JP2000248202A - 無機硬化性組成物硬化遅延用塗料およびそれを用いた無機硬化性組成物硬化遅延シート - Google Patents

無機硬化性組成物硬化遅延用塗料およびそれを用いた無機硬化性組成物硬化遅延シート

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JP2000248202A
JP2000248202A JP11054122A JP5412299A JP2000248202A JP 2000248202 A JP2000248202 A JP 2000248202A JP 11054122 A JP11054122 A JP 11054122A JP 5412299 A JP5412299 A JP 5412299A JP 2000248202 A JP2000248202 A JP 2000248202A
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resin
curing
coating
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inorganic curable
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JP11054122A
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English (en)
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Haruo Asai
治夫 浅井
Katsuhiro Nakayamada
勝弘 中山田
Kayoko Takino
佳洋子 瀧野
Hideki Tanaka
秀樹 田中
Osamu Wakizaka
治 脇坂
Misuzu Ito
美鈴 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機硬化性組成物のアルカリ濃度に依存する
ことなく優れた硬化遅延作用を発揮でき、かつシート状
にする場合の製造が容易である無機硬化性組成物硬化遅
延用塗料およびそれを用いた無機硬化性組成物硬化遅延
シートを提供する。 【解決手段】 無機硬化性組成物に対して硬化遅延作用
を有する樹脂と溶媒を含んでなり、当該樹脂が、以下の
(a) 〜(c) の条件を満足する樹脂であり、かつ溶媒に分
散および/または溶解していることを特徴とする無機硬
化性組成物硬化遅延用塗料。 (a)耐アルカリ性を有する。 (b)ガラス転移温度が10℃以上。 (c)実質的に架橋構造を有しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートを含
む無機硬化性組成物の表面の硬化速度を制御して遅延さ
せるために用いられる無機硬化性組成物硬化遅延用塗
料、それを用いた無機硬化性組成物硬化遅延シートに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、セメントペースト、モルタル
組成物、コンクリート組成物等の無機硬化性組成物の硬
化速度を改良する目的で、無機系硬化遅延剤、有機系硬
化遅延剤等の硬化遅延剤の添加、混合が検討されている
(特開平1−172250号公報)。これらの硬化遅延
剤は、無機硬化組成物輸送時の硬化防止や建造物の歪み
を緩和する目的に使用される。また、無機硬化組成物の
表面にデザイン等の装飾をする工法として、硬化遅延剤
を用いて未硬化の無機硬化組成物表面を洗い出す方法に
利用されている。例えば、特開平9−183643号公
報には、水に対して殆ど溶解しない油状または固体(例
えば、粉粒体)の飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエ
ステルを用いて、本来セメントに対する硬化遅延能を有
していないこれらのポリエステルを、セメントを含むモ
ルタルやコンクリートの強いアルカリ性によりエステル
が加水分解されることを利用して、無機硬化性組成物硬
化遅延剤および無機硬化性組成物硬化遅延シートを得る
方法が開示されている。
【0003】しかし、上記の方法では無機硬化性組成物
の硬化遅延能は、モルタルやコンクリートのアルカリ濃
度に依存するため速度制御が困難である。また、洗い出
される未硬化のコンクリートやモルタルの量も不均一に
なる。
【0004】また、硬化遅延剤を用いたシートを得るた
めに、上記方法では、硬化遅延剤が油状であれば加熱溶
融させるか有機溶剤に溶解して基材に保持することや、
硬化遅延剤が粉粒状である場合は粘着剤または接着剤と
併用することが開示されている。
【0005】しかし、油状のポリエステルを直接基材に
塗布するのは、基材に対する接着性、密着性が不安定で
あるだけでなく、液粘度の調整が困難であり、繊細なデ
ザインを得る為の硬化遅延剤としては不適である。ま
た、ポリエステルを用いて加熱溶融をした場合、ポリエ
ステルが熱分解をおこし劣化し、硬化遅延能に影響を及
ぼし安定なコンクリート硬化遅延効果が得られない。
【0006】また、粉粒状の硬化遅延剤を用いる場合、
粉粒状にするためにポリエステルを粉砕するための工程
が必要となり、粉砕された粒子のサイズの制御等、工程
の増加およびそれに伴うコスト増加となり工業的には不
向きである。また、粉粒状の硬化遅延剤を粘着剤または
接着剤と併用する場合は、安定した硬化遅延能を発揮す
るために、粉粒状ポリエステルを表面に遍在させる必要
があり、使用する粘着剤、接着剤との分散性、基材上に
塗膜を得る乾燥条件等、調整する点が多く、工業的には
困難な点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決しようとするものであり、その目的は、無機硬
化性組成物のアルカリ濃度に依存することなく優れた硬
化遅延作用を発揮でき、かつシート状にする場合の製造
が容易である無機硬化性組成物硬化遅延用塗料およびそ
れを用いた無機硬化性組成物硬化遅延シートを提供する
