JP3989617B2 - 金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは金属板に貼合せた後フィルムが容器の外面となるように成形加工するのに有用な金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属缶には内外面の腐食防止として、一般に、塗装を施されている。最近は工程簡素化、衛生性向上、公害防止等の目的で有機溶剤を使用せずに防錆性を付与する方法として熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が試みられている。
【0003】
即ち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
【0004】
この熱可塑性樹脂フィルムとしてポリオレフィンフィルムやポリアミドフィルムが試みられたが、成形加工性、耐熱性、保味保香性のすべてを満足するものでない。
【0005】
そこでポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムがバランスのとれた特性を有するとして注目され、これをベースとしたいくつかの提案がなされている。
【0006】
また、金属容器の外面には印刷が施されるのが一般的であるが、印刷時にあらかじめ遮光の目的で白色の塗料を下塗りし、その後印刷される。金属板にラミネートする熱可塑性樹脂フィルムを白色遮光性のフィルムとすることにより、白色塗料の下塗りを省略することができる。しかし、単に白色顔料を添加して製造される白色フィルムでは、フィルム製造プロセスや缶に成形するプロセスにおいて様々な障害が生ずる。
【0007】
例えば、フィルム製造時においては、製膜時の傷付きが発生しやすく、また、缶成形時では、フィルム面の擦れによる削れ等の問題がある。
【0008】
本発明者らが検討を重ねた結果、これらの課題は、ある温度以上のガラス転移温度を有する共重合ポリエステルを用いれば解決することがわかったが、単にガラス転移温度の高い共重合ポリエステルを用いれば成形加工性が低下する問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、隠蔽性が高く、耐削れ性に優れるとともに、成形加工性に優れる金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型酸化チタンを10〜50重量%含有し、融点が210〜235℃でありかつポリマー部分の固有粘度が0.46〜0.66の、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムであって、該フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)とDSC測定におけるガラス転移温度(Tg)が下記式(1)および(2)を満足し、さらに該フィルムのMOR値が1.4未満であることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルムである。
【0011】
【数3】
Tg≧78 … (1)
Te−Tg≦30 … (2)
(ここで、Tgは290℃加熱溶融−急冷後のDSC測定におけるガラス転移温度(℃)、Teはフィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
【0012】
本発明の共重合ポリエチレンテレフタレートにおける共重合成分は、酸成分でもグリコール成分でもよい。該酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の如き脂肪族カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸等を挙げることができ、グリコール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これらは単独又は2種以上を使用することができる。これらの中、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0013】
かかる共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果としてポリマー融点が210〜245℃、好ましくは215〜235℃の範囲になる割合である。ポリマー融点が210℃未満では耐熱性が劣るため、製缶後の印刷における加熱に絶えられなく好ましくない。一方、ポリマー融点が245℃を超えると、ポリマーの結晶性が高くなり成形加工性が損なわれるため好ましくない。
【0014】
ここで、共重合ポリエステルの融点測定は、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
【0015】
