JPH11291430A - 金属板貼合せ成形加工用白色積層ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用白色積層ポリエステルフィルム

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JPH11291430A
JPH11291430A JP9590598A JP9590598A JPH11291430A JP H11291430 A JPH11291430 A JP H11291430A JP 9590598 A JP9590598 A JP 9590598A JP 9590598 A JP9590598 A JP 9590598A JP H11291430 A JPH11291430 A JP H11291430A
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layer
film
laminated
polyester
metal plate
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JP9590598A
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English (en)
Inventor
Koji Kubo
耕司 久保
Tetsuya Hasegawa
哲也 長谷川
Hirobumi Murooka
博文 室岡
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製膜性、耐削れ性、および摩耗性に優れ、金
属板に貼合せた後容器の外面となるように成形加工する
のに有用な白色ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 共重合ポリエステルからなるA/B/C
層の構成の積層フィルムであって、A層、B層およびC
層を構成する共重合ポリエステルが、それぞれ、ルチル
型酸化チタンを含有し、該積層フィルムの損失弾性率の
最高温ピーク温度(Te)と、A層を構成する共重合ポ
リエステルのガラス転移温度(Tg)が下記式(1)お
よび(2)を満足し、さらに該積層フィルムのMOR値
が1.4未満であることを特徴とする金属板貼合せ成形
加工用白色積層ポリエステルフィルム。 Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、TgはA層を構成する共重合ポリエステルの
ガラス転移温度(℃)、Teは積層フィルムの損失弾性
率の最高温ピーク温度(℃)である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属板貼合せ成形加
工用白色積層ポリエステルフィルムに関し、さらに詳し
くは金属板に貼合せた後フィルムが容器の外面となるよ
うに成形加工するのに有用な金属板貼合せ成形加工用白
色積層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】金属缶には内外面の腐食防止として、一
般に、塗装を施されている。最近は工程簡素化、衛生性
向上、公害防止等の目的で有機溶剤を使用せずに防錆性
を付与する方法として熱可塑性樹脂フィルムによる被覆
が試みられている。
【0003】即ち、ブリキ、ティンフリースチール、ア
ルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネ
ートしたあと絞り加工等により製缶する方法の検討が進
められている。
【0004】この熱可塑性樹脂フィルムとしてポリオレ
フィンフィルムやポリアミドフィルムが試みられたが、
成形加工性、耐熱性、保味保香性のすべてを満足するも
のでない。
【0005】そこでポリエステルフィルム、特にポリエ
チレンテレフタレートフィルムがバランスのとれた特性
を有するとして注目され、これをベースとしたいくつか
の提案がなされている。
【0006】また、金属容器の外面には印刷が施される
のが一般的であるが、印刷時にあらかじめ遮光の目的で
白色の塗料を下塗りし、その後印刷される。金属板にラ
ミネートする熱可塑性樹脂フィルムを白色遮光性のフィ
ルムとすることにより、白色塗料の下塗りを省略するこ
とができる。しかし、単に白色顔料を添加して製造され
る白色フィルムでは、フィルム製造プロセスや缶に成形
するプロセスにおいて様々な障害が生ずる。
【0007】例えば、フィルム製造時においては、製膜
時の傷付きが発生しやすく、また、缶成形時では、フィ
ルム面の擦れによる削れ等の問題がある。
【0008】本発明者らが検討を重ねた結果、これらの
課題は、ある温度以上のガラス転移温度を有する共重合
ポリエステルを用いれば解決することがわかったが、単
にガラス転移温度の高い共重合ポリエステルを用いれ
ば、成形加工性が低下する問題がある。
【0009】また、遮光性を向上させるためには、白色
顔料の含有量が高い方が好ましいが、白色顔料の含有量
が高くなると、製膜時に使用するロールの摩耗が問題と
なる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者の目的は、耐
削れ性に優れるとともに、成形加工性に優れ、隠蔽性が
高く、かつロール摩耗が起こりにくい金属板貼合せ成形
加工用白色積層ポリエステルフィルムを提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、平
均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型酸化チタンを1
0〜50重量%含有し、融点が210〜245℃であり
かつポリマー部分の固有粘度が0.46〜0.66の共
重合ポリエステルからなる層(B層)と、該B層の一方
の表面に積層した、平均粒径が0.1〜0.5μmのル
チル型酸化チタンを0〜10重量%含有し、融点が21
0〜245℃でありかつポリマー部分の固有粘度が0.
