JP4997618B2 - 炭化モリブデン触媒を利用した燃料電池用電極および燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒成分の貴金属の代替を目的とした触媒を利用した燃料電池用電極および燃料電池、詳しくは、炭化モリブデンを触媒成分として担体上に担持した触媒を利用した燃料電池用電極および燃料電池に関する。
燃料電池、例えば、固体高分子型燃料電池では、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する酸化ガスとの供給を受けて、次の式(1)および式(2)に示す電極反応により化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。この電極反応の担い手は、燃料側電極および酸素側電極に、触媒として導電性多孔質カーボン粒子に担持された白金等の貴金属を主成分とする触媒成分である。
アノード極(燃料側電極) H→ 2H+ 2e 式(1)
カソード極(酸素側電極) (1/2)O + 2H + 2e→ HO 式(2)
前述の電極反応は、前記したとおり、白金系触媒が担っているが、貴金属である白金は、高価であると共にその埋蔵量が非常に少ない。他に宝飾、脱硫・脱硝、一般化学工業や電子工業などでも不可欠な資源であるが、貴金属の価格高騰や資源の枯渇は避けられないので、白金系触媒の代替触媒が必要とされている。
従来、上記問題を解決するために、以下のような提案がなされている。
例えば、電極反応に寄与しない触媒を減らし、触媒の利用率を向上させるために、触媒の外表面が白金に富み、内部が金に富む形態をとることで、白金の使用量を低減させることが提案されている[特許文献1(特開2002-305001号公報)参照]。また、触媒層とガス拡散層の間に中間層を設けたり、ガス拡散層の気孔率を制御することで、ガス拡散層に不要に進入する白金をなくすことが提案されている[特許文献2(特開平09-245801号公報)参照]。さらに、触媒電極をガス供給部より小さくすることで、ガスが供給されない電極部位をなくすことや[特許文献3(特開2002-373678号公報)参照]、ニッケルを燃料側電極触媒として使用することで、白金の使用量を概ね半分にする提案がなされている[特許文献4(特開2000-223130号公報)参照]。
特開2002−305001号公報(請求項1参照) 特開平9−245801号公報(請求項1,請求項4参照) 特開2002−373678号公報(請求項1,請求項6参照) 特開2000−223130号公報(請求項1参照)
触媒に使用される白金などの貴金属は、触媒として良好に作用するが、高価であり、埋蔵量も少ない。今後、燃料電池が普及すると、貴金属の価格高騰や資源の枯渇を招くおそれがある。
上記問題点を解決するために、白金の使用量を減らすことは重要であるが、前掲の特許文献1〜4の提案において、白金の資源枯渇に対する根本的な対策になっていない。
さらに、前記特許文献4の提案では、次のような問題点を有している。すなわち、燃料電池では、水素イオン(H)のキャリアとして水の使用が不可欠であり、卑貴金属であるニッケルは、水分中に溶出し、電解質膜中の電解質成分と結びつくなど、水素イオン伝導を阻害するので、電極触媒としては不適当である。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであって、白金等の貴金属より安価な燃料電池用電極触媒を利用した燃料電池用電極及び燃料電池を提供することである。
前記課題(目的)を達成するために、本発明に係る燃料電池用電極は、「担体に6員環構造のみからなるカーボンナノチューブを用い、前記担体に0.5〜10nmの粒子径を有する微粒子である炭化モリブデンを担持させ活性処理を行った触媒を燃料電池の電極触媒として利用する」ことを特徴とする(請求項1〜4)。
また、本発明に係る燃料電池は、(A)この燃料電池用電極を燃料電池の燃料側電極および/または酸素側電極に利用すること(請求項)、または、(B)この燃料電池用電極を燃料電池の酸素側もしくは燃料側の電極に利用し、それに対応する反応側の電極に白金を主体とする燃料電池用電極触媒を利用することを特徴とする(請求項)。
このように、担体に炭化モリブデンを触媒として担持させてなることにより、白金等の貴金属を用いなくても、例えば燃料電池用の電極触媒としての活性を得ることができ、前記第一および第二の課題(目的)を達成することができる。
