JP3565103B2 - 磁気記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ドラム、磁気テープ、磁気ディスク、磁気カード等の磁気記録媒体および磁気記録装置に係り、特に高密度磁気記録に好適な薄膜媒体およびこれを用いた磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における電子計算機の小型化・高速化に伴い、磁気ディスク装置その他の外部記憶装置の大容量化・高速アクセス化に対する要求が高まっている。特に、磁気ディスク記録装置は高密度化・高速化に適した情報記憶装置であり、その需要が一段と強まりつつある。磁気ディスク装置に用いられる記録媒体としては、酸化物磁性体の粉末を基板上に塗布した媒体と、金属磁性体の薄膜を基板上にスパッタ蒸着した薄膜媒体が開発されている。この薄膜媒体は、例えば特開昭58−7806号や特開昭60−111323号に示されるように、塗布型の媒体に比べて磁気記録層に含まれる磁性体の密度が高いため、高密度の記録再生に適している。
【0003】
また、磁気ヘッドの再生部に磁気抵抗効果型(以後、MRと略記する)素子を用いることにより、再生感度を従来の誘導型の磁気ヘッドより向上したMRヘッドが開発されている(例えば、特開昭62−40610号や特開昭63−117309号に示される)。このヘッドを用いると記録ビットの面積が小さくても充分な信号S/Nが得られるので、媒体の記録密度を飛躍的に向上することができる。
【0004】
薄膜媒体の基板にはアルミ合金、ガラス、セラミックス、あるいは有機樹脂が用いられる。また、ディスク基板の表面には硬度、平滑度等の加工成形性あるいは磁気特性向上の目的で、例えば厚さ約10μmのNi−Pメッキ層や陽極酸化膜が形成される。このような基板表面に、国特許第4735840号、特開昭61−29418号、特開昭62−146434号、特開昭63−121123号、雑誌IEEE Trans. Magn.、 vol. MAG−22 (5)、 p.579、 1986年、あるいは雑誌IEEE Trans. Magn.、 vol. MAG−23 (5)、 p.3405 1987年に記載されるような、微細な溝が略磁気ヘッド走行方向、例えば、略円周方向に形成される場合がある。この溝はテクスチャーと称され、砥粒を用いて表面を略円周方向に切削して形成され、溝の中心線平均粗さ(Ra)は従来、約2nmから10nmの範囲であった。このようなテクスチャーを形成すると磁気ヘッドが媒体と接触した時の摩擦力が減少し、コンタクト・スタート・ストップ(以後CSSと略記する)動作時にヘッドが媒体表面に粘着する問題が回避される。また、溝の中心線平均粗さ、下地膜の膜厚、あるいは媒体の成膜条件を適正化すると磁気ヘッド走行方向に磁界を印加して測定した磁性膜の磁気特性、例えば保磁力Hc、残留磁化量Br、保磁力角形比S*、あるいは基板面内に磁界を印加して基板面内で試料を回転して測定した磁気異方性エネルギーKが、テクスチャーを形成しない場合に比べて向上し、記録再生時のS/Nや分解能が向上する場合がある。さらに、媒体成膜時の加熱温度や搬送方法によって略円周方向の磁気特性が媒体面内で不均一となり、これによって再生出力が媒体面内で変動する、モジュレーションと呼ばれる問題がある。しかし、溝の深さ、下地膜の組成、成膜条件等を適正化すると略円周方向の磁気特性が媒体面内で均一化され、その結果、モジュレーションが抑制される効果が認められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
薄膜媒体の記録密度を向上するには、図1に示す磁気ヘッドと記録媒体との間隙(以後、ヘッド浮上量と略記する)を可能な限り小さくすることが重要である。これは、記録時には媒体内に急峻な磁界分布が形成されるとともに、再生時には媒体からの磁束を感度良く検出することができ、再生出力の損失を抑えることができるからである。しかし、テクスチャー加工を行った媒体ではヘッド浮上量を小さくすると、テクスチャーのない平滑な基板に比べて磁気ヘッドが媒体に接触する頻度が増す。詳細な検討により、この原因はテクスチャー加工により媒体表面に不規則で微細な突起が不可避的に形成され、浮上量を小さくすると突起が磁気ヘッドと接触するためであることがわかった。一方、ヘッドと媒体との接触頻度を低減する方法としては基板表面の突起を研磨工程により除去すること特開平1−162229号に述べられている。しかし、この場合にはヘッド走行方向に磁界を印加して測定した磁性膜の磁気特性や異方性エネルギーが、突起を研磨する前に比べて低下し、記録再生時のS/Nが低下し、モジュレーションが発生する問題があった。
【0006】