46〜0.66の共重合ポリエステルからなる層(A
層)、ならびにB層のもう一方の表面に積層した、平均
粒径が0.1〜0.5μmのルチル型酸化チタンを0〜
10重量%含有し、融点が210〜245℃でありかつ
ポリマー部分の固有粘度が0.46〜0.66の共重合
ポリエステルからなる層(C層)からなる積層フィルム
であって、該積層フィルムの損失弾性率の最高温ピーク
温度(Te)と、A層を構成する共重合ポリエステルの
ガラス転移温度(Tg)が下記式(1)および(2)を
満足し、さらに該積層フィルムのMOR値が1.4未満
であることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用白色積
層ポリエステルフィルムである。
【0012】
【数3】 Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、TgはA層を構成する共重合ポリエステルの
ガラス転移温度(℃)、Teは積層フィルムの損失弾性
率の最高温ピーク温度(℃)である。)本発明における
A層、B層およびC層を構成する共重合ポリエステルと
しては、例えばポリエチレンテレフタレート共重合体、
ポリエチレンイソフタレート共重合体、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタ
レート共重合体、ポリ−1,4シクロヘキシレンジメチ
レンテレフタレート共重合体を挙げることができる。
【0013】かかるポリエステルのうち、特にポリエチ
レンテレフタレート共重合体が好ましい。ポリエチレン
テレフタレート共重合体における共重合成分は、酸成分
でもグリコール成分でもよい。該酸成分としては、イソ
フタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の如
き脂肪族カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の如き脂環族ジカルボン酸等を挙げることがで
き、グリコール成分としては、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族
ジオール等を挙げることができる。これらは単独又は2
種以上を使用することができる。これらの中、2,6−
ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0014】A層、B層およびC層を構成する共重合ポ
リエステルの共重合成分の種類と割合は、互いに同一で
あっても異なっていてもよく、また、A層およびC層を
構成する共重合ポリエステルは同一であることが好まし
い。
【0015】かかる共重合成分の割合は、その種類にも
よるが結果としてポリマー融点が210〜245℃、好
ましくは215〜235℃の範囲になる割合である。ポ
リマー融点が210℃未満では耐熱性が劣るため、製缶
後の印刷における加熱に絶えられなく好ましくない。一
方、ポリマー融点が245℃を超えると、ポリマーの結
晶性が高くなり成形加工性が損なわれるため好ましくな
い。
【0016】ここで、共重合ポリエステルの融点測定
は、Du Pont Instruments 910
DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求
める方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
【0017】本発明の共重合ポリエステルは、公知の方
法で製造することができる。例えば共重合ポリエチレン
テレフタレートの製法としては、テレフタル酸、エチレ
ングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、
次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポ
リエチレンテレフタレートとする方法、あるいはジメチ
ルテレフタレート、エチレングリコール及び共重合成分
をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を
重縮合反応させ共重合ポリエチレンテレフタレートとす
る方法を好ましく挙げることができる。なお、共重合ポ
リエステルの製造の際に、必要の応じて他の添加物たと
えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤等も添加することができる。特に白度を
