JP5080396B2 - 水素ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、気相または液相中、及び水素吸蔵合金吸蔵中の水素ガス濃度を検出する水素ガスセンサに関する。
燃料電池に代表される水素エネルギーシステムを構成するうえで、水素の濃度を精度良く検出する水素ガスセンサの必要性は極めて高い。
気相または液相中における水素濃度を測定する際に、感応部に高温をかける必要がなく、且つ隔膜や電解液を不要としてこれらの劣化を防止すると共に小型軽量化を可能とすることができる水素ガスセンサが特許文献1に提案されている。
特許文献1には、水素と接触することにより電気抵抗変化を生じる感応部を備え、感応部が水素吸蔵性の単体金属または合金で形成され、或いは、ナノカーボン材料、水素吸蔵性の単体金属、水素吸蔵性の合金から選択される材料で形成される水素ガスセンサが記載されている。
また、特許文献2には、TiO2、SrTiO3、BaTiO3等の金属酸化物半導体よりなる感応部に電気抵抗測定用の一対の電極を設けた水素ガスセンサが提案されている。
さらに、特許文献3には、固体高分子電解質膜の両側にカーボンクロス電極を取り付けた燃料電池のセル型の水素測定センサ素子が、一方の開口縁が測定対象面と当接する筒状体の開口面にほぼ平行に筒状体内部を仕切るように筒状体に設けられ、陽極および陰極間の電流値を測定する無抵抗電流計が設けられていることを特徴とする透過水素ガス量測定装置が提案されている。
特開2004−125513号公報 特開2002-071611号公報 特開2002−289243号公報
しかし、特許文献1に記載された水素ガスセンサは、水素吸蔵性の単体金属または合金で形成される感応部に水素ガスが吸蔵されることにより変化する電気抵抗値を検出するものであり、感応部に水素が吸蔵された状態が維持されるため、ダイナミックな変動に追随できず、次回の計測時に備えて吸蔵された水素を感応部から放出するためのパージ操作が必要になるという問題があった。
また、特許文献2に記載された水素ガスセンサでは、表面に吸着した酸素と水素ガスとの反応に伴う金属酸化物半導体の電気抵抗の変化を検出するものであるため、酸素分子の吸脱着を十分に生起させるべく感応部の素子温度を400℃程度に加熱する加熱素子を設ける必要がある。
そのため、消費電力が増加するという問題や、耐熱構造を備える必要があるという問題があり、さらには、水素ガスの他にもメタンガスや一酸化炭素ガス等の可燃性ガスにも応答し、ガス選択性が無いという問題もあった。
特許文献3に記載された水素ガスセンサでは、水素ガスとの接触が終了し、水素ガスが拡散消失した後も、電気化学的な反応が持続するので出力が維持されるという問題があった。
さらにまた、一般的に燃料電池で使用されるMEA(Membrane Electrode Assembly(膜電極接合体))の発電特性を利用して水素ガスセンサを構成することが考えられるが、MEAは固体高分子電解質膜の両面に白金等の高価な金属が用いられた触媒電極が形成されるものであるため、部品コストの抑制等の観点で更なる改良が望まれていた。
そして、MEAを水素ガスセンサに用いる場合にも特許文献3と同様に、水素接触後にも出力を維持してしまう為、水素ガスの検出という観点から、水素ガス接触後の出力の立下りが遅く、出力の立下り特性の改善も望まれていた。
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、パージ操作をすることなく、加熱の必要もなく、良好な水素ガス選択性を備えながらも、立下り性にも優れ、比較的安価に構成することのできる水素ガスセンサを提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による水素ガスセンサの特徴構成は、図1に例示するように、層内にカーボンが分散されたカーボン含有固体高分子電解質層(以下、本明細書では「電解質層2」と記す。)と、層内にカーボンを含まない固体高分子電解質層(以下、本明細書では「電解質層3」と記す。)の二層構造に形成され、各固体高分子電解質がプロトン導電性を示す基材と、前記基材の何れか一側面に形成された触媒層とからなる検出部を備えている点にある。
