JPWO2009011368A1 - 固体イオン伝導体、固体イオン伝導体を用いた電気化学デバイス並びにその製造方法 - Google Patents

固体イオン伝導体、固体イオン伝導体を用いた電気化学デバイス並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

電気化学デバイスや水素ガスセンサに好適に用いることができる固体イオン伝導体を提供する。イミダゾリウム系イオン、ピリジニウム系イオン、脂肪族アミン系イオン、脂環式アミン系イオン、脂肪族ホスホニウムイオンの何れかから一種または複数種選択されるカチオン部位を有するものであり、ホウ酸イオン、トリフラートイオン、ハロゲン系イオン、ホスフォネートイオンの何れかから一種または複数種選択されるアニオン部位を有するイオン液体と、光硬化性樹脂の混合物を紫外線により硬化処理した固体イオン伝導体を挟んで一対の電極が形成された電気化学デバイスである。

Description

本発明は、固体イオン伝導体、固体イオン伝導体を用いた電気化学デバイス並びにその製造方法等に関する。
リチウムイオン電池等の二次電池、電気二重層コンデンサ、エレクトロクロミックディスプレイ等の電気化学デバイスは、一般に可逆的な酸化還元反応が可能な金属類、遷移金属の酸化物、窒化物、硫化物、カーボン等を正極と負極で組み合わせた一対の電極と、その間を満たすイオン伝導体を備えて構成される。
例えば、リチウムイオン電池は、正極にLiCoO2(リチウムコバルタイト)、負極にC(炭素)が選択され、正極と負極を分離するセパレータにポリオレフィン多孔膜、イオン伝導体にLiClO,LiPF等のLiイオンを含んだ有機電解液が用いられている。
このような二次電池の電解液として、例えば特許文献1には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンに代表される芳香族性環を有する環状四級アンモニウム有機物カチオンからなるイオン液体を用いた構造が開示され、特許文献2には、トリメチルヘキシルアンモニウムカチオンに代表される脂肪族四級アンモニウム有機物カチオンからなるイオン液体を含有した非水電解質を用いた電池が提案され、さらに特許文献3には、飽和脂肪族環状四級アンモニウムカチオンと非金属元素のみからなるアニオンからなるイオン液体、並びに、環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートを含有し、かつ、リチウムカチオンを0.5mol/L以上の濃度で含有する非水電解質電池が開示されている。
ここに、イオン液体とは、一般的に蒸気圧が殆どゼロ、難燃性、イオン性であるが低粘性、高い分解電圧を有する等の性状を備えた安定な液体の塩であるため、高度な安全性が要求される用途に適したイオン伝導体として注目されている。
また、電気化学デバイスの一例として水素ガスセンサが挙げられる。燃料電池に代表される水素エネルギーシステムを構成するうえで、水素濃度を精度良く検出する水素ガスセンサの必要性は極めて高く、従来、特許文献4から6に示すような水素ガスセンサが開示されている。
特許文献4には、気相中或いは液相中における水素濃度を測定するにあたり、感応部に高温をかける必要がなく、且つ隔膜や電解液を不要としてこれらの劣化を防止すると共に小型軽量化を可能とすることができる水素ガスセンサとして、水素と接触することにより電気抵抗変化を生じる感応部を備え、感応部が水素吸蔵性の単体金属または合金で形成され、或いは、ナノカーボン材料、水素吸蔵性の単体金属、水素吸蔵性の合金から選択される材料で形成される水素センサが開示されている。
特許文献5には、TiO2,SrTiO3,BaTiO3等の金属酸化物半導体よりなる感応部に電気抵抗測定用の一対の電極を設けた水素ガスセンサが開示されている。
特許文献6には、固体高分子電解質膜の両側にカーボンクロス電極を取り付けた燃料電池のセル型の水素測定センサ素子が、一方の開口縁が測定対象面と当接する筒状体の開口面にほぼ平行に筒状体内部を仕切るように筒状体に設けられ、陽極および陰極間の電流値を測定する無抵抗電流計が設けられていることを特徴とする透過水素ガス量測定装置が開示されている。
特許文献7には、センサヘッドに酸化物半導体を採用し、酸化物半導体のインピーダンス特性を測定することにより水素ガスを検知する技術が開示されている。これは酸化物半導体の表面に水素ガスが吸着したときに酸化物半導体のインピーダンス特性に変化が生じる現象を利用したものである。
特許文献8には、センサヘッドに固体電解質のジルコニアを採用し、ジルコニアのインピーダンスまたはインピーダンスの位相角を測定することにより分子中に水素原子を含んだ可燃性ガスの濃度を検知する技術が開示されている。
特許文献3には、センサヘッドにサーミスタ素子を採用し、サーミスタ素子の抵抗を測定することにより水素ガスを検知する技術を開示している。これは水素ガスと空気とで熱伝導率が異なることから、センサヘッド周囲の水素ガス濃度に応じて放熱特性が異なり、それに伴いサーミスタ素子の熱平衡温度が異なるという現象を利用したものである。
特開2001−319688号公報 特許第2981545号公報 特開2007−141489号公報 特開2004−125513号公報 特開2002-071611号公報 特開2002−289243号公報 特開平7−103924号公報 特開2006−90812号公報 特開2004−37235号公報
しかし、上述した特許文献1から3に記載された電池は、何れも、液状のイオン伝導体であるイオン液体を用いるものであるため、電池を構成する際に、ケーシングに電解液を充填して封入する必要があり、その製造工程が煩雑になるとともに、過充電や機械的衝撃等により液漏れが発生する虞もあり、その取り扱いに多くの制約が課されるという問題があった。
また、特許文献4に記載された水素センサは、水素吸蔵性の単体金属または合金で形成される感応部に水素ガスが吸蔵されることにより変化する電気抵抗値を検出するものであり、感応部に水素が吸蔵された状態が維持されるため、ダイナミックな変動に追随できず、次回の計測時に備えて吸蔵された水素を感応部から放出するためのパージ操作が必要になるという問題があった。
特許文献5に記載された水素ガスセンサでは、表面に吸着した酸素と水素ガスとの反応に伴う金属酸化物半導体の電気抵抗の変化を検出するものであるため、酸素分子の吸脱着を十分に生起させるべく感応部の素子温度を400℃程度に加熱する加熱素子を設ける必要がある。そのため、消費電力が増加するという問題や、耐熱構造を備える必要があるという問題があり、さらには、水素ガスの他にもメタンガスや一酸化炭素ガス等の可燃性ガスにも応答し、ガス選択性が無いという問題もあった。
さらに特許文献6に記載された透過水素ガス量測定装置では、固体高分子電解質膜として使用されるパーフルオロスルフォン酸樹脂は湿潤環境下で良好な水素イオン伝導性を示すものであるが、乾燥条件下では効果的に機能させることができず、また、架橋構造でないため高温で水を多く含むと強度が低下するという問題があった。しかもパーフルオロスルフォン酸樹脂は膜の製造工程が煩雑であるため製造コストが高く、コスト低減という観点で一層の改良が望まれていた。
特許文献7,8に開示された技術では、センサヘッドが適切に動作する温度が高いため、センサヘッドを動作温度まで加熱するためのヒータを設ける必要がある。例えば、典型的な動作温度として特許文献7では400℃、特許文献8では500℃〜1000℃が記載されている。また特許文献9に開示された技術では、雰囲気の放熱特性は水素ガス濃度だけでなく湿度にも影響されるため、湿度による影響をキャンセルするために4つのサーミスタ素子を用いてセンサヘッドを構成している。このように、センサヘッド周辺にヒータを設けたり、複数のサーミスタ素子を用いてセンサヘッドを構成したりすれば、水素ガス検知装置の構造が複雑となり小型化および低コスト化を妨げる要因となる。
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、電気化学デバイスや水素ガスセンサに好適に用いることができる固体イオン伝導体を提供する点にある。そして、このような固体イオン伝導体を用いることにより、製造工程が簡単で液漏れの発生する虞の無い電気化学デバイスや、パージ操作をすることなく、良好な水素ガス選択性を備えながらも、検出特性が環境条件に大きく左右されることなく、高精度に検出でき、しかも比較的安価に構成することができる水素ガスセンサ並びに水素ガス検知装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による固体イオン伝導体の特徴構成は、電気化学デバイスに用いられるイオン伝導体であって、イオン液体と樹脂の混合物を硬化処理して得られる点にある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、樹脂にイオン液体を混入して硬化処理することにより、保型性を備えた安定な固体イオン伝導体が得られるという新知見を得るに到った。そして、このような固体イオン伝導体を、二次電池、電気二重層コンデンサ、エレクトロクロミックディスプレイ、水素ガスセンサ等の電気化学デバイスに好適に用いられることを見出したのである。
前記固体イオン伝導体は、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかに前記イオン液体を混合した後に硬化処理することにより得られる。
イオン液体を混入する樹脂として光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかを選択することにより、任意の形状に加工可能な固体イオン伝導体が得られ、電気化学デバイスの構成の自由度を確保することができるようになるのである。
