JPH11255982A - 2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹脂組成物および容器 - Google Patents

2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹脂組成物および容器

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JPH11255982A
JPH11255982A JP17715498A JP17715498A JPH11255982A JP H11255982 A JPH11255982 A JP H11255982A JP 17715498 A JP17715498 A JP 17715498A JP 17715498 A JP17715498 A JP 17715498A JP H11255982 A JPH11255982 A JP H11255982A
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JP
Japan
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propylene
weight
resin composition
content
repeating unit
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Application number
JP17715498A
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English (en)
Inventor
Kenichi Azuma
賢一 東
Masaaki Tsutsubuchi
雅明 筒渕
Haruyuki Suzuki
治之 鈴木
Seiji Shiromoto
征治 城本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2軸延伸ブロー成形において、幅広い成形温
度範囲と均一延伸性を兼ね備え、さらに耐衝撃性に優れ
たプロピレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる
2軸延伸ブロー成形容器を提供する。 【解決手段】 示差走査熱量計(DSC)で100〜1
70℃の範囲に2つ以上の結晶融解ピークを有するプロ
ピレン系樹脂組成物であって、結晶融解曲線における各
ピークトップ温度の最高温度をTm1、最低温度をTm
2としたとき、Tm1−Tm2≧25℃であり、かつD
SCで測定した結晶融解熱量と全結晶融解熱量との関係
について、70%融解する温度をT70、30%融解す
る温度をT30としたとき、T70−T30≧20℃で
あることを特徴とする2軸延伸ブロー成形用プロピレン
系樹脂組成物及び該樹脂組成物から構成される2軸延伸
ブロー成形容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2軸延伸ブロー成
形用プロピレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物から構成
される2軸延伸ブロー成形容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは耐熱性、剛性等に優れ
ているため、フィルム、シート、容器などの分野で幅広
く利用されている。特に、容器の分野ではシートを成形
しておいて2次加工で真空成形や圧空成形する方法やチ
ューブ状に押し出されたパリソンに空気を吹き込む押出
ブロー成形などが挙げられる。
【0003】近年、射出成形後に空気を吹き込む2軸延
伸ブロー成形法が、ボトル物性や成形サイクルなどの改
良の点から好んで用いられており、この成形方法はプリ
フォームの射出成形後に同一機械で延伸ブロー成形する
1ステージ法と、プリフォームを射出成形で得た後に再
度加熱して延伸ブロー成形する2ステージ法に大別され
る。
【0004】ポリプロピレンのボトル物性、成形性を改
良するために、例えば特公平4−3727号公報には、
エチレン含有量1〜6重量%、かつメルトフローレート
4〜50g/10分のプロピレン−エチレンランダム共
重合体を用いて射出成形によるプリフォーム成形、予備
ブロー、延伸ブロー成形することによる延伸ブロー容器
が開示されている。しかし、この方法は、低温耐衝撃性
