JPH11263941A - 無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗料およびそれを用いた無機硬化性組成物硬化遅延シート - Google Patents

無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗料およびそれを用いた無機硬化性組成物硬化遅延シート

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JPH11263941A
JPH11263941A JP6671298A JP6671298A JPH11263941A JP H11263941 A JPH11263941 A JP H11263941A JP 6671298 A JP6671298 A JP 6671298A JP 6671298 A JP6671298 A JP 6671298A JP H11263941 A JPH11263941 A JP H11263941A
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acid
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JP6671298A
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Haruo Asai
治夫 浅井
Masaya Higashiura
真哉 東浦
Hideki Tanaka
秀樹 田中
Osamu Wakizaka
治 脇坂
Misuzu Ito
美鈴 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた無機硬化性組成物硬化遅延作用を発揮
できるコンクリート硬化遅延用水系塗料およびそれを用
いた無機硬化性組成物硬化遅延シートを提供する。 【解決手段】 無機硬化性組成物に対して硬化遅延作用
を有する樹脂と、水を主成分とする溶媒とを含んでな
り、当該水系樹脂が当該溶媒に分散および/または溶解
している水系塗料であって、塗布、乾燥後の塗膜が耐水
性を有することを特徴とする無機硬化性組成物硬化遅延
用水系塗料である。当該樹脂は、好ましくは酸価が1K
OHmg/g以上、数平均分子量が1,000〜10
0,000、ガラス転移温度が−20℃以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートを含
む無機硬化性組成物の表面の硬化速度を制御し遅延させ
るために用いられる無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗
料、それを用いた無機硬化性組成物硬化遅延シートに関
する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】従来よ
り、セメントペースト、モルタル組成物、コンクリート
組成物等の、無機硬化性組成物の硬化速度を改良する目
的で、無機系硬化遅延剤、有機系硬化遅延剤等のコンク
リート硬化遅延剤の添加、混合が検討されている(特開
平1−172250号公報)。これらの硬化遅延剤は、
無機硬化性組成物の輸送時の硬化防止や建造物の歪みを
緩和する目的で使用される。また、無機硬化性組成物の
表面にデザイン等の装飾をする工法として、予め硬化遅
延剤を付着させた枠型内にコンクリートを流し込み、所
定時間経過後、未硬化の表面を洗い出す方法が利用され
ている。例えば、特開昭63−216703号公報およ
び特開昭61−202803号公報には、紙に硬化遅延
剤を塗布または含浸させて使用する方法が記載されてい
る。特開平5−38711号公報および特開平5−50
411号公報には、硬化遅延剤を含む組成物を枠型内に
付着させる方法が記載されている。
【0003】これらの方法で用いられる硬化遅延剤は高
い水溶性を有しており、コンクリートを枠型内に流し込
んだ時に硬化遅延剤が流れ落ちる、あるいはコンクリー
ト中に溶解するといった現象が生じるために安定した硬
化遅延作用が得られないという問題があった。また、紙
をカッティングしたり、硬化遅延剤を直接枠内に付着さ
せるため、コンクリートに複雑で微細な模様を付けた
り、同じ模様を大量に付けたりすることが困難であっ
た。
【0004】また、特開平3−224953号公報およ
び特開平3−175003号公報には、アルカリ膨潤化
剤と吸水ポリマーを使用する方法が記載されている。し
かし、これらの方法では、有機溶媒を使用するため、発
砲スチロールやプラスチック性の枠型には塗布できない
という問題がある上に、粘度の高い液状の樹脂に吸水ポ
リマーを添加して用いるために、やはりコンクリートに
複雑で微細な模様を付けたり、同じ模様を大量に付けた
りすることが困難であった。
【0005】これらの問題を解決する方法として、特開
平9−183643号公報に、水に対して殆ど溶解しな
い油状または固体(例えば、粉粒体)の飽和ポリエステ
ルまたは不飽和ポリエステルを用いて、本来セメントに
対する硬化遅延能を有していないポリエステルをモルタ
ルやコンクリートの強いアルカリ性によりエステルが加
水分解されることを利用したコンクリート硬化遅延剤お
よびコンクリート硬化遅延シートを得る方法が開示され
ている。
【0006】しかし、上記の方法ではコンクリート硬化
遅延能は、モルタルおよびコンクリートのアルカリ濃度
に依存しており、速度制御が困難である。また、洗い出
される未硬化のコンクリートやモルタルの量も不均一に
なるという問題がある。
【0007】また、コンクリート硬化遅延剤を用いたシ
ートを得るために、上記の方法では、コンクリート硬化
遅延剤が油状あれば加熱溶融させるか有機溶剤に溶解し
て基材に保持すること、および、コンクリート硬化遅延
剤が粉粒状である場合は粘着剤または接着剤と併用する
ことが開示されている。
【0008】しかし、油状のポリエステルを直接基材に
塗布するのは、基材に対する接着性、密着性が不安定で
あるだけでなく、液粘度の調整が困難であり、繊細なデ
ザインを得るためのコンクリート硬化遅延剤としては不
適である。また、ポリエステルを用いて加熱溶融をした
場合、ポリエステルが熱分解をおこして劣化し、コンク
リート硬化遅延能に影響を及ぼし安定なコンクリート硬
化遅延効果が得られないという問題がある。
【0009】また、有機溶剤を用いて塗布する場合、塗
布される基材に耐溶剤溶解性が必要となり、硬化遅延効
果を有する塗料が塗布される基材の種類が限定されてし
