JP2000178373A - ゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体

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JP2000178373A JP35770898A JP35770898A JP2000178373A JP 2000178373 A JP2000178373 A JP 2000178373A JP 35770898 A JP35770898 A JP 35770898A JP 35770898 A JP35770898 A JP 35770898A JP 2000178373 A JP2000178373 A JP 2000178373A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高発泡倍率でも,耐衝撃性や柔軟性に優れ,
外観も良好な発泡成形体を提供すること。 【解決手段】 スチレン系樹脂の連続相中にジエン系重
合体のゴム粒子が分散してなるゴム変性スチレン系樹脂
を発泡成形してなる発泡成形体であって,(1)連続相
を形成するスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)が
180,000〜300,000であり,かつ重量平均
分子量に対するZ平均分子量の比(Mz/Mw)が2〜
4であり,(2)25℃トルエン中における上記ジエン
系重合体のゲル分の膨潤度が12〜25であり,(3)
ジエン系重合体へのスチレン系樹脂のグラフト率が70
%〜135%であること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,耐衝撃性や柔軟性に優れた高い
発泡倍率を有するゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体に
関する。
【0002】
【従来技術】ポリスチレン樹脂からなる発泡成形体は,
優れた緩衝性,断熱性を有し,成形も容易であるため,
包装材,断熱材として多く用いられている。しかし,耐
衝撃性や柔軟性が不十分であるため,割れや欠けが発生
しやすく,例えば精密機器製品の包装などには適さない
という問題がある。
【0003】一方,ポリプロピレン樹脂からなる発泡成
形体は,耐衝撃性や柔軟性に優れた発泡成形体ではある
が,発泡成形体の成形時に大がかりな設備を必要とす
る。また,樹脂の性質上,発泡粒子の形態で原料メーカ
ーから成形加工メーカーに輸送しなければならず,嵩高
いものを輸送することになるため,製造コストが上昇す
るという問題があった。近年,成形が容易で,ポリスチ
レン系発泡体よりも耐衝撃性及び柔軟性を改良したもの
として,ゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体が,特開平
3−182529号,特開平5−116227号,特開
平7−11043号,及び特開平7−90105号など
に提案されている。
【0004】
【解決しようとする課題】しかし,従来の発泡成形体
は,耐衝撃性及び柔軟性の改良の程度が不十分であった
り,発泡倍率の高い発泡成形体を得ようとする場合,収
縮などによる発泡成形品外観の悪化や,発泡成形体の強
度低下が起きる。そのため,高い発泡倍率で発泡成形体
を使用することができず,包装材料の省資源化に限界が
あった。
【0005】また,ゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体
は,その気泡膜断面を電子顕微鏡で観察すると,ゴム粒
子が気泡膜に複数,層状に存在している。しかし,高い
発泡倍率では,発泡成形体の気泡膜の厚みが薄くなるた
め,気泡膜中にうまく配向されないゴム粒子(=アスペ
クト比が20以下)が生じていることが分かった。そし
て,これに起因して,高い発泡倍率では強度低下が生ず
ると考えられる。
【0006】本発明は,高発泡倍率でも,耐衝撃性や柔
軟性に優れ,外観も良好な発泡成形体を提供しようとす
るものである。
【0007】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,スチレン系樹脂
