JPH1126385A - 多結晶シリコン薄膜の製造方法 - Google Patents

多結晶シリコン薄膜の製造方法

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JPH1126385A
JPH1126385A JP18162297A JP18162297A JPH1126385A JP H1126385 A JPH1126385 A JP H1126385A JP 18162297 A JP18162297 A JP 18162297A JP 18162297 A JP18162297 A JP 18162297A JP H1126385 A JPH1126385 A JP H1126385A
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JP
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silicon
thin film
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film
polycrystalline silicon
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JP18162297A
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English (en)
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Tadashi Ito
忠 伊藤
Masashi Yamaguchi
真史 山口
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率的な多結晶シリコン薄膜の製造。 【解決手段】 珪素の水素化物、珪素のハロゲン化物、
あるいは珪素と水素およびハロゲン元素の化合物のうち
の少なくとも1種類から構成される多結晶シリコン薄膜
の原料ガスを用い、基板上に、多結晶シリコン薄膜を形
成し、所定の結晶性を得るために上記多結晶シリコン薄
膜の結晶粒径を成長させる多結晶シリコン薄膜の製造方
法であり、上記基板をあらかじめ水素によって被曝し、
その後、多結晶シリコン薄膜の原料ガスと、該原料ガス
を所定濃度に希釈するためのガスとを用い、上記基板上
に上記多結晶シリコン薄膜を形成する。基板をあらかじ
め水素に曝すことにより、基板表面の一部にその表面に
できた酸化膜の酸素原子が還元されて、表面にシリコン
と結合性の高い基板を構成する原子が露出する。このた
め基板表面全体に効率的な多結晶シリコン膜の形成が可
能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は太陽電池、薄膜トラ
ンジスタ等の半導体装置に用いられる多結晶シリコン薄
膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、世界のエネルギーの多くの部分が
化石燃料によって賄われているが、炭酸ガスなどの排出
による地球の温暖化や大気汚染などの地球環境に対する
問題が深刻化しつつある。このような環境問題と、エネ
ルギー問題から太陽光エネルギー利用への関心が急速に
高まっており、太陽電池は光−電気エネルギー変換素子
として今後の普及が期待されている。
【0003】シリコン系の太陽電池は、これまで主とし
て集積回路で用いられる単結晶シリコンウエハや、集積
回路用としては規格外のシリコンを再び溶融して作られ
た多結晶シリコンウエハが使われている。このような状
況では、今後太陽電池が広く普及すると、シリコンの生
産が太陽電池の需要に追いつかなくなる時期が来ると予
想される。このような状況を回避するためにはシリコン
の使用量を節約する必要性が生ずる。
【0004】シリコンの使用量を節約するひとつの手段
は薄膜化である。このような観点から多結晶シリコン薄
膜を太陽電池の主要な構成部とした薄膜多結晶シリコン
太陽電池が注目されている。ただ、多結晶シリコン薄膜
には結晶粒径や欠陥が必ず含まれるため、これらを最適
化し、できるだけ良質な多結晶シリコン薄膜を用いる必
要がある。
【0005】一方、トランジスタ等の如き、電気信号の
増幅、スイッチングを目的とする半導体装置において
も、その製造コストを低減し、来るべきシリコンの不足
を回避するためには、目的に応じて薄膜トランジスタの
使用が必要となり、できるだけ良質な多結晶シリコン薄
膜が必要となる事情は太陽電池の場合と同様である。
【0006】多結晶シリコン薄膜を製造する方法として
はプラズマCVD法が一般的である。プラズマCVD法
は、製造しようとする薄膜を構成する元素を含む原料ガ
スを、プラズマ中で化学的に分解することによって、基
板上に所望の薄膜を成膜する方法である。シリコン薄膜
を製造する場合には、原料ガスとしてモノシラン(Si
4 )、ジシラン(Si2 6 )等の珪素の水素化物、
四塩化珪素(SiCl4 )、四フッ化珪素(SiF4
等のハロゲン化物、あるいはジクロルシラン(SiH2
Cl2 )等の珪素と水素およびハロゲン元素の化合物の
いずれかを水素で希釈したものが用いられる。
【0007】上記太陽電池、あるいは薄膜トランジスタ
等の半導体装置に用いられる多結晶シリコン薄膜は、該
半導体装置の性能を維持するために、結晶性のできるだ
け良好な薄膜であることが望ましい。しかし、一般に上
記プラズマCVD法で形成される薄膜は非晶質膜、ある
いは結晶粒径が数ナノメートル程度の微結晶膜となりや
すい。このため、上記プラズマCVD法で形成された薄
