JPH11240700A - 産業車両の荷崩れ防止装置及び産業車両 - Google Patents

産業車両の荷崩れ防止装置及び産業車両

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Publication number
JPH11240700A
JPH11240700A JP4393198A JP4393198A JPH11240700A JP H11240700 A JPH11240700 A JP H11240700A JP 4393198 A JP4393198 A JP 4393198A JP 4393198 A JP4393198 A JP 4393198A JP H11240700 A JPH11240700 A JP H11240700A
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JP
Japan
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vehicle
mast
load
vehicle speed
tilt
Prior art date
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Pending
Application number
JP4393198A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Kuwayama
純一 桑山
Yasuyuki Isogawa
靖之 五十川
Yoshiyuki Amamiya
良之 雨宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
Application filed by Toyoda Automatic Loom Works Ltd filed Critical Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority to JP4393198A priority Critical patent/JPH11240700A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷役機器が正規の傾きにない状態で急な車速
変化があっても、荷役機器上の荷の荷崩れを起き難くす
る。 【解決手段】 フォークリフトトラックのマストを傾動
するためのティルトシリンダ4に対して、ティルトレバ
ー13の操作で切換えられる手動切換弁21と並列に電
磁切換弁22が接続されている。コントロールアンプ1
7は、各センサ43〜46から入力する検出値が以下の
四条件の全てを満たす急制動時に、ソレノイド41を励
磁してマストを後傾させるようにティルトシリンダ4を
収縮駆動させる。四条件は、(1)ティルトシリンダ4が
マストを正規の位置に後傾させた状態にないこと、(2)
前進走行中であること、(3)ブレーキペダルが踏込まれ
る際の車速が設定車速を超えること、(4)ブレーキペダ
ルの踏込量が設定踏込量を超えることである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォークリフト等
の産業車両において、急制動時などの荷崩れを防止する
ためにマスト等の荷役機器が手動操作に独立して傾動制
御される産業車両の荷崩れ防止装置及び産業車両に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図7に示すように、フォークリフト81
のマスト82は、車体前部に配設されたティルトシリン
ダ83のピストンロッド83aと連結され、車体81a
に対して傾動可能に支持されている。運転室に設けられ
たティルトレバー84を操作し、ティルトシリンダ83
を伸縮駆動させることによりマスト82は前後に傾動す
る。
【0003】図6は従来のティルトシリンダを駆動する
ための油圧回路を示す。油圧ポンプ85とティルトシリ
ンダ83との間にはティルトレバー84の操作により前
傾・後傾・中立の三位置に切換えられる手動切換弁86
が配設されている。ティルトレバー84を前傾側に操作
すると、手動切換弁86が前傾位置に切換えられ、油圧
ポンプ85からの作動油がティルトシリンダ83に供給
されてマスト82が前傾する。また、ティルトレバー8
4を後傾側に操作すると、手動切換弁86が後傾位置に
切換えられ、油圧ポンプ85からの作動油がティルトシ
リンダ83に供給されてマスト82が後傾する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フォークリフト81で
はフォーク87に荷Wを載せて走行するときには、急制
動のときに荷崩れが起きないように、マスト82を後傾
させて荷Wを後方に傾けた状態にすることになってい
る。
【0005】しかしながら、走行時にマスト82を後傾
させる操作をすると、次に荷降ろし作業をするときにフ
ォーク87を水平に戻す操作が必要になる。フォーク8
7を水平に戻す操作はある程度の精度が要求されるため
熟練者でも手間のかかる操作である。運転者は、ハンド
ル操作、アクセル操作、荷役操作などを素早く行なう必
要があり、また急停止さえしなければ荷崩れの心配がな
いことから、マスト82を後傾させる後傾操作を行なわ
ずフォーク87を水平にしたまま走行する作業者がいる
のが現状である。
【0006】しかし、フォーク87を水平にしたまま前
進する走行中にブレーキペダル88を踏んで急制動をか
けると、荷Wに前への慣性が残っており、このとき荷W
に働く図7に矢印で示す前向きの慣性力によって荷崩れ
が起こる恐れがあった。また、フォーク87を水平にし
たまま後方へ急発進する場合も、荷Wに慣性によって働
く前方への慣性力によって荷崩れが起こる恐れがあっ
た。
【0007】本発明は前記課題を解決するためになされ
たものであって、その第1目的は、急な車速変化があっ
ても、荷役機器上の荷の荷崩れを起き難くすることがで
きる産業車両の荷崩れ防止装置及び産業車両を提供する
ことにある。第2目的は、荷役機器が正規の傾きにない
状態で急な車速変化があっても、荷役機器上の荷の荷崩
れを起き難くすることにある。第3の目的は、荷役機器
が正規の傾きにない状態での急制動時あるいは急発進時
の荷崩れを起き難くすることにある。第4の目的は、第
1及び第2の目的を達成するために必要な制御を簡単に
済ますことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るために請求項1に記載の発明では、車体に対して傾動
可能に設けられた荷役機器と、前記荷役機器上の荷に車
速変化に起因して働く慣性力を検出するための検出手段
と、前記検出手段の検出値により前記慣性力が許容値を
超えると判断されると、前記荷役機器をその慣性力を打
ち消す方向に傾動させる制御手段とを備えている。
【0009】第2の目的を達成するために請求項2に記
載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記荷
役機器が走行時の正規の傾きにあることを検出するため
の正規角検出手段を備え、前記制御手段は、前記正規角
検出手段により前記荷役機器が正規の傾きにないことが
検出されたときにのみ前記荷役機器を正規の傾き側に傾
動させることをその要旨とする。
【0010】第3の目的を達成するために請求項3に記
載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明にお
いて、前記制御手段は、前記検出手段の検出値により、
車両が走行中に急制動されたときの前記慣性力が許容値
を超えたことと、車両が停止と見なせる停車速度から急
発進したときの前記慣性力が許容値を超えたこととの少
なくとも一方を判断し、少なくとも一方の前記慣性力が
許容値を超えたときに前記マストを傾動させることをそ
の要旨とする。
【0011】第4の目的を達成するために請求項4に記
載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記検
出手段は、ブレーキ操作部の操作量を検出するブレーキ
操作量検出手段と、前記ブレーキ操作部が操作される際
の車速を検出する車速検出手段とを備え、前記制御手段
は、前記二つの検出手段により検出されたブレーキ操作
量と車速とから、前記慣性力が前記許容値を超えたか否
かを判断することをその要旨とする。
【0012】第4の目的を達成するために請求項5に記
載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記検
出手段は、アクセル操作部の操作量を検出するアクセル
操作量検出手段と、前記アクセル操作部が操作される際
の車速を検出する車速検出手段とを備え、前記制御手段
は、前記二つの検出手段により検出されたアクセル操作
部量と車速とから、前記荷役機器上の荷に働く前記慣性
力が前記許容値を超えたか否かを判断することをその要
旨とする。
【0013】請求項6に記載の発明では、請求項1〜請
求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記車両
は、車体前部に傾動可能に設けられたマストと、該マス
トに沿って昇降する昇降体とを前記荷役機器として備え
るフォークリフトトラックであって、前記制御手段は、
前記検出手段の検出値により、前記昇降体上の荷に前向
きに働く慣性力が許容値を超えると判断されるときに、
前記マストを後傾させることをその要旨とする。
【0014】請求項7に記載の発明では、産業車両に
は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の荷崩れ
防止装置が備えられている。 (作用)従って、請求項1に記載の発明によれば、荷役
機器上の荷に働く車速変化に起因する慣性力が検出手段
により検出される。制御手段は、検出手段の検出値によ
りその慣性力が許容値を超えると判断すると、その慣性
力を打ち消す方向に荷役機器を傾動させる。従って、荷
には慣性力と逆向きの力が付与され、荷崩れが起き難く
なる。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、荷役機器
が走行時に正規の傾きにあることが正規角検出手段によ
り検出される。制御手段は、正規角検出手段により荷役
機器が正規の傾きにないと検出されたときのみに荷役機
器を正規の傾き側に傾動させる。
【0016】請求項3に記載の発明によれば、車両が走
行中に急制動されて荷に働く慣性力が許容値を超えたと
きと、車両が急発進して荷に働く慣性力が許容値を超え
たときとの少なくとも一方のときに、制御手段により、
荷役機器は荷に働く慣性力を打ち消す方向に傾動され
る。
【0017】請求項4に記載の発明によれば、ブレーキ
操作部の操作量がブレーキ操作量検出手段により検出さ
れ、その操作がなされる際の車速が車速検出手段により
検出される。制動時に荷に働く慣性力が許容値を超える
か否かは、制御手段によりブレーキ操作量と車速とから
簡単に判断される。
【0018】請求項5に記載の発明によれば、アクセル
操作部の操作量がアクセル操作量検出手段により検出さ
れ、その操作がなされる際の車速が車速検出手段により
検出される。急発進時に荷に働く慣性力が許容値を超え
るか否かは、制御手段によりアクセル操作量と車速とか
ら簡単に判断される。
【0019】請求項6に記載の発明によれば、制御手段
は、検出手段の検出値により、昇降体上の荷に働く前向
きの慣性力が許容値を超えたと判断すると、マストを後
傾させる。従って、マストが正規の傾きにない状態での
フォークリフトトラックの走行時に、荷崩れが起き難く
なる。
【0020】請求項7に記載の発明によれば、産業車両
には請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の荷崩れ
防止装置が備えられているので、請求項1〜請求項6の
いずれか一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
具体化した第1実施形態を図1〜図3に従って説明す
る。
【0022】図2に示すように、産業車両としてのフォ
ークリフトトラック(以下、フォークリフトという)1
の車体2の前部には、マスト3がティルトシリンダ4の
伸縮駆動により前後に傾動可能に立設されている。マス
ト3は、アウタマスト3aとインナマスト3bとからな
る。アウタマスト3aは、車体2に対してティルトシリ
ンダ4のピストンロッド4aに連結されて支持され、イ
ンナマスト3bはアウタマスト3aにスライド可能に取
付けられている。インナマスト3bは、アウタマスト3
aの背面に配設されたリフトシリンダ5が伸縮駆動され
ることによりアウタマスト3aに沿って昇降する。リフ
トブラケット6は、インナマスト3bの上端部のチェー
ンホイール(図示せず)に掛装されたチェーンに吊下げ
られた状態で、インナマスト3bの内側を上下方向にス
ライド可能に設けられている。リフトブラケット6の前
