JPH11269145A - ビス(n−置換)フタルイミドとその製造方法およびビフェニルテトラカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ビス(n−置換)フタルイミドとその製造方法およびビフェニルテトラカルボン酸の製造方法

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JPH11269145A
JPH11269145A JP10088208A JP8820898A JPH11269145A JP H11269145 A JPH11269145 A JP H11269145A JP 10088208 A JP10088208 A JP 10088208A JP 8820898 A JP8820898 A JP 8820898A JP H11269145 A JPH11269145 A JP H11269145A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリイミドの原料となるビフェニル−2,
2’,3,3’−テトラカルボン酸二無水物(i−BP
DA)を製造する中間体を得る。 【解決手段】 3,3’−ビス(N−置換)フタルイミ
ド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3,3’−ビス
(N−置換)フタルイミドとその製造方法に関する。さ
らに詳しくは、ポリイミドの原料となるビフェニル−
2,2’,3,3’−テトラカルボン酸二無水物(i−
BPDA)を製造する中間体として有用な新規な化合物
3,3’−ビス(N−置換)フタルイミドとその製造方
法、および3,3’−ビス(N−置換)フタルイミドか
らビフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸
およびこの無水物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビフェニル−2,2’,3,3’−テト
ラカルボン酸の製造方法の文献は、極めて旧いものが1
報あるのみである(Journal of Chemical Society,191
4,vol.105,p.2471) 。これには3−ヨウ素化ジメチルフ
タレートを銅粉存在下に260℃に加熱して中間体のビ
スジメチルフタレート化合物とする、いわゆるウルマン
反応を用いる方法が記載されている。この方法は、汎用
的に入手可能な化合物を出発原料とすると反応工程数が
多くて実用的でない。また、目的化合物と少し構造が異
なったビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン
酸の製造方法は、米国特許第5081281号公報に記
載されている。これは4−ハロゲノジアルキルフタレー
トを原料として相当するジフェニル化合物とする方法で
ある。この方法を応用して、3−ハロゲノジアルキルフ
タレートを用いてジフェニル化合物とすればよいと考え
られるが、本発明者らの研究によると、出発原料となる
3−ハロゲノフタレートを得るための3−ハロゲノフタ
レートのジエステル化は、反応速度が極めて小さいこと
が判明した。すなわち、3−ハロゲノジアルキルフタレ
ートが効率よく得られないため、前記米国特許記載の方
法は実用性に乏しいことが判った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、ビフェ
ニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸を効率よ
く製造する方法について鋭意研究を行った結果、3,
3’−ビス(N−置換)フタルイミドの加水分解法によ
る合成法を考え、この化合物について調査した結果、
4、4’−ビス(N−置換)フタルイミドは知られてい
る(レジストリー番号130168−45−5)が、
3,3’−体は知られていないことが判明した。そこで
3,3’ビス(N−置換)フタルイミドの製造方法につ
いて研究を行い、高収率での製造方法を確立した。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(1)で表される3,3’−ビス(N−置換)フタルイ
ミド、 一般式(1) [式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはアリール
