JP3274099B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池の製造方法

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JP3274099B2 JP35327198A JP35327198A JP3274099B2 JP 3274099 B2 JP3274099 B2 JP 3274099B2 JP 35327198 A JP35327198 A JP 35327198A JP 35327198 A JP35327198 A JP 35327198A JP 3274099 B2 JP3274099 B2 JP 3274099B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池の製造方
法に関し、特に、太陽電池の活性層に吸収された光を効
果的に用いることのできる太陽電池の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、各種機器において、駆動エネルギ
ー源として太陽電池が利用されている。太陽電池は機能
部分にPN接合またはPIN接合を用いており、該PN
接合を構成する半導体としては、一般にシリコンが用い
られている。光エネルギーを起電力に変換する効率の点
からは、半導体材料として単結晶シリコンを用いるのが
好ましいが、大面積化および低コスト化の点からはアモ
ルファスシリコンが有利といわれている。
【0003】一方、近年においては、アモルファスシリ
コンなみの低コストと単結晶シリコンなみの高エネルギ
ー変換効率とを得る目的で多結晶シリコンの使用が検討
されているが、未だ単結晶シリコンなみの高エネルギー
変換効率を得るには至っていない。
【0004】単結晶シリコンにおいては、種々の高効率
化技術、例えば、ポイント−コンタクト法(Richard M.
Swanson et al., IEEE, Vol.ED-31, No.5, MAY(1984) P
661)や、表面パッシベーション技術や電極面積の低減化
技術(T.Nammori, Research Forum of Crystalline Sola
r Cells,(1989)p77,Tokyo)、光閉じ込め技術(T.Uematsu
et al., Conf.Recordof the 20th IEEEPVSC (1988)p79
2)等の検討が行なわれているが、いずれも低コスト化の
点からは十分な技術とはいえないのが現状である。すな
わち、コストを下げるためには十分な薄膜化が必要であ
る。
【0005】また、従来の単結晶シリコン太陽電池の薄
型化では、単結晶シリコンをエッチングによって薄くし
た平板型の基板を用いるしかなく、微細構造の形成や形
成プロセスの安定化、大面積化等困難なところが多かっ
た。
【0006】また、米国特許4,816,420号明細書には、
タンデム型太陽電池の製造方法が開示されている。この
方法は、まず結晶基板上にマスク層を形成し、マスク層
の上に横成長結晶物質を与える条件の下で基板のマスク
されていない領域に結晶物質を蒸着し、単結晶物質のシ
ートが得られるまで横成長を続け、基板からそのシート
を分離し、その分離されたシートから薄膜太陽電池を形
成する。タンデム型太陽電池を形成するには前記太陽電
池ともう一枚の太陽電池とを貼り合わせる。
【0007】しかしながら、比較的薄い半導体層にて変
換効率の高い太陽電池を提供するには決して充分なもの
とは言えず未だ改良の余地があった。また、歩留まりに
おいても同様に改善の余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の太陽電池よりも光電変換効率が向上した太陽電池を歩
留まりよく製造することにある。
【0009】本発明の他の目的は、大面積の太陽電池パ
ネルを低コストで作製するのに好適な太陽電池の製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の太陽電池の製造方法は、第1の基板上に光起
電力素子となる少なくとも一つの単結晶半導体からなる
層を形成し、その後導電性接着剤によって別の第2の基
板上に該層を接合させ、該第1の基板を剥離し、該第2
の基板上に接合された該層の上に透明電極を設ける工程
