JP4155650B2 - セラミックフィルタの製造方法 - Google Patents

セラミックフィルタの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の細孔を有するセラミック多孔質基材の表面に、比較的小さい細孔を有するセラミック多孔質膜を形成してなるセラミックフィルタの製造方法に関し、詳しくは焼成により多孔質膜となるスラリーを多孔質基材の表面に成膜する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックフィルタは、高分子膜等と比較して、物理的強度、耐久性に優れるため信頼性が高いこと、耐食性が高いため酸・アルカリ等による洗浄を行っても劣化が少ないこと、更には濾過能力を決定する細孔径の精密な制御が可能である点において、固液分離用のフィルタ等として有用である。
【0003】
通常、セラミックフィルタは、透水量を確保しつつ濾過性能を向上させる観点から、図3に示す如く比較的大きい細孔を有するセラミック多孔質基材(以下、「多孔質基材」という。)1の表面を、比較的小さい細孔を有するセラミック多孔質膜(以下、「多孔質膜」という。)2で被覆したものが用いられる。
【0004】
従来、このようなセラミックフィルタの製造は、多孔質基材の表面にセラミック骨材粒子(以下、「骨材粒子」という。)を水中に分散させたスラリーを成膜した後、1300℃以上の高温で焼成し、スラリー中の骨材粒子同士を固相焼結する方法により製造されていた。しかしながら、当該方法により製造されたフィルタは、図3に示すように多孔質基材1の細孔が閉塞し、或いは被覆されるため、フィルタの透水量が低下するという問題が生じていた。
【0005】
上述の問題は、スラリーが多孔質基材表面のみに成膜されず、多孔質基材の細孔にまで浸透してしまうことにより生ずるものである。
そこで、予めシラン化合物等により疎水化処理を行った多孔質基材の表面に、スラリーを成膜する成膜工程を備えたセラミックフィルタの製造方法が提案されている(特開平2-2847号公報)。
【0006】
当該製造方法によれば、疎水化処理により撥水性が高まった多孔質基材の細孔と、水を分散媒とするスラリーとの間の親和性が低下するところ、当該細孔へのスラリーの浸透を防止できるため、上述の問題を解決することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の製造方法における疎水化処理は、多孔質基材を液状のシラン化合物等に浸漬し、或いは多孔質基材に対し液状のシラン化合物等を噴霧・塗布することにより行われるため、実際には多孔質基材の細孔のみならず表面についても疎水化されてしまい、焼成後に形成される多孔質膜に不良を生ずる場合があるという問題点があった。
【0008】
即ち、多孔質基材の孔径が小さい、気孔率が低い、或いは表面が平滑である等の場合に基材の表面が疎水化されると、スラリーの成膜が不完全となって、焼成後に形成される多孔質膜に欠陥を生じたり、或いは多孔質膜に欠陥を生じなかった場合でも、基材表面と多孔質膜との密着強度が低下し、基材表面から多孔質膜が剥離する場合があるという不具合が生じていた。
【0009】
従って、多孔質基材の細孔の閉塞を防止しつつ、基材表面に均一で欠陥がない多孔質膜を形成することができ、かつ、基材表面と多孔質膜との密着強度が担保できるセラミックフィルタの製造方法が切望されている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが前記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、予め疎水化処理を行った多孔質基材に対し、所定の無機酸濃度のスラリーを成膜することに想到して本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明によれば、セラミックからなる、多数の細孔を有する多孔質基材の表面に、セラミック骨材粒子を含むスラリーを成膜し、焼成することにより、前記多孔質基材の表面に、当該多孔質基材の細孔に比して更に細孔径が小さいセラミック多孔質膜を形成するセラミックフィルタの製造方法であって、予め疎水化処理を行った前記多孔質基材の表面に、無機酸濃度を0.5〜10重量%に調製した前記スラリーを成膜する成膜工程を備えたことを特徴とするセラミックフィルタの製造方法が提供される。
【0012】