の連続相中にジエン系重合体のゴム粒子が分散してなる
ゴム変性スチレン系樹脂を発泡成形してなる発泡成形体
であって,(1)連続相を形成するスチレン系樹脂の重
量平均分子量(Mw)が180,000〜300,00
0であり,かつ重量平均分子量に対するZ平均分子量の
比(Mz/Mw)が2〜4であり,(2)25℃トルエ
ン中における上記ジエン系重合体のゲル分の膨潤度が1
2〜25であり,(3)ジエン系重合体へのスチレン系
樹脂のグラフト率が70%〜135%であることを特徴
とするゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体である。
【0008】本発明においては,連続相を形成するスチ
レン系樹脂及びジエン系重合体として上記特定のものを
用い,またジエン系重合体へのスチレン系樹脂のグラフ
ト率が特定範囲のものを用いている。そのため,高発泡
倍率でも,耐衝撃性や柔軟性に優れ,外観も良好な発泡
成形体を提供することができる。なお,上記高発泡倍率
とは,50倍(発泡成形体密度20kg/m3)〜70
倍(同14kg/m3)をいう。
【0009】本発明においては,上記従来の問題点に鑑
み,鋭意研究を続けた結果,ゴム粒子が気泡膜に複数,
層状に存在し,ゴム粒子のアスペクト比が20以下であ
るゴム粒子の個数の割合が30%以下であるゴム変性ス
チレン系樹脂の発泡成形体が,高発泡倍率でも,外観を
悪化させることなく,耐衝撃性や柔軟性に優れることを
見出した。なお,ここで言うアスペクト比とは,気泡膜
中に層状に存在するゴム粒子の厚さ(気泡膜厚み方向の
寸法)に対するゴム粒子の長さ(気泡膜面方向の寸法)
の比である。
【0010】そして,鋭意研究を続けた結果,アスペク
ト比が20以下であるゴム粒子は,気泡膜中にうまく配
向されないため発生するのであって,このようなゴム粒
子を少なくするためには,特定の分子量と分子量分布を
持つスチレン系樹脂と特定の柔らかさのゴム粒子からな
るゴム変性スチレン系樹脂を用いれば良いことを見出
し,本発明を完成するに至ったのである。
【0011】上記スチレン系樹脂は,ブタジエン重合体
などのジエン系重合体をスチレン,p−メチルスチレ
ン,α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物に溶
解させ,アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物
あるいは,過酸化ベンゾイル,t−ブチルパーオキシベ
ンゾエートなどの過酸化物の存在下で,ラジカル重合さ
せ,バルク重合,溶液重合,懸濁重合,バルク−懸濁重
合法などを用いて得られるものである。
【0012】上記スチレン系樹脂のMwは,180,0
00〜300,000である。Mwが180,000未
満の場合には,気泡膜中のゴム粒子が配向され難くなる
ため発泡成形体とした場合に強度が低下し,一方30
0,000を超える場合には発泡性が悪化し高発泡倍率
の発泡成形体の製造が困難になる。なお,好ましくは2
00,000〜280,000である。
【0013】さらに,上記スチレン系樹脂の重量平均分
子量(Mw)に対するZ平均分子量の比(Mz/Mw)
は,2〜4である。Mz/Mwが2未満の場合には,気
泡膜中のゴム粒子が配向され難くなるため発泡成形体と
した場合に強度が低下し,一方Mz/Mwが4を超える
場合には,発泡性が悪化し発泡成形体の製造が困難にな
る。なお,好ましくは2〜3である。
【0014】上記ジエン系重合体は,ブタジエン,イソ
プレンなどのジエン系化合物の重合体や,ジエン系化合
物と共重合の可能な,例えばスチレンなどの芳香族ビニ
ル化合物との共重合体を用いることができる。なお,好
ましくは,ブタジエン重合体である。なお,ブタジエン
重合体は,ハイシスタイプ,ローシスタイプのいずれを
用いても良い。
【0015】上記ゴム変性スチレン系樹脂中におけるジ
エン系重合体の含有量は,5〜20重量%とすることが
好ましい。5重量%未満の場合では,十分な耐衝撃性や
柔軟性を有する発泡成形体が得られないおそれがある。
一方20重量%を超える場合には使用量に見合う強度の
向上が見られない上に,発泡成形体の表面が溶融するな
