常温
溶融塩が得られる。該塩は、リチウムの酸化還元電位
(−3.2V vs.I-/I3 -)よりも還元側の電位
で安定であり、リチウム二次電池用の電解質として好適
である。
【0024】本発明の常温溶融塩は、化学的に安定であ
り、水を容易に系外に除くことができるため、該溶融塩
を含むリチウム二次電池は性能および耐久性、安定性に
優れる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説
明する。
【0026】実施例1 (1)Tf2-・TMHA+(Tf2Nはビストリフルオ
ロメタンスルホンイミド((CF3SO22N)を示
す;TMHAは、トリメチルヘキシルアンモニウムを示
す)の調製 等モル量のトリメチルヘキシルアンモニウムブロマイド
(TMHA+Br-)と、リチウム塩(Li+Tf2-)を
蒸留水中、混合撹拌することにより直ちに水に不溶な常
温溶融塩(TMHA+Tf2-)と水に可溶なLi+Br
-が生じる。分液ロートによって常温溶融塩を分取した
後、数回蒸留水で洗浄する。洗浄後、ロータリーエバポ
レーターにより100℃で真空乾燥することにより脱水
された純粋な常温溶融塩が得られる。得られた溶融塩の
比重は1.28g/ml、融点25℃である。該常温溶
融塩は、室温以下−20℃で少なくとも数週間は過冷却
状態のために液体状態を保つ特徴を持つ。
【0027】(2)サイクリックボルタモグラムの測定 TMHA+のN(CF3SO22 -溶融塩の還元限界電位
は、ヨウ素カップル(I-/I3 -)参照電極(1−エチ
ル−3−メチルイミダゾリウム−ビストリフルオロメタ
ンスルホンイミド溶融塩(EMI−Tf2Nと略記す
る)に15mMI2、60mM ヨウ化テトラプロピルア
ンモニウムを溶解させたものに白金線を浸漬させたも
の)に対する電位を求めた。
【0028】サイクリックボルタモグラムの結果を図1
に示す。
【0029】また、従来使用されていた常温溶融塩であ
るEMI+Tf2-(EMIは、1−エチル−3−メチ
ルイミダゾリウムを示す。)のサイクリックボルタモグ
ラムの結果を合わせて図1に示す。
【0030】図1に示すように、本発明の常温溶融塩
は、−3.4V vs.I-/I3 -の還元電位でも安定
でかつ、5.8V以上の耐電圧性を有する。
【0031】図2に示すように、リチウムの酸化還元ピ
ークが得られることから、リチウム二次電池用電解質と
して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】TMHA−Tf2N(実線)及びEMI−Tf2
N(破線)のサイクリックボルタモグラムの結果を示
す。本発明のTMHA+Tf2-は、従来のEMI+Tf
2-と比べて、耐還元性が大幅に向上したことが明らか
になった。
【図2】TMHA−Tf2Nに0.5MLiTf2Nを加
えた溶液のサイクリックボルタモグラムの結果を示す。
本発明のTMHA+Tf2-は、−3.4Vの還元電位
でも安定に存在するため、−2.0V以下で、リチウム
のピークが観察された。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】アニオン成分としては、N(CF3SO2)2 -
(以下、”TF2N”と略す)、CF3SO3 -、PF6 -
びBF4 -が挙げられる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】5.8V以上の耐電圧性を有する常温溶融
    塩。
  2. 【請求項2】カチオン成分が、下記式(1) NR1234 (1) 〔式中、R1、R2、R3は同一又は異なって低級アルキ
    ル基、アリール基、複素環基、アラルキル基を示す。或
    いは、R1、R2はともにシクロアルキル基を形成する。
    4はアルキル基を示す。〕で表される4級アンモニウ
    ムである請求項1に記載の常温溶融塩。
  3. 【請求項3】アニオン成分がN(CF3SO2)2 -、CF3
    SO3 -、BF4 -、Al3Cl8 -、Al2Cl7 -、AlCl
    4 -およびPF6 -からなる群から選ばれる請求項1〜2の
    いずれかに記載の常温溶融塩。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の常温溶融
    塩を電解質として含むリチウム二次電池。
  5. 【請求項5】−3.4V vs.I-/I3 -以下の還元
    電位で安定である常温溶融塩。
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