JPH11279368A - ゴム変性スチレン系樹脂組成物、それを用いた発泡性樹脂粒子および発泡成形体 - Google Patents
ゴム変性スチレン系樹脂組成物、それを用いた発泡性樹脂粒子および発泡成形体Info
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- JPH11279368A JPH11279368A JP35156998A JP35156998A JPH11279368A JP H11279368 A JPH11279368 A JP H11279368A JP 35156998 A JP35156998 A JP 35156998A JP 35156998 A JP35156998 A JP 35156998A JP H11279368 A JPH11279368 A JP H11279368A
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Abstract
形体を得ることができる、ゴム変性スチレン系樹脂組成
物、発泡性樹脂粒子を提供する。 【解決手段】ポリスチレン系樹脂からなる連続相に、ポ
リスチレン系樹脂を内包するジエン系ゴムの粒子が分散
したゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、ジエン系
ゴムのシス結合含有率が80%以上であり、(i) トルエ
ン可溶分における極限粘度数ηが0.5〜0.7、(ii)
トルエン不溶分における25℃トルエン中での膨潤度が
14〜20、(iii) ゲル分含有率が15〜27重量%で
ある。この樹脂組成物に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂
粒子が得られる。本発明の発泡成形体は前記発泡性樹脂
粒子を発泡成形したものであって、密度が0.014〜
0.05g/cm3 、平均気泡径が100〜200μ
m、独立気泡率が70%以上である。
Description
発泡成形体を得ることができるゴム変性スチレン系樹脂
組成物および発泡性樹脂粒子と、それを用いて得られる
優れた耐衝撃性を有する発泡成形体とに関する。
形体には、弾性や柔軟性に優れていることが求められ
る。とりわけ、精密機器等の梱包に使用される発泡体に
は優れた耐衝撃性が要求されている。梱包材や緩衝材に
は、従来よりポリスチレン系樹脂の発泡成形体が用いら
れているが、ポリスチレン系樹脂の発泡成形体は柔軟性
に乏しく、衝撃により破壊され易いことから、使用範囲
が限定されるという問題があった。
レン系樹脂にブタジエンゴム等の弾性体を配合したハイ
インパクトポリスチレン(HIPS)を用いた発泡成形
体が提案されている。特公昭47−17465号公報に
は、弾性体としてスチレンとブタジエンとのブロック共
重合体を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方
法が開示されている。また、特公昭47−18428号
公報には、弾性体としてのブタジエンを所定量含有し
た、軟化温度が100℃以上のスチレン系樹脂からなる
発泡成形体が開示されている。また、特開昭56−67
344号公報には、非配向性のゴム粒子を弾性体として
配合したポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体が開示
されている。
いずれも耐衝撃性が実用上不十分という問題がある。こ
の他にも、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体
を用いた場合は当該共重合体が高価であるために工業的
に不利になったり、非配向性のゴム粒子を用いた場合は
当該ゴム粒子が変形しにくいことに起因して発泡剤の保
持性が不十分になったり、さらには特開昭56−673
44号公報に開示の発泡性重合体組成物のように、予備
発泡粒子内部の気泡が均一化するまでの熟成期間が長
く、予備発泡した状態で長期間保管を必要とするといっ
た問題もある。
は、水素添加されたスチレン−ブタジエンブロック共重
合体をHIPSに混合した組成物からなる発泡成形体が
開示されている。この発泡成形体の耐衝撃性は従来のも
のに比べて向上しているものの、依然実用上不十分であ
る。
チレン樹脂の耐衝撃性を向上させたものであるにもかか
わらず、上記公報に見られるようにその発泡成形体の耐