ど,成形性が著しく悪化するおそれがある。なお,更に
好ましくは7〜15重量%である。
【0016】次に,ゴム変性スチレン系樹脂中のジエン
系重合体のゲル分は,25℃トルエン中での膨潤度が1
2〜25である。ゲル分の膨潤度が12未満の場合に
は,気泡膜中にゴム粒子が配向できないために気泡成形
がうまく行われず,高い発泡倍率の発泡成形体としたと
きに収縮や変形が起きる恐れがある。一方,25を超え
る場合には,十分な耐衝撃性や柔軟性を有する発泡成形
体が得られない。なお,好ましくは15〜20である。
【0017】ジエン系重合体の上記ゲル分の膨潤度は,
例えば,次のように求める。ゴム変性スチレン系樹脂発
泡成形体,約1gにメチルエチルケトン30mlを加
え,25℃で24時間浸漬後,5時間振とうし,5℃,
18,000rpmで1時間遠心分離する。上澄みをデ
カンテーションして除いた後,新たにトルエン30ml
を加え,25℃で1時間振とうし,5℃,18,000
rpmで2時間遠心分離する。上澄み液を除き,重量を
秤量する(25℃トルエン中で膨潤したゲルの重量)。
その後,60℃,8時間,真空乾燥し,残留物の重量を
秤量し(乾燥ゲルの重量),次式により,ゲル分の膨潤
度を求める。 [膨潤度]=[25℃トルエン中で膨潤したゲルの重量]/[乾燥ゲルの重量 ]…(式1)
【0018】次に,上記ジエン系重合体(100%)へ
のスチレン系樹脂のグラフト率は,70%〜135%で
ある。グラフト率が70%未満の場合には,十分な耐衝
撃性や柔軟性を有する発泡成形体が得られない。一方,
135%を超える場合には,気泡膜中にゴム粒子が配向
できないために気泡成形がうまく行われず,高い発泡倍
率の発泡成形体としたときに収縮や変形が起きる恐れが
ある。なお,好ましくは,80%〜120%である。
【0019】グラフト率は,例えば次式により求める。 [グラフト率]={[ゲル含有量,重量%]−[ジエン系重合体含有量,重量% ]}×100/[ジエン系重合体含有量,重量%]…(式2) ここで,ゲル含有量は,ゲルの膨潤度の測定に用いたサ
ンプル重量に対するゲルの乾燥重量の割合である。ジエ
ン系重合体含有量は,一塩化ヨウ素法で二重結合を定量
して求める(新版 高分子分析ハンドブック 日本分析
化学会・高分子分析研究懇談会編集 P.639参
照)。
【0020】次に,ゴム変性スチレン系樹脂中には,発
泡成形体の柔軟性調整の目的で,フタル酸ジオクチル,
アジピン酸ジオクチルなどのエステル類,またトルエ
ン,キシレン,シクロヘキサンなどの炭化水素類,ある
いは鉱油,流動パラフィン等が含有されていても良い。
【0021】また,ゴム変性スチレン系樹脂には,タル
ク,クレイ,炭酸カルシウム,酸化チタン等の無機充填
剤,またステアリン酸アルミニウム,ステアリン酸亜
鉛,p−t−ブチル安息香酸アルミニウム,エチレンビ
スステアリルアミド等の滑剤,またトリス(ジブロモプ
ロピル)ホスフェート,ペンタブロモジフェニルエーテ
ル,テトラブロモブタン,ジブロモエチルベンゾール,
1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロデカン
等の難燃剤,あるいは酸化防止剤,帯電防止剤,紫外吸
収剤,カーボンブラック等が含有されていても良い。
【0022】次に,請求項2の発明のように,スチレン
系樹脂の連続相中に分散しているジエン系重合体のゴム
粒子の平均粒子径は,2μm〜10μmであることが好
ましい。ジエン系重合体ゴム粒子の粒子径が2μm未満
の場合には,十分な耐衝撃性や柔軟性を有する発泡成形
体を得られないおそれがある。一方,10μmを超える
場合には,ゴム粒子が大きすぎて気泡成形がうまく行わ
れず,発泡成形体としたときに収縮や変形が起きるおそ
れがある。なお,さらに好ましくは3μm〜7μmであ
る。
【0023】ジエン系重合体ゴム粒子の粒子径は,例え
ば,DMF溶媒中に分散させたゴム粒子を(株)堀場製
作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA
−700を用いて測定し,得られた体積基準粒度分布か
ら次式により求める。 [粒子径]=[ΣDi×Ni]/[ΣDi×Ni] Ni=Pi/[Di×π/6]…(式3) ここに,Di:i番目の粒子径,Pi:i番目の体積頻
