JP3670798B2 - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータの補助記憶装置などとして使用される磁気記録再生装置に用いる磁気記録媒体に係り、さらに詳しくは、1平方インチ当たり4ギガビット以上の高い記録密度を実現するのに好適な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報化時代の進行により、日常的に扱う情報量は増加の一途を辿っている。これに伴い、磁気記録装置に対する高記録密度化と大容量化の要求が強くなっている。
磁気記録装置を高記録密度化していった場合、記録ビット当たりの媒体面積が小さくなるため、再生出力が低下し、再生が困難になる。この問題を解決するため、記録と再生を別のヘッドで行い、再生用ヘッドとして高い感度を持つ磁気抵抗効果を利用したヘッドを用いる方式が実用化されている。さらに、高密度化を進めるために、より高い感度を持つ巨大磁気抵抗効果を利用したヘッドも検討されている。このような高感度の再生ヘッドを用いることにより、再生出力は大きくできるが、同時にノイズも増幅してしまい、ノイズの大きな媒体を用いた場合には記録された情報の読み取りが不可能になる。したがって、高密度の記録と再生を行うための磁気記録媒体としては、媒体ノイズを低く抑えることが必須である。
【0003】
現在の磁気ディスクに用いられている面内磁気記録方式では、媒体ノイズの低減のために、結晶粒の微細化が不可欠である。さらに、ビット境界の磁荷からの反磁界に打ち勝って磁化を記録方向に保持しておくために、保磁力を高くすると同時に、磁性層の膜厚と残留磁束密度の積を小さくして反磁界を小さくする必要がある。このような課題を解決して、1平方インチ当たり4ギガビット以上の面記録密度を達成するためには、3000〜4000エルステッドの保磁力を磁性層の膜厚10〜20nmで実現する必要があり、技術的にかなりの困難が予想される。また、結晶粒が小さくなり、磁性層の膜厚も小さくなると、記録磁化状態の熱的安定性が問題になり、高密度に記録した情報の再生出力が時間の経過とともに小さくなり、いずれは再生が不可能となる事態が予想される。
【0004】
これに対して、垂直磁気記録方式は記録密度が高くなるにつれて反磁界が減少するという特徴があり、高密度に記録した場合に、記録磁化状態が安定で媒体ノイズも小さく、高密度記録に適した方式であると考えられる。ただし、垂直磁気記録方式においても、高密度に記録された情報を再生する場合には出力が小さいために、媒体ノイズの低減は必須である。垂直磁気記録媒体のノイズは、記録ビット内の逆磁区の大きさと記録ビット境界の乱れの大きさに依存すると考えられる。これらを小さくしてノイズを低減するためには、磁性膜の結晶粒径を小さくするなどして、磁化反転単位を小さくする必要がある。
【0005】
磁化反転単位の大きさは、磁気粘性とも関連がある。すなわち、磁気粘性の揺らぎ場が大きいほど磁化反転単位は小さく、媒体ノイズも小さいと考えられる。磁気粘性の揺らぎ場の意味については、Journal of Physics F: Metal Physics、14巻、L155〜L159頁(1984年発行)に記載されている。種々の媒体についてノイズの大きさを定量的に比較して比べることは難しく、同じ媒体でもヘッドの種類やヘッドと媒体の相対関係によって測定されるノイズの値は変化する。これに対して磁気粘性の揺らぎ場の測定は簡便かつ再現性が良い。Journal of Magnetism and Magnetic Materials、127巻、233〜240頁(1993年発行)に詳細が記載されている。
【0006】
媒体ノイズを小さくするために磁気粘性の揺らぎ場の大きい媒体を作製したとき、多くの場合に記録磁化の熱的安定性が問題となってくる。すなわち、時間の経過とともに再生出力が減少する割合が大きくなり、情報を長期間保持する事が不可能になる。垂直磁気記録媒体においては、記録ビット長が長くなった場合に、このような出力の減少が顕著である。これは、各記録ビットに生じる膜厚方向の反磁界のためと考えられる。垂直磁気ディスク媒体における出力の経時変化に関する報告は、例えば、IEEE Transactions on Magnetics、31巻、2755〜2757頁(1995年発行)に記載されている。