ことである。本発明の他の目的は、セメントやモルタル
上に繊細なデザインを付与するための好適な硬化遅延用
塗料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を達成するため鋭意、研究、検討した結果、遂に本発明
を完成するに到った。すなわち本発明は以下の通りであ
る。 (1)無機硬化性組成物に対して硬化遅延作用を有する樹
脂と溶媒を含んでなり、当該樹脂が、以下の(a) 〜(c)
の条件を満足する樹脂であり、かつ溶媒に分散および/
または溶解していることを特徴とする無機硬化性組成物
硬化遅延用塗料。 (a)耐アルカリ性を有する。 (b)ガラス転移温度が10℃以上。 (c)実質的に架橋構造を有しない。 (2)溶媒が水を主成分とする溶媒である上記(1) に記載
の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。 (3)溶媒が有機溶媒を主成分とする溶媒である上記(1)
に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。 (4)樹脂が、カルボキシル基および/またはその塩を有
する上記(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗
料。 (5)カルボキシル基の塩が、金属塩および有機塩からな
る群より選択される少なくとも1つである上記(4) に記
載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。 (6)樹脂の酸価が、1KOHmg/g以上である上記(1)
に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。 (7)樹脂の数平均分子量が、1,000〜100,00
0である上記(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用
塗料。 (8)樹脂が、ポリエステル樹脂骨格を含む樹脂である上
記(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。 (9)樹脂が、アクリル樹脂骨格を含む樹脂である上記(1)
に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。 (10)樹脂が、ポリエステル樹脂骨格とアクリル樹脂骨格
の両方を含む樹脂である上記(1) に記載の無機硬化性組
成物硬化遅延用塗料。 (11)さらに、樹脂を架橋し得る硬化剤を含む上記(1) 〜
(10)のいずれかに記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗
料。 (12)硬化剤が、カルボキシル基、水酸基およびアミノ基
からなる群より選ばれる少なくとも1つの基と反応し得
る硬化剤である上記(11)に記載の無機硬化性組成物硬化
遅延用塗料。 (13)無機硬化性組成物が、セメントペースト、モルタル
組成物およびコンクリート組成物からなる群より選ばれ
る上記(1) に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。 (14)基材シート上に上記(1) 〜(13)のいずれかに記載の
塗料を塗布、乾燥してなることを特徴とする無機硬化性
組成物硬化遅延シート。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明する。
本発明において、無機硬化性組成物の硬化遅延作用と
は、水との混和により硬化性を示す無機物質である「セ
メント」を含む硬化性組成物である「セメントペース
ト」、「モルタル組成物」、「コンクリート組成物」等
の、いわゆる「無機硬化組成物」の硬化を遅延させる作
用を意味するものである。当該硬化遅延作用は、無機硬
化性組成物の硬化時におけるカルシウム化合物の水和反
応を阻害することにより発揮される。詳しくは、カルシ
ウムイオンおよび当該組成物中の水分を、本発明の塗料
中に含まれる樹脂が取り込むことによって、結果的にカ
ルシウム化合物の水和反応が阻害される。この阻害は硬
化の初期から後期にわたって発揮される。
【0010】本発明の塗料は、無機硬化性組成物に対し
て硬化遅延作用を有する樹脂と、溶媒とを含んでなる。
無機硬化性組成物に対して硬化遅延作用を有する樹脂と
は、無機硬化性組成物中のカルシウムイオンおよび水分
を取り込むことができる樹脂である。
【0011】カルシウムイオンおよび水分を取り込むこ
とができる樹脂として、例えば、カルボキシル基および
/ またはカルボキシル基の塩(−COOM:Mは金属ま
たは有機塩基)を有する樹脂が挙げられる。ここで金属
として、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属、有機塩基として、アン
モニア、トリエチルアミン、ヒドロキシルアミン等が挙
げられる。
【0012】このような樹脂としては、末端および/ま
たは側鎖にカルボキシル基および/またはその塩基を有
するポリエステル樹脂骨格を含む樹脂(以下、ポリエス
テル系樹脂ともいう)が例示される。当該樹脂で使用で
きるジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、
脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられ
る。
【0013】芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸、ス
ルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スル
ホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボ
ン酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、お
よびそれらの金属塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