さらに、溝の深さが大きい場合には、情報が記録されたトラックをヘッドが追従する際に必要な、予め媒体に記録されたサーボ信号の均一性やS/Nが、テクスチャーのない平滑な基板に比べて悪いため、トラック密度を高めることができない問題もあった。
【0007】
ヘッド浮上性やサーボ信号劣化の問題を解決するには、溝の深さを小さくすることが有効であるが、雑誌IEEE Trans. Magn.、 vol. MAG−23 (5)、 p.3405 1987年に述べられているように、溝の深さを小さくするとヘッド走行方向に磁界を印加して測定した磁性膜の磁気特性が低下する問題がある。ここで、磁気ヘッドの走行方向に磁界を印加して測定した保磁力Hc(θ)と、基板面内で磁気ヘッドの走行方向と略直角方向に磁界を印加して測定した保磁力Hc(r)を用い、(Hc(θ)−Hc(r)/Hc(θ)+Hc(r))により、磁気ヘッド走行方向の保磁力Hcの配向比を定義する。
【0008】
前述のHcの配向比は媒体の記録再生特性と密接に関っている。詳細な実験の結果、線記録密度50kBPI(BPI=Bits Per Inchの略)、トラック密度3kTPI(TPI=Tracks Per Inchの略)の時に再生信号のS/Nとして4以上を得るには、Hcの配向比は0.1以上、0.7以下が好ましいことが見出された。また、基板面内に磁界を印加して基板面内で試料を回転して測定された面内磁気異方性エネルギーが3×104J/m3以上、5×105J/m3以下であると好ましいことが見出された。しかし、従来の技術では溝の大きさを小さくして、Hcの配向比を上記範囲に制御することは知られておらず、溝の中心線平均粗さRaは3nmを上回る必要があった。
【0009】
以上の課題および状況を鑑み、本発明の第一の目的は、ヘッドの安定走行が可能で、ヘッド走行方向に高い磁気特性を有し、高密度記録時のS/Nが高い媒体を提供することである。すなわち、ヘッドの浮上量0.1μm以下において内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数が10ビット/面以下、媒体のモジュレーションが10%以下、線記録密度50kBPI、トラック密度3kTPIの時の再生信号のS/Nの値が4以上の磁気記録媒体を提供することである。さらに、第二の目的はこのような媒体を再現性良く製造する方法を提供することであり、第三の目的は、このような媒体を用いた大容量で信頼性の高い磁気記録装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは媒体の微細な表面形状と、ヘッド走行方向に磁界を印加して測定した磁気特性、面内磁気異方性エネルギー、記録再生特性、ヘッド浮上性との関係を鋭意研究した結果、上記目的は媒体表面のヘッドの走行方向に極めて微細な凹凸を存在せしめることにより達成でき、ヘッド走行方向に磁界を印加して測定した磁気特性、面内磁気異方性エネルギー、およびヘッドの安定浮上性に優れた媒体を提供できることを見出した。すなわち、磁気ヘッドの走行方向と略直角方向に測定した媒体表面の中心線平均粗さRa(r)の範囲は0.3nm以上、3nm以下であり、さらに、前述のHcの配向比が0.1以上、0.7以下である媒体を提供できることを見出した。また、磁気ヘッドの走行方向と略直角方向に測定した表面中心線平均粗さRa(r)の範囲が0.3nm以上、3nm以下であり、ヘッド走行方向の磁化容易軸を有し、基板面内に磁界を印加して基板面内で試料を回転して測定された磁気異方性エネルギーが3×104J/m3以上、5×105J/m3以下である媒体を提供できることを見出した。この時、媒体表面の、ヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する、深さ1nm以上の溝の平均本数が0.5本以上、100本以下であることが好ましい。また、媒体表面の最大高さRmax(r)とRa(r)との比Rmax(r)/Ra(r)の値の範囲が10以上、30以下であることが好ましい。また、略磁気ヘッド走行方向に測定した中心線平均粗さRa(θ)と、それと略直角方向に測定した中心線平均粗さRa(r)との比、Ra(r)/Ra(θ)が1.1以上、3.0以下であることが好ましい。
【0011】