衝撃性が実用上不十分なものとなるのは、ポリスチレン
樹脂に配合されたブタジエンゴム等の弾性体が発泡剤の
保持性を低下させたり、あるいは前記弾性体を添加する
ことで発泡体の気泡が微細になり、その結果、予備発泡
や成形時に気泡膜が破れて成形体の独立気泡率が低下す
ることが原因であると推測される。
し、耐衝撃性に優れた発泡成形体を得ることができ、か
つ成形性が良好なゴム変性スチレン系樹脂組成物および
発泡性樹脂粒子と、優れた耐衝撃性を有する発泡成形体
を提供することである。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ジエン系ゴム
で変性したポリスチレン系樹脂組成物において、前記ジ
エン系ゴムのシス結合含有率と、前記樹脂組成物におけ
るトルエン可溶分の極限粘度数η、トルエン不溶分の膨
潤度およびゲル分含有率とを所定の範囲に設定したとき
は、耐衝撃性が優れ、かつ外観が良好な発泡成形体を製
造可能なゴム変性スチレン系樹脂組成物が得られるとい
う新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
脂組成物は、ポリスチレン系樹脂からなる連続相に、ポ
リスチレン系樹脂を内包するジエン系ゴムの粒子が分散
したものであって、前記ジエン系ゴムのシス結合含有率
が80%以上であり、前記樹脂組成物の(i) トルエン可
溶分における極限粘度数ηが0.5〜0.7、(ii)トル
エン不溶分における25℃トルエン中での膨潤度が14
〜20、および(iii)ゲル分含有率が15〜27重量%
であることを特徴とする。
スチレン系樹脂組成物の粒子にn−ペンタンを含浸させ
たことを特徴とする。上記本発明の発泡性樹脂粒子によ
れば、成形性が良好で、優れた耐衝撃性を有する発泡成
形体を得ることができる。また、本発明の発泡成形体
は、上記発泡性樹脂粒子を成形したものであって、密度
が0.014〜0.05g/cm3 、平均気泡径が10
0〜200μmおよび独立気泡率が70%以上であるこ
とを特徴とする。
れるとともに、成形性が良好であることに起因して外観
が極めて良好である。
系樹脂組成物について詳細に説明する。本発明のゴム変
性スチレン系樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」とい
う)は、ポリスチレン系樹脂の連続相と、ポリスチレン
系樹脂を内包するジエン系ゴム粒子の分散相とからな
る。
ける極限粘度数ηは、当該樹脂組成物のうちポリスチレ
ン樹脂分の極限粘度数ηを示すものであって、スチレン
部分の分子量を調節することにより適宜設定される。本
発明において、前記極限粘度数ηは0.5〜0.7、好
ましくは0.55〜0.7である。極限粘度数ηが0.
5を下回ると高発泡成形体を得ることが可能になるもの
の、予備発泡や成形時の加熱により破泡し、その結果耐
衝撃性が低下する。逆に極限粘度数ηが0.7を超える
と高発泡成形体の製造が困難になる。
ける25℃トルエン中での膨潤度は、トルエン不溶分を
乾燥したときの体積(膨潤前の体積)Aと、このトルエ
ン不溶分を再びトルエンに浸漬して膨潤させたときの体
積(膨潤後の体積)Bとの比B/Aを示すものであっ
て、ジエン系ゴムの架橋度を調節することによって適宜
設定される。
トルエン中での膨潤度は14〜20、好ましくは15〜
20、より好ましくは16〜20である。膨潤度が14
を下回ると、発泡性樹脂粒子や発泡成形体の柔軟性が低
下し、その耐衝撃性も低下する。逆に膨潤度が20を超
えると、発泡性樹脂粒子の生産性が低くなる。本発明の
樹脂組成物のゲル分は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物
のうちトルエン不溶分の割合を示すものである。本発明
において、前記ゲル分は15〜27重量%、好ましくは
16〜27重量%、より好ましくは17〜26重量%で
ある。ゲル分が15重量%を下回ると、発泡性樹脂粒子
や発泡成形体の耐衝撃性が低くなり、緩衝材等として十
分な耐衝撃性が得られない。逆にゲル分が27重量%を
超えると、発泡性、成形性が低下し、高発泡の成形体や
外観の良好な成形体が得られない。
系樹脂成分としては、スチレン単量体単独の重合体のほ
か、例えばスチレン単量体と共重合可能な、アクリロニ
トリル、メタクロニトリル、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のビニル