まう。加えて、作業環境の整備、引火等の防災上の整備
だけでなく、コンクリート硬化遅延シートに有機溶剤が
残留した場合のコンクリートを施工する際にも、有機溶
剤による引火、中毒等問題がある。
【0010】粉粒状のコンクリート硬化遅延剤を用いる
場合、粉粒状にするためにポリエステルを粉砕するため
の工程が必要となること、粉砕された粒子のサイズの制
御が必要となること等、工程およびそれに伴うコスト増
加の問題があり、工業的には不向きである。また、粉粒
状のコンクリート硬化遅延剤を粘着剤または接着剤と併
用する場合は、安定したコンクリート硬化遅延能を発揮
するために、粉粒状ポリエステルをシート表面に遍在さ
せる必要があり、使用する粘着剤、接着剤との分散性、
基材上に塗膜を形成する際の乾燥条件等、調整する点が
多く、工業的には困難であるという問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
を達成するため鋭意、研究、検討した結果、遂に本発明
を完成するに到った。即ち、本発明は、 (1) 無機硬化性組成物に対して硬化遅延作用を有する樹
脂と、水を主成分とする溶媒とを含んでなり、当該樹脂
が当該溶媒に分散および/または溶解している水系塗料
であって、塗布、乾燥後の塗膜が耐水性を有することを
特徴とする無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗料。 (2) 水系塗料中の不揮発成分の酸価が、1KOHmg/
g以上である上記(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅
延用水系塗料。 (3) 樹脂の酸価が、1KOHmg/g以上である上記
(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗料。 (4) 樹脂の数平均分子量が、1,000〜100,00
0である上記(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用
水系塗料。 (5) 樹脂のガラス転移温度が、−20℃以上である上記
(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗料。 (6) 樹脂が、ポリエステル樹脂骨格を含む樹脂である上
記(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗料。 (7) 樹脂が、アクリル樹脂骨格を含む樹脂である上記
(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用水系塗料。 (8) 樹脂が、ポリエステル樹脂骨格およびアクリル樹脂
骨格を含む樹脂である上記(1) に記載の無機硬化性組成
物硬化遅延用水系塗料。 (9) 基材上に、上記(1) 〜(8) のいずれかに記載の水系
塗料を塗布してなる無機硬化性組成物硬化遅延シート。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明する。
本発明において無機硬化性組成物の硬化遅延作用とは、
水との混和により硬化性を示す無機物質である「セメン
ト」を含む硬化性組成物である「セメントペースト」、
「モルタル組成物」、「コンクリート組成物」等、いわ
ゆる「無機硬化性組成物」の硬化を遅延させる作用を意
味するものである。当該硬化遅延作用は、無機硬化性組
成物の硬化時におけるカルシウム化合物の水和反応を阻
害することにより発揮される。詳しくはカルシウムイオ
ンおよび当該組成物中の水分を、本発明の水系塗料中に
含有される樹脂が取り込むことによって、結果的にカル
シウム化合物の水和反応が阻害される。この阻害は、硬
化の初期から後期にわたって発揮される。
【0013】本発明の水系塗料は、無機硬化性組成物に
対して硬化遅延作用を有する樹脂と、水を主成分とする
溶媒とを含んでなる。無機硬化性組成物に対して硬化遅
延作用を有する樹脂とは、無機硬化性組成物中のカルシ
ウムイオンおよび水分を取り込むことができる樹脂であ
る。また、当該樹脂は、水を主成分とする溶媒に分散お
よび/または溶解する。
【0014】カルシウムイオンおよび水分を取り込むこ
とができる樹脂として、例えば、カルボキシル基および
/ またはその塩基を有する樹脂であるか、あるいは無機
硬化性組成物に接触した場合にそのアルカリ性によって
加水分解されてカルボシキル基および/またはその塩基
を生成し得る結合(例えばエステル結合)あるいは基
(例えばエステル基)を有する樹脂である。
【0015】このような特性を有する樹脂として、ポリ
エステル樹脂骨格を含む樹脂(以下、ポリエステル系樹
脂ともいう)がある。当該樹脂で使用できるジカルボン
酸成分としては、芳香族ジカルボン酸および/または脂
環族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸が
挙げられる。
【0016】上記樹脂に使用できる芳香族ジカルボン酸
の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボ
ン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイ
ソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレ
ン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキ
シ)イソフタル酸、スルホテレフタル酸、およびそれら
の金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。樹脂が
水を主成分とする溶媒に分散および/または溶解するた
めには、少なくとも上述のスルホン酸塩基を有するジカ
ルボン酸を使用することが好ましい。
【0017】脂環族ジカルボン酸の例としては、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
およびそれらの酸無水物等が挙げられる。
【0018】脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
【0019】本発明においては、重合性不飽和結合を上
述のポリエステル系樹脂中に導入することもできる。重
合性不飽和結合を含有するジカルボン酸の例としては、
α,β−不飽和ジカルボン酸類として、フマル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等