向上させようとする場合、蛍光増白剤の添加は有効であ
る。
【0018】本発明において、A層、B層およびC層を
構成する共重合ポリエステルのポリマー部分の固有粘度
は0.46〜0.66であり、好ましくは0.48〜
0.64の範囲である。この固有粘度が0.46に満た
ない場合、フィルム延伸時のフィルム破断が多くなり、
かつ得られた積層フィルムを金属板に貼合せた後、容器
に成形する時破断を生じやすい。また、0.66を超え
るものは過剰品質であり、原料ポリマーの生産性も落ち
るので不経済である。
【0019】ここで、固有粘度の測定は、O−クロロフ
ェノールに溶解後、遠心分離機により酸化チタン等のフ
ィラーを取り除き35℃溶液にて測定する。
【0020】本発明において、A層、B層およびC層の
共重合ポリエステルに含有させるルチル型酸化チタン
は、平均粒径が0.1〜0.5μmである。この平均粒
径は、好ましくは0.2〜0.4μmである。平均粒径
が0.1μm未満では、共重合ポリエステル中に均一に
分散させることが困難であり、白色隠蔽性も劣るように
なる。平均粒径が0.5μmより大きいルチル型酸化チ
タンは製造が困難であり、また製造されたものも粗大粒
子が多く、好ましくない。
【0021】前記ルチル型酸化チタンはその純度が95
%以上のものが好ましい。95%未満であると高濃度で
添加した場合分散性が劣り、また共重合ポリエステルの
分子量を著しく低下させるため好ましくない。
【0022】本発明において、B層を構成する共重合ポ
リエステルへのルチル型酸化チタンの添加含有量は10
〜50重量%、好ましくは15〜50重量%、更に好ま
しくは20〜45重量%である。この含有量が10重量
%に満たないと、フィルムの白色隠蔽性が充分でなく、
一方50重量%を超えると白色隠蔽性が飽和して、より
一層の効果の向上が見られず、かえってフィルムが脆く
なりフィルム延伸時のフィルム破断が多く、かつ、得ら
れた積層フィルムを金属板に貼合せた後、容器に成形す
る時破断を生じやすい。また、B層を構成する共重合ポ
リエステルに含有させる粒子としては、ルチル型酸化チ
タンとともに他の白色顔料、例えばアルミナ、炭酸カル
シウム、硫酸バリウム、アナターゼ型酸化チタン、硫化
亜鉛、二酸化ケイ素等を用いることができる。
【0023】本発明において、A層およびC層を構成す
る共重合ポリエステルに含有させるルチル型酸化チタン
の添加含有量は、それぞれ0〜10重量%、好ましくは
それぞれ0.5〜7重量%である。ルチル型酸化チタン
の含有量が10重量%を超えると、製膜工程でのロール
削れが発生して好ましくない。共重合ポリエステルに含
有させるルチル型酸化チタンの添加含有量は、A層とC
層で同一であることが好ましい。
【0024】本発明におけるルチル型酸化チタンは、共
重合ポリエステルへ添加する前に、精製プロセスを用い
て、粒径調整、粗大粒子除去を行うことが好ましい。精
製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段としては例
えば乾式もしくは湿式遠心分離機等が挙げられる。な
お、これらの手段は2種類以上を併用し、段階的に精製
してもよい。
【0025】共重合ポリエステルにルチル型酸化チタン
を含有させるには各種の方法を用いることができる。そ
の代表的な方法として、下記のような方法を挙げること
ができる。
【0026】(ア)共重合ポリエステル合成時のエステ
ル交換もしくはエステル化反応の終了前に添加、もしく
は重縮合反応開始前に添加する方法。 (イ)共重合ポリエステルに添加し、溶融混練する方
法。 (ウ)上記(ア)、(イ)の方法において、酸化チタン
を多量に添加したマスターペレットを製造し、粒子を含
有しない共重合ポリエステルと混練し、所定量のルチル
型酸化チタンを含有させる方法。
【0027】なお、(ア)のポリエステル合成時にルチ
ル型酸化チタンを添加する方法を用いる場合には、ルチ
ル型酸化チタンをグリコールに分散したスラリーとし
て、反応系に添加することが望ましい。
【0028】本発明においては、さらに積層フィルムの
耐削れ性を向上させるために、A層およびC層を構成す
る共重合ポリエステル中に二酸化ケイ素粒子を含有させ
るのが好ましい。共重合ポリエステルに含有させる二酸
化ケイ素粒子は、平均粒径が0.6〜2.0μm、好ま
しくは0.8〜2.0μm、更に好ましくは1.2〜
1.7μmであることが好ましい。また、共重合ポリエ
ステルに含有させる二酸化ケイ素粒子の含有量は、0.