基を示す。] 下記一般式(2)で表される化合物を、遷移金属触媒の
存在下、カップリング化することを特徴とする3,3’
−ビス(N−置換)フタルイミドの製造方法一般式
(2) [式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはアリール
基を示し、Xはフッ素原子以外のハロゲン原子を示
す。] ならびに3,3’−ビス(N−置換)フタルイミドを加
水分解処理することを特徴とするビフェニル−2,
2’,3,3’−テトラカルボン酸の製造方法を提供す
るものである。
【0005】本発明の前記一般式(1)で表される化合
物は新規化合物であり、式中のアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基をあげることができ、これらはn−、i
−、s−、t−等の異性体構造から選ばれるものであ
る。また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル
基、トリル基などが挙げられる。一般式(1)のRとし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、
t−ブチル基が好ましく、中でもメチル基が、保護基と
しての反応活性が高いことや脱保護の立場から、加水分
解しやすいので特に好ましい。
【0006】前記一般式(1)で表される化合物は、前
記一般式(2)で表されるハロゲノ(N−置換)フタル
イミドをカップリングして製造する。一般式(2)で表
される化合物は、3−ハロゲノフタル酸無水物にアルキ
ルアミンを反応させ、脱水して製造される。3−ハロゲ
ノフタル酸無水物が有するハロゲン原子としては塩素、
臭素、沃素から選ばれるが、どのハロゲン原子を用いて
もカップリング反応の選択性に影響を与えない。また、
アルキルアミンのアルキル基は前記一般式(1)におけ
るRと同様のものを挙げることができる。3−ハロゲノ
フタル酸無水物とアルキルアミンとの使用割合は、アル
キルアミンが酸無水物に対して過剰に使用されていれば
よく、通常、3−ハロゲノフタル酸無水物/アルキルア
ミン=0.5/0.9(mol)である。
【0007】本発明においては、前記の一般式(2)で
表される化合物をカップリングして前記一般式(1)で
表される化合物を製造する。この反応は、遷移金属塩を
含む触媒系を用いて行い、触媒は、予め調製したもの、
反応系でin situで調製しても良い。この触媒系として
は遷移金属塩および配位子、または配位子が配位した遷
移金属塩、及び還元剤を有する成分からなる。さらに重
合速度を上げるために塩を添加してもよい。ここで、遷
移金属塩としては塩化ニッケル、臭化ニッケル、よう化
ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケ
ル化合物を挙げられる。また、配位子としては、トリフ
ェニルホスフィン、2,2−ビピリジン、1,5−シク
ロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)プロパンなどが挙げられるが、トリフェニルホスフ
ィンが好ましい。上記配位子は1種単独で、あるいは2
種以上併用することができる。さらに、あらかじめ配位
子が配位された遷移金属塩としては、たとえば塩化ニッ
ケル2トリフェニルホスフィン、よう化ニッケル2トリ
フェニルホスフィン、硝酸ニッケル2−トリフェニルホ
スフィン、塩化ニッケル2,2'−ビピリジン、臭化ニ
ッケル2,2'−ビピリジン、よう化ニッケル2,2'−
ビピリジン、硝酸ニッケル2,2'−ビピリジン、ビス
(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス
(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(ト
リフェニルホスファイト)ニッケルなどが挙げられる
が、塩化ニッケル2トリフェニルホスフィン、塩化ニッ
ケル2,2'−ビピリジンが好ましい。本発明の触媒系
において、還元剤として亜鉛を用いる場合、カップリン
グ反応の選択性を上げるため酸性化合物で活性化した亜
鉛を用いることが好ましい。また本発明の触媒系におい
て使用することのできる塩としては、塩化ナトリウム、
臭化ナトリウム、よう化ナトリウム、塩化カリウム、臭
化カリウム、よう化カリウム、塩化テトラエチルアンモ
ニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、よう化テトラ
エチルアンモニウムなどが挙げられるが、塩化ナトリウ
ム、臭化ナトリウム、よう化ナトリウムが好ましい。触
媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配
位子が配位した遷移金属塩が、3−ハロゲノ−N−置換
フタルイミド1モルに対し、通常0.001〜10モ
ル、好ましくは0.1〜0.5モルである0.001モ
ル未満では反応が十分に進行せず、10モルを超えると
副反応が進行するといった問題がある。また、配位子の
使用割合は遷移金属塩1モルに対し、通常0.1〜10
0モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未
満では反応が十分に進行せず、100モルを超えると副
反応が進行するといった問題がある。さらに還元剤の使
用割合は、3−ハロゲノ−N−置換フタルイミド1モル
に対し、通常0.1〜100モル、好ましくは1〜10
モルである。0.1モル未満では反応が十分に進行せ
ず、100モルを超えると副反応が進行するといった問
題がある。さらに触媒系に塩を添加する場合、その使用
割合は3−ハロゲノ−N−置換フタルイミド1モルに対
し、通常0.01〜100モル、好ましくは0.1〜1
モルである。0.01モル未満では反応速度を上げる効
果が不十分であり、100モルを超えると得られるカッ
プリング化合物の精製が困難になるといった問題があ
る。一般式(2)で表される化合物をカップリングする
反応は、通常、溶媒中で行われる。ここで、使用される
溶媒は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチ
ル尿素などの非プロトン系極性溶媒などが好ましく用い
られる。一般式(2)で表される化合物をカップリング
する反応温度は、通常50〜150℃の範囲で、数分か
ら数時間の範囲で適宜条件を設定できる。得られた反応
混合物を水、カルボン酸、低級アルコールなどの溶媒に
再沈殿し、濾集した固形生成分を濾集し、有機溶剤で目
的物を抽質分離し、得られた溶液から晶析、再結晶の手
段で精製することができる。
【0008】前記一般式(1)で表される化合物は、加
水分解した後、中和することによりビフェニル−2,
2’,3,3’−テトラカルボン酸とすることができ
る。 前記一般式(1)で表される化合物を加水分解す
るには、通常アルカリ化合物が用いられ、このアルカリ
化合物としては、例えば水酸化ナトリウムを挙げること
ができる。また、中和には塩酸などの酸が好ましく用い
られる。なお、ビフェニル−2,2’,3,3’−テト
ラカルボン酸を脱水して対応する酸二無水物とするの
は、通常の方法で容易に行える。
【0009】本発明の化合物から誘導されるビフェニル
−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸二無水物は、
ポリイミドの原料として有用である。このポリイミド
は、ビフェニルの部分においてねじれた構造となってい
るため、耐熱性を維持し、しかも可溶性を付与できる構
造で、ジアミンの選択によっては誘電率が低い、光透過
性の高い、機能を発現させることができる。これら耐熱
可溶性ポリイミドは、電子部品用や光学用品等に期待さ
れる。
【0010】本発明の3,3’−ビス(N−置換)フタ
ルイミドの好ましい態様は次の化合物およびこれらの製
造方法ならびにこれらからビフェニル−2,2’,3,
3’テトラカルボン酸の製造方法である。 1)3,3’−ビス(N−メチル)フタルイミド 2)3,3’−ビス(N−エチル)フタルイミド 3)3,3’−ビス(N−プロピル)フタルイミド 4)3,3’−ビス(N−ブチル)フタルイミド 5)3,3’−ビス(N−i−ブチル)フタルイミド 本発明の3−ハロゲノ(N−置換)フタルイミドから
3,3’−ビス(N−置換)フタルイミドを製造する方
法は、触媒系としてニッケル化合物などの遷移金属塩、
亜鉛粉末、ハロゲン化ナトリウム、トリアリルホスフィ
ンを用い、非プロトン性極性溶媒中、50〜150℃で
反応させることが好ましい。
【0011】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。実施例の各種測定は、下記の方法により行
った。 (融点の測定)ミクロ融点測定装置(柳本製作所(株)