本発明の共重合ポリエステルは、公知の方法で製造することができる。例えば共重合ポリエチレンテレフタレートの製法としては、テレフタル酸、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエチレンテレフタレートとする方法、あるいはジメチルテレフタレート、エチレングリコール及び共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させ共重合ポリエチレンテレフタレートとする方法を好ましく挙げることができる。なお、共重合ポリエステルの製造の際に、必要に応じて他の添加物たとえば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等も添加することができる。特に白度を向上させようとする場合、蛍光増白剤の添加は有効である。
【0016】
本発明のフィルムのポリマー部分の固有粘度は0.46〜0.66であり、好ましくは0.48〜0.64の範囲である。この固有粘度が0.46に満たない場合、フィルム延伸時のフィルム破断が多くなり、かつ得られたフィルムを金属板に貼合せた後、容器に成形する時破断を生じやすい。また、0.66を超えるものは過剰品質であり、原料ポリマーの生産性も落ちるので不経済である。
【0017】
ここで、固有粘度の測定は、O−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により酸化チタン等のフィラーを取り除き35℃溶液にて測定する。
【0018】
本発明において、共重合ポリエステルに含有させるルチル型酸化チタンは、平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型酸化チタンである。この平均粒径は、好ましくは0.2〜0.4μmである。平均粒径が0.1μm未満では、共重合ポリエステル中に均一に分散させることが困難であり、白色隠蔽性も劣るようになる。平均粒径が0.5μmより大きいルチル型酸化チタンは製造が困難であり、また製造されたものも粗大粒子が多く、好ましくない。
【0019】
前記ルチル型酸化チタンはその純度が95%以上のものが好ましい。95%未満であると高濃度で添加した場合分散性が劣り、また共重合ポリエステルの分子量を著しく低下させるため、好ましくない。
【0020】
本発明のフィルムへのルチル型酸化チタンの添加含有量は10〜50重量%、好ましくは15〜50重量%、更に好ましくは20〜45重量%である。この含有量が10重量%に満たないと、フィルムの白色隠蔽性が充分でなく、一方50重量%を超えると白色隠蔽性が飽和して、より一層の効果の向上が見られず、かえってフィルムが脆くなりフィルム延伸時のフィルム破断が多くかつ、得られたフィルムを金属板に貼合せた後、容器に成形する時破断を生じやすい。
【0021】
本発明におけるルチル型酸化チタンは、共重合ポリエステルへ添加する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行うことが好ましい。精製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段としては例えば乾式もしくは湿式遠心分離機等が挙げられる。なお、これらの手段は2種類以上を併用し、段階的に精製してもよい。
【0022】
共重合ポリエステルにルチル型酸化チタンを含有させるには各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記のような方法を挙げることができる。
【0023】
(ア)共重合ポリエステル合成時のエステル交換もしくはエステル化反応の終了前に添加、もしくは重縮合反応開始前に添加する方法。
(イ)共重合ポリエステルに添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)、(イ)の方法において、酸化チタンを多量に添加したマスターペレットを製造し、粒子を含有しない共重合ポリエステルと混練し、所定量のルチル型酸化チタンを含有させる方法。
【0024】
なお、(ア)のポリエステル合成時にルチル型酸化チタンを添加する方法を用いる場合には、ルチル型酸化チタンをグリコールに分散したスラリーとして、反応系に添加することが望ましい。
【0025】
さらに、本発明においてはフィルムの耐削れ性を向上させるために、共重合ポリエステル中に二酸化ケイ素粒子を含有させるのが好ましい。共重合ポリエステルに含有させる二酸化ケイ素粒子は、平均粒径が0.6〜2.0μm、好ましくは0.8〜2.0μm、更に好ましくは1.2〜1.7μmであることが好ましい。また、共重合ポリエステルに含有させる二酸化ケイ素粒子の含有量は、0.01〜0.1重量%、好ましくは0.03〜0.08重量%であることが好ましい。平均粒径が0.6μmより小さいか、あるいは含有量が0.01重量%未満であると、フィルムの耐削れ性を向上させることはできない。一方、平均粒径が2.0μmより大きいか、あるいは含有量が0.1重量%より大きいと、工程中で粒子の脱落が生じたりするので、好ましくない。