本願発明者らは、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラファイト等で形成されるカーボン基材の一側面に触媒層を形成することにより、水素ガスに対して応答性が良い検出部を構成することができるということを確認しているが、感度が低いという問題があった。
さらに、研究を重ねた結果、電解質層2と、電解質層3の二層構造に形成された基材の何れか一側面に、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ金属等でなる触媒層を形成すれば、当該触媒層に向けて水素ガスを供給したときに十分な発電特性が現れ、水素ガスの供給を停止すると速やかに発電特性が低下することが確認されたのである。
この場合、既存の燃料電池のように基材の両面に触媒層を設ける必要が無いため、安価に製造することができ、しかも、燃料電池と比べて水素ガスに対する出力の応答性、特に、立下りの応答性が極めて良好であるという利点が見出されたのである。
また、電解質層2に分散されるカーボンは、カーボンナノチューブ、ナノカーボン、グラファイト、カーボンブラック、フラーレン、ナノダイアモンド及びナノポーラスカーボンの中から選ばれた一種以上よりなるカーボン素材を好適に用いることができる。
触媒層は、触媒を、スパッタ法、イオンビーム法、コーティング法及び蒸着法の何れかの薄膜形成法を用いて、基材のうち固体高分子電解質層側に担持させることができる。
触媒として、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ金属、合金、有機金属、有機物、炭化物の何れかを用いることができる。
また、検出部が通気性を有する電極と接合されていることが好ましい。
基材は、カーボンを分散した高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理する過程で、カーボンの沈降により電解質層3と電解質層2が一体に形成されたものであることが好ましく、製造工程が簡略化できる。
また、基材は、カーボンを分散した高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られる電解質層2と、電解質層2の上部にカーボンを含まない固体高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られる電解質層3とが一体に成形されたものであることが好ましく、同様に製造工程を簡略化できる。
さらに、基材は、カーボンを含まない固体高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られる電解質層3と、カーボンを分散した高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られる電解質層2を接合することにより一体に成形されたものであることが好ましい。
以上説明した通り、本発明によれば、パージ操作をすることなく、加熱の必要もなく、良好な水素ガス選択性を備えながらも、立下り性にも優れ、比較的安価に構成することのできる水素ガスセンサを提供することができるようになった。
以下、本発明による水素ガスセンサについて説明する。図1に示すように、水素ガスセンサ1は、層内にカーボンCが分散された電解質層2と、層内にカーボンを含まない電解質層3の二層構造に形成された基材Bと、基材Bの一側面であって電解質層3側に形成された触媒層4とからなる検出部Dを備え、検出部Dを含む両面が電極5(5a,5b)と接合されている。
基材B(2,3)を構成する固体高分子電解質として、高いプロトン導電性を有するパーフルオロスルホン酸系、パーフルオロカルボン酸系等のパーフルオロ系高分子や、Poly(styrene-ran-ethylene), sulfonated polymer(ポリスチレン系スルホン酸樹脂)等のpartially sulfonated styrene-olefin copolymerでなる固体高分子電解質膜を採用することが好ましく、ナフィオン(デュポン社登録商標:NAFION)やアシプレックス(旭化成株式会社登録商標:ACIPLEX)等が好適に使用できるが、プロトン導電性を示すものであれば特に限定されない。
