JPH11292905A - 再分散性アクリル系エマルジョン粉末及びその製造方法 - Google Patents

再分散性アクリル系エマルジョン粉末及びその製造方法

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JPH11292905A
JPH11292905A JP10094564A JP9456498A JPH11292905A JP H11292905 A JPH11292905 A JP H11292905A JP 10094564 A JP10094564 A JP 10094564A JP 9456498 A JP9456498 A JP 9456498A JP H11292905 A JPH11292905 A JP H11292905A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既調合のセメント混和剤、粉末塗料、粉末接
着剤等に好適に使用でき、再分散性、耐水性、耐アルカ
リ性、造膜性等の応用物性に優れた再分散性アクリル系
エマルジョン粉末の提供。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステルをモノマー
成分として含む共重合体を含有し、架橋構造を有する核
の表面上に、(メタ)アクリル酸エステルとエチレン性
不飽和カルボン酸とをモノマー成分として含む共重合体
を含有し、アクリル系オリゴマーが表面に吸着された表
層を有してなることを特徴とする再分散性アクリル系エ
マルジョン粉末である。核における、トルエンに不溶性
の部分が、該核の少なくとも50重量%である態様、ア
クリル系オリゴマーが(メタ)アクリル酸ナトリウム−
4−スチレンスルホネート共重合体である態様が好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多段重合により得
られたソープフリーのアクリル系エマルジョンを乾燥し
てなる再分散性アクリル系エマルジョン粉末及びその製
造方法に関し、既調合のセメント混和剤、粉末塗料、粉
末接着剤等に好適に使用でき、再分散性、耐水性、耐ア
ルカリ性、造膜性等の応用物性に優れた再分散性アクリ
ル系エマルジョン粉末、及び該再分散性アクリル系エマ
ルジョン粉末を効率よく製造し得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂エマルジョンを乾燥することに
より製造される再分散性合成樹脂エマルジョン粉末は、
合成樹脂エマルジョンと比べて以下のような利点を有す
る。即ち、前記再分散性合成樹脂エマルジョン粉末は、
粉末であることから、取扱いが容易であり、輸送に便利
であり、更に使用時に水に添加し攪拌するだけで水中に
再分散するため、接着剤、塗料用バインダー、セメント
製品等への混入剤等として広く利用できるという利点を
有する。
【0003】ところで、前記合成樹脂エマルジョンとし
ては、ビニルアセテート系樹脂エマルジョンが一般に多
く知られているが、前記ビニルアセテート系樹脂の場
合、耐アルカリ性に劣るため、用途が制限されてしまう
という問題がある。
【0004】また、前記合成樹脂エマルジョンとして、
アクリル系樹脂エマルジョンも知られており、前記アク
リル系樹脂エマルジョンは、前記ビニルアセテート系樹
脂よりも耐アルカリ性に優れるという利点がある。しか
し、前記アクリル系樹脂エマルジョンは、乳化剤として
界面活性剤を使用して製造する必要があり、前記アクリ
ル系樹脂エマルジョンを乾燥して得たエマルジョン粉末
は、水への再分散性がないという問題がある。
【0005】一方、水への再分散性を考慮して、界面活
性剤を用いず、保護コロイドとして機能するPVAを前
記乳化剤として用いて乳化重合を行い、前記アクリル系
樹脂エマルジョンを製造することも行われている。とこ
ろが、この場合、前記アクリル系樹脂エマルジョンの製
造原料であるアクリル系単量体は前記PVAにグラフト
し易く、該アクリル系単量体がグラフトしたPVAは、
親水性が低下し、保護コロイド能が低下してしまう、等
の問題がある。
【0006】そこで、種々の水溶性物質、例えば、メラ
ミンホルムアルデヒドスルホネート縮合物(特公昭51
−46126号公報)、ビニルピロリドン−酢酸ビニル
コポリマー(特公平4−59324号公報)、イソブチ
レン無水マレイン酸コポリマー(特開平4−28833
5号公報)、フェノールホルムアルデヒドスルホネート
縮合物(特開平3−56536号公報)、ゼラチン、デ
キストリン等の特殊保護コロイド(特公平3−5497
3号公報)、ポリカルボン酸(特開昭62−12935
6号公報)等を前記アクリル系エマルジョンに混合し、
上記問題を解消することが提案されている。
【0007】しかしながら、これらの水溶性物質を用い
た場合、得られるアクリル系樹脂エマルジョン粉末の湿
潤状態における耐水性、接着性等の応用物性が低下して
しまう。また、アクリル系樹脂以外の物質を多量に添加
するとアクリル系樹脂の性能が劣化してしまう。その結
果、前記アクリル系樹脂エマルジョン粉末の用途が制限
されてしまうという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明は、既調合のセメント混和剤、粉
末塗料、粉末接着剤等に好適に使用でき、再分散性、耐
水性、耐アルカリ性、造膜性等の応用物性に優れた再分
散性アクリル系エマルジョン粉末、及び該再分散性アク
リル系エマルジョン粉末を効率よく製造し得る方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> (メタ)アクリル酸エステルをモノマー成分と
して含む共重合体を含有し、架橋構造を有する核上に、
(メタ)アクリル酸エステルとエチレン性不飽和カルボ
