以下、本発明に係わる荷役車両の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる荷役車両の一実施形態としてバッテリ式のフォークリフトを示す側面図である。同図において、本実施形態のフォークリフト1は、4つの車輪2aを有する走行装置2と、この走行装置2の前部に搭載された荷役装置3とを備えている。4つの車輪2aのうち駆動輪(前輪)は、電動式の走行モータ(図示せず)により回転駆動される。
荷役装置3は、走行装置2の車体フレーム4の前部に立設されたマスト5を有し、このマスト5には、荷物を積載する荷物保持部材である1対のフォーク6がリフトブラケット7を介して昇降自在に支持されている。
マスト5の後部には、フォーク6をマスト5に沿って昇降動作させる油圧式リフトシリンダ8と、車体フレーム4に対してマスト5を前後傾動作させる1対の油圧式ティルトシリンダ9とが配設されている。マスト5の上端部にはチェーンホイール10が取り付けられ、このチェーンホイール10にはチェーン11が巻き掛けられている。チェーン11の一端はリフトシリンダ8に連結され、チェーン11の他端はリフトブラケット7に連結されている。
また、荷役装置3は、アタッチメントを動作させる油圧式アタッチメントシリンダ12(図2参照)を有している。アタッチメントとしては、例えば各フォーク6の左右位置を調整するサイドシフトや、各フォーク6間の間隔を調整するフォークシフター等が挙げられる。
走行装置2の運転室13には、運転席14と、ハンドル15と、走行装置及び荷役装置の駆動操作を行うための操作レバー類と、走行装置2の加減速や制動等の操作を行うためのペダル類と、計器類等(図示せず)とが配置されている。
荷役装置用の操作レバー類としては、リフトレバー16、ティルトレバー17(図2参照)及びアタッチメントレバー18(図2参照)がある。リフトレバー16は、フォーク6を昇降させるための操作レバーである。ティルトレバー17は、マスト5を前後傾させるための操作レバーである。アタッチメントレバー18は、アタッチメントを動作させるための操作レバーである。これらのレバー16〜18は、ミニレバーまたはジョイスティックで構成され、アームレスト19に設けられている。
図2は、荷役装置3の駆動系を示す概略構成図である。同図において、走行装置2には、作動油を貯留するタンク20と、このタンク20内の作動油を吸い上げてリフトシリンダ8、ティルトシリンダ9及びアタッチメントシリンダ12に供給する荷役ポンプ21と、これらのタンク20、荷役ポンプ21、リフトシリンダ8、ティルトシリンダ9及びアタッチメントシリンダ12と配管を介して接続されたコントロールバルブユニット22とが設けられている。
コントロールバルブユニット22は、リフト弁23と、ティルト弁24と、アタッチメント弁25と、リリーフ弁26とを有している。リフト弁23、ティルト弁24及びアタッチメント弁25は、1対のソレノイドを有する電磁制御弁である。
リフト弁23、ティルト弁24及びアタッチメント弁25は、コントローラ27によって制御される。リフト弁23は、コントローラ27からの駆動信号に応じて、タンク20及び荷役ポンプ21とリフトシリンダ8との間で作動油の流れる方向を切り替える。ティルト弁24は、コントローラ27からの駆動信号に応じて、タンク20及び荷役ポンプ21とティルトシリンダ9との間で作動油の流れる方向を切り替える。アタッチメント弁25は、コントローラ27からの駆動信号に応じて、タンク20及び荷役ポンプ21とアタッチメントシリンダ12との間で作動油の流れる方向を切り替える。
リリーフ弁26は、荷役ポンプ21の吐出圧がリリーフ設定圧以上になると、荷役ポンプ21から吐出された作動油を強制的にタンク20に戻すバルブである。
荷役ポンプ21は、電動式の荷役モータ28によって駆動される。荷役モータ28は荷役モータ駆動部29により回転駆動され、その荷役モータ駆動部29はコントローラ27により制御される。
図3は、荷役モータ28等の制御系を示すブロック図である。同図において、コントローラ27には、上記のリフト弁23、ティルト弁24、アタッチメント弁25及び荷役モータ駆動部29の他に、リフトレバー操作角センサ30、ティルトレバー操作角センサ31、アタッチメントレバー操作角センサ32、荷重センサ33、ティルト角センサ34が接続されている。