【0007】
従来、垂直磁気記録媒体は連続薄膜型磁気テープを中心に研究や開発が進められており、この場合には磁性層の膜厚が100nm以上と厚く、またトラック幅の広いヘッドで記録再生を行うため、再生出力が大きく、媒体ノイズのレベルをそれほど抑える必要がなかった。これに対して、磁気ディスクとして垂直磁気記録媒体を用いる場合、トラック方向にも高密度化する必要があることから、記録ビット面積は小さくなり、再生出力は非常に小さくなる。この小さな出力を高感度ヘッドにより再生することから、必然的に媒体ノイズに対する制限は厳しくなり、また出力の減衰も極力抑える必要がある。
【0008】
垂直磁気ディスク媒体のノイズに関する検討結果は、例えば、Journal of Magnetism and Magnetic Materials、134巻、304〜309頁(1994年発行)に記載されているが、CoCrTa垂直二層媒体について、90kFCIにおける媒体S/Nが23.8dBと示されており、1平方インチ当たり4ギガビット以上の高い面記録密度の記録再生は困難であると考えられる。
【0009】
一方、垂直磁気ディスク媒体の再生出力の減衰に関しては、系統的な検討結果は報告されていない。出力減衰が抑制できる媒体として、例えば、Journal of Applied Physics、79巻、7920〜7925頁(1996年発行)にCo/Pd多層膜が記載されているが、磁気特性パラメーターの影響が明確には示されておらず、媒体ノイズとの相関に関しても触れられていない。
【0010】
これらの例からわかるように、現状では高密度記録に適した低ノイズで出力減衰の小さな垂直磁気ディスク媒体の作製指針が明らかでなく、またそのような媒体の報告例もない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
垂直磁気記録媒体では、長い記録ビットで記録した情報の再生出力は時間の経過とともに減衰する場合が多く、特に高密度記録に適するように媒体S/Nを十分大きくした媒体においては出力減衰の割合が大きく、情報を記録してから長期間経過した後には再生が不可能である。
本発明の目的は、1平方インチ当たり4ギガビット以上の高密度記録に適するような、十分に高い媒体S/Nを持ち、かつ記録情報の長期間保持が可能な垂直磁気記録媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的の垂直磁気記録媒体は、磁気記録層として、時間Δt(秒)の間に減少する残留磁化量ΔIr(emu/cm3)と、25℃において測定した保磁力と等しい磁界強度での磁気粘性の揺らぎ場Hf(エルステッド)との間に、4π×ΔIr/ln(Δt)<Hfの関係が成り立つ強磁性薄膜を用いることで得られる。
【0013】
特に十分高い媒体S/Nを得るためには、磁気粘性の揺らぎ場Hfが30エルステッド以上の強磁性薄膜を用いるのが良い。
このような特徴をもつ垂直磁気記録媒体を作製するためには、磁気記録層として、コバルトとクロムを主たる成分とし膜厚が30nm以下であり、かつ磁気異方性定数が2×106erg/cm3以上である強磁性薄膜を用いることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図2は、本発明の垂直磁気記録媒体の基本的な構成を示す断面模式図である。図2において21は強化ガラス、シリコン、カーボン、セラミックス、チタン合金、有機樹脂、Ni−P合金メッキアルミ合金基板などの非磁性基板である。22はチタンあるいはチタン合金などの下地層、又は、これと磁気記録層の間にコバルトとクロムを主成分とする合金で構成される常磁性あるいは常磁性に近い磁気特性の多結晶薄膜を併せ持つ2層構造の下地層である。23はコバルトとクロムを主成分とし、例えばCo−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Pt−Ta、Co−Cr−Nb、Co−Cr−Wなどのような強磁性薄膜を用い、単層構造又は非磁性中間層で隔てられた多層構造の磁気記録層である。24はカーボン、シリコン−カーボン、ボロン−カーボンなどの保護膜と有機系潤滑膜とから成る保護潤滑層である。
【0015】
(実施例1)