前記イオン液体は、イミダゾリウム系イオン、ピリジニウム系イオン、脂肪族アミン系イオン、脂環式アミン系イオン、脂肪族ホスホニウムイオンの何れかから一種または複数種選択されるカチオン部位を有するものであり、ハロゲンイオン、ハロゲン系イオン、ホスフォネート系イオン、ホウ酸系イオン、トリフラート系イオン、イミド系イオンの何れかから一種または複数種選択されるアニオン部位を有するものであることが好ましい。
本発明による電気化学デバイスの特徴構成は、上述した固体イオン伝導体を挟んで一対の電極が形成されている点にあり、このような構成により、安定した発電特性を備えた電池等の電気化学デバイスを得ることができるようになる。
さらに、前記固体イオン伝導体は、前記電極の種類に応じたイオンを含有する電解質塩が添加されていることが好ましい。選択される電極の種類によって電極間のイオン伝導体中に必要とされるイオンが定まるため、電極の種類に応じたイオンを含有する電解質塩をイオン液体に添加することにより、良好な特性の電気化学デバイスが得られるようになる。
本発明による電気化学デバイスの製造方法の特徴構成は、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、前記混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させる硬化処理工程と、前記硬化処理工程で硬化されたイオン伝導体に一対の電極を形成する電極形成工程とからなる点にある。
本発明による水素ガスセンサの特徴構成は、上述した固体イオン伝導体で構成される基材の少なくとも一側面に触媒層が形成された検出部を備えている点にある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、このような固体イオン伝導体を基材として、少なくともその一側面に金属等でなる触媒層を設けることにより発電特性が現れることが確認され、このような触媒層に向けて水素ガスを供給したときに、水素ガス濃度に応じて発電特性が変動すること、つまり、水素ガスセンサとして利用できることが確認されたのである。
このような水素ガスセンサは、検出部が通気性を有する電極で接合されていることが好ましく、例えば、触媒層が形成された側の電極に水素ガスを供給するとともに対向電極に酸素または空気を供給することにより、良好に水素ガス濃度を検出することができる。
触媒層が基材の少なくとも一側面に担持され、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ金属または合金、若しくは触媒活性を有する有機金属または有機物で構成されていることが好ましく、例えば、スパッタリングにより触媒を担持する場合には、触媒担持体上に担持される触媒の粒径分布、担持量を好適に制御することができるため、良好な発電特性を得ることができる点で好ましい。
また、触媒層が基材の少なくとも一側面に担持され、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ炭化物であるモリブデンカーバイドを含むことが好ましい。
水素分解触媒として、比較的よく用いられている白金Ptまたは白金系金属触媒は、極めて高価な材料であるため、水素ガスセンサの製造コストの上昇をもたらし、水素ガスセンサの普及を妨げる要因の一部となる。
しかし、水素ガスセンサの検出性能は一般的に触媒量に比例するため、高価な触媒であっても安易に使用量を減らすことができず、水素ガスセンサとしての所定の性能を維持するためには、現実的な限界が存在する。
そこで、本願発明者らは、白金Pt触媒の代替として様々な触媒材料を試験研究した結果、水素分解反応に関してモリブデンカーバイドMoCが白金Pt触媒に比べて遜色のない触媒作用を示すことを確認したのである。
しかも、モリブデンカーバイドMoCは、白金Pt価格と比較して数十分の一と極めて安価な材料であるため、水素ガスセンサの製造コストを極めて効果的に低減させることができるようになるのである。
本発明による水素ガスセンサの製造方法の特徴構成は、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、前記混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させて基材を形成する硬化処理工程と、前記硬化処理工程で硬化された基材の少なくとも一側面に一触媒層を形成する触媒層形成工程とからなる点にある。
本発明による水素ガス検知装置の特徴構成は、上述した何れかの水素ガスセンサと、前記検出部に接合された一対の電極間の端子間電圧を測定する電圧測定部と、前記検出部のインピーダンス特性を測定するインピーダンス測定部と、前記インピーダンス測定部により測定されたインピーダンス特性の変化に対する前記電圧測定部により測定された端子間電圧の変化が所定値以上であるときに、水素ガスの濃度が変化したと判断する制御部とを備えている点にある。
前記制御部は、前記インピーダンス測定部により測定されたインピーダンス特性及び前記電圧測定部により測定された端子間電圧をメモリに保存し、前回測定されたインピーダンス特性と今回測定されたインピーダンス特性とからインピーダンス特性の変化を導出し、前回測定された端子間電圧と今回測定された端子間電圧とから端子間電圧の変化を導出することが好ましい。
この場合、前記制御部は、以下の式で示すインピーダンス変化率ΔCp及び電圧変化率ΔVから、それらの比ΔV/ΔCpまたはそれらの差(ΔV−ΔCp)を、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化として導出することが好ましい。
インピーダンス変化率ΔCp=(|Cp2−Cp1|)/Cp1
電圧変化率ΔV=(|V2−V1|)/V2
尚、式中、Cp1;インピーダンスの前回測定値、Cp2;インピーダンスの今回測定値、V1;端子間電圧の前回測定値、V2;端子間電圧の今回測定値である。
また、前記制御部は、以下の式で示すインピーダンス変化率ΔCp及び電圧変化率ΔVから、それらの比ΔV/ΔCpまたは差(ΔV−ΔCp)を、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化として導出することが好ましい。
インピーダンス変化率ΔCp=(|Cp2−Cp1|)/Cp1
電圧変化率ΔV=(|V2−V1|)/V2
尚、式中、Cp1;インピーダンスの前回測定値、Cp2;インピーダンスの今回測定値であり、V1;端子間電圧の前回測定値、V2;端子間電圧の今回測定値である。
さらに、前記制御部は、以下の式で示すインピーダンス変化率ΔCp及び電圧変化率ΔVから、それらの比ΔV/ΔCpまたは差(ΔV−ΔCp)を、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化として導出することが好ましい。
インピーダンス変化率ΔCp=(|Cp2−Cp1|)/ΔT
電圧変化率ΔV=(|V2−V1|)/ΔT
尚、式中、Cp1;インピーダンスの前回測定値、Cp2;インピーダンスの今回測定値であり、V1;端子間電圧の前回測定値、V2;端子間電圧の今回測定値、ΔT;前回測定時から今回測定時までの時間である。
前記水素ガス検知装置は、さらに、外部に水素ガス検知を通報する水素ガス検知通報手段を備え、前記制御部は、水素ガスの濃度が変化したと判断したときに前記水素ガス検知通報手段に水素ガス検知を通報させることが好ましい。
本発明による水素ガス検知方法の特徴構成は、上述した何れかの水素ガスセンサに対して、前記検出部に接合された一対の電極間の端子間電圧を測定する電圧測定ステップと、前記検出部のインピーダンス特性を測定するインピーダンス測定ステップと、前記インピーダンス測定ステップにより測定されたインピーダンス特性の変化に対する前記電圧測定ステップにより測定された端子間電圧の変化が所定値以上であるときに水素ガスの濃度が変化したと判断する判断ステップとを含む点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、電気化学デバイスや水素ガスセンサに好適に用いることができる固体イオン伝導体を提供することができるようになった。
そして、このような固体イオン伝導体を用いることにより、製造工程が簡単で液漏れの発生する虞の無い電気化学デバイスや、パージ操作をすることなく、良好な水素ガス選択性を備えながらも、検出特性が環境条件に大きく左右されることなく、高精度に検出でき、しかも比較的安価に構成することができる水素ガスセンサ並びに水素ガス検知装置を提供することができるようになった。
本発明による電気化学デバイスの一例である電池の構成図である。 本発明による電気化学デバイスの試作手順の説明図である。 試作した電気化学デバイスの出力特性の測定方法の説明図である。 実施例5で試作した電池の充電特性図である。 (a)は実施例5で試作した電池の放電特性図、(b)は(a)の要部を拡大した電池の放電特性図である。 本発明による電気化学デバイスの他の例である水素イオンセンサの構成図である。 別実施形態を示し、本発明による電気化学デバイスの他の例である水素イオンセンサの構成図である。 水素ガス検知装置の一部であるセンサヘッドの断面図である。 水素ガス検知装置のシステムを示すブロック構成図である。 水素ガス検知装置の動作を説明するフローチャートである。 センサヘッドのサンプルの作製工程の説明図である。 センサヘッドのサンプルに水素ガスを吹きかけたときの電圧及びインピーダンスの測定結果を示すグラフである。 水素ガス検知装置の性能評価に用いた実験系の一部を模式的に表す説明図である。 各時刻における温度、湿度、電圧及びインピーダンスをプロットしたグラフである。 各時刻における温度、湿度、電圧変化率およびインピーダンス変化率をプロットしたグラフである。 各時刻におけるインピーダンス変化率および電圧変化率の比をプロットしたグラフである。 各時刻におけるインピーダンス変化率および電圧変化率の比をプロットしたグラフである。