膜に対し、熱アニール法、レーザーアニール法等のアニ
ールを施すことによって薄膜の結晶化、あるいは結晶粒
成長が図られている。しかし、上記プラズマCVD法で
形成される非晶質、あるいは微結晶薄膜には10原子%
程度の水素原子が混入するため、該薄膜をアニールによ
って結晶化、あるいは結晶粒成長するときに、上記薄膜
中に含まれている水素が気化するため、上記アニール中
に上記薄膜が剥離するという欠点がある。
【0008】かかる欠点を解決するために、特開平7−
283429号公報には、熱的な結晶化温度より低い温
度で結晶化できるようにX線を照射しながらアニールを
行う方法が開示されている。上記方法では、シリコン薄
膜を熱的な結晶化温度より低い温度で結晶化できるの
で、上記水素の気化が緩やかに進行するため、剥離の危
険性は減少した。しかるに、アニール装置にX線照射装
置を組み込む必要があるため、アニール装置が高価なも
のとなり、多結晶シリコン膜の製造コストが著しく高騰
するという欠点があった。また、X線を照射するため、
シリコン薄膜に放射線損傷を与え、シリコン薄膜の電気
的特性を劣化させるという欠点があった。
【0009】一方、モノシランと水素の混合比、および
上記プラズマCVDにおける高周波電力を適正な値に設
定すれば、プラズマCVD中に直接多結晶シリコン薄膜
が形成されることがジャーナル オブ ノンクリスタリン
ソリッズ(Journal of Non-Crystalline Solids)5
9、60巻合併号(1983)767ページに記載され
ている。図5は、上記ジャーナル オブ ノンクリスタリ
ン ソリッズ(Journal of Non-Crystalline Solids)5
9、60巻合併号(1983)に記載された、多結晶シ
リコン薄膜の形成される高周波電力密度とモノシランと
水素の混合比の範囲を示したものである。
【0010】図中、黒い扇型の大きさがシリコン薄膜の
結晶化度を示しており、該扇型が大きいほど結晶化度が
大きいことを示している。白い扇型はシリコン薄膜の結
晶粒径の大きさを表わしている。また、Aは該シリコン
薄膜が非晶値、あるいは結晶になる境界の高周波電力密
度とモノシランと水素の混合比の条件を表わしており、
Aより上の領域、あるいは下の領域の何の表示もない領
域で示される条件では該シリコン薄膜は完全に非晶質と
なる。
【0011】上記図5において、高周波電力密度を0.
3ワット/平方センチメートル以上にすればモノシラン
と水素の広い混合比の範囲で多結晶薄膜が形成される
が、結晶化度、結晶粒径とも十分な大きさでなく実用的
でない。また、高周波電力密度を0.07ワット/平方
センチメートル以上にすると、膜中にSiH2 が形成さ
れ、膜質が悪くなり、剥離を生じやすくなるため歩留り
が著しく悪くなる。したがって、7%以下となるように
シリコンの原料であるモノシランを水素で大幅に希釈
し、プラズマCVD時の高周波電力も0.07ワット/
平方センチメートル以下に抑制せねばならず、成膜速度
が著しく減少し非効率であるという欠点がある。
【0012】上記欠点を解決するために、特開平4−3
49615には、シリコンの結晶化を促進する効果を有
するフッ素原子が膜中に含まれるように原料ガスの一部
をフッ化珪素に置き換え、さらに結晶化を促進させるた
めに基板を580℃まで加熱してプラズマCVDを行う
方法が開示されている。この方法では、基板温度を58
0℃まで上昇させるので、成膜と同時に結晶化が起こる
ため、膜中に取り込まれる水素原子やフッ素原子の量が
低減される。このため、この工程の後でさらに結晶粒径
の成長を行うために上記アニールを行っても、アニール
中に気化する該水素やフッ素の量が少ないので、シリコ
ン薄膜が剥離するという問題は回避される。しかも、シ
リコンの結晶化を促進する効果を有するフッ素原子が膜
中に含まれるように原料ガスの一部をフッ素珪素に置き
換え、さらに結晶化を促進させるために基板を580℃
まで加熱してプラズマCVDを行うので、成膜速度が著
しく減少し非効率であるという欠点はなくなった。しか
るに、膜中に水素より気化しにくいフッ素原子が不純物
として残留しやすいため、該多結晶シリコン薄膜の電気
的特性が十分でないという欠点が生じた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】プラズマCVD法で形
成された非晶質シリコン薄膜には水素原子が10原子%
程度含まれることは周知の事実である。したがって、多
結晶シリコン薄膜を製造するにあたり、非晶質シリコン
薄膜を熱アニール、レーザーアニール等アニールによっ
て結晶化する方法では、水素の気化が起こり、剥離の原
因になることは避け難い。
【0014】一方、多結晶シリコン薄膜の形成上の上記
欠点を解決するために、本発明者らが鋭意検討する過程
で、図5に記載した、プラズマCVD時にすでに多結晶
シリコン薄膜が形成される条件で形成された多結晶シリ
コン薄膜にはほとんど水素原子が排除されていることを
つきとめた。
【0015】さらに、原料ガスとしてハロゲン元素を含
むガスを用いた場合でも、条件を適正にすれば成膜時に
多結晶膜が形成されることがわかり、該多結晶シリコン
膜にも水素、およびハロゲン元素のいずれも存在しない
ことがわかった。つまり、該多結晶シリコン薄膜を上記
アニールによって結晶粒径の成長を図れば、水素の気化
による上記薄膜の剥離とハロゲン原子の混入という問題
点を回避できるという考えに至った。
【0016】本発明の課題は、成膜時の剥離を助長しな
いようプラズマCVD時の高周波電力を抑制した状態
で、かつ成膜速度が低下しないようにシリコンの原料ガ
スである珪素の水素化物、ハロゲン化物、あるいは珪素
と水素およびハロゲン元素の化合物と水素の混合比をあ
