JPH11292157A - レトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材 - Google Patents

レトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材

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JPH11292157A
JPH11292157A JP10097945A JP9794598A JPH11292157A JP H11292157 A JPH11292157 A JP H11292157A JP 10097945 A JP10097945 A JP 10097945A JP 9794598 A JP9794598 A JP 9794598A JP H11292157 A JPH11292157 A JP H11292157A
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JP
Japan
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lid
resin
paper container
lid material
film
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JP10097945A
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English (en)
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Eishin Miyake
英信 三宅
Masashi Goto
雅士 後藤
Michihiro Maeda
道廣 前田
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レトルト殺菌処理可能な紙容器に適用できる蓋
材を提供すること。 【解決手段】中央部が大きく開口し開口縁26の周縁に細
溝27が形成された天板23と細溝27が形成されていない方
の天板の周縁に立設されカップ状紙容器の胴部11内壁に
密着可能な周壁22と周壁の上縁に外方に向けて天板と平
行に設けられたシーフランジ21とからなる落とし込み蓋
材部24と、天板の開口を覆い細溝27に嵌め込むように設
けられた蓋材シート部25とから構成され、該蓋材は天板
の細溝にぬた材シート部の周縁が嵌め込まれた落とし込
み蓋材部をカップ状紙容器の口縁部12に熱融着可能に載
置される蓋材であって、落とし込み蓋材部24は、蓋材シ
ート部25を前もって挿入配置した金型内に熱溶融したPP
樹脂を射出するインサート射出成形法により設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホット充填後の容
器内の減圧に耐え得るレトルト殺菌処理可能な紙容器用
の蓋材に関し、特には、電子レンジによる再加熱が可能
でレトルト殺菌処理可能なカップ状をした紙容器に用い
る蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】レトルト殺菌処理可能な紙容器として
は、例えば、特開昭57−46734号公報、特開昭5
8−52033号公報、特開昭58−20638号公報
等に開示された発明をはじめとして多数の発明、考案が
開示されている。
【0003】特開昭57−46734号公報に開示され
た発明は、高密度ポリエチレン樹脂を除く熱可塑性樹脂
が主体であって、融点が115°C以上の樹脂を両外層
とした合成樹脂、紙およびアルミ箔からなる積層シート
を丸めて重ね合せた両側端部に防水処理を施すとともに
溶着して筒体を形成し、得られた筒体の上下両開口部
を、前記積層シートにおける合成樹脂と同種の合成樹脂
で内面を被覆したアルミ箔からなる蓋材で閉蓋してなる
容器であって、前記積層シートが紙の両側面にアルミ箔
を配した積層構造とされた包装用容器としたものであ
る。
【0004】また特開昭58−52033号公報に開示
された発明は、両面耐水処理をした紙質原反からなる扇
形又は方形ブランクシートの胴シール部に相当する両端
部をある幅にわたって互いに逆面へと折返し且つブラン
クシート全体を筒体を形成するように折曲げて前記で得
られた一対の折返し片を有する面で両端部を貼合してな
る胴部筒体の上下部を、その上下紙端面が露出しないよ
うに蓋体および底板でシールしてなる完全耐水性紙質容
器としたものである。
【0005】さらに特開昭58−20638号公報に開
示された発明は、内層を形成する樹脂層と板紙等からな
る中間層が一体接着され、外層を形成する樹脂層と中間