(本発明に係る触媒およびその製造方法の好ましい実施の形態)
本発明に係る触媒は、前記したように、担体上に炭化モリブデンが担持されてなることを特徴とする。
上記炭化モリブデンとしては、モリブデンと炭素の比率が1:0.5〜1(モル比)であることが好ましい。炭化モリブデンは、モリブデン結晶内に炭素原子が侵入する形態をとるいわゆる“侵入型炭化物”であり、上記モル比の範囲で化学的に安定して存在する。この範囲外の比率では、炭化モリブデンは不安定であり、炭素の割合が少ないと、モリブデンの酸化が進行し、逆に、炭素の割合が多いと、析出炭素として粒子表面を覆い、触媒活性を著しく低下させる。
さらに、炭化モリブデンの粒子径が0.5〜10nmであると良い。この範囲では良好な触媒活性を示す。
また、上記担体としては、導電性を有する炭素材が好ましく、具体的には、繊維状炭素(カーボンナノチューブ,カーボンナノホーン,カーボンナノフィラメント)および粒子状炭素(多孔質カーボン粒子)を挙げることができる。
繊維状炭素のうち、カーボンナノチューブが適し、特に、二層以上の多層構造である多層カーボンナノチューブが好適である。そして、多層カーボンナノチューブの直径は5〜50nmの範囲が好ましく、この範囲内の多層カーボンナノチューブを使用することにより、触媒微粒子が凝集することなく、担体表面に均一に担持された状態となり、触媒として効率よく使用できる。
単層カーボンナノチューブを使用した場合では、チューブ同士の凝集が起こりやすく、触媒効率が悪くなるので、避けることが望ましい。(なお、カーボンナノフィラメントは、カーボンナノチューブと異なり、中空構造をとらず、内部が炭素で満たされた形態をとる繊維状炭素である。)
また、担体として粒子状炭素(多孔質カーボン粒子:例えば、アセチレンブラック)を使用した場合、担体同士の凝集が起こりやすく、触媒効率が悪くなるが、多孔質カーボン粒子は、安価であり、炭化モリブデンの担体として使用する場合、コスト上のメリットがある。
前記炭素材からなる担体、例えば、カーボンナノチューブのような繊維状炭素に炭化モリブデンを担持するには、この繊維状炭素の表面を、酸化剤を用いて、該繊維状炭素の繊維表面に反応部位を導入する。反応部位を導入するとは、酸化剤を用いて、繊維状炭素表面の“炭素−炭素結合”を一部破壊させ、この破壊部位にカルボン酸基,水酸基,エステル基,アルデヒド基,ケトン基,スルホン基,アミノ基,ニトロ基などの反応部位を導入させることを意味する。
上記酸化剤としては、硝酸,硫酸,過酸化水素,オゾン,酸素,過硫酸アンモニウム,次亜塩素酸ナトリウムのいずれか1種類以上が好ましく、特に、硝酸、または、硝酸と硫酸の併用が好ましい。
前記反応部位は、使用する酸化剤の種類に応じて異なり、例えば、過酸化水素,オゾン,酸素,次亜塩素酸ナトリウムを使用した場合、カルボン酸基,水酸基,エステル基,アルデヒド基,ケトン基(以下「a群」という)の生成が期待される。硝酸を使用した場合、前記a群に加え“ニトロ基”が、硫酸を使用した場合、上記a群に加えて“スルホン基”が、過硫酸アンモニウムを使用した場合、前記a群に加え“アミノ基”の生成が期待される。
前記酸化剤で処理することにより、繊維状炭素の表面が酸化され、該表面に“炭素−炭素結合”の破壊部位が形成され、前記した反応部位が導入される。そして、ここに触媒粒子を担持させることで、触媒粒子が凝集することなく、繊維状炭素表面に均一に担持させることができる。
触媒担持工程の例としては、モリブデン酸、モリブデン酸塩(例えば、モリブデン酸アンモニウムまたはモリブデン酸ナトリウム)とアルコール(好ましくはエタノール)、あるいは、有機モリブデン錯体(例えば、アセチルアセトネトモリブデニル)と非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を使用して、反応部位を導入した担体表面に触媒前駆体の微粒子を担持させる。なお、プロトン性溶媒を使用した場合、有機金属錯体を壊すあるいは有機金属錯体との親和性が高いので、反応部位に担持しにくく、その使用を避けるべきである。
モリブデン酸、モリブデン酸塩(例えば、モリブデン酸アンモニウムまたはモリブデン酸ナトリウム)とアルコール(好ましくはエタノール)を使用した場合、使用するモリブデン酸やモリブデン酸塩の量を調整することで、担持量を制御することができる。
