JPH11292653A - セラミック多孔体及びその製造方法 - Google Patents

セラミック多孔体及びその製造方法

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JPH11292653A
JPH11292653A JP10697098A JP10697098A JPH11292653A JP H11292653 A JPH11292653 A JP H11292653A JP 10697098 A JP10697098 A JP 10697098A JP 10697098 A JP10697098 A JP 10697098A JP H11292653 A JPH11292653 A JP H11292653A
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porous body
porous
ceramic
clay mineral
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JP10697098A
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Yoshinori Isomura
佳範 磯村
Shigekazu Mase
茂和 間瀬
Hisatomi Taguchi
久富 田口
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Noritake Co Ltd
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    • C04B38/06Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof by burning-out added substances by burning natural expanding materials or by sublimating or melting out added substances
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Abstract

(57)【要約】 【課題】微細な細孔構造を有することができる(特に、
薄膜状にした場合でも微細な細孔構造を有することがで
き製膜性に優れる)セラミック多孔体及びその製造方
法、低い焼成温度で高強度及びシャープな細孔分布を有
して製造することができるセラミック多孔体及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】スメクタイト粒子を含有させた無機多孔質
膜形成用原料スラリーを用いて前記スラリーの乾燥成形
層を無機多孔質支持体を被覆する無機多孔質中間層の表
面に形成し、前記乾燥成形層を形成した支持体を比較的
低温で焼成することにより、細孔径の寸法分布が小さく
微細な細孔構造を有する高強度の無機多孔質濾過膜を前
記無機多孔質中間層の表面に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック多孔体
及びその製造方法に関し、より詳細には、精密濾過、限
外濾過、ガス分離等の各種分離操作、あるいは触媒担体
等に使用することができるセラミック多孔体及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミック多孔体は、食品、医薬品、バ
イオテクノロジー等の産業分野で、分離、濾過、濃縮等
の工程に利用されている。また、セラミック多孔体は、
各種環境汚染ガス浄化装置用あるいは有毒ガス検出用触
媒担体等としても利用されている。
【0003】従来、セラミック多孔体あるいは支持体上
にセラミック膜を製膜するプロセスについて様々な研究
がなされ、上記用途に適した、均一な細孔径分布を有す
るセラミック多孔体を作製する種々のプロセスが提案さ
れている。
【0004】例えば、球状アルミナ粉末等のセラミック
球状粒子又は球状造粒粒子を骨剤とする方法(特開昭6
2−191480号公報)、高圧ガス中で焼成し、細孔
径分布を焼成時ガス圧力により制御する方法(特開平2
−83277号公報)、還元雰囲気中1800℃以上で
焼成することにより骨剤としてのアルミナ粒子表面を滑
らかにして高アルミナ質多孔焼結体を製造する方法(特
開平2−149482号公報)、均一な粒径及び形状を
有するα−アルミナ、チタニア又はジルコニアの多面体
結晶の成形体(前記多面体結晶のプレス成形体、又は、
前記多面体結晶を含有するスラリーをスリップキャステ
ィング法により成形して得た成形体等)を焼成して、細
孔径(体積平均径)の積算分布の大径側から累積10
%、累積90%に相当する細孔径をそれぞれD10、D
90としたとき、D10/D90比が3以下の細孔径分
布を有する無機焼結多孔体を得る方法(特開平9−15
7060号公報)等が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の公報に開示され
ている従来の方法では、微細な細孔構造を有するセラミ
ック多孔体を得ることは困難であった。
【0006】例えば、特開昭62−191480号公報
で開示された方法では、微細な球状粒子を得ることが難
しいため、細孔径を1μm以下に制御したセラミック多
孔体を製造することは困難である。