層とが一体接着もしくは容器上縁での樹脂同士の接着が
なされ、各層間は脱気され、中間層が両側の樹脂層に挟
まれている多層容器としたものである。
【0006】しかしながらこれらの発明は、いずれもア
ルミニウム箔を多用しているため電子レンジ適性が無
い、合成樹脂を多用しているため廃棄性に問題が残る、
等の問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで発明者等は、ア
ルミニウム箔を使用せず、合成樹脂使用量も少ない電子
レンジ適性を有するレトルト殺菌処理可能な紙容器を開
発し、特願平10−4724号他として出願した。本発
明はこれらのレトルト殺菌処理可能な紙容器に適用する
ための蓋材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、先ず、請求項1に記載の発明では、開口部周縁が外
側にカールし、その上下層が互いに偏平に熱圧着された
口縁部を有するレトルト殺菌可能なカップ状紙容器の開
口部を密封する蓋材であって、該蓋材が、中央部が大き
く開口し、該開口端の周縁に細溝が形成された天板と、
細溝が形成されていない方の天板の周縁に立設され、カ
ップ状紙容器の胴部内壁に密着可能な周壁と、周壁の上
縁に外方に向けて天板と平行に設けられたシールフラン
ジと、からなる落とし込み蓋材部と、天板の開口を覆い
細溝に嵌め込むように設けられた蓋材シート部と、から
構成され、該蓋材は、天板の細溝に蓋材シート部の周縁
が嵌め込まれた落とし込み蓋材部をカップ状紙容器の口
縁部に熱融着可能に載置される蓋材であって、前記落と
し込み蓋材部は、蓋材シート部を前もって挿入配置した
金型内に熱溶融したポリプロピレン樹脂を射出するイン
サート射出成形法により設けたことを特徴とするレトル
ト殺菌処理可能な紙容器用蓋材である。
【0009】また、請求項2の発明では、前記落とし込
み蓋材部のシールフランジの周縁に、蓋材を紙容器開口
部に被せた際、部分的に口縁部より外方に突出した開封
取手部が形成されていることを特徴とするレトルト殺菌
処理可能な紙容器用蓋材である。
【0010】また、請求項3に記載の発明では、前記蓋
材シート部は、容器外側よりPPフィルム、板紙、バリ
ヤー性フィルム、PPフィルムの順序で積層される少な
くとも4層構成からなる積層シートであることを特徴と
するレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材である。
【0011】ここで特に、上記の蓋材シート部の内外面
に使用するPPフィルムは、融点が150°C以上のP
P樹脂を製膜して得られる。
【0012】また、請求項5に記載の発明では、前記蓋
材シート部を構成するバリヤー性フィルムが、無機化合
物蒸着薄膜を形成したフィルム、金属化合物蒸着薄膜を
形成したフィルム、またはバリヤー性プラスチックフィ
ルムのいずれかである。
【0013】また、請求項6に記載の発明では、前記蓋
材シート部を構成する板紙が、板紙表面に珪藻土からな
るコート層が10〜18g/m2 塗布されている板紙で
ある。
【0014】また、請求項7に記載の発明では、前記イ
ンサート射出成形法に用いるPP樹脂であって、端面被
覆部材に使用するPP樹脂は、PP樹脂とLDPE樹脂
またはPP樹脂とエチレン−ブテン共重合体樹脂をそれ
ぞれブレンドした樹脂である。
【0015】ここで特に、上記のPP樹脂とLDPE樹
脂またはPP樹脂とエチレン−ブテン共重合体樹脂との
ブレンド比率は、それぞれ100/10〜100/30
である。
【0016】
【作用】上記のように本発明によれば、蓋材が、中央部
が大きく開口し、該開口端の周縁に細溝が形成された天
板と、細溝が形成されていない方の天板の周縁に立設さ
れ、カップ状紙容器の胴部内壁に密着可能な周壁と、周
壁の上縁に外方に向けて天板と平行に設けられたシール
フランジと、からなる落とし込み蓋材部と、天板の開口
を覆い細溝に嵌め込むように設けられた蓋材シート部
と、から構成されているので、ホット充填後冷却しても
ヘッドスペース容量が少なくすることにより、容器本体
の変形を防ぐことができる。
【0017】また、前記落とし込み蓋材部のシールフラ
ンジの周縁に、蓋材を紙容器開口部に被せた際、部分的
に口縁部より外方に突出した開封取手部が形成されてい
るので、紙容器を開封する際は、開封取手部から容易に
開封可能である。
【0018】また、落とし込み蓋材部に使用するPP樹
脂が、PP樹脂とLDPE樹脂またはPP樹脂とエチレ
ン−ブテン共重合体樹脂とのブレンド樹脂であり、蓋材
シート部の容器外側に使用するフィルムが150°C以
上の融点を有するPP系樹脂を製膜して得られるフィル
ムであるので、開封時に蓋材が容器本体から適度の剥離
強度をもって剥離する。
【0019】さらに、蓋材シート部を構成するバリヤー