の点でまだ十分でなく、しかも容器の偏肉についても改
良の余地があった。
【0005】また、特開平9−52278号公報には、
メルトフローレート3〜40g/10分、コモノマー含
有量が6重量%超過、15重量%以下のプロピレンと炭
素数が2〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体
を縦横に合計で8倍以上に2軸延伸ブロー成形した容器
が開示されている。この容器は、耐衝撃性について改良
されるが、2軸延伸ブロー成形可能な温度幅が狭く、十
分ではなかった。
【0006】また、特開平9−24538号公報には、
メルトフローレート5〜80g/10分のポリプロピレ
ンを延伸ブロー成形して成る容器や、プロピレン単独重
合体40重量%とプロピレン−エチレンランダム共重合
体60重量%からなる容器が開示されている。この容器
は、耐衝撃性について改良されるが、示差走査熱量計で
100〜170℃の範囲に1つの結晶融解ピークを有し
ているため2軸延伸ブロー成形可能な温度幅が狭く、十
分ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2軸
延伸ブロー成形において、幅広い成形温度範囲と均一延
伸性を兼ね備え、さらに耐衝撃性に優れたプロピレン系
樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる2軸延伸ブロー
成形容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の組
成物の欠点を解消すべく検討を行った結果、2軸延伸ブ
ロー成形の温度範囲における樹脂の融解特性が良好な成
形性と相関があることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、示差走査熱量計(D
SC)で100〜170℃の範囲に2つ以上の結晶融解
ピークを有するプロピレン系樹脂組成物であって、結晶
融解曲線における各ピークトップ温度の最高温度をTm
1、最低温度をTm2としたとき、Tm1−Tm2≧2
5℃であり、かつDSCで測定した結晶融解熱量と全結
晶融解熱量との関係について、70%融解する温度をT
70、30%融解する温度をT30としたとき、T70
−T30≧20℃であることを特徴とする2軸延伸ブロ
ー成形用プロピレン系樹脂組成物である。また、本発明
は、前記プロピレン系樹脂組成物80〜100重量%及
び線状超低密度ポリエチレン20重量%以下を含有する
ことを特徴とする2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹
脂組成物である。また、本発明は、前記プロピレン系樹
脂組成物100重量部及び結晶造核剤0.5重量部以下
を含有することを特徴とする2軸延伸ブロー成形用プロ
ピレン系樹脂組成物である。また、本発明は、上記プロ
ピレン系樹脂組成物から構成されることを特徴とする2
軸延伸ブロー成形容器である。以下、本発明を詳細に説
明する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のプロピレン系樹脂組成物
は、示差走査熱量計(DSC)で100〜170℃の範
囲に2つ以上、好ましくは2〜3本の結晶融解ピークを
有するプロピレン系樹脂組成物であって、結晶融解曲線
の各ピークトップ温度の最高温度をTm1、最低温度を
Tm2としたとき、Tm1−Tm2≧25℃、好ましく
はTm1−Tm2≧30℃であり、かつDSCで測定し
た結晶融解熱量と全結晶融解熱量との関係について、7
0%融解する温度をT70、30%融解する温度をT3
0としたとき、T70−T30≧20℃、好ましくはT
70−T30≧21℃である。
【0011】プロピレン系樹脂組成物が、DSCで10
0〜170℃の範囲に結晶融解ピークを2つ以上有して
いないと良好な延伸ブロー成形性を示す温度幅が狭くな
るため好ましくない。
【0012】Tm1−Tm2が25℃未満であると良好
な成形性を発現する温度範囲が狭くなるため好ましくな
い。また、T70−T30が20℃未満であると良好な
延伸ブロー成形性を示す温度幅が狭くなり、また、容器
の偏肉が大きくなるために好ましくない。
【0013】図1は、DSCによる結晶融解曲線を示す
図であり、後記する実施例1及び比較例1のDSCによ
る結晶融解曲線を示す図である。本発明におけるTm1
とは、DSCによる結晶融解曲線に現れる各ピークトッ
プでの温度のうち最高の温度をいい、Tm2とは、各ピ
