以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。以下の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、フォークリフトの運転者がフォークリフトの前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」「後」「左」「右」「上」「下」を示すものとする。
図1に示すように、産業車両としてのフォークリフト10には、車体11の前部に荷役手段としての荷役装置12が設けられている。車体11の中央には、運転席13が設けられている。車体11の後方には、バッテリ14を収容するバッテリフード15が設けられている。車体11の前下部には駆動輪(前輪)16が設けられているとともに、車体11の後下部には操舵輪(後輪)17が設けられている。駆動輪16には、車体11に収容された走行駆動手段としての走行モータ18が連結されている。本実施形態のフォークリフト10は、車体11に搭載されたバッテリ14を駆動源として作動する走行モータ18の駆動力により駆動輪16が回転駆動されて走行するバッテリ式とされている。
荷役装置12について説明する。車体11の前部にはマスト19が立設されており、当該マスト19は、左右一対のアウタマスト20とインナマスト21からなる多段式(本実施形態では2段式)とされている。アウタマスト20には、油圧式のティルトシリンダ22が連結されており、該ティルトシリンダ22の作動により車体11に対して前後に傾動可能とされている。インナマスト21には、油圧式のリフトシリンダ23が連結されており、該リフトシリンダ23の作動によりアウタマスト20内をスライドし、昇降可能とされている。また、マスト19には、左右一対のフォーク(荷役具)24がリフトブラケット25を介して設けられている。リフトブラケット25は、インナマスト21に昇降可能に設けられている。荷役作業(荷取り作業及び荷置き作業)は、荷が搭載された荷搭載用のパレット(図示しない)をフォーク24で掬い上げることによって行われる。そして、フォーク24は、リフトシリンダ23の駆動によってインナマスト21がアウタマスト20に沿って昇降動作することにより、リフトブラケット25とともに昇降される。また、フォーク24は、ティルトシリンダ22の駆動によってマスト19とともに傾動(前傾及び後傾)するようになっている。
運転席13には、運転者が着座可能な運転シート26が設けられている。運転シート26は、バッテリフード15上に配置されている。また、運転席13において、運転シート26の前方には、ハンドルコラム27が設けられている。ハンドルコラム27には、操舵輪17の舵角を変更するための操舵ハンドル28が装着されている。
ハンドルコラム27の左方には、車両の走行方向(進行方向)を指示する前後進レバー(ディレクションレバー)29が設けられている。本実施形態では、前後進レバー29によって車両の走行方向として「前進」又は「後進」を選択指示し得るようになっている。一方、ハンドルコラム27の右方には、荷役装置12(フォーク24)を昇降動作させるときに操作するリフトレバー30と、荷役装置12(マスト19)を傾動動作させるときに操作するティルトレバー31が設けられている。リフトレバー30及びティルトレバー31は、図2に示している。
リフトレバー30は、中立位置から上昇指示方向又は下降指示方向へ傾動操作可能に構成されており、リフトレバー30の操作時にはその操作方向に応じてリフトシリンダ23が作動(伸縮作動)する。そして、リフトシリンダ23は、上昇又は下降を指示するように傾動操作された状態からリフトレバー30が中立位置に戻されることにより作動が停止する。なお、リフトレバー30の中立位置は、フォーク24の上昇及び下降の何れも指示しない位置である。ティルトレバー31は、中立位置から前傾指示方向又は後傾指示方向へ傾動操作可能に構成されており、ティルトレバー31の操作時にはその操作方向に応じてティルトシリンダ22が作動(伸縮作動)する。そして、ティルトシリンダ22は、前傾又は後傾を指示するように傾動操作された状態からティルトレバー31が中立位置に戻されることにより作動が停止する。なお、ティルトレバー31の中立位置は、マスト19の前傾及び後傾の何れも指示しない位置である。
運転席13の下方(フロア)には、アクセル操作手段としてのアクセルペダル32が設けられている。アクセルペダル32は、フォークリフト10の車速(走行)を指示するとともに車速を調整するためのものである。フォークリフト10は、運転者によるアクセルペダル32の踏込み操作量(アクセル開度)に応じた車速となるように走行モータ18の回転数が制御され、走行モータ18の動力が駆動輪16に伝達されて走行する。そして、フォークリフト10は、前後進レバー29が「前進位置」に操作されている場合には前進走行すべく走行モータ18が制御され、前後進レバー29が「後進位置」に操作されている場合には後進走行すべく走行モータ18が制御される。なお、フォークリフト10は、前後進レバー29が「中立位置」に操作されている場合、アクセルペダル32の踏込み操作を行っても、走行モータ18からの動力が駆動輪16に伝達されない。