【0026】
また、含有させる二酸化ケイ素粒子としては、塊状、凝集状、真球状など、いずれの形状のものも用いることができるが、粗大粒子の少なさや粒子の脱落しにくさから、真球状の二酸化ケイ素を用いるのが好ましい。なお、ここでいう真球状の二酸化ケイ素粒子とは、粒子の長径と短径の比が1.2未満の粒子をいう。
【0027】
また、共重合ポリエステルに含有させる他の粒子としては、ルチル型酸化チタン以外の白色顔料、例えばアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン等を用いることができる。
【0028】
かかる粒子の長径、短径、平均粒径の測定法としては、粒子表面に金属を蒸着した後、電子顕微鏡にて1万〜3万倍に拡大した像から、長径、短径を、また平均粒径は面積円相当径の平均値として求める方法による。
【0029】
本発明のフィルムは、損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)とDSC測定におけるガラス転移温度(Tg)が下記式(1)および下記式(2)を満足する必要がある。
【0030】
【数4】
Tg≧78 … (1)
Te−Tg≦30 … (2)
(ここで、Tgは290℃加熱溶融−急冷後のDSC測定におけるガラス転移温度(℃)、Teはフィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
フィルムのTgが78℃未満であると、フィルムの耐削れ性が悪化し、フィルムの製造時に傷がついたり、缶成形時にフィルム面の擦れによる削れが発生するなどの問題が生ずる。このため、共重合ポリエステルの共重合成分としては、少なくとも1成分に、共重合成分を増加させた時にガラス転移温度が変化しないか、もしくは上昇するような成分を用いることが好ましい。共重合成分の割合を増加させたときにガラス転移温度を上昇させるような成分としては、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸が、ジオール成分としては1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく例示できる。
【0031】
ここで、ポリエステルのTgは、DSC測定用パンに20mgのフィルムサンプルを入れ、290℃加熱ステージで5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法による。
【0032】
さらに、Te−Tgの値が30を超えると、フィルムの分子配向性や結晶性が高くなりすぎるために成形加工性が著しく低下する。Teの値は共重合成分および共重合量にもよるが、製膜条件により、特に二軸延伸の倍率、延伸温度、熱固定温度で調整する方法が好ましく挙げられる。
【0033】
ここで、Teは、動的粘弾性測定装置を用いて、測定周波数10Hz、動的変位±25×10-4cmにて求められる。
【0034】
また、本発明のフィルムのMOR値は、1.4未満であり、好ましくは1.3未満である。MOR値が1.4を超えるとフィルム配向の面内異方性が大きくなり、容器に成形する際に微小クラックや割れが発生しやすくなり、好ましくない。ここでMOR値とは、神崎製紙(株)製分子配向計MOA−2001Aを用い、マイクロ波を透過させた時の透過強度の最大値(Xmax)および最小値(Xmin)の比(下記式)と定義される。
【0035】
【数5】
MOR値=Xmax/Xmin
本発明のフィルムは、次の特性を示すものが好ましい。すなわち、表面粗さ(Ra)が0.03〜0.08μmであり、十点平均粗さ(SRz)が0.7〜1.5μmであり、かつ動摩擦係数が0.35以下である。これらの範囲を外れると、フィルムの耐削れ性が劣るようになる。
【0036】
ここで、表面粗さ(Ra)は、JIS B0601で定義される値であり、本発明においては、小坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(SE−3FAT)を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、カットオフ0.25mm、測定長2.5mmの条件で測定した値である。また、十点平均粗さ(SRz)は、小坂研究所(株)製の3次元粗さ測定器(SE−3CK)を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、測定長1.3mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、縦方向拡大倍率2万倍、横方向拡大倍率200倍、走査本数100本の条件で、フィルム表面の3次元粗さプロフィールを計測し、計測したプロフィールの範囲内で高い方から1〜5番目までの山の高さの平均と、深い方から1〜5番目までの谷の深さの平均との間隔をもって十点平均粗さとする。動摩擦係数の測定は、ASTM D1894に準拠して測定する。