電解質層2に分散されるカーボンCは、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも記す。)、ナノカーボン、グラファイト、カーボンブラック、フラーレン、ナノダイアモンド及びナノポーラスカーボンの中から選ばれた一種以上よりなるカーボン素材から選択することができる。また、カーボンブラックは具体的には、ファーネスブラック、チャンネルブラック、グラフトカーボン等が例示できる。
カーボンC(CNTやグラファイト等)のサイズ(粒径、または、長さや径)は特に限定されるものではないが、長さは長いほど好ましく、特に、長さ1μm〜1mm、径5〜200nmが好ましい。
さらに、電解質層2に分散されるカーボンCは、一種類のカーボンに制限されるものではなく、異なる種類のグラファイトやCNTとグラファイト等、異なる種類のカーボンを混ぜ合わせても良い。
触媒層4は、スパッタ法、イオンビーム法、真空蒸着法、電子線照射法、CVD、PVD、含浸、スプレーコート、スプレー熱分解、練りこみ、吹き付け、ロールやコテによる塗り付け、スクリーン印刷、混錬法、光電解法、コーティング法、ゾルゲル法、ディップ法、インクジェット法、貴金属錯体還元法等の何れかの薄膜形成法を用いて、基材Bの一側面であって電解質層3の表面に担持された触媒4aで形成されている。特に、スパッタ法、イオンビーム法、コーティング法及び蒸着法の何れかの薄膜形成法を採用することが好ましい。
触媒4aとして、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ金属、合金、有機金属、有機物、及び炭化物の何れかから選択することができる。
触媒4aとして、高い触媒活性を有する白金Ptまたは白金合金を好適に用いることができるが、その他に、金Au、銀Ag、イリジウムIr、パラジウムPd、ルテニウムRu、オスミウムOs、ニッケルNi、タングステンW、モリブデンMo、マンガンMn、イットリウムY、バナジウムV、ニオブNb、チタンTi、ジルコニア、希土類金属等から選択される少なくとも一種の金属または合金を用いることができる。
また、触媒4aとして、水素ガスと接触することにより触媒活性を有する有機金属または有機物を用いることも可能である。このような有機金属触媒として、例えば、N,N’-Bis(salicylidene)ethylene-diamino-metal(=Ni, Fe, Vなど)、N,N’-mono-8-quinoly-σ-phenylenediamino-metal(=Ni, Fe, Vなど)等を用いることができ、有機物としては、例えばピロロピロール赤色顔料、ジピリジル誘導体を用いることができる。
さらに、触媒4aとして、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つモリブデンカーバイドMoC、またはモリブデンカーバイドMoCを含む材料を用いることも可能である。
触媒4aを担持させるためにスパッタリングによる薄膜形成法を採用する場合、スパッタリングの処理時間は90秒未満が好ましく、さらに60秒以下とすることがより好ましい。また、スパッタリングの際のDC、RF出力値は特に制限されないが、1.2W/cm以上とすることが好ましい。
電極5(5a,5b)のうち、検出部D側、つまり、触媒層4側の電極5aは、触媒層4が検出対象ガスに良好に暴気されるように、多数の細孔が形成された銅ニッケル合金薄膜等で構成することが好ましく、良好な導電性を備えた金属ポーラス焼結体や、中央部に通気用の開孔が形成されたリング状の金属等で構成することも可能である。
また、電極5aは、良導体である金属で構成するものに限らず、導電性及び通気性を有するカーボンペーパーまたはカーボンクロスで構成するものであってもよい。この場合には、電解質層3に対向する電極5aの表面を触媒の担体として機能させることができる。
尚、検出部Dの反対側に設ける電極5bは、必ずしも通気性を備えるものでなくともよく、良好な導電性を備えた金属板や金属箔で構成すればよい。
基材Bに触媒層4を直接形成する以外に、例えば、基材Bの一側面にカーボン繊維やカーボンナノチューブ等を塗布して形成された塗布層の上面に触媒4aを担持させてもよく、カーボンナノチューブの塗布層を形成する場合には、その比表面積の大きさから触媒担持体として非常に優れた特性を示すようになる。