また、車体11には、フォークリフト10の走行制御を含む各種制御を行う車両制御装置33と、走行モータ18を制御するモータコントローラ34が設けられている。車両制御装置33とモータコントローラ34は、双方向に信号を送受信可能に電気的に接続されている。なお、車両制御装置33とモータコントローラ34は、有線接続又は無線接続の何れでも良い。本実施形態では、車両制御装置33とモータコントローラ34により、制御手段が構成されている。また、車体11には、油圧タンク35(図2に図示する)に貯油されている作動油を汲み上げて、該作動油をティルトシリンダ22及びリフトシリンダ23に供給する油圧ポンプ36(図2に図示する)が設けられている。また、車体11には、ティルトシリンダ22及びリフトシリンダ23に対する作動油の流路を切り換える電磁比例弁37(図2に図示する)が設けられている。電磁比例弁37は、作動油の流路を形成する管路を介して、ティルトシリンダ22、リフトシリンダ23、油圧タンク35及び油圧ポンプ36に接続されている。
次に、本実施形態のフォークリフト10の電気的構成を図2にしたがって説明する。
車両制御装置33には、制御動作を所定の手順で実行することができるCPU(中央処理装置)33aと、必要なデータの読出し及び書換え可能なメモリ33bが設けられている。メモリ33bには、フォークリフト10の走行や荷役を制御するための制御プログラムや、当該制御に用いる各種マップデータが記憶されている。また、車両制御装置33には、ディレクションスイッチ38と、揚高スイッチ(揚高検出手段)39と、荷重センサ(荷重検出手段)40と、ティルト角センサ(傾動角度検出手段)41と、アクセル開度センサ(操作量検出手段)42と、リフトレバーセンサ43と、ティルトレバーセンサ44と、が電気的に接続されている。
ディレクションスイッチ38は、ハンドルコラム27に配設されており、前後進レバー29の操作位置(前進位置又は後進位置)を検出する。ディレクションスイッチ38は、前後進レバー29の操作位置に応じた検出信号を車両制御装置33に出力する。本実施形態においてディレクションスイッチ38は、前後進レバー29の操作位置が前進位置の場合には前進位置を検出する検出信号を出力するとともに、前後進レバー29の操作位置が後進位置の場合には後進位置を検出する検出信号を出力し、前後進レバー29が中立位置の場合には検出信号を出力しない。したがって、車両制御装置33のCPU33aは、ディレクションスイッチ38からの検出信号を入力することにより前後進レバー29の操作位置が前進位置又は後進位置であることを認識し、検出信号を入力しないことにより前後進レバー29の操作位置が中立位置であることを認識する。
揚高スイッチ39は、マスト19に配設されている。揚高スイッチ39は、フォーク24の揚高(高さ位置)を検出し、フォーク24が予め定めた揚高(例えば、2200mm)に達すると検出信号を出力する。揚高スイッチ39は、例えばリミットスイッチからなる。本実施形態では、マスト19に1つの揚高スイッチ39が設けられており、揚高スイッチ39によって検出される揚高以上(例えば、2200mm以上)の領域が高揚高領域とされ、揚高スイッチ39によって検出される揚高未満(例えば、2200mm未満)の領域が低揚高領域とされている。すなわち、本実施形態において揚高スイッチ39は、フォーク24の揚高が高揚高か又は低揚高かの2値を検出する。そして、車両制御装置33のCPU33aは、揚高スイッチ39からの検出信号を入力することによりフォーク24の揚高が高揚高領域であることを認識し、検出信号を入力しないことによりフォーク24の揚高が低揚高領域であることを認識する。
荷重センサ40は、リフトシリンダ23の下部付近の油圧回路内に配設されている。荷重センサ40は、フォーク24の積載荷重(負荷荷重)を検出する。荷重センサ40は、リフトシリンダ23の内部の油圧を検出し、フォーク24の積載荷重に応じた検出信号を出力する。荷重センサ40は、例えば圧力センサからなる。そして、車両制御装置33のCPU33aは、荷重センサ40からの検出信号を入力することによりフォーク24の積載荷重を認識する。
ティルト角センサ41は、ティルトシリンダ22の付近に配設されている。ティルト角センサ41は、ティルト角を検出する。ティルト角センサ41は、フォーク24が水平姿勢にあるときの角度(水平角)を基準とした傾斜角を検出し、傾斜角に応じた検出信号を出力する。ティルト角センサ41は、例えばポテンショメータからなる。そして、車両制御装置33のCPU33aは、ティルト角センサ41からの検出信号を入力することによりフォーク24のティルト角を認識する。
アクセル開度センサ42は、アクセルペダル32に配設されている。アクセル開度センサ42は、アクセルペダル32の踏込み操作量(アクセル開度)に応じた検出信号(アクセル開度信号)を出力する。アクセルペダル32は、踏込んだ状態(操作状態)でフォークリフト10の車速(走行)を指示し(オン操作)、踏込んでいない状態(非操作状態)へ戻すことによってフォークリフト10の車速(走行)を指示しない(オフ操作)ように作動する。