非磁性基板21として基板表面粗さRaが3nm以下の直径2.5インチの強化ガラス製ディスクを用い、下地層22、磁性層23及び保護層24の膜形成は直流マグネトロンスパッタ法により、以下の条件で行った。スパッタ装置内の到達真空度は1×10-8Torr以下、放電用アルゴンガス圧力は3×10-3Torr、基板温度は230〜280℃、投入電力は直径6インチのターゲットに対して1kWとした。
【0016】
下地層としては、厚さ30nmのTi又はTi−10at%Crの単層膜、あるいはその上に厚さ20nmのCo−35at%Crを積層した2層膜を形成した。2層膜下地は磁性層の初期成長層の粒径制御に役立ち、媒体ノイズの低減に効果がある。磁性層としては、材料としてCo−17at%Cr−4at%Ta、Co−16at%Cr−13at%Pt、Co−19at%Cr−10at%Pt、Co−22at%Cr−10at%Pt又はCo−19at%Cr−10at%Pt−2at%Taを用いた厚さ7〜200nmの種々の膜を形成した。保護潤滑層としては厚さ5nmのカーボン膜と厚さ5nmの有機系潤滑膜を形成した。
【0017】
保磁力、磁気粘性の揺らぎ場及び残留磁化などの磁気特性の測定は、これら磁気ディスク媒体の一部を8mm角に切り出し、試料振動型磁力計を用いて25℃で行った。保磁力などの基本磁気特性は、膜面に対して垂直方向に磁界を印加して磁化曲線を測定することにより求めた。磁気粘性の揺らぎ場は、残留磁化保磁力又は保磁力と等しい強度の磁界を膜面に対して垂直方向に印加して測定した。その測定原理については後で述べる。残留磁化の経時変化は15000エルステッドの磁界を膜面に対して垂直方向に印加したのち、磁界をゼロにしてからの各時間に対応させて測定した。特に磁性層が薄く磁気モーメントの小さな試料に関しては、同じ測定を数十回繰り返してその平均を計算することにより求めた。
【0018】
再生出力と媒体ノイズの測定に際しては、ギャップ長0.2μm、トラック幅1μm、巻線数20ターンの誘導電磁型ヘッドにより記録し、シールド間隔0.2μm、トラック幅0.9μmの磁気抵抗効果型ヘッドにより再生を行った。ヘッドと媒体の磁気スペーシングは40nmとした。再生出力Sは線記録密度2kFCIの孤立波出力を、媒体ノイズNは300kFCIを記録した場合の0〜50MHzの積算ノイズを測定して求め、これらの比を媒体S/Nとして評価した。
【0019】
以下に、磁気粘性の揺らぎ場の測定原理を説明する。磁性材料に新たな磁場を印加すると、磁性材料の磁化I(t)は磁場印加時間の対数ln(t)に対して、次の〔数1〕の関係で変化する場合が多い。
【0020】
【数1】
I(t)=定数+S×ln(t)
ここで、I(t)は単位体積当たりの磁気モーメントであり、tは新たな磁場を印加した後の経過時間である。Sは磁気粘性と呼ばれ、磁場を正方向にシフトして印可したときには正、負にシフトして印可したときには負の値を持つ。Sは非可逆磁化率χirrと揺らぎ場Hfとの積で表せることが知られている。すなわち、次の〔数2〕の関係が成立する。
【0021】
【数2】
S=χirr×Hf
したがって、実験からS及びχirrを求めれば、揺らぎ場Hfを計算できる。磁界強度が保磁力Hc又は残留磁化保磁力Hrに等しいところでの揺らぎ場は、これらの磁場印加時間依存性からも求めることができる。保磁力又は残留磁化保磁力は、磁場印加時間tの増加とともに、次の〔数3〕の関係で低下する場合が多い。
【0022】
【数3】
c(又はHr)=−A×ln(t)+定数
このような場合、Aは磁場強度が保磁力又は残留磁化保磁力に等しいところでの揺らぎ場とほとんど同じ値を示す。この方法は簡便でかつ再現性が良い。そこで、本発明では〔数3〕のAの値を揺らぎ場とした。
【0023】
図3に、垂直磁気記録媒体について測定した残留磁化の経時変化の例を示した。図中の直線31はCo−Cr−Pt媒体の測定結果を表し、直線32はCo−Cr−Pt−Ta媒体の測定結果を表す。このように、媒体磁性層の残留磁化Irは時間の対数ln(t)に対して線形の関係で減少する。そこで、時間Δt(秒)の間に減少する残留磁化量をΔIr(emu/cm3)とした場合の4π×ΔIr/ln(Δt)の値を残留磁化変化の指標とした。また、この値は記録ビット長が長い記録を行った場合の再生出力の経時変化に対応し、記録情報を長期間保持できるかどうかの指標にもなる。
【0024】