ン酸とをモノマー成分として含む共重合体を含有し、水
溶性オリゴマーが表面に吸着された表層を少なくとも有
してなることを特徴とする再分散性アクリル系エマルジ
ョン粉末である。 <2> 水溶性オリゴマーの存在下で、(メタ)アクリ
ル酸エステルを少なくとも含むモノマー組成物を水性媒
体中で共重合して核を形成した後、該水溶性オリゴマー
及び該核の存在下で、エチレン性不飽和カルボン酸と
(メタ)アクリル酸エステルとを乳化重合して該核上に
表層を少なくとも形成してなる水性エマルジョンを乾燥
して得られる前記<1>に記載の再分散性アクリル系エ
マルジョン粉末である。 <3> 核における、トルエンに不溶性の部分が、該核
の少なくとも50重量%である前記<1>又は<2>に
記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末である。 <4> 水溶性オリゴマーが(メタ)アクリル酸ナトリ
ウム−4−スチレンスルホネート共重合体である前記<
1>から<3>のいずれかに記載の再分散性アクリル系
エマルジョン粉末である。 <5> 水溶性オリゴマーの存在下で、(メタ)アクリ
ル酸エステルを少なくとも含むモノマー組成物を水性媒
体中で共重合して架橋構造を有する核を形成する第一段
重合工程と、該水溶性オリゴマー及び該核の存在下で、
エチレン性不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸エス
テルとを乳化重合して該核上に、該水溶性オリゴマーが
表面に吸着された表層を形成する最終段重合工程とを少
なくとも含む多段重合により得られた水性エマルジョン
を、乾燥することを特徴とする再分散性アクリル系エマ
ルジョン粉末の製造方法である。 <6> 第一段重合工程において、重合性不飽和基を2
個以上有するモノマーを用いる前記<5>に記載の再分
散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法である。
【0010】前記<1>又は<2>に記載の再分散性ア
クリル系エマルジョン粉末の場合、(メタ)アクリル酸
エステルをモノマー成分として含む共重合体を含有し、
架橋構造を有する核上に、(メタ)アクリル酸エステル
とエチレン性不飽和カルボン酸とをモノマー成分として
含む共重合体を含有してなり、前記核が架橋構造を有す
るため、前記核の内部へ取り込まれる前記不飽和カルボ
ン酸の量が少なく、該不飽和カルボン酸は表層で重合す
る。このため、該表層の表面において前記カルボキシル
基が多く配向し、その結果、エマルジョン粉末の表層が
可溶化しても、芯部の核は、常に耐水性や耐久性に優れ
る。
【0011】前記<3>に記載の再分散性アクリル系エ
マルジョン粉末の場合、前記核におけるトルエンに不溶
性の部分が、該核の少なくとも50重量%であるため、
該表層においてカルボキシル基の配向がより顕著であ
る。前記<4>に記載の再分散性アクリル系エマルジョ
ン粉末の場合、水溶性オリゴマーが(メタ)アクリル酸
ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体である
ため、構造上湿潤性が高くより再乳化し易くなり、かつ
無機フィラーなどの顔料分散性機能を付加することがで
きる。
【0012】前記<5>に記載の再分散性アクリル系エ
マルジョン粉末の製造方法の場合、第一段重合工程にお
いて、水溶性オリゴマーの存在下で、(メタ)アクリル
酸エステルを少なくとも含むモノマー組成物を水性媒体
中で共重合して架橋構造を有する核を形成する。前記第
一段重合工程においては、前記水溶性オリゴマーが保護
コロイドとしても機能するため、ソープフリーの状態で
重合反応が進行される。そして、最終段重合工程におい
て、前記水溶性オリゴマー及び前記核の存在下で、エチ
レン性不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸エステル
とを乳化重合して該核上に、該水溶性オリゴマーが表面
に吸着された表層を形成する。このとき、前記核は架橋
構造を有しているため、最終段重合工程において、重合
反応に供されるエチレン性不飽和カルボン酸及び(メ
タ)アクリル酸エステルは、前記核の内部に侵入せず、
該核の表面上で乳化重合して表層を形成する。なお、前
記最終段重合工程においても、前記水溶性オリゴマーが
保護コロイドとして機能する上、表層の重合体のカルボ
キシル基が解離して電気二重層を形成し、粒子の安定化
成分として機能するため、ソープフリーの状態で重合反
応が進行される。この多段重合により水性エマルジョン
が得られる。得られた水性エマルジョンを乾燥すること
により、再分散性アクリル系エマルジョン粉末が製造さ
れる。前記<6>に記載の再分散性アクリル系エマルジ
ョン粉末の製造方法の場合、第一段重合工程において、
重合性不飽和基を2個以上有するモノマーを用いるの
で、核の内部で架橋構造を取り易く、最終段重合工程に
おいて、重合反応に供されるエチレン性不飽和カルボン
酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルが前記核の
内部に極めて侵入しにくく、該核上で確実に乳化重合し
て表層を形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の再分散性アクリル系エマ
ルジョン粉末は、本発明の再分散性アクリル系エマルジ
ョン粉末の製造方法により好適に製造することができ
る。以下、本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉
末の製造方法の説明を行うと共に、該説明を通じて本発
明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の詳細をも明
