JPH11240570A - レトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材 - Google Patents

レトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材

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JPH11240570A
JPH11240570A JP10047191A JP4719198A JPH11240570A JP H11240570 A JPH11240570 A JP H11240570A JP 10047191 A JP10047191 A JP 10047191A JP 4719198 A JP4719198 A JP 4719198A JP H11240570 A JPH11240570 A JP H11240570A
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JP
Japan
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film
resin
lid
container
paper container
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JP10047191A
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English (en)
Inventor
Eishin Miyake
英信 三宅
Masashi Goto
雅士 後藤
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電子レンジ適性を有するレトルト殺菌処理可能
な紙容器用の蓋材。 【解決手段】開口部周縁が外側にカールしその上下層が
熱圧着された口縁部を有するカップ状紙容器の開口部を
密封する蓋材で、該蓋材20がカップ状紙容器の口縁部に
載置されるシールフランジ21とシールフランジの内縁か
ら下方に向けてカップ状紙容器の胴部内壁に周設される
周壁22と周壁の下端からシールフランジと平行に設けら
れる環状板23とから成る蓋材成形部24と、環状板の上面
に周壁と密接して熱融着される蓋材フィルム部25とから
構成され、蓋材フィルム部25の上面には環状板との融着
部分を外すようにして台座板27が設けられ、台座板の中
心線上の端部には上方に向けて引っ張り部28が設けられ
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホット充填後の容
器内の減圧に耐え得るレトルト殺菌処理可能な紙容器用
の蓋材に関し、特には、電子レンジによる再加熱が可能
でレトルト殺菌処理可能なカップ状をした紙容器に用い
る蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】レトルト殺菌処理可能な紙容器として
は、例えば、特開昭57−46734号公報、特開昭5
8−52033号公報、特開昭58−20638号公報
等に開示された発明をはじめとして多数の発明、考案が
開示されている。
【0003】特開昭57−46734号公報に開示され
た発明は、高密度ポリエチレン樹脂を除く熱可塑性樹脂
が主体であって、融点が115°C以上の樹脂を両外層
とした合成樹脂、紙およびアルミ箔からなる積層シート
を丸めて重ね合せた両側端部に防水処理を施すとともに
溶着して筒体を形成し、得られた筒体の上下両開口部
を、前記積層シートにおける合成樹脂と同種の合成樹脂
で内面を被覆したアルミ箔からなる蓋材で閉蓋してなる
容器であって、前記積層シートが紙の両側面にアルミ箔
を配した積層構造とされた包装用容器としたものであ
る。
【0004】また特開昭58−52033号公報に開示
された発明は、両面耐水処理をした紙質原反からなる扇
形又は方形ブランクシートの胴シール部に相当する両端
部をある幅にわたって互いに逆面へと折返し且つブラン
クシート全体を筒体を形成するように折曲げて前記で得
られた一対の折返し片を有する面で両端部を貼合してな
る胴部筒体の上下部を、その上下紙端面が露出しないよ
うに蓋体および底板でシールしてなる完全耐水性紙質容
器としたものである。
【0005】さらに特開昭58−20638号公報に開
示された発明は、内層を形成する樹脂層と板紙等からな
る中間層が一体接着され、外層を形成する樹脂層と中間
層とが一体接着もしくは容器上縁での樹脂同士の接着が
なされ、各層間は脱気され、中間層が両側の樹脂層に挟
まれている多層容器としたものである。
【0006】しかしながらこれらの発明は、いずれもア
ルミニウム箔を多用しているため電子レンジ適性が無
い、合成樹脂を多用しているため廃棄性に問題が残る、
等の問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで発明者等は、ア
ルミニウム箔を使用せず、合成樹脂使用量も少ない電子
レンジ適性を有するレトルト殺菌処理可能な紙容器を開
発し、特願平10−4724号他として出願した。本発