01〜0.1重量%、好ましくは0.03〜0.08重
量%であることが好ましい。平均粒径が0.6μmより
小さいか、あるいは含有量が0.01重量%未満である
と、フィルムの耐削れ性を向上させることはできない。
一方、平均粒径が2.0μmより大きいか、あるいは含
有量が0.1重量%より大きいと、工程中で粒子の脱落
が生じたりするので、好ましくない。
【0029】また、含有させる二酸化ケイ素粒子として
は、塊状、凝集状、真球状など、いずれの形状のものも
用いることができるが、粗大粒子の少なさや粒子の脱落
しにくさから、真球状の二酸化ケイ素を用いるのが好ま
しい。なお、ここでいう真球状の二酸化ケイ素粒子と
は、粒子の長径と短径の比が1.2未満の粒子をいう。
【0030】また、A層およびC層を構成する共重合ポ
リエステルには、ルチル型酸化チタンや二酸化ケイ素の
他に、摩耗性に影響を与えない範囲で、他の粒子を含有
していてもよい。
【0031】かかる粒子の長径、短径、平均粒径の測定
法としては、粒子表面に金属を蒸着した後、電子顕微鏡
にて1万〜3万倍に拡大した像から、長径、短径を、ま
た平均粒径は面積円相当径の平均値として求める。
【0032】本発明の積層フィルムは、損失弾性率の最
高温ピーク温度(Te)とA層を構成する共重合ポリエ
ステルのガラス転移温度(Tg)が下記式(1)および
(2)を満足する必要がある。
【0033】
【数4】 Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、TgはA層を構成する共重合ポリエステルの
ガラス転移温度(℃)、Teは積層フィルムの損失弾性
率の最高温ピーク温度(℃)である。) Tgが78℃未満であると、フィルムの耐削れ性が悪化
し、フィルムの製造時に傷がついたり、缶成形時にフィ
ルム面の擦れによる削れが発生などの問題が生ずる。こ
のため、A層を構成する共重合ポリエステルの共重合成
分としては、少なくとも1成分に、共重合成分を増加さ
せた時にガラス転移温度が変化しないか、もしくは上昇
するような成分を用いることが好ましい。共重合成分の
割合を増加させたときにガラス転移温度を上昇させるよ
うな成分としては、ジカルボン酸成分として2,6−ナ
フタレンジカルボン酸が、ジオール成分としては1,4
−シクロヘキサンジメタノールが好ましく例示できる。
【0034】ここで、ポリエステルのTgは、Du P
ont Instruments910 DSCを用
い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法に
よる。
【0035】さらに、Te−Tgの値が30℃を超える
と、積層フィルムの分子配向性や結晶性が高くなりすぎ
るために成形加工性が著しく低下する。Teの値は共重
合成分および共重合量にもよるが、製膜条件により、特
に二軸延伸の倍率、延伸温度、熱固定温度で調整する方
法が好ましく挙げられる。
【0036】ここで、Teは、動的粘弾性測定装置を用
いて、測定周波数10Hz、動的変位±25×10-4
mにて求める。
【0037】また、本発明の積層フィルムのMOR値
は、1.4未満であり、好ましくは1.3未満である。
MOR値が1.4を超えるとフィルム配向の面内異方性
が大きくなり、容器に成形する際に微小クラックや割れ
が発生しやすくなり、好ましくない。ここでMOR値と
は、神崎製紙(株)製分子配向計MOA−2001Aを
用い、マイクロ波を透過させた時の透過強度の最大値
(Xmax)および最小値(Xmin)の比(下記式)と定義
する。
【0038】
【数5】MOR値=Xmax/Xmin 本発明の積層フィルムの表面(A層およびC層表面)
は、次の特性を示すものが好ましい。すなわち、表面粗
さ(Ra)が0.03〜0.08μmであり、十点平均
粗さ(SRz)が0.7〜1.5μmであり、かつ動摩
擦係数が0.35以下である。これらの範囲を外れる
と、積層フィルムの耐削れ性が劣るようになる。
【0039】ここで、表面粗さ(Ra)は、JIS B
0601で定義される値であり、本発明においては、小
坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(SE−3FA
T)を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、
