JPH08138228A - 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法および磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法および磁気記録装置

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JPH08138228A
JPH08138228A JP27777594A JP27777594A JPH08138228A JP H08138228 A JPH08138228 A JP H08138228A JP 27777594 A JP27777594 A JP 27777594A JP 27777594 A JP27777594 A JP 27777594A JP H08138228 A JPH08138228 A JP H08138228A
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JP27777594A
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Inventor
Akira Ishikawa
石川  晃
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Kazusukatsu Igarashi
万壽和 五十嵐
Tomoo Yamamoto
朋生 山本
Masaaki Futamoto
正昭 二本
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘッドが低浮上可能で、高密度記録が可能な
磁気記録媒体及びその製造方法ならびに磁気記録装置を
提供する。 【構成】 非磁性ディスク基板11と、その上に形成さ
れた磁性膜14を有する磁気記録媒体において、磁性膜
14中のCrの濃度を10原子%以上、20原子%以
下、Taの濃度を2原子%以上、6原子%以下、Smの
濃度を1原子%以上、20原子%以下とし、同時にヘッ
ド走行方向に測定した磁性膜の残留磁化Brと総膜厚δ
との積Brδの値を5Gμm以上、100Gμm以下と
し、かつ、保磁力を2.5kOe以上、5kOe以下と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ドラム、磁気テー
プ、磁気ディスク、磁気カード等の磁気記録媒体および
磁気記録装置に係り、特に高密度磁気記録に好適な薄膜
媒体およびこれを用いた小型大容量磁気記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電子計算機の小型化・高速化に伴
い、磁気ディスク装置その他の外部記録装置の大容量化
・高速アクセス化に対する要求が高まりつつある。その
中で、磁気ディスク記録装置は高密度化・高速化に適し
た情報記憶装置であり、その需要が一段と強い。磁気デ
ィスク装置に用いられる記録媒体には、金属磁性体の薄
膜を基板上にスパッタ蒸着した薄膜媒体が用いられてい
る。薄膜媒体の基板にはNi−Pめっき膜形成されたA
l合金や、ガラス等のセラミック基板が用いられる。ま
た、磁気ヘッドの再生部に磁気抵抗効果型(以後、MR
と略記する)素子を用いることにより、ヘッドの再生感
度を従来の誘導型磁気ヘッドに比べて向上した記録再生
分離型ヘッド(以後、MRヘッドと略記する)が開発さ
れている。このヘッドを用いると記録ビットの面積が小
さくても充分な信号S/Nが得られるので、媒体の記録
密度を飛躍的に向上することができる。
【0003】記録密度が500Mb/in2 以下では磁
性膜の材料として保磁力Hcの高いCo−Cr−Ta系
やCo−Cr−Pt系の合金が用いられている。Co−
Cr−Ta系では媒体からのノイズが小さいため、高い
S/Nが得られることが例えば特開平1−133217
号公報や特開平2−292715号公報に記載されてい
る。Co−Cr−Ta系において媒体ノイズが小さい理
由は、主に磁性膜の結晶粒界部にCrが偏析しやすく、
結晶粒子間の磁気的な相互作用(以後、粒子間相互作用
と略記する)が低下するためと考えられている。また、
Co−Cr−Ta系磁性膜は腐食を防ぐ作用をするTa
元素を含むため、極めて高い耐食信頼性を有する。一
方、Co−Cr−Pt系ではCrやPt濃度の制御によ
り耐食性や保磁力の向上、さらにはノイズの低減を図れ
ることが、例えば特開昭63−187414号公報や特
開平1−283803号公報に記載されている。特に、
Co−Cr−Pt系ではPt濃度を高めることにより異
方性磁界HkをCo−Cr−Ta系より高くできるた
め、高い保磁力が得られることがジャーナル・オブ・ア
プライド・フィジックス、73巻、5569頁(199
3年)に記載されている。ただし、Co−Cr−Pt系
の耐食信頼性はCo−Cr−Ta系に比べて劣る。
【0004】さらに、面内記録あるいは垂直記録用の高
保磁力材料としてCoとSmを含む合金が特開昭55−
125533号公報や特開昭59−227108号公
報、特開昭60−89906号公報や特開昭64−32
422号公報に記載されている。CoにSmを添加する
と、異方性磁界Hkや一軸磁気異方性定数Kuが増加す
るため、高い保磁力Hcが得られることが知られてい
る。このように磁性膜の合金組成を制御することにより