化合物との共重合体等があげられる。ポリスチレン系樹
脂成分の重量平均分子量は150000〜250000
程度であるのが好ましい。重量平均分子量が上記範囲を
上回ると、高発泡が困難で、梱包材として使用する場合
コスト面で不利である。逆に、重量平均分子量が上記範
囲を下回ると、発泡成形でき耐熱性が劣り、外観不良と
なる上、耐衝撃性の低下を招くおそれがある。
成分としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3
−ペンタジエン等のほか、前記ジエン系ゴムとスチレン
とのブロック共重合体等があげられる。上記ジエン系ゴ
ムは、ポリスチレン系樹脂からなる連続相中に粒子状に
分散している。かかるジエン系ゴムの粒子は、通常粒径
が0.5〜5.0μmで、ジエン系ゴム成分を外殻とす
る粒子の内部に複数のポリスチレン系樹脂微粒子を内包
した、いわゆるサラミ構造を形成している。なお、本発
明におけるジエン系ゴム粒子は前記サラミ構造に限定さ
れるものではなく、例えば粒径が0.1〜1.0μm
で、ジエン系ゴム成分を外殻とする粒子の内部に単数の
ポリスチレン系樹脂微粒子を内包した、いわゆるコアシ
ェル構造であってもよく、また両者が併存していてもよ
い。
エン系ゴム内の全二重結合に占めるシス結合の割合を示
しており、本発明においては80%以上、好ましくは8
5%以上の範囲で設定される。シス結合含有率が80%
を下回ると、発泡性樹脂粒子や発泡成形体の耐衝撃性が
低下したり、予備発泡粒子の気泡が均一化して発泡成形
が可能になるまでのいわゆる熟成期間を長くなるといっ
た問題が生じる。
ムの含有量は特に限定されないが、ゴム変性スチレン系
樹脂組成物の全量に対して7〜15重量%、好ましくは
8〜13重量%、より好ましくは9〜12重量%の範囲
で設定するのが適当である。ジエン系ゴムの含有量が上
記範囲を下回ると、良好な耐衝撃性を有する発泡性樹脂
粒子や発泡成形体が得られにくくなるおそれがある。逆
にジエン系ゴムの含有量が上記範囲を超えると、発泡性
樹脂粒子における発泡剤の保持能力が低下するおそれが
あり、高発泡の成形体を得る場合において不利である。
は、上記ポリスチレン系樹脂およびジエン系ゴムを押出
成形機等にて溶融混練することによって得られる。こう
して得られたゴム変性スチレン系樹脂組成物は、ペレッ
ト等の粒状に成形し、次いで発泡剤を含浸させて、発泡
性樹脂粒子として使用される。次に、本発明の発泡性樹
脂粒子について詳細に説明する。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物を耐圧密閉式容器内で水
性媒体中に懸濁させ、これに発泡剤を含浸させる方法で
得られる。また、ゴム変性スチレン系樹脂組成物を押出
機内で溶融後、発泡剤を圧入し、混練押出しする方法に
よって得ることもできる。前記発泡剤としては、通常の
ポリスチレン系樹脂発泡体の製造に用いられる発泡剤が
使用可能であり、例えばプロパン、n−ブタン、イソブ
タン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪
族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の環状脂
肪族炭化水素、メチレンクロライド、エチルクロライド
等のハロゲン化炭化水素;モノクロロジフルオロエタン
(F−142b)、ジクロロフルオロエタン(F−14
1b)、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオ
ロメタン、ジクロロトリフルオロエタン(F−12
3)、ジクロロテトラフルオロメタン等のハロゲン化フ
ッ素系炭化水素、テトラフルオロエタン(F−134
a)、ペンタフルオロエタン(F−125)、ペンタフ
ルオロプロパン(F−245fa、F−245ca)、
トリフルオロブタン(F−236ea)等の、2以上の
フッ素原子で置換された炭素数2〜6のフッ素系炭化水
素;またはこれらの混合物が使用できるが、樹脂粒子の
成形性や発泡成形体の耐衝撃性の観点からn−ペンタン
が好適に用いられる。
系樹脂組成物の全量に対して4〜12重量%、好ましく
は5〜10重量%で設定される。発泡剤の配合量が4重
量%を下回ると、高発泡の発泡成形体を得るのが困難に
なるおそれがあり、所望の倍率が得られにくくなる。逆
に12重量%を超えると、熟成期間が長くなったり、成