リフトレバーセンサ43は、リフトレバー30に配設されており、リフトレバー30のレバー角(操作量)を検出する。リフトレバーセンサ43は、リフトレバー30のレバー角に応じた検出信号を車両制御装置33に出力する。そして、車両制御装置33のCPU33aは、リフトレバーセンサ43からの検出信号を入力することによりリフトレバー30のレバー角を認識する。
ティルトレバーセンサ44は、ティルトレバー31に配設されており、ティルトレバー31のレバー角(操作量)を検出する。ティルトレバー31は、ティルトレバー31のレバー角に応じた検出信号を車両制御装置33に出力する。そして、車両制御装置33のCPU33aは、ティルトレバーセンサ44からの検出信号を入力することによりティルトレバー31のレバー角を認識する。
モータコントローラ34には、走行モータ18と、モータ回転数センサ45,46が電気的に接続されている。モータコントローラ34は、車両制御装置33が出力する制御指令を入力し、その制御指令に応じた回転速度で走行モータ18を回転させるように制御する。また、モータコントローラ34は、モータ回転数センサ45,46からの検出信号を入力することにより、走行モータ18の回転速度とモータ回転方向を認識する。バッテリ式のフォークリフト10の場合、走行モータ18の回転数と車速が一義的に対応付けられることから(1対1の関係となることから)、モータ回転数センサ45,46は走行中の車両の実車速を検出する車速検出手段として機能する。
以下、車両制御装置33によって実行される各種制御について詳しく説明する。車両制御装置33は、以下に説明する各種制御を制御プログラムにしたがって実行する。本実施形態では、車両制御装置33のCPU33aが、荷役状態判定手段及び制限内容決定手段として機能する。
図3のマップデータは、荷役状態からフォークリフト10の走行に制限(最高車速と加減速度)を加えるか否かを判定するために参照するマップデータ(以下、「制限要否判定データ」と示す)である。本実施形態の制限要否判定データは、揚高と荷重の2つのパラメータをもとに最高車速と加減速度に制限を加える制限領域と制限を加えない非制限領域を定めている。具体的に言えば、揚高H以上で、かつ荷重W以上の領域を制限領域とし、揚高H未満又は荷重W未満の何れかを満たす領域を非制限領域としている。図3の制限要否判定データでは、揚高が高く、かつ荷重が重い領域、すなち、荷役状態が厳しくなる領域を制限領域と定めている。図3では、制限領域に斜線を付している。
図4のマップデータは、最高車速に制限を加える場合、すなわち、図3の制限要否判定データをもとに荷役状態が制限領域に存在すると判断した場合に、最高車速値(制限車速)を算出(決定)するために参照するマップデータ(以下、「車速算出データ」と示す)である。本実施形態の車速算出データは、荷重とティルト角の2つのパラメータをもとに最高車速値([km/h])を定めている。具体的に言えば、荷重W以上の荷重領域を複数領域(本実施形態では図4に示す領域A,B,C,D,Eの5つ)に区分し、その領域毎にティルト角が後傾範囲内であるか否かによって最高車速値を定めている。すなわち、荷役状態毎(荷重とティルト角)に複数段階の制限値として最高車速値を定めている。ティルト角が後傾範囲内の場合とは、マスト19(フォーク24)が車体11の後方に向かって傾動している状態(後傾状態)であり、ティルト角が後傾範囲外の場合とは、マスト19が垂直の状態(フォーク24が水平の状態)及び車体11の前方に向かって傾動している状態(前傾状態)である。
図4の車速算出データでは、ティルト角が後傾範囲内の場合の最高車速値を太い実線で示し、ティルト角が後傾範囲外の場合の最高車速値を破線で示している。例えば、領域Aにおいては、ティルト角が後傾範囲内の場合の最高車速値を[15(km/h)]に定め、ティルト角が後傾範囲外の場合の最高車速値を[12(km/h)]に定めている。すなわち、ティルト角が後傾範囲外の場合には積荷の重心位置が車両の前方側に存在する一方で、ティルト角が後傾範囲内の場合には積荷の重心位置が車両の後方側に存在する。このため、ティルト角が後傾範囲外の場合には、ティルト角が後傾範囲内の場合に比して荷役状態が厳しくなる。したがって、同一荷重の荷であってもティルト角に応じて最高車速値が異なり、ティルト角が後傾範囲外の場合にはティルト角が後傾範囲内の場合よりも最高車速を低速に定めている。
図5のマップデータは、加減速度に制限を加える場合、すなわち、図3の制限要否判定データをもとに荷役状態が制限領域に存在すると判断した場合に、加減速度値を算出するために参照するマップデータ(以下、「加減速算出データ」と示す)である。本実施形態の加減速算出データは、荷重とティルト角の2つのパラメータをもとに加減速度値([km/h/秒])を定めている。具体的に言えば、荷重W以上の荷重領域を複数領域(本実施形態では図5に示す領域A,B,C,D,Eの5つ)に区分し、その領域毎にティルト角が後傾範囲内であるか否かによって加減速度値を定めている。すなわち、荷役状態毎(荷重とティルト角)に複数段階の制限値として加減速度値を定めている。なお、[km/h/秒]は、1秒当りの加減速度値を1時間当りの加減速度値に変換した値であることを示すものである。また、図4の車速算出データと図5の加減速算出データでは、荷重W以上の荷重領域を同じ荷重で分割している。