度,π:円周率である。
【0024】次に,請求項3の発明のように,上記ジエ
ン系重合体中の1,4−シス構造の割合は,80%以上
であることが好ましい。1,4−シス構造の割合が80
%未満であるジエン系重合体を用いた場合は,発泡成形
体の柔軟性や耐衝撃性が不十分になるおそれがある。な
お,さらに好ましくは90%以上である。
【0025】次に,請求項4の発明のように,発泡成形
体の気泡膜中における,アスペクト比が20以下である
ジエン系重合体のゴム粒子の割合は,30%以下である
ことが好ましい。この場合には,高発泡倍率でも,一層
耐衝撃性や柔軟性に優れ,外観も良好な発泡成形体を提
供することができる。アスペクト比が20%以下のジエ
ン系重合体のゴム粒子の割合が30%を越えると高発泡
倍率において,発泡成形体の耐衝撃性が低下する問題が
ある。なお,アスペクト比が20以下のゴム粒子の割合
の下限は,発泡成形体の耐衝撃性の点より,できるだけ
少ない方が好ましく0%でも良い。
【0026】次に,上記のゴム変性スチレン系樹脂の発
泡成形体を製造する方法としては,例えば,押出機中で
ゴム変性スチレン系樹脂と揮発性発泡剤とを溶融混練
し,押出機先端のダイの細孔より押出し,直ちに水中へ
導入し急冷し,未発泡の状態で粒子化し,発泡性ゴム変
性スチレン系樹脂組成物を製造する方法がある。
【0027】また,他の製造方法としては,押出機中で
ゴム変性スチレン系樹脂を溶融混練し,押出機先端のダ
イの細孔より押出し,ストランドカット,ホットカッ
ト,水中カットなどの方法により0.5mg/ヶ〜5m
g/ヶの大きさの粒子とし,得られたゴム変性スチレン
系樹脂の樹脂粒子を密閉容器中,懸濁剤の存在下で水性
媒体に分散させ,揮発性発泡剤を樹脂粒子に含浸させ
て,発泡性ゴム変性スチレン系樹脂組成物を製造する方
法がある。
【0028】なお,押出機中でゴム変性スチレン系樹脂
を溶融混練する際に,スチレン系樹脂連続相の重量平均
分子量(Mw)や重量平均分子量に対するZ平均分子量
の比(Mz/Mw)を調整するため,あるいは,ジエン
系重合体のゴム変性スチレン系樹脂中の含有量を調整す
るために,スチレン系樹脂を混合しても良い。
【0029】発泡方法としては,例えば,ポリスチレン
ビーズ用の発泡機を用いて,スチームにより,ゴム変性
スチレン系樹脂のガラス転移温度付近(約100℃)ま
で加熱し,発泡させ,ゴム変性スチレン系樹脂の発泡粒
子とする。得られたゴム変性スチレン系樹脂の発泡粒子
は,例えば,ポリスチレン発泡成形体の製造に用いられ
る成形機を用いて成形することができる。すなわち,所
望の形の金型内に発泡粒子を充填し,スチーム加熱によ
り発泡粒子同士を融着させ,所定時間冷却後,金型より
取り出して本発明のゴム変性スチレン系樹脂の発泡成形
体とする。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態例にかかるゴム
変性スチレン系樹脂発泡成形体,及びその製造方法につ
き,その具体例を説明する。 実施例1〜5及び比較例1〜3 (ゴム変性スチレン系樹脂の製造方法)本例で用いるゴ
ム変性スチレン系樹脂は,以下に示す塊状重合により得
たものである。
【0031】スチレンモノマー100重量部に対して,
ブタジエン重合体10重量部と,重合開始剤としてのタ
ーシャリーブチルパーオキシベンゾエート0.03重量
部,溶媒としてのエチルベンゼン12重量部を混合溶解
したものを,内容積30リットルの撹拌槽型反応器に,
平均滞留時間が2.5時間になるように連続的に供給
し,110〜130℃で重合を行った。
【0032】続いて,得られた反応液を2基のプラグフ
ロー型反応器へ連続的に供給し,それぞれ120〜13
0℃,150〜180℃で最終重合率が80〜90%に
なるまで重合反応を行った。その後,未反応スチレンモ
ノマーおよび溶媒を加熱下で減圧脱気して取り除き,ペ
レット化して,目的とするゴム変性スチレン系樹脂を得
た。
【0033】なお,上記重合例を標準として,各反応器
および脱気槽の温度条件を変化させることにより,グラ
フト率,ゲル膨潤度,ゴム粒径の異なるゴム変性スチレ
ン系樹脂を得た。さらに,重合系に供給するブタジエン