を含むことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施態様に
ついて説明するが、本発明は該実施態様に限定されるこ
とはなく、本発明の目的を達成するものであれば、用い
る材料や形状及び大きさ、製造工程等が変更されたもの
をも包含する。
【0012】本発明に用いられる第1の基板は、Si,
Ge,C,SiC,SiGe等からなる単結晶基板や、
GaAs,InP,CdTe等からなる基板が用いられ
る。また、酸化シリコンや窒化シリコン等の非単結晶材
料からなる基板であっても良い。勿論、単結晶Si上に
SiO2が形成されたものや、樹脂等からなる基板上に
上記各材料がコーティングされたものであっても良い。
【0013】そして、非単結晶材料からなる実質的に平
坦な表面を有する基板を用いて、複数の単結晶領域を有
し、かつ、複数の結晶面からなる凹凸表面を有する半導
体層を形成する場合には、特開平3−94477に記載
されている単結晶半導体層の形成工程を利用すれば良
い。
【0014】一方、単結晶基板を用いて凹凸表面を有す
る半導体層を形成する場合には、用いる単結晶基板自体
に凹凸が形成されていることが好ましい。
【0015】また、上述した各種基板上に凹凸表面を有
する半導体層を形成するための堆積膜形成方法として
は、物理的気相堆積法(PVD)や化学的気相堆積法
(CVD)が用いられる。とりわけ、単結晶総領域を含
む堆積膜を形成するためには、バイアススパッタリング
法やCVD法によるエピタキシャル成長法が好ましい。
その中でも、堆積速度を向上させ、かつ良質の凹凸表面
を有する単結晶半導体層形成のためには、後に詳しく説
明するCVD法が望ましい。このようなCVD法につい
ては米国特許4,835,005号明細書に詳しく開示
されている。
【0016】本発明に用いられるより好ましい技術の一
つは、図1に示すように、単結晶シリコンウエハー上に
光閉じ込め効果を奏するように凹凸部としてのV型溝を
形成し、さらに超薄膜の絶縁層を前記V型溝上に形成す
ることである。
【0017】ここで、光閉じ込め効果を奏するに好まし
いV型溝を形成することについて簡単に説明する。
【0018】光閉じ込め効果を奏するようなV型溝の形
成法とは、図1(a)に示されるように、(100)面を持つシ
リコンウエハーを用い、酸化シリコン膜、窒化シリコン
膜等のエッチングマスクを形成した後、水酸化カリウム
液やヒドラジン等の異方性エッチングを起こさせる溶液
でシリコンウエハーをエッチングする。このエッチング
で、エッチング速度の早い(100)面は時間が経つにつれ
てウエハ内部へエッチングが進み、最終的に(111)面で
囲まれたV型溝が形成される。V型溝の傾きは、結晶面
方位で決まっており、その開き角は約70.5°となる。
【0019】V型溝の深さ(エッチングの深さ)は(10
0)面を持つシリコンウエハの厚さと、エッチングマスク
の間隔によって任意に制御することができる。
【0020】ついで、フッ化水素水溶液等のエッチング
マスクを溶かし得る液でエッチングマスクを除去し、図
1(b)に示すような光閉じ込め効果を奏する構造に加工
されたV型溝を有する第1の基板103を形成することが
できる。
【0021】次に、図1(c)に示すように、V型溝を有
する第1の基板103の表面に、PVD法、CVD法、熱
酸化法等により絶縁層として酸化シリコン薄膜104を不
均一に堆積させる。これにより、複数箇所で下地の単結
晶Si表面が露出し、表面エネルギー等に差が生じ、ま
たエッジエネルギーの発生等により、より結晶成長が起
こり易くなる。また、光閉じ込め効果を奏する構造に加
工されたV型溝を有する第1の基板からの結晶成長層の
剥離をも容易にする。このような酸化シリコン薄膜104
の膜厚は適宜所望に従って決められるが、好ましくは2
Å〜100Å、より好ましくは3Å〜50Å、最適には4Å
〜10Åである。このくらい薄い膜であれば従来の成膜方
法をもってしても、自然に不均一な膜となり易い。
【0022】本発明に用いられるより好ましい技術のも
う一つは、前述の図1(c)に示された光閉じ込め効果を
奏する構造に加工された前記第1の基板を、堆積膜を形
成するための成膜空間内に配設し、前記第1の基板上に
ケイ素とハロゲンとを含む化合物を分解することにより