面には昇降体としてのフォーク7が取付けられている。
なお、マスト3、リフトブラケット6及びフォーク7等
から、荷役機器が構成される。
【0023】運転室10には、ステアリングホイール1
1,リフトレバー12,ティルトレバー13,前後進レ
バー14,アクセル操作部としてのアクセルペダル1
5,ブレーキ操作部としてのブレーキペダル16等が設
けられている。マスト3を傾動させる操作にはティルト
レバー13が使用され、フォーク6を昇降させる操作に
はリフトレバー12が使用される。車体2には、ティル
トシリンダ4およびリフトシリンダ5を駆動するための
油圧制御回路(図1に要部を図示)と、ティルトシリン
ダ4の油圧制御のための電気制御系を構成するコントロ
ールアンプ17が配設されている。なお、図3では、運
転室10内に配設された前後進レバー14やアクセルペ
ダル15が省略されている。
【0024】図1は、油圧制御回路のうちティルトシリ
ンダ4の油圧制御にかかる部分を示す油圧回路である。
同図に示すように、油圧回路には、ティルトシリンダ4
の油圧制御をするため、ティルトレバー13の操作によ
り切換えられる手動切換弁21と、前記コントロールア
ンプ17により切換制御される電磁切換弁22とが設け
られている。電磁切換弁22は、油圧ポンプ23とティ
ルトシリンダ4との間において手動切換弁21と並列に
配列されるように設けられている。手動切換弁21は三
位置切換弁であり、電磁切換弁22はノーマルクローズ
型の二位置切換弁である。なお、コントロールアンプ1
7および電磁切換弁22等により制御手段が構成され
る。
【0025】油圧ポンプ23はモータ24により駆動さ
れ、オイルタンク25から汲み上げた作動油を吐出す
る。手動切換弁21の3つの入力ポートには、油圧ポン
プ23の吐出口に接続された主管路26と、主管路26
から分岐した2つの管路26a,26bとがそれぞれ接
続されている。管路26a上に設けられた逆止弁27に
よって各管路26a,26bにおける作動油の逆流が阻
止される。
【0026】手動切換弁21の2つの出力ポートには、
戻り管路28と、戻り管路28に接続される管路29と
が接続されている。戻り管路28はオイルタンク25に
作動油を排出するように配管されている。管路29上に
は絞り弁30が設けられている。
【0027】手動切換弁21の入出力ポートに接続され
た管路31,32は、ティルトシリンダ4のボトム室4
bとロッド室4cにそれぞれ接続されている。主管路2
6と戻り管路28とを繋ぐ管路33上に設けられたリリ
ーフ弁34によって、油圧ポンプ24からの吐出圧が設
定圧となるように調整される。なお、油圧ポンプ23と
手動切換弁21との間には、リフトレバー12の操作に
より切換えられるリフト用の手動切換弁(図示せず)が
直列に設けられており、リフトレバー12がフォーク7
を上昇させる上昇位置に操作された状態では、手動切換
弁21への作動油の供給が停止されるようになってい
る。
【0028】ティルトレバー13が操作されず手動切換
弁21が図1に示す中立位置にあるときは、ティルトシ
リンダ9と接続された各管路31,32に繋がる油路が
遮断され、ティルトシリンダ4のピストンロッドが所定
の突出量に保持される。ティルトレバー13を前傾側に
操作して手動切換弁21が前傾位置(図1の位置に対し
て右方向に移動した位置)に切換られたときは、ピスト
ンロッド4aを収縮させるようにティルトシリンダ9内
を作動油が流れる。また、ティルトレバー13を後傾側
に操作して手動切換弁21が後傾位置(図1の位置に対
して左方向に移動した位置)に切換られたときは、ピス
トンロッド4aを伸長させるようにティルトシリンダ9
内を作動油が流れる。
【0029】また、電磁切換弁22の3つの入力ポート
には、主管路26から分岐された主管路35と、主管路
35から分岐した2つの管路35a,35bがそれぞれ
接続されている。管路35a上に設けられた逆止弁36
によって各管路26a,26bにおける作動油の逆流が
阻止される。
【0030】電磁切換弁21の2つの出力ポートには、
戻り管路37と管路38とが接続され、戻り管路28に
接続された戻り管路37には管路38が接続されてい
る。管路38上には管路29上に設けられたものと同様
の絞り弁30が設けられている。電磁切換弁22の2つ
のポートに接続された管路39,40は、管路31,3
2にそれぞれ接続されている。よって、電磁切換弁22
が切換えられることにより、手動切換弁21とは独立し
てピストンロッド4aを収縮させるようにティルトシリ
ンダ4内に作動油を流すことが可能となっている。
【0031】すなわち、電磁切換弁22のソレノイド4
1が消磁されているときには、バネ42の付勢力によっ
て図1に示す閉弁位置に配置され、ティルトシリンダ4
の各室4b,4cと繋がる管路39,40に作動油を送
る油路が遮断される。また、ソレノイド41が励磁され
たときに電磁切換弁22はバネ42の付勢力に抗して図
1に示す閉弁位置から右方向へ移動した開弁位置に切換
えられ、管路39,40に作動油を送る油路が開かれ、
ティルトシリンダ4の各室4b,4cにピストンロッド
4aを収縮させるように作動油を流すことが可能とな
る。
【0032】ソレノイド41は、コントロールアンプ1
7によって励消磁制御される。コントロールアンプ17
には、正規角検出手段としてのティルト角センサ43、
車速検出手段としての車速センサ44、ブレーキ操作量
検出手段としてのブレーキセンサ45およびディレクシ
ョンスイッチ46が接続されている。コントロールアン
プ17は、各センサ43〜46からの入力信号に基づい
てソレノイド41を励消磁制御する。なお、センサ4
4,45により検出手段が構成される。
【0033】ティルト角センサ43は、マスト3のティ
ルト角(傾動角)を検出するためのものである。この実
施形態ではマスト3が前傾するほどティルト角センサ4
3の出力電圧が大きくなる。
【0034】車速センサ44は、車速(走行速度)を検
出するためのものであって、車速に比例する検出電圧を
出力する。ブレーキセンサ45は、ブレーキペダル16
の踏込量(操作量)を検出するためのものであって、そ
の踏込量に比例する検出電圧を出力する。
【0035】ディレクションスイッチ46は、フォーク
リフト1の運転室10に設けられた前後進レバー14の
操作位置を検出するためのものであって、前進位置にあ
るときにオン信号(Hレベル)、後進位置にるときにオ
フ信号(Lレベル)を出力する。
【0036】本実施形態では、マスト3(つまりフォー