ークトップでの温度のうち最低の温度をいう。これらの
測定には、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DS
C7型)を用いる。熱プレス成形した厚さ0.2mmの
シート10mg程度を用いて窒素雰囲気下で220℃、
5分間溶融した後、5℃/分の降温速度で40℃まで降
温し、その後、5℃/分で昇温させて結晶融解曲線が得
られる。図2は、DSCによる積算融解吸熱量と温度の
関係を示す図である。図1の結晶融解曲線において、結
晶が未溶融状態の温度(40℃)と完全溶融状態の温度
(180℃)でベースラインを引き、この温度間での全
融解吸熱量に対し、低温側からの積算融解吸熱量の割合
を示した図である。
【0014】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、Tm
2での固体粘弾性測定における貯蔵弾性率E’1とTm
2−10℃における貯蔵弾性率E’2との関係がE’2
/E’1≦2.5であることが好ましい。貯蔵弾性率の
測定は、熱プレス成形した厚さ0.2mmのシートから
2mm×45mm(チャック間35mm)に切り出した
試験片を用いて、固体動的粘弾性測定機(東洋ボールド
ウィン社製RHEOVIBRON DDV−II−EA)
にて、110Hzの周波数で振動させ、20〜200℃
まで2℃/分で昇温させた条件にて行った。そのときの
動的応答として得られた貯蔵弾性率E’を用いた。
【0015】本発明のプロピレン系樹脂組成物の特性を
発現するためには、Tm1を発現する樹脂が、プロピレ
ンから誘導される繰り返し単位(以下、「プロピレン単
位」と称する)の含有量100〜92重量%、エチレン
から誘導される繰り返し単位(以下、「エチレン単位」
と称する)の含有量0〜3重量%、ブテン−1から誘導
される繰り返し単位(以下、「ブテン−1単位」と称す
る)の含有量0〜5重量%からなるプロピレン系共重合
体(a)であることが好ましい。また、Tm1を発現す
る樹脂が、プロピレン単独重合体(a−1)であること
がより好ましい。
【0016】本発明のプロピレン系樹脂組成物の特性を
損ねず、さらに耐衝撃性を改良するためには、Tm1を
発現する樹脂が、プロピレン単位の含有量100〜92
重量%、エチレン単位の含有量0〜3重量%、ブテン−
1単位の含有量0〜5重量%からなる結晶性ポリプロピ
レン部90〜65重量%と、プロピレン単位の含有量8
0〜20重量%、エチレン単位の含有量20〜80重量
%、ブテン−1単位の含有量0〜20重量%からなるプ
ロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテ
ン−1共重合体部10〜35重量%とから構成されるプ
ロピレン系ブロック共重合体(a−2)であることが好
ましい。
【0017】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記
プロピレン系共重合体(a)及び下記プロピレン系共重
合体(b)を含有する樹脂組成物(ただし、上記プロピ
レン系共重合体(a)と下記プロピレン系共重合体
(b)が同一である場合を除き、かつ下記プロピレン系
共重合体(b)は、上記プロピレン系共重合体(a)に
対して、さらにエチレン単位の含有量が2重量%以上多
い、または上記プロピレン系共重合体(a)に対して、
さらにブテン−1単位の含有量が4重量%以上多い)で
あることが好ましい。 (b):プロピレン単位の含有量98〜60重量%、エ
チレン単位の含有量0〜15重量%、ブテン−1単位の
含有量0〜25重量%からなるプロピレン系共重合体 上記プロピレン系共重合体(b)は、Tm2を発現する
樹脂である。
【0018】また、本発明のプロピレン系樹脂組成物
は、上記プロピレン単独重合体(a−1)及び上記プロ
ピレン系共重合体(b)を含有する樹脂組成物(ただ
し、上記プロピレン系共重合体(b)は、上記プロピレ
ン単独重合体(a−1)に対して、さらにエチレン単位
の含有量が2重量%以上多い、またはプロピレン単独重
合体(a−1)に対して、さらにブテン−1単位の含有
量が4重量%以上多い)であることがさらに好ましい。
【0019】また、本発明のプロピレン系樹脂組成物
は、上記プロピレン系ブロック共重合体(a−2)及び
上記プロピレン系共重合体(b)を含有する樹脂組成物
(ただし、上記プロピレン系共重合体(b)は、上記プ
ロピレン系ブロック共重合体(a−2)の結晶性ポリプ
ロピレン部に対して、さらにエチレン単位の含有量が2