500Mb/in2 以下の記録密度において、MRヘッ
ドの特性に適合した磁気記録媒体が設計、生産されてき
た。
【0005】一方、記録媒体に低密度で記録した孤立波
の再生出力はヘッド走行方向に測定した磁性膜の残留磁
束密度Brと磁性膜の膜厚δとの積Brδに近似的に比
例する。誘導型の磁気ヘッドを用いて面記録密度150
Mb/in2 を達成するためには、例えば媒体のBrδ
として330Gμm(2.6memu/cm2 )程度が
適当であるが、誘導型磁気ヘッドより感度の高いMRヘ
ッドを用いる場合にはBrδを従来より低減することが
適当であり、面記録密度1Gb/in2 を達成するため
には、Brδとして90Gμm(0.7memu/cm
2 )程度が適当であることが雑誌アイイーイーイー・ト
ランサクション・オン・マグネティクス、26巻、22
71頁(1990年)に述べられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】今後、記録密度を1〜
10Gb/in2 まで向上するためには再生感度の高い
MRヘッドを用いることが必須である。MRヘッドの能
力を有効に使うためには、媒体の保磁力を2.5kOe
以上に高めるとともにBrδおよび媒体ノイズを従来よ
り低減することが必要である。これは、Brδが過度に
大きいとMR膜の磁化が過度に回転して不安定化するた
め、ヘッドよりバルクハウゼンノイズが発生し、使用不
能となるためである。さらに、再生信号の波形が正側と
負側で非対称となり、信号の弁別が困難となる問題もあ
る。また、MRヘッドでは、記録された信号とともに媒
体ノイズに対する感度も高いため、媒体ノイズを従来よ
り著しく低減する必要がある。
【0007】従来、媒体ノイズの低減には磁性膜として
粒子間相互作用の小さいCo−Cr−Ta系の合金を用
い、さらにCr濃度を増加したり(Brの低減)、磁性
膜の膜厚δを減らすことにより、Brδおよび媒体ノイ
ズを低減してきた。しかしながら、Co−Cr−Ta系
では残留磁束密度Brを従来より減らすと異方性磁界H
kが低減する上、膜厚δを従来より減らすと磁化の熱揺
らぎの影響により2.5kOe以上の保磁力Hcを得る
ことが困難なことが見出された。Hcを高めるには上述
のようにHkの高いCo−Cr−Pt系やCo−Sm系
の合金を用いることが有効であるが、Co−Cr−Pt
系やCo−Sm系では粒子間相互作用が大きいため媒体
ノイズを充分に低減することができない。特に、Co−
Sm系やCo−Cr−Sm系では磁性膜が非晶質構造と
なるため、Cr等の非磁性物質が結晶粒界や粒内へ偏析
しないため粒子間相互作用の低減が起こらない。このた
め媒体ノイズが高くなる問題がある。また、Smは空気
中で特に腐食しやすい元素のため、Co−Sm系やCo
−Cr−Sm系では充分な耐食信頼性が得られず磁性膜
材料に適用するのは困難である。このため、高いHc
(高いHk)、低い媒体ノイズ、高い耐食信頼性を同時
に満足する磁性膜材料を開発することが強く求められて
いる。
【0008】また、媒体からの磁束を有効にMRヘッド
で検出するためには、ヘッドの浮上量を0.02μm以
上、0.1μm以下とする必要がある。しかし、従来の
媒体ではヘッド粘着防止あるいは磁気特性向上の目的
で、基板表面に中心線平均粗さ(Raと略記する;JI
S−B0601により定義される)が3nmを超えるテ
クスチャーが形成されており、浮上量を下げるとテクス
チャーの突起部とヘッドが接触しやすく、浮上量を0.
1μm以下に低減できないという問題がある。従って、
ヘッドが安定に浮上できるように、従来より表面が平滑
な媒体を形成する必要がある。
【0009】以上の課題および状況を鑑み、本発明の第
一の目的は、再生感度の高いMRヘッドに適応した、高
いHc(2.5kOe以上)、低い媒体ノイズ、高い耐
食信頼性を同時に満足する磁気記録媒体を提供すること
である。さらに、MRヘッドの浮上量0.02μm以
上、0.1μm以下において線記録密度150kBPI
以上、トラック密度7kTPI以上での記録再生時のS
/Nの値が4以上の磁気記録媒体を提供することであ
る。本発明の第二の目的はこのような媒体を再現性良く
製造する方法を提供することであり、本発明の第三の目
的は、このような媒体を用いた大容量で信頼性の高い磁
気記録装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、磁性膜の
合金組成と保磁力Hcおよび媒体ノイズとの関係を数多
くの合金組成に対して調べた結果、上記目的を達成する
ためには、磁気記録媒体の磁性膜の組成として、Coを
主たる成分として有し、濃度が10原子%以上、20原
子%以下のCrと、濃度が2原子%以上、6原子%以下
のTaと、濃度が1原子%以上、20原子%以下のSm
とを含む合金が適していることを見出した。
【0011】また、上記目的を達成するための第二の方
法として、磁性膜の組成としてCoを主たる成分として
有し、Coに対するCrの相対濃度が11.4%以上、
27.0%以下、Coに対するTaの相対濃度が2.3
%以上、8.1%以下である組成を採用し、Smまたは
Sm合金からなる膜厚0.5nm以上、5nm以下の中
間層により、磁性膜が2層以上に多層化されており、さ
らに、中間層中のSmの一部が磁性膜中に拡散した構造