形サイクルが遅延したり、予備発泡時の倍数調整が難し
くなったりするおそれが生じる。
濁させて発泡剤を含浸させる場合、含浸温度は90℃〜
150℃、好ましくは100℃〜145℃に調整され
る。含浸温度が90℃を下回ると発泡性樹脂粒子の形状
が球状にならない。その結果、複雑な金型への樹脂粒子
の充填性が悪くなり、良好な発泡成形体が得られにくく
なる原因となる。逆に含浸温度が150℃を超えると懸
濁系の安定性が悪くなり、発泡性樹脂粒子間の結合が増
加する。
により決定されるものであって、特に規定されないが、
通常使用される粒径1mm程度の樹脂粒子では4〜10
時間の範囲で設定するのが適当である。本発明の発泡性
樹脂粒子には、本発明の効果を阻害しない範囲で、一般
に使用される各種添加剤、例えば流動パラフィン等の滑
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、ヒド
ロキシステアリン酸アミド等の発泡性スチレン系樹脂粒
子のための熟成促進剤、その他発泡スチレン系樹脂粒子
にかかわる各種添加剤等を添加することができる。とく
に酸化防止剤の添加は、発泡成形体を製造する際に行う
加熱工程でのジエン系ゴムの劣化を防止し、耐衝撃性の
低下を防止することができる。
ン系樹脂組成物を作成する際に、ポリスチレン系樹脂や
ジエン系ゴム粒子にあらかじめ添加しておいてもよい。
また、発泡性樹脂粒子の製造工程、発泡剤の含浸工程ま
たはその後の工程から適当な時機を適宜選択して添加し
てもよい。酸化防止剤の具体例としては、n−オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシトルエン、1,3,5,−トリエチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、2−t−ブチル−6−t
−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4
−メチルフェニルアクリレ−ト、テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシメチル]メタン、3,9−ビス{2
−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル
エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン等のフェノール系酸化防止剤;ト
リフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、ト
リス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルトリ
チオホスファイト等のリン系酸化防止剤;フェニル−α
−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等の
アミン系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプ
ロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピ
オネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ
ート等のイオウ系酸化防止剤などがあげられ、その他に
も従来公知の種々の酸化防止剤を使用できる。これら例
示の酸化防止剤は単独でまたは2種以上組みあわせて使
用することができる。
止剤としては、上記例示の酸化防止剤の中でも、融点が
ゴム変性スチレン系樹脂への発泡剤含浸温度の±10
℃、好ましくは±8℃の範囲内にあるフェノール系酸化
防止剤が好ましい。具体的には、水性媒体中でゴム変性
スチレン系樹脂組成物に含浸温度90〜150℃の範囲
で発泡剤を含浸させる際に、融点が80℃〜160℃、
好ましくは融点が90℃〜145℃程度のフェノール系
酸化防止剤を使用するのがよい。
もつ酸化防止剤を使用しても十分な添加効果が得られな
い場合がある。とくに融点が80℃未満のものは、前述
したように、発泡成形時の加熱でジエン系ゴムの劣化が
進み、気泡膜の破泡が起き易く、耐衝撃性の低下を招く
おそれがある。上記所定の範囲に融点を有するフェノー
ル系酸化防止剤の配合量は、ゴム変性スチレン系樹脂組
成物全量に対して0.01〜1.0重量%、好ましくは