らかにする。
【0014】本発明の再分散性アクリル系エマルジョン
粉末の製造方法においては、第一段重合工程と最終段重
合工程とを含む多段重合により得られた水性エマルジョ
ンを乾燥する。なお、本発明においては、前記第一段重
合工程と前記最終段重合工程との間に、目的に応じて適
宜、第二段重合工程、第三段重合工程、・・・第n段重
合工程等を含んでいてもよい。第二段重合工程、第三段
重合工程等は、例えば、前記第一段重合工程、前記最終
段重合工程と同様にして行うことができる。本発明にお
いて、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末
は、前記再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方
法における重合工程の段数に対応した積層構造を有す
る。即ち、二段重合工程の場合、核上に表層が形成され
てなる二層構造を有し、三段重合工程の場合、核上に第
一層と第二層(表層)とがこの順に形成されてなる三層
構造を有し、多段重合工程の場合、核上に第一層、第二
層、・・・、表層とがこの順に形成されてなる多層構造
を有する。
【0015】−第一段重合工程− 前記第一段重合工程は、水溶性オリゴマーの存在下で、
(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマー
組成物を、水性媒体中で共重合して架橋構造を有する核
を形成する工程である。
【0016】本発明における前記水溶性オリゴマーは、
水に溶解した時に均一な水溶液となる性質を有するもの
であり、分散したり、膨潤する程度の溶解度では本発明
の使用には耐えない。前記水溶性オリゴマーとしては、
例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アル
キレングリコール基などの親水性基を有する重合度が1
0〜500程度の重合体又は共重合体が好適に挙げら
れ、具体的には、(メタ)アクリル酸ナトリウム−4−
スチレンスルホネート共重合体、スチレン/マレイン酸
共重合体、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合
物、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸塩
などが挙げられる。本発明においては、これらの中で
も、再乳化性付与、顔料分散性機能付与の点で(メタ)
アクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重
合体が好ましい。前記水溶性オリゴマーは、乳化重合を
開始する前に予め重合したものを使用してもよいし、市
販品を使用してもよい。これらは、1種単独で使用して
もよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】前記モノマー組成物は、(メタ)アクリル
酸エステルを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選
択したその他の成分を含有する。
【0018】前記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、例えば、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)
クリル酸エステルが好ましく、具体的には、エチルアク
リレート(EA)、エチルメタクリレート(EMA)、
メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート
(MMA)、プロピルアクリレート(PA)、プロピル
メタクリレート(PMA)、ブチルアクリレート(B
A)、ブチルメタクリレート(BMA)、2−エチルヘ
キシルアクリレート(2−EHA)、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート(2−EHMA)、(メタ)アクリル
酸アルコキシエチル、シクロヘキシルメタクリレート
(CHMA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)
などが挙げられる。
【0019】前記その他の成分としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前
記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な
モノマー(以下「共重合性モノマー」と称することがあ
る)、架橋性モノマー、重合開始剤、重合調整剤などが
挙げられる。なお、本発明においては、再分散性アクリ
ル系エマルジョン粉末の再乳化性を低下させない範囲で
乳化剤を使用してもよい。前記(メタ)アクリル酸アル
キルエステルと共重合可能なモノマーとしては、例え
ば、スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合
物、酢酸ビニル、α位で分岐した飽和カルボン酸のビニ
ルエステル類、ビニルホスフェート等が挙げられる。こ
れらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0020】前記架橋性モノマーとしては、例えば、官
能基を有するモノマーなどが挙げられ、該官能基を有す
るモノマーとしては、アルコキシシリル基含有モノマ
ー、グリシジル基含有モノマー、メチロール基含有モノ
マー、ニトリル基モノマー、アミド基含有モノマー、重
合性不飽和基を2個以上有するモノマーなどが挙げられ
る。本発明においては、これらの中でも、内部架橋構造
を取り易い重合性不飽和基を2個以上有するモノマーが
好ましい。
【0021】前記重合性不飽和基を2個以上有するモノ