樹脂が水を主成分とする溶媒に分散および/または溶解
させる場合には、少なくとも上述のスルホン酸塩基を有
するジカルボン酸を使用することが好ましい。
【0014】脂環族ジカルボン酸の例としては、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸、およびそれらの酸無水物等が挙げられる。
【0015】脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
【0016】本発明においては、重合性不飽和結合を上
述のポリエステル系樹脂中に導入することもできる。重
合性不飽和結合を有するジカルボン酸の例としては、
α,β−不飽和ジカルボン酸類として、フマル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等
が、脂環族ジカルボン酸類として、2,5−ノルボルネ
ンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等が
それぞれ挙げられる。このように重合性不飽和結合を導
入することにより、後述するようなアクリル樹脂骨格を
含む樹脂とのグラフトコポリマーやブロックコポリマー
とすることができる。
【0017】さらに、p−ヒドロキシ安息香酸、p−
(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、プロピオン酸ジ
メチロール、ヒドロキシピバリン酸、γ−ブチロラクト
ン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸類も
必要により使用できる。
【0018】上述のポリエステル系樹脂に使用できるグ
リコール成分としては、脂肪族グリコール、脂環族グリ
コール、エーテル結合含有グリコール、芳香族含有グリ
コール等が挙げられる。脂肪族グリコールの例として
は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチ
ル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプ
タン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ
ール等が挙げられる。
【0019】脂環族グリコールの例としては、1,4−
シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカ
ンジメチロール、スピログリコール、水素化ビスフェノ
ールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加物およびプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ
る。
【0020】エーテル結合含有グリコールの例として
は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加
物、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加
物等が挙げられる。
【0021】芳香族含有グリコールの例としては、パラ
キシレングリコール、メタキシレングリコール、オルト
キシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、
1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付
加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレン
オキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物等
のビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチ
レンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ
1〜数モル付加して得られるグリコール類等が挙げられ
る。
【0022】上記のジカルボン酸成分および/またはグ
リコール成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上併
用して使用される。本発明の塗料で使用する溶媒に分散
および/または溶解できるように、ジカルボン酸成分お
よびグリコール成分はそれぞれ選択される。
【0023】本発明においては、アクリル樹脂骨格を含
む樹脂(以下、アクリル系樹脂ともいう)も使用でき
る。本発明においてアクリル系樹脂とは、ラジカル重合
性単量体を重合して得られる樹脂を意味する。当該樹脂
は、カルボキシル基および/またはその塩基を有する場
合に無機硬化性組成物の硬化遅延作用を発揮できる。本
発明で使用できるラジカル重合性単量体としては、アク
リル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル類、例え
ば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アク
リル酸エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アク
リル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシイソプ
ロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸
ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル;ベンジルアクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸と
芳香族化合物との反応物;フェノキシエチルアクリレー
ト、フェノキシエチルメタクリレート等と2−ヒドロキ