【0007】例えば、特開平2−149482号公報で
開示された製造条件では、還元雰囲気中において焼成温
度を1800℃以上とする必要がある。そのため、この
ような高温での焼成では粒成長あるいは焼結の進行によ
り気孔率が低下し、得られる高アルミナ質多孔焼結体の
細孔径分布にもバラツキが生じるという問題点がある。
従って、微細な細孔構造を残存させることは困難とな
る。
【0008】例えば、特開平9−157060号公報で
開示された製造条件では、単層の焼結多孔体としては均
一な細孔径を有するため、平均1次粒子径の小さい原料
粉末を用いた場合には微細な細孔構造の無機焼結多孔体
を得ることが可能であるものの、平均1次粒子径の大き
い(例えば、1μm以上の)原料粉体を用いて単層の焼
結多孔体を製造する場合には比較的高温での焼成が必要
となり気孔率が低下し微細な細孔構造を残存させること
は困難になるという問題点が生じる。
【0009】この問題点を回避するために焼成温度を低
くすると、使用するのに十分な強度を有する無機焼結多
孔体が得られないという問題が生じる。
【0010】また、フィルター等への利用では高い透過
流量を得るため支持体上に細孔径を傾斜化させた(支持
体の細孔径よりも小さい細孔径にした)無機多孔質膜を
形成する構造にするから、製膜時に単分散性の良好なセ
ラミック原料粉末を用いると、前記セラミック原料粉末
は支持体細孔内への浸透性が高いため支持体細孔内へ浸
透してしまうから、細孔を有する多孔体表面への微細な
細孔構造を有する無機多孔質膜の形成そのものに問題が
生じる。
【0011】本発明は、上記のような従来技術における
問題点を解決し、微細な細孔構造を有することができる
(特に、薄膜状にした場合でも微細な細孔構造を有する
ことができ製膜性に優れる)セラミック多孔体及びその
製造方法を提供することを目的とする。また、本発明
は、低い焼成温度(特に、空気雰囲気中)で高強度及び
シャープな細孔分布を有して製造することができるセラ
ミック多孔体及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、無機多孔質
膜を形成するための原料スラリーとして、有効量のスメ
クタイト粒子(膨潤性層状粘土鉱物粒子)を分散させた
無機多孔質膜形成用スラリーを用いて前記スラリーの乾
燥成形層を無機多孔質支持体表面に形成し、前記乾燥成
形層を形成した支持体を低温で焼成したところ、細孔径
の寸法分布が小さく微細な細孔構造を有する高強度の無
機多孔質膜を無機多孔質支持体表面に形成することがで
きる、ということを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0013】即ち、本発明の第1の視点によれば、有効
量の膨潤性層状粘土鉱物粒子を含む無機質粒子が結合し
て成る無機多孔質体を含むセラミック多孔体により上記
目的の少なくとも一つを達成することができる。このセ
ラミック多孔体は、次のようにすることができる。
【0014】前記無機多孔質体は、膨潤性層状粘土鉱物
粒子以外の無機質粒子100重量部に対して膨潤性層状
粘土鉱物5重量部以下を含む無機質粒子が結合して成る
ものにすることができる。前記膨潤性層状粘土鉱物は、
スメクタイト及び膨潤性合成雲母のうちの1種以上にす
ることができる。前記無機多孔質体の細孔径は1μm以
下にすることができる。前記無機多孔質体の空隙率は1
0〜60体積%にすることができる。
【0015】前記無機多孔質体は、累積細孔体積分布の
大径側からの累積10%に相当する細孔直径D10と累
積90%に相当する細孔直径D90の比D10/D90
が3以下の細孔径分布を有するものにすることができ
る。無機質支持体と、前記支持体を被覆する1層以上の
無機質被覆層から成るセラミック多孔質非対称膜であっ
て、前記支持体を被覆する1層以上の無機質被覆層のう
ちの少なくとも1層として、薄層状の前記無機多孔質体
を含むセラミック多孔体にすることができる。前記支持
体は前記無機多孔質体にすることができる。
【0016】本発明の第2の視点によれば、有効量の膨
潤性層状粘土鉱物粒子を含む無機質粒子が分散するスラ
リーの乾燥成形体を焼成する焼成工程を含むセラミック
多孔体の製造方法により上記目的の少なくとも一つを達
成することができる。このセラミック多孔体の製造方法
は、次のようにすることができる。
【0017】前記乾燥成形体として、膨潤性層状粘土鉱
物以外の無機質粒子100重量部に対して膨潤性層状粘
土鉱物5重量部以下を含む乾燥成形体を用いることがで
きる。前記乾燥成形体として、膨潤性層状粘土鉱物粒子
がコロイダルに分散するスラリーの乾燥成形体を用いる
ことができる。前記膨潤性層状粘土鉱物として、スメク
タイト及び膨潤性合成雲母のうちの1種以上を用いるこ
とができる。
【0018】前記乾燥成形体を空気雰囲気中において1
800℃未満で焼成することができる。無機質支持体表
面に直接又は1層以上の無機多孔質層を介して形成され
た薄層状の前記乾燥成形体を焼成することができる。な
お、本発明において数値範囲の記載は、両端値のみなら
ず、その中に含まれる全ての任意の中間値を含むものと
する。
【0019】以下、本発明のセラミック多孔体の製造方
法において、前記スラリーの乾燥成形体(即ち、有効量
の膨潤性層状粘土鉱物粒子を含む無機質粒子が分散する
スラリーの乾燥成形体)を用いることの意義を具体的な
例に基づいて説明する。
【0020】有効量のスメクタイト粒子を含む無機質粒