る程度高い値に保った状態で、上記シリコンの原料ガス
を分解し、非晶質シリコン薄膜ではなく多結晶シリコン
薄膜を基板上に形成することである。更に、ハロゲン化
物、あるいは珪素と水素およびハロゲン元素の化合物を
原料ガスに用いた場合でも、膜中に水素より気化しにく
いハロゲン原子が不純物として残留して多結晶シリコン
薄膜の電気的特性を劣化させるという特開平4−349
615号公報に記載された構成の欠点をも回避すること
も必要である。
【0017】以上のような課題を解決するために本発明
はなされ、効率的に膜質の優れた多結晶シリコン薄膜を
製造する手段を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、珪素の水素化
物、珪素のハロゲン化物、あるいは珪素と水素およびハ
ロゲン元素の化合物のうちの少なくとも1種類から構成
される多結晶シリコン薄膜の原料ガスを用いて、基板上
に多結晶シリコン薄膜を形成し、さらに所定の結晶性を
得るために上記多結晶シリコン薄膜の結晶粒径を成長さ
せる多結晶シリコン薄膜の製造方法であって、上記基板
をあらかじめ水素によって被曝し、その後、上記多結晶
シリコン薄膜の原料ガスと、該原料ガスを所定濃度に希
釈するためのガスとを用いて、上記基板上に上記多結晶
シリコン薄膜を形成することを特徴とするものである。
【0019】[本発明の他の構成]上述のような薄膜形
成時においては、多結晶シリコン薄膜の成膜時での剥離
を助長しないように、上記原料ガスの分解のために投入
する電力を抑制した状態で、かつ成膜速度が低下しない
ように上記原料ガスと水素の混合比をある程度高い値に
保って上記原料ガスの分解を行って上記多結晶シリコン
薄膜とすることが好適である。
【0020】また、本発明において、上記基板を200
℃乃至1000℃の温度に保った状態で上記基板を水素
によってあらかじめ被曝せしめることが好適である。
【0021】更に、上述のように基板を水素に曝した後
に、基板を上記原料ガスおよび水素を供給し、プラズマ
等により上記原料ガスを化学的に分解し、上記基板上の
表面温度を200℃乃至500℃に保ち第1の多結晶シ
リコン薄膜を形成することが好適である。
【0022】また、上記原料ガスを化学的に分解する手
段とは、例えば、該原料ガスを分解するための反応室内
に設置された電極に高周波電力を印加し、該反応室内に
供給される該原料ガスと、該原料ガスを所定濃度に希釈
するガスとをプラズマ化するための手段であり、この場
合、上記高周波電力を0.3ワット/平方センチメート
ル未満とすることが好適である。
【0023】更に、上記原料ガスの、該原料ガスを所定
濃度に希釈するガスに対する比率は、上記電極に印加す
る高周波電力が0.06ワット/平方センチメートル未
満にあっては1/29を越えて1/5以下であり、上記
高周波電力が0.06ワット/平方センチメートル以上
0.3ワット/平方センチメートル未満にあっては1/
14を越えて1/5以下であるように制御することが好
適である。
【0024】[発明の作用]本発明にかかる多結晶シリ
コン薄膜の製造方法において、あらかじめ基板を水素に
曝すことにより、原料ガスの分解反応時に多結晶シリコ
ン薄膜を形成できる理由は以下のようであると推定され
る。なお、この際、成膜時の剥離を助長しないよう上記
原料ガスの分解のために投入する電力を抑制した状態
で、かつ成膜速度が低下しないように上記原料ガスと水
素の混合比をある程度高い値に保って上記原料ガスの分
解を行っているとする。
【0025】図1に示すように、基板がシリコン(S
i)基板であるとき、シリコン基板をプラズマCVD装
置等のシリコン薄膜の成膜装置に装着するまでの間に通
常の場合大気に接触するので、通常の状態ではシリコン
基板の表面には厚さ数ナノメートルの自然酸化膜が形成
されている。通常の場合、該自然酸化膜は室温から基板
洗浄後の乾燥温度(通常100℃前後)の比較的低温で
形成されるシリコン酸化膜であるのでシリコン原子と酸
素原子の網目構造はそれ程強くない。このため、基板温
度を200℃乃至1000℃に保った状態で水素にさら
すと、基板表面の所々で酸素原子が還元され、酸素原子
が還元されたところでは表面にシリコン原子が露出した
状態になる。
【0026】(i)全面が自然酸化膜で覆われた基板
と、(ii)上述した基板表面の所々で酸素原子が還元さ
れ、酸素原子が還元されたところでは表面にシリコン原
子が露出した状態の基板とで、上記2種類の基板表面に
それぞれ、プラズマによってモノシラン、ジクロルシラ
ン等のシリコンの原料ガスが分解されたシリコン原子を
含むラジカルが飛来する場合を考える。
【0027】前者(i)の場合、基板表面が一様に自然
酸化膜で覆われているため、図5に示されるように、原
料ガスの水素に対する割合が一定値より大きい場合には
全面に非晶質シリコン膜が堆積する。一方、後者(ii)の
場合、所々で酸素原子が還元され、酸素原子が還元され
たところでは表面にシリコン原子が露出しているため、
上記基板表面のシリコン原子が露出した部分には、シリ
コン原子どうしが凝集しやすい。よって、図1に示すよ
うに、シリコンの微結晶が堆積し、上記基板表面の自然
酸化膜が残存する部分には非晶質シリコンが堆積する。
このようなシリコンの微結晶シリコンと非晶質シリコン
が混在する試料がプラズマ中に置かれると、ジャパニー
ズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス第33巻
パート1、4534ページから4539ページ(Japane
se Journal of Applied Physics,Vol.33(1994) Part 1.