が挙げられる。不飽和二重結合を含有する脂環族ジカル
ボン酸の例としては、2,5−ノルボルネンジカルボン
酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
これらの重合性不飽和結合を導入することにより、後述
するようなアクリル樹脂骨格を含む樹脂とのグラフトコ
ポリマーやブロックコポリマーとすることができる。
【0020】さらに、p−ヒドロキシ安息香酸、p−
(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、プロピオン酸ジ
メチロール、ヒドロキシピバリン酸、γ−ブチロラクト
ン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸類も
必要により使用できる。
【0021】上述のポリエステル系樹脂に使用できるグ
リコール成分としては、脂肪族グリコール、脂環族グリ
コール、芳香族含有グリコール、エーテル結合含有グリ
コール等が使用できる。脂肪族グリコールの例として
は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチ
ル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン
酸、ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘ
プタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジ
オール等が挙げられる。
【0022】脂環族グリコ−ルの例としては、1,4−
シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカ
ンジメチロール、スピログリコール、水素化ビスフェノ
ールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加物およびプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ
る。
【0023】エーテル結合含有グリコールの例として
は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加
物、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加
物等が挙げられる。
【0024】芳香族含有グリコールの例としてはパラキ
シレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキ
シレングリコール、1,4−フェニレングリコール、
1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付
加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレン
オキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等
のビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチ
レンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ
1〜数モル付加して得られるグリコール類等が挙げられ
る。
【0025】また、0〜5モル%程度の3官能以上のポ
リカルボン酸および/またはポリオールを共重合成分し
ても構わない。使用できる3官能以上のポリカルボン酸
の例としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロ
メリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン
酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒド
ロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロ
トリメリテート)等が挙げられる。使用できる3官能以
上のポリオールの例としては、グリセリン、トリメチロ
ールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール等が挙げられる。3官能以上のポリカルボン酸お
よび/またはポリオールを使用する場合は、全酸成分あ
るいは全グリコ−ル成分に対し0〜5モル%、好ましく
は0〜3モル%の範囲で共重合するのが良く、5モル%
を超えると、本発明の水系塗料から得られる塗膜の破断
伸度等の力学物性の低下が生じることがある。
【0026】上記のジカルボン酸成分および/またはグ
リコール成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上併
用して使用される。また、得られる樹脂が水を主成分と
する溶媒に分散および/または溶解できるように、ジカ
ルボン酸成分およびグリコール成分は選択される。
【0027】上述のポリエステル系樹脂は必要に応じて
ポリウレタン樹脂で変性することが可能であり、これ
は、上述のポリエステル系樹脂を有機ジイソシアネート
と鎖延長剤とを反応させることにより得ることができ
る。
【0028】使用される有機ジイソシアネートとして、
ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイ
ソシアネート、3,3−ジメトキシ−4,4’−ビフェ
ニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネ
ート、m−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイ
ソシアネート−メチルシクロヘキサン、1,4−ジイソ
シアネートメチルシクロヘキサン、4,4−ジイソシア
ネートジシクロヘキサン、4,4−ジイソシアネートシ
クロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレン
ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジ
イソシアネート、2,4−ナフタレンジイソシアネー
ト、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイ
ソシアネート、4,4’−ジイソシアネートビフェニル
エーテル、1,5’−ナフタレンジイソシアネートなど
が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、テトレメチレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネートおよびジフェニルメ
タンジイソシアネートである。
【0029】鎖延長剤としては、たとえば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、
ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、トリシクロデカンジメチロール、ビスフェノールA
エチレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールなどが挙げられる。なかでもより好ましいも
のは、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、
ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールおよび
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物である。
【0030】上記ポリウレタン変性ポリエステル系樹脂
は公知の方法、たとえば、溶剤中で20〜150℃の反
応温度で触媒の存在下、あるいは無触媒下で製造され
る。この際使用する溶剤としては、たとえば、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類など
が挙げられるが、製造後には、水で置換する。また、反
応を促進するための触媒としては、アミン類、有機スズ
化合物などが使用される。
【0031】本発明においてはアクリル樹脂骨格を含む
樹脂(以下、アクリル系樹脂ともいう)も使用できる。
本発明においてアクリル系樹脂とはラジカル重合性単量
体を重合して得られる樹脂を意味する。当該樹脂は、カ
ルボキシル基および/またはその塩基、あるいはそれら
を生成し得る結合および/または基を有する場合、無機
硬化性組成物の硬化遅延作用を発揮できる。本発明で使
用できるラジカル重合性単量体としては、アクリル酸、
メタクリル酸およびそれらのエステル類、例えば、アク
リル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸エチ
ルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ヒド
ロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシイソプロピル、ア
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシ
エチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリ
ル酸シクロヘキシル;フェノキシエチルアクリレート、
フェノキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等の2−ヒドロキシエチル
アクリレート(HEA)または2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート(HEMA)と芳香族化合物との反応物;
2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート
等のフタル酸誘導体とHEAまたはHEMAのエステ
ル;アクリル酸またはメタクリル酸とフェニルグリシジ
ルエーテルとの反応物、すなわち、2−ヒドロキシ−3
−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。
【0032】さらに本発明では、窒素原子を含有するラ
ジカル重合性単量体として、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
等を用いてもよく、また、フマル酸、フマル酸モノエチ
ル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のフマル酸
モノエステルおよびフマル酸ジエステル、マレイン酸お
よびその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジ
エチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸モノエステ
ルおよびマレイン酸ジエステル、イタコン酸およびその
無水物、イタコン酸モノエステルおよびイタコン酸ジエ
ステル、フェニルマレイミド等のマレイミドを用いるこ
ともできる。また、ビニル系ラジカル重合性単量体とし
て、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体、N−ビ
ニルピロリドン等、酢酸ビニル等のビニルエステル、ビ
ニルブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビ
ニルエーテル、アリルアルコール、グリセリンモノアリ
ルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテ
ル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル等のア
リル系ラジカル重合性単量体等を使用することもでき
る。
【0033】上記ラジカル重合性単量体は、単独で、あ
るいは2種以上併用して使用できる。また、得られる樹
脂が水を主成分とする溶媒に分散および/または溶解で
きるようにラジカル重合性単量体は選択される。
【0034】本発明において、無機硬化性組成物に対し
て硬化遅延作用を有する樹脂としては、好ましくは、上
記ポリエステル系樹脂からなるか、上記アクリル系樹脂
樹脂からなるか、あるいはこれらの両方の樹脂の混合物
からなるか、さらには上記ポリエステル系樹脂と上記ア
クリル系樹脂樹脂とが反応により結合した樹脂(グラフ
トコポリマー、ブロックコポリマー等)からなるか、い
ずれの態様でもよい。
【0035】また、本発明の水系塗料は、塗布、乾燥後
の塗膜が耐水性を有するものである。本発明において、
「塗膜が耐水性を有する」かどうかは以下の方法により
判別される。塗料を厚み180μmの合成紙(東洋紡績
製、クリスパー)にワイヤーバーを用いて200μmの