生成される活性種(A)と該活性種(A)と化学的相互
作用をする成膜用の化学物質より生成される活性種
(B)とを同時に、または各々別々に導入し、該活性種
の化学作用を利用して図2(a)に示すように、第1の導
電型の実質的に単結晶で構成される層201(以下、第1
の導電型の層と称す)を形成し、該第1の導電型の層20
1の上方に第2の導電型の実質的に単結晶で構成される
層202(以下、第2の導電型の層と称す)を形成する技
術である。このような単結晶層201及び202の層厚は適宜
所望に従って決められるが、特に層202の層厚として
は、好ましくは3μm〜50μm、さらに好ましくは4μm〜3
0μm、最適には5μm〜20μmであるのが望ましい。
【0023】この方法では堆積膜を形成するための成膜
空間においてプラズマを生起させる代わりに、ケイ素と
ハロゲンとを含む化合物を成膜空間とは異なる活性空間
(A)において活性化エネルギーを与えて分解すること
により生成される活性種(A)と成膜用の化学物質より
生成される活性種(B)との共存下において、化学的相
互作用を生起させるため、形成される堆積膜はプラズマ
や生成されたイオン等によるスパッタリングや電子等の
悪影響を受けない。また、本発明によれば、成膜空間の
雰囲気温度、基板温度を所望に従って任意に制御するこ
とにより、より安定したCVD法とすることができる。
【0024】この方法が通常のCVD法と違う点の一つ
は、予め成膜空間とは異なる空間(以下活性化空間とい
う)において活性化された活性種を使用することであ
る。これにより従来のCVD法により成膜速度を飛躍的
に延ばしたり、堆積膜形成の際の基板温度も一層の低温
化を図ることが可能となる。しかも、単結晶層を形成し
易い方法でもある。
【0025】本発明では、成膜空間に導入される活性化
空間(A)からの活性種(A)は生産性および取り扱い
易さなどの点から、その寿命が0.1秒以上、より好まし
くは1秒以上、最適には10秒以上あるものが所望に従っ
て選択されて使用され、この活性種(A)の構成要素が
成膜空間で形成される堆積膜を構成する成分を構成する
ものとなる。また、成膜用の化学物質は、活性化空間
(B)において活性化エネルギーを作用させられること
により、活性化されて活性種(B)となる。活性種
(B)は成膜空間に導入され堆積膜を形成する際、同時
に活性化空間(A)から導入され、形成される堆積膜の
構成成分となる構成要素を含む活性種(A)と化学的に
相互作用する。活性化空間(A)に導入されるケイ素と
ハロゲンを含む化合物としては、例えば、鎖状または環
状シラン化合物の水素原子の一部乃至全部をハロゲン原
子で置換した化合物が用いられ、具体的には、例えば、
Siu2 u+2(uは1以上の正数、YはF,Cl,Brお
よびIより選択される少なくとも一種の元素である。)
で示される環状ハロゲン化ケイ素、Siv2v(vは3以
上の正数、Yは前述の意味を有する。)で示される環状
ハロゲン化ケイ素、Siuxy(uおよびYは前述の意
味を有する。x+y=2uまたは2u+2である。)で示される鎖
状または環状化合物などが挙げられる。
【0026】具体的には、例えば、SiF4,(Si
25,(SiF26,Si26,Si38,SiHF
3,SiH22,SiCl4,(SiCl25,SiBr
4,(SiBr25,Si2Cl6,Si2Br6,SiH
Cl3,SiH3Cl,SiH2Cl2,SiHBr3,S
iHI3,Si2Cl33などのガス状態の、または容易
にガス化し得るものが挙げられる。
【0027】活性種(A)を生成させるためには、前記
ケイ素とハロゲンを含む化合物に加えて、必要に応じて
ケイ素単体や他のケイ素化合物、水素、ハロゲン化合物
(例えばF2ガス、Cl2ガス、ガス化したBr2,I
2等)などを併用することができる。
【0028】活性化空間(A)で活性種(A)を生成さ
せる方法としては、各々の条件、装置を考慮してマイク
ロ波、RF、低周波、DC等の電気エネルギー、ヒータ
加熱、赤外線加熱等による熱エネルギー、光エネルギー
などの活性化エネルギーが使用される。
【0029】活性化空間(B)において、活性種(B)
を生成させる前記成膜用の化学物質としては、水素ガス
および/またはハロゲンガス(例えば、F2ガス、Cl2
ガス、ガス化したBr2,I2等)が有利に用いられる。