シエチルアクリレート(HEA)または2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート(HEMA)と芳香族化合物との
反応物;2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフ
タレート等のフタル酸誘導体とHEAまたはHEMAと
の反応物;アクリル酸またはメタクリル酸とフェニルグ
リシジルエーテルとの反応物、すなわち、2−ヒドロキ
シ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。
【0024】さらに本発明では、窒素原子を有するラジ
カル重合性単量体を使用することもでき、例えば、アク
リルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等を用いてもよい。また、フマ
ル酸;フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル
酸ジブチル等のフマル酸モノエステルおよびフマル酸ジ
エステル;マレイン酸およびその無水物;マレイン酸モ
ノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等
のマレイン酸モノエステルおよびマレイン酸ジエステ
ル;イタコン酸およびその無水物;イタコン酸モノエス
テルおよびイタコン酸ジエステル;フェニルマレイミド
等のマレイミドを用いることもできる。また、ビニル系
ラジカル重合性単量体として、スチレン、α−メチルス
チレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等
のスチレン誘導体;N−ビニルピロリドン等;酢酸ビニ
ル等のビニルエステル;ビニルブチルエーテル、ビニル
イソブチルエーテル等のビニルエーテル;アリルアルコ
ール、グリセリンモノアリルエーテル、ペンタエリスリ
トールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモ
ノアリルエーテル等のアリル系ラジカル重合性単量体等
を使用することもできる。
【0025】上記ラジカル重合性単量体は、単独で、あ
るいは2種以上併用して使用できる。また、本発明の塗
料で使用する溶媒に分散および/または溶解できるよう
にラジカル重合性単量体は選択される。
【0026】本発明において、無機硬化性組成物に対し
て硬化遅延作用を有する樹脂としては、好ましくは、上
記ポリエステル系樹脂からなるか、上記アクリル系樹脂
からなるか、あるいはこれらの両方の樹脂の混合物から
なるか、さらには上記ポリエステル系樹脂と上記アクリ
ル系樹脂とが反応により結合した樹脂(グラフトコポリ
マー、ブロックコポリマー等)からなるか、いずれの態
様でもよい。
【0027】本発明で使用する硬化遅延作用を有する樹
脂は、耐アルカリ溶解性を有するものであり、無機硬化
性組成物に接触した場合にそのアルカリ性によって加水
分解されない。本発明においては、樹脂が加水分解され
ずに無機硬化性組成物中のカルシウムイオンおよび水分
を取り込む(即ち、樹脂が有するカルボキシル基および
/またはカルボキシル塩基によりカルシウムイオンおよ
び水分を取り込む)ことにより硬化遅延作用を発揮す
る。従って、本発明の塗料は無機硬化性組成物のアルカ
リ性に依存することなく、硬化遅延作用を発揮できる。
【0028】本発明において、耐アルカリ溶解性を有す
る樹脂とは、10cm2 の基材上に乾燥膜厚30μmと
なるように樹脂を塗布したシートを、0.123NのN
aOH溶液100mlに1時間室温(25℃)で撹拌し
ながら浸漬した後、水洗・乾燥した時の樹脂塗膜の重量
変化率が10%以下、好ましくは7.5%以下、より好
ましくは5%以下である特性を有する樹脂を意味する。
【0029】このような耐アルカリ溶解性を有する樹脂
は、数平均分子量が1000以上であり、かつ主鎖中の
芳香族化合物単位が40モル%以上とすることにより得
ることができる。
【0030】また、本発明で使用する硬化遅延作用を有
する樹脂は、実質的に架橋構造を持たない樹脂である。
実質的に架橋構造を持たないとは、樹脂が溶媒に対する
溶解性および/または分散性を保持していることを意味
するものであり、これにより、溶媒に分散および/また
は溶解できるので、当該塗料を基材上に均一に塗膜を形
成でき、また印刷等の方法により微細なパターンの形成
が可能となり大量生産できる。
【0031】本発明においては、10cm2 の基材上に
乾燥膜厚50μmとなるように樹脂を塗布したシート
を、テトラヒドロフラン100mlに入れて3分間室温
で撹拌後、乾燥した時(120℃で1分)の樹脂塗膜の
重量変化率が90%以上、好ましくは93%以上、より
好ましくは95%以上である樹脂を実質的に架橋構造を
持たない樹脂という。
【0032】このような実質的に架橋構造を持たない樹
脂は、当該樹脂の製造において架橋剤により架橋させな
いこと、3官能以上のモノマーの共重合量を少なくする
或いは共重合しないこと等の方法により得ることができ
る。
【0033】さらに、本発明で使用する硬化遅延作用を
有する樹脂は、ガラス転移温度が10℃以上、好ましく
は20℃以上、より好ましくは25℃以上、特に好まし
くは30℃以上である。ガラス転移温度が10℃未満の
場合、当該樹脂が高粘稠であるため、このような樹脂を
含有する塗料を用いてシートとした場合に、塗膜がブロ
ッキングを起こすので、当該シートを重ねたり、丸めた
りして保存することができない。
【0034】樹脂のガラス転移温度(Tg)は、樹脂
(固形分)5mgをアルミニウム押さえフタ型容器に入
れて密封し、サンプリングして用い、示差走査熱量計
(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定され
る。
【0035】ガラス転移温度が10℃以上の樹脂は、以
下の〜を単独または複数組み合わせることにより得
ることができる。 芳香族ジカルボン酸成分および脂環族ジカルボン酸成
分の合計量を、全酸成分中、40モル%以上、好ましく