子が分散するスラリーにおいては、無機質粒子の間隙に
スメクタイト粒子がコロイド状に分散している。例え
ば、セラミック多孔質膜を無機多孔質支持体に形成する
製造プロセスでは、無機質粒子(特に、シャープな粒度
分布を有しかつ単分散性の良好なスラリー原料粒子)の
間隙にスメクタイトをコロイド状に分散させて調製した
原料スラリーをディップコーティング法によって、前記
スラリーの薄層状乾燥成形体を無機多孔質支持体の表面
に均質に形成することができる。
【0021】前記スラリーを用いてのディップコーティ
ング法による製膜では、無機多孔質支持体の浸漬および
引上げ時に、スメクタイトのチクソトロピー性が良好な
ため前記支持体の細孔の細孔内立体障害によりスメクタ
イトのミクロな凝集を生じさせることが容易に可能とな
る。特に、スメクタイトは水を含むと顕著な体積膨脹を
生じると共に、スラリーにおけるスラリー原料粒子の分
散性は良好に保たれたまま個々のスラリー原料粒子間に
乾燥にともない徐々に強くなるネットワークを付加する
ため、成形時(膜を乾燥させて乾燥成形体を得る時)の
無機多孔質支持体内への無機質粒子の浸透性を減少させ
るとともに、乾燥時のガスの発生およびキャピラリー圧
力による微細構造の破壊をスムーズに抑制すると考えら
れる。
【0022】このような製造プロセスにより、前記無機
多孔質支持体表面上に均質な微細構造を有する1層以上
の無機多孔質層(2層以上の無機多孔質層の場合は、一
般的に、最外層を濾過層とし、無機多孔質支持体と最外
層の間に1層以上の中間層を形成する)を、欠陥の発生
を大きく抑制して薄く形成することが可能となる。その
結果、高く安定した透過速度および分離係数を有する非
対称膜(例えば、図5に示すもの)の作製が期待でき、
それと付随して製膜プロセスの高い再現性、種々の細孔
径を有する支持体への適用等が可能となる。なお、前記
非対称膜とは、無機多孔質支持体(又は無機多孔質支持
体に形成された無機多孔質層)の表面に前記無機多孔質
支持体(又は前記無機多孔質支持体に形成された無機多
孔質層)の細孔径とは異なる径の細孔を有する無機多孔
質膜を形成して成る無機多孔質体(前記無機多孔質支持
体を含み、前記無機多孔質層が存在する場合はこれも含
む。)のことである。
【0023】また、前記スラリーの乾燥成形体(単層)
を焼成して単層のセラミック多孔体を製造する場合は、
得られる単層のセラミック多孔体(無機質焼結多孔体)
は均一な細孔径を有するため、微細な細孔構造のセラミ
ック多孔体(無機質焼結多孔体)を得ることが可能であ
り、平均1次粒子径の比較的大きな原料粉体(無機質粒
子粉体)を用いて単層のセラミック多孔体を製造する場
合にも、気孔率の低下を生じない比較的低温での焼成で
高強度を得ることが可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】〔セラミック多孔体〕本発明のセ
ラミック多孔体は、有効量の膨潤性層状粘土鉱物粒子を
含む無機質粒子が結合して成る無機多孔質体を含む。即
ち、本発明のセラミック多孔体は、前記無機多孔質体の
みから成るものにすることができ、また、前記無機多孔
質体を2以上結合して成るものや、薄層状の前記無機多
孔質体を2層以上積層して成るものにすることができ
る。
【0025】さらに、本発明のセラミック多孔体は、十
分な強度を得るため支持体(例えば、無機質支持体や無
機多孔質支持体)に、前記無機多孔質体を1以上形成し
て成るものや、薄層状の前記無機多孔質体を1層以上積
層して成るものにすることができる。その上、前記支持
体自体を前記無機多孔質体にすることができる。
【0026】本発明のセラミック多孔体は、例えば、無
機質支持体と、前記支持体を被覆する1層以上の無機質
被覆層から成る多層状のセラミック多孔体であって、前
記支持体を被覆する1層以上の無機質被覆層のうちの少
なくとも1層として、薄層状の前記無機多孔質体を含む
ものにすることができる。
【0027】[無機多孔質体]本発明のセラミック多孔
体における無機多孔質体は、有効量の膨潤性層状粘土鉱
物粒子を含む無機質粒子が結合して成るもの(好ましく
は、焼結により結合して成る焼結体)であり、前記無機
質粒子間の間隙として形成される細孔を有する。
【0028】前記無機多孔質体は、膨潤性層状粘土鉱物
粒子以外の無機質粒子100重量部に対して膨潤性層状
粘土鉱物(特にスメクタイト)を好ましくは10重量部
以下(5〜10重量部、又は5重量部以下)含む無機質
粒子が結合して成るものにすることができる。膨潤性層
状粘土鉱物には、膨潤性タイプの合成雲母が含まれる。
膨潤性層状粘土鉱物は、好ましくは、スメクタイト及び
膨潤性タイプの合成雲母のうちの1種以上にする。
【0029】前記無機多孔質体の平均細孔径は、用途な
いし使用目的に応じて適宜設定することができる。例え
ば10μm以下(10μm、5μm、1μm等)にする
ことができ、特に、1μm以下にすることができる。
【0030】前記無機多孔質体の空隙率は、用途ないし
使用目的に応じて適宜設定することができる。例えば、
10〜60体積%にすることができ、特に30〜40体
積%、40〜50体積%の高空隙率にすることができ
る。
【0031】前記無機多孔質体は、累積細孔体積分布の
大径側からの累積10%に相当する細孔直径D10と累
積90%に相当する細孔直径D90の比D10/D90
が好ましくは3以下(より好ましくは2.5以下)の細