0.03〜0.5重量%の範囲にあるのがよい。
て、1分子当りのフェノール性水酸基の数は特に制限は
ないが、好ましくは2つ以上のフェノール性水酸基を有
するのがよい。以上のような条件を満たすフェノール系
酸化防止剤の具体例としては、これに限定されないが、
テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン
(融点:115 〜125 ℃,スミライザーBP−101,住
友化学社製)、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,
5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチル
ベンジル)フェニルアクリレート(融点:119 〜121
℃,スミライザーGS,住友化学社製)、2−t−ブチ
ル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒ
ドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート
(融点:130 〜132 ℃,スミライザーGM,住友化学社
製)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(融点:114
〜116 ℃,アデカスタブAO−80,旭電化社製)など
があげられる。
系酸化防止剤に、発泡成形体の物性(例えば耐衝撃性な
ど)を損なわなわない程度に、上記例示のアミン系酸化
防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤な
どの他の酸化防止剤を併用することができる。とりわ
け、リン系酸化防止剤の併用が好ましい。難燃剤として
は従来公知のもの、例えばヘキサクロロベンゼン、ヘキ
サブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ペンタクロ
ロトルエン、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフ
ェノール、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロド
デカン、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモ
ビスフェノールA等の有機ハロゲン系難燃剤;リン酸ア
ンモニウム、トリエチルホスフェート、トリクレジルホ
スフェート、トリエチルホスフェート、酸性リン酸エス
テル、トリフェニルホスフィンオキサイド等のリン酸系
難燃剤などがあげられる。
説明する。本発明の発泡成形体は、上記発泡性樹脂粒子
を予備発泡し、こうして得られた予備発泡粒子を金型内
に充填し、加熱して発泡させることによって得られる。
発泡性樹脂粒子の予備発泡は、発泡性ポリスチレンの製
造に通常使用される予備発泡機を用いて常法に従って得
ることができる。得られた予備発泡粒子は、好ましくは
常温で1日程放置した後に発泡成形に供される。
0.014〜0.05g/cm3 、好ましくは0.01
7〜0.03g/cm3 の範囲となるように調整され
る。発泡成形体の嵩密度が0.014g/cm3 を下回
ると気泡膜が薄くなり、その結果、破泡が生じて独立気
泡率が低下し、耐衝撃性も低下する。逆に、嵩密度が
0.05g/cm3 を超えると発泡成形体の重量が増加
し、輸送コストが高くなる等の問題が生じる。
0μm、好ましくは110〜200μm、より好ましく
は115〜200μmの範囲で設定される。発泡成形体
の平均気泡径が100μmを下回ると気泡膜が薄くな
り、その結果、破泡が生じて独立気泡率が低下し、耐衝
撃性も低下する。逆に、平均気泡径が200μmを超え
ると、成形体表面の平滑性が失われ、外観も悪くなる。
の独立気泡部分と連通気泡部分との気泡全容積に占め
る、独立気泡部分の体積の割合(%)を示すものであっ
て、70%以上、好ましくは75%以上の範囲で設定さ
れる。発泡成形体の独立気泡率が70%を下回ると耐衝
撃性が低下する。
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。以下の実施例および比較例で得られたゴム変
性スチレン系樹脂組成物についての、トルエン可溶分の
極限粘度数η、トルエン不溶分の25℃トルエン中での
膨潤度およびゲル分の含有率(重量%)は以下の方法で