リフトレバー操作角センサ30は、リフトレバー16の操作角を計測するセンサであり、ティルトレバー操作角センサ31は、ティルトレバー17の操作角を計測するセンサであり、アタッチメントレバー操作角センサ32は、アタッチメントレバー18の操作角を計測するセンサである。荷重センサ33は、リフトシリンダ8にかかる荷重(リフトシリンダ8内の油圧)を計測するセンサである。ティルト角センサ34は、マスト5の傾斜角(ティルト角)を計測するセンサである。
コントローラ27は、リフトレバー操作角検出部35と、ティルトレバー操作角検出部36と、アタッチメントレバー操作角検出部37と、リフト操作無効検出部38と、ティルト操作無効検出部39と、リフトソレノイド電流量算出部40と、ティルトソレノイド電流量算出部41と、アタッチメントソレノイド電流量算出部42と、リフトソレノイド駆動部43と、ティルトソレノイド駆動部44と、アタッチメントソレノイド駆動部45と、リフト必要油量算出部46と、ティルト必要油量算出部47と、アタッチメント必要油量算出部48と、荷役必要油量算出部49と、荷役モータ目標回転速度算出部50とを有している。
リフトレバー操作角検出部35は、リフトレバー操作角センサ30の計測値からリフトレバー16の操作角を検出する。ティルトレバー操作角検出部36は、ティルトレバー操作角センサ31の計測値からティルトレバー17の操作角を検出する。アタッチメントレバー操作角検出部37は、アタッチメントレバー操作角センサ32の計測値からアタッチメントレバー18の操作角を検出する。
リフト操作無効検出部38は、リフトレバー操作角検出部35で検出されたリフトレバー16の操作角と荷重センサ33の計測値とに基づいて、リフトレバー16の操作が無効であるかどうかを検出する。リフト操作無効検出部38による処理手順の詳細を図4に示す。
図4において、まずリフトレバー16の操作角が中立位置相当でないかどうかを判定し(手順S101)、リフトレバー16の操作角が中立位置相当であるときは、リフトレバー16の操作が無効でないと判断する(手順S102)。
リフトレバー16の操作角が中立位置相当でないときは、リフトレバー16の操作角が上昇操作に相当するかどうかを判定し(手順S103)、リフトレバー16の操作角が上昇操作に相当するときは、荷重センサ33の計測値が上昇エンド判定閾値以上でないかどうかを判定する(手順S104)。上昇エンド判定閾値は、リフトシリンダ8がほぼ上昇側ストロークエンド位置にあるときの荷重(圧力)に相当する値である。
荷重センサ33の計測値が上昇エンド判定閾値以上でないときは、リフトレバー16の上昇操作が無効でないと判断する(手順S105)。荷重センサ33の計測値が上昇エンド判定閾値以上であるときは、リフトレバー16を上昇操作してもフォーク6の上昇動作(リフト上昇動作)がそれ以上行われないとして、リフトレバー16の上昇操作が無効であると判断する(手順S106)。
手順S103においてリフトレバー16の操作角が上昇操作に相当しない、言い換えるとリフトレバー16の操作角が下降操作に相当すると判定されたときは、荷重センサ33の計測値が下降エンド判定閾値以下でないかどうかを判定する(手順S107)。下降エンド判定閾値は、リフトシリンダ8がほぼ下降側ストロークエンド位置にあるときの荷重(圧力)に相当する値である。
荷重センサ33の計測値が下降エンド判定閾値以下でないときは、リフトレバー16の下降操作が無効でないと判断する(手順S108)。荷重センサ33の計測値が下降エンド判定閾値以下であるときは、リフトレバー16を下降操作してもフォーク6の下降動作(リフト下降動作)がそれ以上行われないとして、リフトレバー16の下降操作が無効であると判断する(手順S109)。
なお、上昇エンド判定閾値としては、上記のものに限られず、例えば機種毎の最大許容荷重相当値としても良い。この場合には、機種毎に、許容荷重を越えたリフト上昇が防止されるため、フォーク6への過積載を防ぐことができる。
図3に戻り、ティルト操作無効検出部39は、ティルトレバー操作角検出部36で検出されたティルトレバー17の操作角とティルト角センサ34の計測値とに基づいて、ティルトレバー17の操作が無効であるかどうかを検出する。ティルト操作無効検出部39による処理手順の詳細を図5に示す。
図5において、まずティルトレバー17の操作角が中立位置相当でないかどうかを判定し(手順S111)、ティルトレバー17の操作角が中立位置相当であるときは、ティルトレバー17の操作が無効でないと判断する(手順S112)。
ティルトレバー17の操作角が中立位置相当でないときは、ティルトレバー17の操作角が後傾操作に相当するかどうかを判定し(手順S113)、ティルトレバー17の操作角が後傾操作に相当するときは、ティルト角センサ34の計測値が後傾エンド判定閾値よりも前傾側であるかどうかを判定する(手順S114)。後傾エンド判定閾値は、ティルトシリンダ9がほぼ後傾側ストロークエンド位置にあるときのティルト角に相当する値である。