ク7)を走行時に許容される正規の位置に後傾させてい
ない状態で、一定車速以上で前進走行しているときに急
制動されたときに、マスト3を後傾させる制御を行な
う。この後傾制御をコントロールアンプ17による電磁
切換弁22の切換制御により実行する。コントロールア
ンプ17は、各センサ43〜46からの入力信号(検出
値)に基づいてフォーク7上の荷Wに前向きに働く慣性
力が予め設定した許容値を超えると判定されるときにソ
レノイド41を励磁させるように回路設計されている。
【0037】各センサ43〜45からの検出値に対して
設定値を設定し、各検出値の全てがそれぞれの設定値を
超えたときに、前向きの慣性力が許容値を超えると判定
されるようにしている。ディレクションセンサ46の信
号は、前進走行中であるか否かの判断のためだけに使用
される。
【0038】ティルト角の設定値(設定角)としては、
フォーク7を水平より少し後傾させた角度を設定してい
る。この設定角は、急制動のときにフォーク7上の荷W
に前方に作用する慣性力が荷崩れを起こす恐れがあるほ
ど大きくなるときの角度に少し後傾側に余裕を見て設定
した角度に設定されている。
【0039】車速の設定値(設定車速)は、フォーク7
が設定角よりも前傾側にある状態で、急制動されたとき
に荷Wに前方に作用する慣性力が荷崩れを起こす恐れが
あるほど大きくなるときの車速に少し低速側に余裕を見
て設定されている。
【0040】ブレーキペダル踏込量の設定値(設定踏込
量)としては、ティルト角が設定角、車速が設定車速に
ある状態でブレーキペダル16を急制動の速度で踏込ん
だときに、荷に前方に作用する慣性力が荷崩れを起こす
恐れがあるほど大きくなるときの踏込量に少し余裕を見
て差し引いた値に設定されている。
【0041】コントロールアンプ17は例えば次のよう
に構成される。各センサ43〜45からの信号をそれぞ
れ入力する三つの比較器を備え、各比較器の基準電圧と
して各設定値に相当する電圧値が設定される。そのた
め、各比較器は、それぞれの入力信号が設定条件を満た
したときにのみHレベルの信号を出力する。車速センサ
44とその検出信号が入力される比較器との間には遅延
回路が設けられ、ブレーキペダル16を踏込むとき(踏
込み開始時)の車速と、ブレーキペダル16を急制動の
ため踏込み終えた頃のブレーキ踏込量とがそれぞれの比
較器に同時に入力されるように入力タイミングの調整が
図られている。遅延回路の遅延時間は、急制動時にブレ
ーキペダル16をその設定値を超えるまで踏込むまでに
要する時間付近の値(例えば0.2〜1秒)に設定されて
いる。
【0042】また、コントロールアンプ17は、ディレ
クションスイッチ46および各比較器からの出力信号を
入力するアンド回路と、アンド回路の出力を入力し、そ
の入力がLレベルからHレベルに切換わったときにHレ
ベルの出力を一定時間保持する保持回路と、ソレノイド
41に流す電流のスイッチングをするとともに保持回路
の出力がベースに入力されるスイッチング素子(トラン
ジスタ)とを内蔵する。保持回路の保持時間は、例えば
フォーク7を水平にするときのマスト3が正規の傾斜角
(設定角よりも後傾側の所定角度)に後傾するまでに要
する時間以上の所定時間(例えば0.3〜1秒)に設定さ
れている。また、トランジスタはコレクタがバッテリの
正極に接続され、エミッタがソレノイド41に接続され
ている。ソレノイド41のトランジスタとの反対側の端
子は接地されている。
【0043】よって、四つの設定条件を全て満たすと
き、すなわち、(1)マスト3(つまりフォーク7)が設
定角よりも前傾側にあるとき、(2)車速が設定車速を超
えるとき、(3)ブレーキペダル16の踏込量が設定踏込
量を超えるとき、(4)前進であるとき、のうち全てを満
たすときにだけ、マスト3を後傾させる後傾制御が行わ
れる。
【0044】次にこのフォークリフト1の作用を説明す
る。また、フォークリフト1が運転状態(キーオン状
態)にあるときは、各センサ43〜46は作動状態にあ
る。モータ24が駆動されて油圧ポンプ23が駆動され
ると、オイルタンク25内の作動油が主管路26へ吐出
される。ティルトレバー13を操作して手動切換弁22
が切換えられることで、マスト3は傾動する。
【0045】例えば荷役作業のとき、図2に示すように
フォーク7を水平にして荷Wを載せた状態で前方に走行
したとする。この場合、ティルト角センサ43からの出
力電圧は設定電圧を超え、ディレクションスイッチ46
はオン(Hレベル)出力となる。例えば設定車速以上で
走行しているときにブレーキペダル16を強く踏んで急
制動したとする。このとき、車速が設定車速を超えてい
れば車速センサ44からの出力電圧は設定電圧を超え、
各センサ43,44およびスイッチ46からの信号が全
てHレベルの状態において、ブレーキセンサ45からの
出力電圧が設定電圧を超えてLレベルからHレベルに切
換わる。よって、四つのセンサ43〜46からコントロ
ールアンプ17に入力される全ての信号がHレベルとな
る。よって、アンド回路の出力がHレベルとなってスイ
ッチング素子をオンさせ、ソレノイド41に電流が流れ
てそれが励磁される。
【0046】そのため、電磁切換弁22のスプールが中
立位置から後傾位置に切換えられ、ティルトシリンダ4
が収縮駆動する。その結果、図3に示すように、ブレー
キペダル16を設定値以上踏込むと、これとほぼ同時に
マスト3が設定量だけ後傾して同図に鎖線で示す正規の
後傾位置に配置される。このため、急制動のために荷W
に同図に実線矢印で示す前方への慣性力が働こうとする
が、マスト3の後傾によって同図に白抜矢印で示すそれ
を打ち消す向きの力が加わるため、その慣性力が弱めら
れる。よって、荷崩れが起き難くなる。
【0047】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下の効果が得られる。 (1)フォーク7上の荷Wに働く慣性力が許容値を超え
るような急制動時にマスト3を後傾させるので、マスト
3を正規の位置に後傾させる操作をせずに走行したとし
ても、急制動時の荷崩れを起き難くすることができる。
【0048】(2)マスト3が正規の位置に後傾されて
いないときにのみ、急制動時のマスト3の後傾を実行す
るので、無駄に電力を消費しない。 (3)ブレーキ操作量と車速とがそれぞれの設定値(基
準電圧値)を共に超えたことをもって慣性力が許容値を
超えたと判定するので、その判定方法が簡単である。つ
まり、制御をするために検出値を使って慣性力を計算す
るなどの複雑な処理をしなくて済む。