図5の加減速算出データでは、ティルト角が後傾範囲内の場合の加減速度値を太い実線で示し、ティルト角が後傾範囲外の場合の加減速度値を破線で示している。例えば、領域Aにおいては、ティルト角が後傾範囲内の場合の加減速度値を[4(km/h/秒)]に定め、ティルト角が後傾範囲外の場合の加減速度値を[3(km/h/秒)]に定めている。すなわち、同一荷重の場合であってもティルト角に応じて加減速度値が異なり、ティルト角が後傾範囲外の場合にはティルト角が後傾範囲内の場合よりも加減速度値を低減させている。
次に、車両制御装置33のCPU33aが、図3〜図5に示す各マップデータに基づき荷役状態を判別し、最高車速値と加減速度値とを抽出(決定)するために実行する制限判定処理を説明する。
制限判定処理においてCPU33aは、荷役状態を判定するために揚高、荷重及びティルト角の情報を取得する。具体的に言えば、CPU33aは、揚高スイッチ39の検出信号から揚高を取得するとともに、ティルト角センサ41の検出信号からティルト角を取得し、さらに荷重センサ40の検出信号から荷重を取得する。そして、揚高、荷重及びティルト角の情報を取得したCPU33aは、図3に示す制限要否判定データを参照し、当該データと取得した揚高及び荷重の情報をもとに車両の走行時に最高車速と加減速度に制限を加えるか否か判定する。すなわち、CPU33aは、荷役状態が高揚高及び重荷重となる制限領域(図3に示す斜線部分)にあるか否かを判定する。
次に、CPU33aは、前記判定において、荷役状態が制限領域にあると判定したならば、図4に示す車速算出データを参照し、当該データと先に取得した荷重及びティルト角の情報をもとに荷役状態に適合する最高車速値を抽出する。CPU33aは、例えば、荷重が領域Bの場合に、ティルト角が後傾範囲内であれば最高車速値として[13(km/h)]を抽出し、ティルト角が後傾範囲外であれば最高車速値として[10(km/h)]を抽出する。そして、最高車速値を抽出したCPU33aは、その抽出した最高車速値をメモリ33bに記憶する。
次に、CPU33aは、図5に示す加減速算出データを参照し、当該データと先に取得した荷重及びティルト角の情報をもとに荷役状態に適合する加減速度値を抽出する。CPU33aは、例えば、荷重が領域Bの場合に、ティルト角が後傾範囲内であれば加減速度値として[3(km/h/秒)]を抽出し、ティルト角が後傾範囲外であれば加減速度値として[2(km/h/秒)]を抽出する。そして、加減速度値を抽出したCPU33aは、その抽出した加減速度値をメモリ33bに記憶する。
また、制限判定処理においてCPU33aは、図3に示す制限要否判定データを参照し、当該データと取得した揚高及び荷重の情報をもとに車両の走行時に最高車速と加減速度に制限を加えない旨を判定した場合、その制限を加えない旨をメモリ33bに記憶する。なお、CPU33aは、図3に示すように、荷役状態が非制限領域(低揚高又は軽荷重)の場合に最高車速と加減速度に制限を加えない旨を判定する。
本実施形態では、前述した制限判定処理により、フォークリフト10の走行時における最高車速と加減速度の制限内容が決定される。具体的に言えば、最高車速と加減速度に制限を加えると判定した場合には制限内容として、図4に示す車速算出データにしたがって最高車速値が決定されるとともに、図5に示す加減速算出データにしたがって加減速度値が決定される。一方、最高車速と加減速度に制限を加えないと判定した場合には、制限内容として制限を加えないことが決定される。
次に、車両制御装置33のCPU33a、及びモータコントローラ34による走行モータ18の制御態様を説明する。
バッテリ式のフォークリフト10では、メモリ33bに記憶した図6に示すマップデータ(以下、「車速対応データ」と示す)のように、アクセルペダル32の踏込み操作量に対する指令車速(走行モータ18のモータ回転数)が一義的に定められている。すなわち、バッテリ式のフォークリフト10は、運転者がアクセルペダル32を踏込み操作すると、その踏込み操作量に応じたモータ回転数となるように走行モータ18の回転が制御され、そのモータ回転数に対応した車速で走行するようになっている。
最初に、制限判定処理にて車両の走行を制限しない旨が判定されている場合の走行モータ18の制御態様を説明する。