が適していることを見出した。Smの拡散は、成膜温度
が高い場合には成膜中に行われ、より確実には成膜後に
加熱することによって行われる。また、磁性膜中Sm濃
度が1原子%以上、20原子%以下の磁性膜部分の磁性
膜総膜厚に占める割合が5%以上となるように、Smを
磁性膜中に充分に拡散させると、2.5kOe以上の高
いHcが得られるので好ましい。この第二の方法は磁性
膜の耐食信頼性に優れており、媒体ノイズも著しく低い
ので好ましい。
【0012】上記磁気記録媒体において、4kOe以上
の高いHcを得るためには、前記磁性膜はCoに対する
Crの相対濃度が14.1%以上、23.7%以下、C
oに対するTaの相対濃度が3.5%以上、7.9%以
下、Smの濃度が2原子%以上、10原子%以下、残部
がCoの合金からなることが好ましい。また、Smを中
間層から拡散させる場合、拡散前の中間層中のSm濃度
は10原子%以上が高いHcを得る上で好ましい。
【0013】さらに、上記磁気記録媒体において、総磁
性膜厚δを5nm以上、30nm以下とし、保磁力Hc
を2.5kOe以上とすると、磁化遷移領域の磁化の乱
れが低減して磁化遷移領域の幅が減少し、高記録密度領
域においても高い出力が得られるので好ましい。特にB
rδを5Gμm以上、100Gμm以下とすると媒体ノ
イズが低減し、高い媒体S/Nが得られるので特に好ま
しい。また、良好な重ね書き(オーバーライト)特性を
保証するためには保磁力Hcは5kOe以下とすること
が好ましい。
【0014】さらに、上記磁気記録媒体において、ヘッ
ド走行方向と垂直の方向に測定した媒体保護膜表面の中
心線平均粗さRaを0.3nm以上、3nm以下とする
と、ヘッド浮上量が0.02μm以上、0.1μm以下
でも安定に浮上するため好ましい。ここで、中心線平均
粗さRaは針先径が0.2μm以下の触針式表面粗さ
計、走査トンネル顕微鏡、電子線三次元粗さ測定装置等
により求められ、測定距離は10μm以上、100μm
以下であることが正確な測定値を得る上で好ましい。
【0015】また、磁性膜の磁化容易軸が基板面と略平
行となるように結晶を配向成長させると、ヘッド走行方
向の磁気異方性が向上して保磁力Hcが向上するので好
ましい。磁化容易軸が基板面と略平行となるよう磁性膜
結晶を成長させるには、面粗さが小さい基板上に媒体を
形成することが有効である。例えば、基板表面の中心線
表面粗さRaが2nm未満となるようテクスチャー加工
した後に、直接もしくは下地層を介して磁性層、保護層
を形成すると、磁性膜結晶の磁化容易軸が基板面とほぼ
平行となるので好ましい。また、上記基板をアルゴンガ
スを用いてプラズマエッチングした後、直接もしくは非
磁性下地層を介して磁性膜を形成すると磁性膜結晶の磁
化容易軸が基板面とほぼ完全に平行となるので好まし
い。このプラズマエッチング処理において、プラズマ出
力密度を30mW/cm2 以上、1W/cm2 以下と
し、周波数13.56MHzの高周波プラズマを用いる
と、磁性膜の結晶性が向上するので好ましい。
【0016】さらに、成膜真空槽の排気速度や膜の成長
速度を増したり、基板に負のバイアス電圧を10V以
上、500V以下で印加して成膜すると、磁性膜や下地
膜中に混入する水や酸素等の不純物濃度が低減するとと
もに、磁性膜中の応力が増加しHcが増加し、さらに、
磁性膜をSmを含有する中間層により二層化する場合
に、Smが磁性膜中に拡散しやすくなるので好ましい。
特に磁性膜を形成する際に、合金ターゲット中の酸素濃
度を50ppm以下とすると、Smが磁性膜中に拡散し
やすくなり、高いHcが得られるので好ましい。また、
磁性膜の耐食性も2倍以上に向上するので好ましい。ま
た、上記下地膜、磁性膜あるいは中間膜をECRプラズ
マ方式のスパッタリングにより形成すると、結晶配向性
が向上するため保磁力が向上するとともに、膜が緻密に
なり、耐食信頼性も向上するので好ましい。
【0017】また、媒体表面の中心線平均粗さRaを従
来より小さい値とした場合に、コンタクト・スタート・
ストップ(CSS)動作時のヘッドの粘着を抑制するに
は、磁性膜上に保護膜を形成した後にマスクを用いてプ
ラズマエッチングすることで表面に高さ20nm以下の
微細な凹凸を形成したり、化合物、混合物のターゲット
を用いて保護膜表面に微細な突起が生じるように形成し
たり、あるいは熱処理によって表面に微細な凹凸を形成
すると、CSS動作時にヘッドと媒体の摩擦力が低減で
き、ヘッドが媒体に粘着する問題が回避されるので好ま
しい。
【0018】また、媒体を形成するにあたっては、基板
の温度を200℃以上、500℃以下とすると、磁性膜
中のCrの偏析が促進されてHcが向上するとともに、
磁性膜を、Smを含有する中間層により二層化する場合
には、Smが磁性膜中に拡散しやすくなるので好まし
い。さらに、Cr,Mo,W,V,Ta,Nb,Zr,
Ti,B,Be,C,Ni−P,Ni−Bの少なくとも
一つを主たる成分として、膜厚が0.5nm以上、5n
m以下である非磁性中間層により、磁性膜を2層以上に
多層化すると単層の磁性膜に比べて媒体ノイズがさらに
低下するので好ましい。また、Cr,Mo,W,Nbあ
るいはTaを主たる成分とし、Ti,Pt,Pd,S
i,Fe,V,P,Bのいずれか少なくとも1種の元素
を添加した合金下地層を膜厚5〜500nm形成する
と、媒体ノイズが低下するので好ましい。また、前記下