また、図2に示すように、少なくとも触媒層4に検出対象ガスが均一に供給されるように、電極5aの表面にカーボンペーパーやカーボンクロス等でなるガス拡散層7を設けてもよい。
図1または図2に示すように、上述した水素ガスセンサ1を、少なくとも触媒層4が形成された電極5a側が検出対象ガスに曝気されるように配置し、両電極5a,5b間に電圧検出回路6を備えることにより検出対象ガスに含まれる水素ガス濃度を計測することができる。
以下に、水素ガスセンサ1の検出部Dの製造方法を説明する。図3に示すように、溶媒に固体高分子電解質を溶解した固体高分子溶液にカーボンCを投入攪拌して分散させ、カーボンが分散された固体高分子電解質溶液L1を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより基材Bが得られる。
乾燥処理の過程で、固体高分子電解質溶液L1に分散された表層のカーボンCが下方に沈降して、層内にカーボンCを含まない電解質層3と、層内にカーボンCが分散された電解質層2が一体に形成される。
その後、型枠8から基材Bを取り出して、電解質層3の上面に触媒4aをスパッタ法等で担持させることにより検出部Dが得られる。
尚、型枠8を用いずに、SUSプレート等の表面に直接キャスティングすることにより基材Bを得ることも可能である。
さらに、電極5bとなる板状の良導体上に、カーボンブラック等のカーボンが分散された固体高分子電解質溶液L1を直接塗布することにより、固体高分子電解質溶液L1に分散された表層のカーボンCを下方に沈降させて、層内にカーボンCを含まない電解質層3と、層内にカーボンCが分散された電解質層2と、電極5bを一体に形成することも可能である。
また、図4に示すように、カーボンCを分散した高分子電解質水溶液L1を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層2を得、さらにその上部にカーボンCを含まない固体高分子電解質溶液L2を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層3を形成し、電解質層3と電解質層2でなる基材Bを一体に成形することも可能である。
上述と同様に、その後、型枠8から基材Bを取り出して、電解質層3の上面に触媒4aをスパッタ法等で担持させることにより検出部Dが得られる。
さらに、図5に示すように、カーボンCを分散した高分子電解質水溶液L1を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層2を形成して、型枠8から電解質層2を取り出し、次に、カーボンCを含まない固体高分子電解質溶液L2を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層3を形成して、型枠8から電解質層3を取り出し、その後、電解質層3の上面に触媒4aをスパッタ法等で担持させ、当該電解質層3と電解質層2を機械的または物理的に接合することにより検出部Dが得られる。
何れの場合であっても、乾燥処理では、カーボンCの分散状態を維持しながら乾燥させるために、溶媒の組成、固体高分子電解質とカーボンの重量比等に基づいて加熱時間及び加熱温度を調整することが重要である。
機械的な接合とは、電解質層3と電解質層2を電極5等の挟持部材で機械的に圧接保持することをいい、物理的な接合とは、電解質層3と電解質層2をホットプレス法等により溶着させることをいう。ホットプレス法を採用する場合、接合面に固体高分子電解質溶液を塗布した後に溶着させることも可能である。
このように、層内にカーボンCを含まない電解質層3と、層内にカーボンCが分散された電解質層2の二層で構成される基材Bに触媒層4を形成して得られる検出部Dでは、基材Bの厚み方向の抵抗値が電解質層3で大きく、カーボン含有固体高分子電解質層2で小さくなり、数百オームの合成抵抗値が得られる。
図6(b)に示すように、厚み方向の抵抗値が数メガオームの大きな値を示す固体高分子電解質膜のみでなる基材Bでは、分解された電子が基材Bを通過することが殆ど無いため、水素ガスの供給を停止しても、外部回路の出力が徐々に低下する傾向が強く、立下りの応答性が悪いと想定されるのであるが、図6(a)に示すように、本発明による基材Bを用いることにより極めて良好な特性を得ることができる。