pp4534-4539)に記載されているように、式(1)で示さ
れるシリコン膜の堆積とエッチングが同時進行する。
【0028】
【数1】 このとき、非晶質シリコンはシリコン原子の配列が乱れ
た構造を持つため、微結晶シリコンよりもエッチング反
応が高速で起こる。このため、図2に示すように、微結
晶シリコンの部分には結晶質シリコン膜の核が成長し、
非晶質シリコン膜の部分はエッチングされ、非晶質シリ
コン膜の一種の蒸発が起こる。上記エッチング反応によ
って該非晶質シリコン膜からプラズマ中に飛散したシリ
コン原子は、上記微結晶シリコン部分から形成された結
晶質のシリコン膜の核の周りに結合し、該核を中心に結
晶質のシリコン膜が成長する。しかも、上記核の起源
が、自然酸化膜を単に水素中にさらすのみの還元反応で
あるので、該還元反応によって上記基板表面でシリコン
原子が露出する部分の数はきわめてわずかで、ほとんど
の領域は自然酸化膜で覆われている。従って、堆積する
シリコン膜の大部分は非晶質シリコン膜で、該核の数は
少ない。
【0029】このため、式(1)の左向きの反応による
非晶質シリコン膜のエッチングによってプラズマ中に飛
散するシリコン原子の量は膨大で、該飛散したシリコン
原子が数少ない上記核の周りに結合するのであるから、
該核の周りに成長する結晶シリコンの成長速度は非常に
速い。該核の周りでは、上記飛散したシリコン原子が数
少ない上記核の周りに結合することによる結晶成長に加
えて、原料ガスが式(1)の右向きの反応によって直接
該核の周り結晶成長するのが加わるからであるから、全
体としてきわめて効率的に結晶シリコン膜が基板全面に
成長することになる。
【0030】なお、式(1)では原料ガスとして珪素の
水素化物が用いられた場合が記載されているが、珪素の
ハロゲン化物、あるいは珪素と水素およびハロゲン元素
の化合物の場合でも同様に考えることができ、該反応式
の右辺末項にハロゲン元素が加わることのみが異なる。
【0031】次に、本発明の基板として、シリコン、ア
ルミニウム、ホウ素のうちの少なくとも1種類の元素を
含む酸化物、あるいはシリコン原子を含むガラスを用い
た場合に、あらかじめ上記基板を水素に曝すことによ
り、原料ガスの分解反応時に多結晶シリコン薄膜を形成
できる理由について図3および図4を用いて説明する。
なお、この際、成膜時の剥離を助長しないよう上記原料
ガスの分解のために投入する電力を抑制した状態で、か
つ成膜速度が低下しないように上記原料ガスと水素の混
合比をある程度高い値に保って上記原料ガスの分解を行
っているとする。
【0032】上記基板の温度を200℃乃至1000℃
に保った状態で水素にさらすと、水素の強い還元作用に
よって基板表面の所々で酸素原子が還元され、酸素原子
が還元されたところでは表面にシリコン、アルミニウ
ム、ホウ素のうちの少なくとも1種類の元素の原子が露
出した状態になる。
【0033】(iii)上記還元作用を受けていない基板
と、(iv)上述した基板表面の所々で酸素原子が還元さ
れ、酸素原子が還元されたところでは表面にシリコン、
アルミニウム、ホウ素のうちの少なくとも1種類の元素
の原子が露出した状態の基板とで、上記2種類の基板表
面にそれぞれ、プラズマによってモノシラン、ジクロル
シラン等のシリコンの原料ガスが分解されたシリコン原
子を含むラジカルが飛来する場合を考える。前者(iii)
の場合、前述のシリコン基板の場合と同様に、図5に示
されるように、原料ガスの水素に対する割合が一定値よ
り大きい場合には全面に非晶質シリコン膜が堆積する。
一方、後者(iv)の場合、所々で酸素原子が還元される
と、酸素原子が還元されたところでは、表面にシリコ
ン、アルミニウム、ホウ素のうちの少なくとも1種類の
元素の原子が露出する。シリコン、アルミニウム、およ
びホウ素はいずれもシリコンとの結合性が強いため、上
記基板表面のシリコン、アルミニウム、ホウ素のうち少
なくとも1種類の元素の原子が露出した部分には、図3
に示すように、上記原料ガスが分解して得られたシリコ
ン原子どうしが凝集する。このシリコン原子の凝集によ
ってシリコンの微結晶が形成され、上記還元作用を受け
ていない部分には非晶質シリコンが堆積する。
【0034】このようなシリコンの微結晶シリコンと非
晶質シリコンが混在する試料がプラズマ中に置かれる
と、図1および図2に示す前述のシリコン基板上の場合
と同様に、式(1)で示されるシリコン膜の堆積とエッ
チングが同時進行する。この工程から後の基板がシリコ
ンの場合と全く同様である。すなわち、非晶質シリコン
はシリコン原子の配列が乱れた構造を持つため、微結晶
シリコンよりエッチング反応が高速で起こる。このた
め、図4に示すように、微結晶シリコンの部分には結晶
質のシリコン膜の核が成長し、非晶質シリコン膜の部分
はエッチングされ、非晶質シリコン膜の一種の蒸発が起
こる。上記エッチング反応によって該非晶質シリコン膜
からプラズマ中に飛散したシリコン原子は、上記微結晶
シリコン部分から形成された結晶質のシリコン膜の核の
周りに結合し、該核を中心に結晶質のシリコン膜が成長
する。しかも、上記核の起源が、基板を単に水素中にさ
らすのみの還元反応であるので、該還元反応によって上