乾燥塗膜が得られるように塗布し、これを加熱真空乾燥
機(条件100℃、5mmHg)で24時間乾燥させて
シートを作成した。このシートを10cm×10cmに
カットし、シリカゲルを入れた減圧デシケーター内(5
mmHg)で25℃で24時間保管後、重量(a)を測
定した。次いでこのシートを水に浸漬し(25℃、24
時間)、表面の水を乾いた布で軽く拭き取った後、シリ
カゲルを入れた減圧デシケーター内(5mmHg)で2
5℃で24時間保管後、重量(b)を測定した。また、
これとは別に上記と同じ合成紙を10cm×10cmに
カットし、シリカゲルを入れた減圧デシケーター内(5
mmHg)で25℃で24時間保管後、重量(c)を測
定した。耐水性の値(重量減少)は下記式により算出
し、30重量%以下であり、かつ塗膜の合成紙からの剥
がれが認められないものを耐水性を有すると判断した。
重量減少=(a−b)/(a−c)×100上記の耐水
性の値は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは
10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下である。
【0036】本発明の水系塗料においては、樹脂を水を
主成分とする溶媒に分散および/また溶解させるために
は、樹脂骨格中にイオン性基、水酸基、アミノ基、ポリ
オキシエチレン残基等の親水性基を導入するか、塗料中
に乳化剤を添加する等の手法により、樹脂と水との相互
作用を強めていくが、これらの親水性基や乳化剤の量が
多くなってこの相互作用が強すぎると、水系塗料の塗
布、乾燥後の塗膜の耐水性が確保できない。このため、
樹脂骨格中に導入される親水性基の種類および量や、塗
料中に添加される乳化剤の量を適宜選択して、樹脂の親
水性と塗膜の耐水性を両立させることが必要である。ま
た、必要により後述するような熱硬化や架橋を行って塗
膜の耐水性を向上させてもよい。
【0037】本発明の水系塗料の不揮発成分の酸価は、
好ましくは1KOHmg/g以上、より好ましくは5K
OHmg/g以上、特に好ましくは10KOHmg/g
以上である。不揮発成分の酸価が1KOHmg/g未満
では、本発明の水系塗料から充分な硬化遅延作用が得ら
れないおそれがある。また、当該酸価は好ましくは50
0KOHmg/g以下、より好ましくは450KOHm
g/g以下、特に好ましくは400KOHmg/g以下
である。当該酸価が500KOHmg/gを超える場
合、本発明の水系塗料から得られる乾燥後の塗膜が、コ
ンクリート等の無機硬化性組成物を流し込んだ時に無機
硬化性組成物中の水に再分散または再溶解して耐水性が
劣り、安定した硬化遅延作用を発揮できないおそれがあ
る。また、枠型内に予め付着させた塗膜が、無機硬化性
組成物を流し込む前に雨水等にさらされると、この塗膜
が流れ落ちるおそれもある。
【0038】ここで、不揮発成分とは、硬化遅延作用を
有する樹脂や、後述する従来公知の低分子量の硬化遅延
物質を含めた、水を主成分とする溶媒以外の成分をい
う。本発明の水系塗料は、不揮発成分の酸価をコントロ
ールすることにより、無機硬化性組成物の硬化遅延速度
および塗布、乾燥後の塗膜の耐水性をコントロールでき
る。
【0039】本発明で使用される硬化遅延作用を有する
樹脂の酸価は、好ましくは1KOHmg/g以上、より
好ましくは5KOHmg/g以上、特に好ましくは10
KOHmg/g以上である。酸価が大きい程、無機硬化
性組成物のアルカリ濃度に依存することなく(樹脂の加
水分解の必要なく)硬化遅延作用を発揮できるが、水溶
性が高くなりすぎて、塗布、乾燥後の塗膜がコンクリー
ト等の無機硬化性組成物を流し込んだ時に無機硬化性組
成物中の水に再分散または再溶解しないように、また無
機硬化性組成物を流し込む前に雨水等にさらされた場合
に流れ落ちないように、つまり耐水性が低下しないよう
に、当該酸価は好ましくは500KOHmg/g以下、
より好ましくは450KOHmg/g以下、特に好まし
くは400KOHmg/g以下である。
【0040】水系塗料の不揮発成分の酸価は、塗料をア
ルミホイル上に乾燥後の塗膜が100μm程度となるよ
うにバーコーダーで塗工後、これを加熱真空乾燥機(1
00℃、5mmHg)で24時間乾燥させ、乾燥後の固
形物1gを30ccのクロロホルムまたはDMFに溶解
し、フェノールフタレインを指示薬としてKOHで滴定
してサンプル1000000g当たりのカルボキシル基
の当量を求め、得られた数値をKOH量に換算すること
により測定される。
【0041】硬化遅延作用を有する樹脂の酸価は、1g
(固形分)の樹脂を30ccのクロロホルムまたはDM
Fに溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてKO
Hで滴定してサンプル1000000g当たりのカルボ
キシル基の当量を求め、得られた数値をKOH量に換算
することにより測定される。
【0042】本発明において、硬化遅延作用を有する樹
脂の数平均分子量は、好ましくは1,000〜100,
000、より好ましくは3,000〜80,000、特
に好ましくは5,000〜70,000である。数平均
分子量が1,000未満では、本発明の水系塗料から得
られた塗膜がもろくなる場合があり、被着体への接着
性、密着性が劣り、コーティング材としての機能を発揮
できないおそれがある。また、数平均分子量が100,
000を超えると、本発明の水系塗料の粘度が上がりす
ぎて塗布性が低下してしまうおそれがある。
【0043】樹脂の数平均分子量は、ポリスチレンを標
準とした検量線を用い、溶媒はTHFを用いてGPCを
用いて測定される。
【0044】本発明において、硬化遅延作用を有する樹
脂のガラス転移温度は、好ましくは−20℃以上、より
好ましくは−15℃以上、特に好ましくは−10℃以上
である。ガラス転移温度が−20℃未満では、本発明の
水系塗料から得られた塗膜がブロッキングを起こすおそ
れがあるだけでなく、塗料としての保存安定性も水の凍
結に伴って低下してしまうおそれがある。
【0045】樹脂のガラス転移温度(Tg)は、樹脂
(固形分)5mgをアルミニウム押さえフタ型容器に入
れて密封し、サンプリングして用い、示差走査熱量計
(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定され
る。
【0046】上述の不揮発成分の酸価、樹脂の酸価、数
平均分子量およびガラス転移温度は、従来の公知の方法
により適宜設定できる。