電解質層3及び電解質層2を製作する場合に用いられる溶媒は、特に制限されるものではなく、アルコール系溶媒、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)等の極性を示す有機溶媒を用いることも可能である。何れの場合でも、溶媒と、溶媒に添加されるカーボン素材の組合せによりカーボンCの分散性は異なる。
従って、溶媒の種類、カーボン素材、カーボン素材の添加量、さらには、電解質層3及び電解質層2の膜厚により、水素ガスセンサ1としての特性が多少異なるため、用途に応じて適宜選択することが必要である。
電解質層2中にカーボンCが分散された状態が確保できれば、固体高分子電解質とカーボンの配合比は特に制限されるものではないが、10:1〜10:10が好ましい。
上述の実施形態では、電解質層3の上面に触媒4aを担持させているが、触媒4aの担持面は電解質層3の上面に限るものではなく、電解質層2の上面に担持させてもよい。
図4では、カーボンCを分散した高分子電解質水溶液L1を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層2を得、さらにその上部にカーボンCを含まない固体高分子電解質溶液L2を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層3を形成し、電解質層3と電解質層2でなる基材Bを一体に成形する手順を説明したが、先にカーボンCを含まない固体高分子電解質溶液L2を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層3を得、さらにその上部にカーボンCを分散した高分子電解質水溶液L1を型枠8に流し込み、所定厚さの膜状に成型して乾燥処理することにより電解質層2を形成し、電解質層3と電解質層2でなる基材Bを一体に成形するものであってもよい。
実施例1.
5cm×5cmサイズの金型に、固体高分子電解質溶液Nafion 5w% solution(アルドリッチ社製、製品番号527084)を1ml流し込み、90℃のオーブンに1時間入れて、キャストによる膜、つまり電解質層3を製膜し、当該膜の一側面に白金Pt触媒を30秒のスパッタリングにより担持させて触媒層4を形成した。スパッタリング条件は、Ar:20cc/min,RF:300W,1.6rpmである。
次に、Nafion 5wt% solution(アルドリッチ社製、製品番号527084)のアルコール分をエバポレーターで蒸発させて、DMF溶剤で再抽出した。この時、DMF溶媒で抽出したNafion溶液の濃度が5wt%になる様に抽出を行なった。
DMF抽出した溶液10gに対して、0.2gのカーボンナノチューブ(CNT)を加えて、樹脂:CNT=5:2の重量比に調整し、ホモジナイザーで15分攪拌してCNTを分散させた。
攪拌終了後、5cm×5cmの金型の枠に、CNTが分散された電解質溶液を4ml流し込み、110℃のオーブンに2時間入れて、キャストによる膜、つまり電解質層2を製膜した。図7(a)は、電解質層2の表面状態を示すSEM写真である。CNTが分散されていることが確認できる。
製膜された電解質層3を、白金Ptをスパッタした面を上側にして、下側に電解質層2を重ねて、120℃、5分間熱プレスして物理的に圧着させ、2枚の膜を一体化した検出部Dを作製した。
検出部Dをドーナツ型のSUS製の電極板で押さえ付けて、電極板からリード線を取り出して、デジタルマルチメーター(MULTIMETER VOAC 7411:岩崎計測株式会社製)に接続した。
検出部Dに、4000ppm(空気ベース)のガスを50cc接触させて、出力の変化を観察すると、出力が−5.2mVから20mVに変化することが確認できた。
また、製膜された電解質層3を、白金Ptをスパッタした面を上側にして、下側に電解質層2を重ねて、両側にドーナツ型のSUSの電極板で押さえつけて、電極間に付与する圧力のみで機械的に圧着した状態で、電極板からリード線を取り出して、デジタルマルチメーター(MULTIMETER VOAC 7411:岩崎計測株式会社製)に接続した。
検出部Dに、4000ppm(空気ベース)のガスを50cc接触させて、出力の変化を観察すると、出力が−10mVから8mVに変化することが確認できた。
実施例2.