また、セラミックからなる、多数の細孔を有する多孔質基材の表面に、セラミック骨材粒子及びセラミック微粒子からなる結合材を含むスラリーを成膜し、300〜700℃で焼成することにより、前記多孔質基材の表面に、当該多孔質基材の細孔に比して更に細孔径が小さいセラミック多孔質膜を形成するセラミックフィルタの製造方法であって、予め疎水化処理を行った前記多孔質基材の表面に、無機酸濃度を1.0〜10重量%に調製した前記スラリーを成膜する成膜工程を備えたことを特徴とするセラミックフィルタの製造方法が提供される。当該製造方法においては、スラリー中におけるセラミック微粒子の固形分濃度が2〜10重量%であることが好ましく、セラミック微粒子がチタニアゾル粒子であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミックフィルタの製造方法は、予め疎水化処理を行った多孔質基材に対し、所定の無機酸濃度のスラリーを成膜することを特徴とする。本発明の製造方法によれば、多孔質基材の細孔の閉塞を防止しつつ、基材表面に均一で欠陥がない多孔質膜を形成することができ、かつ、多孔質基材表面と多孔質膜との密着強度が担保できる。
【0014】
以下、本発明のセラミックフィルタの製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明においては「細孔径」、「粒径」は各々「平均細孔径」、「平均粒径」を意味するものとする。
【0015】
本発明にいうセラミックフィルタ(以下、「フィルタ」という。)とは、多孔質基材の表面に、当該多孔質基材の細孔に比して更に細孔径が小さいセラミック多孔質膜を形成してなるものである。
【0016】
本発明における多孔質基材(以下、「基材」という。)とは、多数の細孔を有する多孔質体であって、セラミックからなる部材をいう。
基材を構成する多孔質体としては、細孔径が1〜50μmの、比較的細孔径が大きいものを使用する。フィルタの濾過機能は専ら基材表面に形成される多孔質膜が果たすため、基材自体は細孔径を大きくし、フィルタの透水量を増加させることが好ましいからである。
【0017】
基材の材質は、セラミックである限りにおいて特に限定されず、例えばアルミナ、チタニア、ムライト、ジルコニア、或いはこれらの混合物等を好適に用いることができる。
【0018】
基材の形状についても特に限定されず、濾過の目的に応じ適宜選択すればよい。例えば、平板状、チューブ状、レンコン状(円筒体の長手方向に多数の貫通孔が形成された形状)等の基材を用いることができる。また、基材表面に既に多孔質膜が形成されているものを基材として用いてもよい。
【0019】
本発明においては、上述のような基材に予め疎水化処理を行った後にスラリーを成膜する。疎水化処理により撥水性が高まった基材の細孔と、水を分散媒とするスラリーとの間の親和性が低下するところ、当該細孔へのスラリーの浸透を防止できるからである。このような成膜工程を備えることにより、製造されたフィルタの細孔が閉塞し、透水量が低下することが防止される。
【0020】
本発明における疎水化処理とは、基材の表面及び細孔内の親水性を低下せしめる化学的処理をいい、具体的には、基材を液状のシラン化合物等に浸漬し、或いは基材に対し液状のシラン化合物等を噴霧・塗布する処理方法などが挙げられる。
【0021】
シラン化合物としては、室温から100℃程度の大気中で加水分解して疎水性を示す点において、トリアルコキシシラン誘導体(例えば、商品名:シンエツバイオウォーターガードM(信越化学工業(株)製)等)を特に好適に用いることができる。
【0022】
トリアルコキシシラン誘導体は、基材の細孔内に浸透し、加水分解を受けることによりシラノール誘導体を生成し、当該シラノール誘導体が、図4に示すように基材表面のヒドロキシル基と反応して強固なシラノール結合を形成する。即ち、基材の細孔表面が疎水性の高い有機基によって被覆されるため、水を分散媒とするスラリーは基材の細孔内に侵入し難くなるのである。
【0023】
前記の疎水化処理を行った基材には、骨材粒子を含むスラリーを成膜する。一般に、成膜用のスラリーは、骨材粒子が分散媒中に分散している懸濁液をいうが、本発明においては疎水基に対して親和性のない水を分散媒として用いることが好ましく、更に当該水中に、成膜性を向上させるための有機バインダー、分散性を向上させるためのpH調製剤、界面活性剤等を添加してスラリーを調製してもよい。
【0024】
本発明におけるセラミック骨材粒子とは、多孔質膜の骨格を形成する粒子をいい、当該骨材粒子の粒子径により多孔質膜の細孔径、ひいてはフィルタ機能が決定される。即ち、骨材粒子の粒子径を適宣選択することにより、所望の細孔径を有する多孔質膜を得ることが可能である。本発明においては、0.05〜5μm程度の比較的粒径が小さいセラミック粒子を用い、細孔径が0.05〜1μm程度の多孔質膜を形成することを目的とする。