符号の説明
1:固体イオン伝導体
2:触媒層
3a,3b:電極
4:電気化学デバイス(電池、水素ガスセンサ)
5:光硬化樹脂(ネオポール)
6:イオン液体(1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート)
7:メノウ乳鉢
8:乳棒
10:透明PETフィルム
11:透明PETフィルム
12:コーター
13:測定器(デジタルマルチメータ)
14:銅電極
100:センサヘッド
101:基材
102:触媒層
103,104:電極
103c,104c:細孔
200:水素ガス検知装置
201:電圧測定部
202:インピーダンス測定部
203:制御部
204:ブザー
205:ランプ
206:外部端子
207:リセットボタン
303:メノウ乳鉢
304:メノウ乳棒
305,307:透明ゼオノアフィルム
306:混合樹脂
308:白金層
401:環境試験器
402:容器
403:注射器
〔実施形態1〕
以下、本発明による固体イオン伝導体及び固体イオン伝導体を用いた電気化学デバイスの一例である電池について説明する。
図1に示すように、本発明による電気化学デバイスとしての電池4は、膜状に成形された固体イオン伝導体1の両面に一対の電極3a,3bを配置して構成されている。
固体イオン伝導体1は、イオン液体と樹脂の混合物を硬化処理することにより得られる。具体的には、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかにイオン液体を混合した後に硬化処理されて得られる。
樹脂として光硬化樹脂を採用する場合には、イオン液体と光硬化樹脂と光重合開始剤と必要に応じて安定剤等を攪拌混合した後に膜状に成形して、例えば紫外線を照射することにより膜状の固体イオン伝導体1が得られる。
光硬化樹脂としてエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、不飽和ポリエステル樹脂、ジアゾ樹脂、アジド樹脂等を用いることができる。ここで、本発明でいう光硬化樹脂とは、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、電子ビーム硬化樹脂を含む広い概念を意味するものである。
樹脂として熱硬化性樹脂を採用する場合には、イオン液体と熱硬化樹脂と反応剤を攪拌混合した後に膜状に成形して加熱処理することにより膜状の固体イオン伝導体1が得られる。
熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、尿素樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、アリル樹脂等を用いることができる。
樹脂として熱可塑性樹脂を採用する場合には、イオン液体と高温で溶融状態にある熱可塑性樹脂とを攪拌混合した後に膜状に成形して冷却処理することにより膜状の固体イオン伝導体1が得られる。
熱可塑性樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート等の汎用樹脂の他にポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等のエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック等を用いることができる。
本発明に用いられるイオン液体は、特に制限されるものではなく、化学式1に示すイミダゾリウム系イオン、化学式2に示すピリジニウム系イオン、化学式3に示す脂肪族アミン系イオン、化学式4に示す脂環式アミン系イオン、化学式5に示す脂肪族ホスホニウム系イオンの何れかから一種または複数種選択されるカチオン部位を有するものであり、ハロゲンイオン、ハロゲン系イオン、ホスフォネート系イオン、ホウ酸系イオン、トリフラート系イオン、イミド系イオンの何れかから一種または複数種選択されるアニオン部位を有するものであればよい。
さらに、イオン液体に電極の種類に応じたイオンを含有する電解質塩が添加されることが好ましい。
例えば、負極にリチウム金属を用いるリチウムイオン電池の場合、リチウムの析出、溶解反応が生じる負極には、リチウムを含有するLiClO、LiPF、LiBF、等の電解質塩を添加することにより安定した発電特性が得られる。これらの電解質塩は特に限定するものではなく、電極に必要なカチオンを含有しているものであればよい。
尚、化学式に示すR,R1,R2,R3は、水素、アルキル基、アリール基、及びアルコキシアルキル基の何れかである。
Figure 2009011368
Figure 2009011368
Figure 2009011368
Figure 2009011368
Figure 2009011368
このようにして成形された固体イオン伝導体1の両面に設けられる電極3a,3bの材料として、イオン化傾向の異なる任意の二種類の金属を採用することが可能である。
特に、電池として構成する場合には、負極に酸化還元電位が卑なアルカリ金属やアルカリ土類金属などのイオン化傾向が大きい金属、若しくはそれらの合金を用いることにより高電圧を確保できる点で好ましい。
また、電気二重層コンデンサとして構成する場合には、一対の電極3a,3bを同種の金属または炭素等で構成すればよい。
これらの電極は、スパッタリング、真空蒸着、電子照射、CVD、PVD、含浸、スプレーコート、スプレー熱分解、練りこみ、吹き付け、ロールやコテによる塗り付け、スクリーン印刷、混錬法、光電解法、コーティング法、ゾルゲル法、ディップ法等により形成することができる。
上述した実施形態では、電気化学デバイスの一例として、主に電池について説明したが、本発明による電気化学デバイスは電池に限るものではなく、電気二重層コンデンサ、エレクトロクロミックディスプレイ、後述する水素ガスセンサ等イオン伝導体を挟んで一対の電極が形成された電気化学デバイスに適用できる。
尚、固体イオン伝導体1の形状は膜状に限るものではなく、面状体を渦巻状に形成したもの、立体に形成したもの等製造される電気化学デバイスの形状に合わせて適切な形状に成形すればよい。そして、電池4は各電極3a,3bと接続した端子を備えたケーシングに収容することにより最終製品が構成される。
即ち、本発明による電気化学デバイスの製造方法は、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、前記混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させる硬化処理工程と、前記硬化処理工程で硬化されたイオン伝導体に一対の電極を形成する電極形成工程を備えて構成される。
〔実施形態1の実施例〕
以下に、上述した実施形態1に対応する実施例を説明する。
(実施例1) イオン液体として関東化学株式会社より購入した1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、光硬化樹脂として日本ユピカ株式会社製のエポキシアクリレート樹脂(商品名:ネオポール)、大日本社製のラジカル開始剤(光重合開始剤)を準備した。
尚、ラジカル開始剤はMMMP(2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モノフォリノプロパン‐1)、BDMB(2‐ベンジル‐2ジメチルアミノ‐1‐(モノフォリノフェニル)‐ブタン‐1)等を適宜使用することも可能である。
図2(a)に示すように、先ず、ネオポール(10g)(図中、符合5)に、上述のイオン液体0.5mL(図中、符合6)及びラジカル開始剤(大日本社製)0.23gを加えて、メノウ乳鉢7で均一になるまで乳棒8を用いて攪拌混合する。
このとき、透明なエポキシアクリレート樹脂が白色のゲル状になるまで攪拌混合を行なう。尚、イオン液体と光硬化性樹脂の混合比はこの値に限るものではなく、適宜設定される値である。
図2(b)に示すように、攪拌混合後、透明PETフィルム10上に白色のゲル1を適量垂らし、その上に、更に透明PETフィルム11を重ねて、その上からガラス棒(コーター)12で加圧することにより白色ゲル1を膜状に伸ばす。
図2(c)に示すように、さらに、水銀ランプ(360nm)を30秒照射して、樹脂を硬化させた後に、透明PETフィルム10,11を剥がし、図2(d)に示すように、基材としての固体イオン伝導体1を成形した。
膜厚を測定したところ100μmであったが、本発明では、膜厚は限定するものではなく、製膜できる厚さであればよい。尚、好ましくは50μ〜300μmの間である。
図2(e)に示すように、上述した手順で得られた固体イオン伝導体の片面に白金Ptをスパッタリングして電極を形成した。スパッタリング条件は、Ar20cc,RF300W,基板回転速度1.6rpmである。
つまり、電気化学デバイスは、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させる硬化処理工程と、硬化処理工程で硬化されたイオン伝導体に一対の電極を形成する電極形成工程により製造される。
スパッタリング終了後、図3に示すように、片面に白金Ptの電極が形成された固体イオン伝導体1の両面を銅電極14,14で挟み測定器13(デジタルマルチメータ(IWATSU VOAC 7523))で電圧を測定した結果、500mVの電圧が確認され、30nAの電流が取り出せることが確認された。
(実施例2) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の片面にアルミAlをスパッタリングして電極を形成した。スパッタリング条件は、Ar50cc,DC620W,電流2A,基板回転速度6rpmである。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、20mVの電圧が確認された。
