JPH1125439A - 垂直磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録再生装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録再生装置

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JPH1125439A
JPH1125439A JP18210497A JP18210497A JPH1125439A JP H1125439 A JPH1125439 A JP H1125439A JP 18210497 A JP18210497 A JP 18210497A JP 18210497 A JP18210497 A JP 18210497A JP H1125439 A JPH1125439 A JP H1125439A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1平方インチ当たり4ギガビット以上の高密度
記録に適するような、十分に高い媒体S/Nを持ち、か
つ記録情報の長期間保持が可能な垂直磁気記録媒体を提
供する。 【解決手段】磁気記録層として、膜面と平行な断面で測
定した結晶粒径の平均値が磁気記録層の厚み方向に分布
を持ち、かつ磁気記録層における媒体表面側界面近傍の
結晶粒径の平均値が磁気記録層における厚み方向の中央
近傍の結晶粒径の平均値より小さい多結晶体薄膜を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータの補
助記憶装置などに用いる磁気記録再生装置及びそれに用
いる磁気記録媒体に係る。
【0002】
【従来の技術】情報化時代の進行により、日常的に扱う
情報量は増加の一途を辿っている。これに伴い、磁気記
録装置に対する高記録密度化と大容量化の要求が強くな
っている。
【0003】磁気記録を高密度化していった場合、記録
ビット当たりの媒体面積が小さくなるため、再生出力が
低下し、再生が困難になる。この問題を解決するため、
記録と再生を別のヘッドで行い、再生用ヘッドとして高
い感度を持つ磁気抵抗効果を利用したヘッドを用いる方
式が実用化されている。さらに、高密度化を進めるため
に、より高い感度を持つ巨大磁気抵抗効果を利用したヘ
ッドも検討されている。このような高感度の再生ヘッド
を用いることにより、再生出力は大きくできるが、同時
にノイズも増幅してしまい、ノイズの大きな媒体を用い
た場合には、記録された情報の読みとりが不可能にな
る。したがって、高密度の記録と再生を行うための磁気
記録媒体としては、媒体ノイズを低く抑えることが必須
である。
【0004】現在の磁気ディスクに用いられている面内
磁気記録方式では、媒体ノイズの低減のために、結晶粒
の微細化が不可欠であり、今後保磁力の確保や記録磁化
状態の熱的安定性が問題になることが予想される。
【0005】これに対して、垂直磁気記録方式は記録密
度が高くなるにつれて反磁界が減少するという特徴があ
り、高密度に記録した場合に、記録磁化状態が安定で媒
体ノイズも小さく、高密度記録に適した方式であると考
えられる。ただし、垂直磁気記録方式においても、高密
度に記録された情報を再生する場合には出力が小さいた
めに、媒体ノイズの低減は必須である。垂直磁気記録媒
体のノイズは、記録ビット内の逆磁区の大きさと記録ビ
ット境界の乱れの大きさに依存すると考えられる。これ
らを小さくしてノイズを低減するためには、磁性膜の結
晶粒径を小さくするなどして、磁化反転単位を小さくす
る必要がある。
【0006】従来、垂直磁気記録媒体は連続薄膜型磁気
テープを中心に研究や開発が進められており、この場合
には磁性層の膜厚が100nm以上と厚く、またトラッ
ク幅の広いヘッドで記録再生を行うため、再生出力が大
きく、媒体ノイズのレベルをそれほど抑える必要がなか
った。これに対して磁気ディスクとして垂直磁気記録媒
体を用いる場合、トラック方向にも高密度化する必要が
あることから、記録ビット面積は小さくなり、再生出力
は非常に小さくなる。この小さな出力を高感度ヘッドに
より再生することから、必然的に媒体ノイズに対する制
限は厳しくなり、また出力の減衰も極力抑える必要があ
る。垂直磁気ディスク媒体のノイズに関する検討結果
は、例えば、ジャーナル オブ マグネティズム アン
ド マグネティク マテクアルズ(Journal of Magneti
sm and Magnetic Materials)134巻304〜309頁
(1994年発行)に記載されているが、CoCrTa
垂直二層媒体について、90kFCIにおける媒体S/
Nが23.8dB と示されており、1平方インチ当たり
4ギガビット以上の高い面記録密度の記録再生は困難で
あると考えられ、さらなる媒体ノイズの低減が必要であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】我々の検討によると、
Co−Cr−Pt磁性膜を非磁性のCo−35at%C
r下地層上にエピタキシャル成長させ、かつ膜厚を薄く
することによって磁性膜の結晶粒を微細化すれば、大幅
にノイズを低減できることがわかっている。さらにこの
技術を延長して、磁気記録層として残留磁化が飽和磁化
の9割以上の磁性膜を用いた媒体を作製して、直流消磁
状態及び低密度記録状態での逆磁区によって生じるノイ
ズを低減することを試みた。
【0008】ところがこのような媒体は直流消磁状態で
もノイズはほとんど低下しなかった。この原因を探るた
めに、磁気力顕微鏡により残留磁化状態を調べたとこ
ろ、残留磁化の大小に関わらず媒体表面に約0.1〜0.