は50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、特
に好ましくは70モル%以上とする。 炭素数6以上のグリコール成分を、全グリコール成分
中、80モル%以下、好ましくは60モル%以下、より
好ましくは50モル%以下、特に好ましくは40モル%
以下、最も好ましくは30モル%以下とする。 芳香族グリコール成分および脂環族グリコール成分の
合計量を、全グリコール成分中、40モル%以上、好ま
しくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以
上、特に好ましくは70モル%以上とする。
【0036】さらにまた、本発明で使用する硬化遅延作
用を有する樹脂の酸価は、好ましくは1KOHmg/g
以上であり、より好ましくは5KOHmg/g以上、特
に好ましくは10KOHmg/g以上である。樹脂の酸
価が1KOHmg/g未満では、充分なコンクリート硬
化遅延作用が得られない。酸価が大きすぎると樹脂の水
溶性が高くなりすぎて、塗布、乾燥後の塗膜がコンクリ
ート等の無機硬化性組成物を流し込んだ時に無機硬化性
組成物中の水に再分散または再溶解したり、また無機硬
化性組成物を流し込む前に雨水等にさらされた場合に流
れ落ちる、つまり耐水性が低下する恐れがある。従っ
て、当該酸価は好ましくは500KOHmg/g以下、
より好ましくは450KOHmg/g以下、特に好まし
くは400KOHmg/g以下である。
【0037】なお、カルボキシル基塩基を含有する樹脂
の酸価は、当該樹脂を強酸で処理してカルボキシル基塩
基をカルボキシル基とした後に測定される酸価である。
【0038】樹脂の酸価は、1g(固形分)の樹脂を3
0ccのクロロホルムまたはDMFに溶解し、フェノー
ルフタレインを指示薬としてKOHで滴定してサンプル
1000000g当たりのカルボキシル基の当量を求
め、得られた数値をKOH量に換算することにより測定
される。
【0039】さらにまた、本発明で使用する硬化遅延作
用を有する樹脂の数平均分子量は、好ましくは1000
〜100000、より好ましくは3000〜8000
0、特に好ましくは5000〜70000である。分子
量が1000未満では、得られた塗膜がもろくなり、被
着体への接着性、密着性が劣りコーティング材としての
機能を発揮できない。また、数平均分子量が10000
0を超えると塗料粘度が上がりすぎて塗布性が低下して
しまうため好ましくない。
【0040】樹脂の数平均分子量は、ポリスチレンを標
準とした検量線を用い、溶媒はTHFを用いてGPCを
用いて測定される。
【0041】上述の硬化遅延作用を有する樹脂の酸価お
よび数平均分子量は、従来の公知の方法により適宜設定
できる。
【0042】本発明においては、上記の無機硬化性組成
物に対して硬化遅延作用を有する樹脂は、溶媒に分散お
よび/または溶解している。本発明で使用される溶媒と
しては使用する樹脂により選択され、例えば、水、水系
溶媒、有機溶媒が例示される。
【0043】水系溶媒とは、水を主成分とする溶媒であ
り、水は、好ましくは50重量%、より好ましくは60
重量%、特に好ましくは70重量%含有される。水系溶
媒に含まれる水以外の溶媒としては、硬化遅延作用を有
する樹脂が分散および/または溶解し得る限り特に限定
されないが、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチ
ルケトン、ジメチルホルムアミド、ブチルセロソルブ、
t−ブチルセロソルブ、メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール等の水と親和性のある有機溶剤が挙
げられる。
【0044】有機溶媒としては、例えば、エタノール、
イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;トルエ
ン、キシレン等の芳香族溶媒;メチルエチルケトン、ア
セトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等の
エステル系溶媒;テトラヒドロフラン、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のエーテル系溶媒;セロソルブ
アセテート;ソルベッソ#150のような石油系溶媒等
の有機溶媒が例示される。これらの有機溶媒は単独で使
用してもよいし、また複数を組み合わせて使用してもよ
い。また、これらの有機溶媒は、50重量%未満の範囲
で水を含んでも良い。
【0045】本発明においては、樹脂を合成・重合・混
合・分散・溶解等の過程で溶媒に分散および/または溶
解させるか、合成・重合・混合・分散・溶解等の過程が
完了した後に溶媒に分散および/または溶解させても構
わない。
【0046】本発明においては、樹脂に合わせた最適な
溶媒を用いることによって、適正な塗料粘度、塗料の経
時安定性を得ることができる。また、様々な溶媒を使用
できるため、幅広い樹脂、架橋剤等の添加剤を採用する
ことができる。本発明の塗料が塗布される基材に耐溶剤
溶解性が要求されずに基材の種類が制限されることがな
い点、および有機溶剤の使用量が少なく作業者の安全性
を確保できる点から、水または水系溶媒を使用すること
が好ましい。
【0047】本発明の塗料中の、硬化遅延作用を有する
樹脂と溶媒との重量比は、当該溶媒に分散および/また
は溶解され、かつ塗布工程の妨げにならない限り、特に
限定されない。
【0048】塗料はさらに硬化剤を含有してもよく、こ
れにより硬化遅延作用を有する樹脂を塗布後に架橋して
硬化させて塗膜の耐久性を向上させることができる。硬
化剤としては、使用する硬化遅延作用を有する樹脂によ
り適宜選択されるが、例えば、シリコーン樹脂、メラミ
ン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ
樹脂、イソシアネート樹脂などが挙げられる。これらの
中でもカルボキシル基と反応し得る硬化剤が好ましい。
またイオン架橋、放射線架橋等により硬化してもよい。
【0049】本発明の塗料には、その硬化遅延作用を妨