ここで、「中心線平均粗さ」、「最大高さ」の使用は、日本工業規格(JIS−B0601)に規定された定義に準拠する。また、中心線平均粗さ、および最大高さは、例えば触針式あるいは光学式の表面粗さ計、走査トンネル電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、3次元走査電子顕微鏡、あるいは透過電子顕微鏡により測定できる。触針式の表面粗さ計を用いる場合に再現性の良い測定結果を得るためには図2に示すような触針の先端径を0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下とし、触針の押しつけ荷重を4mg以下とし、触針走査速度を1μm/s以下とし、さらに、カットオフを0.5μm以上、5μm以下とすることが好ましい。また、保護膜の一部がエッチングや加熱等により加工されている場合は、図2に示すように未加工部の表面を触針で走査することにより溝の形状を測定でき、さらに保護膜全面が加工されている場合には、保護膜のみをエッチングにより除去して磁性膜表面の粗さを測定することが好ましい。
【0012】
また、基板上にCr、Mo、Wもしくはこれらを主たる成分とする合金からなる下地層を膜厚5nm〜500nm形成し、下地層の(100)または(110)結晶格子面が基板と平行となるよう結晶を配向成長させると、ヘッド走行方向の磁気異方性を向上できるので好ましい。磁性層としてはCo、Fe、Niもしくはこれらを主たる成分とする合金が望ましく、特にCo−Ni、Co−Cr、Co−Fe、Co−Mo、Co−W、Co−Pt、Co−Re等の合金を主たる成分とする場合に良好な磁気特性が認められる。また、磁性層の(110)結晶格子面が基板と略平行となるよう結晶を配向成長させると磁気異方性が向上するので好ましい。また、優れた耐食性や磁気特性を求める場合には、下地層としてCr、Mo、あるいはWを主たる成分とし、Nb、Ti、Ta、Pt、Pd、Si、Fe、V、あるいはPのいずれかを添加した合金を用い、さらに、磁性膜を構成する磁性体としてCo−Ni−Zr、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Ta、Co−Ni−Crを主たる成分とする合金を用いることが望ましい。また、磁性膜がCr、Mo、W、V、Ta、Nb、Zr、Ti、B、Be、C、あるいはNi−Pの少なくとも一つを主たる成分とする非磁性中間層により、2層以上に多層化されると媒体ノイズが減少するので好ましい。さらに、磁性膜の保護層としてカーボンを膜厚10nm〜50nm形成し、さらに吸着性のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を膜厚3nm〜20nm設けることにより信頼性が高く、高密度記録が可能な磁気記録媒体が得られる。また、保護層としてWC、(W−Mo)C等の炭化物、(Zr−Nb)−N、Si3N4等の窒化物、SiO2、ZrO2等の酸化物、あるいはB、B4C、MoS2、Rh等を用いると耐摺動性、耐食性を向上できるので好ましい。特に、これらの保護膜は成膜後に微細マスクを用いてプラズマエッチングすることで表面に微細な凹凸を形成したり、化合物、混合物のターゲットを用いて保護膜表面に突起を生じせしめたり、あるいは熱処理によって表面に凹凸を形成することで、ヘッドと媒体との接触面積を低減でき、CSS動作時にヘッドが媒体表面に粘着する問題が回避されるので好ましい。上記磁気記録媒体を形成するに当っては、中心線平均面粗さRaが2nm以下の非磁性基板を、平均粒径1μm以下、好ましくは0.5μm以下の研磨砥粒を含む研磨材により略磁気ヘッド走行方向に研磨して溝を形成した後、物理的蒸着手段によって直接、あるいは下地膜を介して磁性層および保護層を形成し、磁気ヘッドの走行方向と略直角方向に測定した表面中心線平均粗さRa(r)の範囲を0.3nm以上、3nm以下とすると、ヘッドの浮上量0.1μm以下におけるビットエラー数が低減できるので好ましい。また、上記磁気記録媒体を形成する他の方法として、非磁性基板上に形成され、中心線平均面粗さRaが2nm以下の下地膜を、平均粒径1μm以下、好ましくは0.5μm以下の研磨砥粒を含む研磨材により略磁気ヘッド走行方向に研磨して図2に示すように溝を形成した後、物理的蒸着手段によって磁性層および保護層を形成し、磁気ヘッドの走行方向と略直角方向に測定した表面中心線平均粗さRa(r)の範囲が0.3nm以上、3nm以下とすることが可能である。この時、砥粒による研磨加工時間を過度に短く、あるいは長くせずに最適に制御することが重要である。また、溝が互いに交差するように形成することも有効である。こうすることによりヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する、深さ1nm以上の溝の平均本数を0.5本以上、100本以下とすることが可能である。また、Rmax(r)/Ra(r)の値の範囲を10以上、30以下とすることが可能である。また、Ra(r)/Ra(θ)の値の範囲を1.1以上、3.0以下とすることが可能であり、これらの効果によりHcの配向度や面内磁気異方性エネルギーが向上する。
【0013】