マーとしては、例えば、ジビニル化合物、ジ(メタ)ア
クリレート化合物、トリ(メタ)アクリレート化合物、
テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジアリル化合物、
トリアリル化合物、テトラアリル化合物などが挙げら
れ、具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペー
ト、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチルジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリットトリ(メタ)
アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルジシア
ヌレート、テトラアリルオキシエタン(TAE)、トリ
アリルイソシアヌレート(TA)などが挙げられる。こ
れらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。本発明においては、これらの中でも、共重
合のし易さ、重合安定性、均一な架橋の点で、テトラア
リルオキシエタン(TAE)、ジビニルベンゼン、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート(EDMA)が
好ましい。
【0022】前記重合開始剤としては、通常の乳化重合
に使用できるものであれば特に制限無く使用でき、例え
ば、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸ナトリウム(S
PS)、過硫酸アンモニウム(APS)等の無機過酸化
物、有機過酸化物、アゾ系開始剤、過酸化水素、ブチル
パーオキサイド等の過酸化物、及びこれらと還元剤とを
組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。こ
れらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。本発明においては、これらの中でも、皮膜
物性や強度増強に悪影響を与えず重合が容易な点で過硫
酸アンモニウム(APS)が好ましい。
【0023】前記重合調整剤としては、特に制限はな
く、公知のものの中から適宜選択することができ、連鎖
移動剤やバッファーなどが挙げられる。前記連鎖移動剤
としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサン、アセトフェノン、アセト
アルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデ
ヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等の炭素数2〜
8のカルボン酸類、ドデシルメルカプタン、ラウリルメ
ルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール
酸、チオグリコール酸オクチル(TGO)、チオグリセ
ロール等のメルカプタン類などが挙げられる。これら
は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して
もよい。前記バッファーとしては、例えば、酢酸ソー
ダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダなどが挙げら
れる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。前記乳化剤としては、特に制限は
なく、アニオン性、カチオン性、ノニオン性などの公知
のものの中から適宜選択すればよく、例えば、アニオン
系としてはラウリル硫酸ナトリウム、ノニオン性として
はプルロニック型構造を有するものやポリオキシエチレ
ン型構造を有するものなどが好適に挙げられる。
【0024】前記水性媒体としては、特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、ア
ルコール系水溶液などが挙げられる。
【0025】前記水溶性オリゴマーの使用量としては、
第一段の重合工程の全単量体に対し、3〜30重量%が
好ましく、5〜25重量%がより好ましい。前記使用量
が、30重量%を超えると耐水性が悪くなり、3重量%
未満であると保護コロイド成分が少ないため安定な重合
が行えないことがある。
【0026】前記(メタ)アクリル酸エステルの使用量
としては、第一段重合工程における全単量体に対し、5
0重量%以上であることが好ましく、70重量%以上で
あることがより好ましい。前記使用量が、50重量%未
満であると耐アルカリ性、耐久性、耐水性が低下するこ
とがある。
【0027】前記その他の成分として前記架橋性モノマ
ーを用いる場合、該架橋性モノマーの使用量としては、
通常0.1〜5重量%であり、1〜3重量%が好まし
い。前記架橋性モノマーの使用量が、0.1重量%未満
であると架橋性が不十分になることがあり、5重量%を
超えると安定性が低下し、ゲル化することがある。前記
その他の成分として、前記重合開始剤、前記重合調整
剤、前記乳化剤、などを用いる場合、これらの使用量と
しては、本発明の目的を害しない限り特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができる。
【0028】前記共重合の反応条件としては、特に制限
はなく、共重合成分の種類、目的等に応じて適宜選択す
ることができる。
【0029】前記第一段重合工程は、例えば、以下のよ
うにして行うことができる。即ち、公知の重合缶等の反
応器に、前記水溶性オリゴマーを添加した後、前記(メ