また、これらの成膜用の化学物質に加えて、例えばヘリ
ウム、アルゴン、ネオン等の不活性ガスを用いることが
できる。これらの成膜用の化学物質の複数を用いる場合
には、予め混合して活性化空間(B)内にガス状態で導
入することもできるし、あるいはこれらの成膜用の化学
物質をガス状態で各々独立した供給源から各個別に活性
化空間(B)に導入することもできる。また各々独立の
活性化空間に導入して、各々個別に活性化することもで
きる。
【0030】本発明において、成膜空間に導入させる前
記活性種(A)と前記活性種(B)との量の割合は、成
膜条件、活性種の種類などで適宜所望に従って決められ
るが、好ましくは10:1〜1:10(導入流量比)が適当であ
り、より好ましくは、8:2〜4:6とされるのが望ましい。
【0031】またこの方法により形成される堆積膜は、
成膜中または成膜後にいわゆる半導体分野でいう不純物
元素でドーピングすることが可能である。使用する不純
物元素としては、p型不純物として、周期表第3B族の
元素、例えば、B,Al,Ga,In,Tl等が好適な
ものとして挙げられ、n型不純物としては、周期表第5
B族の元素、例えば、P,As,Sb,Bi等が好適な
ものとして挙げられるが、特にB,Ga,P,Sb等が
最適である。ドーピングされる不純物の量は、所望され
る電気的・光学的特性に応じて適宜決定される。
【0032】かかる不純物元素を成分として含む物質
(不純物導入用物質)としては、常温常圧でガス状態で
ある、あるいは少なくとも活性化条件下で気体であり、
適宜の気化装置で容易に気化し得る化合物を選択するの
が好ましい。このような化合物としては、PH3,P2
4,PF3,PF5,AsH3,AsF3,AsF5,AsC
3,SbH3,SbF5,SiH3,BF3,BCl3,B
Br3,B26,B410,B59,B511,B610
612,AlCl3等を挙げることができる。不純物元
素を含む化合物は、1種用いても2種以上併用してもよ
い。
【0033】不純物元素を成分として含む化合物は、ガ
ス状態で直接成膜空間内に導入しても差し支えないし、
あるいは予め活性化空間(A)ないしは活性化空間
(B)、または第3の活性化空間(C)で活性化させた
後、成膜空間に導入することもできる。
【0034】尚、このCVD法において「活性種」と
は、形成される堆積膜の原料にはなり得るが、そのまま
のエネルギー状態では堆積膜を形成することが全くまた
は殆どできない前駆体と化学的相互作用を起こして、例
えば、前記前駆体にエネルギーを与えたり、前駆体と化
学的に反応したりして、前駆体を堆積膜を形成すること
ができる状態にする役目を担うものである。従って、活
性種としては、形成される堆積膜を構成する要素になる
構成要素を含んでいても良く、あるいはそのような構成
要素を含んでいなくても良い。
【0035】次に図2(b)に示すように、導電性接着剤2
03を介して、前記第2の導電型の層を固定する支持体20
4とを接着し固定する。導電性接着剤203としては、例え
ばAg系ペースト、Ag/Cu系ペースト、Ni系ペー
スト等が使用され、前記単結晶層を固定する支持体(第
2の基板)204としては、導電性を有する支持体が使用
され、例えば、ステンレス板、アルミ板、鉄板等が使用
される。
【0036】そして、本発明に用いられる好ましいもう
一つの技術は、図3(a),(b)に示すように、図2(b)にお
ける光閉じ込め効果を奏する構造に加工されたV型溝を
有する第1の基板103と、前記第1の導電型の層201とを
剥離することである。
【0037】ここで前記V型溝を有する第1の基板103
と前記第1の導電型の層201とを剥離する方法について
簡単に説明する。
【0038】前記図2(b)において、前記V型溝を有す
る第1の基板103の表面上に、CVD法等により不均一
に堆積した薄膜の酸化シリコン膜104を、該酸化シリコ
ン膜を溶解し得る液、例えばフッ化水素水溶液等に浸
し、超音波振動等を加えることにより、第1の導電型の
層201を、前記第1の基板103の表面から剥離する。
【0039】次いで、図3(c)に示すように、前記剥離
した第1の導電型の層201の表面上に、透明電極301、例
えばSnO2,In23,ITO(Indium-Tin Oxide)等
を蒸着し、次いで図4に示すように、前記透明電極上に