3μmの磁化の揺らぎが観察された。十分低ノイズ化し
た媒体においては、この媒体表面の磁化の揺らぎが再生
ヘッドの感じるノイズの主要因になっていると考えられ
る。
【0009】また、低ノイズ媒体として、磁性層を非磁
性層を介して積層した垂直磁気記録媒体が、特開昭60−
83218 号に提案されている。この構造は結晶粒を微細化
でき、媒体表面の磁化の揺らぎも小さくすることができ
ると予想され、低ノイズ化にはたいへん有効であると考
えられる。しかしながら、磁性層を単純に多層化した媒
体では、磁気異方性が弱まり、またその分散も大きくな
って、結果として記録磁化が不安定になると考えられ
る。すなわち、低密度の記録を行った場合の再生出力が
時間の経過とともに減衰する現象が顕著になり、情報の
長期間の保存が不可能となることが予想される。
【0010】上述のように、垂直磁気記録媒体では低密
度に記録した情報の再生出力は時間の経過とともに減衰
する場合が多く、特に高密度記録に適するように媒体S
/Nを十分大きくした媒体においては出力減衰の割合が
大きく、情報を記録してから長期間経過した後には再生
が不可能である。
【0011】本発明の目的は、1平方インチ当たり4ギ
ガビット以上の高密度記録に適するような、十分に高い
媒体S/Nを持ち、かつ記録情報の長期間保持が可能な
垂直磁気記録媒体及びそれを応用した磁気記録再生装置
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的の垂直磁気記録
媒体は、磁気記録層として、その媒体表面側の磁化の揺
らぎのサイズまたは程度が小さく、かつその内部につい
ては記録磁化が安定な程度に結晶粒が大きく、また出力
が十分得られる程度に飽和磁化が大きい膜を用いること
で得られる。すなわち、磁気記録層として、膜面と平行
な断面で測定した結晶粒径の平均値が磁気記録層の厚み
方向に分布を持ち、かつ磁気記録層における媒体表面側
界面近傍の結晶粒径の平均値が磁気記録層における厚み
方向の中央近傍の結晶粒径の平均値より小さい多結晶体
薄膜を用いることで得られる。あるいは、磁気記録層と
して、飽和磁化が磁気記録層の飽和磁化の平均値より小
さく、かつ膜厚が磁気記録層全体の厚さの半分より小さ
い磁性膜を磁気記録層の媒体表面側に有する多層構造薄
膜を用いることで得られる。
【0013】このような特徴を持つ垂直磁気記録媒体を
作製するためには、磁気記録層として以下のいずれかの
薄膜を用いるのが良い。CoとCrが主たる成分であ
り、かつCr組成が磁気記録層の平均値より大きい磁性
膜を磁気記録層の媒体表面側に有する薄膜、あるいは、
CoとCrとPtが主たる成分であり、かつPt組成が
磁気記録層の平均値より大きい磁性膜を磁気記録層の媒
体表面側に有する薄膜、あるいは、磁性層が非磁性層で
分離された構造を持ち、かつ非磁性層が磁気記録層全体
の厚み方向の中心より媒体表面側にのみ存在する薄膜。
さらに好ましくは前記非磁性層としてTiまたはTiを
主成分とする材料を用いるのが良い。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の垂直磁気記録媒体
の基本的な構成図である。図1において11は強化ガラ
ス,シリコン,カーボン,セラミックス,チタン合金,
有機樹脂,Ni−P合金メッキアルミ合金基板などの非
磁性基板である。12はチタンあるいはチタン合金など
の下地層、または、これと磁気記録層の間にコバルトと
クロムを主成分とする合金で構成される常磁性あるいは
常磁性に近い磁気特性の多結晶薄膜を併せ持つ2層構造
の下地層である。13はコバルトとクロムを主成分と
し、例えばCo−Cr−Ta,Co−Cr−Pt,Co
−Cr−Pt−Ta,Co−Cr−Nb,Co−Cr−
Wなどのような強磁性薄膜を用いた磁気記録層である。
14はカーボン,シリコン−カーボン,ボロン−カーボ
ンなどの保護膜と有機系潤滑膜とから成る保護潤滑層で
ある。
【0015】(実施例1)非磁性基板としては基板表面
粗さRa が3nm以下の直径2.5 インチの強化ガラス
製ディスクを用い、下地層,磁性層及び保護層の膜形成