記基板表面でシリコン、アルミニウム、あるいはホウ素
原子が露出する部分の数はきわめてわずかで、ほとんど
の表面は酸化物、あるいはガラスのままである。従っ
て、堆積するシリコン膜の大部分は非晶質シリコン膜
で、該核の数は少ない。
【0035】式(1)の左向きの反応による非晶質シリ
コン膜のエッチングによってプラズマ中に飛散するシリ
コン原子の量は膨大で、該飛散したシリコン原子が数少
ない上記核の周りに結合するのであるから、該核の周り
に成長する結晶シリコンの成長速度は非常にはやい。該
核の周りでは、上記飛散したシリコン原子が数少ない上
記核の周りに結合することによる結晶成長に加えて、原
料ガスが式(1)の右向きの反応によって直接該核の周
り結晶成長するのが加わるからであるから、従って、上
記シリコン基板の場合と同様に、全体としてきわめて効
率的に結晶シリコン膜が基板全面に成長することにな
る。
【0036】なお、式(1)では原料ガスとして珪素の
水素化物が用いられた場合が記載されているが、珪素の
ハロゲン化物、あるいは珪素と水素およびハロゲン元素
の化合物の場合でも同様に考えることができ、該反応式
の右辺末項にハロゲン元素が加わることのみが異なるの
は基板がシリコンの場合と全く同様である。
【0037】[発明の効果]以上説明したように、本発
明にかかる多結晶シリコン薄膜の製造方法では、上記基
板を水素中に被曝せしめることによって、基板上に結晶
シリコン膜の成長の核を形成しやすくし、結晶シリコン
膜と非晶質シリコン膜のプラズマ中でのエッチング速度
の違いを利用して、上記核の周りの結晶シリコンの成長
を促進する。従って、成膜時の剥離を助長しないように
投入する電力を抑制した状態で、かつ成膜速度が低下し
ないように上記原料ガスと水素の混合比を高い値に保っ
て堆積した場合に、多結晶シリコン膜が得られ、ガスの
分解反応時に多結晶シリコン薄膜を形成できる(例え
ば、電力を0.3ワット/平方センチメートル未満に抑
制した状態で、かつ成膜速度が低下しないように上記原
料ガスと水素の混合比を図5に示された原料ガス濃度よ
り高い値に保って堆積した場合などを含む)。
【0038】また、成膜されたシリコン膜が多結晶膜で
あるので、膜中の水素やハロゲン元素などの不必要ない
ずれの元素も排除されている。このため、この後のアニ
ール等によってさらなる結晶粒径の成長工程によっても
膜が剥離することはなく、しかも電気的特性を劣化させ
る不純物元素が膜中に混入していることもない。したが
って、従来技術のもつ欠点を回避できる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
(以下、単に実施形態という)について説明する。
【0040】本実施形態において、基板としては単結
晶、あるいは多結晶のシリコン基板を用いることができ
る。このほかに用いることのできる基板の種類として
は、石英、シリコン基板上に熱酸化法等で形成された二
酸化珪素層等シリコンの酸化物、アルミナ、サファイア
等アルミニウムの酸化物、あるいはシリコン、アルミニ
ウム、ホウ素のうちの少なくとも1種類の元素を含むセ
ラミックス等の酸化物、あるいはシリコン原子を含むガ
ラス等を挙げることができる。
【0041】多結晶シリコン薄膜の原料ガスを化学的に
分解する方法としては、該原料ガスを分解するための反
応室内に設置された電極に高周波電力を印加し、該反応
室内に供給される該原料ガスと、該原料ガスを必要な濃
度に希釈せしめるガスとをプラズマ化する方法が一般的
で、基板上に第1の多結晶シリコン膜を堆積させる方法
として、上記原料ガスをプラズマによって分解して、基
板上に堆積させるプラズマCVD法と呼ばれる方法が一
般的である。
【0042】上記プラズマCVDを行う装置としては、
所望の堆積膜を得るための原料ガスを分解するための反
応室を具備している。該反応室には、原料ガス、および
必要に応じて該原料ガスを適正な濃度に希釈するための
希釈ガスを供給するための装置が接続されており、該反
応室内には、該原料ガスのプラズマを発生させるために
高周波電力を印加するための電極と、基板保持装置と、
基板温度を適正に保つ基板加熱装置を兼ね備えている公
知のプラズマ装置を用いることができる。
【0043】他の型のプラズマCVD装置としては、原
料ガスを分解するための反応室と、該堆積膜を基板上に
堆積せしめるための堆積室が別々に備え付けられたもの
でも良い。この装置では、上記反応室で発生したプラズ
マを上記堆積室まで輸送するためのプラズマ輸送装置で
反応室と堆積室とが結び付けられている。また、反応室
には、原料ガスのプラズマを発生させるために高周波電
力を印加するための電極が設置されており、一方、堆積
室には基板を保持する基板保持装置と基板温度を適正な
温度に保持するための加熱装置が設置されている。
【0044】多結晶シリコンの原料ガスとしては、(i)
モノシラン(SiH4 )、ジシラン(Si2 6 )等の
シリコンの水素化物、(ii)四フッ化珪素(SiF4 )、
四塩化珪素(SiCl4 )等の珪素のハロゲン化物、あ
るいは(iii)ジクロルシラン(SiCl2 2 )等の珪
素と水素、および(iv)ハロゲン元素との化合物、および
これら(i)〜(iv)の混合ガス等、通常のプラズマCVD