本磁気記録媒体は磁性膜表面の凹凸に起因するサーボ信号の揺らぎが極めて小さく高品位であるのでヘッドの位置決め精度が向上する。また、再生部にMR素子を有し、トラック幅が5μm以下の磁気ヘッドを組合せることにより、媒体の線記録密度が50kBPI以上で、記録トラック密度が3kTPI以上の大容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することができる。
【0014】
本発明者らは平均粒径を0.1〜10μmとしたダイアモンド、アルミナ、セリア砥粒を含む液体もしくはテープ状加工材を用いて、Ni−PメッキAl合金、ガラス、Ti、Si、カーボン、ZrO2等の、表面中心線平均粗さが約1nm以下の非磁性基板を研磨圧力、時間、研磨法などを変えて研磨してヘッド走行方向に微細な溝を設け、この上に直接もしくは下地膜を介して磁性膜、保護潤滑膜等を形成して、浮上性、磁気特性、記録再生特性を検討した。また、表面中心線平均粗さRaが約1nmの非磁性基板にCr下地膜を形成し、その表面を上記研磨条件で研磨してヘッド走行方向に微細な溝を設け、この上に磁性膜、保護潤滑膜等を形成して、浮上性、磁気特性、記録再生特性等を検討した。その結果、従来は円周方向の磁気異方性を高めるためには、ヘッドの浮上性を犠牲にしても溝のRaを3nmを上回る大きい値とする必要があったが、このような常識とは全く異なり、磁性膜表面に現われる溝の粗さを小さくしてもヘッド走行方向に優れた磁気異方性を確保でき、さらに、浮上性も極めて優れた媒体を提供できることを見出した。これは以下に述べる作用による。すなわち、加工砥粒の平均粒径を1μm以下、好ましくは0.5μm以下とするとともに、砥粒加工時間、砥粒加工圧力により磁性膜表面のRa(r)を制御すると、図3に示すように0.3nm≦Ra≦3nmの範囲で保磁力のヘッド走行方向の配向比が0.1以上、0.7以下に向上する。一方、Raが3nmを超えるとヘッド走行方向の磁気異方性やヘッド浮上性が低下する。このように小さい粗さの、微細な溝を形成した媒体でも高い保磁力配向比が得られる理由は、研磨時の砥粒の切削能力が加工の初期において最も優れており、また、溝の密度が高くなるためである。中心線平均粗さが1nmの平滑な基板をテクスチャー加工すると、図4に示すように加工時間が増すに従いヘッド走行方向と略直角方向のRa(r)が顕著に増大するが、ヘッド走行方向の面粗さRa(θ)の変化はRa(r)に比べて緩慢である。このようにRa(r)が急激に変化する初期の加工時間領域において最も有効に砥粒が研磨に作用しており、この時に高密度で、結晶粒程度の大きさの良好な溝が形成される。こうすることによりヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する、深さ1nm以上の溝の平均本数を0.5本以上、100本以下とすることが可能である。また、Rmax(r)/Ra(r)の値の範囲を10以上、30以下とすることが可能である。また、Ra(r)/Ra(θ)の値の範囲を1.1以上、3.0以下とすることが可能であり、これらの効果によりHcの配向度や面内磁気異方性エネルギーが向上する。従来のように、大きい砥粒径を用いて加工時間を長くすると媒体表面に異常な突起やバリなどが出てヘッド浮上性が低下する上、Hcの配向度や面内磁気異方性エネルギーが低下する。
【0015】
さらに、磁性層の(110)結晶格子面が基板と略平行となるよう結晶を配向成長せしめるとヘッド走行方向の配向比、面内磁気異方性エネルギーが向上する上、下地膜を設ける場合に(100)または(110)結晶格子面が基板と略平行となるよう配向成長せしめると上記磁性膜の配向成長が促進されるので好ましい。さらに、上記媒体の磁性膜をCr、Mo、W、V、Ta、Nb、Zr、Ti、B、Be、C、Ni−Pの少なくとも一つを主たる成分とする非磁性中間層により多層化すると、一層の膜厚が小さくなり各層からの媒体ノイズの和が単層の磁性膜のノイズより大幅に小さくなり、特にMR再生素子を有する磁気ヘッドを用いた場合に装置のS/Nが著しく向上するので好ましい。本発明による媒体では磁化遷移領域における磁化のゆらぎの大きさが極めて小さいため媒体ノイズが小さく、トラック幅が5μm以下の高記録用磁気ヘッドで記録再生した場合に50kBPI以上の高い記録密度においてS/Nが4以上、さらに、オーバーライト(O/W)特性が26dB以上の大容量磁気記録装置が得られる。特に、磁性膜表面の凹凸が従来より小さいために、3kTPI以上の高記録密度時でもサーボ信号の品位が高く、良好なヘッド位置決めができるので好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。図5は、本発明に係る薄膜媒体の断面構造を模式的に示したものである。