は直流マグネトロンスパッタ法により、以下の条件で行
った。スパッタ装置内の到達真空度は1/108トール
以下、放電用アルゴンガス圧力は3/103トール、投
入電力は直径6インチのターゲットに対して1kWとし
た。下地層としては、厚さ30nmのTiまたはTi−
10at%Crの単層膜、あるいはその上に厚さ20n
mのCo−35at%Crを積層した2層膜を形成し
た。2層膜下地は磁性層の初期成長層の粒径制御に役立
ち、媒体ノイズの低減と再生出力減衰の抑制に効果があ
る。
【0016】磁性層としては、厚さ30nmのCo−1
9at%Cr−12at%Ptを形成した。保護潤滑層
としては厚さ5nmのカーボン膜と厚さ5nmの有機系
潤滑膜を形成した。膜形成時の基板温度は、下地層につ
いては常に260℃、磁気記録層については以下の5種
類の設定を試みた。試料Aはすべて300℃、試料Bは
基板側の厚さ25nmを300℃で残りの厚さ5nmを
190℃、試料Cは基板側の厚さ15nmを300℃で
残りの厚さ15nmを190℃、試料Dは基板側の厚さ
5nmを300℃で残りの厚さ25nmを190℃、試
料Eはすべて190℃とした。
【0017】作製した磁気ディスク媒体は、スピンスタ
ンドにおいて記録再生特性の評価を行い、媒体S/Nと
再生出力の経時変化を調べた。評価の条件としては、ギ
ャップ長0.2μm ,トラック幅1μm,巻線数20タ
ーンの誘導電磁型ヘッドにより記録し、シールド間隔
0.2μm,トラック幅0.9μmの磁気抵抗効果型ヘッ
ドにより再生を行った。ヘッドと媒体の磁気スペーシン
グは40nmとした。再生出力Sは線記録密度2kFC
Iの孤立波出力を、媒体ノイズNは300kFCI を記録した
場合の0〜50MHzの積算ノイズを測定して求め、こ
れらの比を媒体S/Nとして評価した。また、線記録密
度50kFCIの信号を、記録してから5秒後から1時
間後まで再生出力を測定し、時間の対数に対してプロッ
トして直線で近似したときの5秒後に対する1時間後の
再生出力の比を求め、再生出力の経時変化の指標とし
た。
【0018】結晶粒径は透過電子顕微鏡で膜面と平行な
断面を観察して求めた。磁気ディスク媒体の一部分を切
り出し、基板及び下地層を除去した後、磁気記録層は目
的とする部分が数nmの厚みのみ残るように注意深く削
り取って観察用試料とした。結晶粒が少なくとも100
個以上観察できるようにいくつかの視野で像を撮り、そ
れぞれの結晶粒の占める面積を求めて、等円直径と考え
たときの直径を結晶粒径とした。
【0019】図2及び図3に測定結果の一例を示す。図
2は、結晶粒径を横軸に、その大きさの結晶粒が占める
面積を全面積を1として規格化した値を縦軸にしてプロ
ットした図である。この図からわかるように結晶粒径に
はかなりの分布があり平均値を正確に求めることは難し
い。この図のピークがほぼ平均粒径と考えられるが、こ
こではさらに正確な評価のために、この規格化結晶粒面
積を積算して0.5 となる粒径を平均粒径とした。図3
に、積算した規格化結晶粒面積を示した。この場合、磁
気記録層の媒体表面側界面近傍部分15の平均粒径は約
8.0nm ,磁気記録層の厚み方向の中央近傍部分16
の平均粒径は約12.0nm と求められる。
【0020】磁化状態の観察は磁気力顕微鏡により行っ
た。試料は磁気ディスク媒体から切り出して保護潤滑層
の一部分を削り取ったものを用い、電磁石により約15
キロエルステッドの磁界を膜面垂直方向に印加したのち
磁界をゼロにして、直流消磁状態を観察した。
【0021】本実施例の5種類の垂直磁気記録媒体試料
の記録再生特性と結晶粒径の測定結果を表1に示す。媒
体S/Nと再生出力の経時変化の両方を考慮に入れる
と、記録再生特性の優れた試料は試料Bと試料Cであ
る。これらの試料の磁気記録層は、図1における厚み方
向の中央近傍部分16の平均結晶粒径に比べて媒体表面
側近傍部分15の平均結晶粒径が小さくなっている。こ
の結果から磁気記録層の媒体表面側界面近傍部分の結晶
粒径を小さくすることが媒体ノイズの低減に有効である
と考えられる。
【0022】本実施例の試料Aと試料Bについて、直流