5cm×5cmサイズの金型に、固体高分子電解質溶液Nafion 5w% solution(アルドリッチ社製、製品番号527084)を1ml流し込み、90℃のオーブンに1時間入れて、キャストによる膜、つまり電解質層3を製膜し、一度その状態でオーブンから取り出し、室温に戻るまで放置した。
次に、実施例1と同様、Nafion 5wt% solution(アルドリッチ社製、製品番号527084)のアルコール分をエバポレーターで蒸発させて、DMF溶剤で再抽出した。この時、DMF溶媒で抽出したNafion溶液の濃度が5wt%になる様に抽出を行なった。
DMF抽出した固体高分子電解質溶液10gに対して、0.2gのカーボンナノチューブ(CNT)を加えて、樹脂:CNT=5:2の重量比に調整し、ホモジナイザーで15分攪拌してCNTを分散させた。
攪拌終了後、電解質層3が製膜された金型の枠に、CNTが分散された固体高分子電解質溶液を4ml流し込み、110℃のオーブンに2時間入れて、キャストによる膜、つまり電解質層3上に電解質層2を一体となるように基材Bを製膜した。
溶媒が充分蒸発した後に、基材Bの電解質層3上に、実施例1と同一の条件で白金Pt触媒をスパッタリングして触媒層4が形成された検出部Dを作製した。
検出部Dをドーナツ型のSUS製の電極板で押さえ付けて、電極板からリード線を取り出して、デジタルマルチメーター(MULTIMETER VOAC 7411:岩崎計測株式会社製)に接続した。
検出部Dに、4000ppm(空気ベース)のガスを50cc接触させて、出力の変化を観察すると、出力が−112mVから59mVに変化することが確認できた。
実施例3.
固体高分子電解質溶液Poly(stylene-ran-ethylene)sulfonated., 5wt% solution in 1-propanol(アルドリッチ社製 品番659592)10gに対して、カーボンナノチューブ(CNT)0.2gを加えて、15分間ホモジナイザーにより攪拌した。
攪拌終了後、カーボンが分散された固体高分子電解質溶液を、5cm×5cmの金型に流し込み、90℃のオーブンに3時間入れて加熱した。
溶媒が充分乾燥した後、金型から基材Bとしての固体高分子電解質膜を剥がしとり、膜の上面に、実施例1と同一の条件で白金Pt触媒をスパッタリングして触媒層4が形成された検出部Dを作製した。
図7(b)は、基材Bの上面の状態を示すSEM写真であり、図7(c)は、基材Bの下面の状態を示すSEM写真である。写真からも、基材Bの上層に層内にカーボンを含まない電解質層3が形成され、下層に層内にカーボンが分散された電解質層2が形成された二層構造の基材であることが確認できる。
検出部Dをドーナツ型のSUS製の電極板で押さえ付けて、電極板からリード線を取り出して、デジタルマルチメーター(MULTIMETER VOAC 7411:岩崎計測株式会社製)に接続した。
検出部Dに、4000ppm(空気ベース)のガス20cc/minを20秒間接触させて、出力の変化を観察すると、出力が0.059Vから0.12Vに変化することが確認できた。
この時の出力変化を図8に示す。この結果より、水素接触開始から1秒以内に立ち上がり、また水素接触終了後1秒以内に出力が立ち下がっている事が確認できる。
一方、固体高分子電解質(Poly(stylene-ran-ethylene)sulfonated)の単膜に30秒白金スパッタリングを行い、同様に水素ガスを20秒間接触させたところ、出力の値が0.3V増加したが、水素接触を終了しても、速やかに出力の低下が起きず、元の出力に戻るまでに、およそ15分前後の時間を要した。
以上より、本発明による水素ガスセンサによれば、立下り性に優れ、水素ガスとの接触を終了させると、電気的な変化(出力)も低下して水素がなくなったことを、容易に且つ速やかに確認することができる。つまり、当該水素ガスセンサは、水素を検出可能な程度の出力があり、常温で動作可能で、且つ、立ち下がり性に優れている。
実施例1,2,3の何れも、水素ガスを再度供給することにより、同様の特性が再現されることが確認された。
次に、実施例1,2,3の夫々の検出部Dに供給するガスの種類を、メタンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガスと順次に変えて、それぞれのガスについて、水素ガスと同様の手順で電圧を測定した。しかし、何れのガスについても出力を確認できなかった。