同図において、符号51はAl−Mg合金、化学強化ガラス、有機樹脂、Ti、Si、カーボンあるいはセラミックス等からなる基板、52および52’は基板51の両面に形成したNi−P、Ni−W−P等からなる非磁性メッキ層である。Al−Mg合金を基板として用いた場合には通常、このようなメッキ層を備えたものを基板として使用する。53および53’はCr、Mo、W、またはこれらのいずれかを主な成分とする合金からなる金属下地膜、54および54’は当該下地膜の上に形成したCo−Ni、Co−Cr、Co−Re、Co−Pt、Co−P、Co−Fe、Co−Ni−Zr、Co−Cr−Pt−B、Co−Cr−Al、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Nb、Co−Ni−P、Co−Ni−Pt、Co−Cr−Si等からなる金属磁性層、55および55’は当該磁性膜の上に形成したカーボン、ボロン、B4C、SiC、SiO2、Si3N4、WC、(W−Mo)C、(W−Zr)C等からなる非磁性保護膜をそれぞれ示す。
【0017】
〈実施例1〉
外径95mm、内径25mm、厚さ0.8mmのAl−4Mg(原子記号の前に付した数字は当該素材の含有量を示す。含有量の単位は重量%)からなるディスク基板の両面にNi−12Pからなるメッキ層を膜厚が13μmとなるよう形成した。この非磁性基板の表面を、ラッピングマシンを用いて表面中心線平均粗さRaが2nmとなるまで平滑に研磨し、洗浄、さらに乾燥した。その後、テープポリッシングマシン(例えば、特開昭62−262227号に記載)を用い、砥粒の存在下で研磨テープをコンタクトロールを通して、ディスク基板51を回転させながらディスク面の両側に押しつけることにより、ディスク基板表面に略円周方向のテクスチャーを形成した。この時、砥粒の平均粒径、加工時間およびコンタクトロールで研磨テープを加圧する圧力を制御することにより、媒体表面のRa(r)を変化させた。さらに、基板に付着した研磨剤等の汚れを洗浄・除去して乾燥した。このように形成されたディスク基板をマグネトロンスパッタリング装置内で250℃まで真空中で昇温し、2mTorrのアルゴン圧の条件のもとで膜厚50nmのCr下地膜を形成した。この下地膜の上に86Co−10Cr−4Ta(原子%)からなる膜厚30nmの金属磁性膜を積層した。その後、磁性膜上に膜厚30nmのカーボン保護膜を形成し、最後に当該保護膜上に吸着性のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を形成した。こうして形成された磁気記録媒体をX線回折により分析した結果、Cr下地膜では(100)あるいは(110)結晶面が基板と略並行となるように結晶が配向成長していた。また、磁性層では(110)面が基板と略並行となるよう配向成長していた。
【0018】
こうして形成した媒体表面の磁気ヘッド走行方向に測定した中心線平均粗さRa(θ)、およびそれと直角方向に測定した中心線平均粗さRa(r)を、針先径0.2μmの触針式表面粗さ計を用いて求めた。この時、触針の押しつけ荷重を4mg、触針走査速度を1μm/s、カットオフを4.5μmとした。さらに、ヘッド媒体相対速度12m/s、浮上スペーシング0.08μmにおいて、実効ギャップ長0.4μm、トラック幅5μm、MR素子を用いた記録再生分離型の薄膜磁気ヘッドを用いて、内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数、モジュレーション(Md)、および線記録密度50kBPI、トラック密度3kTPIの時の再生信号のS/Nの値を求めた。ここでモジュレーションMdはディスク面内における最大出力Hおよび最低出力Lとにより、Md=(H−L)/(H+L)により定義した。また、最大印加磁界14kOeの振動式磁化測定機(VSM)あるいは非破壊磁気測定機により、磁気ヘッドの走行方向に磁界を印加した時の保磁力Hc(θ)と、基板面内で磁気ヘッドの走行方向と略直角な方向に磁界を印加した時の保磁力Hc(r)を求めた。また、最大印加磁界14kOeのトルクメーターにより、基板面内に磁界を印加して基板面内で試料を回転することにより面内磁気異方性エネルギーKを求めた。
【0019】