タ)アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマー組成
物を、所望量の前記水性媒体(例えば、水)と共に仕込
み、昇温し、前記重合開始剤を添加して重合反応を開始
させることにより行うことができる。なお、最初の仕込
みで、前記(メタ)アクリル系エステルの全量を仕込ま
なかった場合は、その残量を滴下して第一段重合工程に
おける重合反応を進行させることができる。前記第一段
重合工程においては、前記水溶性オリゴマーが保護コロ
イドとして機能するため、ソープフリーの状態で重合反
応を進行させることができる。
【0030】以上の第一段重合工程により、前記(メ
タ)アクリル酸エステルをモノマー成分として含む共重
合体を含有し、架橋構造(「ゲル構造」と言うことがあ
る)を有する核が形成される。前記核は、架橋構造を有
するため、耐水性、強度、耐溶剤性に優れ、後述の最終
段重合工程において乳化重合を行っても、この最終段重
合工程で用いるモノマーが該核の内部に侵入するこを抑
制する。このため、前記最終段重合工程で用いるモノマ
ーは前記核上で乳化重合し、該核上に表層を形成する。
【0031】本発明においては、前記核における、トル
エンに不溶性の部分が、該核の少なくとも20重量%
(20重量%以上)である場合に、該核が架橋構造を有
していることとする。本発明においては、前記核におけ
る、トルエンに不溶性の部分が、該核の少なくとも50
重量%(50重量%以上)であるのが好ましく、該核の
少なくとも80重量%(80重量%以上)であるのが特
に好ましい。前記核における、トルエンに不溶性の部分
が、該核の20重量%未満であると、架橋構造が十分で
ないため、表層の重合工程で用いるモノマーが該核の内
部に侵入し易く、そこで重合するため、特にエチレン性
不飽和カルボン酸を表層に多く分布することにより、発
現する再乳化性付与効果が低下することがある。
【0032】前記架橋構造の検証は、例えば、前記核の
重量に対する、トルエンで溶解した後の該核の重量の割
合(重量%)を求めることにより行うことができる。具
体的には、第一段の重合工程で得られた共重合体を乾燥
させフィルム化してその重量を測定し、これを室温で2
4時間トルエン抽出して残存フィルムの重量を測定す
る。これを下記式を用いてトルエン不溶分率(%)を算
出する。 トルエン不溶分率(%)=(抽出前のフィルム重量(g)
−抽出後のフィルム重量(g))/抽出前のフィルム重量
(g) ×100
【0033】前記第一段重合工程における重合反応の終
了後に、必要に応じて第二段重合工程、第三段重合工程
等を行い、以下の最終段重合工程における重合反応を開
始する。
【0034】−最終段重合工程− 前記最終段重合工程においては、前記水溶性オリゴマー
及び前記核の存在下、エチレン性不飽和カルボン酸と
(メタ)アクリル酸エステルとを、乳化重合して該核上
に、該水溶性オリゴマーが表面に吸着された表層を形成
する工程である。
【0035】前記エチレン性不飽和カルボン酸として
は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
でき、例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(M
AA)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸などが挙
げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの
中でも、再乳化性の付与や共重合性に優れる点でメタク
リル酸(MAA)が好ましい。
【0036】前記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、特に制限はなく、第一段目で例示したものを目的に
応じて適宜選択することができる。
【0037】前記その他の成分としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前
記エチレン性不飽和カルボン酸及び/又は前記(メタ)
アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマー、
前記重合開始剤、前記重合調整剤、乳化剤などが挙げら
れる。
【0038】前記エチレン性不飽和カルボン酸及び/又
は前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可
能なモノマーとしては、特に制限はなく、第一段目で
(メタ)アクリル酸エステルの共重合性モノマーとして
例示したものを目的に応じて適宜選択することができ
る。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上
を併用してもよい。
【0039】前記エチレン性不飽和カルボン酸の使用量
としては、最終段重合工程における全単量体に対し、5
〜50重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ま
しい。前記使用量が、50重量%を超えると耐水性がな
く、アルカリ存在下で増粘、ゲル状化することがあり、
5重量%未満であると再乳化性が得られないことがあ
る。
【0040】前記(メタ)アクリル酸エステルの使用量
としては、最終段重合工程における全単量体にに対し、
50〜95重量%が好ましく、70〜90重量%がより
好ましい。前記使用量が、95重量%を超えるとエチレ
ン性不飽和カルボン酸の使用量が不足するため、得られ
る再分散性アクリル系エマルジョンの再乳化性が得られ
ないことがあり、50重量%未満であると耐アルカリ性
や耐久性、耐水性が低下することがある。
【0041】前記その他の成分として前記エチレン性不
飽和カルボン酸及び/又は前記(メタ)アクリル酸アル