地層が少なくとも2層の非磁性層で構成され、基板側の
下地層としてZr,Si,Ti,Sc,Al,C,G
e,Sb,Ga,Ru,Pd,V,Nb,Hf,Rh,
Ni−P,Ni−Bもしくはこれらを主たる成分とする
合金膜を膜厚5〜500nm形成すると、ガラスやTi
2 、カーボン等のセラミック材料からなる基板を用い
たときでも高いHcが得られるので好ましい。
【0019】磁性層としては、六方晶結晶構造の(11
0)結晶格子面が基板と略平行となるよう結晶を配向成
長させるとHcが向上するので望ましい。さらに、磁性
膜の保護層としてカーボン、水素添加カーボン、もしく
はカーボンを主たる成分とする非磁性材料を膜厚10〜
50nm形成し、さらに吸着性のパーフルオロアルキル
ポリエーテル等の潤滑層を膜厚3〜20nm設けること
により信頼性が高く、高密度記録が可能な磁気記録媒体
が得られる。保護層にはWC,(W−Mo)−C等の炭
化物、(Zr−Nb)−N,Si34 等の窒化物、S
iO2 ,ZrO2 等の酸化物、あるいはB,B4C,M
oS2 ,Rh等を用いると耐摺動性、耐食性を向上でき
るので好ましい。これらの保護膜はマスクを用いて表面
をエッチングし、面積比で1〜20%の突起を設ける
か、成膜条件、組成等を調整し、保護膜中に異なる相か
らなる突起物を析出せしめることで、保護膜が磁性膜表
面に比べて大きな面粗さを有することがより好ましい。
【0020】本磁気記録媒体とトラック幅が3μm以下
のMRヘッドとを組合せることにより、大容量で高信頼
性の磁気記録装置を提供することができる。また、最尤
復号法による信号処理回路とを組み合わせるとさらに記
録密度を向上できるのでより好ましい。
【0021】
【作用】Co−Cr−Ta系磁性膜中にSmを添加する
と磁性膜の異方性磁界Hkが向上するため、保磁力Hc
が向上する。また、Co−Cr−Ta系磁性膜中のCr
等の非磁性物質の結晶粒界や粒内への偏析はSmの添加
により実質的には変化せず、Co−Cr−Pt系、Co
−Sm系、あるいはCo−Cr−Sm系合金に比べて粒
子間相互作用は著しく小さい。従って、Co−Cr−T
a−Sm系では2.5kOe以上の高いHcがCo−C
r−Ta系に比べて容易に得られ、さらに、非磁性物質
が偏析した結晶粒構造を有することからCo−Cr−P
t系、Co−Sm系、あるいはCo−Cr−Sm系合金
に比べて媒体ノイズを低減することが可能になる。
【0022】さらに、磁性膜中に腐食を防ぐ効果を有す
るTa元素を有するため磁性膜の耐食信頼性が大幅に向
上する。すなわち、本発明により高Hc、低ノイズ特
性、高い耐食信頼性のいずれをも満足する磁気記録媒体
を形成できる。磁性膜をSmまたはSm合金からなる中
間層により2層以上に多層化し、中間層中のSmの一部
を磁性膜中に拡散せしめると、Smが拡散した磁性膜の
磁気異方性定数Hkや保磁力Hcが向上するとともに、
磁性膜の結晶粒の成長が中間層の形成により中断される
ため、単層の磁性膜に比べ結晶粒径を減少でき、これに
より媒体ノイズを低減できる。
【0023】成膜当初から磁性膜中にSmを添加する場
合に比べ、成膜後に中間層中のSmを拡散により磁性膜
中に添加する方法では、磁性膜中のCr等の非磁性物質
の偏析が成膜時に既に充分に進行している。このため、
Sm拡散後も粒子間相互作用をCo−Cr−Ta系合金
と同様に低くできるので媒体ノイズを低減できる。耐食
性の面からも中間層中のSmを磁性膜中に拡散する本方
法は、空気に触れる磁性膜表面部分のSm濃度を低減で
きるため腐食が進行しにくく、耐食信頼性に優れてい
る。
【0024】媒体の総磁性膜厚δを5nm未満とする
と、δが減少するに従い磁性膜の結晶粒径が小さくなり
すぎ、磁化の熱ゆらぎの効果等によりHcは低下する。
また、δが30nmを超えると磁性膜が垂直方向に磁化
しやすくなるためHcが低下する。従ってHcを2.5
kOe以上とするためにはδを5nm以上、30nm以
下の値とする必要がある。Hcを2.5kOe以上とす
ると磁化遷移領域の幅が減少して出力半減記録密度D50
が向上するため、高線記録密度時にも高い出力が得ら
れ、同時に媒体ノイズが減少するため再生信号のS/N
が向上する。また、Hcを5kOeよりも高くするとオ
ーバーライト特性が20dB以下となるので、Hcを5
kOe以下とすることが好ましい。
【0025】また、媒体のBrδが過度に大きいとMR
膜の磁化回転が不安定となり、ヘッドよりバルクハウゼ
ンノイズが発生する。また、Brδが増すと記録ビット
の遷移領域において反磁界が増して磁化の揺らぎが大き
くなるため、再生感度が高いMRヘッドを用いた場合に
媒体ノイズが著しく大きくなる。さらに、MRヘッドは
再生感度が高いため、Brδが100Gμmを超えると
再生出力が飽和して出力信号の波形が非対称となる。一
方、Brδが5Gμm未満では再生出力が小さく、媒体
ノイズの大きさと同程度となるため高い信号S/Nが得
られない。従って、使用するMRヘッドの再生感度に適
合して媒体のBrδを5Gμm以上、100Gμm以下
の範囲に制御することが高いS/Nを得る上で好まし
い。
【0026】媒体からの磁束を有効にMRヘッドで検出
するためには、ヘッドの浮上量を減少することが有効で
ある。ヘッド走行方向と垂直の方向に測定した媒体保護
膜表面の中心線平均粗さRaを0.3nm以上、3nm