【0049】(4)慣性力が許容値を超える条件を実験
等で見出しておき、その条件を満たすかどうかを判定す
るための全ての検出値がそれぞれの設定値を超えたとき
にマスト3を後傾させるようにしたので、マイコンを使
用せずコントロールアンプ17のようなハードウェアに
よってマスト3の後傾制御をすることができる。
【0050】(第2実施形態)次に本発明を具体化した
第2実施形態を図4に基づいて説明する。この実施形態
は、フォークリフト1の後方への急発進時にも、マスト
3を後傾させる機能を有する。油圧回路としては前記第
1実施形態のもの同様であり、電磁切換弁22のソレノ
イド41を励消磁制御するための制御系が一部異なるだ
けである。前記第1実施形態と同様の構成については同
じ符号を付してその説明を省略し、特に異なる構成につ
いてのみ説明をする。
【0051】図4に示すように、制御手段としてのコン
トロールアンプ17には、ティルト角センサ43、車速
センサ44、ブレーキセンサ45、ディレクションスイ
ッチ46およびアクセル操作量検出手段としてのアクセ
ルセンサ47がそれぞれ接続されている。アクセルセン
サ47はアクセルペダル15の操作量を検出するための
もので、その操作量に比例した電圧値を出力する。な
お、センサ44,45,47により検出手段が構成され
る。
【0052】ティルト角の設定値(設定角)は、前記第
1実施形態と同じである。車速の設定値(設定車速)
は、フォーク7が設定角よりも前傾側にある状態で、後
方へ急発進されたときに荷Wに前方に作用する慣性力が
荷崩れを起こす恐れがあるほど大きくなるときの車速、
すなわちほぼ停車と見なせる車速(停車車速)(例えば
後進で0〜3km/hの範囲内の値)に設定されている。本
実施形態では設定車速を0km/hとしている。アクセルペ
ダル踏込量の設定値(設定踏込量)としては、ティルト
角が設定角、車速が設定車速にある状態でアクセルペダ
ル15を急発進の速度で踏込んだときに、荷に前方に作
用する慣性力が荷崩れを起こす恐れがあるほど大きくな
るときの踏込量に少し余裕を見て差し引いた値に設定さ
れている。
【0053】コントロールアンプ17は、急制動時の制
御については前記第1実施形態と同様の構成を有し、後
方への急発進時の制御についても、急制動時と同様の考
え方で上記の設定条件を満たすように回路設計されてい
る。例えば各センサ43,44,47からの信号をそれ
ぞれ入力する三つの比較器を備え、各比較器の基準電圧
として各設定値に相当する電圧値が設定される。但し、
車速センサ44からの信号を入力する比較器は、入力電
圧が基準電圧より小さいときにHレベルを出力する。つ
まり、車速が0km/hのときだけHレベルを出力する。そ
のため、各比較器は、それぞれの入力信号が設定条件を
満たしたときにのみHレベルの信号を出力する。なお、
センサ43,46からの信号を入力する比較器について
は急制動用と急発進用とで共有することができる。
【0054】車速センサ44とその検出信号が入力され
る比較器との間には遅延回路が設けられ、アクセルペダ
ル15を踏込むとき(踏込み開始時)の車速と、アクセ
ルペダル15を急発進のため踏込み終えた頃のアクセル
踏込量とがそれぞれの比較器に同時に入力されるように
入力タイミングの調整が図られている。遅延回路の遅延
時間は、急発進時にアクセルペダル15をその設定値を
超えるまで踏込むまでに要する時間付近の値(例えば0.
2〜1秒)に設定されている。
【0055】また、コントロールアンプ17は、ディレ
クションスイッチ46および発進制御用の各比較器から
の出力信号を入力するアンド回路を備える。但し、ディ
レクションスイッチ46と発進制御用のアンド回路との
間には、ノット回路が設けられ、ディレクションスイッ
チ46の出力が後進位置にあることを示すLレベルにあ
るときのみ、それが反転されてアンド回路への入力がH
レベルとなる。
【0056】発進制御用のアンド回路と急制動用のアン
ド回路は、前記保持回路に対して並列に接続され、急制
動条件と急発進条件のうちいずれか一方が成立した時に
保持回路の出力が所定時間だけHレベルに保持され、そ
の間だけトランジスタがオンしてソレノイド41が励磁
される。
【0057】従って、この実施形態におけるフォークリ
フト1によれば、例えばフォーク7を水平にしたまま設
定車速を超える車速で走行し、その走行中にブレーキペ
ダル16を急に踏込んで急制動したときは、コントロー
ルアンプ17により、ソレノイド41が励磁されてマス
ト3が後傾する。フォーク7の後傾によって荷に後方へ
の力が付与されるため、荷Wの前へ飛び出ようとする慣
性力が一部打ち消される。よって、荷崩れが起き難い。
【0058】また、例えばフォーク7を水平にしたまま
後進しようとしてアクセルペダル5を急に踏込む急発進
時にも、マスト3が後傾する。すなわち、マスト3が設
定角より前傾側の角度に位置し、前後進レバー14の操
作位置が後進位置に切換えらた状態にあり、車速が0km
/hの停車状態からアクセルペダル15が急に踏込まれて
その踏込量が所定時間内に設定踏込量を超えるときに、
荷Wに働く前方への慣性力が許容値を超えると見なさ
れ、コントロールアンプ17によってソレノイド41が
励磁される。その結果、後方への急発進のため荷Wに前
方に飛び出る慣性力が働くときに、それと同じタイミン
グでフォーク7が後傾し、荷Wに後方への力が付与され
るため、荷崩れが起き難くなる。
【0059】よって、この実施形態によれば、前記第1
実施形態で述べた(1)〜(4)の効果に加え、以下の
効果が得られる。 (5)前方走行中の急制動時だけでなく、後進へのき急
発進時にも、マスト3が後傾するので、荷崩れを起き難
くすることができる。
【0060】(第3実施形態)次に本発明を具体化した
第3実施形態を図5に基づいて説明する。この実施形態
は、走行中の急制動や後方への急発進時に後傾させたマ
スト3を車両停止後に元の初期状態に戻す復帰制御を行
なう。油圧回路は電磁切換弁の構成が異なること以外
は、前記各実施形態と同じである。また、本実施形態で
は、コントロールアンプに代えてマイクロコンピュータ
を使用して電磁切換弁のソレノイドの励消磁制御を行な
う。なお、前記各実施形態と同様の構成については同じ
符号を付してその説明を省略し、特に異なる構成につい
てのみ説明をする。
【0061】図5に示すように、本実施形態では、前記
各実施形態で使用した二位置切換弁である電磁切換弁2
2に代え、三位置電磁切換弁である電磁切換弁50を使
用している。電磁切換弁50は、スプールなどの弁構造