【0047】本発明の水系塗料においては、上記の硬化
遅延作用を有する樹脂は、水を主成分とする溶媒に分散
および/または溶解している。当該溶媒においては、水
は、好ましくは50重量%、より好ましくは60重量
%、特に好ましくは70重量%含有される。水の含有量
が50重量%未満の場合、本発明の水系塗料が塗布され
る基材に耐溶剤溶解性が要求されて基材の種類が制限さ
れ、また有機溶剤の使用量が多くなるので作業者の安全
性の問題もあるので好ましくない。水以外の溶媒として
は、硬化遅延作用を有する樹脂が分散および/または溶
解し得る限り特に限定されないが、例えば、テトラヒド
ロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミ
ド、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等の水と
親和性のある有機溶剤が挙げられる。
【0048】硬化遅延作用を有する樹脂は、樹脂を合成
・重合・混合・分散・溶解等の過程で水を主成分とする
溶媒に分散および/または溶解されるか、あるいは合成
・重合・混合・分散・溶解等の過程が完了した後に水を
主成分とする溶媒に分散および/または溶解しても構わ
ない。
【0049】本発明の水系塗料においては、上記の硬化
遅延作用を有する樹脂の水を主成分とする溶媒に対する
含有量は、当該溶媒に分散および/または溶解され、か
つ塗布工程の妨げにならない限り、特に限定されない。
【0050】本発明の水系塗料には、その硬化遅延作用
を妨げるものでなければ、さらに、ポリビニル系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテル系樹
脂等の樹脂を配合してもよい。これらの樹脂は上記の硬
化遅延作用を有する樹脂と反応させて配合してもよい。
【0051】また、本発明の水系塗料には、溶液粘度を
調整する目的で粘度調整剤を添加してもよい。粘度調整
剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸
カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、タルク、層
状ケイ酸塩、シリカ、カーボンブラック等の無機系化合
物や、天然のスメクタイトを有機処理した有機粘土系化
合物、脂肪酸誘導体、有機アミド系化合物、尿素系化合
物、ポリオレフィンワックス、変性ポリエーテル系化合
物、変性ポリアクリル酸金属塩系化合物、ヒドロキシエ
チルセルロース系化合物等の有機系化合物等が挙げられ
る。これらは、単独で使用しても、混合して使用しても
よい。
【0052】本発明の水系塗料の粘度は、塗布方法によ
り異なるが、例えばグラビア印刷やスクリーン印刷を採
用する場合、1〜100000cps、より好ましくは
10〜70000cps、特に好ましくは100〜50
000cpsである。
【0053】本発明の水系塗料はまた、従来から知られ
ている低分子量の無機硬化性組成物に対する硬化遅延物
質を含有していても構わない。当該硬化遅延物質として
は、有機系化合物としては、例えば、クエン酸、リンゴ
酸、ガラクトン酸、酒石酸、マレイン酸、グリコール酸
等のオキシカルボン酸およびジカルボン酸;ピルビン酸
等のケトカルボン酸;カプロン酸、吉草酸、酢酸等の脂
肪酸;ソルビトール、グリセロール、ベルセイトール等
の糖アルコール;グルコース、マンノース、ガラクトー
ス、サッカロース等の糖類等が例示される。無機系化合
物としては、例えば、珪フッ化マグネシウム、トリポリ
リン酸ナトリウム等が例示される。
【0054】本発明の水系塗料は、水を主成分とする溶
媒に硬化遅延作用を有する樹脂が分散および/または溶
解しているので、基材の耐溶剤溶解性が要求されず、従
って基材の種類が限定されることはない。また有機溶媒
の使用量が従来の油状の樹脂の場合と比較して極めて少
なくなるため作業者の安全が確保される。勿論、従来の
油状または固体状樹脂における溶融や粉砕の際に生じる
問題もない。また、塗布、乾燥後の塗膜が耐水性を有す
るので、コンクリート等の無機硬化性組成物を流し込ん
だ時に、塗膜が無機硬化性組成物中の水に再分散または
再溶解せず、従って、安定した硬化遅延作用を発揮でき
る。また、枠型内に予め付着させた塗膜が、無機硬化性
組成物を流し込む前に雨水等にさらされても、この塗膜
が流れ落ちることはない。
【0055】本発明の水系塗料はそのままで塗膜を形成
して無機硬化性組成物と接触させて使用してもよいが、
通常は基材上に塗布して無機硬化性組成物硬化遅延シー
トとし、このシートを無機硬化性組成物と接触させて硬
化遅延作用を発揮する。本発明で使用される基材として
は、特に限定されないが、プラスチックシート、プラス
チックフィルム、合成紙、張り合わせ紙、不織布、フェ
ルト、紙、スチロール、木板、金属板、プラスチック
板、織物等が挙げられる。また、その基材には、基材の
表面状態を改質する目的でいわゆるコーティング等の表
面処理が施してあっても構わない。
【0056】塗布方法としては、特に限定されないが、
一般的に、刷毛塗り、スプレー塗装、フローコート、デ
ィップコート、静電塗装、ローラーコート、スクリーン
印刷等の方法が採用される。特に本発明の水系塗料は大
きな粒子を含有しておらず、適正な粘度を有している等
の理由から、グラビア印刷やスクリーン印刷の手法で基
材上に複雑なパターンを印刷することができ、また、複
雑で微細な模様の硬化遅延シートを製造でき、また同じ
模様の硬化遅延シートを大量に製造でき、このシートを
そのまま枠型内に張り付けて使用できる。また、本発明
の硬化遅延シートは、通常は塗膜が乾燥した状態で用い
られるが、塗膜が基材に積層された状態が保持できれば
乾燥された状態でなくとも構わない。
【0057】耐久性を向上させる目的で、塗膜を熱硬化
または架橋させてもよい。熱硬化させる場合の硬化剤と
しては、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート
樹脂などが挙げられる。また、架橋はイオン架橋、放射
線架橋などが行われる。
【0058】塗膜の厚みは、乾燥した状態で、好ましく
は1〜10000μm、より好ましくは5〜3000μ
m、特に好ましくは10〜1000μmである。
【0059】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明する。各測定項目は以下の方法に従い、評価結果を表
1、表2に示した。