車両制御装置33のCPU33aは、アクセル開度センサ42からの検出信号を入力し、図6に示す車速対応データから指令車速を算出し、その指令車速をモータコントローラ34に出力する。この算出した指令車速が、走行モータ18を制御する時の目標車速(目標モータ回転数)となる。そして、モータコントローラ34は、フォークリフト10の車速が指令車速となるように走行モータ18の回転を制御する。このとき、モータコントローラ34は、モータ回転数センサ45,46からの検出信号を入力し、実車速(実モータ回転数)を把握する。そして、モータコントローラ34は、目標車速と実車速の差(車速差)を求め、当該車速差が「0(零)」となるようにモータ回転数を調整する。モータコントローラ34は、前記車速差が大きいほど、モータ回転数の調整量を大きくする。そして、モータコントローラ34は、目標車速と実車速の差が「0(零)」、すなわち実車速が目標車速に一致するまで所定の制御周期毎にフィードバック制御を行い、モータ回転数を調整する。
次に、制限判定処理にて車両の走行を制限する旨が判定されている場合の走行モータ18の制御態様を説明する。なお、モータコントローラ34が前述したフィードバック制御によってモータ回転数を調整する点は、車両の走行を制限しない場合及び制限する場合の何れであっても同じである。
車両の走行を制限する場合、CPU33aは、図4に示す車速算出データから算出した最高車速値と図5に示す加減速算出データから算出した加減速度値を、制限信号としてモータコントローラ34に出力する。そして、モータコントローラ34は、CPU33aが出力する指令車速、最高車速値、及び加減速度値をもとにモータ回転数を制御する。すなわち、モータコントローラ34は、図6に示す車速対応データから算出される指令車速が最高車速値を超える場合、アクセルペダル32の踏込み操作量に関係なく、実車速が最高車速値を上限とした車速になるようにモータ回転数を調整し、フォークリフト10を走行させる。これにより、車両の走行に制限を加える場合には、車速が最高車速値を超えないようにモータ回転数の上昇が抑えられ、アクセルペダル32が目一杯踏込まれても車速は最高車速値を超えないことになる。また、モータコントローラ34は、加減速度値に制限を加えることにより、フォークリフト10をゆっくり加速させるとともに、ゆっくり減速させる。
そして、本実施形態では、フォークリフト10の走行中に荷役状態が変化し、その変化に対応させて車両走行の制限内容(最高車速値と加減速度値など)を変更する場合に、急激な車速変化(加速側への変化及び減速側への変化)を抑制する加減速度制御を実行するようになっている。荷役状態の変化とは、例えば、揚高が低揚高から高揚高又は高揚高から低揚高に変化する場合や、ティルト角が後傾範囲内から後傾範囲外又は後傾範囲外から後傾範囲内に変化する場合などである。そして、このような急激な車速変化は、アクセルペダル32を目一杯踏込んでフォークリフト10を走行している場合に顕著に現れる。例えば、車両走行に制限を加える制限状態から制限を加えない非制限状態へ変更された場合、フォークリフト10は最高車速や加減速度の制限がなくなることによって急加速し、不安定になる虞がある。その逆に、非制限状態から制限状態へ変更された場合、フォークリフト10は最高車速や加減速度に制限が加わることによって急減速し、不安定になる虞がある。また、制限内容が緩和された場合、フォークリフト10は最高車速や加減速度の制限が緩和される(すなわち、最高車速値が速くなる)ことによって急加速し、不安定になる虞がある。
以下、本実施形態においてモータコントローラ34が実行する加減速度制御の制御内容を図7にしたがって説明する。
モータコントローラ34は、車両制御装置33のCPU33aが出力する制限信号で指示される制限内容(最高車速値と加減速度値)を記憶する。このとき、モータコントローラ34は、前回の制御周期で入力した制限信号で指示される前回の制限内容(変更前の制限内容)と今回の制御周期で入力した制限信号で指示される今回の制限内容(変更後の制限内容)を記憶する。そして、モータコントローラ34は、記憶している前回の制限内容と今回の制限内容とを比較し、制限内容が変更されたか否かを判定する。具体的に言えば、モータコントローラ34は、揚高の変化に伴って制限内容が変更されたか否か、及びティルト角の変化に伴って制限内容が変更されたか否かを判定する。揚高変化に伴う制限内容の変更には、非制限状態から制限状態への変更(以下、「変化パターンP1」と示す)と、制限状態から非制限状態への変更(以下、「変化パターンP2」と示す)を含む。また、ティルト角の変化に伴う制限内容の変更には、ティルト角が後傾範囲内から後傾範囲外へ変化したことに伴う最高車速値と加減速度値の変更(以下、「変化パターンP3」と示す)と、ティルト角が後傾範囲外から後傾範囲内へ変化したことに伴う最高車速値と加減速度値の変更(以下、「変化パターンP4」と示す)を含む。
そして、モータコントローラ34は、車両走行の制限内容に変更がなかった場合、今回の制限内容にしたがってモータ回転数を調整し、走行モータ18を制御する。具体的に言えば、車両走行に制限が加えられない場合、モータコントローラ34は、アクセルペダル32に配設されたアクセル開度センサ42の検出信号(アクセルペダル32の踏込み操作量)に応じて走行モータ18を制御し、モータ回転数を調整する。また、車両走行に制限が加えられる場合、モータコントローラ34は、記憶した最高車速値と加減速度値に基づき、走行モータ18のモータ回転数を調整する。