明はこれらのレトルト殺菌処理可能な紙容器に適用する
ための蓋材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、先ず、請求項1に記載の発明では、開口部周縁が外
側にカールし、その上下層が互いに偏平に熱圧着された
口縁部を有するレトルト殺菌可能なカップ状紙容器の開
口部を密封する蓋材であって、該蓋材が、カップ状紙容
器の口縁部に熱融着可能に載置されるシールフランジ
と、シールフランジの内縁から下方に向けてカップ状紙
容器の胴部内壁に嵌合可能に周設される周壁と、周壁の
下端からシールフランジと平行に設けられる環状板とか
らなる蓋材成形部と、環状板の上面に開口部を覆うよう
に周壁と密接して熱融着される蓋材フィルム部とから構
成され、蓋材フィルム部の上面には、環状板との融着部
分を外すようにしてプラスチック製の台座板が設けら
れ、台座板の中心線上の端部には上方に向け引っ張り部
が設けられていることを特徴とするレトルト殺菌処理可
能な紙容器用蓋材である。
【0009】また、請求項2に記載の発明では、前記蓋
材フィルム部は、容器外側よりポリプロピレン(PP)
フィルム、バリヤー性フィルム、PPフィルムの順序で
積層される少なくとも3層構成からなる積層フィルムで
ある。
【0010】ここで特に、上記の蓋材フィルム部の容器
内側に使用するPPフィルムは、ポリエチレン樹脂とP
P樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂とPP樹脂
またはエチレン−ブテン共重合体樹脂とPP樹脂をそれ
ぞれ1/9〜3/7の比率でブレンドした樹脂を製膜し
て得られる。
【0011】また、請求項5に記載の発明では、前記蓋
材フィルム部の容器外側に使用するPPフィルムは、融
点が150°C以上のポリプロピレン系樹脂である。
【0012】また、請求項6に記載の発明では、前記蓋
材フィルム部を構成するバリヤー性フィルムが、無機化
合物蒸着薄膜を形成したフィルム、金属化合物蒸着薄膜
を形成したフィルム、またはバリヤー性プラスチックフ
ィルムのいずれかである。
【0013】また、請求項7に記載の発明では、前記蓋
材成形部は、PP樹脂を射出成形して得られるものであ
り、PP樹脂はMFRが5〜40g/10min.であ
るランダムタイプまたはブロックタイプのPP樹脂であ
る。
【0014】
【作用】上記のように本発明によれば、蓋材が、カップ
状紙容器の口縁部に熱融着可能に載置されるシールフラ
ンジと、シールフランジの内縁から下方に向けてカップ
状紙容器の胴部内壁に嵌合可能に周設される周壁と、周
壁の下端からシールフランジと平行に設けられる環状板
とからなる蓋材成形部と、環状板の上面に開口部を覆う
ように周壁と密接して熱融着される蓋材フィルム部とか
ら構成されているので、ヘッドスペースが少なくホット
充填後冷却しても容器内の減圧状態を吸収し、容器本体
の変形を防ぐことができる。
【0015】また、蓋材フィルム部は、容器外側よりP
Pフィルム、バリヤー性フィルム、PPフィルムの順序
で積層される少なくとも3層構成からなる積層フィルム
であり、容器内側に使用するPPフィルムは、ポリエチ
レン樹脂とPP樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹
脂とPP樹脂またはエチレン−ブテン共重合体樹脂とP
P樹脂をそれぞれ1/9〜3/7の比率でブレンドした
樹脂を製膜して得られるフィルムなので、ブレンド比率
によって融着強度が調整されるため、開封時に蓋材が容
器本体から適度の剥離強度をもって剥離する。
【0016】さらに、蓋材フィルム部を構成するバリヤ
ー性フィルムが、無機化合物蒸着薄膜を形成したフィル
ム、金属化合物蒸着薄膜を形成したフィルム、またはバ
リヤー性プラスチックフィルムのいずれかで構成されて
いるので、内容物の保護性が良好であると共に電子レン
ジ適性を有する。
【0017】さらに、蓋材フィルム部の容器外側に使用
するPPフィルムは、融点が150°C以上のポリプロ
ピレン系樹脂であり、蓋材成形部は、MFRが5〜40
g/10min.であるランダムタイプまたはブロック
タイプのPP樹脂を使用しているので、レトルト殺菌処
理適性を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下実施例により本発明を詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えぬ限り下記実施例
に限定されない。本発明のレトルト殺菌処理可能な紙容
器用蓋材は、例えば、図1(a)、(b)および図2に
示すように、カップ状紙容器の口縁部に熱融着可能に載
置されるシールフランジ21と、シールフランジの内縁
から下方に向けてカップ状紙容器の胴部11内壁に嵌合
可能に周設される周壁22と、周壁の下端からシールフ
ランジと平行に設けられる環状板23とからなる蓋材成
形部24と、環状板の上面に開口部を覆うように周壁と
密接して熱融着される蓋材フィルム部25とから構成さ
れる。
【0019】そして蓋材フィルム部の上面には、環状板
23との熱融着部分を外すようにしてプラスチック製の
台座板27が熱融着され、台座板の中心線上の端部には