測定した。
性スチレン系樹脂組成物約0.5gを、25℃のメチル
エチルケトンとメタノールとの混合溶媒(体積比10:
1)50ccに溶解させた後、10000rpmで1時
間遠心分離した。次いで、上澄み液にメタノールを加
え、樹脂分を析出、乾燥した。こうして得られた樹脂
0.1gを用いて濃度Cが0.5g/dLのトルエン溶
液を調製した後、この溶液10ccを粘度計に入れ、3
0℃で溶液の流下秒数T1 (秒)を測定する。一方、同
じ粘度計で純トルエンの流下秒数T0 (秒)を測定し、
式(1) により換算粘度を算出する。
dLとしたほかは上記と同様にして換算粘度を求め、換
算粘度と樹脂溶液の濃度との関係式から樹脂溶液の濃度
を0に外挿した極限粘度数ηを算出する。
膨潤度〕遠心分離管にゴム変性スチレン系樹脂組成物約
1.0gを入れ、この樹脂組成物を25℃のトルエン5
0ccに溶解させて10000rpmで1時間遠心分離
し、上澄み液を除いた重さW1 (g)を秤量する。さら
に、沈澱物が浸せきする程度(約10mL)までメタノ
ールを加え、風乾する。こうして得られた沈澱物をさら
に70℃で2時間真空乾燥した後、遠心分離管に入れた
状態で乾燥後の重量W2 (g)を秤量し、式(2) により
膨潤度を算出する。
変性スチレン系樹脂におけるゲル分の量は、上記秤量値
W1 、W2 と、遠心分離管に入れた樹脂組成物約1.0
gの精秤値W(g)とを用いて式(3) により算出する。
分の極限粘度数ηが0.6で、トルエン不溶分の25℃
トルエン中での膨潤度が17であり、樹脂組成物のゲル
分含有率が22重量%であり、スチレン成分の重量平均
分子量が180000であるものを用いた。また、前記
樹脂組成物におけるジエン系ゴムは、シス結合含有率が
85%であるいわゆる高シスブタジエンゴムであって、
その含有量はゴム変性スチレン系樹脂組成物の全量に対
して10重量%となるように調整した。
重量部に対して酸化防止剤(2,6-ジ-t- ブチル-p- クレ
ゾール,BHT)0.03重量部を配合し、押出機にて
溶融混練して、直径0.8mm、長さ1.0mmのペレ
ット状に成形した。次に、内容積5.5Lの撹拌機付オ
ートクレーブに水2.8L、無水ピロリン酸ナトリウム
(太平化学工業(株)製の懸濁安定剤)20g、塩化マ
グネシム40g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム(第一工業製薬(株)製の界面活性剤)1.5gおよ
びヒドロキシステアリン酸アマイド(熟成促進剤)1.
12gを加えて水性媒体とした。この水性媒体にペレッ
ト状としたゴム変性スチレン系樹脂組成物1500gを
懸濁させ、撹拌速度300rpmで攪拌した。
タン(昭和シェル石油(株)製)120gを圧入した。
圧入後125℃のままで6時間保持し、30℃以下まで
冷却したものを取り出して、発泡性樹脂粒子を得た。こ
の樹脂粒子の発泡剤含有量は7.0重量%であった。上
記の発泡性樹脂粒子を12℃〜16℃の恒温室に保管
し、気泡の経日変化を観察したところ、取出し後3日目
で気泡が均一化し熟成が完了した。
日間保管し、予備発泡を行った。予備発泡は、内容積3
3L(有効容積25L)のバッチ発泡機に発泡性樹脂粒
子500gを投入し、吹き込み蒸気圧0.05kg/c
m2 Gの条件下で嵩密度0.02g/cm3 の予備発泡
粒子を得た。この条件下での蒸気温度は97〜99℃で
あった。
置した後、ACE−3SP成形機(積水工機(株)製)
を使用して当該予備発泡粒子を金型内に充填し、再度加
熱することにより、密度が0.02g/cm3 で、成形
体寸法が300×400×100mmである発泡成形体
を得た。得られた発泡成形体は粒子間の融着が良好で、
外観も良好であった。
衝撃性を確認するために落球値の測定を行った。また、
発泡成形体の平均気泡径と独立気泡率とを測定し、さら
に発泡体の成形性を評価した。測定および評価方法は次
のとおりである。 〔耐衝撃性〕発泡成形体から厚さ20mm、幅40m
m、長さ215mmの試験片を切り出し、150mmの
間隔を置いた2つの支点間に固定してその上方から19
8gの鋼球を落下させる試験を行った。試験は、鋼球を
落下させる高さを5cm間隔で変えて行い、5つの試験
片がすべて破壊されたときの最低の高さHL (cm)
と、1つも破壊されなかったときの最高の高さH0 (c
m)とから、式(4) より落球値を算出した。