【0037】
また、本発明のフィルムは、X線回折強度比が下記式(3)を満足することが好ましい。
【0038】
【数6】
【0039】
X線回折強度比が0.1よりも小さくなるとフィルム製膜時のフィルム破断による製膜性の低下、成形加工性の低下を引き起こしやすくなる。逆に、X線回折強度比が0.4を超えるとフィルム製膜時に厚み斑が発生しやすくなるため、好ましくない。
【0040】
ここで、X線回折強度比は、次の方法により測定を行う。
【0041】
X線源としてCuK−αをもちいて、発散スリット1/2°、散乱スリット1/2°、受光スリット0.15mm、スキャンスピード1.000°/分の条件で測定し、Pseudo Voight ピールモデルを用いた多重ピール分離法により、下記X線回折強度をそれぞれ測定し、両者の比をX線回折強度比とする。
【0042】
【外1】
【0043】
ただし、X線回折強度は各結晶面の回折ピークの面積を求め、この面積をX線回折強度とする。また、酸化チタン等の顔料に起因する反射ピーク(アナターゼ(101)、ルチル(110))が(100)面の近くにあるが、これを除いて面積を求める。
【0044】
このような要件を満足するフィルムを製造する方法の一例として、以下二軸延伸、特に逐次二軸延伸による方法を説明するが本発明においてはこの方法のみに限定されるものではない。
【0045】
本発明のフィルムは、共重合ポリエステルを溶融してダイスより押出し、直ちに急冷して実質的に非晶質のシートを得る。次に、このシートをロール加熱、赤外線加熱等で加熱して縦方向に延伸する。このとき、延伸温度を共重合ポリエステルのガラス転移点(Tg)より20〜60℃高い温度とし、延伸倍率を2.5〜3.6倍とすることが好ましい。また縦方向に延伸する際は、2回以上に分割して縦方向に延伸する方法が特に好ましい。横方向の延伸は共重合ポリエステルのTgより20℃以上高い温度から始め、ポリエステルの融点(Tm)より90〜130℃低い温度まで昇温しながら行うのが好ましい。横延伸の倍率は2.6〜3.7倍とすることが好ましい。また、熱固定の温度は150℃〜230℃の範囲で共重合ポリエステルの融点に応じフィルム品質を調整すべく選択するのが好ましい。
【0046】
本発明のフィルムは、好ましくは厚みが6〜75μmである。さらに10〜75μm、特に15〜50μmであることが好ましい。厚みが6μm未満では加工時に割れ等が生じやすくなり、一方75μmを超えるものは過剰品質であって不経済である。
【0047】
本発明の白色ポリエステルフィルムが貼合せられる金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのポリエステルフィルムの貼合せは、例えば下記▲1▼、▲2▼の方法で行うことができる。
【0048】
▲1▼ 金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼合せた後冷却し、金属板に接するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる。
【0049】
▲2▼フィルムにあらかじめ接着剤層をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼合せる。接着剤層としては公知の樹脂接着剤例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤等を用いることができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本発明を更に説明する。なお、フィルムの特性値については、それぞれ以下の方法で測定、評価した。
【0051】
(1)共重合ポリエステルの融点
Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
【0052】
(2)共重合ポリエステルの固有粘度
O−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により酸化チタン等のフィラーを取り除き35℃溶液にて測定した。
【0053】
(3)粒子の平均粒径、粒径比
粒子表面に金属を蒸着した後、電子顕微鏡にて1万〜3万倍に拡大した像から、長径、短径、面積円相当径を求めた。平均粒径は、面積円相当径の平均値として、また、粒径比は長径と短径の比(長径/短径)として求めた。
【0054】
(4)共重合ポリエステルのガラス転移点(Tg)
DSC測定用パンに20mgのフィルムサンプルを入れ、290℃加熱ステージで5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法による。
【0055】
(5)フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)