上方に向けて引っ張り部28が設けられているものであ
る。
【0020】蓋材成形部24および台座板27と引っ張
り部28は、射出成形法により作製される。
【0021】蓋材成形部24の材質はPP樹脂が好まし
く、特に、MFRが5〜40g/10min.であるラ
ンダムタイプまたはブロックタイプのPP樹脂がレトル
ト殺菌処理時の耐熱性と蓋材フィルム部25との熱融着
の必要性の理由から好ましく使用できる。台座板27と
引っ張り部28も蓋材成形部と同材質とすることが、後
記する製造上の点から好ましい。
【0022】蓋材成形部24の寸法は紙容器の口径寸法
に依存し、口縁部12から蓋材の天板となる蓋材フィル
ム部25までの高低差は内容物の充填量に依存し、ヘッ
ドスペースが10cc以下になるように設計する。
【0023】蓋材フィルム部25は容器外側よりPPフ
ィルム、バリヤー性フィルム、PPフィルムの順序で積
層される少なくとも三層構成からなる積層フィルムから
構成されている。
【0024】そして容器内側に使用するPPフィルム
は、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体
樹脂、エチレン−ブテン共重合体樹脂等のエチレン系オ
レフィン樹脂とPP樹脂を1/9〜3/7の比率でブレ
ンドして得られる樹脂を製膜したフィルムを使用するこ
とが好ましい。ブレンド比率を1/9〜3/7の範囲に
規定することによりフィルム内および融着界面で凝集破
壊が起き、一般的にイージーピール性と呼ばれる易剥離
現象が生じる。
【0025】PP樹脂はランダムタイプ、ブロックタイ
プ、ホモタイプいずれのタイプの樹脂であっても使用可
能である。ブレンド比率が1/9より低いと凝集破壊す
る現象が発現しなくなり好ましくなく、また、ブレンド
比率が3/7より高くなると分散性が悪くなると同時に
シール強度のバラツキが大きくなり好ましくない。
【0026】容器外側に使用するPPフィルムを構成す
るPP樹脂は、融点が150°C以上のPP樹脂であれ
ばランダムタイプ、ブロックタイプ、ホモタイプいずれ
のタイプの樹脂であってもレトルト殺菌処理時の耐熱性
をクリヤーするので使用可能である。
【0027】蓋材フィルム部25を構成するバリヤー性
フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィル
ム、二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム等の基材フィ
ルムに、酸化珪素、酸化アルミニウム等の薄膜を400
Å程度真空蒸着法などの方法により蒸着した蒸着フィル
ムが好ましく使用できるが、上記基材フィルムに塩化ビ
ニリデン(PVDC)樹脂を塗布したフィルムを用いて
も良い。
【0028】蓋材フィルム部25を構成するフィルムの
中に衝撃性を緩和させる目的でナイロンフィルムを介在
させても良い。
【0029】各フィルムの積層は、公知の、例えば、二
液反応型ポリエステル接着剤等を用いたドライラミネー
ション法により行うことが好ましい。
【0030】蓋材成形部24への蓋材フィルム部25の
取り付けは、予め射出金型内に蓋材フィルム部をインサ
ートしておきPP樹脂を射出して蓋材成形部を成形する
方法、もしくは、射出成形した蓋材成形部に蓋材フィル
ム部を後工程で超音波シールにより融着して取り付ける
方法が可能である。
【0031】インサート射出成形の場合には、蓋材フィ
ルム部の取り付けと同時に台座板と引っ張り部の成形と
蓋材フィルムの上面への融着が同時にできる(台座板と
引っ張り部は蓋材成形部と同材質にする)。後工程で蓋
材フィルム部を蓋材成形部に取り付ける場合には、蓋材
フィルム部に引っ張り部分(図示せず)を設けておく。
この場合、蓋材フィルム部の容器外側にあたるPPフィ
ルムは設けなくても良い。
【0032】
【実施例】以下に本発明の実施例をさらに具体的に説明
する。 〈実施例1〉先ず、蓋材フィルム部25を構成する積層
フィルムをポリエステル樹脂系二液反応型接着剤を用い
たドライラミネーション法により下記する構成で作製し
た。
【0033】〔容器外側〕CPPフィルム(プロピレン
−エチレンブロック共重合体タイプ、30μm厚)/O
Nyフィルム(15μm厚)/PETフィルム(12μ
m厚),酸化珪素蒸着薄膜(400Å)/PPフィルム
(プロピレン−エチレンブロック共重合体タイプのPP
樹脂と低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を7/3の
比率でブレンドした樹脂を製膜したフィルム、50μm
厚)〔容器内側〕
【0034】つぎに、作製した積層フィルムを所定の寸
法に打ち抜き、蓋材成形部用の射出金型内にインサート
しておき、下記するグレードのPP樹脂を射出成形し
て、本発明のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材20
とした。なお、同時に台座板と引っ張り部の射出成形
と、この台座板と引っ張り部を蓋材フィルム部の上面に
融着することも行った。
【0035】使用したPP樹脂は、エチレン−プロピレ
ンブロック共重合体、・融点;160°C、・密度;
0.90g/cm3 、・MFR;14g/10min.