消磁後の磁化状態を磁気力顕微鏡によって観察した。そ
の結果、磁気記録層表面の結晶粒径の大きい試料Aの場
合は大きなサイズの磁化の揺らぎが存在し、約0.15
μm であった。これに対して、磁気記録層表面の結晶
粒径の小さい試料Bの場合は磁化の揺らぎのサイズは比
較的小さく、約0.09μm であった。このように媒体
表面の磁化の揺らぎのサイズを小さくすることが媒体S
/Nの向上に有効であると推察される。
【0023】磁気記録層の材料として、Co−Cr−T
a,Co−Cr−Pt−Ta,Co−Cr−Nb,Co
−Cr−Wなどを選び、また組成を変えて同様の比較実
験を行ったところ同様の傾向を示す結果が得られた。
【0024】
【表1】
【0025】(実施例2)実施例1と同様の方法を用い
て媒体を作製した。ただし、下地層及び磁気記録層の形
成時の基板温度はすべて260℃と一定にし、磁気記録
層として2種類の材料を用いて8種類の媒体を作製し
た。
【0026】試料Fは飽和磁化が約410emu/cm3のC
o−19at%Cr−12at%Pt磁性膜(以下19
%Cr磁性膜と呼ぶ)の厚さ28nm単層を磁気記録層
とした。試料Gは飽和磁化が約300emu/cm3のCo−
22at%Cr−12at%Pt磁性膜(以下22%C
r磁性膜と呼ぶ)の厚さ28nm単層を磁気記録層とし
た。
【0027】試料Hから試料Mまではこれら2種類の材
料を積層した厚さ28nmの2層膜を磁気記録層とし
た。試料Hは基板側に厚さ20nmの19%Cr磁性膜
を、残りの厚さ8nmを22%Cr磁性膜とした。試料
Iは試料Hと同じ厚さの積層で磁性膜の材料を逆にし
た。試料Jは基板側に厚さ14nmの19%Cr磁性膜
を、残りの厚さ14nmを22%Cr磁性膜とした。試
料Kは試料Jと同じ厚さの積層で磁性膜の材料を逆にし
た。試料Lは基板側に厚さ8nmの19%Cr磁性膜
を、残りの厚さ20nmを22%Cr磁性膜とした。試
料Mは試料Lと同じ厚さの積層で磁性膜の材料を逆にし
た。
【0028】これらの試料について実施例1と同様の方
法で評価を行った。飽和磁化については磁気ディスク媒
体より切り出した8mm角の試料片を振動試料型磁力計を
用いて測定した。
【0029】評価の結果を表2に示す。試料Hだけが他
の試料と比較して、優れた記録再生特性を示している。
すなわち、媒体S/Nと再生出力の経時変化の両方が他
の試料に比べて優れている。この試料Hの断面構造を模
式的に表したのが図4で、飽和磁化が磁気記録層全体の
飽和磁化の平均より小さい磁性層を媒体表面側に持ち、
しかもその膜厚は磁気記録層の半分未満であることによ
り、優れた磁気特性が得られている。Cr含有量が多く
飽和磁化の小さい膜は磁気異方性が小さく記録磁化の安
定性に欠くため、22%Cr磁性膜が磁気記録層の半分
以上を占める試料は、再生出力の減衰が大きい。また、
19%Cr磁性膜が媒体表面側にある試料は再生出力は
大きいが媒体ノイズが非常に大きく、結局媒体S/Nと
しては小さい。
【0030】本実施例の試料Fと試料Hについて、直流
消磁後の磁化状態を磁気力顕微鏡によって観察した。そ
の結果、磁気記録層表面の飽和磁化の大きい試料Fと比
較して、磁気記録層表面の飽和磁化の小さい試料Hは磁
化の揺らぎの程度が小さいことが観測され、これが媒体
S/Nの向上に寄与していると考えられる。
【0031】Cr組成を変えた2種類の磁性膜を用いる
代わりにPt組成が異なり飽和磁化の異なる2種類の磁
性膜を用いて、本実施例と同様の比較実験を行ったとこ
ろ、同様の傾向を示す結果となった。また、他の組成の
組み合わせや磁気記録層の膜厚についても検討したが、
同様の傾向を示した。
【0032】
【表2】
【0033】(実施例3)実施例1と同様の方法を用い
て媒体を作製した。ただし、下地層及び磁気記録層の形
成時の基板温度はすべて260℃と一定にし、磁性膜は
Co−19at%Cr−12at%Ptのみとした。た
だし、磁性層を厚さ2nmの非磁性層によって分離した
構造の磁気記録層を形成した。本実施例の垂直磁気記録
媒体の断面の構造を模式的に表したのが図5である。以
下に非磁性層の材料としてTiを用いた例を示す。