図3に示すように媒体表面の中心線平均粗さRa(r)が3nmを上回る従来例に比べて、平均粒径1μm以下の砥粒を用いてテクスチャーを形成し、表面粗さを0.3nm≦Ra(r)≦3nmとした媒体は前述の保磁力配向比が0.1以上、0.7以下と顕著に高くなった。また、図6に示すように中心線平均粗さRa(r)が3nmを上回る従来例に比べて、平均粒径1μm以下の砥粒を用いてテクスチャーを形成し、表面粗さを0.3nm≦Ra(r)≦3nmとした媒体は面内の磁気異方性エネルギーKが3×104J/m3以上、5×105J/m3以下と高くなった。このような微細な溝を形成した媒体のヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する、深さ1nm以上の溝の平均本数は0.5本以上、100本以下、Rmax(r)/Ra(r)の値の範囲は10以上、30以下、さらに、Ra(r)/Ra(θ)の値の範囲は1.1以上、3.0以下であった。また、ヘッド浮上量0.08μmにおいて内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数は10ビット/面以下、媒体のモジュレーションMdは10%以下、線記録密度50kBPI、トラック密度3kTPIの時のS/Nの値は4以上であった。一方、Ra(r)が3nm以上の従来の磁気記録媒体ではヘッド浮上性が劣り、ヘッドの浮上量0.08μmにおいてヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数は15ビット/面以上であった。
【0020】
同様の微細な溝を形成した基板を用い、下地膜としてCr、Mo、W、Nb、Taもしくはこれを主たる成分とする合金からなる下地膜を膜厚5nm以上、500nm以下で形成した場合も同様の表面粗さ、磁気異方性、および記録再生特性が得られた。また、図2に示すように磁性膜をCr、Mo、W、V、Ta、Nb、Zr、Ti、B、Be、C、Ni−Pの少なくとも一つの元素を主たる成分とする非磁性中間層により2層以上に多層化した場合には、媒体からのノイズは単層の磁性膜を用いた場合に比べて30%低減し、S/Nの値として5以上が得られた。
【0021】
〈実施例2〉
実施例1と同様の装置を用い、テクスチャーを形成する際に用いる砥粒の平均粒径を0.5μmとして、加工時間、加工方向およびコンタクトロールで研磨テープを加圧する圧力を制御することにより、媒体表面のRa(r)を0.5μm以上、1.0μm以下とし、媒体表面のヘッド走行方向と直角方向距離1μm当りに存在する深さ1nm以上の溝の平均本数Nを変化させた。溝の平均本数Nと、前述の保磁力配向比、および面内磁気異方性エネルギーKとの関係を図7に示す。Nが0.5以上、100以下では配向比は0.15以上、0.7以下となり、面内磁気異方性エネルギーは4×104J/m3以上、5×105J/m3以下となった。このような微細な溝を形成した媒体のRmax(r)/Ra(r)の値の範囲は10以上、30以下、Ra(r)/Ra(θ)の値の範囲は1.1以上、3.0以下であった。また、ヘッド浮上量0.08μmにおいて内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数は10ビット/面以下、媒体のモジュレーションは10%以下であり、線記録密度50kBPI、トラック密度3kTPIの時のS/Nの値は4以上であった。
【0022】
〈実施例3〉
外径65mm、内径20mm、厚さ0.4mm、表面粗さ1nmのガラスディスク基板の両面に、実施例1と同様のスパッタリング装置、および条件により、図2に示すように膜厚1μmのCr下地膜を形成した。さらに真空チャンバ内でCr下地膜表面を砥粒平均径1μm以下の研磨剤を含む研磨テープにより研磨し、略円周方向のテクスチャーを形成した。Cr下地膜表面のRaは0.8nm、溝の平均本数Nは0.7であった。この上に膜厚50nmの90Cr−10Ti(原子%)下地膜を形成し、さらに、膜厚15nmの84Co−12Cr−4Pt(原子%)磁性膜、膜厚2.5nmのCr中間膜、さらに膜厚15nmの84Co−12Cr−4Ta(原子%)磁性膜を形成した。その後、膜厚30nmのカーボン保護膜を形成した。さらに、カーボン保護膜表面に、開口部の平均距離が50μm以上、100μm以下のエッチングマスクを設け、マスクに覆われない領域のカーボン保護膜を酸素プラズマエッチングにより深さ15nmエッチングした。その結果、図2に示すように、カーボン保護膜表面に平均径50μm以上、100μm以下の島状の凹凸が形成された。最後に当該保護膜上に吸着性のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を形成した。本媒体の保護膜の島状部上の中心線平均粗さRa(r)は1.0nmであり、面内の磁気異方性エネルギーKは3.5×104J/m3であった。また、ヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する、深さ1nm以上の溝の平均本数は0.7本、Rmax(r)/Ra(r)の値は12、さらに、Ra(r)/Ra(θ)の値は1.6であった。また、ヘッドの浮上量0.1μmにおいて内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数は10ビット/面以下、媒体のモジュレーションMdは10%以下、線記録密度90kBPI、トラック密度4kTPIの時のS/Nの値は4.5であった。また、媒体が停止したときにヘッドが媒体と接触しないロードアンロード方式では、本媒体は実施例1に述べた媒体と同等の耐摺動信頼性を示したが、CSS方式でヘッドを浮上させた場合には実施例1の媒体よりヘッドの粘着を低減することができ、信頼性が向上した。