げるものでなければ、さらに、ポリビニル系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテル系樹脂等
の樹脂を配合してもよい。これらの樹脂は上記の硬化遅
延作用を有する樹脂と反応させてもよい。
【0050】また、本発明の塗料には、粘度を調整する
目的で粘度調整剤を添加してもよい。粘度調整剤として
は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、タルク、層状ケイ酸
塩、シリカ、カーボンブラック等の無機系化合物や、天
然のスメクタイトを有機処理した有機粘土系化合物、脂
肪酸誘導体、有機アミド系化合物、尿素系化合物、ポリ
オレフィンワックス、変性ポリエーテル系化合物、変性
ポリアクリル酸金属塩系化合物、ヒドロキシエチルセル
ロース系化合物等の有機系化合物等が挙げられる。これ
らは、単独で使用しても、混合して使用してもよい。ま
た、上記粘度調整剤は耐ブロッキング剤として用いても
構わない。
【0051】また、本発明の塗料が水系溶媒に分散およ
び/または溶解している塗料の場合には、pHを調整す
る目的でpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤とし
ては、アンモニア、トリエチルアミン等のアミン類;水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;酢
酸、塩酸、硝酸、硫酸、シュウ酸、ギ酸等の酸類が挙げ
られる。
【0052】本発明の塗料の粘度は、塗布方法により異
なるが、例えばグラビア印刷やスクリーン印刷を採用す
る場合、1〜100000cps、より好ましくは10
〜70000cps、特に好ましくは100〜5000
0cpsである。
【0053】本発明の塗料はまた、従来から知られてい
る低分子量の無機硬化性組成物に対する硬化遅延物質を
含有していても構わない。当該硬化遅延物質としては、
有機系化合物としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、
ガラクトン酸、酒石酸、マレイン酸、グリコール酸等の
オキシカルボン酸およびジカルボン酸;ピルビン酸等の
ケトカルボン酸;カプロン酸、吉草酸、酢酸等の脂肪
酸;ソルビトール、グリセロール、ベルセイトール等の
糖アルコール;グルコース、マンノース、ガラクトー
ス、サッカロース等の糖類等が例示される。無機系化合
物としては、例えば、珪フッ化マグネシウム、トリポリ
リン酸ナトリウム等が例示される。
【0054】本発明の塗料においては、硬化遅延作用を
有する樹脂は、実質的に架橋構造を持たないので、溶媒
に分散および/または溶解でき、当該塗料を基材上に均
一に塗膜を形成でき、また印刷等の方法により微細なパ
ターンの形成が可能となり大量生産できる。また、耐ア
ルカリ溶解性を有するので、無機硬化性組成物に接触し
てもそのアルカリ性によって加水分解されず、アルカリ
性に依存することなく、硬化遅延作用を発揮できる。さ
らに、ガラス転移温度が10℃以上であるので、当該樹
脂を含有する塗料を用いてシートとした場合に、塗膜が
ブロッキングを起こさず、当該シートを重ねたり、丸め
たりして保存できる。勿論、従来の油状または固体状樹
脂における溶融や粉砕の際に生じる問題もない。
【0055】本発明の塗料はそのままで塗膜を形成して
無機硬化性組成物と接触させて使用してもよいが、通常
は基材上に塗布して無機硬化性組成物硬化遅延シートと
し、このシートを無機硬化性組成物と接触させて硬化遅
延作用を発揮する。本発明で使用される基材としては、
特に限定されないが、プラスチックシート、プラスチッ
クフィルム、合成紙、張り合わせ紙、不織布、フェル
ト、紙、スチロール、木板、金属板、プラスチック板、
織物等が挙げられる。また、その基材には、基材の表面
状態を改質する目的でいわゆるコーティング等の表面処
理が施してあっても構わない。
【0056】塗布方法としては、特に限定されないが、
一般的に、刷毛塗り、スプレー塗装、フローコート、デ
ィップコート、静電塗装、ローラーコート、スクリーン
印刷等の方法が採用される。特に本発明の塗料は硬化遅
延作用を有する樹脂が溶媒に分散および/または溶解し
ているので大きな粒子を含有しておらず、適正な粘度を
有している等の理由から、グラビア印刷やスクリーン印
刷の手法で基材上に複雑なパターンを印刷することがで
き、また、複雑で微細な模様の硬化遅延シートを製造で
き、また同じ模様の硬化遅延シートを大量に製造でき、
このシートをそのまま枠型内に張り付けて使用できる。
また、本発明の硬化遅延シートは、通常は塗膜が乾燥し
た状態で用いられるが、塗膜が基材に積層された状態が
保持できれば乾燥された状態でなくとも構わない。
【0057】塗膜の厚みは、乾燥した状態で、好ましく
は1〜10000μm、より好ましくは5〜3000μ
m、特に好ましくは10〜1000μmである。
【0058】以下、本発明を実施例を挙げて詳しく説明
する。樹脂の重合組成を表1に、以下の方法に従った各
測定項目の評価結果を表2、表3に示す。
【0059】(1)酸価 1g(固形分)の樹脂を30ccのクロロホルムまたは
DMFに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として
KOHで滴定してサンプル1000000g当たりのカ
ルボキシル基の当量を求め、得られた数値をKOH量に
換算した。
【0060】(2)数平均分子量 GPCを用いて数平均分子量を測定した。分子量の検量
線はポリスチレンを標準として用い、溶媒はTHFを用
いた。
【0061】(3)ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速
度で測定した。樹脂(固形分)は5mgをアルミニウム
押さえフタ型容器に入れて密封した。
【0062】(4)コンクリート硬化遅延作用評価方法 シートの微細な模様が施された塗料塗布面に直接コンク
リートを打設し、コンクリートを養生、硬化させ、当該