製)で測定した。 (赤外線スペクトルの測定)KBr法により測定した。 (1H−NMRスペクトルの測定)CDCl3またはN,
N−ジメチルスルホキシド−d6を溶媒として90MH
zにおいて測定した。 (マススペクトル)直接導入法(イオン化電圧70e
V)により測定した。
【0012】実施例1 (1)3-クロロフタル酸無水物から3-クロロ-N-メチ
ルフタルイミドの合成 攪拌モーター、温度計、ディンスターク管、窒素導入
管、および固体試料導入口を取り付けた5口の1リットルフ
ラスコに、3−クロロフタル酸無水物91.3g(0.5モ
ル)とヨウ化ナトリウム25g(0.167モル)を加えた。
乾燥窒素で反応系を置換し、以後、反応系にゆるく窒素
を導入を続けた。溶媒のジメチルアセトアミド(DMA
c)350mlを加え、室温下で攪拌し、固体成分を完
全に溶解させた。溶解後、反応系を氷冷し、10℃以下
に保つ。ここへメチルアミン水溶液(濃度40%)70
mlを滴下ロートで徐々に添加した。滴下速度は反応系
の温度が制御できるように調整した。反応終了後、氷浴
をはずし、室温まで戻す。室温で30分反応を継続し
た。さらにトルエン150mlを加え、反応系を加熱し
(油浴130℃まで)で過剰の未反応のアミン及び、イ
ミド化で生成した水をトルエン/水共沸物として溜去さ
せた。約3時間で60mlの水がディンスターク管に捕
集でき、純トルエンの溜去が始まることによって、イミ
ド化反応の終了とした。さらに160℃まで油浴温度を
上げて、残りのトルエンを溜去させた。フラスコに残存
した反応系は透明な黄色の溶液となった(着色は出発物
質の無水物の不純物によると考えられる)。反応液は8
0〜85℃まで冷却し、生成物は単離せず、次の反応に
用いた。生成物の純度はガスクロマトグラフにより測定
した。反応は定量的に進行し、目的物である(N−メチ
ル)−3−クロロフタルイミドが純度98%以上で得ら
た。生成物の融点は102.5〜103.5℃であり、
文献値の103℃と一致した。
【0013】(2)3,3’-ビス(N-メチル)フタル
イミドの合成 (2−1)アリールカップリングにおける亜鉛の活性化
方法 亜鉛粉末55gを10%塩酸水溶液に2分間混合攪拌
し、ついで吸引濾過をし、さらに濾集物を蒸留水で数
回、最後にアセトン100mlで洗浄した。濾集物を真
空下で少なくとも1時間以上、必要なら加熱しても効果
的である。これらの処理によって、亜鉛は青−灰色の活
性化された微粉末粉状となった。
【0014】(2,2’)3-クロロ-N-メチルフタル
イミドからの3,3’-ビス(N−メチル)フタルイミ
ドの合成 80〜85℃に維持された上記の反応系にトリフェニル
ホスフィン26.25g(0.10モル)と塩化ニッケ
ル3.24g(0.025モル)を一度に添加した。添
加すると反応系はすぐに濃赤褐色に変化した。反応系を
80℃で5分間攪拌し、オイルバスをはずして、調製し
た活性化亜鉛粉末49.0gを窒素下に数回に分けて加
えた。反応系は直ちに緑色に変化した。反応は発熱反応
で反応系の温度は短時間で急激に上昇するので、反応系
の温度を100〜110℃の範囲に制御出来るように添
加速度を調整した。反応は約15分程度で反応系の温度
が下がってくるので終了が確認できる。反応系の色は、
反応前と同じように褐色に戻った。ガスクロ分析から、
出発物質の反応転化率は定量的で、ビスイミドの収率は
99%を越えた。反応終了後、放冷した温かい反応液を
3リットルのメタノールに徐々に加えた。.混合物が均
一な懸濁液になるまで速やかに攪拌を行った。続いて、
濾過を行う。濾集した灰色の沈殿物を細かく砕き、2リ
ットルのメタノールに加え、攪拌を行った。さらにブフ
ナーロートで減圧下で濾過し、濾集物に含まれるメタノ
ールを出来る限り取り除く。沈殿物をクロロホルム約1
800mlに分散させるまで洗浄し、30分攪拌した。
続いて懸濁液を濾別し、沈殿物を200mlのクロロホ
ルムで2回洗浄し、合わせた有機層をロータリーエバポ
レーターで常圧下、バス温70℃で体積が300mlに
なるまで濃縮した。この溶液を1500mlのヘキサン
に投入し、生じた懸濁液を1時間攪拌し、濾別した。沈
殿物をヘキサンで洗浄し、真空乾燥することにより、
3,3’-ビス(N−メチル)フタルイミドの薄黄色の
結晶を得た。収量は64.6(81%)であった。3,
3’ビス(N−メチル)フタルイミドの融点、赤外線の
特性吸収値、NMRの特性吸収値は次のとおりである。
赤外線とNMRのスペクトルを図1および図2に示し
た。 融点:256〜258℃ IR(KBr/cm-1)1772、1701、1441、1388、1265、100
31 H-NMR(CDCL3) δ7.99-7.56(m,6H), 3.
10(s,6H)
【0015】(3)ビフェニル−2,2’,3,3’−テト
ラカルボン酸の合成 3,3’−ビス(N−メチル)フタルイミド(6.41
g)および水酸化ナトリウム(15g)をマグネチック
スターラー、還流冷却管を備えた200mlの一口フラ
スコに加えた。蒸留水(35ml)を添加し、懸濁状態
の反応液を攪拌しながら5時間、加熱還流した。この間
に、すべての固形分は溶解した。濃塩酸をpH7〜8にな
るまで熱いままの反応液中にピペットを用いて徐々に加
えた。無色の沈殿物(溶解したガラス製反応器に由来の
SiO2)を濾別して、濾液を沸騰するまで加熱し、過剰の