孔径分布を有するものにすることができる。
【0032】前記無機多孔質体の強度(例えば、3点曲
げ強度)は、40MPa以上にすることができ、好まし
くは40〜50MPa程度にすることができ、特に46
MPa程度の高強度にすることができる。
【0033】無機質支持体を直接又は無機質被覆層を介
して被覆する薄層状の前記無機多孔質体の厚さは、例え
ば50〜80μm、また20〜50μm、さらに80〜
100μmにすることができる。特に、前記厚さを10
〜20μm程度にまで薄くすることができる。
【0034】本発明のセラミック多孔体の純水透過流束
は、例えば5〜20リットル/m2・min、また50
0〜800リットル/m2・min、また1000〜1
200リットル/m2・minにすることができる。
【0035】〔セラミック多孔体の製造方法〕本発明の
セラミック多孔体の製造方法は、有効量の膨潤性層状粘
土鉱物粒子を含む無機質粒子が分散するスラリーの乾燥
成形体を焼成する焼成工程を含む製造方法であり、この
焼成工程の前には、前記スラリーの製造工程、前記スラ
リーから成形体(前記スラリーの乾燥成形体)を得る成
形工程を設けることができる。
【0036】[スラリー製造工程]本発明のセラミック
多孔体の製造方法には、前記スラリーから成形体(前記
スラリーの乾燥成形体)を得る前記成形工程の前に、前
記スラリーを得るスラリー製造工程を設けることができ
る。
【0037】前記スラリーの原料としては、好ましく
は、膨潤性層状粘土鉱物粒子(特に、スメクタイト粒
子)、膨潤性層状粘土鉱物以外の無機質粒子、水溶性有
機バインダー、前記無機質粒子を分散させる分散剤及び
水を用い、これらの原料を好ましくはボールミル等によ
り15時間以上混合撹拌してスラリーを製造する。膨潤
性層状粘土鉱物としては、好ましくは、スメクタイト及
び膨潤性タイプの合成雲母のうちの1種以上を用いる。
【0038】スメクタイトは、層状粘土鉱物の一種であ
る膨潤性層状粘土鉱物であり、モンモリロナイト−サポ
ナイト群鉱物として一般に知られており、例えば、ベン
トナイト、モンモリロナイト、ソーコナイト、ヘクトラ
イト等が含まれる。スメクタイトは、天然のものでもよ
いが、合成した市販品を用いることができる。
【0039】前記スラリーの原料のスメクタイトの乾燥
時における平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm
(より好ましくは0.1〜2μm)にすることができ
る。
【0040】膨潤性層状粘土鉱物粒子以外の無機質粒子
としては、セラミック多孔体の原料として使用すること
ができる各種の無機質粒子を用いることができ、好まし
くは単分散性の良好な無機質粒子を用いる。単分散性の
良好な無機質粒子とは、スラリーを十分撹拌後、数時間
の放置では大部分の粒子が1次粒子の状態に保たれる程
度に分散性が良好である無機質粒子である。例えば、ア
ルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子等において
は、このような単分散性の良好な無機質粒子がある。な
お、無機質粒子の単分散性が良好か否かの判断は、電子
顕微鏡(SEM)により粒子の形・大きさを直接観察す
る方法、粘度測定等のレオロジー的手法、沈降速度差を
利用した沈降法によって行うことができる。
【0041】前記スラリーの原料の膨潤性層状粘土鉱物
粒子以外の無機質粒子の平均粒子径は、製造しようとす
るセラミック多孔体に応じて適宜設定することができ、
例えば30〜40μm、また例えば3.0〜3.4μ
m、また例えば0.3〜0.4μmにすることができ
る。なお、製造しようとするセラミック多孔体の平均細
孔径:原料の無機質粒子(膨潤性層状粘土鉱物以外の無
機質粒子)の粒径の比は、通常はおよそ1:3〜1:4
の範囲である。
【0042】膨潤性層状粘土鉱物粒子以外の無機質粒子
は、好ましくは、粒子径の均一性が高いものを用いる。
より好ましくは、スラリーの乾燥成形体を焼成して得ら
れる焼成体(無機多孔質体)における無機粒子間の間隙
として形成される細孔が、累積細孔体積分布の大径側か
ら、累積10%、累積90%に相当する細孔直径をそれ
ぞれD10、D90とした時、D10/D90比が3以
下(より好ましくは2.5以下)の細孔径分布を有する
焼成体を得ることができる程度に、粒子径の均一性が高
いものを用いる。
【0043】前記スラリーの原料の膨潤性層状粘土鉱物
(特に、スメクタイト)粒子の乾燥時の平均粒子径:前
記膨潤性層状粘土鉱物粒子以外の無機質粒子の平均粒子
径の比は、好ましくは1:0.1〜50(より好ましく
は1:0.5〜10)である。
【0044】水溶性有機バインダーとしては、セラミッ
ク多孔体の製造時に使用することができる各種の水溶性
有機バインダーを用いることができる。
【0045】無機質粒子を分散させる分散剤としては、
セラミック多孔体の製造時に使用することができる各種
の分散剤を用いることができる。このような分散剤とし
ては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩等があ
る。
【0046】前記スラリーの原料の混合比、即ち、膨潤
性層状粘土鉱物(特に、スメクタイト)粒子の重量:膨
潤性層状粘土鉱物粒子以外の無機質粒子の重量:水溶性
有機バインダーの重量:分散剤の重量:水の重量の混合
比は、好ましくは、1〜2:80〜120:30〜5
0:0.1〜0.2:75〜185にすることができ