カットオフ0.25mm、測定長2.5mmの条件で測
定した値である。また、十点平均粗さ(SRz)は、小
坂研究所(株)製の3次元粗さ測定器(SE−3CK)
を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、測定
長1.3mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ
0.25mm、縦方向拡大倍率2万倍、横方向拡大倍率
200倍、走査本数100本の条件で、フィルム表面の
3次元粗さプロフィールを計測し、計測したプロフィー
ルの範囲内で高い方から1〜5番目までの山の高さの平
均と、深い方から1〜5番目までの谷の深さの平均との
間隔をもって十点平均粗さとする。動摩擦係数の測定
は、ASTM D1894に準拠して測定する。
【0040】また、本発明の積層フィルムは、X線回折
強度比が下記式(3)を満足することが好ましい。
【0041】
【数6】
【0042】X線回折強度比が0.1よりも小さくなる
とフィルム製膜時のフィルム破断による製膜性の低下、
成形加工性の低下を引き起こしやすくなる。逆に、X線
回折強度比が0.4を超えるとフィルム製膜時に厚み斑
が発生しやすくなるため、好ましくない。
【0043】ここで、X線回折強度比は、次の方法によ
り測定を行った。
【0044】X線源としてCuK−αをもちいて、発散
スリット1/2°、散乱スリット1/2°、受光スリッ
ト0.15mm、スキャンスピード1.000°/分の
条件で測定し、Pseudo Voight ピールモ
デルを用いた多重ピール分離法により、下記X線回折強
度をそれぞれ測定し、両者の比をX線回折強度比とし
た。
【0045】
【外1】
【0046】ただし、X線回折強度は各結晶面の回折ピ
ークの面積を求め、この面積をX線回折強度とする。ま
た、酸化チタン等の顔料に起因する反射ピーク(アナタ
ーゼ(101)、ルチル(110))が(100)面の
近くにあるが、これを除いて面積を求める。
【0047】このような、要件を満足するフィルムを製
造する方法の一例として、以下二軸延伸、特に逐次二軸
延伸による方法を説明するが本発明においてはこの方法
のみに限定されるものではない。
【0048】本発明の積層フィルムは、各層を構成する
ポリエステルペレットを別々に乾燥し、押出し機にて溶
融させダイスより共押出しして、直ちに急冷して実質的
に非晶質の積層シートを得る。次に、この積層シートを
ロール加熱、赤外線加熱等で加熱して縦方向に延伸す
る。このとき、延伸温度を共重合ポリエステルのガラス
転移点(Tg)より20〜60℃高い温度とし、延伸倍
率を2.5〜3.6倍とすることが好ましい。また縦方
向に延伸する際は、2回以上に分割して縦方向に延伸す
る方法が特に好ましい。横方向の延伸は共重合ポリエス
テルのTgより20℃以上高い温度から始め、共重合ポ
リエステルの融点(Tm)より90〜130℃低い温度
まで昇温しながら行うのが好ましい。横延伸の倍率は
2.6〜3.7倍とすることが好ましい。また、熱固定
の温度は150℃〜230℃の範囲で共重合ポリエステ
ルの融点に応じフィルム品質を調整すべく選択するのが
好ましい。
【0049】本発明の積層フィルムは、好ましくは厚み
が6〜75μmである。さらに10〜75μm、特に1
5〜50μmであることが好ましい。厚みが6μm未満
では加工時に割れ等が生じやすくなり、一方75μmを
超えるものは過剰品質であって不経済である。積層フィ
ルムの層厚み構成としては、B層の厚み(TB)とA層
の厚み(TA)との比(TB/TA)は、1〜20が好ま
しく、更には2〜15が好ましい。また、B層の厚み
(TB)とC層の厚み(TC)との比(TB/TC)は、1
〜20が好ましく、更には2〜15が好ましい。
【0050】本発明の積層フィルムが貼合せられる金属
板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリー
スチール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へ
のフィルムの貼合せは、例えば下記、の方法で行う
ことができる。
【0051】金属板をフィルムの融点以上に加熱して