【0023】
〈実施例4〉
実施例1と同様に、ディスク基板上に平均径1μm以下の砥粒を用いて微細なテクスチャーを形成した。この時、ディスク基板上にテクスチャーを形成する際の加工時間、およびコンタクトロールで研磨テープを加圧する圧力を制御することにより、ヘッド走行方向に測定した中心線平均粗さRa(θ)と、それに直角方向に測定した中心線平均粗さRa(r)との比、Ra(r)/Ra(θ)を変化させた。さらに、基板上に磁性膜および保護膜を成膜した。その後、実施例3と同様の方法により、保護膜上に平均径5μm以上、10μm以下、高さ10nmの島状の凹凸を形成した。媒体の磁気異方性、ヘッド浮上性、記録再生特性を測定した後、保護膜を酸素プラズマエッチングにより除去し、磁性膜表面のRa(r)/Ra(θ)を測定した。この時、Ra(r)は0.5nm以上、3nm以下であった。Ra(r)/Ra(θ)と面内異方性エネルギーKの関係を図8に示す。Ra(r)/Ra(θ)が1.1以上、3.0以下の範囲で面内の磁気異方性エネルギーKが3×104J/m3以上、5×105J/m3以下と高くなった。また、媒体のヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する、深さ1nm以上の溝の平均本数は0.5本以上、100本以下、また、Rmax(r)/Ra(r)の値の範囲は10以上、30以下であった。また、ヘッドの浮上量0.06μmにおいて内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数は10ビット/面以下、媒体のモジュレーションは10%以下、線記録密度50kBPI、トラック密度3kTPIの時のS/Nの値は4以上であった。
【0024】
〈実施例5〉
実施例1と同様に、ディスク基板上にテクスチャーを形成する際に用いる砥粒の平均粒径、加工時間、およびコンタクトロールで研磨テープを加圧する圧力を変化させることにより媒体表面のRa(r)、Rmax(r)/Ra(r)を変化させた時のビットエラー数、モジュレーションおよびS/Nの値を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1より、媒体表面のRa(r)を0.3nm以上、3nm以下とするとともにRmax(r)/Ra(r)を10以上、30以下とすることにより、本実施例の媒体は比較例に比べてビットエラー数、モジュレーションMdが小さく、面内異方性エネルギーおよびS/Nが高くなり、ビットエラー数は10ビット/面以下、モジュレーションは10%以下、S/Nは4以上となった。この時、Ra(r)/Ra(θ)の比は1.1以上、3.0以下、媒体のヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する、深さ1nm以上の溝の平均本数は0.5本以上、100本以下であった。
【0027】
〈実施例6〉
実施例3に示した磁気記録媒体4枚を使用し、Co−Ta−Zr合金を記録用磁極材とし、再生部に磁気抵抗効果型素子を有する複合型薄膜磁気ヘッドを7個組み合わせた磁気記録装置を試作した。本装置は、図9に示すように磁気記録媒体91、磁気記録媒体駆動部92、磁気ヘッド93、磁気ヘッド駆動部96、記録再生信号処理系95などの部品から構成される。この磁気記録装置を使用し、スペーシング0.08μmにおいてエラーが発生するまでの平均時間を求めたところ、比較例の記録媒体を用いた磁気記録装置と比較して10倍以上の寿命があり、信頼性が極めて高いことを実証できた。また、本実施例で試作した磁気記録装置はヘッド浮上量が低いため、信号の記録再生における位相マージンが広く、また、サーボ信号の品位が高いためヘッド位置決め精度が向上したため、面記録密度を比較例の媒体を用いた場合の2倍に高めることができ、小形で大容量の磁気記録装置を提供できた。本装置を用いてトラック幅が5μm以下のMRヘッドで再生した場合に90kBPI、4kTPIの高記録密度においてS/Nが4以上、さらに、オーバーライト(O/W)特性が26dB以上の大容量磁気記録装置が得られた。
【0028】