集電電極401を、例えば、Ag,Ni,Au,Ti,P
d,Al等を真空蒸着法にて、または、Ag,Al,C
u,Ni等の粉末を含む導電ペーストを印刷した後焼成
する印刷法等により形成して太陽電池を作製する。ま
た、剥離した前記第1の基板103は再び酸化シリコン薄
膜104を不均一に堆積させる工程に戻り、第1の基板と
して再利用される。
【0040】すなわち、本発明の一つの実施態様は、光
閉じ込め効果を奏する構造に加工された第1の基板表面
上に、薄膜の絶縁層を形成する工程、前記基板を堆積膜
を形成するための成膜空間内に配設して、前記基板上に
ケイ素とハロゲンとを含む化合物を分解することにより
生成される活性種(A)と、該活性種(A)と化学的相
互作用をする、成膜用の化学物質により形成される活性
種(B)とを同時にまたは各々別々に導入し、該活性種
の化学作用を利用して第1の導電型の層を形成する工
程、該第1の導電型の層の上方に該層と同様にして第2
の導電型の層を形成する工程、前記第1及び第2の導電
型の層を前記第1の基板表面から剥離する工程、とを有
する太陽電池の製造方法である。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何等限定される
ものではない。
【0042】(実施例1)図1(a)に示すように、250μ
m厚の(100)シリコンウエハ101の表面に絶縁層102として
熱酸化膜を2000Å形成した。次にフォトリソグラフィー
を用いてエッチングを行ない、絶縁層102の幅(a')が1
μm、絶縁層102の間隔(b')が200μmであるような基板を
作製し、KOH水溶液やヒドラジン溶液中にて約70℃で
約24時間結晶面選択エッチングを行なった後、流水洗浄
を行なった。次いで、5%濃度のフッ化水素水溶液に1
時間浸し、エッチングマスクである絶縁層102を除去
し、流水洗浄した後乾燥させて、図1(b)に示すような
光閉じ込め効果を奏する構造に加工されたV型溝を有す
る第1の基板103を形成させた。
【0043】次に、前記第1の基板103を、容量結合形
電極を有する従来型のRFプラズマCVD装置内の反応
室内に設置し、SiH4ガスとO2ガスをそれぞれ20sccm
と40sccmにて別系統から反応室内に導入しながら、基板
温度270℃、高周波電力50W、高周波周波数13.56MHz、圧
力0.8Torrで数分間放電することにより、図1(c)に示す
ような不均一で単結晶が一部分露出した酸化シリコン薄
膜104を層厚8Åで形成させた。
【0044】(結晶層の形成)図5に示すような装置を
用いて、前記第1の基板103の表面上に結晶層を形成さ
せた。図5において、501はケイ素とハロゲンを含む化
合物を導入するガス導入管、502はケイ素とハロゲンを
含む化合物を分解することにより生成される活性種
(A)と化学反応する成膜用化学物質を導入するガス導
入管、503は基板、504は基板503を保持するホルダーで
あり基板温度を適宜設定できるようヒーターが内蔵され
ている。ガス導入管501及び502より導入される各ガスは
未反応、または反応生成物を含め真空ポンプ(図示せ
ず)で排気される。
【0045】ガス導入管501より導入されるケイ素とハ
ロゲンを含む化合物は、高周波電力発生装置の制御によ
り、一部または全てが分解され会合空間505へ導入され
る。一方、ガス導入管502より導入される活性種(B)
となるガスを導入し、高周波電力発生装置により導入さ
れたガスをプラズマ分解させ、活性種(B)を多量生成
し、会合空間505へ導入させる。会合空間505にてケイ素
とハロゲンを含む化合物の分解生成物である活性種
(A)およびこれと化学反応する活性種(B)は、化学
反応を経て基板503へと輸送され、基板表面反応を経
て、堆積膜を形成する。
【0046】今、表1に示す結晶性シリコンの作製条件
にしたがって、SiF4ガス75sccmをガス導入管501よ
り、また、H2及びArガスを各々9,75sccmずつガ
ス導入管502より導入し、成膜空間圧力を380mTorrにな
るよう排気バルブ(図示せず)を調整する。高周波電力
2.45GHzを400Wに調整し、堆積を開始する。基板503とし
て、Si(100)ウエハー(抵抗率1kΩcm程度)を用い
た。これは予め有機洗浄した後、一般にRCA洗浄とし
て知られる洗浄法(NH3:H22:H2O=1:1:4mol比に