【0036】別に、この蓋材に適合するカップ状紙容器
として、つぎの構成からなる筒状のカップ紙容器を作製
した。
【0037】先ず、容器本体を構成する積層シートおよ
び積層シートを成形して得られる容器本体の端面露出箇
所を被覆するためのテープ状積層フィルムをポリエステ
ル樹脂系二液反応型接着剤を用いたドライラミネーショ
ン法により下記する構成で作製した。
【0038】積層シートの層構成、〔容器外側〕CPP
フィルム(50μm厚)/PETフィルム(9μm厚)
/コート層(塗布量;15g/m2 )/カップ原紙(坪
量;295g/m2 )/PETフィルム(12μm
厚),酸化珪素蒸着薄膜(400Å)/CPPフィルム
(50μm厚)〔容器内側〕
【0039】テープ状積層フィルムの層構成、CPPフ
ィルム(30μm厚)/PETフィルム(12μm
厚),酸化珪素蒸着薄膜(400Å)/CPPフィルム
(30μm厚)
【0040】積層シートおよびテープ状積層フィルムに
用いるCPPフィルムは、下記構成、物性からなるCP
Pフィルムで、蓋材成形部に用いるPP樹脂と同系統の
PP樹脂を製膜したものである。すなわち、プロピレン
−エチレンブロック共重合体、・融点;160°C、・
密度;0.90g/cm3 、・MFR;8g/10mi
n.・エチレン含有率;2.5wt%、・耐衝撃性付与
のため、エチレン−ブテン共重合体(非晶性樹脂)を添
加している。
【0041】また、カップ原紙の水分率は5.0%であ
る。
【0042】積層シートより、カップ状の容器を成形す
るため、容器の胴部11となる胴部材ブランクと、底部
13となる底部材ロールを作製した。そして、胴部材ブ
ランクの成形時に貼り合わせ部となる両端面露出部すべ
てにわたり幅10mmのテープ状積層フィルム14をイ
ンパルスシールし、紙端面露出部を被覆した。
【0043】この紙端面露出部をテープ状積層フィルム
で被覆した胴部材ブランクと、底部材ロールとを用いて
一般的に使用されている紙カップ成形機により外側にカ
ールした口縁部12を有する筒状のカップ状紙容器10
を成形した。加熱方式は積層シートのカップ原紙内水分
の気化に伴うブリスターの発生を防止するため、溶着部
外側のCPPフィルムを局所的に加熱圧着する方式を採
用した。
【0044】また、このカップ状紙容器は、成形後、口
縁部を上下から加熱圧着して偏平に押しつぶしておく。
【0045】作製した紙容器の底部のインカール内壁部
に、熱溶融したPP樹脂を射出し底部インカール環状部
材15を、また、口縁部には、外側面および下面を覆う
口縁周縁部材16を熱溶融したPP樹脂で被覆して、紙
端面の露出が全くないレトルト殺菌処理可能な紙容器を
作製した(図3参照)。容器へのPP樹脂の被覆は、容
器を前もって挿入配置した金型内に熱溶融したPP樹脂
を射出するインサート射出成形法により行った。
【0046】この際用いたPP樹脂は下記する構成、物
性からなるものであった。すなわち、エチレン−プロピ
レンブロック共重合体、・融点;160°C、・密度;
0.90g/cm3 、・MFR;14g/10min.