垂直磁気記録媒体の多くの場合、この値は大きく、記録ビット長が長い記録情報の長期間保持が難しいと考えられる。特に、媒体S/Nの向上のための検討を進める中でこの問題が顕在化してきた。そこで、この問題を解決しつつ媒体S/Nを向上させるために、種々の垂直磁気記録媒体について検討したところ、残留磁化の変化率と磁気粘性の揺らぎ場の関係が重要であることがわかった。
【0025】
図4に、残留磁化変化率4π×ΔIr/ln(Δt)と磁気粘性の揺らぎ場Hfの関係をプロットした。この中には、残留磁化の変化を抑えるため、特に磁性膜厚の小さい媒体及び磁気異方性の大きい媒体を意識して含めた。図中の媒体は{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf=1の境界線41で区切られる2つのグループに分かれており、以下の図ではこの2つのグループを区別して表示している。
【0026】
境界線41より上に存在する媒体11については、残留磁化変化率と揺らぎ場の間にほぼ比例関係が存在していることがわかった。このことは媒体S/Nを向上させるために磁気粘性の揺らぎ場の大きな媒体を作製すると、その媒体は残留磁化の変化が大きく、再生出力の減衰が顕著であることを示している。
図1には、上記と同じ媒体について記録直後に測定した媒体S/Nと再生出力の経時変化から予想される5年後の媒体S/Nの関係を示した。媒体S/Nは磁気粘性の揺らぎ場とたいへん良い相関をもっているため、多くの媒体では媒体S/Nの大きなものほど再生出力の低減が顕著であり、5年後の媒体S/Nは記録直後と比較して低減してしまう。
【0027】
これに対して{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1の関係を満たす媒体12は媒体S/Nの低減がほとんどなく、記録情報の長期間保持が可能であることがわかった。また、好ましくは、{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1/10の関係を満たす媒体14を用いることにより、媒体S/Nの低減をより小さく抑えることができる。さらに、図1に示されるように、{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1の関係を満たしていても、磁気粘性の揺らぎ場Hfが30エルステッドより小さい媒体13は5年後の媒体S/Nが比較的小さいため、1平方インチ当たり4ギガビット以上の高密度記録に適するような十分に高い媒体S/Nを持つ媒体を作製するためには、磁気粘性の揺らぎ場を30エルステッド以上にすれば良いことがわかった。
【0028】
次に、{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1の関係を満たす媒体を作製するために、磁性層としてどのようなものを用いれば良いかを検討した。その結果、図5に示したように磁性層の膜厚tmagは30nm以下であることが好ましく、また図6に示したように、磁気異方性定数Kuは2×106erg/cm3以上である強磁性薄膜を用いる必要があることがわかった。図7に示したように、これら2つの条件を満たしたとき、{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1の関係を満たし、高密度記録に適した十分に高い媒体S/Nを持ち、かつ記録情報の長期間保持が可能な垂直磁気記録媒体が得られることがわかった。
【0029】
(実施例2)
実施例1と同様の方法を用いて、磁性層を多層化した2種類の媒体を作製した。一つは、磁気異方性の大きいCo−16at%Cr−13at%Pt強磁性膜を厚さ3nmのTi−10at%Cr層で分断することにより、媒体ノイズを小さくすることを試みた。Co−Cr−Pt層の構成としては、厚さ8nmの3層及び厚さ12nmの2層の2つのタイプを作製した。もう一つは、ノイズの小さいCo−17at%Cr−4at%Ta強磁性膜を厚さ0.4nmのPt層と短周期で積層することにより、磁気異方性を大きくすることを試みた。Co−Cr−Ta層の構成としては厚さ1nmの20層及び厚さ1.5nmの15層の2つのタイプを作製した。
【0030】