動的粘弾性測定装置を用いて、測定周波数10Hz、動的変位±25×10-4cmにて損失弾性率を求め、このときの最高温ピーク温度をもって示す。
【0056】
(6)フィルムのMOR値
神崎製紙(株)製分子配向計MOA−2001Aを用い、マイクロ波を透過させた時の透過強度の最大値(Xmax)および最小値(Xmin)の比(下記式)をMOR値とした。
【0057】
【数7】
MOR値=Xmax/Xmin
(7)フィルムの表面粗さ(Ra)
小坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(SE−3FAT)を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、カットオフ0.25mm、測定長2.5mmの条件で測定した。
【0058】
(8)フィルムの十点平均粗さ(SRz)
小坂研究所(株)製の3次元粗さ測定器(SE−3CK)を用いて、触針先端半径2μm、触針圧30mg、測定長1.3mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、縦方向拡大倍率2万倍、横方向拡大倍率200倍、走査本数100本の条件で、フィルム表面の3次元粗さプロフィールを計測し、計測したプロフィールの範囲内で高い方から1〜5番目までの山の高さの平均と、深い方から1〜5番目までの谷の深さの平均との間隔をもって十点平均粗さとした。
【0059】
(9)フィルムの動摩擦係数
ASTM D1894に準拠して測定し、動摩擦係数(μk)を摩擦係数とした
(10)X線回折強度比
X線源としてCuK−αをもちいて、発散スリット1/2°、散乱スリット1/2°、受光スリット0.15mm、スキャンスピード1.000°/分の条件で測定し、Pseudo Voight ピールモデルを用いた多重ピール分離法により、下記X線回折強度をそれぞれ測定し、両者の比をX線回折強度比とした。
【0060】
【外2】
【0061】
ただし、X線回折強度は各結晶面の回折ピークの面積を求め、この面積をX線回折強度とした。また、酸化チタン等の顔料に起因する反射ピーク(アナターゼ(101)、ルチル(110))が(100)面の近くにあるが、これを除いて面積を求めた。
【0062】
(11)製膜性
フィルムの製膜性について下記の基準で評価した。
○:フィルム破断がほとんど発生せず安定製膜可能。
×:フィルム破断が多数発生し製膜性が悪い。
【0063】
(12)耐削れ性
温度20℃、湿度60%の環境で、幅1/2インチに裁断したフィルムサンプルを用い、フィルムのA層を直径10mmの円柱状ステンレス製固定バーに巻角が60°となるよう接触させ、200gの張力をかけた状態でフィルムを80m走行させた後、バーに付着した白粉を観察し、耐削れ性を下記の通り評価した。
○:バーには白粉が付着しない。
△:バーの一部分に薄く白粉が付着する。
×:バーの幅方向全面に白粉が付着し、部分的に凝集が認められる。
【0064】
(13)深絞り加工性
実施例および比較例で得られたフィルムを260℃に加熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの両面に貼合せ、水冷した後150mm径の円板状に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて3段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目缶を作成した。この時の状況を下記の基準で評価した。
○:内外面ともフィルムに異常なく加工され、缶内外面のフィルムに微小クラックや破断が認められない。
×:缶内外面のフィルムの一部にフィルム破断が認められる。
【0065】
(14)耐熱性
深絞り成形が良好であった缶を210℃×5分間加熱保持した後、放冷し、缶外面を観察して下記の基準で評価した。
○:缶外面に変化はなく、良好な外観を示す。
×:缶外面の一部、または全面でフィルムの溶融が認められる。
【0066】
(15)缶外面白度
白色フィルムとティンフリースチールとを貼合せる前に製缶後に缶外面となるティンフリースチール面に、烏口を用いて、長さ50mm幅がそれぞれ0.2mm、1.4mmの黒線を記入しておいて製缶後、白色フィルムを通して黒線を観察した。評価を次の様通り行った。
○:両黒線ともに見えない。
△:一方の黒線はかすかに見えるが、他方の黒線は見えない。
×:一方の黒線は見え、他方の黒線もかすかに見える。
【0067】
[実施例1〜2,5〜12、比較例1〜9、参考例1〜2]
表1に示す成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートに同表に示す平均粒径のルチル型酸化チタンを同表に示す量、および真球状二酸化ケイ素(平均粒径1.5μm、粒径比1.1)を0.08重量%添加し、共重合ポリエステルを得た。これらの共重合ポリエステルを溶融した後急冷固化して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを表1に示す温度および倍率で縦延伸した後、表1に示す温度および倍率で横延伸し、続いて180℃で熱固定して厚み20μmの二軸配向フィルムを得た。