重量%以上多い、または上記プロピレン系ブロック共重
合体(a−2)の結晶性ポリプロピレン部に対して、さ
らにブテン−1単位の含有量が4重量%以上多い)であ
ることがさらに好ましい。
【0020】上記Tm1、Tm2を発現する各成分の重
量割合は、特に限定されるものではなく、前記のとおり
示差走査熱量計(DSC)で100〜170℃の範囲に
2つ以上の結晶融解ピークを有するプロピレン系樹脂組
成物であって、結晶融解曲線の各ピークトップ温度の最
高温度をTm1、最低温度をTm2としたとき、Tm1
−Tm2≧25℃であり、かつDSCで測定した結晶融
解熱量と全結晶融解熱量との関係について、70%融解
する温度をT70、30%融解する温度をT30とした
とき、T70−T30≧20℃であるプロピレン系樹脂
組成物であればよい。
【0021】また、本発明は、さらに前記プロピレン系
樹脂組成物の耐衝撃性の改良効果を増すことを目的に、
前記プロピレン系樹脂組成物80〜100重量%及び線
状超低密度ポリエチレン20重量%以下を含有する樹脂
組成物が好ましい。さらに、前記プロピレン系樹脂組成
物80〜98重量%及び線状超低密度ポリエチレン20
〜2重量%を含有する樹脂組成物がより好ましい。線状
超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.910g/
cm3以下のものが好ましい。線状超低密度ポリエチレ
ンが20重量%を超えると製品物性として軟らかくなり
すぎる傾向がある。
【0022】本発明のプロピレン系樹脂組成物のTm1
とTm2の差をより拡大し、ブロー成形温度幅をより広
くするために、前記プロピレン系樹脂組成物100重量
部及び結晶造核剤0.5重量部以下を含有する樹脂組成
物が好ましい。さらに、前記プロピレン系樹脂組成物1
00重量部及び結晶造核剤0.05〜0.5重量部を含
有する樹脂組成物がより好ましい。結晶造核剤が、0.
5重量部を超えるとその効果は飽和し、余分にコストが
かかる。また、結晶造核剤を配合することは射出成形サ
イクルが短縮化できるため好ましい。結晶造核剤として
は、ソルビトール系造核剤、特殊リン酸塩系造核剤、ポ
リビニルシクロアルカンなどの一種または二種以上から
選ばれたものを用いることがより好ましい。
【0023】本発明の2軸延伸ブロー成形容器は、前記
の樹脂組成物から構成される容器である。成形方法とし
ては、1ステージ法でも2ステージ法でもよいが、特
に、2ステージ法が良好なブロー成形性と容器物性を発
現する点で好ましい。また、2軸延伸ブロー成形温度と
しては、Tm2−20℃からTm1の間から選択するこ
とが均一延伸性を発現する点でより好ましい。
【0024】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、重合
後の溶融混練時に有機過酸化物の存在下、不存在下に公
知の方法で、例えばメルトフローレートで代表される流
動性を変化させることが可能である。また、本発明のプ
ロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、顔料などを含
ませることができる。
【0025】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
幅広い2軸延伸ブロー成形温度範囲と均一延伸性を兼ね
備え、さらに耐衝撃性に優れた2軸延伸ブロー成形用プ
ロピレン系樹脂組成物が提供できる。また、本発明の容
器は、上記優れた特性を有するため均一延伸性及び低温
での耐衝撃性に優れ、各種液体の包装、輸送容器として
最適である。さらに、本発明の容器は、食品用容器、レ
トルト食品用容器、洗剤などの非食品用容器、輸液など
の医療用容器などに適している。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるもので
はない。実施例及び比較例中の各項目の測定は下記の方
法で実施した。 (1)示差走査熱量計(DSC) 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7型)を
用いて、予め試料10mgを窒素雰囲気下で220℃で
5分間溶融した後、5℃/分の降温速度で40℃まで降
温する。その後、5℃/分で昇温させて、得られた結晶
融解曲線の各ピークトップ温度の最高温度をTm1、最
低温度をTm2とした。結晶融解熱量は、前記方法によ
り測定した結晶融解曲線において、結晶が未溶融状態で
ある40℃と、完全溶融状態である180℃の値をライ