性フィルムが、無機化合物蒸着薄膜を形成したフィル
ム、金属化合物蒸着薄膜を形成したフィルム、またはバ
リヤー性プラスチックフィルムのいずれかで構成されて
いるので、内容物の保護性が良好であると共に電子レン
ジ適性を有する。
【0020】さらにまた、蓋材シート部の容器外側に使
用するPPフィルムは、融点が150°C以上のポリプ
ロピレン系樹脂であり、落とし込み蓋材部は、PP樹脂
とLDPE樹脂またはPP樹脂とエチレン−ブテン共重
合体樹脂とをブレンドしており、また、蓋材シート部に
使用する板紙の端面もPP樹脂で完全に被覆されている
ので、レトルト殺菌処理適性を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下実施例により本発明を詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えぬ限り下記実施例
に限定されない。本発明のレトルト殺菌処理可能な紙容
器用蓋材は、例えば、図1(a)、(b)および図2に
示すように、中央部が大きく開口し、該開口端26の周
縁に細溝27が形成された天板23と、細溝が形成され
ていない方の天板の周縁に立設され、カップ状紙容器の
胴部11内壁に密着可能な周壁22と、周壁の上縁に外
方に向けて天板と平行に設けられたシールフランジ21
と、からなる落とし込み蓋材部24と、天板の開口を覆
い細溝27に嵌め込むように設けられた蓋材シート部2
5と、から構成されている。
【0022】蓋材シート部25は、容器外側よりPPフ
ィルム、板紙、バリヤー性フィルム、PPフィルムの順
序で積層される少なくとも4層構成からなる積層シート
から構成されている。
【0023】そして、蓋材シート部25の内外層に使用
するPPフィルムを構成するPP樹脂は、ポリプロピレ
ン樹脂系で融点が150°C以上であれば、ランダムタ
イプ、ブロックタイプ、ホモタイプいずれのタイプの樹
脂であってもレトルト殺菌処理時の耐熱性をクリヤーす
るので使用可能である。
【0024】蓋材シート部25を構成するバリヤー性フ
ィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、
二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム等の基材フィルム
に、酸化珪素、酸化アルミニウム等の薄膜を400Å程
度真空蒸着法などの方法により蒸着した蒸着フィルムが
好ましく使用できるが、上記基材フィルムに塩化ビニリ
デン(PVDC)樹脂を塗布したフィルムを用いても良
い。
【0025】蓋材シート部25を構成する板紙は蓋材シ
ート部の基材であり、坪量100〜320g/m2 程度
のカップ原紙、アイボリー、両面カード等が好ましく使
用でき、印刷適性を付与するために珪藻土層を10〜1
8g/m2 程度設けたものが良い。
【0026】蓋材シート部25を構成するフィルムの中
に衝撃性を緩和させる目的でナイロンフィルムを介在さ
せても良い。
【0027】各フィルムとシートの積層は、公知の、例
えば、二液反応型ポリエステル接着剤等を用いたドライ
ラミネーション法により行うことが好ましい。
【0028】射出成形法により作製される落とし込み蓋
材部24の高低段差は紙容器の口径寸法と内容物の充填
容量に依存し、シールフランジ21と天板23との間の
高低差は紙容器10のヘッドスペースが10cc以下に
なるように設計する。
【0029】落とし込み蓋材部24は、蓋材シート部2
5を前もって挿入配置しておいた金型内に熱溶融したP
P樹脂を射出するインサート射出成形法により作製す
る。
【0030】そして落とし込み蓋材部24に使用するP
P樹脂は、PP樹脂とLDPE樹脂またはPP樹脂とエ
チレン−ブテン共重合体樹脂をそれぞれブレンドした樹
脂が好ましく使用でき、そのブレンド比率は、それぞれ
100/10〜100/30の範囲が好ましい。ブレン
ド比率を100/10〜100/30の範囲に規定する
ことによりシールフランジと口縁部の界面で凝集破壊が
起き、一般的にイージーピール性と呼ばれる易剥離現象
が生じる。
【0031】射出成形法により作製される落とし込み蓋
材部24の高低段差は紙容器の口径寸法と内容物の充填
容量に依存し、シールフランジ21と天板23との間の
高低差は紙容器10のヘッドスペースが10cc以下に
なるように設計する。
【0032】シールフランジ21の周縁に、蓋材を紙容
器開口部に被せた際、部分的に口縁部より外方に突出す
る開封取手部29を設けておくと、紙容器を開封する
際、開封がより容易になる。
【0033】
【実施例】以下に本発明の実施例をさらに具体的に説明
する。 〈実施例1〉先ず、蓋材シート部25を構成する積層シ
ートをポリエステル樹脂系二液反応型接着剤を用いたド