(実施例3) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の片面に金Auをスパッタリングして電極を形成した。スパッタリング条件:Ar20cc,DC620W,電流2A,基板回転速度6rpmである。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、215mVの電圧が確認された。
(実施例4) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の片面にパラジウムPdをスパッタリングして電極を形成した。スパッタリング条件:Ar20cc,DC640W,電流2A,基板回転速度6rpm。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、290mVの電圧が確認された。
(実施例5) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の一方の面にアルミAlをスパッタリングし、他方の面に白金Ptをスパッタリングして電極を形成した。白金Ptのスパッタリング条件は実施例1と同条件、アルミAlのスパッタリング条件は実施例2と同条件である。
両面のスパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、充電電圧2.0Vで10分間充電すると、約1.6V程度に充電されることが確認された。このときの充電特性を図4に示す。
このようにして充電された固体イオン伝導体1を基材とする試料に1.8Ωの抵抗を接続して放電特性を測定した結果、初期に比較的大容量の電流が流れて電圧が低下し、その後約200mV程度で定電流が流れること、つまり、二次電池としての充放電特性が得られることが確認された。このときの放電特性を図5(a),(b)に示す。
(実施例6) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の両面に白金Ptをスパッタリングして電極を形成した。スパッタリング条件は実施例1と同条件である。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、電圧は確認されなかった。つまり、少なくとも固体イオン伝導体の両面に同種の金属電極を形成しても発電特性は示されなかった。
(実施例7) 光硬化樹脂として実施例1から6で使用した日本ユピカ株式会社製のエポキシアクリレート樹脂(商品名:ネオポール)に替えて、日本ユピカ株式会社製のウレタンアクリレート樹脂(銘柄:8965―85)を用い、実施例1と同様の手順に従って、基材としての固体イオン伝導体1を成形した。
得られた固体イオン伝導体の片面に白金Ptをスパッタリングして電極を形成した。スパッタリング条件は実施例1と同条件である。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、100mVの電圧が確認された。
(実施例8) イオン液体として実施例1から6で使用した関東化学株式会社より購入した1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートに替えて、関東化学株式会社より購入したN-メチル‐N-プロピルピペリジウム ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドを用い、実施例1と同様の手順に従って、基材としての固体イオン伝導体1を成形した。
得られた固体イオン伝導体の片面に白金Ptをスパッタリングして電極を形成した。スパッタリング条件は実施例1と同条件である。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、200mVの電圧が確認された。
〔実施形態2〕
以下、本発明による固体イオン伝導体及び固体イオン伝導体を用いた電気化学デバイスの他の例である水素ガスセンサ及びその製造方法を説明する。
図6に示すように、本発明による電気化学デバイスとしての水素ガスセンサ4は、膜状に成形された固体イオン伝導体1の少なくとも一側面に触媒層2が形成された検出部を備え、触媒層2を挟んで両面に電極3a,3bが配置されている。
固体イオン伝導体1は、〔実施形態1〕で説明した通り、イオン液体と樹脂の混合物を硬化処理することにより得られる。以下の説明では、固体イオン伝導体1に関して、〔実施形態1〕で説明した内容と重複する記載は省略する。
触媒層2を構成する触媒2aとして、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ金属、合金、有機金属、有機物または炭化物等を好適に用いることができる。
このような触媒2aは、スパッタリングによる薄膜形成法を用いて、基材である固体イオン伝導体1の少なくとも一側面に担持される。
触媒2aとして、高い触媒活性を有する白金Ptまたは白金合金が好適に用いられるが、その他に、金Au、銀Ag、イリジウムIr、パラジウムPd、ルテニウムRu、オスミウムOs、ニッケルNi、タングステンW、モリブデンMo、マンガンMn、イットリウムY、バナジウムV、ニオブNb、チタンTi、ジルコニア、希土類金属等から選択される少なくとも一種の金属または合金を用いることができる。
また、触媒2aとして、水素ガスと接触することにより触媒活性を有する有機金属または有機物を用いることも可能である。このような有機金属触媒として、例えば、N,N’-Bis(salicylidene)ethylene-diamino-metal(=Ni, Fe, Vなど)、N,N’-mono-8-quinoly-σ-phenylenediamino-metal(=Ni, Fe, Vなど)等を用いることができ、有機物としては、例えばピロロピロール赤色顔料、ジピリジル誘導体を用いることができる。
さらに、触媒2aとして、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ炭化物を用いることができ、モリブデンカーバイドMoC、またはモリブデンカーバイドMoCを含む材料を用いることも可能である。モリブデンカーバイドMoCを用いる場合については、後に詳述する。
触媒層2を形成する方法として、スパッタリング以外の公知の方法を採用することも可能である。例えば、真空蒸着法、電子照射法、CVD、PVD、含浸法、スプレーコート法、スプレー熱分解法、練りこみ法、吹き付け法、ロールやコテによる塗り付け法、スクリーン印刷法、混錬法、光電解法、コーティング法、ゾルゲル法、ディップ法等を採用して触媒層2を形成することが可能である。
電極3a,3bは、多数の細孔が形成された銅ニッケル合金薄膜等で構成することができ、良好な導電性を備えた金属ポーラス焼結体で構成することも可能である。
上述の水素ガスセンサ4では、白金を用いて触媒層2が形成され、当該触媒層2と、基材である固体イオン伝導体1を挟んで対向配置された電極3bとの間で電池が構成され、一定の起電力が生じている。その状態で触媒層2側の電極3aに水素ガスが流入すると、触媒2aの作用により水素が水素イオンと電子に分解され、その影響で起電力が低下する。
この現象の原因は明らかになっていないが、以下のように推定される。例えば、白金よりもイオン化傾向が高い金属で電極3bを構成する場合に、アノード側の電極3bから外部回路を通してカソード側の白金に電子を供給するように起電力が発生する。このとき白金側に水素ガスが接触すると、白金による触媒機能により水素ガスが水素イオンと電子に分解され、分解により発生した電子が白金側に流れて放電状態が変化すると推定される。
そして、センサ4の出力電圧値の変動とセンサ4の周囲環境に流入する水素ガスの濃度との間には明らかな相関関係が見出されている。従って、起電力を計測することにより水素ガス濃度を検出することができる。具体的には、両電極3a,3b間に流れる電流を電圧に変換する高入力インピーダンスの増幅回路を設けて、当該増幅回路の出力電圧を検出することにより水素ガスの濃度を求めることができる。
水素ガスセンサ4は、固体イオン伝導体1で構成される基材の少なくとも一側面に触媒層が形成されていればよく、両面に触媒層が形成されるものであってもよい。しかし、後者の場合には、両面に形成する触媒層が夫々イオン化傾向の異なる触媒金属で形成される必要がある。
膜状に形成された基材の膜厚は特に制限されるものではなく、所期の効果が奏される範囲で適宜設定することが可能である。また、基材は面状体に限らず、立体で構成されるものであってもよい。この場合、電極の形成面が対向面に限られるものでもない。
触媒層2を形成するための触媒として、モリブデンカーバイドMoCを好適に用いることができる。
モリブデンカーバイドMoCは、白金Ptに比べて非常に安価で、スパッタ装置に用いられるターゲットの市販価格で、白金Ptの1/20程度である。
従って、モリブデンカーバイドMoCを白金Ptの代替触媒として用いると、白金Ptを用いた場合よりも水素ガスセンサの製造コストを大幅に低減できる。これにより、従来に比べて水素ガスセンサの生産性を飛躍的に高めることができるようになる。
本発明による水素ガスセンサの水素ガス検出能力は、水素ガスと接触する触媒面積に比例するため、触媒の基材への担持量を増加することによって水素ガス検出能力を高めることが可能となる。モリブデンカーバイドMoCを触媒として用いると、コスト的観点から、触媒の基材への担持量を増加させることも容易となる。
仮に白金Pt触媒に比べて、モリブデンカーバイドMoC触媒の触媒性能が若干低いと評価される場合であっても、このような触媒性能の差を補うべく触媒の担持量を増やすことが容易にできるようになるのである。