ンで結び、このラインと結晶融解曲線で囲まれる面積
(全融解吸熱量)に対する、40℃から任意の温度まで
の面積(積算融解吸熱量)の割合を計算した。この割合
が30%のときの温度をT30、70%のときの温度を
T70とした。 (2)貯蔵弾性率(E') 貯蔵弾性率の測定は、熱プレス成形した厚さ0.2mm
のシートから2mm×45mm(チャック間35mm)
に切り出した試験片を用いて、固体動的粘弾性測定機
(東洋ボールドウィン社製RHEOVIBRON DD
V−II−EA)にて、110Hzの周波数で振動させ、
20〜200℃まで2℃/分で昇温させた条件にて行っ
た。そのときの動的応答として得られた貯蔵弾性率E’
を用いた。 (3)極限粘度 ウベローデ型粘度計を用いてテトラリン溶媒で135℃
にて測定した。
【0027】(4)延伸ブロー成形温度幅 2軸延伸ブロー成形において、プリフォーム加熱終了後
のプリフォーム中央部の表面温度を、NEC三栄製赤外
放射温度計を用いて測定した。プリフォームの破裂、延
伸不良部がなく、外観が良好な容器が得られた成形条件
において、プリフォーム表面温度より、延伸ブロー成形
温度幅を決定した。 (5)容器の偏肉 樹脂組成物を用いて成形した中空容器における胴部中央
の高さ10〜210mmの箇所を縦方向に幅1cmに試
験片として切り出した。この試験片は各中空容器につき
4面切り出した。この4面の試験片の厚さをミツトヨ製
マイクロメーターを用いて測定し、最大値と最小値の差
を計算した。 (6)アイゾット衝撃強度 加熱プレス機にて、230℃、5分間余熱後、30kg
f/cm2に加圧してさらに5分間加熱し、その後冷却
プレス機にて、30℃、30kgf/cm2に加圧、5
分間冷却して所定のサンプルを得た。そのサンプルを、
23℃、相対湿度50%の条件にて40時間以上静置
後、その条件またはさらに温度0℃の恒温槽内で24時
間以上静置後、JIS K7110に従い測定した。 (7)落下強度 樹脂組成物を用いて成形した中空容器内に水を1kg充
填し、該容器を5℃の低温恒温槽で24時間以上静置
後、1.5mの高さからコンクリート床に容器の底を下
にして10回繰り返し正立自由落下後、容器の変形、破
損の有無を観察した。10本の試験容器の未破壊本数か
ら残存率を測定した。
【0028】実施例1 エチレン単位の含有量が4.8重量%のプロピレン−エ
チレンランダム共重合体95重量%と、プロピレン単独
重合体5重量%と、前記樹脂混合物100重量%に対し
て結晶造核剤(旭電化製アデカスタブNA21)を0.
2重量%配合し、さらにパーオキサイド存在下で溶融混
練し、極限粘度が1.32dl/gになるように調整し
た樹脂組成物を得た。図1は、DSCによる結晶融解曲
線を示す図であり、Tm1は160.4℃、Tm2は1
28.4℃であった。また、図2は、DSCによる積算
融解吸熱量と温度の関係を示す図であり、T30は12
3℃、T70は144℃であった。前記樹脂組成物を
(株)日本製鋼所製射出成形機(J100E型)にてシリ
ンダー温度190℃で射出成形し、直径29mm、長さ
123mm、厚さ3.9mm、重量29gのプリフォー
ムを得た。このプリフォームを(株)フロンティア製延伸
ブロー成形機(EFB2000型)に供給して、赤外線
ヒーターによる加熱、空気による冷却を行い、プリフォ
ーム表面温度を110〜140℃に加熱調整した後、ス
トレッチロッドによる縦延伸、および圧縮空気によるブ
ローを行い、容量1L、高さ275mm、幅72mmの
角形2軸延伸ブロー成形容器を製造した。樹脂組成物の
物性を表1に、得られた容器の試験結果を表2にそれぞ
れ示す。
【0029】実施例2 エチレン単位の含有量が4.8重量%のプロピレン−エ
チレンランダム共重合体90重量%と、プロピレン単独
重合体10重量%と、前記樹脂混合物100重量%に対
して結晶造核剤(旭電化製アデカスタブNA21)を
0.2重量%配合し、パーオキサイド存在下で溶融混練
し、極限粘度が1.34dl/gになる様に調整した樹
脂組成物を得た。該樹脂組成物を実施例1と同様に実施
して2軸延伸ブロー成形容器を製造した。樹脂組成物の
物性を表1に、得られた容器の試験結果を表2にそれぞ
れ示す。
【0030】実施例3 エチレン単位の含有量が4.2重量%、ブテン−1単位
の含有量が4.1重量%のプロピレン−エチレン−ブテ
ン−1ランダム共重合体95重量%と、プロピレン単独
重合体5重量%と、前記樹脂混合物100重量%に対し
て結晶造核剤(旭電化製アデカスタブNA21)を0.