おいてフィルムを貼合せた後冷却し、金属板に接するフ
ィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる。
【0052】フィルムにあらかじめ接着剤層をプライ
マーコートしておき、この面と金属板を貼合せる。接着
剤層としては公知の樹脂接着剤例えばエポキシ系接着
剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤
等を用いることができる。
【0053】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を更に説明す
る。なお、フィルムの特性値については、それぞれ以下
の方法で測定、評価した。
【0054】(1)共重合ポリエステルの融点 Du Pont Instruments 910 D
SCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める
方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
【0055】(2)共重合ポリエステルの固有粘度 O−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により酸化
チタン等のフィラーを取り除き35℃溶液にて測定し
た。なお、各層の固有粘度は、各層のポリエステルをそ
れぞれ単独で押出して得られた未延伸フィルムの固有粘
度である。
【0056】(3)粒子の平均粒径、粒径比 粒子表面に金属を蒸着した後、電子顕微鏡にて1万〜3
万倍に拡大した像から、長径、短径、面積円相当径を求
めた。平均粒径は、面積円相当径の平均値として、ま
た、粒径比は長径と短径の比(長径/短径)として求め
た。
【0057】(4)共重合ポリエステルのガラス転移点
(Tg) Du Pont Instruments 910 D
SCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求め
る方法による。
【0058】(5)フィルムの損失弾性率の最高温ピー
ク温度(Te) 動的粘弾性測定装置を用いて、測定周波数10Hz、動
的変位±25×10-4cmにて損失弾性率を求め、この
ときの最高温ピーク温度をもって示す。
【0059】(6)フィルムのMOR値 神崎製紙(株)製分子配向計MOA−2001Aを用
い、マイクロ波を透過させた時の透過強度の最大値(X
max)および最小値(Xmin)の比(下記式)をMOR値
とした。
【0060】
【数7】MOR値=Xmax/Xmin (7)フィルムの表面粗さ(Ra) 小坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(SE−3FA
T)を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、
カットオフ0.25mm、測定長2.5mmの条件で測
定した。
【0061】(8)フィルムの十点平均粗さ(SRz) 小坂研究所(株)製の3次元粗さ測定器(SE−3C
K)を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、
測定長1.3mm、サンプリングピッチ2μm、カット
オフ0.25mm、縦方向拡大倍率2万倍、横方向拡大
倍率200倍、走査本数100本の条件で、フィルム表
面の3次元粗さプロフィールを計測し、計測したプロフ
ィールの範囲内で高い方から1〜5番目までの山の高さ
の平均と、深い方から1〜5番目までの谷の深さの平均
との間隔をもって十点平均粗さとした。
【0062】(9)フィルムの摩擦係数 ASTM D1894に準拠して測定し、動摩擦係数
(μk)を摩擦係数とした。
【0063】(10)X線回折強度比 X線源としてCuK−αをもちいて、発散スリット1/
2°、散乱スリット1/2°、受光スリット0.15m
m、スキャンスピード1.000°/分の条件で測定
し、Pseudo Voight ピールモデルを用い
た多重ピール分離法により、下記X線回折強度をそれぞ
れ測定し、両者の比をX線回折強度比とした。
【0064】
【外2】
【0065】ただし、X線回折強度は各結晶面の回折ピ
ークの面積を求め、この面積をX線回折強度とした。ま