【0068】
これらのフィルムの特性を表2に示す。このとき、各フィルムの固有粘度は0.55であった。また、評価結果を表3に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
表3の結果からも明らかなように、平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型酸化チタンを10〜50重量%含有し、融点が210〜235℃であり、かつTgが78℃以上、Te−Tgが30℃以下、MOR値が1.4未満である本発明の場合(実施例1〜2,5〜12)は、良好な結果が得られたが、融点が210℃未満の場合(比較例1)は耐熱性が劣り、融点が245℃を超える場合(比較例2)、Tg−Teが30℃を超える場合(比較例8)、およびMOR値が1.4以上の場合(比較例9)は、成形加工性が不良であった。また、含有する二酸化チタンの平均粒径が0.1μm未満の場合(比較例4)および二酸化チタンの含有量が10重量%未満の場合(比較例5)は缶側面白度が劣り、二酸化チタンの平均粒径が0.5μmを超える場合(比較例3)およびフィルムのTgが78℃未満の場合(比較例7)はフィルムの耐削れ性が悪化した。さらに、二酸化チタンの重量%が50重量%を超える場合(比較例6)は、製膜性が悪化した。
【0073】
[比較例10]
実施例2において、共重合ポリエチレンテレフタレートの重合度を調節し、フィルムの固有粘度を0.44とした他は、実施例2と同様にして製膜を行ったところ、フィルムの破断が多発し、製膜は困難であった。
【0074】
[実施例13〜22]
実施例2において、共重合ポリエチレンテレフタレートに含有させるルチル型酸化チタンおよび二酸化ケイ素の平均粒径および含有量を、表4に示すように変更し、実施例2と同様にして2軸配向フィルムを得た。
【0075】
得られたフィルムの厚みは実施例2と同じであり、フィルムの固有粘度、Tg、Te、MOR値、X線回折強度比は実施例2と同じであった。また、Ra、SRz、摩擦係数は表4に示す通りであった。各フィルムの評価結果を表5に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
表5の結果からも明らかなように、二酸化ケイ素の平均粒径が0.6〜2.0μm、含有量が0.01〜0.1重量%であり、フィルムのRaが0.03〜0.08μm、SRzが0.7〜1.5μm、動摩擦係数が0.35以下であるときに、特に良好な結果が得られた。
【0079】
【発明の効果】
本発明の金属板貼り合わせ成形加工用白色ポリエステルフィルムは製膜性、および耐削れ性に優れ、かつ金属板と貼り合わせた後製缶加工例えば深絞り加工して金属缶を成形するにあたり、深絞り加工性、耐熱性、缶外面白度に優れたものであり、金属容器貼合せ用フィルムとして極めて有用である。
Claims (3)
- 平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型酸化チタンを10〜50重量%含有し、融点が210〜235℃でありかつポリマー部分の固有粘度が0.46〜0.66の、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムであって、該フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)とDSC測定におけるガラス転移温度(Tg)が下記式(1)および(2)を満足し、さらに該フィルムのMOR値が1.4未満であることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルム。
【数1】
Tg≧78 … (1)
Te−Tg≦30 … (2)
(ここで、Tgは290℃加熱溶融−急冷後のDSC測定におけるガラス転移温度(℃)、Teはフィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。) - 平均粒径が0.6〜2.0μmの二酸化ケイ素粒子を0.01〜0.1重量%含有し、フィルムの表面粗さ(Ra)が0.03〜0.08μm、十点平均粗さ(SRz)が0.7〜1.5μm、かつ動摩擦係数が0.35以下である請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルム。
- フィルムが金属板の容器外面となる表面に貼合せられる請求項1〜2のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用白色ポリエステルフィルム。
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