ライラミネーション法により下記する構成で作製した。
【0034】〔容器外側〕CPPフィルム(プロピレン
−エチレンブロック共重合体タイプ、融点:160°
C、30μm厚)/アイボリー、坪量;160g/
2 )、珪藻土の塗布量;15g/m2 /PETフィル
ム(12μm厚)、酸化珪素蒸着薄膜(400Å)/C
PPフィルム(プロピレン−エチレンブロック共重合体
タイプ、融点:160°C、30μm厚)〔容器内側〕
【0035】これをインサート成形の金型内にセット
し、ゲートより熱溶融したPP樹脂を射出して蓋材シー
ト部25周縁が天板の細溝に嵌め込まれ、熱融着した落
とし込み蓋材部24を成形した。
【0036】この際用いたPP樹脂はPP樹脂とLDP
E樹脂とのブレンド樹脂であり、配合比はPP樹脂/L
DPE樹脂=100/30である。また、PP樹脂とL
DPE樹脂の物性値は下記の通りである。 ・PP樹脂:ブロック重合体、MFR=30g/mi
n.、融点=161°C ・LDPE樹脂:MFR=25g/min.、融点=1
20°C
【0037】なお、後記するカップ状紙容器の口径:5
8.7mm、内部高さ:85.6mm、内容量:200
ml(蒸留水)を考慮して、ヘッドスペースが10cc
になるように、シールフランジ21と天板23との高低
差を8mmに設定した。
【0038】このようにして、落とし込み蓋材部24の
天板の細溝27に蓋材シート部25周縁が嵌め込まれ熱
融着された本発明のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋
材20が作製できた。
【0039】別に、この蓋材に適合するカップ状紙容器
として、つぎの構成からなる筒状のカップ紙容器を作製
した。
【0040】先ず、容器本体を構成する積層シートおよ
び積層シートを成形して得られる容器本体の端面露出箇
所を被覆するためのテープ状積層フィルムをポリエステ
ル樹脂系二液反応型接着剤を用いたドライラミネーショ
ン法により下記する構成で作製した。
【0041】積層シートの層構成、〔容器外側〕CPP
フィルム(50μm厚)/PETフィルム(9μm厚)
/コート層(塗布量;15g/m2 )/カップ原紙(坪
量;295g/m2 )/PETフィルム(12μm
厚),酸化珪素蒸着薄膜(400Å)/CPPフィルム
(50μm厚)〔容器内側〕
【0042】テープ状積層フィルムの層構成、CPPフ
ィルム(30μm厚)/PETフィルム(12μm
厚),酸化珪素蒸着薄膜(400Å)/CPPフィルム
(30μm厚)
【0043】積層シートおよびテープ状積層フィルムに
用いるCPPフィルムは、下記構成、物性からなるCP
Pフィルムで、蓋材成形部に用いるPP樹脂と同系統の
PP樹脂を製膜したものである。すなわち、プロピレン
−エチレンブロック共重合体、・融点;160°C、・
密度;0.90g/cm3 、・MFR;8g/10mi
n.・エチレン含有率;2.5wt%、・耐衝撃性付与
のため、エチレン−ブテン共重合体(非晶性樹脂)を添
加している。
【0044】また、カップ原紙の水分率は5.0%であ
る。
【0045】積層シートより、カップ状の容器を成形す
るため、容器の胴部11となる胴部材ブランクと、底部
13となる底部材ロールを作製した。そして、胴部材ブ
ランクの成形時に貼り合わせ部となる両端面露出部すべ
てにわたり幅10mmのテープ状積層フィルム14をイ
ンパルスシールし、紙端面露出部を被覆した。
【0046】この紙端面露出部をテープ状積層フィルム
で被覆した胴部材ブランクと、底部材ロールとを用いて
一般的に使用されている紙カップ成形機により外側にカ
ールした口縁部12を有する筒状のカップ状紙容器10
を成形した。加熱方式は積層シートのカップ原紙内水分
の気化に伴うブリスターの発生を防止するため、溶着部
外側のCPPフィルムを局所的に加熱圧着する方式を採
用した。なお、このカップ状紙容器の寸法は、口径:5
8.7mm、カップ内部高さ:85.6mmである。
【0047】また、このカップ状紙容器は、成形後、口
縁部を上下から加熱圧着して偏平に押しつぶしておく。
【0048】作製した紙容器の底部のインカール内壁部
に、熱溶融したPP樹脂を射出し底部インカール環状部
材15を、また、口縁部には、外側面および下面を覆う
口縁周縁部材16を熱溶融したPP樹脂で被覆して、紙
端面の露出が全くないレトルト殺菌処理可能な紙容器を
作製した(図3参照)。容器へのPP樹脂の被覆は、容
器を前もって挿入配置した金型内に熱溶融したPP樹脂
を射出するインサート射出成形法により行った。
【0049】この際用いたPP樹脂は下記する構成、物
性からなるものであった。すなわち、エチレン−プロピ
レンブロック共重合体、・融点;160°C、・密度;
0.90g/cm3 、・MFR;14g/10min.