る。
【0047】[成形工程]本発明のセラミック多孔体の
製造方法には、前記焼成工程の前に、前記スラリー製造
工程で得られたスラリーから乾燥成形体を得る成形工程
を設けることができる。
【0048】前記スラリーの乾燥成形体は、前記スラリ
ーを乾燥させて得ることができる。例えば、ディップコ
ーティングにより支持体に前記スラリーを用いて膜を形
成し、前記スラリーの膜を乾燥して得ることができる。
前記スラリーの膜の乾燥温度は好ましくは15〜60℃
(より好ましくは15〜30℃)であり、乾燥時間は好
ましくは24時間以上である。
【0049】また、前記スラリーを型に流し込んで前記
スラリーを乾燥させて前記スラリーの乾燥成形体を得る
ことができる。前記スラリーの乾燥温度は好ましくは2
0〜60℃(より好ましくは15〜30℃)であり、乾
燥時間は乾燥させようとするスラリーの寸法に応じて適
宜設定することができる。
【0050】[焼成工程]本発明のセラミック多孔体の
製造方法における焼成工程は、有効量の膨潤性層状粘土
鉱物粒子を含む無機質粒子が分散するスラリーの乾燥成
形体を焼成する工程である。
【0051】前記乾燥成形体として、膨潤性層状粘土鉱
物以外の無機質粒子100重量部に対して膨潤性層状粘
土鉱物を好ましくは10重量部以下(5〜10重量部、
又は5重量部以下)を含む乾燥成形体を用いる。
【0052】前記乾燥成形体として、好ましくは、膨潤
性層状粘土鉱物粒子がコロイダルに分散するスラリーの
乾燥成形体を用いる。
【0053】本発明のセラミック多孔体の製造方法で
は、無機質支持体に直接又は1層以上の無機多孔質層を
介して形成された薄層状の前記乾燥成形体を焼成して、
無機質支持体に1層以上の無機多孔質層を形成すること
ができる。
【0054】前記乾燥成形体の焼成条件は、使用する無
機質粒子の種類に応じて適宜設定することができる。ア
ルミナ粒子を用いる場合、通常は900〜1800℃で
2〜4時間焼成して、セラミック多孔体を得ることがで
きる。
【0055】前記乾燥成形体は、好ましくは、空気雰囲
気中において1800℃未満(より好ましくは900〜
1600℃、さらに好ましくは900〜1350℃)で
焼成する。特に、900〜1250℃の比較的低温で焼
成することができる。
【0056】
【実施例】[実施例1]粒径を精密制御したアルミナ
(住友化学製スミコランダムAA5:平均1次粒子径5
μm)100重量部、水系有機バインダー(第一工業製
薬製セラモTB−01)45重量部、ポリカルボン酸ア
ンモニウム塩の分散剤(東亜合成化学製)0.1重量
部、豊順ベントナイト(豊順洋行製)1重量部に水90
重量部を加え、このような調合のスラリー原料をアルミ
ナポット(φ30mm玉石使用)で16時間攪拌して製
膜用スラリーを得た。
【0057】この製膜用スラリー中にチューブ状支持体
(外径10mm、内径7mm)を浸漬し、ディップコー
ティングにより多孔質支持体外側表面にスラリー膜を製
膜し、常温乾燥後、空気雰囲気で焼成して、前記多孔質
支持体に多孔質層(厚さ120μm)を形成した。焼成
温度は1550℃、焼成時間は2時間とした。
【0058】なお、スラリー膜の製膜前の前記多孔質支
持体の平均細孔直径及び気孔率(体積%、以下同様)を
水銀圧入法により測定したところそれぞれ11.0μ
m、40.2%であった。
【0059】[比較例1]製膜用スラリーの原料の調合
で豊順ベントナイト(豊順洋行製)無添加とした他は実
施例1と同様な条件で支持体外側表面に焼成膜を製膜し
た。
【0060】[実施例2]製膜用スラリーの原料とし
て、アルミナ(住友化学製スミコランダムAA5:平均
1次粒子径5μm)100重量部、水系有機バインダー
(第一工業製薬製セラモTB−01)40重量部、ポリ
カルボン酸アンモニウム塩の分散剤(東亜合成化学製)
0.1重量部、親水性合成スメクタイト(コープケミカ
ル製SWF)1重量部及び水80重量部を用いた他は実
施例1と同様な製膜条件で支持体外側表面上に膜(厚さ
130μmの多孔質層)を作製した。
【0061】[比較例2]製膜用スラリーの原料の調合
で合成スメクタイト(コープケミカル製SWF)無添加
とした他は実施例2と同様な条件で膜を製膜をした。
【0062】[実施例3]製膜用スラリーとして、アル
ミナ(住友化学製スミコランダムAA5:平均1次粒子
径5μm)100重量部、有機ベントナイト(白石工業
製NEWDORBEN)2重量部、トルエン(試薬1
級)80重量部をスターラーで攪拌後、90%メタノー
ル溶液を添加して、アルミナポット(φ30mm玉石使
用)で16時間攪拌して得られた製膜用スラリーを用い
た他は実施例1と同様な製膜条件で多孔質支持体外側表
面上に膜(厚さ140μmの多孔質層)を作製した。
【0063】[比較例3]製膜用スラリーの原料の調合
で有機ベントナイト(白石工業製)無添加とした他は実
施例3と同様な条件で膜を製膜した。
【0064】[実施例4]製膜用スラリーの原料とし
て、アルミナ(住友化学製スミコランダムAA3:平均
1次粒子径3μm)100重量部、水系有機バインダー
(第一工業製薬製セラモTB−01)45重量部、ポリ
カルボン酸アンモニウム塩の分散剤(東亜合成化学製)
0.1重量部、豊順ベントナイト(豊順洋行製)1重量
部及び水75重量部を用いると共に、チューブ状支持体
として下記のパイプ状多孔質支持体を用い、焼成温度を
1450℃とした他は実施例1と同様にして前記支持体