本実施例では、記録用にCo−Ta−Zr合金を磁極材とする薄膜磁気ヘッドを用いた場合について説明したが、Ni−Fe、Co−Fe合金等を記録用磁極材とする録再分離型薄膜磁気ヘッド、Co−Ta−Zr、Fe−Al−Si合金等をギャップ部に設けたメタル・イン・ギャップ型(MIG)録再分離複合磁気ヘッド、誘導型薄膜ヘッドまたはMIGヘッドを用いた場合にも同様の効果が得られることを確認した。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、高密度記録が可能な磁気記録媒体、およびこれを用いた小形で大容量の磁気記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の薄膜型磁気記録媒体の縦断面構造、および媒体とMRヘッドの関係を示す図である。
【図2】本発明の一実施例の薄膜型磁気記録媒体の縦断面構造を示す図である。
【図3】本発明の一実施例の媒体表面の中心線平均粗さと保磁力の配向度の関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施例の媒体表面のヘッド走行方向、およびそれと直角方向に測定した中心線平均粗さとテクスチャー加工時間の関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施例の媒体の縦断面構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施例の媒体表面の中心線平均粗さと面内磁気異方性エネルギーの関係を示す図である。
【図7】本発明の一実施例の媒体表面の溝の平均本数密度と保磁力の配向比、面内異方性エネルギーの関係を示す図である。
【図8】本発明の一実施例の磁性膜表面のヘッド走行方向およびそれと直角方向に測定した中心線平均粗さの比と面内磁気異方性エネルギーの関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施例の磁気記録装置の縦断面構造図である。
【符号の説明】
11…MR再生素子を有する磁気ヘッド、12…保護膜、13…金属磁性膜、14…金属下地膜、15…非磁性メッキ膜、16…テクスチャー溝、17…磁気ディスク基板、20…触針、21…保護膜、22…金属磁性膜、23…非磁性中間膜、24…上層金属下地膜、25…下層金属下地膜、26…テクスチャー溝、27…ガラスディスク基板、28…保護膜島状部、29…保護膜エッチング部、51…磁気ディスク基板、52,52’…非磁性メッキ層、53,53’…金属下地膜、54,54’…金属磁性膜、55,55’…非磁性保護膜、91…磁気記録媒体、92…磁気記録媒体駆動部、93…磁気ヘッド、94…磁気ヘッド駆動部、95…記録再生信号処理系。
Claims (5)
- 非磁性ディスク基板上に下地膜を介して形成された磁性膜を有する磁気記録媒体と、磁気記録媒体駆動部と、磁気抵抗効果型再生部を有する磁気ヘッドと、磁気ヘッド駆動部と、記録再生信号処理系とを有する磁気記録装置において、
前記磁気ヘッドの浮上量は0.1μm以下であり、
前記磁気記録媒体は、前記磁気ヘッドの走行方向と略直角方向に測定した表面中心線平均粗さRa(r)が、0.3nm以上、3nm以下の範囲であり、
前記磁気ヘッド走行方向と略直角方向に測定した表面中心線平均粗さRa(r)と前記磁気ヘッド走行方向に測定した表面中心線平均粗さRa(θ)との比であるRa(r)/Ra(θ)が、1.1以上、3.0以下であり、
前記基板面内に磁界を印加し、前記基板面内で試料を回転して測定された磁気異方性エネルギーが、3×104J/m3以上、5×105J/m3以下であることを特徴とする磁気記録装置。 - 請求項1記載の磁気記録装置において、前記下地膜上に、略磁気ヘッド走行方向に沿って溝が形成され、前記磁気ヘッド走行方向と略直角方向の距離1μmあたりに存在する深さ1nm以上の溝の平均本数が、0.5本以上、100本以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録装置。
- 前記下地層は、Cr、Mo、W、Nb、Taもしくはこれを主たる成分とする合金を含み、、該下地膜の膜厚は5nm以上、500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記磁性膜上に保護膜が存在し、該保護膜がエッチング加工されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記磁性膜がCr、Mo、W、V、Ta、Nb、Zr、Ti、B、Be、C、Ni−Pの少なくとも一つを主たる成分とする非磁性中間層により、2層以上に多層化されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
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