【0034】作製した試料は、磁気記録層全体の厚さは
30nmと一定にし、非磁性層の位置が異なっている。
試料Nは比較のための非磁性層のない媒体である。試料
Oは媒体表面側の磁性層が4nmの厚さで、したがって
基板側は23nmの厚さである。試料Pは媒体表面側の
磁性層厚さ9nm、試料Qは14nm、試料Rは19n
m、試料Sは24nmとした。
【0035】これらの試料について実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価の結果を表3に示す。試料Oと
試料Pだけが他の試料と比較して、優れた記録再生特性
を示している。すなわち、媒体S/Nと再生出力の経時
変化の両方が他の試料に比べて優れている。これらの試
料の磁気記録層は、厚み方向の中央近傍部分56の平均
結晶粒径に比べて媒体表面側近傍部分55の平均結晶粒
径が小さくなっている。この結果から磁気記録層の媒体
表面側界面近傍部分の結晶粒径を小さくすることが媒体
ノイズの低減に有効であると考えられる。ただし、非磁
性層が磁気記録層の厚み方向の中央より媒体表面側にな
い試料は、媒体S/Nは小さく、再生出力の経時変化も
大きい。結晶粒径の小さい磁性層を磁気記録層の媒体表
面側にのみ存在させることが、媒体ノイズの低減と記録
磁化の安定化の両方にとって重要であると考えられる。
【0036】
【表3】
【0037】本実施例と同様の比較実験を非磁性層とし
て、Tiの代わりにTi−10at%Cr,Ge,S
i,Al,Ru,W,Co−35at%Crなどを用い
て行ったが、結果として同様の傾向を示した。ただしT
iあるいはTi合金は非磁性層として用いた場合に媒体
S/Nが最も大きく、媒体S/Nの向上のために好まし
い非磁性層材料である。
【0038】(実施例4)実施例1,実施例2及び実施
例3において作製した垂直磁気記録媒体の中から媒体S
/Nが36dB以上の媒体を選び、これらを用いた磁気
ディスク装置を作製した。その構造を図6に示す。ここ
で、図6(a)は装置内部の上面図、(b)は側断面図で
あり、61は磁気記録媒体、62は磁気記録媒体駆動
部、63は磁気ヘッド、64は磁気ヘッド駆動部、65
は記録再生信号処理系を示す。
【0039】ヘッドとしては、実施例1で使用したもの
と同様のものを用い、ヘッドと媒体の間の磁気スペーシ
ングは50nm以下となるように調整した。その結果、
1平方インチ当たり4ギガビット以上の面記録密度での
情報の記録と再生が可能であることを確認できた。これ
に対して、媒体S/Nが36dBに満たない媒体を用い
た場合は、高記録密度での再生が困難であった。
【0040】また、実施例1,実施例2及び実施例3に
おいて作製した垂直磁気記録媒体の中から、1時間後の
再生出力が0.97 に満たない媒体を用いた場合には時
間の経過にともなう再生出力の減少が顕著で、その傾向
を延長して予測すると3年後には部分的に情報の読みと
りが不可能になる。これに対して1時間後の再生出力が
0.99の媒体は再生出力の減少はわずかであり、長期
間経過した後も安定して情報の読み出しが可能である。
【0041】再生ヘッドとして、誘導電磁型ヘッドを用
いた場合には、本実施例で見られるような媒体間の媒体
S/Nの差異が見られず、また高密度に記録された情報
の再生も不可能であった。再生ヘッドとして、巨大磁気
抵抗効果を利用したヘッドを用いた場合には、本実施例
において見られた媒体S/Nの違いがより明確に現れ、
本発明が有効であることが確認された。
【0042】
【発明の効果】高密度記録に適した十分に高い媒体S/
Nを持ち、かつ記録情報の長期間保持が可能な垂直磁気
記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の基本的な断面の構
造を示す図。
【図2】磁気記録層の結晶粒径分布を示す図。
【図3】磁気記録層の結晶粒径分布を積算面積で示した
図。
【図4】実施例2に記載の本発明の垂直磁気記録媒体の
断面の構造を示す図。
【図5】実施例3に記載の本発明の垂直磁気記録媒体の
断面の構造を示す図。
【図6】本発明の一実施例の磁気記録再生装置の構造を
示す図。