て10分間の煮沸の後、さらにHCl:H22:H2O=1:
1:4 mol比にて10分間煮沸)を実施した後にエッチング
液(HF:H2O=1:9 mol比)で30秒間ディッピングを
行なったものである。
【0047】
【表1】
【0048】以上のような作製条件下で作製される結晶
シリコンは、堆積速度18Å/sと高速であり、反射型高
速電子線回折像からは菊池帯の観察される優れた単結晶
薄膜であることがわかる。
【0049】次に、基板503として、前記図1(c)に示す
ような光閉じ込め効果を奏する構造に加工されたV型溝
を有する第1の基板を用い、先に説明した表1に示す結
晶性シリコン作製条件の下で、図5に示す装置を用いて
堆積を行なった(図2(a))。但し、基板の有機洗浄及
びRCA洗浄、HFディッピングは行なわず、また、光
閉じ込め効果を奏する構造に加工されたV型溝表面に形
成された第1の導電型の層201は、不純物導入用物質と
してB26/ArガスをSiF4ガスに対して1ppm、H
2及びArガスと共にガス導入管502より導入し、また、
第2の導電型の層202は、不純物導入用物質として、P
3/ArガスをSiF4ガスに対して1ppm、H2及びA
rと共にガス導入管502より導入してシリコン結晶層を
堆積させた。
【0050】次に、シリコン結晶層を堆積させた基板50
3を基板温度410℃から自然冷却により冷却した後、基板
503を堆積装置より取り出し、導電性接着剤203としての
銀ペーストを第2の導電型の層202の表面上に塗布し、
次いで前記単結晶層を固定する支持体204として、厚さ
1.5mmのステンレス板を貼り着けた(図2(b))。
【0051】(結晶層の剥離)図2(b)に示す単結晶層
を堆積させ、導電性接着剤を介してステンレス板を貼着
けた基板の前記第1の基板103側より第1の導電型の層2
01までを、5%フッ化水素水溶液に浸し、超音波振動を
加えることにより層201と第1の基板103とを剥離して
(図3(a))、図3(b)に示すステンレス支持体側に残っ
たものに流水洗浄を十分に行なった。
【0052】次いで、十分に乾燥させた層201の表面上
にRH法により透明電極301としてSnO2/ITOを80
0Å蒸着した(図3(c))。最後に前記透明電極301上に
集電電極401を、Agの粉末を含む導電ペーストを印刷
した後焼成する印刷法により形成して、図4に示すよう
な薄膜単結晶シリコン太陽電池を得た。
【0053】このようにして得られた薄膜単結晶シリコ
ン太陽電池のI−V特性について、AM1.5、100mW/cm
2の光照射下で測定を行なった。その結果、光起電力の
変換効率は17%であり、実用の単結晶シリコン太陽電
池特性として優れたものであった。尚、測定時の太陽電
池の面積は4cm2で行なった。
【0054】また、剥離した第1の基板103を再び用い
て合計10回、単結晶シリコン太陽電池の作製を行な
い、同様にI−V特性を測定したところ、光起電力の変
換効率のばらつきは±5%以内であった。
【0055】(実施例2)実施例1において単結晶シリ
コン膜形成を図5の装置に代えて図6の概略図に示す成
膜装置にて行なった。
【0056】同図において、601はガス導入リングで、
主としてシリコン原子とハロゲンを含む化合物を真空チ
ャンバー603へ導入する。602はガス導入管であり、主と
して活性種(b)の原料となるガスを石英キャビティ60
3内へ導入する。マイクロ波はマイクロ波発振器(図示
せず)より発生し、導波管605内を伝搬し、しぼり606を
適宜調整することによりしぼり606とメッシュ604の間に
定在波を発生させ石英キャビティ603内に存在するガス
をプラズマ化することができる。607はヒーター内蔵の
ホルダーであり、基板608を所望の温度に加熱保持する
ことが可能である。本実施例では、実施例1と同様にし
て作製した光閉じ込め効果を奏する構造に加工されたV
型溝を有する第1の基板を基板608として配置した。
【0057】ガス導入管602より水素ガス25sccm及びHe
ガス35sccmを石英キャビティ603へ導入した。また、ガ
ス導入リング601よりSi26ガス12sccmを図6に示す
ように基板608に向けて導入した。マイクロ波発振器の
電力を300Wに調整し、しぼり606を調整することで石英