【0060】(1)樹脂の酸価 1g(固形分)の樹脂を30ccのクロロホルムまたは
DMFに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として
KOHで滴定してサンプル1000000g当たりのカ
ルボキシル基の当量を求め、得られた数値をKOH量に
換算した。
【0061】(2)数平均分子量 GPCを用いて数平均分子量を測定した。数平均分子量
の検量線はポリスチレンを標準として用い、溶媒はTH
Fを用いた。
【0062】(3)ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速
度で測定した。樹脂(固形分)は5mgをアルミニウム
押さえフタ型容器に入れて密封して用いた。
【0063】(4)コンクリート硬化遅延作用評価方法 シートの塗料塗布面に直接コンクリートを打設し、コン
クリートを養生、硬化させ、当該シートを硬化したコン
クリート面から剥離した後、硬化面を水を用いて洗い出
し風乾した後を次のような基準で評価した。なお、標準
サンプルを水に1晩浸漬し、風乾したものを耐水サンプ
ルとし、このサンプルも上記と同様の方法でコンクリー
ト硬化遅延作用評価を行った。評価は標準サンプルと耐
水サンプルのコンクリート打設試験品の直線性と洗い出
し性を目視および洗い出し深さで判断した。評価基準は
以下のとおりとした。 ○:洗い出しにより形成された模様形状が高精度に再現
され、洗い出しされた深さが良好なもの。 △:洗い出しにより形成された模様形状がある程度再現
され、洗い出しされた深さが○の状態に比べやや劣るも
の。または洗い出し深さにムラが認めらるもの。 ×:洗い出しにより形成された模様形状の再現性が悪
く、洗い出し深さも得られず品質上で問題となるもの。
【0064】(5)塗料の基材への塗布性 基材に発砲スチロール(厚さ30mm)を用いて、塗料
を塗布した直後の基材の表面状態を以下の基準で評価し
た。 ○:基材が溶けることなく、表面状態が維持されてい
る。 ×:基材が溶け、表面状態が乱れ、塗布面が不均一にな
っている。
【0065】(6)耐水性 塗料を厚み180μmの合成紙(東洋紡績(株)製、ク
リスパー)にワイヤーバーを用いて200μmの乾燥塗
膜が得られるように塗布し、これを加熱真空乾燥機(条
件100℃、5mmHg)で24時間乾燥させてシート
を作成した。このシートを10cm×10cmにカット
し、シリカゲルを入れた減圧デシケーター内(5mmH
g)で25℃で24時間保管後、重量(a)を測定し
た。次いでこのシートを水に浸漬し(25℃、24時
間)、表面の水を乾いた布で軽く拭き取った後、シリカ
ゲルを入れた減圧デシケーター内(5mmHg)で25
℃で24時間保管後、重量(b)を測定した。また、こ
れとは別に上記と同じ合成紙を10cm×10cmにカ
ットし、シリカゲルを入れた減圧デシケーター内(5m
mHg)で25℃で24時間保管後、重量(c)を測定
した。耐水性の値(重量減少)は下記式により算出し、
30重量%以下であり、かつ塗膜の合成紙からの剥がれ
が認められないものを耐水性を有すると判断した。 重量減少=(a−b)/(a−c)×100
【0066】ポリエステル樹脂Aの製造 撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレ
ート945g、5−ナトリウムスルホジメチルイソフタ
レート37g、エチレングリコール124g、プロピレ
ングリコール600gおよびテトラ−n−ブチルチタネ
ート0.52gを仕込み、160〜220℃まで4時間
かけてエステル交換反応を行った。次いで250℃まで
昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmgの
減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステル樹脂Aを
得た。得られたポリエステル樹脂Aは淡黄色透明であっ
た(ポリエステル樹脂Aの重合成分は、テレフタル酸成
分97.5モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
成分2.5モル%、エチレングリコール成分25モル
%、プロピレングリコール成分75モル%であっ
た。)。
【0067】水系塗料A−1の調製 撹拌機、温度計および環流冷却管を具備したガラス製フ
ラスコにポリエステル樹脂Aを30g、水60g、n−
ブチルセロソルブ10gを仕込み、85℃まで昇温しな
がら3時間撹拌し水系塗料A−1(粘度30000cp
s)を得た。
【0068】アクリル樹脂の製造Bおよび水系塗料B−
1の調製 撹拌機、温度計および環流冷却管を具備したガラス製フ
ラスコにメチルエチルケトン188gを仕込み75℃に
保温し、その中にメタクリル酸87.5gとアクリル酸
エチル38gとアゾビスジメチルバレロニトリル6gを
メチルエチルケトン100gに溶解した溶液を一定の速
度で滴下し、温度を75℃に保ちながら、さらに3時間
撹拌して、アクリル樹脂Bを得た。次に、水1500g
とトリエチルアミンを10gを反応溶液に加え1時間撹
拌し、溶液の温度を100℃に上げ、メチルエチルケト
ンを蒸留により反応系から溜去し水系塗料B−1(粘度
2000cps)を得た。
【0069】ポリエステル−アクリル樹脂の製造Cおよ
び水系塗料C−1の調製 撹拌機、温度計および環流冷却管を具備したガラス製フ
ラスコに、ジカルボン酸成分を、ジメチルテレフタレー
ト436g、ジメチルイソフタレート460g、5−ナ
トリウムスルホジメチルイソフタレート37g、フマル
酸29gとしたこと以外は上記ポリエステル樹脂Aの製
造例と同様の方法によりポリエステル樹脂を製造した
(このポリエステル樹脂の重合成分は、テレフタル酸成
分45モル%、イソフタル酸成分47.5モル%、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸成分2.5モル%、フマ
ル酸成分5モル%、エチレングリコール成分25モル
%、プロピレングリコール成分75モル%であっ
た。)。このポリエステル樹脂75gと、メチルエチル
ケトン56gとイソプロピルアルコール19gを仕込み
加熱撹拌し樹脂を溶解した。溶解した樹脂に、メタクリ
ル酸17.5gとアクリル酸エチル7.5gとアゾビス
ジメチルバレロニトリル1.2gを10gのメチルエチ
ルケトンに溶解した溶液を一定の速度で滴下し、さらに
3時間撹拌してポリエステル−アクリル樹脂Cを得た。
その後、水300gとトリエチルアミン25部を反応溶