炭化処理工程は、炭化水素(好ましくはメタンガス)を用いて行う。不活性ガスや窒素ガスとの混合ガスとして使用しても良い。
上記炭化水素または混合ガスの雰囲気中で、500〜900℃(好ましくは700〜900℃)にて、触媒前駆体が担持した担体を加熱することで、触媒前駆体の還元と炭化を行い、炭化モリブデンの微粒子を得ることができる。
また、上記触媒担持工程において、有機モリブデン錯体(例えば、アセチルアセトネトモリブデニル)と非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を使用する場合、前処理工程から炭化処理を複数回繰り返し行うことで、より多くの触媒を担持することができる。
また、加熱温度を変えることで、生成される炭化モリブデンの炭素とモリブデンの比率を変えることができる。例えば、処理温度が約700℃で“MoC”の粒子を、約900℃で“MoC”の粒子を作製することができる。昇温過程で水素ガスを使用して、触媒前駆体の還元を行っても良い。
活性処理工程は、水素ガスあるいは過酸化水素水を用いて行う。水素ガスは、不活性ガスや窒素ガスとの混合ガスとして使用しても良い。
水素ガス雰囲気中、約300〜500℃で、約3〜5時間処理することで、炭化モリブデン粒子の外表面に付着している異物(例えば、炭素クラスター)を除去し、粒子の外表面に炭化モリブデンを露出させることができる。また、過酸化水素水を用いる場合、過酸化水素水中で処理することにより、炭化モリブデン粒子の外表面に付着している異物を除去し、粒子の外表面に炭化モリブデンを露出させることができる。
こうして製造した炭化モリブデン触媒は、0.5〜10nmといった微細な構造を持ち、また、炭化モリブデンは、水や酸に殆ど溶けることはなく、非常に安定した性質を示す。
(本発明に係る燃料電池用電極および燃料電池の好ましい実施の形態)
本発明に係る燃料電池用電極は、前記のように製造した触媒(炭化モリブデン触媒)を燃料電池の電極触媒として使用することを特徴とし、また、本発明に係る燃料電池は、該燃料電池用電極を利用することを特徴とする。この触媒(炭化モリブデン触媒)を燃料電池用電極および燃料電池に適用することにより、安価で、しかも性能に優れた燃料電池用電極および燃料電池が得られる。
本発明に係る燃料電池用電極の好ましい実施の形態としては、担体として繊維状炭素、特に、多層カーボンナノチューブの繊維状炭素を用いる場合である。
そして、上記繊維状炭素への炭化モリブデンの担持量としては、モリブデンに換算して5〜50wt%が好ましい。
本発明に係る燃料電池の好ましい実施の形態としては、前記本発明に係る燃料電池用電極を燃料電池の燃料側電極および/または酸素側電極に利用すること、または、前記本発明に係る燃料電池用電極を燃料電池の酸素側もしくは燃料側の電極に利用し、それに対応する反応側の電極に白金を主体とする燃料電池用電極触媒を利用した燃料電池である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
(炭化モリブデン触媒の作製)
担体として、多層カーボンナノチューブを用意した。カーボンナノチューブは、炭素原子の6員環構造が円筒状に丸められたもので、6員環の炭素原子には2重構造がなく、全て1重結合であるため、その外表面には、触媒が付着する部位が存在しない。そこで、まず、カーボンナノチューブの外表面に触媒を付着させるための“反応部位を導入する前処理”を行う。
「前処理工程」:カーボンナノチューブを硝酸と硫酸の中に入れ、超音波処理を1時間行い、次に、煮沸、還流しながら1時間撹拌した。その後、濾過した残留物を蒸留水で洗浄して硝酸及び硫酸を除去した。この処理により、外表面に触媒を付着させるための反応部位(カルボン酸基、水酸基、およびアルデヒド基)が導入されたカーボンナノチューブを得た。
続いて、触媒前駆体を、カーボンナノチューブ外表面の上記反応部位に付着させる担持工程を行う。
「担持工程」:上記の前処理をしたカーボンナノチューブ0.3gとアセチルアセトネトモリブデニル[MoO(acac)2] 1gにテトラヒドロフラン50mLを加え、超音波処理を行い、室温にて10〜12時間放置した。得られた沈殿物を濾過、乾燥させ、触媒前駆体担持カーボンナノチューブを作製した。
続いて、触媒前駆体担持カーボンナノチューブの炭化処理工程を行う。