シートを硬化したコンクリート面から剥離した後、コン
クリート硬化面を水を用いて洗い出し風乾した後を次の
ような基準で評価した。なお、標準サンプルを水に1晩
浸漬し、風乾したものを耐水サンプルとし、このサンプ
ルも上記と同様の方法でコンクリート硬化遅延作用評価
を行った。評価は標準サンプルと耐水サンプルのコンク
リート打設試験品の直線性と洗い出し深さを目視で判断
した。評価基準は以下のとおりとした。 ○:洗い出しにより形成された模様形状が高精度に再現
され、洗い出しされた深さが良好なもの。 △:洗い出しにより形成された模様形状がある程度再現
され、洗い出しされた深さが○の状態に比べやや劣るも
の。または洗い出し深さにムラが認められるもの。 ×:洗い出しにより形成された模様形状の再現性が悪
く、洗い出し深さも得られず品質上で問題となるもの。
【0063】(5)耐アルカリ溶解性 10cm2 の基材上に乾燥膜厚30μmとなるように樹
脂を塗布したシートを、0.123NのNaOH溶液1
00mlに1時間室温(25℃)で撹拌しながら浸漬し
た後、水洗・乾燥した時の樹脂塗膜の重量変化率を測定
した。
【0064】(6)実質的な架橋構造の有無 10cm2 の基材上に乾燥膜厚50μmとなるように樹
脂を塗布したシートを、メチルエチルケトン100ml
に入れて3分間室温で撹拌後、乾燥した時(120℃で
1分)の樹脂塗膜の重量変化率を測定した。
【0065】<アクリル樹脂およびそれを含有する塗料
の調製>撹拌機、温度計および環流冷却管を具備したガ
ラス製フラスコに、メチルエチルケトン188gを仕込
み75℃に保温し、その中に、メタクリル酸87. 5g
とアクリル酸エチル38gとアゾビスジメチルバレロニ
トリル6gをメチルエチルケトン100gに溶解した溶
液を一定の速度で滴下し、温度を75℃に保ちながら、
さらに3時間撹拌してアクリル樹脂Aを得た。次に、水
1500gとトリエチルアミン10gを反応溶液に加え
1時間撹拌し、溶液の温度を100℃に上げ、メチルエ
チルケトンを蒸留により反応系から溜去し塗料A−1を
得た。
【0066】<ポリエステル−アクリル樹脂およびそれ
を含有する塗料の調製>撹拌機、温度計および環流冷却
管を具備したガラス製フラスコに、ジメチルテレフタレ
ート436g、ジメチルイソフタレート436g、5−
ナトリウムスルホジメチルイソフタレート74g、フマ
ル酸29g、エチレングリコール124g、プロピレン
グリコール600gおよびテトラ−n−ブチルチタネー
ト0.52gを仕込み、160〜220℃まで4時間か
けてエステル交換反応を行った。次いで250℃まで昇
温し、反応系を徐々に減圧したのち0.2mmHgの減
圧下で1時間30分反応させ、ポリエステル樹脂を得た
(このポリエステル樹脂の重合組成は、テレフタル酸成
分45モル%、イソフタル酸成分45モル%、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸成分5モル%、フマル酸成分
5モル%、エチレングリコール成分25モル%、プロピ
レングリコール成分75モル%であった。)。このポリ
エステル樹脂75gとメチルエチルケトン56gとイソ
プロピルアルコール19gを仕込み加熱撹拌し樹脂を溶
解した。溶解した樹脂に、アクリル酸16gとアクリル
酸エチル9gとアゾビスジメチルバレロニトリル1. 2
gを10gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を一定
の速度で滴下し、さらに3時間攪拌してポリエステル−
アクリル樹脂Bを得た。次に、水300gを反応溶液に
加えてさらに1時間撹拌し、溶液の温度を100℃まで
昇温し、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール
を蒸留により溜去して塗料B−1を得た。同様の製造方
法によりポリエステル−アクリル樹脂C〜Iを製造し、
そしてそれを含有する塗料C−1〜I−1を得た。ポリ
エステル−アクリル樹脂B〜Iの重合組成を表1に示
す。
【0067】
【表1】
【0068】実施例1 塗料B−1を厚み180μmの合成紙(東洋紡績(株)
製「クリスパー」)にワイヤーバーを用いて40μmの
乾燥塗膜が得られるように塗布した。上記シートを12
0℃の雰囲気中で5分間乾燥させコンクリート硬化遅延
作用のあるシートを作製し、これを標準条件用のサンプ
ルとした。また、当該シートを水に浸漬し、3時間以上
室温で乾燥処理をしたシートを耐水条件用サンプルとし
た。
【0069】実施例2〜8 塗料C−1〜I−1を用いて、実施例1と同様の方法に
より、それぞれコンクリート硬化遅延作用のあるシート
を作製した。
【0070】比較例1 撹拌機および温度計を具備したステンレススチール製オ
ートクレーブに、無水マレイン酸1036g、エチレン
グリコール761.7g、およびハイドロキノンが10
0ppmの濃度、テトラ−n−ブトキシチタンが50p
pmの濃度となるようにそれぞれ仕込み、攪拌しなが
ら、反応により生成する水分を除去するため、窒素ガス
を流しながら、常圧下、常温から150℃まで3時間か
けて昇温した後、150〜210℃まで24時間かけて
昇温し、反応を停止して油状不飽和ポリエステルを得
た。得られた油状不飽和ポリエステル100重量部に対
して、室温で2−ヒドロキシエチルアクリレート10重
量部、有機過酸化物(日本油脂(株)製「パーブチルオ
ー」)3重量部および架橋触媒としての酢酸コバルトが
50ppmの濃度となるようにそれぞれ添加し、混合す
ることにより重合性組成物Jを得た。この重合性組成物
を、厚み180μmの合成紙(東洋紡績製「クリスパ
ー」)に、乾燥膜厚が40μmとなるように塗布し、1
50℃のオーブン中に30秒間加熱するように通過させ
て硬化させ、コンクリート硬化遅延作用のあるシートを
作製した。
【0071】比較例2 比較例1において、原料の酸成分として、無水マレイン
酸1036gの代わりに、無水マレイン酸994gおよ
びテレフタル酸70gを用いたこと以外は、比較例1と
同様の方法により重合性組成物Kを得、この組成物を用