【0025】
水中に分散させる骨材粒子の種類は特に限定されず、例えばアルミナ、チタニア、ムライト、ジルコニア、シリカ、スピネル、或いはそれらの混合物等を用いることができる。
但し、粒子径が制御された原料を入手し易く、安定なスラリーを形成でき、かつ、耐食性も高いアルミナを用いることが好ましい。
【0026】
スラリー中の骨材粒子の固形分濃度は、成膜する膜厚にもよるが通常は50〜75重量%の範囲内となるように調製することが好ましい。
骨材粒子の固形分濃度が50重量%未満では基材表面全体が均一に成膜されないため、75重量%を超えると骨材粒子の凝集が起こるため、いずれも焼成後に形成される多孔質膜に欠陥を生じ易くなるからである。
【0027】
また、本出願人が既に開示したように、スラリー中に骨材粒子の他、粒径5〜100nmのセラミック微粒子(セラミックゾル粒子、セラミック微粉末粒子等)からなる結合材を添加することも好ましい(特願平9-225839号、特願平9-366482号)。このようなスラリーを用いることにより、300〜700℃という比較的低温での焼成が可能となるからである(以下、このような方法を「低温焼成法」という。)。
【0028】
低温焼成法におけるスラリー中のセラミック微粒子の固形分濃度は、2〜10重量%であることが好ましい。2重量%未満では形成される多孔質膜の機械的強度が小さくなり、10重量%を超えるとフィルタの透水量が著しく低下するためである。この場合においては、スラリー全体の固形分濃度は50〜70重量%であることが好ましい。
【0029】
なお、本明細書においてセラミック微粒子の固形分濃度(重量%)とはスラリーの全重量中においてセラミック微粒子の重量が占める比率を示し、スラリー全体の固形分濃度(重量%)とはスラリーの全重量中において骨材粒子及びセラミック微粒子の重量が占める比率を示すものとする。
【0030】
また、本発明の製造方法においては、セラミック微粒子としてチタニアゾル粒子を用いることが好ましい。高耐食性のチタニアゾル粒子を結合材として用いることにより、通常、腐食に対して敏感な骨材粒子間の結合部についても耐食性が高い多孔質膜を形成することが可能となるからである。
【0031】
本発明においては、上述したような成膜用スラリーの無機酸濃度を所定範囲内に調製して成膜することを特徴とする。基材細孔内の疎水化皮膜を保持したまま、スラリーと接触した基材表面の疎水化皮膜のみを除去し、或いは疎水性を弱めるためである。
【0032】
このような方法によれば、スラリーの基材細孔内への浸透を防止しつつ、基材表面にはスラリーを均一かつ完全に成膜できる。従って、当該成膜体を焼成することにより、基材表面に均一で欠陥がない多孔質膜を形成し、また、基材表面と多孔質膜との密着強度を向上させることが可能となる。
【0033】
本発明においては、スラリーの無機酸濃度は0.5〜10重量%とすることが必要である。0.5重量%未満とするとスラリーを基材表面に均一かつ完全に成膜することができず、一方、10重量%を超えるとスラリーの粘度が高くなり過ぎると成膜を行うこと自体が困難となるからである。
【0034】
但し、既述の低温焼成法のスラリーにおける無機酸濃度は1〜10重量%とすることが必要となる。1重量%未満とすると、スラリーを基材表面に均一に成膜することができないためであり、10重量%を超えるとスラリー粘度が高くなり成膜すること自体が困難となるからである。
【0035】
なお、本明細書において酸濃度(重量%)というときは、スラリー中における分散媒たる水の重量に対し無機酸の重量の占める比率を示すものとする。また、本発明においては、使用する無機酸の種類は特に限定されず、例えば硝酸、硫酸、或いは塩酸等の無機酸を用いることができる。
【0036】
上述のように酸濃度を所定範囲内に調製した成膜用スラリーを、例えばディッピング法等の従来公知の成膜方法に従って成膜することにより、基材表面に骨材粒子を含むスラリーが成膜された多孔質基材(以下、「成膜体」という。)を得ることができる。当該成膜体を焼成することにより、多孔質基材の表面に、当該多孔質基材の細孔に比して更に細孔径が小さいセラミック多孔質膜が形成されたセラミックフィルタが製造される。
【0037】
本発明においては、前記成膜体の焼成方法は特に限定されず、従来公知の方法、例えば1300℃以上の高温で成膜体を焼成し、スラリー中のセラミック粒子同士を固相焼結する方法等を採ることができる。
また、成膜用スラリーが既述の低温焼成法用のスラリーである場合には、300〜700℃の比較的低温で成膜体を焼成することも可能である。