以下とすると浮上量が0.02μm以上、0.1μm以
下でもヘッドが安定に浮上する。本発明による媒体はS
/Nが極めて高いため、トラック幅が3μm以下のMR
ヘッドで再生した場合にトラック密度7kTPI以上、
150kBPI以上の高い記録密度においてS/Nが4
以上の大容量磁気記録装置が得られる。また、最尤復号
法により信号処理回路とを組み合わせることでさらに記
録密度を向上できるのでさらに好ましい。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 〔実施例1〕図1は、本発明の一実施例による薄膜媒体
の断面構造を模式的に示したものである。同図におい
て、符号11はAl−Mg合金、化学強化ガラス、有機
樹脂、Ti,Si,カーボン、あるいはTiO2 ,Si
C等のセラミックス等からなる基板、12は基板11の
両面に形成したNi−P,Ni−W−P等からなる非磁
性メッキ層である。Al−Mg合金を基板として用いた
場合にはこのようなメッキ層を備えたものを基板として
用いることが好ましい。13はCr,Mo,WまたはC
r,Mo,Wのいずれかを主な成分とする合金からなる
金属下地膜、14は下地膜の上に形成したCo−Cr−
Ta−Sm合金磁性層、15は磁性膜の上に形成したカ
ーボン、WC,(W−Mo)−C,(W−Zr)−C,
SiC,(Zr−Nb)−N,Si34 ,SiO2
ZrO2 ,ボロン,B4C,MoS2,あるいはRh等か
らなる非磁性保護膜をそれぞれ示す。
【0028】外径65mm、内径20mm、厚さ0.3
mmのAl−Mgディスク基板の両面にNi−21P
(元素記号の前に記した数字は、膜中の当該元素の原子
%で表わした濃度)からなるメッキ層を13μmの膜厚
で形成した。この非磁性基板の表面を、ラッピングマシ
ンを用いて中心線平均粗さRaが0.5nmとなるまで
平滑に研磨し、洗浄および乾燥した。その後、テープポ
リッシングマシンを用い、平均砥粒径1μm以下の研磨
剤の存在下で、研磨テープをコンタクトロールを通して
ディスク基板11を回転させながらディスク面の両側に
押しつけることにより、Raが1.5nmのテクスチャ
ー溝を形成した。さらに、基板に付着した研磨剤等の汚
れを洗浄して乾燥した。
【0029】このディスク基板を直流スパッタリング成
膜装置中で、真空槽体積当りの水蒸気の排気速度200
l/s以上の排気ポンプを用いて真空保持し、300℃
まで加熱した後、アルゴン圧5mTorrにおいて基板
を周波数13.56MHzにてプラズマエッチングし
た。プラズマ出力密度は10mW/cm2 以上、200
0mW/cm2 以下とし、エッチング膜厚は2nm以下
とした。その後、2mTorrのアルゴン圧において膜
厚25nmのCr下地膜を形成した。この下地膜上に含
有酸素濃度が100ppm以下の合金ターゲットを用い
て(80−x)Co−16Cr−4Ta−xSm合金系
磁性膜を膜厚15nm成膜した。その後、磁性膜上に膜
厚10nmのカーボン保護膜を形成し、最後に保護膜上
に吸着性のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑
層を形成した。
【0030】本媒体のヘッド走行方向と垂直の方向に測
定した、保護膜表面のRaは3nmであった。媒体の面
内方向の静磁気特性(Hc,Br,Hk)を最大印加磁
界14kOeの振動式磁化測定機(VSM)、トルクメ
ーターにより求めた。また、記録再生特性を、ヘッド浮
上量0.08μm、実効ギャップ長0.3μm、トラッ
ク幅2μm、再生部にMR素子を有する複合型薄膜磁気
ヘッドを用いて線記録密度150kBPIにおいて再生
信号のS/Nの値を求めた。
【0031】磁性膜中のSm濃度(x)と面内保磁力
(Hc)の関係を図2に示す。xが1原子%以上、20
原子%以下の時にHcが2.5kOe以上、5kOe以
下となった。この時のBrδの値は70Gμm以上、9
5Gμm以下であった。また、xが2原子%以上、10
原子%以下の時にHcが4kOe以上、5kOe以下と
なった。また、異方性磁界Hkの値はSmを0,1,
5,20原子%と増すことにより、順次5,9,12,
15kOeと向上した。
【0032】上記方法により形成された本発明の磁気記
録媒体をX線回折分析した結果、Cr下地層では体心立
方構造の(200)結晶格子面が基板面と略並行となる
よう結晶が配向成長していることが確認された。また、
磁性層では六方晶構造の(110)面がディスク基板表
面と略並行となるよう配向し、基板面内方向に磁化容易
軸(c軸)を有していた。
【0033】本媒体を用いて、浮上量0.08μmにお
いてMRヘッドを媒体内周から外周まで10万回シーク
した結果、ヘッドと媒体の接触は起こらないことが確認
された。さらに、この媒体を用いて浮上量0.05μ
m、記録密度150kBPI、7kTPIの条件でMR
ヘッドを用いて測定した信号再生S/Nと、Sm濃度
(x)との関係を図3に示す。xの値が1原子%以上、
20原子%以下の時にS/Nが向上し、4以上となっ
た。さらに、媒体の信頼性試験として、媒体表面に塩水
を噴霧した後、温度60℃、湿度95%RHの恒温恒湿
槽に1週間保持した後、VSMにより磁化量を測定した
ところ、磁化の減少は5%以下と従来のCo−Cr−T
a系磁気記録媒体と同等であり、良好な耐食性が確認さ
れた。
【0034】〔実施例2〕図4に断面略図を示す磁気記