キルエステルと共重合可能なモノマーを用いる場合、該
モノマーの使用量としては、再分散性アクリル系エマル
ジョン粉末の最低造膜温度(MFT)が30℃以下、好
ましくは15℃以下になることを考慮しながら決定する
必要があるが、通常50重量%以下であり、30%以下
が好ましい。前記モノマーの使用量が、50重量%を超
えるとアクリル系単量体の使用量が減ることになり、耐
久性が低下することがある。前記その他の成分として、
前記重合開始剤、前記重合調整剤、前記乳化剤などを用
いる場合、これらの使用量としては、本発明の目的を害
しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する
ことができる。
【0042】なお、前記重合工程の段数が二段の場合、
前記第一段重合工程における核と、第二段重合工程にお
ける表層との重量比(核/表層)としては、90〜20
/10〜80が好ましく、70〜30/30〜70がよ
り好ましい。前記重量比が、前記第一段重合工程におけ
る核の重量が、得られる再分散性アクリル系エマルジョ
ン粉末の重量に対し90を超えると、該再分散性アクリ
ル系エマルジョン粉末の表層が少なくなり、再乳化性が
低下することがあり、前記第一段重合工程における核の
重量が、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末
の重量に対し20未満であると、表層に起因する再乳化
性と、核に起因する耐水性、強度付与等とのバランスを
良好にすることができる。
【0043】前記乳化重合の態様としては、特に制限は
なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
バッチ式乳化重合、モノマー滴下式乳化重合、乳化モノ
マー滴下式乳化重合、などのいずれであってもよい。
【0044】前記乳化重合の反応条件としては、特に制
限はなく、共重合成分の種類、目的等に応じて適宜選択
することができる。
【0045】以上の多段重合により、均一な乳白色の水
性エマルジョンが得られる。前記最終段重合工程におい
ても、前記水溶性オリゴマーが保護コロイドとして機能
するため、ソープフリーの状態で乳化重合反応を進行さ
せることができる。前記水溶性系オリゴマーは、第一段
目の重合工程でも保護コロイドとして機能するが、化学
結合で粒子内部の重合体と結合しておらず、単に表面に
吸着しているだけなので、第二段目以降の重合は核と保
護コロイド層の間で重合が進行する。よって、最終重合
工程でも保護コロイドとして機能するのである。所望に
より、pH調整剤、防腐剤、可塑剤などを添加すること
ができる。これらは特にに制限はなく、公知のものの中
から適宜選択すればよい。次に、該水性エマルジョンを
乾燥させる。
【0046】−乾燥− 前記乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じ
て適宜選択することができ、例えば、噴霧乾燥、凍結乾
燥、凝析後の温風乾燥などが挙げられる。これらの中で
も、生産コスト、省エネルギー、再乳化性の点で噴霧乾
燥が好ましい。
【0047】前記噴霧乾燥の場合、その噴霧形式として
は、特に制限はなく、例えばディスク式、ノズル式など
が挙げられる。また、前記噴霧乾燥の熱源としては、例
えば、熱風、加熱水蒸気などが挙げられる。前記噴霧乾
燥の条件としては、噴霧乾燥基の大きさ、種類、エマル
ジョンの濃度、粘度、流量等に応じて適宜選択すればよ
いが、温度としては、80〜150℃程度である。前記
噴霧乾燥の場合、例えば、まず前記水性エマルジョン中
の不揮発分を調整し、噴霧乾燥機のノズルより連続的に
供給し、霧状にしたものを温風により粉末化させる。
【0048】なお、本発明においては、その際、ブロッ
キング防止剤として適宜選択した公知の不活性な無機又
は有機粉末、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレ
ー、無水珪酸、珪酸アルミニウム、ホワイトカーボン、
アルミナホワイト等を使用することができる。これらの
中でも、平均粒径が0.01〜0.5μm程度の無水珪
酸、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム等が好ましい。
これらの粉末は、得られる再分散性アクリル系エマルジ
ョン粉末に対して2〜30重量%程度であるのが好まし
い。
【0049】なお、本発明においては、得られる再分散
性アクリル系エマルジョン粉末の水への再分散性をより
向上させる観点から、前記噴霧乾燥前の水性エマルジョ
ンに、水溶性添加剤を添加してもよい。前記水溶性添加
剤の使用量としては、前記噴霧乾燥前の水性エマルジョ
ンの固形分に対し、5〜50重量%が好ましい。前記添
加量が、50重量%を超えると再分散性アクリル系エマ
ルジョン粉末の耐水性が十分でなく、5重量%未満であ
ると、再分散性向上の効果が十分でないことがある。
【0050】前記水溶性添加剤としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチ
ルセルロース、澱粉誘導体、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレンオキサイド、水溶性アルキド樹脂、水溶性フ
ェノール樹脂、水溶性ウレア樹脂、水溶性メラミン樹
脂、水溶性グアナミン樹脂、水溶性ナフタレンスルホン
酸樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水
溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸樹脂、水溶性
ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポ
リオール樹脂、水溶性エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併
用してもよい。
【0051】以上により、本発明の再分散性アクリル系
エマルジョン粉末が製造される。本発明の再分散性アク
リル系エマルジョン粉末の製造方法によると、極めて効
率よく本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末を
製造することができる点で有利である。
【0052】本発明の再分散性アクリル系エマルジョン
粉末は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー成分と
して含む共重合体を含有し、架橋構造を有する核の表面
上に、(メタ)アクリル酸エステルとエチレン性不飽和
カルボン酸とをモノマー成分として含む共重合体を含有
し、水溶性オリゴマーが表面に吸着された表層を有して
なる
【0053】本発明の再分散性アクリル系エマルジョン
粉末は、アクリル系樹脂エマルジョン粉末と異なり、P
VA保護コロイド系ビニルアセテート樹脂エマルジョン
粉末並みの再分散性を有する点で有利である。このた
め、本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末は、
再分散性、耐水性、耐アルカリ性、造膜性等の応用物性
に優れ、既調合のセメント混和剤として、あるいは粉末
塗料や粉末接着剤等に好適に使用することができる。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0055】(実施例1) −第一段重合工程− 水溶性オリゴマーである(メタ)アクリル酸ナトリウム
−4−スチレンスルホネート共重合体30重量部及び水
50重量を添加した反応器に、下記組成のモノマー組
成物A−1の10重量部と、下記組成の触媒組成物C−
1の100重量部とを更に仕込み、内温80℃で10分
間初期重合させた。その後、モノマー組成物A−1の9
0重量部を2時間かけて滴下し、重合反応させた。 −−モノマー組成物A−1−− メチルメタクリレート(MMA)・・・・・・・・・・・ 35重量部 ブチルアクリレート(BA)・・・・・・・・・・・・・ 29重量部 テトラアリルオキシエタン(TAE)・・・・・・・・・1.3重量部 乳化剤(日本乳化剤(株)製、RA421)・・・・・・ 1重量部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55重量部 −−触媒組成物C−1−− 過硫酸アンモニウム(APS)・・・・・・・・・・・・0.4重量部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10重量部
【0056】−第二段重合工程− 上記第一段重合工程における反応液に、下記組成の触媒
組成物C−2の100重量部を添加し、下記組成のモノ
マー組成物A−2の100重量部を1.5時間かけて滴
下し、乳化重合させた。そして、80℃で1時間重合反
応を熟成し、完結させた。その後、10%水酸化ナトリ
ウム水溶液でpHを約9に調整した。 −−モノマー組成物A−2−− メチルメタクリレート(MMA)・・・・・・・・・・・ 9重量部 ブチルアクリレート(BA)・・・・・・・・・・・・・ 21重量部 メタクリル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7重量部 チオグリコール酸オクチル・・・・・・・・・・・・・・0.7重量部 −−触媒組成物C−2−− 過硫酸アンモニウム(APS)・・・・・・・・・・・・0.3重量部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10重量部
【0057】−噴霧乾燥− 以上の二段重合により水性エマルジョンを得た。この水
性エマルジョンを以下の条件にて噴霧乾燥させ、再分散
性アクリル系エマルジョン粉末を製造した。
【0058】以上により得られた再分散性アクリル系エ
マルジョン粉末について、以下の評価を行った。
【0059】<架橋構造の検証>前記架橋構造の検証
は、以下のようにして行った。各例の核の重合工程のみ
を行い1時間熟成して重合を終了させる。得られたエマ
ルジョンを剥離紙上に流し、40℃で16時間乾燥させ
フィルムを得、このフィルムの重量を測定する。次に、
このフィルムをトルエンに浸漬して室温下で24時間放
置し抽出する。抽出後のフィルムをデシケーター中に1
2時間放置し、フィルム中のトルエンを蒸発させ重量を
測定する。得られた測定結果を下記式よりトルエン不溶
分率(%)を算出した。その結果を表2に示した。 トルエン不溶分率(%)=(抽出前のフィルム重量(g)
−抽出後のフィルム重量(g))/抽出前のフィルム重量
(g) ×100
【0060】<再分散性>得られた再分散性アクリル系
エマルジョン粉末30重量部を、脱イオン水100重量
部に添加して、攪拌機を用いて十分に攪拌し、該脱イオ
ン水中に再分散させた。この再分散液をガラス容器に入
れ室温で放置した。このときの再分散性を以下の基準に
て評価した。その結果を表2に示した。 ○・・・均一な再分散液が得られ、エマルジョン粉末の
沈降が僅かしか観られない状態 ×・・・再分散液が相分離し、透明な液の相と沈降した
エマルジョン粉末の相とが観られる状態
【0061】<造膜性>再分散液をガラス板上にアプリ
ケーターで均一に塗布し、室温で12時間乾燥させ膜を
形成させる。得られる膜の状態により以下の基準にて評
価した。その結果を表2に示した。 ○・・・均一で強靱な膜が形成された状態 ×・・・膜が形成できないか、脆い膜が形成された状態
【0062】その結果、実施例1で得られた再分散性ア
クリル系エマルジョン粉末における核のトルエンに不溶