HL とH0 との差(HL−H0 )を示し、SはH0 から
HL までの各測定位置で破壊された試験片の割合(%)
の合計を示す。) 落球値が大きいほど発泡成形体の耐衝撃性が大きいこと
を示す。耐衝撃性の評価基準は次のとおりである。 ○:落球値が25cm以上、耐衝撃性が良好である。 △:落球値が20cm以上、25cm未満、耐衝撃性が
実用上不十分である。 ×:落球値が20cm未満、耐衝撃性が極めて低い。
ASTM D−2842−69に準拠して測定した。す
なわち、発泡成形体の切断面の一直線上(60mm)に
かかる気泡数から平均弦長tを式(5) により測定し、こ
の測定値を用いて式(6) より平均気泡径を算出した。
体積の総和に占める独立気泡の体積の割合(%)を示す
ものであって、ASTM D−2858に準拠し、ベッ
クマン(株)製の空気比較式比重計を用いて測定した。
に充填し、蒸気で加熱して発泡成形体を得る際に、加熱
蒸気圧を0.5kgf/cm2 とし、両面加熱時間を3
0秒で設定したときに得られた発泡成形体の外観を目視
で観察し、以下の基準で発泡成形体の成形性を評価し
た。 ○:成形体表面の融けまたは成形体の収縮が発生してお
らず、成形性が良好であった。 △:融けまたは収縮がわずかに発生しており、成形性が
やや不良であった。 ×:融けまたは収縮が著しく、成形性が不良であった。
分の極限粘度数ηとトルエン不溶分の25℃トルエン中
での膨潤度、前記樹脂組成物のゲル分含有率(重量%)
およびジエン系ゴム成分の含有量(重量%)を表1に示
す値に設定したほかは、実施例1と同様にして発泡成形
体を得た。
形体について、成形性、平均気泡径(μm)、独立気泡
率(%)および耐衝撃性の結果を下記表1に示す。
ある低シスブタジエンを用いたほかは、実施例1と同様
にして発泡成形体を得た。 比較例9、10 発泡成形体の平均気泡径を表2に示す値に調整したほか
は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。なお、平
均気泡径はヒドロキシステアリン酸アマイドの添加量を
調整したり、ブタン等の発泡剤を併用することによって
調節した。
の成形性、平均気泡径(μm)、独立気泡率(%)およ
び耐衝撃性の結果を、実施例1の結果とともに下記表2
に示す。
ン可溶分の極限粘度数ηが0.5〜0.7、トルエン不
溶分の25℃トルエン中での膨潤度が14〜20で、か
つゲル分含有率が15〜27重量%であるゴム変性スチ
レン系樹脂組成物を用いて発泡性樹脂粒子を作製し、さ
らにこの樹脂粒子を発泡成形したときは、耐衝撃性に優
れた発泡成形体が得られることがわかった。
いるジエン系ゴム成分は、シス結合含有量80%以上の
高シスブタジエンであるのが、耐衝撃性に優れた発泡成
形体を得るという観点から好ましいことがわかった。さ
らに、耐衝撃性の観点から、発泡成形体の平均気泡径が
100〜200μm、独立気泡率が70%以上であるの
が好ましいことも分かった。
は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。こうして
得られた発泡成形体についての成形性および耐衝撃性の
結果を表3に示す。
−ペンタンを用いると、成形性が良好で、耐衝撃性にも
優れた発泡成形体が得られることがわかった。 実施例8 酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を発泡剤の含浸
時に添加した以外は実施例1と同様にして、発泡性樹脂
粒子および発泡成形体を得た。
としては、トルエン可溶分の極限粘度数ηが0.6で、
トルエン不溶分の25℃トルエン中での膨潤度が15で
あり、樹脂組成物のゲル分含有率が22重量%であり、
スチレン成分の重量平均分子量が180000のものを
用いた。また、前記樹脂組成物におけるジエン系ゴム
は、シス結合含有率が85%であるいわゆる高シスブタ
ジエンゴムであって、その含有量はゴム変性スチレン系
樹脂組成物の全量に対して10重量%となるように調整
した。
機にて溶融混練して、直径0.8mm、長さ1.0mm
のペレット状に成形した。次に、内容積5.5Lの撹拌
機付オートクレーブに水2.8L、無水ピロリン酸ナト
リウム(前出)20g、塩化マグネシム40g、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム(前出)1.5gおよ
びヒドロキシステアリン酸アマイド(熟成促進剤)1.