録媒体を作製した。作製に当たっては、外径65mm、
内径20mm、厚さ0.3mmのガラスディスク基板4
1を、ラッピングマシンを用いて中心線平均粗さRaが
0.5nmとなるまで平滑に研磨し、洗浄および乾燥し
た。このディスク基板41をECRプラズマスパッタリ
ング成膜装置内に真空保持し、400℃まで加熱した
後、1mTorrのアルゴン圧において、図4の断面構
造に示すように、膜厚10nmのCr下地膜42、膜厚
10nmの80Ni−20P下地膜43、膜厚25nm
の80Cr−20Ti下地膜44を形成した。この下地
膜上に含有酸素濃度が50ppm以下の合金ターゲット
を用いて膜厚10nmのCo−16Cr−6Ta合金磁
性膜45、膜厚2nmの50Sm−50Cr中間膜47
を積層し、さらに含有酸素濃度が50ppm以下の合金
ターゲットを用いて膜厚10nmのCo−16Cr−6
Ta合金磁性膜45を順次積層した。Cr下地層42は
接着層としての機能、下地層43はその上に形成される
Cr−Ti膜44の結晶配向制御機能、下地層44はそ
の上に形成される磁性膜45の結晶配向制御機能を有す
る。磁性膜45,45には、成膜中にSm拡散層46が
形成された。中間膜や磁性膜を成膜する際には、基板に
負のバイアス電圧を200V印加した。また、基板温度
300℃にて30分間加熱してSmを磁性膜中に拡散せ
しめた。
【0035】その後、磁性膜上に膜厚10nmの水素含
有カーボン保護膜48を形成し、最後に保護膜上に吸着
性のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を形
成した。本媒体のヘッド走行方向と垂直の方向に測定し
た、保護膜表面のRaは0.3nmであった。実施例1
と同様に媒体の静磁気特性を測定し、MRヘッドを用い
て記録再生特性を求めた。また、磁性膜および中間層中
のCo,Cr,Ta,Smの膜厚方向の濃度分布をイオ
ンマイクロアナライザーにより分析した。図5に、磁性
膜および中間層中のSmの膜厚方向の濃度分布を示す。
中間層47中のSmが磁性膜45,45中に拡散し、磁
性膜総膜厚中の90%の磁性膜部分中のSm濃度は1原
子%以上、20原子%以下となっていた。本媒体の保磁
力は3kOe、Hkは10kOeであり、200kBP
I、10kTPIの条件で測定したS/Nは5であっ
た。
【0036】比較のために中間層中のSmの濃度を0と
して作製した媒体の保磁力は2kOe、Hkは5kOe
であり、200kBPI、10kTPIの条件で測定し
たS/Nは2.5と低く、Smの添加効果が明らかとな
った。上記Sm−Cr中間層47の膜厚と記録再生S/
Nの関係を図6に示す。中間層の膜厚を0.5nm以
上、5nm以下とするとS/Nは4以上に向上した。ま
た、磁性膜の総膜厚は一定として、Sm−Cr中間層の
数を2,3,4,5と増した場合のS/Nはそれぞれ
5,5,4,3.5となり、Sm−Cr中間層を5層以
上とした場合にはS/Nの向上はCr中間層に比べて僅
かであった。さらに、中間層をSm単体あるいはSmと
Cr,Mo,W,V,Ta,Nb,Zrとの合金(ただ
し、合金中のSm濃度は10原子%以上とする)とした
ときにも同様の効果が得られた。
【0037】また、このSm添加効果は第2層下地膜4
3としてZr,Si,Ti,Sc,Al,C,Ge,S
b,Ga,Ru,Pd,Ta,V,Nb,Hf,Rh,
Ni−Bもしくはこれらの合金を用いた場合でも同様に
認められ、基板41としてTi基板、SiC基板、グラ
ファイト基板を用いた場合でも同様に認められた。さら
に媒体の信頼性試験として、媒体表面に塩水を噴霧した
後、温度60℃、湿度95%RHの恒温恒湿槽に1週間
保持したあとVSMにより磁化量を測定したところ、磁
化の減少は3%以下と従来のCo−Cr−Ta系磁気記
録媒体と同等であり、良好な耐食性が確認された。
【0038】〔実施例3〕外径65mm、内径20m
m、厚さ0.3mmのカーボンディスク基板表面を、ラ
ッピングマシンを用いて中心線平均粗さRaが0.5n
mとなるまで平滑に研磨し、洗浄および乾燥した。その
後、実施例2と同様にECRスパッタリング成膜装置内
で500℃まで加熱した後、5mTorrのアルゴン圧
において下地膜としてCrを30nm形成し、次いで含
有酸素濃度が100ppm以下の合金ターゲットを用い
て(97−y−z)Co−yCr−zTa−3Sm合金
磁性膜を形成した。この時、磁性膜厚δを変化させてB
rδの値を変化させた。この磁性膜上に実施例1と同様
に保護膜および潤滑膜を形成した。
【0039】図7にTa濃度を4原子%とした磁性膜中
のCr濃度(y)と保磁力Hcの関係、図8にCr濃度
を16原子%とした磁性膜中のTa濃度(z)と保磁力
Hcの関係、図9にCr濃度を16原子%、Ta濃度を
6%とした磁性膜のBrδとS/Nの関係を示す。
【0040】Cr濃度を10原子%以上、20原子%以
下、Ta濃度を2原子%以上、6原子%以下とするとH
cが2.5kOe以上、5kOe以下となった。また、
Brδを5以上、100以下とするとS/Nが4以上と
なった。また、Cr濃度を12原子%以上、18原子%
以下、Ta濃度を3原子%以上、6原子%以下とすると
Hcが4kOe以上、5kOeとなった。また、Hcが
3kOe以上、5kOe以下の範囲の媒体の記録再生特
性を260kBPI、15kTPI、ヘッド浮上量0.