外側表面上に膜(厚さ100μmの多孔質層)を作製し
た。
【0065】得られた無機焼結非対称膜の膜構造(膜の
厚さ方向の断面の構造)を示す電子顕微鏡写真(200
0倍)を図1に示した。図1より、支持体表面上に膜が
薄く剥離を生じることなく形成されていることが確認さ
れた。
【0066】また、膜外表面の電子顕微鏡写真(200
0倍)を図2に示した。図2より、1450℃焼成の場
合では、実施例4で得られた膜は図4に示す比較例4の
膜に比べて各粒子間に高い焼結強度が得られている、と
いうことが確認された。前記膜の形成前の前記多孔質支
持体の平均細孔直径及び気孔率を水銀圧入法により測定
したところ、それぞれ11.0μm、38.0%であっ
た。
【0067】なお、前記パイプ状多孔質支持体は、次の
ようにして得た。まず、アルミナ(住友化学製スミコラ
ンダムAA3:平均1次粒子径3μm)100重量部、
メチルセルロース3重量部、ワックスエマルジョン2重
量部、潤滑剤ユニルーブ(日本油脂製)2重量部に水2
0重量部を加えて混練し、押出成形機によってパイプ状
の成形体(外径19mm、内径7mm)を押出し、乾燥
した。次に、乾燥したパイプ状の成形体を空気雰囲気中
で焼成してパイプ状多孔質支持体を得た。焼成温度は1
450℃、焼成時間は2時間とした。得られたパイプ状
多孔質支持体の平均細孔直径を水銀圧入法で測定したと
ころ0.65μmであった。
【0068】[比較例4]製膜用スラリーの原料の調合
で豊順ベントナイト(豊順洋行製)無添加とした他は実
施例4と同様な条件で膜を製膜した。得られた無機焼結
非対称膜の膜構造(膜の厚さ方向の断面の構造)を示す
電子顕微鏡写真(2000倍)を図3に示した。図3よ
り、従来のプロセスでは支持体表面上に薄い膜は十分に
形成されないことが確認された。図4に、膜外表面の電
子顕微鏡写真(2000倍)を示した。
【0069】[実施例5]平均細孔直径14.2μm
(水銀圧入法で測定)のチューブ状支持体(外径10m
m、内径7mm)をディップコーティングで用いる支持
体とした他は実施例4と同様な製膜条件で、前記チュー
ブ状支持体の外側表面上に膜(厚さ100μmの多孔質
層)を作製した。
【0070】[実施例6]低ソーダアルミナ(昭和電工
製AL45−H:平均1次粒子径3μm)100重量
部、水系有機バインダー(第一工業製薬製セラモTB−
01)40重量部、ポリカルボン酸アンモニウム塩の分
散剤(東亜合成化学製)0.1重量部、豊順ベントナイ
ト(豊順洋行製)1重量部に水90重量部加え、このよ
うな調合のスラリー原料をアルミナポット(φ30mm
玉石使用)で16時間攪拌して中間層製膜用スラリーを
得た。この中間層製膜用スラリー中にチューブ状支持体
(外径10mm、内径7mm)を浸漬し、ディップコー
ティングにより支持体外側表面に膜を製膜し、常温乾燥
後、空気雰囲気で焼成し中間層(厚さ80μmの多孔質
層)を形成した。焼成温度は1450℃、焼成時間は2
時間とした。
【0071】さらにアルミナ(住友化学製スミコランダ
ムAA03:平均1次粒子径0.3μm)100重量
部、水系有機バインダー(第一工業製薬製セラモTB−
01)45重量部、ポリカルボン酸アンモニウム塩の分
散剤(東亜合成化学製)0.1重量部、豊順ベントナイ
ト(豊順洋行製)2重量部に水165重量部を加え、こ
のような調合のスラリー原料をアルミナポット(φ30
mmの玉石使用)で16時間攪拌して濾過膜製膜用スラ
リーを得た。この濾過膜製膜用スラリー中に前記中間層
まで製膜した前記支持体を浸漬させ、前記中間層外側表
面にスラリー膜を製膜し、乾燥後、焼成して、濾過膜
(厚さ80μmの多孔質層)を形成した。焼成温度は1
250℃、焼成時間は2時間とした。なお、前記中間層
を形成する前の前記多孔質支持体の平均細孔直径及び気
孔率を水銀圧入法により測定したところ、それぞれ1
1.0μm、40.6%であった。
【0072】[実施例7]濾過膜製膜用スラリーの原料
として、アルミナ(住友化学製スミコランダムAA0
5:平均1次粒子径0.5μm)100重量部、水系有
機バインダー(第一工業製薬製セラモTB−01)45
重量部、ポリカルボン酸アンモニウム塩の分散剤(東亜
合成化学製)0.1重量部、豊順ベントナイト(豊順洋
行製)2重量部及び水185重量部を用いると共に、焼
成温度を1300℃とした他は実施例6と同様な製膜条
件で、支持体外側表面上に中間層(厚さ80μmの多孔
質層)そして濾過膜(厚さ50μmの多孔質層)を形成
した。
【0073】[実施例8]中間層製膜用スラリーの原料
として、アルミナ(住友化学製スミコランダムAA5:
平均1次粒子径5μm)100重量部、水系有機バイン
ダー(第一工業製薬製セラモTB−01)40重量部、
ポリカルボン酸アンモニウム塩の分散剤(東亜合成化学
製)0.1重量部、豊順ベントナイト(豊順洋行製)1
重量部及び水80重量部を用いると共に、焼成温度を1
550℃とした他は実施例6と同様な中間層作製条件
で、支持体表面上に中間層(厚さ120μmの多孔質
層)を形成した。
【0074】また、濾過膜製膜用スラリーの原料とし
て、アルミナ(住友化学製スミコランダムAA03:平
均1次粒子径0.3μm)100重量部、水系有機バイ
ンダー(第一工業製薬製セラモTB−01)45重量
部、ポリカルボン酸アンモニウム塩の分散剤(東亜合成
化学製)0.1重量部、豊順ベントナイト(豊順洋行
製)2重量部及び水165重量部を用いると共に、焼成