例えば、図7に示すような水素ガスセンサを実現することができる。当該水素ガスセンサ4は、固体イオン伝導体1の一端側の両面1a,1bの所定領域に、それぞれモリブデンカーバイド200を担持させた触媒層20a,20bが形成され、各触媒層20a,20bに対向して陰極として機能する電極3a,3b(3)が配置されている。さらに、固体イオン伝導体1の他端側に陽極として機能する電極3c(3)が配置されている。尚、図中、300a,300bは電極3に形成された細孔を表し、ガス流路として機能するものである。
上述の構成によれば、固体イオン伝導体1の両面にわたる広い面積を水素検出領域とすることができ、水素ガス検出能力を高めることができる。
一般に、白金Pt触媒は、水素に対して若干過剰な反応性を示すため、白金Pt触媒を用いた水素ガスセンサでは、一旦水素ガスを検知した後も残留水素に対して不要な水素分解反応が継続されるように作用する場合がある。
しかし、モリブデンカーバイドMoCを触媒に用いる場合には、水素と過剰反応を生じることはなく、水素接触後の数秒で通常の出力状態に復帰するという触媒特性を示すため、水素ガス濃度のダイナミックな変動に対しても応答性良く適切に検出できるようになる。
さらに、白金Pt触媒では、触媒表面に一酸化炭素が付着して、触媒表面が被覆されるために触媒活性が低下する、いわゆる「CO被毒」という重要な問題がある。
しかし、モリブデンカーバイドMoCは、白金Pt触媒と比べてCO被毒による活性低下の影響が小さいため、CO被毒による水素検出性能の低下を回避することができ、安定したセンサ性能を維持することができる。
従って、一酸化炭素COが水素ガスセンサに触れやすい環境、例えば水素源としてメタン等の可燃ガス燃料を用いた燃料電池車に用いる場合に特に有用性が高い。
モリブデンカーバイドMoCを用いた触媒層を、スパッタリング等のドライプロセスで形成する場合には、前駆体を用いた湿式法と比べて手順が簡便ですみ、廃液処理の問題も回避できるため、製造面でも大きなメリットを有する。
湿式法でモリブデンカーバイドMoCを得るためは、例えば特開2005−38818号公報に記載されているように、モリブデン材料に酸素を化合させて酸化モリブデンを生成し(Mo+1/2O→MoO)、これにメタンガス等の可燃ガスをバブリングさせてモリブデンカーバイドMoCを得る製法が一般的である。
しかし、触媒層をドライプロセスで形成する場合には、固体イオン伝導体が配置された真空チャンバー内で、モリブデンカーバイドMoCでなるターゲットをスパッタリング等するだけで触媒層を形成できる。
従って、湿式法で必要とされる前駆体や可燃ガス等の調達や製造タクトをそれほど考慮することなく、非常に効率よく製造できる。また、湿式法によれば製造過程で発生するCOが触媒に付着するCO被毒の問題があるが、触媒層をドライプロセスで形成する場合にはそのような問題は発生しない。
以上説明した水素ガスセンサの製造方法は、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、前記混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させて基材を形成する硬化処理工程と、前記硬化処理工程で硬化された基材の少なくとも一側面に一触媒層を形成する触媒層形成工程とを備えて構成される。
〔実施形態2の実施例〕
以下に水素ガスセンサの実施例を説明する。製造プロセスは先に示した図2とほぼ同様であるので、図2を流用して説明する。
イオン液体として関東化学株式会社より購入した1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、光硬化樹脂として日本ユピカ株式会社製のエポキシアクリレート樹脂(商品名:ネオポール)、大日本社製のラジカル開始剤(光重合開始剤)を準備した。
尚、ラジカル開始剤としては、MMMP(2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モノフォリノプロパン‐1)、BDMB(2‐ベンジル‐2ジメチルアミノ‐1‐(モノフォリノフェニル)‐ブタン‐1)等を適宜使用することも可能である。
図2(a)に示すように、先ず、ネオポール(10g)(図中、符合5)に、上述のイオン液体0.5mL(図中、符合6)及びラジカル開始剤(大日本社製)0.23gを加えて、メノウ乳鉢7で均一になるまで乳棒8を用いて攪拌混合する。このとき、透明なエポキシアクリレート樹脂が白色のゲル状になるまで攪拌混合を行なう。尚、イオン液体と光硬化性樹脂の混合比はこの値に限るものではなく、適宜設定される値である。
図2(b)に示すように、攪拌混合後、透明PETフィルム10上に白色のゲル1を適量垂らし、その上に、更に透明PETフィルム11を重ねて、その上からガラス棒(コーター)12で加圧することにより白色ゲル1を膜状に伸ばす。
図2(c)に示すように、さらに、水銀ランプ(360nm)を30秒照射して、樹脂を硬化させた後に、透明PETフィルム10,11を剥がして、図2(d)に示すように、基材としての固体イオン伝導体1を成形した。
膜厚を測定したところ100μmであったが、本発明では、膜厚は限定するものではなく、製膜できる厚さであればよい。尚、好ましくは50μ〜300μmの間である。
(実施例1) 図2(e)に示すように、上述した手順で得られた固体イオン伝導体の片面に白金Ptをスパッタリングして触媒層を形成した。スパッタリング条件は、Ar20cc,RF300W,基板回転速度1.6rpmである。
つまり、水素ガスセンサは、光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させて基材を形成する硬化処理工程と、硬化処理工程で硬化された基材の少なくとも一側面に一触媒層を形成する触媒層形成工程により製造される。
図3に示すように、スパッタリング終了後、片面に白金Ptの触媒層が形成された固体イオン伝導体1の両面をリング状の銅電極3a,3bで挟み測定器13(岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7411)で電圧を測定した結果、265mVの電圧が確認された。
次に、常温常湿環境下で、濃度100%、4%(空気ベース)の水素ガスを、シリンジで40cc計り取った後、触媒層が形成された側の電極に吹き掛け、岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7411により電圧の変化を測定した。
濃度100%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が265mVから−15mVになり、濃度4%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が265mVから120mVに低下した。水素ガスを接触させた後、供給を停止すると265mVの電圧に復帰した。このような測定を繰り返し行なっても、ほぼ同様の特性が確認された。
(実施例2) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の片面にパラジウムPdをスパッタリングして触媒層を形成した。スパッタリング条件は、Ar20cc,DC640W,電流2A,基板回転速度6rpmである。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、442mVの電圧が確認された。
次に、常温常湿環境下で、濃度100%、4%(空気ベース)の水素ガスを、シリンジで40cc計り取った後、触媒層が形成された側の電極に吹き掛け、岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7411により電圧の変化を測定した。
濃度100%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が442mVから138mVになり、濃度4%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が442mVから411mVに低下した。水素ガスを接触させた後、供給を停止すると442mVの電圧に復帰した。このような測定を繰り返し行なっても、ほぼ同様の特性が確認された。
(実施例3) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の両面に白金Ptをスパッタリングして触媒層を形成した。スパッタリング条件は実施例1と同条件である。スパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、電圧は確認出来なかった。
次に、常温常湿環境下で、濃度100%、4%(空気ベース)の水素ガスを、シリンジで40cc計り取った後、触媒層が形成された側の電極に吹き掛け、岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7411により電圧の変化を測定した。
濃度100%の水素ガス及び濃度4%の水素ガスを接触させても電圧の変化は確認出来なかった。つまり、固体イオン伝導体の両面に同種、つまりイオン化傾向の等しい金属触媒を担持させても水素ガスセンサとしての機能は発揮されない。
(実施例4) 上述した手順で得られた固体イオン伝導体の一方の面に白金Ptをスパッタリングして触媒層を形成し、他方の面にアルミAlをスパッタリングして電極を形成した。白金のスパッタリング条件は実施例1と同様、アルミAlのスパッタリング条件は、Ar20cc、DC620W、電流2A、基板回転速度6rpmである。両面のスパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、676mVの電圧が確認された。
次に、常温常湿環境下で、濃度100%、4%(空気ベース)の水素ガスを、シリンジで40cc計り取った後、白金Pt層が形成された側の電極に吹き掛け、岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7411により電圧の変化を測定した。