法で用いられるシリコンの原料ガスを用いることができ
る。
【0045】本発明の効果を発揮させるために、上記基
板をあらかじめ水素によって被曝せしめる方法として
は、上記基板を上記プラズマCVD装置に設置した後
に、基板温度を200℃乃至1000℃の温度範囲内で
あって、目的の半導体装置の製造工程上において適正な
温度に保った状態で、基板が設置された室に、水素ガス
を供給する。そして、基板表面での還元反応が十分行わ
れる時間(基板温度にもよるが通常5分乃至30分)、
その状態を保持することが適当である。
【0046】該基板をあらかじめ水素によって被曝せし
めたあとに多結晶シリコン薄膜を形成する方法として
は、該基板の温度を200乃至500℃に保って上記多
結晶シリコンの原料ガスと該原料ガスを所定濃度に希釈
するためのガスとを、上記基板が保持されている室に導
入する。更に、同室内に設置されている電極に高周波電
力を供給して、上記原料ガスおよび該原料ガスを所定濃
度に希釈するためのガスをプラズマ化することによって
分解し、基板上に多結晶シリコン薄膜を形成する。
【0047】また、上記原料ガスを分解するための反応
室と、該堆積膜を基板上に堆積せしめるための堆積室と
が別々に備え付けられ、上記反応室で発生したプラズマ
を上記堆積室まで輸送する方法の成膜装置にあっては、
上記反応室で、上記原料ガスおよび上記原料ガスを所定
濃度に希釈するめのガスをプラズマ化し、該プラズマを
上記堆積室に輸送し、堆積室おいて200乃至500℃
に保持された上記基板表面に供給するプラズマCVD法
を用いる。
【0048】上記原料ガスおよび上記原料ガスを所定濃
度に希釈するためのガスをプラズマ化する方法に関して
は、本実施形態では、上記原料ガスの、該原料ガスを所
定濃度に希釈するためのガスに対する比率と、上記ガス
をプラズマ化するために印加する高周波電力の条件とし
ては、高周波電力が0.06ワット/平方センチメート
ル未満にあっては1/29を越えて1/5以下であり、
上記高周波電力が0.06ワット/平方センチメートル
以上0.3ワット/平方センチメートル未満にあって
は、1/14を越えて1/5以下とすることが好適であ
る。
【0049】また、上記多結晶シリコン薄膜を形成した
後で、さらにこの薄膜において目的とする結晶性を得る
ためにこの多結晶シリコン薄膜の結晶粒径を成長させる
ためには、上記多結晶シリコン薄膜の堆積された基板に
対して、熱処理、レーザーアニール処理等の一般的なア
ニールを施せばよい。
【0050】[実施例]以下、本発明の各実施例につい
て説明する。
【0051】(実施例1)シリコン基板を公知の方法で
洗浄し、プラズマCVD装置内に設置した。該シリコン
ウエハはプラズマCVD装置内に設置される前に大気中
にさらされるため、該シリコン基板表面には自然酸化膜
が形成されている。
【0052】該シリコン基板をプラズマCVD装置内に
設置した後に、該基板の温度を300℃に保持したの
ち、該プラズマCVD装置内に水素ガスを供給し、圧力
を200パスカル(1.5トル)に保ち、10分間保持
した。この状態で該基板の表面に、上記自然酸化膜の一
部が還元され、シリコン原子がむき出しになっている領
域が形成された。
【0053】この工程に引き続き、プラズマCVD装置
内に、モノシラン流量の水素流量に対する比が1/7に
なるように供給し、上記プラズマ装置にセットされた電
極に0.075ワット/平方センチメートルの高周波電
力を印加してモノシランを分解し、上記シリコン基板上
に第1の多結晶シリコン薄膜を堆積した。
【0054】該多結晶シリコン薄膜の堆積速度は1μm
/hであった。この成膜速度は、従来技術において、高
周波電力密度を0.3ワット/平方センチメートルまで
上昇させたときの成膜速度に匹敵する。このように本実
施例では、モノシランが分解することによって多結晶シ
リコン膜が形成される過程に、前述した結晶シリコン膜
と非晶質シリコン膜のプラズマ中でのエッチング速度の
違いを利用して、結晶シリコンの成長を促進する過程が
加わるために、低い高周波電力でも高速の成膜速度が得
られた。
【0055】また、結晶粒径は200ナノメートルであ
った。この多結晶シリコン薄膜の結晶粒径200ナノメ
ートルという値は、該多結晶シリコン薄膜形成の本工程
に続く結晶粒径成長工程で、該多結晶シリコン薄膜の結
晶粒径を、太陽電池の十分な特性を保証するに足る大き
さの5μm以上に成長させるのに十分な大きさであっ
た。
【0056】従来技術では、図5における0.075ワ
ット/平方センチメートルの高周波電力密度で結晶質シ
リコン膜が得られる場合(モノシランと水素の混合比1
/14)の堆積速度は0.2μm/hであり、本実施例
1の方法では、上記従来技術の成膜速度の5倍であり、
従来技術の成膜速度が遅いという欠点を解決している。
【0057】また、従来技術でも成膜速度が低下しない
ようにモノシランと水素の混合比を本実施例と等しく高
くとり、該混合比で結晶質膜が成長するように高周波電
力密度を0.3ワット/平方センチメートルにした場合
は、成膜速度は1μm/hに増加している。しかしなが
ら、形成された多結晶シリコン薄膜の結晶粒径は20n