た、酸化チタン等の顔料に起因する反射ピーク(アナタ
ーゼ(101)、ルチル(110))が(100)面の
近くにあるが、これを除いて面積を求めた。
【0066】(11)製膜性 フィルムの製膜性について下記の基準で評価した。 ○:フィルム破断がほとんど発生せず安定製膜可能。 ×:フィルム破断が多数発生し製膜性が悪い。
【0067】(12)耐削れ性 温度20℃、湿度60%の環境で、幅1/2インチに裁
断したフィルムサンプルを用い、フィルムのA層を直径
10mmの円柱状ステンレス製固定バーに巻角が60°
となるよう接触させ、200gの張力をかけた状態でフ
ィルムを80m走行させた後、バーに付着した白粉を観
察し、耐削れ性を下記の通り評価した。 ○:バーには白粉が付着しない。 △:バーの一部分に薄く白粉が付着する。 ×:バーの幅方向全面に白粉が付着し、部分的に凝集が
認められる。
【0068】(13)摩耗性 温度20℃、湿度60%の環境で、幅1/2インチに裁
断したフィルムのA層側にブレード(英国GKI製工業
用カミソリ試験機用ブレード)の刃先を垂直にあて、さ
らに1.5mm押し込み接触させて、毎分60mの速
さ、入口テンション60gで走行させ、フィルムを50
m走行した後のブレードの摩耗量(Wμm3)をSEM
にて観察し、下記のような基準で評価した。 ○:W<4.0×104μm3 ×:W≧4.0×104μm3
【0069】(14)深絞り加工性 実施例および比較例で得られたフィルムを、260℃に
加熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの両
面に、フィルムのC層をティンフリースチール側にして
貼合せ、水冷した後150mm径の円板状に切り取り、
絞りダイスとポンチを用いて3段階で深絞り加工し、5
5mm径の側面無継目缶を作成した。この時の状況を下
記の基準で評価した。 ○:内外面ともフィルムに以上なく加工され、缶内外面
のフィルムに微小クラックや破断が認められない。 ×:缶内外面のフィルムの一部にフィルム破断が認めら
れる。
【0070】(15)耐熱性 深絞り成形が良好であった缶を210℃×5分間加熱保
持した後、放冷し、缶外面を観察して下記の基準で評価
した。 ○:缶外面に変化はなく、良好な外観を示す。 ×:缶外面の一部、または全面でフィルムの溶融が認め
られる。
【0071】(16)缶外面白度 フィルムとティンフリースチールとを貼合せる前に製缶
後に缶外面となるティンフリースチール面に、烏口を用
いて、長さ50mm幅がそれぞれ0.2mm、1.4m
mの黒線を記入しておいて製缶後、白色フィルムを通し
て黒線を観察した。評価を次の様通り行った。 ○:両黒線ともに見えない。 △:一方の黒線はかすかに見えるが、他方の黒線は見え
ない。 ×:一方の黒線は見え、他方の黒線もかすかに見える。
【0072】[実施例1〜13、比較例1〜8]表1に
示す成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレー
トに同表に示す平均粒径のルチル型酸化チタンを同表に
示す量を添加し、さらにA層とC層を構成するポリエス
テルには真球状二酸化ケイ素(平均粒径1.5μm、粒
径比1.1)を0.08重量%添加して、各押出機にて
溶融し、ダイより共押出しして、急冷固化して未延伸フ
ィルムとした。次いで該未延伸フィルムを表1に示す温
度および倍率で縦延伸した後、表1に示す温度および倍
率で横延伸し、続いて180℃で熱固定して厚み17μ
mの二軸配向フィルムを得た。
【0073】これらのフィルムの特性を表2に示す。こ
のとき、A層、B層、C層の各層におけるポリマー部分
の固有粘度は0.55であった。また、A層、B層、C
層の各層の厚みはそれぞれ1.5μm、14μm、1.
5μmであった。
【0074】これらのフィルムの評価結果を表3に示
す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】表3の結果からも明らかなように、実施例
のフィルムは製膜性、耐削れ性、摩耗性、深絞加工性、
耐熱性、缶側面白度の全てに対して優れていることがわ
かる。
【0079】[比較例9]実施例3において、共重合ポ
リエチレンテレフタレートの重合度を調節し、A層、B
層、C層の各層におけるポリマー部分の固有粘度を0.