「炭化処理工程」:上記の触媒前駆体担持カーボンナノチューブを窒素雰囲気中で700〜750℃まで加熱した後、雰囲気を“メタン(5%)・窒素(残部)”の混合ガスに切り替え、3〜4時間炭化処理を行った。次いで、雰囲気を窒素に切り替え、室温まで徐冷し、炭化モリブデン担持カーボンナノチューブを作製した。
続いて、炭化モリブデン担持カーボンナノチューブの活性処理工程を行う。
「活性化処理工程」:上記の炭化モリブデン担持カーボンナノチューブを“水素(5%)・窒素(残部)”の混合ガス雰囲気中にて、約500℃で約3時間加熱し、次いで、雰囲気を窒素ガスに切り替え、室温まで除冷し、本実施例1の触媒(モリブデンに換算した担持量17wt%)を得た。
実施例1で作製した触媒を透過型電子顕微鏡(TEM)により形態観察した。TEM観察より、直径5〜50nmのカーボンナノチューブの外表面に担持している炭化モリブデン粒子の粒径は1〜5nmであった。
また、X線光電子分光装置(XPS)による元素分析と定量分析により、炭化モリブデンの存在を確認し、その担持量は17wt%(モリブデン換算)であった。
さらに、X線回折装置(XRD)による生成物の結晶構造分析を行い、炭化モリブデン[MoC]の結晶構造を確認した。(なお、本発明において、炭化モリブデンの他、酸化モリブデン[MoOやMoO]が存在しても良い。)
(燃料電池の作製:図3参照)
電極は、内田らの文献[M.Uchida, Y.Fukuoka, Y,Sugawara, H.Ohara, and A,Ohta, J.Electrochem.Soc., 145,3708(1998)]などを参考にして作製した。
前記炭化モリブデン担持カーボンナノチューブを酢酸ブチル中で分散、滴下法により、ナフィオン溶液(デュポン製)と架橋させ、ガス拡散層6を形成させたカーボンペーパー(東レ製:TGP-H-120)電極基材で濾過処理を行うことで、触媒層7を沈着させ、電極を作製した。電極の触媒量は0.3mg/cmとした。
この電極を、図3に示すように、燃料側電極として用い、酸素側電極には、従来の白金担持導電性カーボン粒子(担持量29wt%)を使用し(電極触媒量:0.5mg/cm)、電解質含有膜(デュポン製:ナフィオン112)を両面から圧接させることで、MEA(膜-電極接合体)を作りあげた。このMEAの両側からガスが供給可能なセパレータをさらに圧接させ、固体高分子型の燃料電池セルを組み上げ、本実施例1の燃料電池を作製した。
作製した燃料電池は、図4に示す発電評価装置で特性を評価した。また、発電中に排出される水分を原子吸光光度分析装置(ICP)で分析し、モリブデンの溶出がないことを確認した。
<実施例2>
前記実施例1で作製した炭化モリブデン担持カーボンナノチューブを用いた電極を燃料側電極および酸素側電極として使用し、実施例1と同様に燃料電池を作製し、本実施例2の燃料電池を得た。
<比較例1>
従来の白金担持多孔質性カーボン粒子触媒を燃料側電極、酸素側電極に用いて、比較例1の燃料電池を得た。なお、触媒担持量及び電極触媒量は、前記実施例1と同じである。(電極触媒量:0.5mg/cm)
<比較例2>
前記実施例1の活性化処理を行わない炭化モリブデン担持カーボンナノチューブを燃料側電極に使用し、酸素側電極には、従来の白金担持多孔質性カーボン粒子触媒を用い、前記実施例1と同様に燃料電池を作製し、比較例2の燃料電池を得た。
ここで、前記実施例1,2および比較例1,2の使用触媒をまとめて表1に示す。
実施例1,2および比較例1,2の燃料電池を用いて発電実験を行った。発電実験は、図4で示すように、水素(H)と酸素(O)を、加湿器を経て、セルに供給すると共に、セパレータ5間に電子負荷装置を取り付け、電流電圧特性を測定した。比較例は、従来の白金担持多孔質カーボン粒子触媒を用いた場合(比較例1)と活性処理を行わなかった炭化モリブデン担持カーボンナノチューブと白金担持多孔質性カーボン粒子を使用した場合(比較例2)である。図1,2に測定結果を示す。
図1は、セル間の開放電圧を示す。従来の白金担持多孔質カーボン粒子触媒を用いた比較例1の開放電圧を基準“1”とする。
炭化モリブデン担持カーボンナノチューブ触媒を燃料側電極触媒として使用した実施例1は、従来の白金担持多孔質カーボン粒子触媒を用いた比較例1に比べ、同等の電圧を示した。また、活性化処理を行わなかった比較例2は、電圧が大きく低下した。燃料側電極と酸素側電極の両極に炭化モリブデン担持カーボンナノチューブ触媒を使用した実施例2でも、比較例2より電圧を大きく向上させた。