濃度100%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が676mVから170mVになり、濃度4%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が676mVから380mVに低下した。水素ガスを接触させた後、供給を停止すると676mVの電圧に復帰した。このような測定を繰り返し行なっても、ほぼ同様の特性が確認された。
(実施例5) イオン液体として、実施例1から4で使用した関東化学株式会社より購入した1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートに替えて、関東化学株式会社より購入したN−メチル−N−プロピルピペリジウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドを用いて、上述した手順と同様の手順で固体イオン伝導体を得た。
図2(e)に示すように、固体イオン伝導体の片面に白金Ptをスパッタリングして触媒層を形成した。スパッタリング条件は、実施例1と同条件である。両面を銅電極に挟み、電圧を測定した結果、210mVの電圧が確認された。
次に、常温常湿環境下で、濃度100%、4%(空気ベース)の水素ガスを、シリンジで40cc計り取った後、触媒層が形成された側の電極に吹き掛け、岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7411により電圧の変化を測定した。
濃度100%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が210mVから116mVになり、濃度4%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電圧が210mVから187mVに低下した。水素ガスを接触させた後、供給を停止すると210mVの電圧に復帰した。このような測定を繰り返し行なっても、ほぼ同様の特性が確認された。
(実施例6) 実施例1で用いたと同様の固体イオン伝導体1の片面に、実施例1と同条件で白金Ptをスパッタリングして触媒層を形成した。スパッタリング終了後、両面を銅電極で挟み、測定器13(岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7523)で電流を測定した結果、30nAの電流が確認された。
次に、常温常湿環境下で、濃度100%水素ガスを、シリンジで40cc計り取った後、触媒層が形成された側の電極に吹き掛け、岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7523により電流の変化を測定した。
濃度100%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電流が30nAから−10μAに低下した。水素ガスを接触させた後、供給を停止すると30nAの電流に復帰した。このような測定を繰り返し行なっても、ほぼ同様の特性が確認された。
(実施例7) 実施例4で用いたと同様の固体イオン伝導体1の一方の面に白金Ptをスパッタリングして触媒層を形成し、他方の面にアルミAlをスパッタリングして電極を形成した。白金PtおよびアルミAlのスパッタリング条件は実施例4と同条件である。両面のスパッタリング終了後、両面を銅電極に挟み、電流を測定した結果、電流60nAの電流が確認された。
次に、常温常湿環境下で、濃度100%水素ガスを、シリンジで40cc計り取った後、触媒層が形成された側の電極に吹き掛け、岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7523により電流の変化を測定した。
濃度100%の水素ガスを接触させると水素ガスセンサの電流が60nAから−22μAに低下した。水素ガスを接触させた後、供給を停止すると60nAの電流に復帰した。このような測定を繰り返し行なっても、ほぼ同様の特性が確認された。
(実施例8) 図2(a)に示すように、エポキシアクリレート樹脂10gに対して、イオン液体0.5ml、開始剤0.23gを加え、これをメノウ乳鉢7に入れてメノウ乳棒8で均一になる様に混ぜ合わせる。尚、この混合比率は一例である。
図2(b)に示すように、混合終了後、当該混合樹脂23Xを透明PETフィルム10上に垂らし、更にその上に別の透明PETフィルム11を被せる。一方のPETフィルム11の上からバーコーター(圧力棒)12で圧力を加え、厚みが100μm程度になるように混合樹脂を伸ばす。
図2(c)に示すように、次に、混合樹脂を両PETフィルム10,11でラミネートした状態で、外部より水銀ランプ(360nm)を用いて紫外線照射し、光硬化反応を生じさせる。
図2(d)に示すように、樹脂成分が固化した後に、各透明PETフィルム10,11を剥がすと、シート状の固体イオン伝導体1でなる基材が得られる。
図2(e)に示すように、固体イオン伝導体1の一方の面に、スパッタ法でMoC薄膜を形成する。具体的にはターゲットにMoCを用い、出力300mW、基板回転速度1.6rpm、スパッタ処理時間30秒、不活性ガス雰囲気としてアルゴンガス雰囲気を形成する。ガス流量は例えば20cc/minとする。
この設定値によれば、対象膜上に厚み約20nmのMoC薄膜が成膜され、良好な触媒性能を持つ触媒層2が形成される。尚、成膜時のスパッタリングの処理時間は90秒未満が好ましく、さらには60秒未満が好適である。さらに、スパッタリングに際してDC、RF出力値は特に限定されないが、1.2W/cm以上とするのが望ましい。
実施例1で作製した水素ガスセンサに対して、ガスの種類を、メタンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガスと順次に変えて、それぞれのガスについて、水素ガスと同様の手順で電圧を測定した。しかし、何れのガスについても出力を確認できなかった。
この結果から、本実施形態による水素ガスセンサは水素ガスのみ出力変化が確認され、ガス選択性に優れていることが判明した。
〔実施形態3〕
以下に、上述した水素ガスセンサを用いた水素ガス検知装置及び方法について説明する。
図8は、水素ガス検知装置の一部であるセンサヘッド、つまり水素ガスセンサの構成を示す断面図である。センサヘッド100は、シート状の固体イオン伝導体である基材101の主面101aに、触媒層102が形成され、基材101の主面101bに電極104が配置されるとともに触媒層102に電極103が配置されている。
電極103は、その主面103aから主面103bまで雰囲気中のガスを流通させるための多数の細孔103cが穿孔されている。電極104についても同様である。これらの材料としては、良好な導電性を有する金属材料、例えば銅ニッケル合金薄膜が利用できる。
尚、細孔103c、104cは必須の構成ではなく、内部にガス流通性を有し、且つ、良好な導電性を有する構成であればよい。従って例えば金属ポーラス焼結体の他、カーボンペーパー、カーボンクロス等のカーボン含有繊維で構成することもできる。カーボンペーパー、カーボンクロス等は、導電性を有するとともに特に良好な通気性を有するため、電極材料として好適である。
センサヘッドは常温でも動作可能であるため、ヒータ等により加熱する必要がなく装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
酸化物半導体を用いた従来のセンサヘッドでは、複数種類の気体に対して反応するため、温度により可燃性ガスを選択する必要があるが、本発明によるセンサヘッドは水素に対し特異的に反応を示すため、常温での検知が可能である。
図9は、本発明の実施の形態に係る水素ガス検知装置のシステム構成を示す図である。水素ガス検知装置200は、センサヘッド100、電圧測定部201、インピーダンス測定部202、制御部203、ブザー204、ランプ205、外部端子206、リセットボタン207を備えている。
電圧測定部201は、センサヘッド100の電極103、104を結ぶ外部配線に挿設されており、センサヘッド100の電極103、104の間の端子間電圧を測定する。
インピーダンス測定部202は、センサヘッド100の電極103、104を結ぶ外部配線に挿設されており、センサヘッド100の電極103、104から触媒層102が被着されたプロトン伝導性基材101のインピーダンスを測定する。
制御部203は、電圧測定部201の測定結果およびインピーダンス測定部202の測定結果に基づいて水素ガスの濃度変化を検知する。制御部203は、水素ガスの濃度変化を検知すれば、ブザー204あるいはランプ205を動作させることにより水素ガス検知通報を行うとともに、外部端子206を介して外部に信号を出力することにより水素ガス検知通報を行う。水素ガス検知通報は、リセットボタン207の押下により停止される。
図10は、水素ガス検知装置の動作を示すフローチャートである。
水素ガス検知装置200は、電源投入をトリガーとして動作を開始し、電源が切断されない限り、継続して動作し続ける。
即ち、ステップS20で水素ガスの検知通報が行われた後にステップS21でリセットされると、直ちに最初のステップS11に戻り水素ガス検知動作を繰り返す。
またステップS16で電圧変化が無いと判断された場合と、ステップS19でインピーダンス変化率および電圧変化率の比ΔV/ΔCpが所定の閾値(以下、「所定値」と記す。)である「5」未満と判断された場合には、ステップS22で10秒待ってから最初のステップS11に戻り、水素ガス検知動作を繰り返す。
そのためステップS11での端子間電圧の測定とステップS13のインピーダンスの測定は、水素ガスの検知通報が行われている場合を除き、10秒毎に行われる。これらの測定結果は、ステップS12,S14で、メモリに保存されるが、保存領域は少なくとも複数の測定結果を保存できる程度に確保されている。