については手動切換弁21と同じ構造を有し、そのスプ
ールを相反対向きに付勢するバネ51,52と、各バネ
51,52の付勢力に抗した向きにスプールを移動させ
るための2つのソレノイド53,54とを有する。
【0062】各ソレノイド53,54の励消磁制御は、
制御手段としてのコントローラ55が行なう。コントロ
ーラ55は、マイクロコンピュータ56,駆動回路(励
消磁駆動回路)57,A/D変換回路58等を備える。
マイクロコンピュータ56は、中央処理装置(以下、C
PUという)59、メモリ60、カウンタ61、入力イ
ンタフェイス62および出力インタフェイス63を備え
る。
【0063】入力インタフェイス62にはディレクショ
ンスイッチ46が接続されるとともに、A/D変換回路
58を介してティルト角センサ43、車速センサ44、
ブレーキセンサ45およびアクセルセンサ47がそれぞ
れ接続されている。また、CPU59は出力インタフェ
ース63を介して駆動回路57に接続されている。
【0064】メモリ60には、各種センサ43〜47か
らの入力信号に基づいてソレノイド53,54の励消磁
制御を行なうためのプログラムデータが記憶されてい
る。このプログラムデータには、各センサ44,45,
47の検出値のうち2つを用いて、フォーク7上の荷W
に前向きに働く慣性力が許容値を超えるか否かを判定す
るための判定データが記憶されている。判定データは、
前記第1及び第2実施形態におけるハードウェアによる
制御を、ソフトウェアでできるようにデータを作成した
だけのもので、その方法は前記各実施形態で述べた内容
と同様である。また、CPU59は、マスト3が設定角
より前傾側にあるか否かをティルト角センサ43からの
検出信号に基づいて判断し、前後進の区別はディレクシ
ョンスイッチ46からの検知信号によって判断する。そ
の判定基準は、前記第1実施形態で述べたことと同じで
ある。
【0065】また、メモリ60には復帰プログラムデー
タが記憶されている。復帰プログラムデータとは、電磁
切換弁50を開弁してマスト3を後傾させたときは、車
両の停止後にマスト3の傾動角を元の初期状態に戻すた
めのプログラムである。メモリ60にはマスト3を後傾
させる前の初期状態の角度を記憶するための記憶領域が
用意されている。
【0066】カウンタ61は、車両停止後、すなわち車
速が「0」になった時点からの経過時間に相当する計数
値を計数する。本実施形態では、カウンタ61による計
時時間が設定時間(例えば0.5秒〜2秒)に達してか
ら、マスト3の復帰動作を開始する。停車後のマスト3
の復帰動作によって車両停止直後の車体2の揺れが助長
されて機台振動を引き起こすことのないように設定時間
を設けている。
【0067】従って、この実施形態によれば、フォーク
7を水平にする状態で前進する走行時に急制動したり、
フォーク7を水平にする状態で後方へ急発進したとき、
CPU59が各センサ43〜47からの検出値に基づい
て慣性力が許容値を超えると判断すると、ソレノイド5
3が励磁されて電磁切換弁50のスプールが図5の位置
から左方向へ移動した後傾位置に切換えられる。よっ
て、このような急制動や急発進時にはそれとほぼ同時に
マスト3が後傾するので、荷崩れが起き難い。ソレノイ
ド53は所定時間(例えば0.3〜1秒)後に消磁され
る。
【0068】その後、停車(車速が0km/h)すると、カ
ウンタ61による計時が開始され、その計時時間が設定
値(例えば0.5秒〜2秒)に達すると、CPU59はソ
レノイド54を励磁させ、電磁切換弁50のスプールが
図5の位置から右方向へ移動した前傾位置に切換わり、
マスト3が前傾する。CPU59はマスト3の前傾中、
ティルト角センサ43からの信号に基づいてマスト3の
ティルト角を監視し、そのティルト角がメモリ61に記
憶する初期状態の角度に一致すると、ソレノイド54を
消磁する。その結果、マスト3は車両停止後、しばらく
して初期の角度、例えばフォーク7を水平にする水平角
に戻ることになる。
【0069】従って、本実施形態によれば、前記各実施
形態で述べた(1),(2),(5)の効果に加え、以下の効
果が得られる。 (6)マスト3が荷崩れを防ぐために後傾されても、停
車後にマスト3が前傾して元の初期状態の角度に復帰さ
せることができる。よって、停車後にフォーク7が次の
作業がし易いような例えば水平状態に戻るので、荷役作
業がし易い。
【0070】(7)マスト3を初期状態の角度に復帰さ
せる復帰制御を、停車から設定時間(例えば0.5〜2
秒)遅れて開始するようにしたので、運転者に機台振動
による違和感を与える心配がない。
【0071】なお、実施形態は上記に限定されず、以下
のように変更してもよい。 ○ ティルト角センサ43,ブレーキセンサ45,アク
セルセンサ47のうち少なくとも1つをスイッチ式セン
サとすることもできる。例えばティルト角センサ43は
フォークが走行時に許容される後傾位置にあるときにオ
フし、それよりも前傾側にあるときにオンするようにす
る。ブレーキセンサ45はブレーキペダル16が設定踏
込量を超えて踏込まれたときにオンし、それ以外ではオ
フするようにする。また、アクセルセンサ47はアクセ
ルペダル15が設定踏込量を超えて踏込まれたときにオ
ンし、それ以外ではオフするようにする。この構成によ
れば、スイッチ式センサとすることによって比較器やA
/D変換器が不要となり、制御手段の構成を簡素化でき
る。
【0072】○ フォーク以外のアタッチメントを装備
したフォークリフトトラックにも適用することができ
る。要するに、急激な速度変化があったときに荷の前後
に働く慣性力を打ち消すことができるように荷を前後に
傾ける機能をもつ荷役機器を有するあらゆる産業車両に
適用することができる。また、荷役機器を傾動する手段
は油圧シリンダのような油圧機器ではなく電動モータで
あってもよい。
【0073】さらに荷役機器が車体後部に設けられてい
てもよい。この場合、前方への急発進のときに荷役機器
を前傾し、後方走行中の急制動時に荷役機器を前傾す
る。また、荷役機器が荷の前後いずれかの面を支える支
持面を有していなくてもよい。この場合、前方走行中の
急制動時と後方への急発進時に荷役機器を後傾させ、前
方への急発進時に後方走行中の急制動時に荷役機器を前
傾させる。なお、この場合、慣性力が小さくなったら、
荷役機器を正規の傾きに戻すことが望ましい。
【0074】○ フォーク7の積載荷重を検出する荷重
センサを設け、フォーク7に荷が積載されているときに
だけマスト3の傾動制御を行なうようにしてもよい。荷