mと小さく、これに続く結晶粒径の成長工程で1100
℃まで温度を上げて結晶粒径の成長を行っても、結晶粒
径は200nm程度にしかならず、太陽電池の特性は十
分なものではなかった。
【0058】さらに、本実施例1の方法で形成された多
結晶シリコン膜中に不必要な不純物元素が混入すること
もなかった。この多結晶シリコン薄膜を850℃で30
分アニールすることにより、結晶粒径を成長させ電気的
特性の良好な太陽電池を製造することが可能となった。
【0059】(実施例2)アルミナ基板を公知の方法で
洗浄し、プラズマCVD装置内に設置した。該アルミナ
基板をプラズマCVD装置内に設置した後に、該基板の
温度を500℃に保持したのち、該プラズマCVD装置
内に水素ガスを供給し、圧力を200パスカル(1.5
トル)に保ち、15分間保持した。この状態で、該基板
の表面には、上記アルミナ基板の表面の一部が還元さ
れ、アルミニウム原子がむき出しになっている領域が形
成された。
【0060】この工程に引き続き、基板温度を300℃
に下げた後、プラズマCVD装置内に、モノシラン流量
の水素流量に対する比が1/7になるように供給し、上
記プラズマ装置にセットされた電極に0.075ワット
/平方センチメートルの高周波電力を印加してモノシラ
ンを分解し、上記アルミナ基板上に第1の多結晶シリコ
ン薄膜を堆積した。
【0061】アルミニウム原子はシリコン原子と結合し
やすいため、上記アルミニウム原子がむき出しになった
ところを核にして多結晶シリコン膜が成長し、他の部分
に成長した非晶質シリコン膜はプラズマによってエッチ
ングされ、上記核の周りに成長する多結晶シリコンの成
長を促進した。
【0062】該多結晶シリコン薄膜の堆積速度は1μm
/hであった。この成膜速度は、従来技術において、高
周波電力密度を0.3ワット/平方センチメートルまで
上昇させたときの成膜速度に匹敵する。このように本実
施例2では、モノシランが分解することによって多結晶
シリコン膜が形成される過程に、前述した結晶シリコン
膜と非晶質シリコン膜のプラズマ中でのエッチング速度
の違いを利用して、結晶シリコンの成長を促進する過程
が加わるために、低い高周波電力でも高速の成膜速度が
得られた。
【0063】また、結晶粒径は200ナノメートルであ
った。この多結晶シリコン薄膜の結晶粒径200ナノメ
ートルという値は、該多結晶シリコン薄膜形成の本工程
に続く結晶粒径成長工程で、該多結晶シリコン薄膜の結
晶粒径を、太陽電池の十分な特性を保証するに足る大き
さの5μm以上に成長させるのに十分な大きさであっ
た。従来技術では、図5における0.075ワット/平
方センチメートルの高周波電力密度で結晶質シリコン膜
が得られる場合(モノシランと水素の混合比1/14)
の堆積速度は0.2μm/hであり、本実施例2の方法
においても、実施例1と同様に、上記従来技術の成膜速
度の5倍であり、従来技術の成膜速度が遅いという欠点
を解決している。また、従来技術でも成膜速度が低下し
ないようにモノシランと水素の混合比を本実施例と等し
く高くとり、該混合比で結晶質膜が成長するように高周
波電力密度を0.3ワット/平方センチメートルにした
場合は、成膜速度は1μm/hに増加したが、形成され
た多結晶シリコン薄膜の結晶粒径は20nmと小さく、
これに続く結晶粒径の成長工程で1100℃まで温度を
上げて結晶粒径の成長を行っても、結晶粒径は200n
m程度にしかならず、太陽電池の特性は十分なものでは
なかった。
【0064】さらに、本実施例2の方法でも、得られた
多結晶シリコン膜中に不必要な不純物元素が混入するこ
ともなかった。この第1の多結晶シリコン薄膜を850
℃で30分アニールすることにより、アルミナ基板上に
も、結晶粒径を成長させ電気的特性の良好な太陽電池を
製造することが可能となった。
【0065】(実施例3)ガラス基板を公知の方法で洗
浄し、プラズマCVD装置内に設置した。該ガラス基板
をプラズマCVD装置内に設置した後に、該基板の温度
を300℃に保持したのち、該プラズマCVD装置内に
水素ガスを供給し、圧力を200パスカル(1.5ト
ル)に保ち、15分間保持した。この状態で該基板の表
面に、上記ガラス基板の表面の一部が還元され、シリコ
ン原子がむき出しになっている領域が形成された。
【0066】この工程に引き続き、基板温度を300℃
に下げた後、プラズマCVD装置内に、モノシラン流量
の水素流量に対する比が1/7になるように供給し、上
記プラズマ装置に設置された電極に0.075ワット/
平方センチメートルの高周波電力を印加してモノシラン
を分解し、上記ガラス基板上に多結晶シリコン薄膜を堆
積した。
【0067】該シリコン原子がむき出しになったところ
を核にして多結晶シリコン膜が成長し、他の部分に成長
した非晶質シリコン膜はプラズマによってエッチングさ
れ、上記核の周りに成長する多結晶シリコンの成長を促
進した。該多結晶シリコン薄膜の堆積速度は1μm/h
であった。この成膜速度は、従来技術において、高周波
電力密度を0.3ワット/平方センチメートルまで上昇
させたときの成膜速度に匹敵する。
【0068】このように本実施例3では、モノシランが
分解することによって多結晶シリコン膜が形成される過