図2に、実施例1と比較例1の電流・電圧特性の比較を示す。実施例1は、比較例1より、電流密度の増加に伴う電圧の低下が大きいが、モリブデンの触媒量を増やしたり、セルを複数台組み合わせることで、改善でき、白金系触媒の代替触媒としての使用が可能であることを示している。
<実施例3>
(炭化モリブデン触媒の作製)
担体として、前記実施例1と同様、多層カーボンナノチューブを用い、そして、実施例1と同一手段で前処理を行う。
続いて、触媒前駆体を、カーボンナノチューブ外表面の上記反応部位に付着させる担持工程を行う。
「担持工程」:前記の前処理をしたカーボンナノチューブをエタノール溶液に分散させておく。モリブデン酸アンモニウム水塩[(NH4)6Mo724・4H2O] 525mgに蒸留水12.5mLを加え、溶解させた後、激しく撹拌しながら、前記のカーボンナノチューブを分散させたエタノール溶液12.5mLを加え、その後2時間還流を行った。得られた沈殿物を濾過し、酸化リンを用いて乾燥させ、モリブデン担持カーボンナノチューブを作製した。この場合、粒径10nmを超える炭化モリブデン粒子が出来やすいので、カーボンナノチューブを十分に分散させておく、或は、還流時間を短くすると良い。
続いて、モリブデン担持カーボンナノチューブの炭化処理工程を行う。
「炭化処理工程」:前記の処理で得られたモリブデン担持カーボンナノチューブを窒素雰囲気中で、室温から約500℃まで加熱した後、“水素(5%)・窒素(残部)”の混合ガスに切り替え、3〜4時間還元処理を行った。雰囲気ガスを窒素に切り替え、約700℃まで加熱した後、雰囲気を“メタン(5%)・窒素(残部)”の混合ガスに切り替え、3〜4時間炭化処理を行った。次に、雰囲気を“窒素”に切り替え、室温まで徐冷し、炭化モリブデン担持カーボンナノチューブを作製し、炭化モリブデン触媒を得た。
触媒活性処理は、電極を作製した後、約3%過酸化水素水に30〜60分間浸して行っても良い。
本発明の触媒は、以上詳記したとおり、担体に炭化モリブデンを触媒として担持させてなることにより、白金等の貴金属を用いなくても、燃料電池用の電極触媒としての活性を得ることができる。また、白金等の貴金属の代わりとして、白金の価格の1/2,000以下であるモリブデンを使用することで、白金等の貴金属より安価なものとすることができる。
そして、本発明の触媒を燃料電池に適用することで、従来の白金を主体とする燃料電池よりも安価なものにでき、産業上の利用可能性が極めて顕著である。
実施例1,2および比較例1,2の開放電圧特性を示す図である。 実施例1および比較例1の発電性能を示す図である。 燃料電池の概略図である。 発電実験で用いた発電装置を示す図である。
符号の説明
1・・・・燃料電池、2・・・・燃料側電極、3・・・・酸素側電極、4・・・・電解質膜、5・・・・セパレータ、6・・・・ガス拡散層、7・・・・触媒層

Claims (6)

  1. 担体に6員環構造のみからなるカーボンナノチューブを用い、前記担体に0.5〜10nmの粒子径を有する微粒子である炭化モリブデンを担持させ活性処理を行った触媒を燃料電池の電極触媒として利用することを特徴とする燃料電池用電極。
  2. 前記炭化モリブデンは、モリブデンと炭素が1:0.5 〜1(モル比)の比率で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極。
  3. 前記カーボンナノチューブは、二層以上の多層構造であって、その直径が5 〜50nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用電極。
  4. 前記活性処理が、過酸化水素、水素のいずれか1種類以上を使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用電極。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池用電極を燃料電池の燃料側電極および/または酸素側電極に利用することを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池用電極を燃料電池の酸素側もしくは燃料側の電極に利用し、それに対応する反応側の電極に白金を主体とする燃料電池用電極触媒を利用することを特徴とする燃料電池。
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