重センサとしては、例えばリフトシリンダ4の油圧を検
出する圧力センサがある。この構成によれば、空荷のと
きにフォーク7を水平にした状態で急制動や後方への急
発進をしても、マスト5が後傾することがないので、次
の作業をするときの作業効率を低下させない。
【0075】○ マスト3が正規の位置にあるか否かの
判断をすることなく、急制動時や急発進時などの必要時
に慣性力が許容値を超えるたときにはいつもマスト3を
後傾させる制御としてもよい。この構成によれば、マス
ト3が正規の位置にあるときは電磁切換弁が作動される
ことにはなるがマスト3が動くことはなく、マスト3が
正規の位置にないときには後傾して荷崩れを起き難くす
ることができる。また、ティルト角センサ43を不要に
できる。
【0076】○ 各実施形態では、慣性力が許容値を超
えるような条件を実験等により見出し、その条件を満た
したときにマストを後傾させる間接的な制御方法を採用
したが、各検出値を用いて計算式やマップを使って慣性
力を実際に求め、その慣性力が許容値を超えるときにマ
スト3を後傾させる制御方法を採用してもよい。この構
成によれば、慣性力が許容値を超えたことの判定をより
正確に行なえ、本当に必要時にだけマスト3を後傾させ
ることができる。
【0077】○ 第1及び第2実施形態において、電磁
切換弁22のソレノイド41の励消磁制御を、コントロ
ールアンプ17を使用したハードウェアによる方法に代
え、第3実施形態のようにマイクロコンピュータを使用
したソフトウェアによる方法により実施してもよい。
【0078】○ 手動切換弁21と電磁切換弁22,5
0との作動時におけるマスト3の後傾速度が異なるよう
に設定し、荷崩れ防止に適した後傾速度でマスト3を後
傾させるようにしてもよい。この構成によれば、一層荷
崩れを起き難くすることができる。
【0079】○ 慣性力が許容値を超えるか否かの判定
方法は、前記各実施形態の方法に限定されない。例えば
車速センサ44の検出値を用いて車速変化率(正負の加
速度)を検出し、車速のデータだけを使って慣性力が許
容値を超えるか否かの判定をするようにしてもよい。こ
の構成によれば、ブレーキセンサ45を不要にでき、フ
ォークリフト1に通常設けられるセンサを利用して制御
をすることができる。また、ブレーキペダル16やアク
セルペダル15を踏込むときの踏込量の時間変化(踏込
速度変化率)を見てもよい。この場合、ハードウェアで
制御を行なうのであれば、微分回路を設ければよい。ま
た、加速度センサを使用して慣性力を検出してもよい。
【0080】前記各実施形態及び別例から把握できる請
求項以外の技術的思想(発明)を、以下にその効果とと
もに記載する。 (1)請求項3〜請求項5のいずれか一項において、前
記制御手段は、前記検出手段の検出値により、車両が走
行中に急制動されたときの前記慣性力が許容値を超えた
ことと、車両が停止と見なせる停車速度から急発進した
ときの前記慣性力が許容値を超えたこととの両方を判断
し、少なくとも一方の前記慣性力が許容値を超えたとき
に前記マストを後傾させる。この構成によれば、急制動
時と急発進時との荷崩れを起き難くすることができる。
【0081】(2)請求項6において、前記制御手段
は、前記検出手段の検出値により、前記車両が前進走行
中に急制動されたときの前記慣性力が許容値を超えたこ
とと、車両が停止と見なせる停車速度から後方へ急発進
したときの前記慣性力が許容値を超えたこととの少なく
とも一方を判断し、前記前向きの慣性力が許容値を超え
たと判断されると前記マストを後傾させる。この構成に
よれば、フォークリフトトラックの急制動時や急発進時
における荷崩れを起き難くすることができる。
【0082】(3)請求項6において、前記制御手段
は、前記マストを後傾させたときには、少なくとも慣性
力が許容値以下になった以後に 前記マストを後傾前の
初期の傾きに戻す復帰手段を備えている。この構成によ
れば、マストが初期の傾きに戻されるので、初期の傾き
が次の作業に都合のよい傾きであれば、その状態が変更
されないので作業がし易い。なお、第3実施形態におけ
るコントローラ55により復帰手段が構成される。
【0083】(4)前記(3)において、前記復帰手段
は、前記マストの初期の傾きへの復帰を、前記車速検出
手段が車両の停止を検出してから所定時間遅れて実行す
る。この構成によれば、マストの復帰動作が停車後の車
体の揺れを助長しない。
【0084】(5)請求項6において、車両が前後進ど
ちらの向きに走行可能な状態にあるかを検出するための
前後進検出手段を備え、前記制御手段は、前後進検出手
段の検出値により、前記車両が前後進どちらの向きに走
行可能な状態にあるかを判断し、前記昇降体上の荷に前
向きの慣性力が働くときであると判断されるときにの
み、前記マストの後傾を実行する。この構成によれば、
急制動時や急発進時であっても荷に前向きの慣性力が働
くことになる必要時にのみマストを後傾させることがで
きる。なお、ディレクションスイッチ46により前後進
検出手段が構成される。
【0085】(6)請求項6において、前記昇降体上の
荷の重量を検出する荷重検出手段を備え、前記制御手段
は、前記荷重検出手段により前記昇降体上に荷があると
判断されるときにのみ、前記マストの後傾を実行する。
この構成によれば、昇降体上に荷のある必要時のみにマ
ストを後傾させることができ、マストの無駄な動きを抑
えることができる。なお、別例で記載した圧力センサに
より荷重検出手段が構成される。
【0086】(7)請求項1〜請求項7及び前記(1)
〜(6)のいずれか一項において、前記荷役機器を傾動
させるために車体に設けられたシリンダを油圧制御する
ために手動で切換えられる手動切換弁を備え、前記制御
手段は、前記シリンダに対して前記手動切換弁と並列に
接続された電磁切換弁を備え、前記慣性力が許容値を超
えると判断したときには前記荷役機器を前記慣性力を打
ち消す方向に傾動させ得るように前記電磁切換弁を切換
制御する。この構成によれば、請求項1〜請求項7のい
ずれか一項と同様の効果が得られる。
【0087】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1及び請求項
7に記載の発明によれば、車速変化によって荷役機器上
の荷に働く慣性力が許容値を超えると、その慣性力を打
ち消す方向に荷役機器を傾動させるので、荷崩れを起き
難くすることができる。
【0088】請求項2及び請求項7に記載の発明によれ
ば、荷役機器が正規の傾きになく荷崩れの心配があると
きにのみ荷役機器が正規の傾き側に傾動されるので、荷