【0050】こうして作製した上記紙容器に65°Cの
蒸留水を200ml充填し、開口部に同じく作製した蓋
材を被せて、容器本体の口縁周縁部材と蓋材フィルム部
とを超音波シール法により熱融着して紙容器を密封し、
実施例1とした(図2参照)。
【0051】〈比較例1〉実施例1の蓋材から落とし込
み蓋材部を除いたものを、蓋材として使用した以外は実
施例1と同じ構成で、紙容器に65°Cの蒸留水を20
0ml充填し密封して比較例1の密封紙容器とした(詳
細な説明は省略する。実施例1と比較して落とし込み蓋
材部がなくなっている)。
【0052】〈比較例2〉紙容器を構成する積層シート
のバリヤー層として酸化珪素の薄膜を蒸着したPETフ
ィルムの代わりに9μm厚のアルミニウム箔を使用した
以外は、実施例1と同じ構成、形状の紙容器と蓋材を使
用し、紙容器に65°Cの蒸留水を200ml充填し密
封して比較例2の密封紙容器とした(詳細な説明は省略
する)。
【0053】〈比較例3〉実施例1の蓋材の代わりに、
〔容器外側〕ONyフィルム(16μm厚)/PETフ
ィルム(12μm厚),酸化珪素蒸着薄膜(400Å)
/イージーピールPPフィルム(50μm厚)〔容器内
側〕構成からなる積層フィルムを用いた以外は実施例1
と同じ構成、形状の紙容器を使用し、紙容器に65°C
の蒸留水を200ml充填し密封して比較例2の密封紙
容器とした(詳細な説明は省略する)。
【0054】〈比較例4〉落とし込み蓋材部を構成する
PP樹脂として、PP樹脂単独(構造、物性値は実施例
1と同様)を用いた以外は実施例1と同じ構成、形状の
紙容器と蓋材を使用し、紙容器に65度Cの蒸留水を2
00ml充填し密封して比較例4の密封紙容器とした
(落とし込み蓋材部を構成するPP樹脂がPP樹脂/L
DPE樹脂=100/0)。
【0055】〈比較例5〉落とし込み蓋材部を構成する
PP樹脂として、PP樹脂とLDPE樹脂のブレンド比
率をPP樹脂/LDPE樹脂=50/50に代えた以外
は実施例1と同じ構成、形状の紙容器と蓋材を使用し、
紙容器に65度Cの蒸留水を200ml充填し密封して
比較例4の密封紙容器とした(落とし込み蓋材部を構成
するPP樹脂がPP樹脂/LDPE樹脂=50/5
0)。
【0056】〈参考例1〉容器として、実施例1と同形
状のプラスチック容器(構成はPP樹脂/エチレンビニ
ルアルコール共重合樹脂(EVOH)/PP樹脂)を使
用し、蓋材として、比較例3で使用した蓋材を使用し、
容器に65°Cの蒸留水を200ml充填し密封して参
考例1の密封容器とした(詳細な説明は省略する)。
【0057】以上、65°Cの蒸留水を200ml充填
し密封した実施例1、比較例1、比較例2、比較例3の
4種類の紙容器と参考例1のプラスチック容器につい
て、ホット充填後の容器変形とレトルト適性、電子レン
ジ適性を以下に述べる方法に従って実験し評価し評価し
た。
【0058】〈実験1〉ホット充填後の容器変形 65°Cの蒸留水を200ml充填し密封した実施例
1、比較例1、2、3、参考例1の5種類の容器を室温
(23°C)まで放冷した時の容器本体の変形の有無を
目視により観察した。その結果を表1に示す。表1中、
○は容器本体に変形等の形状変化がないことを示し、×
は容器本体が凹んで変形したことを示す。
【0059】〈実験2〉レトルト適性(1) 室温まで下がった蒸留水200mlを充填した実施例
1、比較例2、参考例1の3種類の容器を、下記2条件
で株式会社日阪製作所製の装置を用い、含気方式のレト
ルト殺菌処理を行い、レトルト殺菌後の容器の変形の有
無を目視により観察した。その結果を表2に示す。表2
中、○は容器本体、蓋材の双方に変形等の形状変化がな
いことを示し、×は蓋材が凹んで変形したことを示す。 条件1‥‥初期温度;80°C、昇温条件;120°C 到達15分 保持条件;30分間、冷却時間;30分間 条件2‥‥初期温度;80°C、昇温条件;130°C 到達15分 保持条件;30分間、冷却時間;30分間
【0060】〈実験3〉レトルト適性(2) 実施例1、比較例2、参考例1の3種類の容器に、蒸留
水200mlの代わりに下記する酸素バリヤー検知材料
を内容物として充填し、上記2条件でレトルト殺菌処理