この結果から、本実施形態による水素ガスセンサは水素ガスのみ出力変化が確認され、ガス選択性に優れていることが判明した。
本発明の水素ガスセンサは、例えば自動車用、施設用、携帯用の燃料電池システムにおいて、水素ガス漏れを検出する水素ガスセンサとして利用することができる。
本発明による水素ガスセンサの構成図。 別実施形態を示す水素ガスセンサの構成図。 水素ガスセンサの検出部の製造方法の説明図。 別実施形態を示す水素ガスセンサの検出部の製造方法の説明図。 別実施形態を示す水素ガスセンサの検出部の製造方法の説明図。 (a)は本発明による水素ガスセンサの特性説明図、(b)はカーボンを含有しない固体高分子電解質膜による水素ガスセンサの特性説明図。 (a)は実施例1に記載した製造方法により得られた電解質層2の表面のSEM写真、(b)は実施例3に記載した製造方法により得られた基材の上面のSEM写真、(c)は実施例3に記載した製造方法により得られた基材の下面のSEM写真 本発明による水素ガスセンサの特性グラフ
1:水素ガスセンサ
2:層内にカーボンを含まない固体高分子電解質層
3:層内にカーボンが分散されたカーボン含有固体高分子電解質層
4:触媒層
4a:触媒
5:電極
5a:アノード電極
5b:カソード電極
6:電圧検出回路
7:ガス拡散層
8:型枠
B:基材
C:カーボン
D:基材

Claims (8)

  1. 層内にカーボンが分散されたカーボン含有固体高分子電解質層と、層内にカーボンを含まない固体高分子電解質層の二層構造に形成され、各固体高分子電解質がプロトン導電性を示す基材と、前記基材の何れか一側面に形成された触媒層とからなる検出部を備えていることを特徴とする水素ガスセンサ。
  2. 前記カーボン含有固体高分子電解質層に分散されるカーボンは、カーボンナノチューブ、ナノカーボン、グラファイト、カーボンブラック、フラーレン、ナノダイアモンド及びナノポーラスカーボンの中から選ばれた一種以上よりなるカーボン素材を含むことを特徴とする請求項1記載の水素ガスセンサ。
  3. 前記触媒層は、スパッタ法、イオンビーム法、コーティング法及び蒸着法の何れかの薄膜形成法を用いて、前記基材の一側面に担持された触媒で形成されている請求項1または2記載の水素ガスセンサ。
  4. 前記触媒は、水素ガスと接触することにより触媒機能を持つ金属、合金、有機金属、有機物、及び炭化物の何れかを含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の水素ガスセンサ。
  5. 前記検出部が通気性を有する電極と接合されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の水素ガスセンサ。
  6. 前記基材は、カーボンを分散した高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理する過程で、カーボンの沈降により前記固体高分子電解質層と前記カーボン含有固体高分子電解質層が一体に形成されたものであることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の水素ガスセンサ。
  7. 前記基材は、カーボンを分散した高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られる固体高分子電解質層と、前記固体高分子電解質層の上部にカーボンを含まない固体高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られるカーボン含有固体高分子電解質層とが一体に成形されたものであることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の水素ガスセンサ。
  8. 前記基材は、カーボンを含まない固体高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られる固体高分子電解質層と、カーボンを分散した高分子電解質溶液を膜状に成型して乾燥処理することにより得られるカーボン含有固体高分子電解質層を接合することにより一体に成形されたものであることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の水素ガスセンサ。
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