液に加え、さらに1時間撹拌した。次に、溶液の温度を
100℃まで昇温し、メチルエチルケトン、イソプロピ
ルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により溜
去し、水系塗料C−1(粘度3000cps)を得た。
【0070】上記で得られた樹脂A〜Cの酸価、数平均
分子量およびTgを測定した。その結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】塗料D−1の調製 攪拌翼を備えた10リットルのオートクレーブに無水マ
レイン酸3450g(35.2モル)とエチレングリコ
ール2800g(45.2モル)を添加すると共に、重
合禁止剤としてのハイドロキノン100ppm、重合触
媒としてのテトラn−ブトキシチタン50ppmを添加
した。内容物を攪拌し、反応により生成する水分を除去
するために窒素ガスを流しながら、常圧下常温から15
0℃まで3時間かけて昇温した後、150℃から210
℃まで24時間かけて昇温した。その後冷却して得られ
たポリエステル樹脂Dにトルエン/メチルエチルケトン
を加え、25℃で塗料粘度が3000cpsとなるよう
に調整し、塗料D−1とした。
【0073】塗料E−1の調製 スチレンブタジエンゴムエマルジョン(含有量:40重
量%)1000gにアミノトリメチレンフォスフィン酸
1200g、クエン酸800g、微細シリカ粉末100
0gおよび酸化亜鉛400gを加えて混合した。得られ
たペースト状混合体に水を徐々に加え、塗料粘度が50
00cpsとなるように調整し、塗料E−1とした。
【0074】実施例1 水系塗料A−1を厚み180μmの合成紙(東洋紡績
(株)製:クリスパー)にワイヤーバーを用いて200
μmの乾燥塗膜が得られるように塗布した。上記シート
を120℃の雰囲気中で10分間乾燥させコンクリート
硬化遅延作用のあるシートを作製したものを標準条件用
サンプルとした。また、得られたコンクリート硬化遅延
作用のあるシートを水に浸積し、3時間以上室温で乾燥
処理をしたシートを耐水条件用サンプルとした。
【0075】実施例2〜3および比較例1〜2 塗料B−1、塗料C−1、塗料D−1、塗料E−1をそ
れぞれ用いて、実施例1と同様の方法によりコンクリー
ト硬化遅延作用のあるシートを設けた。
【0076】これら実施例1〜3および比較例1〜2で
得られたシートのコンクリート硬化遅延作用、基材への
塗布性およ耐水性の評価結果を表2に示した。
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
水系塗料は、優れた無機硬化性組成物硬化遅延作用を有
するものである。また、水を主成分とする溶媒に硬化遅
延作用を有する樹脂が分散および/または溶解している
ので、基材の耐溶剤溶解性が要求されないので基材の種
類が限定されず、また有機溶媒の使用量が少なくなるた
め作業者の安全が確保される。塗布、乾燥後の塗膜が耐
水性を有するので、コンクリート等の無機硬化性組成物
を流し込んだ時に、塗膜が無機硬化性組成物中の水に再
分散または再溶解せず、従って安定した硬化遅延作用を
発揮できる。また、枠型内に予め付着させた塗膜が、無
機硬化性組成物を流し込む前に雨水等にさらされても、
この塗膜が流れ落ちることはない。それ故、当該塗料を
基材に塗布したシートは、無機硬化性組成物硬化遅延シ
ートとして工業的に非常に有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 秀樹 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 脇坂 治 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 伊藤 美鈴 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機硬化性組成物に対して硬化遅延作用
    を有する樹脂と、水を主成分とする溶媒とを含んでな
    り、当該樹脂が当該溶媒に分散および/または溶解して
    いる水系塗料であって、塗布、乾燥後の塗膜が耐水性を
    有することを特徴とする無機硬化性組成物硬化遅延用水
    系塗料。
  2. 【請求項2】 水系塗料中の不揮発成分の酸価が、1K
    OHmg/g以上である請求項1に記載の無機硬化性組
    成物硬化遅延用水系塗料。
  3. 【請求項3】 樹脂の酸価が、1KOHmg/g以上で
    ある請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用水系
    塗料。
  4. 【請求項4】 樹脂の数平均分子量が、1,000〜1
    00,000である請求項1に記載の無機硬化性組成物
    硬化遅延用水系塗料。
  5. 【請求項5】 樹脂のガラス転移温度が、−20℃以上
    である請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用水
    系塗料。
  6. 【請求項6】 樹脂が、ポリエステル樹脂骨格を含む樹
    脂である請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用
    水系塗料。
  7. 【請求項7】 樹脂が、アクリル樹脂骨格を含む樹脂で
    ある請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用水系
    塗料。
  8. 【請求項8】 樹脂が、ポリエステル樹脂骨格およびア
    クリル樹脂骨格を含む樹脂である請求項1に記載の無機
    硬化性組成物硬化遅延用水系塗料。
  9. 【請求項9】 基材上に、請求項1〜8のいずれかに記
    載の水系塗料を塗布してなる無機硬化性組成物硬化遅延
    シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019218219A (ja) * 2018-06-15 2019-12-26 株式会社イー・エム・ディ コンクリート表面洗い出し処理剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019218219A (ja) * 2018-06-15 2019-12-26 株式会社イー・エム・ディ コンクリート表面洗い出し処理剤

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