44とした他は、実施例2と同様にして製膜を行ったと
ころ、フィルムの破断が多発し、製膜は困難であった。
【0080】[実施例14〜23]実施例3において、
A層およびC層を構成する共重合ポリエチレンテレフタ
レートに含有させるルチル型酸化チタンおよび二酸化ケ
イ素の平均粒径および含有量を、表4に示すように変更
し、実施例3と同様にして2軸配向フィルムを得た。
【0081】得られたフィルムの厚み、A層、B層、C
層の各層の厚みおよびポリマー部分の固有粘度、A層を
構成するポリエステルのTg、フィルムのTe、MOR
値、X線回折強度比は実施例3と同じであった。また、
A層側のRa、SRz、および摩擦係数は表4に示す通
りであった。各フィルムの評価結果を表5に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】表5の結果からも明らかなように、A層お
よびC層の添加する二酸化ケイ素の平均粒径が0.6〜
2.0μm、含有量が0.01〜0.1重量%であり、
フィルムのRaが0.03〜0.08μm、SRzが
0.7〜1.5μm、動摩擦係数が0.35以下である
ときに、特に良好な結果が得られた。
【0085】
【発明の効果】本発明の金属板貼合せ成形加工用白色積
層ポリエステルフィルムは製膜性、耐削れ性、および摩
耗性に優れ、かつ金属板と貼り合わせた後製缶加工例え
ば深絞り加工して金属缶を成形するにあたり、深絞り加
工性、耐熱性、缶外面白度に優れたものであり、金属容
器貼合せ用フィルムとして極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル
    型酸化チタンを10〜50重量%含有し、融点が210
    〜245℃でありかつポリマー部分の固有粘度が0.4
    6〜0.66の共重合ポリエステルからなる層(B層)
    と、該B層の一方の表面に積層した、平均粒径が0.1
    〜0.5μmのルチル型酸化チタンを0〜10重量%含
    有し、融点が210〜245℃でありかつポリマー部分
    の固有粘度が0.46〜0.66の共重合ポリエステル
    からなる層(A層)、ならびにB層のもう一方の表面に
    積層した、平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型酸
    化チタンを0〜10重量%含有し、融点が210〜24
    5℃でありかつポリマー部分の固有粘度が0.46〜
    0.66の共重合ポリエステルからなる層(C層)から
    なる積層フィルムであって、該積層フィルムの損失弾性
    率の最高温ピーク温度(Te)と、A層を構成する共重
    合ポリエステルのガラス転移温度(Tg)が下記式
    (1)および(2)を満足し、さらに該積層フィルムの
    MOR値が1.4未満であることを特徴とする金属板貼
    合せ成形加工用白色積層ポリエステルフィルム。 【数1】 Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、TgはA層を構成する共重合ポリエステルの
    ガラス転移温度(℃)、Teは積層フィルムの損失弾性
    率の最高温ピーク温度(℃)である。)
  2. 【請求項2】 A層およびC層を構成する共重合ポリエ
    ステルが、平均粒径が0.6〜2.0μmの二酸化ケイ
    素粒子を0.01〜0.1重量%それぞれ含有し、そし
    てA層およびC層表面の表面粗さ(Ra)がそれぞれ
    0.03〜0.08μm、十点平均粗さ(SRz)がそ
    れぞれ0.7〜1.5μm、および動摩擦係数がそれぞ
    れ0.35以下である請求項1記載の金属板貼合せ成形
    加工用白色積層ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 積層フィルムのX線回折強度が下記式
    (3)を満足する請求項1または2記載の金属板貼合せ
    成形加工用白色積層ポリエステルフィルム。 【数2】
  4. 【請求項4】 A層、B層およびC層を構成する共重合
    ポリエステルが、それぞれエチレンテレフタレートを主
    たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルでありかつ
    少なくとも1つの共重合成分が2,6−ナフタレンジカ
    ルボン酸である請求項1〜3のいずれかに記載の金属板
    貼合せ成形加工用白色積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 C層を構成する共重合ポリエステルおよ
    び粒子の組成が、A層を構成する共重合ポリエステルと
    同一である請求項1〜4のいずれかに記載の金属板貼合
    せ成形加工用白色積層ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 フィルムが金属板の容器外面となる表面
    に貼合せられる請求項1〜5のいずれかに記載の金属板
    貼合せ成形加工用白色積層ポリエステルフィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015112778A (ja) * 2013-12-11 2015-06-22 凸版印刷株式会社 積層体およびボイル・レトルトパウチ
JP2015214046A (ja) * 2014-05-08 2015-12-03 帝人デュポンフィルム株式会社 金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2018202659A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 帝人フィルムソリューション株式会社 金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム

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