程に、前述した結晶シリコン膜と非晶質シリコン膜のプ
ラズマ中でのエッチング速度の違いを利用して、結晶シ
リコンの成長を促進する過程が加わるために、低い高周
波電力でも高速の成膜速度が得られた。
【0069】また、結晶粒径は200ナノメートルであ
った。この多結晶シリコン薄膜の結晶粒径200ナノメ
ートルという値は、上記実施例1および実施例2と同様
に、該多結晶シリコン薄膜形成の本工程に続く結晶粒径
成長工程で、該多結晶シリコン薄膜の結晶粒径を、太陽
電池の十分な特性を保証するに足る大きさの5μm以上
に成長させるのに十分な大きさであった。従来技術で
は、図5における0.075ワット/平方センチメート
ルの高周波電力密度で結晶質シリコン膜が得られる場合
(モノシランと水素の混合比1/14)の堆積速度は
0.2μm/hであり、本実施例3の方法では上記従来
技術の成膜速度の5倍であり、従来技術の成膜速度が遅
いという欠点を解決している。また、従来技術でも成膜
速度が低下しないようにモノシランと水素の混合比を本
実施例と等しく高くとり、該混合比で結晶質膜が成長す
るように高周波電力密度を0.3ワット/平方センチメ
ートルにした場合は、成膜速度は1μm/hに増加した
が、形成された第1の多結晶シリコン薄膜の結晶粒径は
20nmと小さく、これに続く結晶粒径の成長工程でレ
ーザーアニール法で結晶粒径の成長を行っても、結晶粒
径は200nm程度にしかならず、太陽電池の特性は十
分なものではなかった。
【0070】さらに、本実施例3の方法で形成された多
結晶シリコン膜中には、実施例1および実施例2と同様
に、不必要な不純物元素が混入することもなかった。そ
して、この多結晶シリコン薄膜をエキシマレーザーを用
いてアニールすることにより、ガラス基板上にも、結晶
粒径を成長させ電気的特性の良好な太陽電池を製造する
ことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シリコン基板上のシリコン原子が露出した部
分と自然酸化膜で覆われた部分とにそれぞれ形成される
結晶質シリコンと非晶質シリコンとを表す本発明に係る
製造方法の模式図である。
【図2】 シリコン基板上の自然酸化膜で覆われた部分
とシリコン原子が露出した部分におけるシリコンのエッ
チングと堆積の状態を示す本発明に係る製造方法の模式
図である。
【図3】 シリコン、アルミニウム、ホウ素のうちの少
なくとも1種類の元素を含む酸化物、あるいはシリコン
原子を含むガラスにより形成された基板を用い、基板の
シリコン原子が露出した部分と自然酸化膜で覆われた部
分とにそれぞれ形成される結晶質シリコンと非晶質シリ
コンとを表す本発明に係る製造方法の模式図である。
【図4】 シリコン、アルミニウム、ホウ素のうちの少
なくとも1種類の元素を含む酸化物、あるいはシリコン
原子を含むガラスにより形成された基板を用い、基板の
自然酸化膜で覆われた部分とシリコン原子が露出した部
分におけるシリコンのエッチングと堆積の状態を示す本
発明に係る製造方法の模式図である。
【図5】 従来技術における多結晶シリコン薄膜の形成
される高周波電力密度とモノシランと水素の混合比の範
囲を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 29/78 627E 627G 627Z

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪素の水素化物、珪素のハロゲン化物、
    あるいは珪素と水素およびハロゲン元素の化合物のうち
    の少なくとも1種類から構成される多結晶シリコン薄膜
    の原料ガスを用いて、基板上に多結晶シリコン薄膜を形
    成し、さらに所定の結晶性を得るために上記多結晶シリ
    コン薄膜の結晶粒径を成長させる多結晶シリコン薄膜の
    製造方法であって、 上記基板をあらかじめ水素によって被曝し、 その後、上記多結晶シリコン薄膜の原料ガスと、該原料
    ガスを所定濃度に希釈するためのガスとを用いて、上記
    基板上に上記多結晶シリコン薄膜を形成することを特徴
    とする多結晶シリコン薄膜の製造方法。
JP18162297A 1997-07-07 1997-07-07 多結晶シリコン薄膜の製造方法 Pending JPH1126385A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021241448A1 (ja) * 2020-05-29 2021-12-02 株式会社Kokusai Electric 半導体装置の製造方法、基板処理方法、基板処理装置、およびプログラム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021241448A1 (ja) * 2020-05-29 2021-12-02 株式会社Kokusai Electric 半導体装置の製造方法、基板処理方法、基板処理装置、およびプログラム
JPWO2021241448A1 (ja) * 2020-05-29 2021-12-02

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