塩酸をpH<1になるまで加えた。加熱を止め、反応液を
一晩、室温まで放冷した。その結果生じた無色の沈殿を
吸引濾過し、氷冷した蒸留水で洗浄、そして室温で真空
乾燥し、ほぼ純品のビフェニル−2,2’,3,3’−
テトラカルボン酸の無色結晶、約6.6gを得た。得ら
れたビフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン
酸の赤外線スペクトルを図3に示す。
【0016】(4) 2,2’,3,3’-ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物の合成 前述の合成法により得た粗ビフェニル−2,2’,3,
3’−テトラカルボン酸(69.0g)を、マグネチックス
ターラー、ディーンスターク管、CaCl2乾燥管付き還流
冷却管を備えた3リットルの三口フラスコに加えた。キ
シレン(1400ml)とジメチルスルホキシド(DM
SO)(150ml)を加え、反応液を攪拌しながら4
時間、加熱還流した(オイルバス温度165℃)。この
間にフラスコ中の固形分は溶解し、ディーンスターク管
中に約11mlの水が留去した。熱いままの無色の反応
液を5リットルビーカーに移し、一晩室温に放置した。
析出した沈殿を吸引濾過で濾別し、キシレンで洗浄、続
いてヘキサンで洗浄し、室温で真空乾燥を行いビフェニ
ル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸二無水物を
得た(ガスクロマトグラフ分析により純度99.5%以
上を確認)。収量は48g(収率80%)であった。ビ
フェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸二無
水物の融点、赤外線の特性吸収値、NMRの特性吸収値
は次のとおりである。 融点272,2’73℃ IR(KBr/cm-1) 1847,1774,1263,122,
2’,9061 H NMR(DMSO−d5) δ8.30-8.03(m)
【0017】実施例2 (1)メチルアミンの代わりにi−ブチルアミン(2−
メチルプロピルアミン)を用いた他は実施例1(1)に
準じて3−クロロ−N−i−ブチルフタルイミドを合成
した。融点は57〜60℃であった。 (2)3−クロロ−N−メチルフタルイミドの代わりに
3−クロロ−N−i−ブチルフタルイミドを用いた他は
実施例1(2,2’)に準じて3,3’−ビス(N−i
−ブチル)フタルイミド(新規物質)を合成した。融点
は193〜193.5℃であった。赤外線とNMRのデ
ータを図4および図5に示した。マススペクトル測定に
よる分子量はこの化合物に一致した。 (3)3,3’−ビス(N−メチル)フタルイミドの代
わりに3,3’−ビス(N−i−ブチル)フタルイミド
を用いた他は実施例1(3)に準じてビフェニル−2,
2’,3,3’−テトラカルボン酸を合成した。生成物
は実施例1(3)と同じ化合物であった。
【0018】
【発明の効果】本発明の3,3’−N−置換フタルイミ
ドは、保護基であるアルキル基を容易に取り除くことが
でき、耐熱性と溶剤可溶性の特徴をもつポリイミドの原
料として有用な3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸
およびこの二無水物を製造するための中間体として有用
である。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1(2)で得られた化合物のNMRスペ
クトルを示す。
【図2】実施例1(2)で得られた化合物の赤外吸収ス
ペクトルを示す。
【図3】実施例1(3)で得られた化合物の赤外吸収ス
ペクトルを示す。
【図4】実施例2(2)で得られた化合物のNMRスペ
クトルを示す。
【図5】実施例2(2)で得られた化合物の赤外吸収ス
ペクトルを示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で表される3,3’−ビ
    ス(N−置換)フタルイミド。 一般式(1) [式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはアリール
    基を示す。]
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)で表される化合物を、
    遷移金属触媒存在下、カップリング化することを特徴と
    する3,3’−ビス(N−置換)フタルイミドの製造方
    法。 一般式(2) [式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはアリール
    基を示し、Xはフッ素原子以外のハロゲン原子を示
    す。]
  3. 【請求項3】 3,3’−ビス(N−置換)フタルイミ
    ドを加水分解処理することを特徴とするビフェニル−
    2,2’,3,3’−テトラカルボン酸の製造方法。
JP08820898A 1998-03-17 1998-03-17 ビス(n−置換)フタルイミドとその製造方法およびビフェニルテトラカルボン酸の製造方法 Expired - Fee Related JP4168473B2 (ja)

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