2重量%配合し、パーオキサイド存在下で溶融混練し、
極限粘度が1.33dl/gになる様に調整した樹脂組
成物を得た。該樹脂組成物を実施例1と同様に実施して
2軸延伸ブロー成形容器を製造した。樹脂組成物の物性
を表1に、得られた容器の試験結果を表2にそれぞれ示
す。
【0031】実施例4 エチレン単位の含有量が4.2重量%、ブテン−1単位
の含有量が4.1重量%のプロピレン−エチレン−ブテ
ン−1ランダム共重合体90重量%と、プロピレン単独
重合体10重量%と、前記樹脂混合物100重量%に対
して結晶造核剤(旭電化製アデカスタブNA21)を
0.2重量%配合し、パーオキサイド存在下で溶融混練
し、極限粘度が1.31dl/gになる様に調整した樹
脂組成物を得た。該樹脂組成物を実施例1と同様に実施
して2軸延伸ブロー成形容器を製造した。樹脂組成物の
物性を表1に、得られた容器の試験結果を表2にそれぞ
れ示す。
【0032】実施例5 エチレン単位の含有量が2.1重量%、ブテン−1単位
の含有量が5.9重量%のプロピレン−エチレン−ブテ
ン−1ランダム共重合体80重量%と、1段目がプロピ
レン単独重合体部82重量%、2段目がプロピレン単位
の含有量が62重量%とエチレン単位の含有量が38重
量%のプロピレン−エチレン共重合体部18重量%から
なるプロピレン−エチレンブロック共重合体10重量%
と、密度が0.900g/cm3、190℃でのメルト
フローレートが5g/10分である線状超低密度ポリエ
チレン10重量%と、前記樹脂混合物100重量%に対
して結晶造核剤(新日本理化製ゲルオールDH)を0.
2重量%配合し、パーオキサイド存在下で溶融混練し、
極限粘度が1.30dl/gになる様に調整した樹脂組
成物を得た。該樹脂組成物を実施例1と同様に実施して
2軸延伸ブロー成形容器を製造した。樹脂組成物の物性
を表1に、得られた容器の試験結果を表2にそれぞれ示
す。
【0033】比較例1 エチレン単位の含有量が4.3重量%のプロピレン−エ
チレンランダム共重合体100重量%と、結晶造核剤
(旭電化製アデカスタブNA21)を0.2重量%配合
し、パーオキサイド存在下で溶融混練し、極限粘度が
1.32dl/gになる様に調整した樹脂組成物を得
た。図1において、Tm1は143.8℃、Tm2は1
28.4℃であった。また、図2において、T30は1
22℃、T70は138℃であった。前記樹脂組成物を
実施例1と同様に実施して2軸延伸ブロー成形容器を製
造した。樹脂組成物の物性を表1に、得られた容器の試
験結果を表2にそれぞれ示す。
【0034】比較例2 エチレン単位の含有量が4.2重量%、ブテン−1単位
の含有量が4.1重量%のプロピレン−エチレン−ブテ
ン−1ランダム共重合体100重量%と、結晶造核剤
(旭電化製アデカスタブNA21)を0.2重量%、パ
ーオキサイド存在下で溶融混練し、極限粘度が1.31
dl/gになる様に調整した樹脂組成物を得た。該樹脂
組成物を実施例1と同様に実施して2軸延伸ブロー成形
容器を製造した。樹脂組成物の物性を表1に、得られた
容器の試験結果を表2に示す。
【0035】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 施 例 比較例 1 2 3 4 5 1 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Tm1 ℃ 160.4 162.4 162.2 164.6 160.0 143.8 136.0 Tm2 ℃ 128.4 128.0 122.0 121.9 127.7 128.4 123.5 Tm1−Tm2 ℃ 32.0 34.4 40.2 42.7 32.3 15.4 12.5 T30 ℃ 123 125 108 110 118 122 106 T70 ℃ 144 149 129 136 141 138 124 T70−T30 ℃ 21 24 21 26 23 16 18 E'1×108dyne/cm2 2.79 3.50 2.37 3.03 3.21 1.54 1.31 E'2×108dyne/cm2 5.74 6.46 4.96 5.75 6.57 4.44 3.84 E'2/E'1 2.0 1.8 2.1 1.9 2.0 2.9 2.9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0036】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 施 例 比較例 1 2 3 4 5 1 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 延伸ブロー 成形温度幅 ℃ 20.6 22.2 22.3 23.4 20.7 9.2 9.6 容器の偏肉 mm 0.25 0.23 0.25 0.24 0.21 0.35 0.33 アイゾット 23℃ kg・cm/cm2 5.7 5.2 8.2 7.2 5.9 5.9 7.6 衝撃強度 0℃ kg・cm/cm2 2.0 1.9 3.6 2.4 3.2 2.5 4.3 落下強度 % 100 100 100 100 100 100 100 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【図面の簡単な説明】