【0047】また、カップ状紙容器の口径;58.7m
m、カップ内部高さ;85.6mm、内容量;200m
l(蒸留水)を考慮して、ヘッドスペースが10ccに
なるように、蓋材のシールフランジから天板である蓋材
フィルム部までの高低差として8mmを設定した。
【0048】こうして作製した上記紙容器に65°Cの
蒸留水を200ml充填し、開口部に同じく作製した蓋
材を被せて、容器本体の口縁部ならびに口縁周縁部材
と、蓋材のシールフランジとを超音波シール法により熱
融着して紙容器を密封し、実施例1とした(図2参
照)。
【0049】〈比較例1〉蓋材に、実施例1で蓋材フィ
ルム部に使用したフィルムを用いた以外は実施例1と同
じ構成で、紙容器に65°Cの蒸留水を200ml充填
し密封して比較例1の密封紙容器とした(詳細な説明は
省略する。実施例1と比較してヘッドスペース容量が大
きくなっている)。
【0050】〈比較例2〉紙容器を構成する積層シート
のバリヤー層として酸化珪素の薄膜を蒸着したPETフ
ィルムの代わりに9μm厚のアルミニウム箔を使用した
以外は、実施例1と同じ構成、形状の紙容器と蓋材を使
用し、紙容器に65°Cの蒸留水を200ml充填し密
封して比較例2の密封紙容器とした(詳細な説明は省略
する)。
【0051】〈参考例1〉容器として、実施例1と同形
状のプラスチック容器(構成はPP樹脂/エチレンビニ
ルアルコール共重合樹脂(EVOH)/PP樹脂)を使
用し、蓋材として、比較例1で使用した蓋材を使用し、
容器に65°Cの蒸留水を200ml充填し密封して参
考例1の密封容器とした(詳細な説明は省略する)。
【0052】以上、65°Cの蒸留水を200ml充填
し密封した3種類の紙容器と1種類のプラスチック容器
について、ホット充填後の容器変形とレトルト適性、電
子レンジ適性を以下に述べる方法に従って実験し評価し
評価した。
【0053】〈実験1〉ホット充填後の容器変形 65°Cの蒸留水を200ml充填し密封した実施例
1、比較例1,2、参考例1の4種類の容器を室温(2
3°C)まで放冷した時の容器本体の変形の有無を目視
により観察した。その結果を表1に示す。表1中、○は
容器本体に変形等の形状変化がないことを示し、×は容
器本体が凹んで変形したことを示す。
【0054】〈実験2〉レトルト適性(1) 室温まで下がった蒸留水200mlを充填した実施例
1、比較例2、参考例1の3種類の容器を、下記2条件
で株式会社日阪製作所製の装置を用い、含気方式のレト
ルト殺菌処理を行い、レトルト殺菌後の容器の変形の有
無を目視により観察した。その結果を表2に示す。
【0055】表2中、○は容器本体、蓋材の双方に変形
等の形状変化がないことを示し、×は蓋材が凹んで変形
したことを示す。 条件1‥‥初期温度;80°C、昇温条件;120°C 到達15分 保持条件;30分間、冷却時間;30分間 条件2‥‥初期温度;80°C、昇温条件;130°C 到達15分 保持条件;30分間、冷却時間;30分間
【0056】〈実験3〉レトルト適性(2) 実施例1、比較例2、参考例1の3種類の容器に、蒸留
水200mlの代わりに下記する酸素バリヤー検知材料
を内容物として充填し、上記2条件でレトルト殺菌処理
を行い、酸素バリヤー性の有無を目視観察した。その結
果を表2に示す。
【0057】酸素バリヤー検知材料‥‥ショ糖脂肪酸エ
ステル、寒天粉末、水酸化ナトリウム、メチレンブル
ー、Dグルコースの混合体を熱水中で溶解したもの バリヤー性の評価方法‥‥メチレンブルーが酸素に触れ
ると青く発色することを利用し、酸素透過の程度を色相
にて評価する 表2中、○は内容液が青色に発色せず酸素バリヤー性が
有ることを示し、×は内容液全体が青色に発色して、酸
素バリヤー性が劣化していることを示す。
【0058】〈実験4〉電子レンジ適性 実験2で用いたレトルト殺菌処理後の3種類の容器を定
格電圧100V、定格周波数60Hzの一般的に用いら
れている電子レンジに下記する条件でセットし、電子レ
ンジ適性を目視により観察、評価した。その結果を表3
に示す。 電子レンジ加熱条件‥‥加熱時間 3分間 表3中、○は電子レンジによる再加熱が問題なく出来た
状態を示し、×は電子レンジによる再加熱が出来なかっ
た状態を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】表1、2、3から考察すると、ヘッドスペ
ースが10ccになるようにシールフランジと天板であ
る蓋材フィルム部との高低差を8mmに設定した蓋材を
用いた容器は、ホット充填が可能であり、ガスバリヤー
性に優れている上レトルト殺菌適性と共にレトルト殺菌
後の電子レンジ適性をも有することがわかる(実施例
1)。
【0063】
【発明の効果】本発明の紙容器用蓋材は、容器の減圧状
態を吸収するため、容器の変形が防げ、容器の外観を損
なうことがない。
【0064】また、容器内側に使用するPPフィルム
は、エチレン系オレフィン樹脂とPP樹脂の比率によ