【0038】
上述のような焼成を行うことにより、基材表面に厚さ10〜300μm程度、細孔径が0.05〜1μm程度の薄膜状の多孔質膜が形成されたフィルタが製造される。当該多孔質膜はフィルタの濾過機能の中枢をなす部分となる。なお、本発明の方法で形成された多孔質膜の表面に更に細孔径の小さい多孔質膜を形成することも可能である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の製造方法を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
まず、本実施例で使用した多孔質基材、チタニアゾル溶液、無機酸及び、評価法について説明する。
【0040】
▲1▼多孔質基材
直径30mm、長さ50mmの円筒状であって、長手方向に直径2.5mmの貫通孔を61穴形成したレンコン状のアルミナ多孔体を基材として使用した。
アルミナ多孔体は、レーザー回折法による粒子径が60μmのアルミナ粒子を骨材粒子とした多孔体であり、水銀圧入法による細孔径は10μm、アルキメデス法による気孔率は30%のものを使用した。
【0041】
前記多孔質基材は、スラリー成膜前に予め疎水化処理を施した。疎水化処理は、液状のトリアルコキシシラン誘導体に多孔質基材を浸漬した後、引き上げ、80℃で加温・乾燥することにより行った。
トリアルコキシシラン誘導体としては、信越化学工業(株)製のバイオウォーターガードM(商品名)を使用した。
【0042】
▲2▼チタニアゾル溶液
実施例2におけるチタニアゾル粒子は、粒径30nmの市販のチタニアゾル液を固形分換算して添加した。ゾル粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡により、各ゾル粒子の最大、最小直径の平均値を当該粒子の粒径とし、さらに100個のゾル粒子について当該粒径の平均値を採り、ゾル粒子の粒径とした。
【0043】
▲3▼無機酸
成膜用スラリーに添加する無機酸としては、試薬特級の濃硝酸(濃度60重量%)、濃硫酸(濃度97重量%)及び濃塩酸(濃度37重量%)を使用した。
【0044】
▲4▼評価法
スラリー粘度については、基材表面への成膜が容易に行えたものを○、粘性が高く、基材表面に成膜することが困難であったものを×として評価した。
【0045】
多孔質膜における未成膜部分及び欠陥の有無は、走査型電子顕微鏡(SEM)で多孔質膜表面を欠陥観察し、全く未成膜部分及び欠陥が発見されない場合を○、1箇所でも発見された場合は×として評価した。
基材表面と多孔質膜との密着強度については、製造されたフィルタの多孔質膜部分に透明粘着テープを貼着した後に剥ぎ取り、多孔質膜が全く剥離しなかった場合を○、一部でも剥離した場合を×として評価した。
【0046】
この他、実施例のフィルタにつき、細孔径分布、及び純水透水量を測定した。細孔径分布はASTM F306記載のエアーフロー法に基づく平均細孔径で、透水量は膜間差圧1Kg/cm、温度25℃における、ろ過面積当たりの時間当たり透水量で表記した。
【0047】
(実施例1)
骨材粒子となるアルミナ粉末(純度99重量%以上)、或いはムライト粉末(純度99重量%以上)と水と無機酸とを、表1に記載の比率で調合し、スターラーで1時間混合して、ディップ成膜用のスラリーを調製した。
【0048】
各スラリーに既述の基材を浸漬した後に引き上げることにより、ディップ膜を形成し、成膜体とした。
成膜体は110℃で乾燥した後、電気炉において1300〜1400℃で1時間焼成することによりフィルタとした。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004155650
【0050】
(実施例2)
実施例2では、本発明の方法を低温焼成法に適用した例を示す。成膜用スラリーにチタニアゾル液を添加すること、及び500℃で4時間焼成を行ったことを除いては、実施例1と同様にフィルターを作製した。その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
Figure 0004155650
【0052】
(評価結果)
実施例1においては、スラリーの酸濃度が本発明の範囲(0.5〜10重量%)である実施例1−1〜1−5の条件においては、多孔質膜に欠陥がなく、密着強度も高いフィルタを得ることができた。
【0053】
一方、酸濃度が0.5重量%未満である比較例1−1,1−3の条件では多孔質膜に未成膜部分及び欠陥が認められ、10重量%を超える比較例1−2の条件ではスラリーの粘度が高過ぎて基材表面に成膜することすらできなかった。