【図1】DSCによる結晶融解曲線を示す図である。
【図2】DSCによる積算融解吸熱量と温度の関係を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 23:00 B29L 22:00 (72)発明者 城本 征治 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】示差走査熱量計(DSC)で100〜17
    0℃の範囲に2つ以上の結晶融解ピークを有するプロピ
    レン系樹脂組成物であって、結晶融解曲線における各ピ
    ークトップ温度の最高温度をTm1、最低温度をTm2
    としたとき、Tm1−Tm2≧25℃であり、かつDS
    Cで測定した結晶融解熱量と全結晶融解熱量との関係に
    ついて、70%融解する温度をT70、30%融解する
    温度をT30としたとき、T70−T30≧20℃であ
    ることを特徴とする2軸延伸ブロー成形用プロピレン系
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】プロピレン系樹脂組成物の固体粘弾性測定
    におけるTm2での貯蔵弾性率E’1とTm2−10℃
    における貯蔵弾性率E’2との関係が、E’2/E’1
    ≦2.5である請求項1記載の2軸延伸ブロー成形用プ
    ロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】Tm1を発現する樹脂が、プロピレンから
    誘導される繰り返し単位の含有量100〜92重量%、
    エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜3重
    量%、ブテン−1から誘導される繰り返し単位の含有量
    0〜5重量%からなるプロピレン系共重合体(a)であ
    る請求項1記載の2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】Tm1を発現する樹脂が、プロピレン単独
    重合体(a−1)である請求項3記載の2軸延伸ブロー
    成形用プロピレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】Tm1を発現する樹脂が、プロピレンから
    誘導される繰り返し単位の含有量100〜92重量%、
    エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜3重
    量%、ブテン−1から誘導される繰り返し単位の含有量
    0〜5重量%からなる結晶性ポリプロピレン部90〜6
    5重量%と、プロピレンから誘導される繰り返し単位の
    含有量80〜20重量%、エチレンから誘導される繰り
    返し単位の含有量20〜80重量%、ブテン−1から誘
    導される繰り返し単位の含有量0〜20重量%からなる
    プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブ
    テン−1共重合体部10〜35重量%とから構成される
    プロピレン系ブロック共重合体(a−2)である請求項
    1記載の2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】プロピレン系樹脂組成物が、下記プロピレ
    ン系共重合体(a)及び下記プロピレン系共重合体
    (b)を含有する樹脂組成物(ただし、下記プロピレン
    系共重合体(a)と下記プロピレン系共重合体(b)が
    同一である場合を除き、かつ下記プロピレン系共重合体
    (b)は、下記プロピレン系共重合体(a)に対して、
    さらにエチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が
    2重量%以上多い、または下記プロピレン系共重合体
    (a)に対して、さらにブテン−1から誘導される繰り
    返し単位の含有量が4重量%以上多い)である請求項1
    記載の2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹脂組成物。 (a):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有
    量100〜92重量%、エチレンから誘導される繰り返
    し単位の含有量0〜3重量%、ブテン−1から誘導され
    る繰り返し単位の含有量0〜5重量%からなるプロピレ