り、接着強度を調整したブレンド樹脂で作製されている
ため、開封するとき、熱融着している蓋を容器から適宜
の接着強度をもって剥離し易い。
【0065】バリヤー性フィルムを使用しているので、
内容物保護性を有すると共に、アルミニウム箔等の金属
箔を使用していないので、レトルト殺菌処理適性のほか
に電子レンジ適性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の蓋材の一実施例を示す平面図
であり、(b)はそのA−A’線断面図である。
【図2】本発明の蓋材を紙容器に載置して密封シールし
た状態を示す断面説明図である。
【図3】実施例1で使用したレトルト殺菌処理可能な紙
容器の断面説明図である。
【符号の説明】
10‥‥カップ状紙容器 11‥‥胴部 12‥‥口縁部 13‥‥底部 14‥‥テープ状積層フィルム 15‥‥底部インカール環状部材 16‥‥口縁周縁部材 20‥‥蓋材 21‥‥シールフランジ 22‥‥周壁 23‥‥環状板 24‥‥蓋材成形部 25‥‥蓋材フィルム部 27‥‥台座板 28‥‥引っ張り部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B65D 81/34 B65D 81/34 N

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】開口部周縁が外側にカールし、その上下層
    が互いに偏平に熱圧着された口縁部を有するレトルト殺
    菌可能なカップ状紙容器の開口部を密封する蓋材であっ
    て、 該蓋材が、カップ状紙容器の口縁部に熱融着可能に載置
    されるシールフランジと、シールフランジの内縁から下
    方に向けてカップ状紙容器の胴部内壁に嵌合可能に周設
    される周壁と、周壁の下端からシールフランジと平行に
    設けられる環状板とからなる蓋材成形部と、環状板の上
    面に開口部を覆うように周壁と密接して熱融着される蓋
    材フィルム部とから構成され、 蓋材フィルム部の上面には、環状板との融着部分を外す
    ようにしてプラスチック製の台座板が設けられ、台座板
    の中心線上の端部には上方に向け引っ張り部が設けられ
    ていることを特徴とするレトルト殺菌処理可能な紙容器
    用蓋材。
  2. 【請求項2】前記蓋材フィルム部は、容器外側よりポリ
    プロピレン(PP)フィルム、バリヤー性フィルム、P
    Pフィルムの順序で積層される少なくとも3層構成から
    なる積層フィルムであることを特徴とする請求項1記載
    のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材。
  3. 【請求項3】前記蓋材フィルム部の容器内側に使用する
    PPフィルムは、ポリエチレン樹脂とPP樹脂、エチレ
    ン−プロピレン共重合体樹脂とPP樹脂またはエチレン
    −ブテン共重合体樹脂とPP樹脂をそれぞれブレンドし
    た樹脂を製膜して得られることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材。
  4. 【請求項4】前記ポリエチレン樹脂とPP樹脂、エチレ
    ン−プロピレン共重合体樹脂とPP樹脂またはエチレン
    −ブテン共重合体樹脂とPP樹脂とのブレンド比率は、
    それぞれ1/9〜3/7であることを特徴とする請求項
    1、2または3記載のレトルト殺菌処理可能な紙容器用
    蓋材。
  5. 【請求項5】前記蓋材フィルム部の容器外側に使用する
    PPフィルムは、融点が150°C以上のポリプロピレ
    ン系樹脂であることを特徴とする請求項1、2、3また
    は4記載のレトルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材。
  6. 【請求項6】前記蓋材フィルム部を構成するバリヤー性
    フィルムが、無機化合物蒸着薄膜を形成したフィルム、
    金属化合物蒸着薄膜を形成したフィルム、またはバリヤ
    ー性プラスチックフィルムのいずれかであることを特徴
    とする請求項1、2、3、4または5記載のレトルト殺
    菌処理可能な紙容器用蓋材。
  7. 【請求項7】前記蓋材成形部は、PP樹脂を射出成形し
    て得られるものであり、PP樹脂はメルトフローレイト
    (MFR)が5〜40g/10min.であるランダム
    タイプまたはブロックタイプのPP樹脂であることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のレト
    ルト殺菌処理可能な紙容器用蓋材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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