温度を1250℃とした他は実施例6と同様な条件で、
濾過膜(厚さ40μmの多孔質層)を中間層の表面上に
形成した。
【0075】[実施例9]中間層製膜用スラリーの原料
として、アルミナ(住友化学製スミコランダムAA5:
平均1次粒子径5μm)100重量部、水系有機バイン
ダー(第一工業製薬製セラモTB−01)35重量部、
ポリカルボン酸アンモニウム塩の分散剤(東亜合成化学
製)0.1重量部、親水性合成スメクタイト(コープケ
ミカル製SWF)1重量部及び水75重量部を用い、焼
成温度を1550℃とした他は実施例6と同様な中間層
製作条件で、中間層(厚さ110μmの多孔質層)を支
持体表面に製膜した。
【0076】また、濾過膜製膜用スラリーの原料とし
て、アルミナ(住友化学製スミコランダムAA05:平
均1次粒子径0.5μm)100重量部、水系有機バイ
ンダー(第一工業製薬製セラモTB−01)45重量
部、ポリカルボン酸アンモニウム塩の分散剤(東亜合成
化学製)0.1重量部、親水性合成スメクタイト(コー
プケミカル製SWF)1重量部及び水185重量部を用
いた他は実施例7と同様な条件で前記中間層の表面に濾
過膜(厚さ40μmの多孔質層)を形成した。
【0077】上記実施例及び比較例について、用いた支
持体の平均細孔径(μm)と気孔率(体積%)、第1層
(最外層又は中間層)の平均粒子径(μm)と膜厚(μ
m)、第2層(濾過膜)の平均粒子径(μm)と膜厚
(μm)、バブルポイント法によるバブルポイント圧
(MPa)、純水透過流束(l/m2・min)、及び
ピンホール・クラック等の欠陥の状態(ピンホールやク
ラックの有無)を表1に示した。
【0078】
【表1】
【0079】得られた非対称膜では、表1から明らかな
ように、原料(スラリー)にスメクタイト(膨潤性層状
粘土鉱物)を含有させない場合には乾燥時にピンホー
ル、クラック等の欠陥が発生している。膜厚が薄くても
スメクタイトを添加したスラリーを用いる場合にはピン
ホール、クラック等の欠陥の発生が抑制されていること
が分かる。
【0080】特に、表1に示すような比較的細孔直径の
大きな支持体表面上に、粒度の揃ったあるいは粒径の大
きい原料粒子のスラリーを用いて薄い多孔質層(第1
層)を形成する場合でも、欠陥(ピンホール、クラック
等の欠陥)の発生を抑制して製膜することができる。
【0081】本発明の製造方法により得られる膜(薄層
状の無機多孔質体)は、上記実施例に示すように、セラ
ミック原料粒子がシャープな粒度分布を有していれば均
質かつ高強度となり、それと付随し製膜後の欠陥の発生
も大きく減少する。その結果、高く安定した透過流束お
よび分離係数を有する非対称膜の作製が期待できる。
【0082】なお、各非対称膜の性能については、バブ
ルポイント法(JIS K 3832)を利用して評価
した。各非対称膜でのバブルポイント圧(10回測定し
た平均値)は表1に示す通りである。
【0083】実施例4で得た膜では、バブルポイント圧
の10回測定した平均値として0.08(MPa)を得
た。これは最大として直径約2.5(μm)の円と同じ
程度の面積を有する欠陥が無機焼結多孔膜表面に生じて
いることを示す。実施例4における製膜用原料粒子を用
いた焼結体の平均細孔径は、水銀圧入法により測定した
ところ約0.65(μm)であり、欠陥の最大直径と平
均細孔径の比は約3.8を示したことからも実施例4で
得られた膜(無機多孔質層)においては乾燥時に生じる
欠陥の発生が大きく抑制されたことが認められる。
【0084】
【発明の効果】請求項1〜7のセラミック多孔体は、有
効量の膨潤性層状粘土鉱物粒子を含む無機質粒子が結合
して成る無機多孔質体を含むので、無機多孔質体が微細
な細孔構造を有するように製造することができるという
基本的な効果を奏することができる。詳細には次のとお
りである。
【0085】無機多孔質体の細孔径を1μm以下に制
御して製造することができる。 無機多孔質体の気孔率を高くして、無機多孔質体の細
孔径分布のバラツキを小さくして、無機多孔質体が微細
な細孔構造を有するように製造することができる。
【0086】平均1次粒子径の大きい無機質原料粉体
を用いて製造した場合でも、無機多孔質体の気孔率を高
くして製造することができると共に無機多孔質体が十分
な強度を有するように製造することができる。 特に、薄層状の無機多孔質体を含むセラミック多孔体
を製造する場合でも、薄層状の無機多孔質体に欠陥(ピ
ンホール、クラック等)がないように製造することがで
き、製膜性が良好である。また、無機多孔質体が十分な
強度及びシャープな細孔分布を有するよう製造すること
ができる。
【0087】請求項2〜7のセラミック多孔体は、前記
各請求項に記載の構成をさらに具備するので、前記基本
的な効果が顕著である。
【0088】請求項8〜12のセラミック多孔体の製造
方法は、有効量の膨潤性層状粘土鉱物粒子を含む無機質
粒子が分散するスラリーの乾燥成形体を焼成する焼成工
程を含むので、微細な細孔構造を有する無機多孔質体を
含むセラミック多孔体を製造することができるという基
本的な効果を奏することができる。詳細には次のとおり
である。
【0089】細孔径を1μm以下に制御した無機多孔
質体を含むセラミック多孔体を製造することができる。 気孔率が高く、細孔径分布のバラツキが小さい微細な
細孔構造を有する無機多孔質体を含むセラミック多孔体
を製造することができる。
【0090】平均1次粒子径の大きい無機質原料粉体