03μmの条件で測定した結果、いずれも4〜5のS/
Nが得られた。これらの効果は下地膜としてCr,M
o,W,Nb,Taもしくはこれらを主たる成分とし、
Ti,Si,Agを添加した合金を用いた場合でも同様
に認められた。
【0041】〔実施例4〕実施例1と同等の磁気記録媒
体のカーボン保護膜表面に開口部のピッチ1μm以上、
100μm以下の粒子化マスクを設置した。その後、マ
スクに覆われない部分の水素含有カーボン保護膜を酸素
プラズマエッチングにより深さ1nm以上、20nm以
下でエッチングして、保護膜が磁性膜表面と比べて異な
る面粗さを有するようにした。その結果、カーボン保護
膜表面にピッチ1μm以上、100μm以下の凹凸が形
成された。
【0042】本実施例の媒体を用いてヘッドの浮上性お
よび記録再生特性を測定した結果、カーボン保護膜表面
を5〜20nmエッチングした場合に実施例1の媒体と
同等の記録再生特性が得られた。ロード・アンロード方
式によりヘッドを浮上した場合には、本実施例の媒体は
実施例1と同等の耐摺動信頼性を示したが、特に、コン
タクト・スタート・ストップ方式でヘッドを浮上させた
場合には実施例1の媒体よりヘッドの粘着を低減するこ
とができ、信頼性が向上した。保護膜としてi−C(io
n-assisted carbon),WC,(W−Mo)−C,(Nb
−Zr)−N,MoS2 ,Si34 ,SiO2 ,Zr
2 ,Rh,B4C,B等を用いた場合にも同様の効果
が認められた。
【0043】〔実施例5〕実施例1ないし4に示した媒
体と同等の特性を有する磁気記録媒体4枚を使用し、C
o−Ni−FeもしくはCo−Ta−Zr合金を記録用
磁極材とし、再生部にMR素子を有する複合型薄膜磁気
ヘッド7個と、サーボ用のNi−Fe合金を記録再生用
磁極とする薄膜ヘッドとを組み合わせた磁気記録装置を
作製した。この装置は、平面図10(a)およびA−
A’断面図10(b)に示すように磁気記録媒体10
1、磁気記録媒体駆動部102、磁気ヘッド103、磁
気ヘッド駆動部104、記録再生信号処理系105など
の部品から構成される。
【0044】この磁気記録装置を使用し、スペーシング
0.02μmにおいてエラーが発生するまでの平均時間
を求めたところ従来装置の約2倍となり、信頼性が極め
て高いことを実証できた。また、本実施例で作製した磁
気記録装置はヘッド浮上量が低いため、信号の記録再生
における位相マージンが広くなり、面記録密度をSmを
用いない媒体の約2倍に高めることができ、小形で大容
量の磁気記録装置を提供できた。本装置を用いてトラッ
ク幅が2μm以下のMRヘッドで再生した場合に150
kBPI以上、7kTPI以上の高い記録密度において
S/Nが4以上、さらに、オーバーライト特性が26d
B以上の大容量磁気記録装置が得られた。また、基板表
面のテクスチャー形状が小さいためサーボ信号の品位も
高く、良好なヘッド位置決めができた。
【0045】本実施例では、Co−Ni−Feもしくは
Co−Ta−Zr合金を磁極材とする薄膜磁気ヘッドを
用いた場合について説明したが、NiFe,Fe−Al
合金磁性膜、もしくはこれらを用いた多層磁性膜等を記
録用磁極材とする録再分離型薄膜磁気ヘッド、Co−T
a−Zr,Fe−Al−Si合金等をギャップ部に設け
たメタル・イン・ギャップ型(MIG)録再分離複合磁
気ヘッド、さらには誘導型薄膜ヘッドまたはMIGヘッ
ドを用いた場合にも同様の効果が得られることを確認し
た。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、再生感度の高いMRヘ
ッドに適応した、高S/Nで、しかもMRヘッドが浮上
量0.02μm以上、0.1μm以下で浮上可能な磁気
記録媒体、およびその製造方法、さらにこれを用いた小
形で大容量の磁気記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の薄膜型磁気記録媒体の縦断
面構造図。
【図2】磁性膜中におけるSm濃度と面内保磁力との関
係を示す図。
【図3】Sm濃度と記録再生時のS/Nとの関係を示す
図。
【図4】本発明の他の実施例の薄膜型磁気記録媒体の縦
断面構造図。
【図5】磁性膜および中間層中のSmの膜厚方向の濃度
分布を示す図。
【図6】Sm−Cr中間層の膜厚と記録再生時のS/N
との関係を示す図。
【図7】磁性膜中におけるCr濃度と面内保磁力との関
係を示す図。
【図8】磁性膜中におけるTa濃度と面内保磁力との関
係を示す図。
【図9】残留磁束密度膜厚積(Brδ)と記録再生時の
S/Nとの関係を示す図。
【図10】磁気記録装置の縦断面構造図。
【符号の説明】
11…磁気ディスク基板、12…非磁性メッキ層、13
…金属下地膜、14…金属磁性膜、15…非磁性保護
膜、41…磁気ディスク基板、42…第一下地層、43
…第二下地膜、44…第三下地層、45…磁性膜、46
…Sm拡散層、47…中間層、48…非磁性保護膜、1
01…磁気記録媒体、102…磁気記録媒体駆動部、1
03…磁気ヘッド、104…磁気ヘッド駆動部、105
…記録再生信号処理系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/85 A 7303−5D H01F 10/16 (72)発明者 山本 朋生 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 二本 正昭 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板と、該非磁性基板上に直接も
    しくは少なくとも一層の下地膜を介して形成された磁性