そして保存動作も、上書きではなく、新たな領域に書き込むように制御される。この結果、保存領域には、少なくとも10秒前の端子間電圧の測定結果およびインピーダンスの測定結果が保存される。
次に、水素ガス検知動作を詳細に説明する。
水素ガス検知装置200は、電源投入をトリガーとして動作を開始し、先ずセンサヘッド100の電極103、104の間の端子間電圧を測定して(ステップS11)、測定結果をメモリに保存する(ステップS12)。
次に、水素ガス検知装置200は、センサヘッド100の電極103、104から触媒層102が被着されたプロトン伝導性基材101のインピーダンスを測定して(ステップS13)、測定結果をメモリに保存する(ステップS14)。
次に、水素ガス検知装置200は、メモリから前回測定された端子間電圧と今回測定された端子間電圧とを読み出して(ステップS15)、電圧変化があるか否かを判断する(ステップS16)。
電圧変化があるか否かは、例えば、電圧変化率ΔVが所定値以上であるか否かにより判断することができる。電圧変化率ΔVは、前回測定された端子間電圧をV1、今回測定された端子間電圧をV2としたときに、(|V2−V1|)/V1により定義される。
電圧変化があれば(ステップS16:YES)、水素ガス検知装置200は、メモリから前回測定されたインピーダンスと今回測定されたインピーダンスとを読み出して(ステップS17)、インピーダンス変化率および電圧変化率の比ΔV/ΔCpと所定値「5」とを比較する(ステップS18)。
インピーダンス変化率ΔCpは、前回測定されたインピーダンスをCp1、今回測定されたインピーダンスをCp2として、(|Cp2−Cp1|)/Cp1により定義される。
インピーダンス変化率、及び、電圧変化率の比ΔV/ΔCpが、所定値「5」以上であれば(ステップS19:YES)、水素ガス検知装置200は、水素ガスの濃度変化を検知したと判断して、リセットされるまで水素ガス検知通報を行う(ステップS20、ステップS21:NO)。
水素ガス検知通報中にリセットされた場合には(ステップS21:YES)、水素ガス検知装置200はステップS11の処理に戻る。
一方、電圧変化がない場合(ステップS16:NO)、或は、電圧変化があったとしてもインピーダンス変化率、及び、電圧変化率の比ΔV/ΔCpが、所定値「5」未満である場合(ステップS19:NO)には、水素ガス検知装置200は、水素ガスの濃度変化が無いと判断して、所定時間「10秒」が経過したときに(ステップS22:YES)ステップS11の処理に戻る。
このようなフローにより、水素ガス検知装置200は、所定時間「10秒」毎に水素ガスの濃度変化があるか否かの判断を行い、水素ガスの濃度変化を検知した場合には水素ガス検知通報を行う。
尚、ここでは所定値「5」および所定時間「10秒」を具体的に示しているが、これらはあくまで例示である。これらの設定値は水素ガス検出装置の仕様に応じて適宜設計される値である。
発明者らは、水素ガス検知装置の性能を実際に確認するため、センサヘッドのサンプルを作製し、作製されたサンプルを用いて水素ガスの濃度変化を精度よく検知できるか否かを評価した。
図11は、センサヘッドのサンプルの作製工程を模式的に示す図である。
先ず、イオン液体としてピラゾリウム塩、光(UV)硬化性樹脂として日本ユピカ株式会社製のエポキシアクリレート樹脂(商品名:ネオポール(登録商標))、大日本社製のラジカル開始剤(光重合開始剤)をそれぞれ用意する。
用意したエポキシアクリレート樹脂5g(図11符号302)に対して、イオン液体0.5mL、開始剤0.14gを加え(図11符号301)、これをメノウ乳鉢303に入れてメノウ乳棒304で均一になるように混ぜ合わせる(図11(a))。尚、この混合比率は一例である。
混合終了後は、当該混合樹脂306を透明ゼオノアフィルム(日本ゼオン株式会社の登録商標)305上に垂らし、更にその上に別の透明ゼオノアフィルム307を被せる。一方の透明ゼオノアフィルム307の上からバーコーター(圧力棒)308で圧力を加え、厚みが100μm程度になるように混合樹脂306を伸ばす(図11(b))。
次に、混合樹脂306を両透明ゼオノアフィルム305、307でラミネートした状態で、外部より水銀ランプ(360nm)を用いて紫外線照射させ、光硬化反応を生じさせる(図11(c))。樹脂成分が硬化した後に、透明ゼオノアフィルム305、307を剥がすと、シート状に硬化した混合樹脂306が得られる(図11(d))。
次に、十分に硬化させた混合樹脂306のいずれかの主面に対し、スパッタ法により触媒層308を形成する(図11(e))。具体的には、ターゲットに白金Ptを用い、出力300mW、回転速度1.6rpm、スパッタ処理時間90秒、不活性ガス雰囲気としてアルゴンガス雰囲気を形成する。ガス流量は例えば20cc/minとする。
次に、上記シートを直径30mmの円形に切り出し、電極として同径のドーナツ型のステンレス製のワッシャーを取り付ける。
発明者らは、上記工程により作製されたセンサヘッドのサンプルを用いて、サンプルの端子間電圧およびインピーダンスについて水素ガス濃度依存性を調査した。
水素ガス濃度依存性の調査は、センサヘッドのサンプルに注射器を用いて各種濃度の水素ガスを吹きかけ、そのときのサンプルの端子間電圧およびインピーダンスを測定することにより実施することができる。
吹きかける水素ガスの濃度は、0%、4%、50%、100%の4種類である。サンプルの端子間電圧をデジタルマルチメータ(岩通計測(株)社製の測定器MULTIMETER VOAC 7411)を用いて測定し、100kHzでのサンプルのインピーダンスを測定装置(HEWLETT PACKARD 428KA)を用いて測定した。尚、測定時の温度は24℃、湿度は49%RHであった。
図12は、センサヘッド100のサンプルに水素ガスを吹きかけたときの電圧及びインピーダンスの測定結果を示すグラフである。
グラフによれば、水素ガスの濃度が高くなるほど電圧が低下していることが判る。この電圧の低下分がサンプルの起電圧に相当する。端子間電圧には水素ガスの濃度依存性があることが判るが、インピーダンスには水素ガスの濃度依存性がほとんど無いことが判る。
この結果によれば、端子間電圧に基づいて、一義的に水素ガスの濃度を特定できるように見える。しかしながら、後述するように、実際には、端子間電圧に環境因子依存性があるため、端子間電圧のみから水素ガスの濃度を特定するのは困難である。
次に、発明者らは、本実施の形態に係る水素ガス検知装置が環境因子の影響を受けずに水素ガスの濃度変化を検知できるか否かの性能評価を行った。
具体的には、雰囲気の環境因子を時間的に変化させながら、あるタイミングで雰囲気中の水素ガス濃度を0%から4%に変化させるという条件の下で、水素ガスの濃度変化を適正に検知できるか否かを観察した。
上記条件は、燃料電池や水素エンジンに代表される水素エネルギーシステムにおいて、あるときに起爆限界(水素ガス濃度4%)に達するような水素ガスの漏出が生じた場合を想定したものである。
図13は、本実施の形態に係る水素ガス検知装置の性能評価に用いた実験系の一部を模式的に表す図である。
先ず、温度及び湿度の環境因子を自在に制御できる環境試験器401を用意し、その内部に容器402を載置し、さらにその内部に上記工程により作製されたセンサヘッドのサンプル100を配置した。
センサヘッド100のサンプルは、2本の配線により環境試験器401外部のデジタルマルチメータ及びインピーダンス測定器に接続されている。
容器402の下部には注射器403が取り付けられている。容器402の容量は1Lであり、注射器403には濃度が100%の水素ガスが40mL収容されている。従って、注射器403から容器402内部に水素ガスを注入したときに容器402内部の水素ガス濃度が4%になる。
図14は、各時刻における温度、湿度、電圧およびインピーダンスをプロットしたグラフである。
曲線C11は温度の測定結果を示し、曲線C12は湿度の測定結果を示す。また曲線C13は端子間電圧の測定結果を示し、曲線C14はインピーダンスの測定結果を示す。尚、センサヘッド100のインピーダンスは、容量成分が主に寄与するため、ここではインピーダンスの測定結果を容量に換算して表示している。
ここでは0秒から630秒まで容器402内部の水素ガス濃度を0%とし、630秒を経過したときに(図中の領域22)注射器403から容器402内部に水素ガスを注入することにより容器402内部の水素ガス濃度を4%としている。
グラフによれば、端子間電圧及びインピーダンスは、いずれも環境因子依存性が表れていることが判る。特に、環境因子が大幅に変化している領域21では、端子間電圧及びインピーダンスの何れもが大幅に変化している。
一方、図12でも明らかなように、端子間電圧には水素ガスの濃度依存性が見られるが、インピーダンスには水素ガスの濃度依存性がほとんど見られない。従って、水素ガスの濃度が0%から4%に変化している領域22では、端子間電圧は大幅に変化しているものの、インピーダンスはほとんど変化していない。
このような現象をより明確に表すため、図15に、(|V2−V1|)/V1で定義される電圧変化率ΔV、及び(|Cp2−Cp1|)/Cp1で定義されるインピーダンス変化率ΔCpをプロットしたグラフを示し、図16に、(|Cp2−Cp1|)/Cp1で定義されるインピーダンス変化率ΔCpと、(|V2−V1|)/V1で定義される電圧変化率ΔVとの比ΔV/ΔCpをプロットしたグラフを示す。
図15は、各時刻における温度、湿度、電圧変化率及びインピーダンス変化率をプロットしたグラフである。曲線C11は温度の測定結果を示し、曲線C12は湿度の測定結果を示す。また曲線C15は電圧変化率ΔVを示し、曲線C16はインピーダンス変化率ΔCpを示す。
図16は、各時刻におけるインピーダンス変化率および電圧変化率の比をプロットしたグラフである。