【0054】
また、実施例1においては、スラリーの酸濃度が本発明の範囲(0.5〜10重量%)である限り、スラリーの固形分濃度(実施例1−6,1−7)、骨材粒子の粒径(実施例1−8〜1−10)、無機酸の種別(実施例1−11,1−12)、骨材の種別(実施例1−13,1−14)に拘わらず、いずれも良好な結果を示した。
【0055】
この傾向は本発明を低温焼成法に適用した実施例2においても同様であり、スラリーの酸濃度が本発明の範囲(1.0〜10重量%)である実施例2−1〜2−6の条件においては良好な結果を示す一方、酸濃度が本発明の範囲外である比較例2−1,2−2,2−3の条件では多孔質膜の欠陥や成膜不能等の不具合を生じた。
【0056】
また、実施例2においても、スラリーの酸濃度が本発明の範囲(1.0〜10重量%)である限り、スラリーの固形分濃度(実施例2−7,2−8)、骨材粒子の粒径(実施例2−9,2−10)、骨材の種別(実施例2−11,2−12)に拘わらず、いずれも良好な結果を示した。
【0057】
但し、結合材であるチタニアの固形分濃度が2重量%未満である場合には形成される多孔質膜の機械的強度が得られず(比較例2−4)、10重量%を超えるとフィルタの透水量が顕著に減少した。
【0058】
図1(a)は、実施例2−3のフィルタの多孔質膜表面を走査型電子顕微鏡により撮影した微構造写真である。図2に示すように酸濃度が本発明の範囲外の比較例2−1のフィルタにおいては、基材表面上に未成膜部分が認められるが、酸濃度が本発明の範囲内である実施例2−3のフィルタでは、図1(a)に示すように基材表面上に均一に成膜されていることが観察できる。
また、図1(b)は実施例2−3のフィルタの多孔質膜近傍の断面構造を示す写真であるが、基材と多孔質膜との界面における密着状態が良好であることが確認できる。
【0059】
更に、図5は実施例2−10のフィルタの細孔径分布を示すグラフである。図5のグラフからわかるように本発明の方法により製造されるセラミックフィルタは細孔径についても精密に制御されており、細孔の閉塞等は認められなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔質基材の細孔の閉塞を防止しつつ、基材表面に均一で欠陥がない多孔質膜を形成することができ、かつ、多孔質基材表面と多孔質膜との密着強度を担保することが可能なセラミックフィルタの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2−3のフィルタの写真であり、(a)は多孔質膜表面、(b)は多孔質膜近傍の断面構造を示す。
【図2】 比較例2−1のフィルタの多孔質膜表面を示す写真である。
【図3】 セラミックフィルタの多孔質膜近傍の断面構造を示す概略図である。
【図4】 疎水化の仕組みを示す概略図である。
【図5】 実施例2−10のフィルタの多孔質膜の細孔径分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1…多孔質基材、2…多孔質膜。

Claims (4)

  1. セラミックからなる、多数の細孔を有する多孔質基材の表面に、セラミック骨材粒子を含むスラリーを成膜し、焼成することにより、前記多孔質基材の表面に、当該多孔質基材の細孔に比して更に細孔径が小さいセラミック多孔質膜を形成するセラミックフィルタの製造方法であって、
    予め疎水化処理を行った前記多孔質基材の表面に、無機酸濃度を0.5〜10重量%に調製した前記スラリーを成膜する成膜工程を備えたことを特徴とするセラミックフィルタの製造方法。
  2. セラミックからなる、多数の細孔を有する多孔質基材の表面に、セラミック骨材粒子及びセラミック微粒子からなる結合材を含むスラリーを成膜し、300〜700℃で焼成することにより、前記多孔質基材の表面に、当該多孔質基材の細孔に比して更に細孔径が小さいセラミック多孔質膜を形成するセラミックフィルタの製造方法であって、
    予め疎水化処理を行った前記多孔質基材の表面に、無機酸濃度を1.0〜10重量%に調製した前記スラリーを成膜する成膜工程を備えたことを特徴とするセラミックフィルタの製造方法。
  3. スラリー中におけるセラミック微粒子の固形分濃度が2〜10重量%である請求項2に記載のセラミックフィルタの製造方法。
  4. セラミック微粒子がチタニアゾル粒子である請求項2又は3に記載のセラミックフィルタの製造方法。
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