    膜とを少なくとも有する磁気記録媒体において、前記磁
    性膜はCoを主たる成分とし、濃度が10原子%以上、
    20原子%以下のCrと、濃度が2原子%以上、6原子
    %以下のTaと、濃度が1原子%以上、20原子%以下
    のSmとを含む合金からなることを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性膜はCoを主たる成分とし、濃
    度が12原子%以上、18原子%以下のCrと、濃度が
    3原子%以上、6原子%以下のTaと、濃度が2原子%
    以上、10原子%以下のTaとを含む合金からなること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性基板と、該非磁性基板上に直接も
    しくは少なくとも一層の下地膜を介して形成された磁性
    膜とを少なくとも有する磁気記録媒体において、前記磁
    性膜はSmを含有する膜厚0.5nm以上、5nm以下
    の中間層により2層以上に多層化されており、かつ前記
    磁性膜はCoを主たる成分とし、Coに対する相対濃度
    が11.4%以上、27.0%以下のCrと、Coに対
    する相対濃度が2.3%以上、8.1%以下のTaと、
    前記中間層から拡散した膜厚方向に濃度が異なるSmと
    を含む合金からなることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記磁性膜中Sm濃度が1原子%以上、
    20原子%以下の磁性膜部分の磁性膜総膜厚に占める割
    合が5%以上であることを特徴とする請求項3記載の磁
    気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁性膜はCoに対するCrの相対濃
    度が14.1%以上、23.7%以下、Coに対するT
    aの相対濃度が3.5%以上、7.9%以下、磁性膜中
    のSm濃度が2原子%以上、10原子%以下である磁性
    膜部分の磁性膜総膜厚に占める割合が5%以上であるこ
    とを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 磁性膜の磁化容易軸が実質的に基板面内
    方向に配向していることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 ヘッド走行方向に測定した磁性膜の残留
    磁化と膜厚との積が5Gμm以上、100Gμm以下で
    あり、保磁力が2.5kOe以上、5kOe以下である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の磁
    気記録媒体。
  8. 【請求項8】 非磁性基板上に下地膜を形成する工程
    と、その上に含有酸素濃度が50ppm以下のターゲッ
    トを用いてCo−Cr−Ta合金膜を形成する工程と、
    その上に10原子%以上のSmを含有する中間膜を形成
    する工程と、その上に含有酸素濃度が50ppm以下の
    ターゲットを用いてCo−Cr−Ta合金膜を成膜する
    工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 中間層中のSmを、隣接するCo−Cr
    −Ta合金膜中に200℃以上、500℃以下の基板温
    度で拡散させる加熱工程をさらに含むことを特徴とする
    請求項8記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 ヘッド走行方向と垂直の方向に測定し
    た表面の中心線平均粗さが0.3nm以上、3nm以下
    である請求項7記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体駆
    動部と、磁気抵抗効果型再生部を有する磁気ヘッドと、
    磁気ヘッド駆動部と、記録再生信号処理系とを備え、磁
    気ヘッドの浮上量が0.02μm以上、0.1μm以下
    であることを特徴とする磁気記録装置。
  11. 【請求項11】 前記磁気記録媒体の線記録密度が15
    0kBPI以上であることを特徴とする請求項10記載
    の磁気記録装置。
  12. 【請求項12】 前記磁気記録媒体の記録トラック密度
    が7kTPI以上であることを特徴とする請求項11記
    載の磁気記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001052248A1 (fr) * 2000-01-13 2001-07-19 Hitachi Maxell, Ltd. Support d'enregistrement magnetique, procede de fabrication du support et enregistreur magnetique.
SG86421A1 (en) * 1999-07-16 2002-02-19 Showa Denko Kk Magnetic recording medium and magnetic recording and reproducing device
JP2007251111A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Taiyo Yuden Co Ltd 高周波磁性薄膜及び高周波電子デバイス

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