    ン系共重合体 (b):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有
    量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し
    単位の含有量0〜15重量%、ブテン−1から誘導され
    る繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピ
    レン系共重合体
  7. 【請求項7】プロピレン系樹脂組成物が、プロピレン単
    独重合体(a−1)及び下記プロピレン系共重合体
    (b)を含有する樹脂組成物(ただし、下記プロピレン
    系共重合体(b)は、プロピレン単独重合体(a−1)
    に対して、さらにエチレンから誘導される繰り返し単位
    の含有量が2重量%以上多い、またはプロピレン単独重
    合体(a−1)に対して、さらにブテン−1から誘導さ
    れる繰り返し単位の含有量が4重量%以上多い)である
    請求項1記載の2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹脂
    組成物。 (b):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有
    量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し
    単位の含有量0〜15重量%、ブテン−1から誘導され
    る繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピ
    レン系共重合体
  8. 【請求項8】プロピレン系樹脂組成物が、下記プロピレ
    ン系ブロック共重合体(a−2)及び下記プロピレン系
    共重合体(b)を含有する樹脂組成物(ただし、下記プ
    ロピレン系共重合体(b)は、下記プロピレン系ブロッ
    ク共重合体(a−2)の結晶性ポリプロピレン部に対し
    て、さらにエチレンから誘導される繰り返し単位の含有
    量が2重量%以上多い、または下記プロピレン系ブロッ
    ク共重合体(a−2)の結晶性ポリプロピレン部に対し
    て、さらにブテン−1から誘導される繰り返し単位の含
    有量が4重量%以上多い)である請求項1記載の2軸延
    伸ブロー成形用プロピレン系樹脂組成物。 (a−2):プロピレンから誘導される繰り返し単位の
    含有量100〜92重量%、エチレンから誘導される繰
    り返し単位の含有量0〜3重量%、ブテン−1から誘導
    される繰り返し単位の含有量0〜5重量%からなる結晶
    性ポリプロピレン部90〜65重量%と、プロピレンか
    ら誘導される繰り返し単位の含有量80〜20重量%、
    エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量20〜8
    0重量%、ブテン−1から誘導される繰り返し単位の含
    有量0〜20重量%からなるプロピレン−エチレンまた
    はプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体部10〜
    35重量%とから構成されるプロピレン系ブロック共重
    合体 (b):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有
    量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し
    単位の含有量0〜15重量%、ブテン−1から誘導され
    る繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピ
    レン系共重合体
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載のプロピレ
    ン系樹脂組成物80〜100重量%及び線状超低密度ポ
    リエチレン20重量%以下を含有することを特徴とする
    2軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹脂組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のプロピ
    レン系樹脂組成物100重量部及び結晶造核剤0.5重
    量部以下を含有することを特徴とする2軸延伸ブロー成
    形用プロピレン系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載のプロ
    ピレン系樹脂組成物から構成されることを特徴とする2
    軸延伸ブロー成形容器。
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