一方、モータコントローラ34は、車両走行の制限内容に変更があった場合、その変更態様(変更の具合(又は度合))が変化パターンP1〜P4の何れであるかを判定する。そして、モータコントローラ34は、変化パターン毎に予め定めた制御内容にしたがってモータ回転数を調整し、走行モータ18を制御する。変化パターンP1の場合、モータコントローラ34は、図7に示すように、最高車速値として制限内容通りの最高車速値を使用し、加減速度値は変更後の制限内容に対応する加減速度値に代えて、加減速度制御用に定めた所定の加減速度値を使用する。本実施形態において所定の加減速度値は、図5に示す加減速算出データで定めた加減速度値のうち、最も小さい加減速度値[1(km/h/秒)]に設定されている。図7では、最も小さい加減速度値を「加減速レベル1」と示している。そして、モータコントローラ34は、変化パターンP1に基づく制限内容の変更があった場合、例えば、変更後の制限内容として最高車速値[15(km/h)]と加減速度値[4(km/h/秒)]が決定されている場合であっても、加減速度値[1(km/h/秒)]を選択して制御を行う。
また、変化パターンP2の場合、モータコントローラ34は、図7に示すように、最高車速値の制限を解除する(最高車速値に制限を加えない)一方で、加減速度値については変化パターンP1と同じ加減速度値[1(km/h/秒)]を選択して制御を行う。すなわち、モータコントローラ34は、変化パターンP1,P2の場合、複数の加減速度値の中で最も小さい加減速度値(加減速レベル1)を選択して制御を行う。この制御により、変化パターンP1では非制限状態から制限状態への変化に伴う急減速が抑制され、変化パターンP2では制限状態から非制限状態への変化に伴う急加速が抑制される。
また、変化パターンP3の場合、モータコントローラ34は、図7に示すように、最高車速値及び加減速度値ともに変更後の制限内容通りの最高車速値及び加減速度値を使用して制御を行う。また、変化パターンP4の場合、モータコントローラ34は、図7に示すように、最高車速値として制限内容通りの最高車速値を使用し、加減速度値は変更後の制限内容に対応する加減速度値よりも一段階レベルを下げた加減速度値を使用する。例えば、モータコントローラ34は、前回の制御周期の制限内容が最高車速値[12(km/h)]で、加減速度値[3(km/h/秒)]の場合に、今回の制御周期の制限内容が最高車速値[15(km/h)]で、加減速度値[4(km/h/秒)]であれば、最高車速値は[15(km/h)]を使用し、加減速度値は加減速度値[3(km/h/秒)]を選択する。すなわち、モータコントローラ34は、変化パターンP4のように制限内容の変更に伴って加減速度値が大きくなる場合、変更前の加減速度値を選択して制御を行う。変化パターンP3では、最高車速値が下がる方に変化し、フォークリフト10は減速側に走行状態が変化することになるので、本実施形態では加減速度値に制限を加えていない。一方、変化パターンP4では、最高車速値が上がる方に変化し、フォークリフト10は加速側に走行状態が変化することになるので、本実施形態では加減速度値に制限を加え、急加速を抑制している。
そして、モータコントローラ34は、前述した加減速度制御により、制限内容の変更に伴って加減速度値に制限を加えた場合、以下に示す(1)式を満たすことにより、加減速度制御を終了させて加減速度値を変更後の制限内容に対応する正規の加減速度値に戻すようになっている。
踏込み操作量に対応する指令車速+α≦実車速 ・・・(1)
踏込み操作量に対応する指令車速は、図6に示す車速対応データに従い、アクセルペダル32の踏込み操作量に基づきアクセル開度センサ42によって検出される車速である。αは、指令車速に加算される加算値(本実施形態では0.5(km/h))である。実車速は、モータ回転数センサ45,46からの検出信号に対応する車速である。
図8は、加減速度制御を終了させて加減速度値を変更後の制限内容に対応する正規の加減速度値に戻す態様を示す。
モータコントローラ34は、最高車速と加減速度に制限を加える場合、車速・加減速度制限の範囲として図8に示すように、一点鎖線で示すアクセルペダル32の踏込み操作量に対応する車速よりも低速の最高車速値Sに制限する。そして、モータコントローラ34は、時間T1において荷役状態が変化すると、加減速度制御を実行し、その加減速度制限で使用する加減速度値にしたがって車速がアクセルペダル32の踏込み操作量に対応する車速となるようにモータ回転数を制御する。これにより、フォークリフト10の車速は、アクセルペダル32の踏込み操作量に対応する車速に近づくように徐々に増加する。
次に、モータコントローラ34は、時間T2において運転者がアクセルペダル32の踏込み操作量を減少側に操作すると、加減速度制御に用いる加減速度値にしたがってフォークリフト10を減速させるようにモータ回転数を制御する。すなわち、フォークリフト10の実車速は、図8に示すように減少するとともに、アクセルペダル32の踏込み操作量に対応する車速も減少する。