インピーダンス変化率及び電圧変化率の比ΔV/ΔCpは、環境因子が大幅に変化している領域で、ある程度大きな値「3.9程度」を示すが、水素ガス濃度が0%から4%に変化している領域22で、特に大きな値「8.3程度」を示す。
これにより、インピーダンス変化率及び電圧変化率の比ΔV/ΔCpが、所定値「5」以上であるか否かを判断することにより、環境因子の変動に起因する端子間電圧の変化があったとしても、水素ガスの濃度変化として誤って判断されることがなく、水素ガスの濃度変化を精度よく検知できるようになる。
以下、水素ガス検知装置及び水素ガス検知方法の別実施形態を説明する。
上述した実施形態では、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化を求めるために、インピーダンス変化率及び電圧変化率の比ΔV/ΔCpを算出しているが、インピーダンス変化率及び電圧変化率の差(ΔV−ΔCp)を算出してもよい。
また、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化を求めるために、インピーダンス差及び電圧差の比(|Cp2−Cp1|)/(|V2−V1|)、インピーダンス相加平均及び電圧相加平均の比(|Cp2+Cp1|)/(|V2+V1|)、或はインピーダンス相乗平均および電圧相乗平均の比√(Cp2×Cp1)/√(V2×V1)の何れかを算出するものであってもよい。
上述した実施形態では、インピーダンス変化率ΔCpを(|Cp2−Cp1|)/Cp1で定義し、電圧変化率ΔVを(|V2−V1|)/V1で定義しているが、他に、インピーダンス変化率ΔCpを(|Cp2−Cp1|)/Cp2で定義し、電圧変化率ΔVを(|V2−V1|)/V2で定義してもよい。
また、前回測定時から今回測定時までの測定時間間隔をΔTとするとき、インピーダンス変化率ΔCpを(|Cp2−Cp1|)/ΔTで定義し、電圧変化率ΔVを(|V2−V1|)/ΔTで定義してもよい。
図17は、このように測定時間間隔ΔTを用いてインピーダンス変化率及び電圧変化率を定義した場合のグラフである。
即ち、図17では、(|Cp2−Cp1|)/ΔTで定義されるインピーダンス変化率ΔCpと(|V2−V1|)/ΔTで定義される電圧変化率ΔVとの比ΔV/ΔCpがプロットされている。
図16と同様に図17のグラフによれば、環境因子の変動に起因する端子間電圧の変化があったとしても、水素ガスの濃度変化として誤って判断されることがなく、水素ガスの濃度変化を精度よく検知できることが明らかである。
上述した実施形態では、電圧変化がある場合にだけ、インピーダンス変化率及び電圧変化率の比ΔV/ΔCpと所定値「5」とを比較しているが、例えば、電圧変化の有無にかかわらず、測定の度に毎回、インピーダンス変化率及び電圧変化率の比ΔV/ΔCpと所定値「5」とを比較してもよい。
上述した実施形態では、電圧変化率ΔVを絶対値で算出し、端子間電圧が上昇したのか下降したのかを判断に含めていないが、端子間電圧の変化の方向も考慮することにより、水素ガスの濃度が濃淡何れに変化したのかを検知するようにしてもよい。

Claims (18)

  1. 電気化学デバイスに用いられるイオン伝導体であって、イオン液体と樹脂の混合物を硬化処理して得られる固体イオン伝導体。
  2. 光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかに前記イオン液体を混合した後に硬化処理することにより得られる請求項1記載の固体イオン伝導体。
  3. 前記イオン液体は、イミダゾリウム系イオン、ピリジニウム系イオン、脂肪族アミン系イオン、脂環式アミン系イオン、脂肪族ホスホニウムイオンの何れかから一種または複数種選択されるカチオン部位を有するものであり、ハロゲンイオン、ハロゲン系イオン、ホスフォネート系イオン、ホウ酸系イオン、トリフラート系イオン、イミド系イオンの何れかから一種または複数種選択されるアニオン部位を有するものである請求項1または2記載の固体イオン伝導体。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の固体イオン伝導体を挟んで一対の電極が形成された電気化学デバイス。
  5. 前記固体イオン伝導体は、前記電極の種類に応じたイオンを含有する電解質塩が添加されている請求項4記載の電気化学デバイス。
  6. 光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、前記混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させる硬化処理工程と、前記硬化処理工程で硬化されたイオン伝導体に一対の電極を形成する電極形成工程とからなる電気化学デバイスの製造方法。
  7. 請求項1から3の何れかに記載の固体イオン伝導体で構成される基材の少なくとも一側面に触媒層が形成された検出部を備えている水素ガスセンサ。
  8. 前記検出部が通気性を有する電極で接合されている請求項7記載の水素ガスセンサ。
  9. 前記触媒層が前記基材の少なくとも一側面に担持され、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ金属または合金、若しくは触媒活性を有する有機金属または有機物で構成されている請求項7または8記載の水素ガスセンサ。
  10. 前記触媒層が前記基材の少なくとも一側面に担持され、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つモリブデンカーバイドで構成されている請求項7または8記載の水素ガスセンサ。
  11. 光硬化樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れかから選択される樹脂にイオン液体を混合して攪拌する混合工程と、前記混合工程で攪拌混合処理されたイオン伝導体を硬化させて基材を形成する硬化処理工程と、前記硬化処理工程で硬化された基材の少なくとも一側面に一触媒層を形成する触媒層形成工程とからなる水素ガスセンサの製造方法。
  12. 請求項7から10の何れかに記載の水素ガスセンサと、前記検出部に接合された一対の電極間の端子間電圧を測定する電圧測定部と、前記検出部のインピーダンス特性を測定するインピーダンス測定部と、前記インピーダンス測定部により測定されたインピーダンス特性の変化に対する前記電圧測定部により測定された端子間電圧の変化が所定値以上であるときに、水素ガスの濃度が変化したと判断する制御部とを備えている水素ガス検知装置。
  13. 前記制御部は、前記インピーダンス測定部により測定されたインピーダンス特性及び前記電圧測定部により測定された端子間電圧をメモリに保存し、前回測定されたインピーダンス特性と今回測定されたインピーダンス特性とからインピーダンス特性の変化を導出し、前回測定された端子間電圧と今回測定された端子間電圧とから端子間電圧の変化を導出する請求項12記載の水素ガス検知装置。
  14. 前記制御部は、以下の式
    インピーダンス変化率ΔCp=(|Cp2−Cp1|)/Cp1
    電圧変化率ΔV=(|V2−V1|)/V2
    (式中、Cp1;インピーダンスの前回測定値、Cp2;インピーダンスの今回測定値、V1;端子間電圧の前回測定値、V2;端子間電圧の今回測定値)
    で示すインピーダンス変化率ΔCp及び電圧変化率ΔVから、それらの比ΔV/ΔCpまたはそれらの差(ΔV−ΔCp)を、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化として導出する請求項13記載の水素ガス検知装置。
  15. 前記制御部は、以下の式
    インピーダンス変化率ΔCp=(|Cp2−Cp1|)/Cp1
    電圧変化率ΔV=(|V2−V1|)/V2
    (式中、Cp1;インピーダンスの前回測定値、Cp2;インピーダンスの今回測定値であり、V1;端子間電圧の前回測定値、V2;端子間電圧の今回測定値)
    で示すインピーダンス変化率ΔCp及び電圧変化率ΔVから、それらの比ΔV/ΔCpまたは差(ΔV−ΔCp)を、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化として導出する請求項13記載の水素ガス検知装置。
  16. 前記制御部は、以下の式
    インピーダンス変化率ΔCp=(|Cp2−Cp1|)/ΔT
    電圧変化率ΔV=(|V2−V1|)/ΔT
    (式中、Cp1;インピーダンスの前回測定値、Cp2;インピーダンスの今回測定値であり、V1;端子間電圧の前回測定値、V2;端子間電圧の今回測定値、ΔT;前回測定時から今回測定時までの時間)
    で示すインピーダンス変化率ΔCp及び電圧変化率ΔVから、それらの比ΔV/ΔCpまたは差(ΔV−ΔCp)を、インピーダンス特性の変化に対する端子間電圧の変化として導出する請求項13記載の水素ガス検知装置。
  17. 前記水素ガス検知装置は、さらに、外部に水素ガス検知を通報する水素ガス検知通報手段を備え、前記制御部は、水素ガスの濃度が変化したと判断したときに前記水素ガス検知通報手段に水素ガス検知を通報させる請求項12記載の水素ガス検知装置。
  18. 請求項7から10の何れかに記載の水素ガスセンサに対して、
    前記検出部に接合された一対の電極間の端子間電圧を測定する電圧測定ステップと、
    前記検出部のインピーダンス特性を測定するインピーダンス測定ステップと、
    前記インピーダンス測定ステップにより測定されたインピーダンス特性の変化に対する前記電圧測定ステップにより測定された端子間電圧の変化が所定値以上であるときに水素ガスの濃度が変化したと判断する判断ステップとを含む水素ガス検知方法。
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