12g、酸化防止剤として「スミライザーBP101」
(前出)1.5gを加えて水性媒体とした。
スチレン系樹脂組成物1500gを懸濁させ、撹拌速度
350rpmで攪拌した。そして、実施例1と同様にし
て反応を行い、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子および発
泡成形体を得た。得られた発泡成形体は粒子間の融着が
良好で、外観も良好であった。
ライザーBP101」に代えて「アデカスタブAO−8
0」(前出)を使用したほかは実施例8と同様にして、
発泡成形体を得た。 実施例10 酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)として、「スミ
ライザーBP101」に代えて「スミライザーGS」
(前出)を使用したほかは実施例8と同様にして、発泡
成形体を得た。
ライザーBP101」に代えて「スミライザーGM」
(前出)を使用したほかは実施例8と同様にして、発泡
成形体を得た。 実施例12、13 酸化防止剤としての「スミライザーBP101」(前
出)を、0.45g、7.5g配合したほかは実施例8
と同様にして、発泡成形体を得た。
出)を、0.45g、7.5g配合したほかは実施例9
と同様にして、発泡成形体を得た。上記実施例8〜15
で得られた発泡成形体についての成形性および耐衝撃性
の結果を、使用した酸化防止剤の種類および添加量とと
もに下記表4に示す。
に添加する酸化防止剤として、融点が、発泡剤の含浸温
度の±10℃の範囲にある特定のフェノール系酸化防止
剤を用いると、成形性が良好で、かつ耐衝撃性にも優れ
た発泡成形体が得られることがわかった。
スチレン系樹脂組成物および発泡性樹脂粒子を用いれ
ば、成形性と外観とがともに良好であり、かつ耐衝撃性
に優れた発泡成形体を得ることができる。従って、本発
明の発泡成形体は、耐衝撃性を必要とする梱包材、緩衝
材等に好適である。
Claims (4)
- 【請求項1】ポリスチレン系樹脂からなる連続相に、ポ
リスチレン系樹脂を内包するジエン系ゴムの粒子が分散
したゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、前記ジエ
ン系ゴムのシス結合含有率が80%以上であり、前記樹
脂組成物の(i) トルエン可溶分における極限粘度数ηが
0.5〜0.7、(ii)トルエン不溶分における25℃ト
ルエン中での膨潤度が14〜20、および(iii) ゲル分
含有率が15〜27重量%であることを特徴とするゴム
変性スチレン系樹脂組成物。 - 【請求項2】請求項1記載のゴム変性スチレン系樹脂組
成物の粒子にn−ペンタンを含浸させたことを特徴とす
る発泡性樹脂粒子。 - 【請求項3】前記n−ペンタンの配合量がゴム変性スチ
レン系樹脂組成物に対して4〜12重量%である請求項
2記載の発泡性樹脂粒子。 - 【請求項4】請求項2または3記載の発泡性樹脂粒子を
発泡成形した発泡成形体であって、密度が0.014〜
0.05g/cm3 、平均気泡径が100〜200μm
および独立気泡率が70%以上であることを特徴とする
発泡成形体。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1541621A3 (de) * | 2003-12-12 | 2006-02-08 | Basf Aktiengesellschaft | Partikelschaumformteile aus expandierbaren, schlagzäh -modifizierten, thermoplastischen Polymergranulaten |
JP2012172015A (ja) * | 2011-02-18 | 2012-09-10 | Sekisui Plastics Co Ltd | 発泡性樹脂粒子及び発泡成形体 |
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WO2014157188A1 (ja) | 2013-03-27 | 2014-10-02 | 積水化成品工業株式会社 | 改質ポリスチレン系架橋樹脂粒子とその製造方法、発泡性粒子とその製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体 |
-
1998
- 1998-12-10 JP JP35156998A patent/JP3462775B2/ja not_active Expired - Fee Related
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