そして、モータコントローラ34は、時間T3において前述の(1)式を満たすと、すなわち実車速が踏込み操作量に対応する指令車速に加算値αを加算した値になると、加減速度制御を終了する。その後、モータコントローラ34は、時間T4において運転者がアクセルペダル32を踏込み操作量を増加側に操作すると、実車速がアクセルペダル32の踏込み操作量に対応する指令車速に対応する値になるようにモータ回転数を調整する。なお、モータコントローラ34は、変化パターンP1の場合、加減速度制御の終了により、加減速度値を変更後の制限内容に対応する値に戻す。また、モータコントローラ34は、変化パターンP2の場合、加減速度制御の終了により、加減速度値に制限を加えない状態に戻す。また、モータコントローラ34は、変化パターンP3の場合、加減速度値を変更していないことから、その状態を維持する。また、モータコントローラ34は、変化パターンP4の場合、加減速度制御の終了により、加減速度値を変更後の制限内容に対応する値に戻す。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)車両走行時に最高車速と加減速度に制限を加えるフォークリフト10において、走行中に制限内容が変更された場合、最高車速値については変更後の制限内容にしたがって制御する一方で、加減速度については変更後の制限内容に対応する加減速度値よりも小さい加減速度値を選択し、制御する。すなわち、制限内容の変更時、加減速度については規制を掛けることになる。その結果、走行中に制限内容が変更された場合であっても、その変更に伴う車両の急加速や急減速が抑制される。したがって、車両の走行安定性を確保することができる。そして、フォークリフト10の走行中においては、最高車速及び加減速度の制御のみでは実現し得ない走行安定性を確保できる。
(2)アクセルペダル32の踏込み操作量に対応する指令車速+α≦実車速の関係を満たした場合に加減速度制御を終了し、加減速度値を戻すようにした。これによれば、運転者は、アクセルペダル32の踏込み操作量を減少させるだけ、アクセルペダル32の操作状態を維持したまま、加減速度制御に伴う加減速度の制限を解除できる。したがって、運転者の作業性を損なわせることなく、加減速度制御における加減速度の規制を解除させることができる。また、前述した(1)式を満たす場合、フォークリフト10の実車速は、アクセルペダル32の踏込み操作量に対応する車速に低下又はほぼ低下していることになるので、フォークリフト10を安定させた状態で制限を解除できる。
(3)車両走行中に制限を加える状態から加えない状態、及び制限を加えない状態から加える状態というように制限内容が大きく変化する場合には、複数段階に定めた加減速度値の中で最も小さい加減速度値(加減速レベル1)を選択し、制御する。このため、制限内容が大きく変化し、車両の走行状態が大きく変わるような場合において、確実に急加速や急減速を抑制でき、走行安定性を確保できる。
(4)制限内容の変更により、変更前の加減速度値よりも変更後の加減速度値の方が大きくなる場合には、変更前の加減速度値を選択し、制御する。すなわち、制限内容の変更によって最高車速値と加減速度値が上昇する場合には、車速の制限が緩和されることに伴って急加速する虞がある。したがって、このような場合に加減速度について規制を掛けることで、最高車速値が上昇しても当該車速値に達するまでゆっくり加速させることができ、走行安定性を確保できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態は、エンジンを搭載し、当該エンジンの出力を走行駆動力として走行する産業車両(フォークリフト)に具体化しても良い。なお、エンジン車に適用する場合は、実施形態で説明した図6の車速対応データに示すように、アクセルペダルの踏込み操作量と指令車速を一義的な対応関係のもとで車両制御装置(又はエンジン制御装置)がエンジン回転数を制御するようにしておく。これにより、実施形態で説明したバッテリ式の産業車両(フォークリフト)と同様に加減速度制御の解除条件を設定し得る。
○ 実施形態において、加減速度制御の解除条件を、「踏込み操作量に対応する指令車速≦実車速」という式に変更しても良い。この場合、加減速度制御の解除条件は、指令車速と実車速が一致した場合、及び実車速が指令車速未満に達した場合に設定される。
○ 実施形態において、加減速度制御の解除条件を、実施形態で説明した(1)式の関係を満たすことに加えて、「指令車速+α≦実車速」の状態を所定時間の間、継続させることに設定しても良い。このように構成すれば、運転者による一瞬のアクセルペダル32の操作によって加減速度制御は解除されず、アクセルペダル32の踏込み操作量を戻した状態がある程度継続されないと、加減速度制御は解除されないことになる。したがって、運転者に加減速度制御の解除を意識させつつ、アクセルペダル32の操作を行わせることができる。すなわち、運転者が、加減速度制御を解除したいという意思を確実に反映させることができる。このように構成した場合であっても、運転者は、アクセルペダル32の踏込み操作量を減少させるだけ、アクセルペダル32の操作状態を維持したまま、加減速度制御に伴う加減速度の制限を解除できる。なお、本別例は、加減速度制御の解除条件を「踏込み操作量に対応する指令車速≦実車速」とした場合も適用できる。