性の部分は、該核の100重量%であった。また、再分
散性は○であった。造膜性は○であった。
【0063】(実施例2〜6)実施例1において、水溶
性オリゴマー及びモノマー組成物A−1を表1に示す通
りに変更した外は、実施例1と同様にして行った。得ら
れた再分散性アクリル系エマルジョン粉末について実施
例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0064】(比較例1〜3)実施例1において、水溶
性オリゴマー、モノマー組成物A−1、乳化剤、及びモ
ノマー組成物A−2を表1に示す通りに変更した外は、
実施例1と同様にして行った。得られた再分散性アクリ
ル系エマルジョン粉末について実施例1と同様の評価を
行った。その結果を表2に示した。
【0065】
【表1】
【0066】なお、表1において、Aはメタクリル酸ナ
トリウム−4−スチレンスルホネート共重合体(25%
水溶液)を表し、Bはスチレン/無水マレイン酸共重合
体(25%)を表し、MMAはメチルメタクリレートを
表し、BAはブチルアクリレートを表し、Stはスチレ
ンを表し、TAEはテトラアリルオキシエタンを表し、
EDMAはエチレングリコールジメタクリレートを表
し、MAAはメタクリル酸を表し、TGOはチオグリコ
ール酸オクチルを表し、APSは過硫酸アンモニウムを
表す。
【0067】
【表2】
【0068】表2の結果からも明らかな通り、第一段重
合工程において水溶性オリゴマーを用いず、表層の表面
に水溶性オリゴマーが吸着されていない比較例1では、
得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末の再分散
性が不十分である。また、第一段重合工程において架橋
構造を有する核を形成せず、核が本発明における架橋構
造を有しない比較例2では、得られる再分散性アクリル
系エマルジョン粉末の再分散性及び造膜性が不十分であ
る。また、第二段重合工程においてエチレン性不飽和カ
ルボン酸を用いず、表層がエチレン性不飽和カルボン酸
をモノマー単位として含む共重合体を含有しない比較例
3では、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末
の再分散性及び造膜性が不十分である。一方、本発明の
実施例の再分散性アクリル系エマルジョン粉末は、いず
れも再分散性及び造膜性に優れていた。
【0069】
【発明の効果】本発明によると、前記従来における問題
を解決し、既調合のセメント混和剤、粉末塗料、粉末接
着剤等に好適に使用でき、再分散性、耐水性、耐アルカ
リ性、造膜性等の応用物性に優れた再分散性アクリル系
エマルジョン粉末、及び該再分散性アクリル系エマルジ
ョン粉末を効率よく製造し得る方法を提供することがで
きる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステルをモノマー
    成分として含む共重合体を含有し、架橋構造を有する核
    上に、(メタ)アクリル酸エステルとエチレン性不飽和
    カルボン酸とをモノマー成分として含む共重合体を含有
    し、水溶性オリゴマーが表面に吸着された表層を少なく
    とも有してなることを特徴とする再分散性アクリル系エ
    マルジョン粉末。
  2. 【請求項2】 水溶性オリゴマーの存在下で、(メタ)
    アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマー組成物を
    水性媒体中で共重合して核を形成した後、該水溶性オリ
    ゴマー及び該核の存在下で、エチレン性不飽和カルボン
    酸と(メタ)アクリル酸エステルとを乳化重合して該核
    上に表層を少なくとも形成してなる水性エマルジョンを
    乾燥して得られる請求項1に記載の再分散性アクリル系
    エマルジョン粉末。
  3. 【請求項3】 核における、トルエンに不溶性の部分
    が、該核の少なくとも50重量%である請求項1又は2
    に記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末。
  4. 【請求項4】 水溶性オリゴマーが、(メタ)アクリル
    酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体であ
    る請求項1から3のいずれかに記載の再分散性アクリル
    系エマルジョン粉末。
  5. 【請求項5】 水溶性オリゴマーの存在下で、(メタ)
    アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマー組成物を
    水性媒体中で共重合して架橋構造を有する核を形成する
    第一段重合工程と、該水溶性オリゴマー及び該核の存在
    下で、エチレン性不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル
    酸エステルとを乳化重合して該核上に、該水溶性オリゴ
    マーが表面に吸着された表層を形成する最終段重合工程
    とを少なくとも含む多段重合により得られた水性エマル
    ジョンを、乾燥することを特徴とする再分散性アクリル
    系エマルジョン粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 第一段重合工程において、重合性不飽和
    基を2個以上有するモノマーを用いる請求項5に記載の
    再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法。
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