を行い、酸素バリヤー性の有無を目視観察した。その結
果を表2に示す。 酸素バリヤー検知材料‥‥ショ糖脂肪酸エステル、寒天
粉末、水酸化ナトリウム、メチレンブルー、Dグルコー
スの混合体を熱水中で溶解したもの バリヤー性の評価方法‥‥メチレンブルーが酸素に触れ
ると青く発色することを利用し、酸素透過の程度を色相
にて評価する 表2中、○は内容液が青色に発色せず酸素バリヤー性が
有ることを示し、×は内容液全体が青色に発色して、酸
素バリヤー性が劣化していることを示す。
【0061】〈実験4〉電子レンジ適性 実験2で用いたレトルト殺菌処理後の3種類の容器を定
格電圧100V、定格周波数60Hzの一般的に用いら
れている電子レンジに下記する条件でセットし、電子レ
ンジ適性を目視により観察、評価した。その結果を表3
に示す。 電子レンジ加熱条件‥‥加熱時間 3分間 表3中、○は電子レンジによる再加熱が問題なく出来た
状態を示し、×は電子レンジによる再加熱が出来なかっ
た状態を示す。
【0062】〈実験5〉レトルト処理時の耐熱性と易開
封性 落とし込み蓋材部のPP樹脂とLDPE樹脂のブレンド
比率を変化させて作製した実施例1、比較例4、比較例
5の3種類の密封容器のレトルト処理時の耐熱性(レト
ルト処理時の蓋開封現象)と、レトルト処理後の易開封
性について、下記する方法、条件により観察、測定し
た。その結果を表4に示す。 レトルト処理時の耐熱性‥‥120°C、30分の含気
式(低差圧)により評価。 表4中、○は上記条件でレトルト処理したとき、紙容器
本体と蓋材との密封性が維持されていることを示し、×
は蓋材が剥がれてしまうことを示す。 レトルト処理後の易開封性‥開封取手部を引張強度測定
器の挟み込み治具にて固定し容器を手で持ち、引張速度
300mm/min.で測定し、開封強度とした。 表4中、○は上記条件で剥がしたとき、抵抗なく蓋材を
剥がすことができる状態を示し、×は易開封性がないこ
とを示し、−は未実験であることをを示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】表1、2、3、4から考察すると、ヘッド
スペースが10ccになるようにシールフランジと天板
との高低差を8mmに設定した落とし込み蓋材部を設け
た蓋材を用いた容器は、ホット充填が可能であり、ガス
バリヤー性に優れている上レトルト殺菌適性と共にレト
ルト殺菌後の電子レンジ適性をも有することがわかる
(実施例1)。
【0068】
【発明の効果】本発明の紙容器用蓋材は、容器の減圧状
態を吸収するため、容器の変形が防げ、容器の外観を損
なうことがない。
【0069】また、容器内側に使用するPPフィルム
は、エチレン系オレフィン樹脂とPP樹脂の比率によ
り、接着強度を調整したブレンド樹脂で作製されている
ため、開封するとき、熱融着している蓋を容器から適宜
の接着強度をもって剥離し易い。
【0070】バリヤー性フィルムを使用しているため、
内容物保護性を有すると共に、アルミニウム箔等の金属
箔を使用していないので、レトルト殺菌処理適性のほか
に電子レンジ適性を有する。紙複合材料を使用している
ので印刷適性に優れているのみならず遮光性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の蓋材の一実施例を示す平面図
であり、(b)はA−A’線断面図である。
【図2】本発明の蓋材を紙容器に載置して密封シールし
た状態を示す断面説明図である。
【図3】実施例1で使用したレトルト殺菌処理可能な紙
容器の断面説明図である。
【符号の説明】
10‥‥カップ状紙容器 11‥‥胴部 12‥‥口縁部 13‥‥底部 14‥‥テープ状積層フィルム 15‥‥底部インカール環状部材 16‥‥口縁周縁部材 20‥‥蓋材 21‥‥シールフランジ 22‥‥周壁 23‥‥天板 24‥‥落とし込み蓋材部 25‥‥蓋材フィルム部 26‥‥開口縁 27‥‥細溝 29‥‥開封取手部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】開口部周縁が外側にカールし、その上下層
    が互いに偏平に熱圧着された口縁部を有するレトルト殺
    菌可能なカップ状紙容器の開口部を密封する蓋材であっ