キャビティ603内の水素ガス及びHeガスをプラズマ化
することが可能である。表2に結晶シリコン作製の条件
を示す。
【0058】
【表2】
【0059】このようにして生成される水素ラジカルは
ガス導入リング601より噴出するSi26ガスと化学反
応し、基板608上にシリコン結晶層を堆積する。
【0060】まず、第1の導電型の層201を基板608上に
堆積させるために、Si26ガスにBF3ガスを1.5ppm
混入させて行なった。これにより基板608上に0.5μmの
シリコン結晶層が堆積された。その後、マイクロ波発振
器の出力をゼロにし、堆積を停止し、また各ガスの供給
を停止した後、真空チャンバー609を十分排気し残留ガ
スを完全に排出した後、Si26ガスにPH3ガス0.7pp
mを混入し、他は同一の作製条件で第2の導電型の層202
を層厚7.5μm、続けて堆積させた。
【0061】次に、シリコン結晶層を堆積させた基板60
3を基板温度360℃から自然冷却により冷却した後、基板
603を堆積装置より取り出し、導電性接着剤203としての
銀ペーストを第2の導電型の層202の表面上に塗布し、
次いで前記単結晶層を固定する支持体204として、厚さ
2.0mmのステンレス板を貼り着けた(図2(b))。
【0062】上記ステンレス板を貼り着けた基板の前記
第1の基板103側より第1の導電型の層201までを、5%
フッ化水素水溶液に浸し、超音波振動を加えることによ
り層201と第1の基板103とを剥離して(図3(a))、ス
テンレス支持体上に残ったものを流水洗浄を十分に行な
った。
【0063】次いで、十分に乾燥させた層201の表面上
にRH法により透明電極301としてSnO2/ITOを80
0Å蒸着した(図3(c))。最後に前記透明電極301上に
集電電極401を、Agの粉末を含む導電ペーストを印刷
した後焼成する印刷法により形成して、図4に示すよう
な薄膜単結晶シリコン太陽電池を得た。
【0064】このようにして得られた薄膜単結晶シリコ
ン太陽電池のI−V特性について、AM1.5、100mW/cm
2の光照射下で測定を行なった。その結果、光起電力の
変換効率は16.5%であり、実用の単結晶シリコン太陽電
池特性として優れたものであった。尚、測定時の太陽電
池の面積は144cm2で行なった。
【0065】また、剥離した第1の基板103を再び用い
て合計7回、単結晶シリコン太陽電池の作製を行ない、
同様にI−V特性を測定したところ、光起電力の変換効
率のばらつきは±7%以内であった。
【0066】(実施例3)実施例1において、V型溝を
有する第1の基板103の表面上に堆積させる不均一な酸
化シリコン薄膜104の膜厚を表3に示すように変化させ
て、以下の操作を実施例1と同様にして薄膜単結晶シリ
コン太陽電池を作製した。
【0067】得られた薄膜単結晶シリコン太陽電池のI
−V特性について、AM1.5、100mW/cm2の光照射下で
測定を行なった。光起電力の変換効率の結果を表3に併
せて示す。
【0068】表3の結果から、V型溝を有する第1の基
板103上に形成される不均一な酸化シリコン薄膜104の膜
厚の最適領域が4〜10Åであることがわかった。
【0069】
【表3】
【0070】(実施例4)実施例2においてシリコン結
晶層の層厚に関して、特に第2の導電型の層202の層厚
を表4に示すように変化させて薄膜単結晶シリコン太陽
電池を作製した。
【0071】得られた薄膜単結晶シリコン太陽電池のI
−V特性について、AM1.5、100mW/cm2の光照射下で
測定を行なった。光起電力の変換効率の結果を表4に併
せて示す。
【0072】
【表4】
【0073】表4から、シリコン結晶層の層厚に最適な
領域が存在することがわかった。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
によれば変換効率の高い薄膜単結晶シリコン太陽電池を
製造することが可能であり、特に第2の基板として特殊
なものを用いる必要が無く、更に第1の基板が複数回使
用可能となり、良質の薄膜太陽電池をより安価に量産す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の製造方法における各過程の
模式的断面図である。
【図2】本発明の太陽電池の製造方法における各過程の
模式的断面図である。