これらの媒体について、実施例1と同様に残留磁化の経時変化と磁気粘性の揺らぎ場の評価を行ったところ、Co−Cr−Pt/Ti−Cr多層膜媒体の場合、4π×ΔIr/ln(Δt)=0.52及び0.48(emu/cm3)、Hf=42.8及び48.7(エルステッド)であり、Co−Cr−Ta/Pt多層膜媒体の場合、4π×ΔIr/ln(Δt)=0.21及び0.56(emu/cm3)、Hf=35.9及び40.1(エルステッド)であった。いずれも{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1の関係を満たしている。
【0031】
実施例1と同様の条件で記録再生特性の測定を行ったところ、いずれの媒体も35dB以上の良好な媒体S/Nの値を示し、再生出力の経時変化から予想される5年後の媒体S/Nもほとんど減少することなく35dB以上の値を示した。これらの媒体は高密度記録に適した十分に高い媒体S/Nを持ち、かつ記録情報の長期間保持が可能であることがわかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によると、高密度記録に適した十分に高い媒体S/Nを持ち、かつ記録情報の長期間保持が可能な垂直磁気記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録直後に実測した媒体S/Nと記録後5年経過して測定した場合に予想される媒体S/Nの関係をプロットした図。
【図2】本発明の垂直磁気記録媒体の基本的な構造を示す断面模式図。
【図3】垂直磁気記録媒体の残留磁化の経時変化を表す図。
【図4】磁気粘性の揺らぎ場Hfと残留磁化の経時変化4π×ΔIr/ln(Δt)の関係をプロットした図。
【図5】残留磁化の経時変化と磁気粘性の揺らぎ場の比{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hfと磁性層の膜厚tmagの関係を表す図。
【図6】残留磁化の経時変化と磁気粘性の揺らぎ場の比{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hfと磁気異方性定数Kuの関係を表す図。
【図7】磁気異方性定数Kuと磁性層の膜厚tmagの関係をプロットし、残留磁化の経時変化と磁気粘性の揺らぎ場の比{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hfを1より小さくするための磁性層の条件を示した図。
【符号の説明】
11…{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf>1の関係を満たす媒体
12…{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1の関係を満たす媒体
13…{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1かつHf<30エルステッドの関係を満たす媒体
14…{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf<1/10の関係を満たす媒体
21…非磁性基板
22…下地層
23…磁気記録層(磁性層)
24…保護潤滑層
31…Co−Cr−Pt媒体の測定結果
32…Co−Cr−Pt−Ta媒体の測定結果
41…{4π×ΔIr/ln(Δt)}/Hf=1を表す境界線

Claims (3)

  1. 磁気記録層として、時間Δt(秒)の間に減少する残留磁化量ΔIr(emu/cm3)と、25℃において測定した保磁力と等しい磁界強度での磁気粘性の揺らぎ場Hf(エルステッド)との間に、4π×ΔIr/ln(Δt)<Hfの関係が成り立つ強磁性薄膜を用いたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記磁気粘性の揺らぎ場Hfが30エルステッド以上であることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記磁気記録層としてコバルトとクロムを主たる成分とし膜厚が30nm以下であり、かつ磁気異方性定数が2×106erg/cm3以上である強磁性薄膜を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の垂直磁気記録媒体。
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