○ 各実施形態において、最高車速と加減速度に制限を加えるか否かの判定や、最高車速及び加減速度を算出するために用いるパラメータを変更しても良い。例えば、揚高と荷重によって前記判定を行うとともに最高車速値及び加減速度値を算出するように各マップデータを構成しても良い。また、図3に示す制限要否データでは、揚高の区分や荷重の区分を細分化し、制限領域を複数領域設定しても良い。この場合、複数の制限領域毎に図4に示す車速算出データと図5に示す加減速算出データを作成し、制限領域に応じて最高車速値と加減速度値を算出するためのデータを変更する。なお、揚高の区分を細分化する場合、マスト19には複数のリミットスイッチを配設して揚高の検出を行っても良いし、リールセンサなどを配設して揚高を逐次検出するようにしても良い。
○ 実施形態では、車両走行の制限内容の変更態様が変化パターンP1,P2の場合、加減速度値として複数種類の加減速度値の中から最も小さい加減速度値を選択している。しかし、変化パターンP1及び変化パターンP2の場合に選択する加減速度値を、以下に記載する第1〜第3の別例のように変更しても良い。第1の別例と第2の別例は変化パターンP1に関する別例であり、第3の別例は変化パターンP2に関する別例である。第1の別例は、変化パターンP1の場合に加減速度値として変更後の制限内容に対応する加減速度値を選択し、制御を行うことである。すなわち、第1の別例では、変化パターンP3と同様に制限内容通りの制御を行う。また、第2の別例は、変化パターンP1の場合に変更後の制限内容に対応する加減速度値よりも小さい加減速度値を選択し、制御を行うことである。また、第3の別例は、変化パターンP2の場合に加減速度値として最も小さい加減速度値以外の加減速度値を選択し、制御を行うことである。変化パターンP1,P2は、実施形態で説明したように制限内容が大きく変化する態様である。このため、好ましい形態としては、実施形態で説明したように最も小さい加減速度値を選択して制御を行うことであるが、加減速度値に規制を掛けることによって急加速や急減速を回避し得るのであれば、加減速度値が最も小さい加減速度値以外の加減速度値を選択して制御を行うようにしても良い。
○ また、実施形態において、車両走行の制限内容の変更態様が変化パターンP3や変化パターンP4の場合に選択する加減速度値を変更しても良い。変化パターンP3では、変更後の制限内容に対応する加減速度値よりも小さい加減速度値を選択して制御を行っても良い。また、変化パターンP3,P4の場合に選択する加減速度値として複数の加減速度値の中で最も小さい加減速度値(加減速レベル1)を選択して制御を行っても良い。
○ また、実施形態において、加減速度制御に用いる加減速度値を、変化パターンP1〜P4に関係なく、一義的に定めても良い。すなわち、全ての変化パターンP1〜P4において、同一の加減速度値を用いて加減速度制御を実行する。
以下、上記実施形態及び別例から把握できる技術思想について、追記する。
(イ)前記制限内容決定手段は、前記荷役状態判定手段の判定結果が肯定の場合には前記制限内容として前記荷役状態毎に予め定めた制限値の中から前記荷役状態に適合する最高車速値及び加減速度値を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の産業車両の走行制御装置。
(ロ)前記制御手段は、前記最高車速と前記加減速度に制限を加えない状態から前記制限を加える状態へ前記制限内容が変更された場合、及び前記最高車速と前記加減速度に制限を加える状態から前記制限を加えない状態へ前記制限内容が変更された場合、前記制限値の中で最も小さい加減速度値を選択して前記加減速度制御を実行することを特徴とする前記技術的思想(イ)に記載の産業車両の走行制御装置。
(ハ)前記荷役状態判定手段は、前記荷役装置の揚高及び前記荷役装置に搭載された荷の重量のうち少なくともいずれか一方を含む判定条件をもとに前記車両走行時に制限を加えるか否かを判定し、前記制限内容決定手段は、前記荷役状態判定手段の判定結果が肯定の場合、荷役状態が高揚高又は重荷重を示すほど、前記制限内容として低速の最高車速値を決定するとともに小さい加減速度値を決定し、前記制御手段は、前記制限が加えられている状態で前記制限内容が変更される場合、変更前の加減速度値よりも変更後の加減速度値の方が大きくなるときには変更前の加減速度値を選択して前記加減速度制御を実行することを特徴とする前記技術的思想(イ),(ロ)に記載の産業車両の走行制御装置。
10…フォークリフト、12…荷役装置、14…バッテリ、18…走行モータ、32…アクセルペダル、42…アクセル開度センサ、45,46…モータ回転数センサ、33…車両制御装置、33a…CPU、34…モータコントローラ、S…最高車速値。