【符号の説明】
11…非磁性基板、12…下地層、13…磁気記録層、
14…保護潤滑層、15…磁気記録層の媒体表面側界面
近傍部分、16…磁気記録層の媒体表面側界面近傍以外
の部分、21…磁気記録層の媒体表面側界面近傍部分の
結晶粒径分布、22…磁気記録層の厚み方向中央近傍部
分の結晶粒径分布、31…磁気記録層の媒体表面側界面
近傍部分の結晶粒径分布、32…磁気記録層の厚み方向
中央近傍部分の結晶粒径分布、41…非磁性基板、42
…下地層、43…磁気記録層、44…保護潤滑層、45
…飽和磁化が磁気記録層全体の飽和磁化の平均値より小
さい磁性層、46…飽和磁化が磁気記録層全体の飽和磁
化の平均値より大きい磁性層、51…非磁性基板、52
…下地層、53…磁気記録層、54…保護潤滑層、55
…磁気記録層の媒体表面側の磁性層、56…磁気記録層
の基板側の磁性層、57…磁性層を分離する非磁性層、
61…磁気記録媒体、62…磁気記録媒体駆動部、63
…磁気ヘッド、64…磁気ヘッド駆動部、65…記録再
生信号処理系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 研也 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気記録層として、膜面と平行な断面で測
    定した結晶粒径の平均値が前記磁気記録層の厚み方向に
    分布を持ち、かつ前記磁気記録層における媒体表面側界
    面近傍の前記結晶粒径の平均値が前記磁気記録層におけ
    る厚み方向の中央近傍の前記結晶粒径の平均値より小さ
    い多結晶体薄膜を用いることを特徴とする垂直磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】磁気記録層として、飽和磁化が前記磁気記
    録層の飽和磁化の平均値より小さく、かつ膜厚が前記磁
    気記録層全体の厚さの半分より小さい磁性膜を前記磁気
    記録層の媒体表面側に有する多層構造薄膜を用いること
    を特徴とする垂直磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】前記磁気記録層として、CoとCrを主た
    る成分とし、かつCr組成が前記磁気記録層の平均値よ
    り大きい磁性膜を前記磁気記録層の媒体表面側に有する
    多層構造薄膜を用いることを特徴とする請求項1または
    2記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】前記磁気記録層として、CoとCrとPt
    を主たる成分とし、かつPt組成が前記磁気記録層の平
    均値より大きい磁性膜を前記磁気記録層の媒体表面側に
    有する多層構造薄膜を用いることを特徴とする請求項1
    または2記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】前記磁気記録層として、磁性層が非磁性層
    で分離された構造を持ち、かつ前記非磁性層が前記磁気
    記録層全体の厚み方向の中心より媒体表面側にのみ存在
    する多層構造薄膜を用いることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】前記非磁性層としてTiまたはTiを主成
    分とする材料を用いることを特徴とする請求項5記載の
    垂直磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】磁気記録媒体と、磁気記録媒体駆動部と、
    磁気ヘッドと、磁気ヘッド駆動部と、記録再生信号処理
    系を有する磁気記録再生装置において、前記磁気記録媒
    体としてディスク状の請求項1から6記載の垂直磁気記
    録媒体を用い、前記磁気ヘッドの再生部が磁気抵抗効果
    型磁気ヘッドまたは巨大磁気抵抗効果型ヘッドで構成さ
    れることを特徴とする磁気記録再生装置。
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