いて比較例1と同様の方法により、コンクリート硬化遅
延作用のあるシートを作製した。
【0072】比較例3 比較例1において、無水マレイン酸を958gとし、エ
チレングリコール761.7gの代わりにプロピレング
リコール1020gを用いたこと以外は、比較例1と同
様の方法により重合性組成物Lを得、この組成物を用い
て比較例1と同様の方法により、コンクリート硬化遅延
作用のあるシートを作製した。
【0073】比較例4 前記で調製した塗料A−1を用いて、実施例1と同様の
方法により、コンクリート硬化遅延作用のあるシートを
作製した。
【0074】これら実施例1〜8および比較例1〜4で
得られたシートのコンクリート硬化遅延作用の評価結果
を表2および表3に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
無機硬化性組成物硬化遅延用塗料およびそれを用いた無
機硬化性組成物硬化遅延シートは、無機硬化性組成物に
対して優れた硬化遅延効果を示すので工業的に非常に有
用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C04B 24/26 C04B 24/26 E 24/28 24/28 Z C04B 103:22 (72)発明者 中山田 勝弘 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 瀧野 佳洋子 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 田中 秀樹 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 脇坂 治 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 伊藤 美鈴 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 4G055 AA01 AA10 AC01 BA01 FA01 4J038 AA011 CG142 DD002 GA03 GA06 GA09 HA156 HA491 HA496 KA03 KA06 MA08 MA13 MA14

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機硬化性組成物に対して硬化遅延作用
    を有する樹脂と溶媒を含んでなり、当該樹脂が、以下の
    (a) 〜(c) の条件を満足する樹脂であり、かつ溶媒に分
    散および/または溶解していることを特徴とする無機硬
    化性組成物硬化遅延用塗料。 (a)耐アルカリ性を有する。 (b)ガラス転移温度が10℃以上。 (c)実質的に架橋構造を有しない。
  2. 【請求項2】 溶媒が水を主成分とする溶媒である請求
    項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。
  3. 【請求項3】 溶媒が有機溶媒を主成分とする溶媒であ
    る請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。
  4. 【請求項4】 樹脂が、カルボキシル基および/または
    その塩を有する請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化
    遅延用塗料。
  5. 【請求項5】 カルボキシル基の塩が、金属塩および有
    機塩からなる群より選択される少なくとも1つである請
    求項4に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。
  6. 【請求項6】 樹脂の酸価が、1KOHmg/g以上で
    ある請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗
    料。
  7. 【請求項7】 樹脂の数平均分子量が、1,000〜1
    00,000である請求項1に記載の無機硬化性組成物
    硬化遅延用塗料。
  8. 【請求項8】 樹脂が、ポリエステル樹脂骨格を含む樹
    脂である請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用
    塗料。
  9. 【請求項9】 樹脂が、アクリル樹脂骨格を含む樹脂で
    ある請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化遅延用塗
    料。
  10. 【請求項10】 樹脂が、ポリエステル樹脂骨格とアク
    リル樹脂骨格の両方を含む樹脂である請求項1に記載の
    無機硬化性組成物硬化遅延用塗料。
  11. 【請求項11】 さらに、樹脂を架橋し得る硬化剤を含
    む請求項1〜10のいずれかに記載の無機硬化性組成物
    硬化遅延用塗料。
  12. 【請求項12】 硬化剤が、カルボキシル基、水酸基お
    よびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの
    基と反応し得る硬化剤である請求項11に記載の無機硬
    化性組成物硬化遅延用塗料。
  13. 【請求項13】 無機硬化性組成物が、セメントペース
    ト、モルタル組成物およびコンクリート組成物からなる
    群より選ばれる請求項1に記載の無機硬化性組成物硬化
    遅延用塗料。
  14. 【請求項14】 基材シート上に請求項1〜13のいず
    れかに記載の塗料を塗布、乾燥してなることを特徴とす
    る無機硬化性組成物硬化遅延シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019056051A (ja) * 2017-09-21 2019-04-11 アイカ工業株式会社 コンクリート洗出し用塗料組成物

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