    て、該蓋材が、中央部が大きく開口し、該開口端の周縁
    に細溝が形成された天板と、細溝が形成されていない方
    の天板の周縁に立設され、カップ状紙容器の胴部内壁に
    密着可能な周壁と、周壁の上縁に外方に向けて天板と平
    行に設けられたシールフランジと、からなる落とし込み
    蓋材部と、天板の開口を覆い細溝に嵌め込むように設け
    られた蓋材シート部と、から構成され、該蓋材は、天板
    の細溝に蓋材シート部の周縁が嵌め込まれた落とし込み
    蓋材部をカップ状紙容器の口縁部に熱融着可能に載置さ
    れる蓋材であって、前記落とし込み蓋材部は、蓋材シー
    ト部を前もって挿入配置した金型内に熱溶融したポリプ
    ロピレン樹脂を射出するインサート射出成形法により設
    けたことを特徴とするレトルト殺菌処理可能な紙容器用
    蓋材。
  2. 【請求項2】前記落とし込み蓋材部のシールフランジの
    周縁に、蓋材を紙容器開口部に被せた際、部分的に口縁
    部より外方に突出した開封取手部が形成されていること
    を特徴とする請求項1記載のレトルト殺菌処理可能な紙
    容器用蓋材。
  3. 【請求項3】前記蓋材シート部は、容器外側よりポリプ
    ロピレン(PP)フィルム、板紙、バリヤー性フィル
    ム、PPフィルムの順序で積層される少なくとも4層構
    成からなる積層シートであることを特徴とする請求項1
    または2記載のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材。
  4. 【請求項4】前記蓋材シート部の内外面に使用するPP
    フィルムは、融点が150°C以上のPP系樹脂を製膜
    して得られることを特徴とする請求項1、2または3記
    載のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材。
  5. 【請求項5】前記蓋材シート部を構成するバリヤー性フ
    ィルムが、無機化合物蒸着薄膜を形成したフィルム、金
    属化合物蒸着薄膜を形成したフィルム、またはバリヤー
    性プラスチックフィルムのいずれかであることを特徴と
    する請求項1、2、3または4記載のレトルト殺菌処理
    可能な紙容器用蓋材。
  6. 【請求項6】前記蓋材シート部を構成する板紙が、板紙
    表面に珪藻土からなるコート層が10〜18g/m2
    布されている板紙であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4または5記載のレトルト殺菌処理可能な紙容
    器用蓋材。
  7. 【請求項7】前記インサート射出成形法に用いるPP樹
    脂であって、落とし込み蓋材部に使用するPP樹脂は、
    PP樹脂と低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂または
    PP樹脂とエチレン−ブテン共重合体樹脂をそれぞれブ
    レンドした樹脂であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5または6記載のレトルト殺菌処理可能な紙容
    器用蓋材。
  8. 【請求項8】前記PP樹脂とLDPE樹脂またはPP樹
    脂とエチレン−ブテン共重合体樹脂とのブレンド比率
    は、それぞれ100/10〜100/30であることを
    特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載
    のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012018972A2 (en) * 2010-08-06 2012-02-09 Graphic Packaging International, Inc. Injection-molded composite container
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