役機器が正規の傾きにないときの荷崩れを起き難くする
ことができる。
【0089】請求項3及び請求項7に記載の発明によれ
ば、荷役機器が正規の傾きにない状態での急制動時と急
発進時との少なくとも一方において、荷に働く慣性力が
許容値を超えたときにマストが傾動されて荷崩れを起き
難くすることができる。
【0090】請求項4及び請求項7に記載の発明によれ
ば、ブレーキ操作部の操作量と車速とから急制動時に荷
に働く慣性力が許容値を超えたか否かが簡単に判断され
るので、簡単な制御で済ませられる。
【0091】請求項5及び請求項7に記載の発明によれ
ば、アクセル操作部の操作量と車速とから急発進時に荷
に働く慣性力が許容値を超えたか否かが簡単に判断され
るので、簡単な制御で済ませられる。
【0092】請求項6及び請求項7に記載の発明によれ
ば、車体前部に傾動可能に設けられたマストを昇降する
昇降体上の荷に許容値を超える前向きの慣性力が働いた
ときにマストを後傾させるので、フォークリフトトラッ
クのマストが正規の傾きにないときの荷崩れを防ぎ易く
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における荷崩れ防止装置の摸式
図。
【図2】フォークリフトの側面図。
【図3】後傾制御を説明するためのフォークリフトの側
面図。
【図4】第2実施形態における荷崩れ防止装置の摸式
図。
【図5】第3実施形態における荷崩れ防止装置の摸式
図。
【図6】従来技術におけるティルト制御用の油圧回路
図。
【図7】従来技術における急制動時のフォークリフトを
示す側面図。
【符号の説明】
1…産業車両としてのフォークリフトトラック、2…車
体、3…荷役機器を構成するマスト、4…ティルトシリ
ンダ、7…荷役機器を構成するとともに昇降体としての
フォーク、13…ティルトレバー、15…アクセル操作
部としてのアクセルペダル、16…ブレーキ操作部とし
てのブレーキペダル、17…制御手段を構成するコント
ロールアンプ、21…手動切換弁、22,50…制御手
段を構成する電磁切換弁、43…正規角検出手段を構成
するティルト角センサ、44…検出手段を構成するとと
もに車速検出手段としての車速センサ、45…検出手段
を構成するとともにブレーキ操作量検出手段としてのブ
レーキセンサ、46…ディレクションスイッチ、47…
検出手段を構成するとともにアクセル操作量検出手段と
してのアクセルセンサ、55…制御手段を構成するコン
トローラ、56…マイクロコンピュータ、60…メモ
リ、61…カウンタ、W…荷。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に対して傾動可能に設けられた荷役
    機器と、 前記荷役機器上の荷に車速変化に起因して働く慣性力を
    検出するための検出手段と、 前記検出手段の検出値により前記慣性力が許容値を超え
    ると判断されると、前記荷役機器を該慣性力を打ち消す
    方向に傾動させる制御手段とを備えている産業車両の荷
    崩れ防止装置。
  2. 【請求項2】 前記荷役機器が走行時の正規の傾きにあ
    ることを検出するための正規角検出手段を備え、前記制
    御手段は、前記正規角検出手段により前記荷役機器が正
    規の傾きにないことが検出されたときにのみ前記荷役機
    器を正規の傾き側に傾動させる請求項1に記載の産業車
    両の荷崩れ防止装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記検出手段の検出値
    により、車両が走行中に急制動されたときの前記慣性力
    が許容値を超えたことと、車両が停止と見なせる停車速
    度から急発進したときの前記慣性力が許容値を超えたこ
    ととの少なくとも一方を判断し、少なくとも一方の前記
    慣性力が許容値を超えたときに前記マストを後傾させる
    請求項1又は請求項2に記載の産業車両の荷崩れ防止装
    置。
  4. 【請求項4】 前記検出手段は、ブレーキ操作部の操作
    量を検出するブレーキ操作量検出手段と、前記ブレーキ
    操作部が操作される際の車速を検出する車速検出手段と
    を備え、 前記制御手段は、前記二つの検出手段により検出された
    ブレーキ操作量と車速とから、前記車両が急制動された
    ときの前記慣性力が前記許容値を超えたか否かを判断す
    る請求項3に記載の産業車両の荷崩れ防止装置。
  5. 【請求項5】 前記検出手段は、アクセル操作部の操作
    量を検出するアクセル操作量検出手段と、前記アクセル
    操作部が操作される際の車速を検出する車速検出手段と
    を備え、 前記制御手段は、前記二つの検出手段により検出された
    アクセル操作部量と車速とから、前記車両が急発進され
    たときの前記慣性力が前記許容値を超えたか否かを判断
    する請求項3に記載の産業車両の荷崩れ防止装置。
  6. 【請求項6】 前記車両は、車体前部に傾動可能に設け
    られたマストと、該マストに沿って昇降する昇降体とを
    前記荷役機器として備えるフォークリフトトラックであ
    って、 前記制御手段は、前記検出手段の検出値により、前記昇
    降体上の荷に前向きに働く慣性力が許容値を超えると判
    断されるときに、前記マストを後傾させる請求項1〜請
    求項5のいずれか一項に記載の産業車両の荷崩れ防止装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記
    載の荷崩れ防止装置を備えている産業車両。
JP4393198A 1998-02-25 1998-02-25 産業車両の荷崩れ防止装置及び産業車両 Pending JPH11240700A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105776076A (zh) * 2014-12-24 2016-07-20 林德(中国)叉车有限公司 一种叉车门架前移时的限速和制动性能自动调节装置

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CN105776076A (zh) * 2014-12-24 2016-07-20 林德(中国)叉车有限公司 一种叉车门架前移时的限速和制动性能自动调节装置

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