【図3】本発明の太陽電池の製造方法における各過程の
模式的断面図である。
【図4】本発明の方法により製造される太陽電池の概略
斜視図である。
【図5】実施例1において使用した成膜装置の模式的概
略図である。
【図6】実施例2において使用した成膜装置の模式的概
略図である。
【符号の説明】
101 シリコンウエハー 102 絶縁層 103 光閉じ込め効果を奏する構造に加工されたV型溝
を有する第1の基板 104 酸化シリコン薄膜 201 第1の導電型の実質的に単結晶で構成される層 202 第2の導電型の実質的に単結晶で構成される層 203 導電性接着剤層 204 導電性支持体 301 透明電極 401 集電電極 501,502 ガス導入管 503 基板 504 ホルダー 505 会合空間 601 ガス導入リング 602 ガス導入管 603 石英キャビティ 604 メッシュ 605 マイクロ波 606 しぼり 607 ホルダー 608 基板 609 真空チャンバー

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板上に光起電力素子となる少な
    くとも一つの単結晶半導体からなる層を形成し、その後
    導電性接着剤によって別の第2の基板上に該層を接合さ
    せ、該第1の基板を剥離し、該第2の基板上に接合され
    た該層の上に透明電極を設ける工程を含むことを特徴と
    する太陽電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の基板が単結晶半導体からなる
    ものである請求項1記載の太陽電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1の基板が単結晶半導体からなる
    表面を有するものである請求項1記載の太陽電池の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記光起電力素子となる少なくとも一つ
    の単結晶半導体からなる層は凹凸を有する請求項1記載
    の太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の基板が実質的に平坦な面を有
    し、前記単結晶半導体からなる層の前記凹凸部は複数の
    結晶面である請求項4記載の太陽電池の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記光起電力素子がPN接合またはPI
    N接合を有するものである請求項1記載の太陽電池の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記光起電力素子が、前記単結晶半導体
    からなる層上に該層と異なる導電型の半導体層を結晶成
    長させることにより形成される請求項1記載の太陽電池
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記光起電力素子が、前記単結晶半導体
    からなる層の一部にドーパントを拡散させることにより
    形成される請求項1記載の太陽電池の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の基板を、フッ化水素溶液に浸
    して超音波振動を与えることにより剥離する請求項1記
    載の太陽電池の製造方法。
  10. 【請求項10】 剥離した前記第1の基板上に再び前記
    単結晶半導体からなる層を形成することにより、該第1
    の基板を複数回使用することを特徴とする請求項1又は
    9記載の太陽電池の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記導電性接着剤として、Ag系ペー
    スト、Ag/Cu系ペースト、Ni系ペーストのいずれ
    かを用いることを特徴とする請求項1記載の 太陽電池の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第2の基板として導電性を有する
    基板を用いることを特徴とする請求項1記載の太陽電池
    の製造方法。
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