重合体の濃度を変化させることにより,得られるゴム変
性スチレン系樹脂のジエン系重合体の含有量を調整し
た。これにより,表1,表2の実施例,比較例に示す,
各種のゴム変性スチレン系樹脂を得た。
【0034】(発泡剤の含浸および発泡成形)次に,表
1,表2に示すゴム変性スチレン系樹脂を,65mm単
軸押出機で溶融後,水中カットにより約1.3mg/ヶ
の大きさの樹脂粒子とした。次いで,撹拌装置付きの3
リットル反応器に上記樹脂粒子100重量部,脱イオン
水150重量部,懸濁剤としてのピロリン酸ナトリウム
0.7重量部と,硫酸マグネシウム1.4重量部,樹脂
粒子中の水分量を調整するため電解質としての硫酸ナト
リウム3重量部,界面活性剤としてのラウリル硫酸ナト
リウム0.075重量部を投入し,反応器を密閉した。
【0035】次いで,撹拌しつつ100℃まで加熱した
後,揮発性発泡剤としてペンタン4重量部およびブタン
8重量部を反応器に圧入し,100℃で5時間保持し
た。次いで30℃に冷却後,発泡剤の含浸された樹脂粒
子を取り出し,水洗および脱水を行った。
【0036】次いで,上下に目開き0.1mmの金網を
取り付けた金属製の円筒形容器に樹脂粒子を入れ,毎分
500リットルの流量で室温の乾燥窒素を円筒形容器下
部より10分間吹き込み乾燥させた。得られた発泡性ゴ
ム変性スチレン系樹脂組成物の樹脂粒子100重量部当
たり,帯電防止剤0.04重量部,ブロッキング防止剤
0.06重量部を混合してコーティングした後,0℃で
24時間保管した。
【0037】次に,発泡性ポリスチレン用の撹拌機付き
バッチ式発泡機で,約55倍に発泡させ,ゴム変性スチ
レン系樹脂の発泡粒子を得た。この発泡粒子を,1日室
温で放置後,ポリスチレン発泡成形用の成形機(ダイセ
ン工業(株)製,VS−500)を用いて,ゴム変性ス
チレン系樹脂の発泡成形体を得た。
【0038】上記のゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体
の評価方法は以下の通りである。 (ゴム変性スチレン系樹脂発泡体の評価) 1)スチレン系樹脂連続相の重量平均分子量 THFにゴム変性スチレン樹脂を溶解し,メンブランフ
ィルターにて不溶分を除去した後,ゲルパーミエイショ
ンクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0039】2)ゲル分の膨潤度 上記の測定方法及び(式1)により求めた。 3)グラフト率 上記の測定方法及び(式2)により求めた。
【0040】4)ジエン系重合体ゴム粒子の粒子径 上記の測定方法及び(式3)により求めた。 5)発泡成形品の密度 発泡成形体の重量(kg)と,金型寸法から計算した発
泡成形体の体積(m3)より,発泡成形体の密度(kg
/m3)を求めた。
【0041】6)表面外観 発泡成形体の表面外観を目視により,下記の基準にて評
価した。 ○;収縮,メルト,間隙がほとんどない。 △;収縮,メルト,間隙が見られる。 ×;著しい収縮,メルト,間隙が見られる。 なお,ここで言うメルトとは,発泡成形体の表面が成形
時の加熱により,溶融してしまった状態である。
【0042】7)50%破壊高さ 得られた発泡成形体を縦200mm,横40mm,厚さ
25mmの大きさに切断し試験片とし,重さ255gの
鋼球を落下させ,JIS K 7211に準拠して,5
0%破壊高さ(cm)を求めた。これにより,耐衝撃強
度を評価した。
【0043】8)柔軟性 得られた発泡成形体を縦200mm,横30mm,厚さ
20mmの大きさに切断し試験片とした。軸径が100
mmから10mmまでの10本の金属製円筒軸を準備
し,試験片の中央部を円筒軸に押し当て,等速度で,約
5秒間で円筒軸に沿って試験片を折り曲げて試験を行
う。始めに軸径が100mmの円筒軸で試験を行い,試
験片が割れなかったら,軸径が10mm小さい円筒軸に
変えて同様の試験を行う。割れるまで軸径が10mmず
つ小さい円筒軸に変えながら試験を繰り返す。試験片が
割れたら,割れたときの1つ前の試験に使った円筒軸の
軸径の値を記録する。試験片10個の平均値(mm)か
ら柔軟性を評価した。従って,値が小さいほど柔軟性に
優れる。
【0044】以上の各実施例および比較例の結果を表