を用いて製造した場合でも、気孔率が高いと共に比較的
低温の焼成温度でも十分な強度を有する無機多孔質体を
含むセラミック多孔体を製造することができる。 特に、薄層状の無機多孔質体を含むセラミック多孔体
を製造する場合でも、欠陥(ピンホール、クラック)の
少ない薄層状の無機多孔質体を含むセラミック多孔体を
製造することができ、製膜性が良好な製造方法である。
また、十分な強度及びシャープな細孔分布を有する無機
多孔質体を含むセラミック多孔体を従来より低い焼成温
度(空気雰囲気中)で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例4の無機焼結非対称膜の断面構
造(セラミック材料の組織)を示す電子顕微鏡写真(2
000倍)である。
【図2】図2は、実施例4の無機焼結非対称膜の外表面
(セラミック材料の組織)の電子顕微鏡写真(2000
倍)である。
【図3】図3は、比較例4の無機焼結非対称膜の断面構
造(セラミック材料の組織)を示す電子顕微鏡写真(2
000倍)である。
【図4】図4は、比較例4の無機焼結非対称膜の外表面
(セラミック材料の組織)の電子顕微鏡写真(2000
倍)である。
【図5】図5は、本発明のセラミック多孔体をセラミッ
クフィルターとして用いた場合のセラミックフィルター
及びその端面の一部を拡大して示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田口 久富 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有効量の膨潤性層状粘土鉱物粒子を含む無
    機質粒子が結合して成る無機多孔質体を含むことを特徴
    とするセラミック多孔体。
  2. 【請求項2】前記無機多孔質体は、膨潤性層状粘土鉱物
    粒子以外の無機質粒子100重量部に対して膨潤性層状
    粘土鉱物5重量部以下を含む無機質粒子が結合して成る
    ことを特徴とする請求項1に記載のセラミック多孔体。
  3. 【請求項3】前記膨潤性層状粘土鉱物は、スメクタイト
    及び膨潤性合成雲母のうちの1種以上であることを特徴
    とする請求項1〜2のいずれかに記載のセラミック多孔
    体。
  4. 【請求項4】前記無機多孔質体の細孔径は1μm以下で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    セラミック多孔体。
  5. 【請求項5】前記無機多孔質体の空隙率は10〜60体
    積%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のセラミック多孔体。
  6. 【請求項6】前記無機多孔質体は、累積細孔体積分布の
    大径側からの累積10%に相当する細孔直径D10と累
    積90%に相当する細孔直径D90の比D10/D90
    が3以下の細孔径分布を有することを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載のセラミック多孔体。
  7. 【請求項7】無機質支持体と、前記支持体を被覆する1
    層以上の無機質被覆層から成るセラミック多孔質非対称
    膜であって、前記支持体を被覆する1層以上の無機質被
    覆層のうちの少なくとも1層として、薄層状の前記無機
    多孔質体を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    かに記載のセラミック多孔体。
  8. 【請求項8】前記支持体は前記無機多孔質体であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセラミッ
    ク多孔体。
  9. 【請求項9】有効量の膨潤性層状粘土鉱物粒子を含む無
    機質粒子が分散するスラリーの乾燥成形体を焼成する焼
    成工程を含むことを特徴とするセラミック多孔体の製造
    方法。
  10. 【請求項10】前記乾燥成形体として、膨潤性層状粘土
    鉱物以外の無機質粒子100重量部に対して膨潤性層状
    粘土鉱物5重量部以下を含む乾燥成形体を用いることを
    特徴とする請求項9に記載のセラミック多孔体の製造方
    法。
  11. 【請求項11】前記乾燥成形体として、膨潤性層状粘土
    鉱物粒子がコロイダルに分散するスラリーの乾燥成形体
    を用いることを特徴とする請求項9〜10のいずれかに
    記載のセラミック多孔体の製造方法。
  12. 【請求項12】前記膨潤性層状粘土鉱物として、スメク
    タイト及び膨潤性合成雲母のうちの1種以上を用いるこ
    とを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のセラ
    ミック多孔体の製造方法。
  13. 【請求項13】前記乾燥成形体を空気雰囲気中において
    1800℃未満で焼成することを特徴とする請求項9〜
    12のいずれかに記載のセラミック多孔体の製造方法。
  14. 【請求項14】無機質支持体表面に直接又は1層以上の
    無機多孔質層を介して形成された薄層状の前記乾燥成形
    体を焼成することを特徴とする請求項9〜13のいずれ
    かに記載のセラミック多孔体の製造方法。
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