1,表2に示す。なお,実施例3及び比較例3は,ゴム
変性スチレン系樹脂100重量部に対して,重量平均分
子量330,000のスチレン樹脂20重量部を押出機
中で溶融混練して用いた。実施例3及び比較例3の表中
の値は全て,スチレン樹脂を混合した後の数値である。
【0045】表1,表2から次のことが分かる。本発明
の条件を満たしているすべての実施例は,高発泡倍率
(55倍,密度約18kg/m3)においても,成形品
の表面外観,耐衝撃性(50%破壊高さ),柔軟性に優
れた発泡成形体が得られることが分かる。
【0046】一方,Mz/Mwが小さく,膨潤度の小さ
いゴム変性スチレン系樹脂を用いた場合(比較例1),
グラフト率が高く,膨潤度の小さいゴム変性スチレン系
樹脂を用いた場合(比較例2),グラフト率が高く,ゴ
ム粒子径の小さいゴム変性スチレン系樹脂を用いた場合
(比較例3)では,いずれも気泡膜中のゴム粒子のアス
ペクト比が20以下のゴム粒子の割合が30%を超え,
耐衝撃性や柔軟性に劣ることが分かる。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】また,上記実施例1の発泡成形体における
気泡膜断面につき,透過型電子顕微鏡写真(1万倍)を
撮影し,図1に示した。また,同様に比較例1の発泡成
形体についても撮影した(図2)。両図において,斜方
向の帯状物が気泡膜である。気泡膜中に黒く筋状に見え
るのが,ゴム粒子である。図1のゴム粒子はよく伸び
て,非常に細長くなっている(アスペクト比が大き
い)。一方,図2のゴム粒子は図1のゴム粒子に比較
し,伸びが小さく,厚みが大きい(アスペクト比が小さ
い)ことが分る。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば,高発泡倍率でも,耐衝
撃性や柔軟性に優れ,外観も良好な発泡成形体を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の発泡成形体における,気泡膜断面
の,図面代用透過型電子顕微鏡写真(10000倍)で
ある。
【図2】比較例1の発泡成形体における,気泡膜断面
の,図面代用透過型電子顕微鏡写真(10000倍)で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂の連続相中にジエン系重
    合体のゴム粒子が分散してなるゴム変性スチレン系樹脂
    を発泡成形してなる発泡成形体であって,(1)連続相
    を形成するスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)が
    180,000〜300,000であり,かつ重量平均
    分子量に対するZ平均分子量の比(Mz/Mw)が2〜
    4であり,(2)25℃トルエン中における上記ジエン
    系重合体のゲル分の膨潤度が12〜25であり,(3)
    ジエン系重合体へのスチレン系樹脂のグラフト率が70
    %〜135%であることを特徴とするゴム変性スチレン
    系樹脂発泡成形体。
  2. 【請求項2】 請求項1において,スチレン系樹脂の連
    続相中に分散しているジエン系重合体のゴム粒子の平均
    粒子径は,2μm〜10μmであることを特徴とするゴ
    ム変性スチレン系樹脂発泡成形体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記ジエン系
    重合体中の1,4−シス構造の割合は,80%以上であ
    ることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂発泡成形
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    発泡成形体の気泡膜中における,アスペクト比が20以
    下であるジエン系重合体のゴム粒子の割合は,30%以
    下であることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂発泡
    成形体。
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