ティルト角センサ34の計測値が後傾エンド判定閾値よりも前傾側であるときは、ティルトレバー17の後傾操作が無効でないと判断する(手順S115)。ティルト角センサ34の計測値が後傾エンド判定閾値よりも前傾側でないときは、ティルトレバー17を後傾操作してもマスト5の後傾動作(マスト後傾動作)がそれ以上行われないとして、ティルトレバー17の後傾操作が無効であると判断する(手順S116)。
手順S113においてティルトレバー17の操作角が後傾操作に相当しない、言い換えるとティルトレバー17の操作角が前傾操作に相当すると判定されたときは、ティルト角センサ34の計測値が前傾エンド判定閾値よりも後傾側であるかどうかを判定する(手順S117)。前傾エンド判定閾値は、ティルトシリンダ9がほぼ前傾側ストロークエンド位置にあるときのティルト角に相当する値である。
ティルト角センサ34の計測値が前傾エンド判定閾値よりも後傾側であるときは、ティルトレバー17の前傾操作が無効でないと判断する(手順S118)。ティルト角センサ34の計測値が前傾エンド判定閾値よりも後傾側でないときは、ティルトレバー17を前傾操作してもマスト5の前傾動作(マスト前傾動作)がそれ以上行われないとして、ティルトレバー17の前傾操作が無効であると判断する(手順S119)。
図3に戻り、リフトソレノイド電流量算出部40は、リフトレバー操作角検出部35で検出されたリフトレバー16の操作角から、リフト弁23のソレノイドに供給される電流量を算出する。
具体的には、リフトソレノイド電流量算出部40は、図6に示すようなマップデータを用いて、リフト弁23のソレノイドに供給される電流量を求める。図6に示すマップデータは、リフトレバー16の操作角とリフト弁23のソレノイドに対する電流量との関係を表したものであり、リフトレバー16の上昇側操作角が大きくなると、リフト弁23の上昇側ソレノイドに対する電流量が大きくなり、リフトレバー16の下降側操作角が大きくなると、リフト弁23の下降側ソレノイドに対する電流量が大きくなるように設定されている。なお、かかるマップデータは、必要に応じて任意に変更することができる。
ティルトソレノイド電流量算出部41は、ティルトレバー操作角検出部36で検出されたティルトレバー17の操作角から、ティルト弁24のソレノイドに供給される電流量を算出する。ティルトソレノイド電流量算出部41は、リフトソレノイド電流量算出部40と同様に、予め設定されたマップデータ(図示せず)を用いて、ティルト弁24のソレノイドに供給される電流量を求める。
アタッチメントソレノイド電流量算出部42は、アタッチメントレバー操作角検出部37で検出されたアタッチメントレバー18の操作角から、アタッチメント弁25のソレノイドに供給される電流量を算出する。アタッチメントソレノイド電流量算出部42は、リフトソレノイド電流量算出部40と同様に、予め設定されたマップデータ(図示せず)を用いて、アタッチメント弁25のソレノイドに供給される電流量を求める。
リフトソレノイド駆動部43は、リフトソレノイド電流量算出部40で得られた電流値を駆動信号としてリフト弁23のソレノイドに送出する。
ここで、リフト弁23の上昇側ソレノイドに電流が供給されると、リフト弁23のスプールが荷役ポンプ21から供給されるパイロット圧により中立位置から一方の開位置に移動し、荷役ポンプ21からの作動油がリフト弁23を介してリフトシリンダ8に供給されることで、リフトシリンダ8が伸長し、これに伴ってフォーク6が上昇する。リフト弁23の下降側ソレノイドに電流が供給されると、リフト弁23のスプールが荷役ポンプ21から供給されるパイロット圧により中立位置から他方の開位置に移動し、フォーク6の自重によってリフトシリンダ8内の作動油がリフト弁23を介してタンク20にドレインされることで、リフトシリンダ8が収縮し、これに伴ってフォーク6が下降する。つまり、フォーク6を下降させるときは、パイロット圧分以上に荷役ポンプ21を駆動させる必要が無い。
ティルトソレノイド駆動部44は、ティルトソレノイド電流量算出部41で得られた電流値を駆動信号としてティルト弁24のソレノイドに送出する。
ここで、ティルト弁24の前傾側ソレノイドに電流が供給されると、ティルト弁24のスプールが荷役ポンプ21から供給されるパイロット圧により中立位置から一方の開位置に移動し、荷役ポンプ21からの作動油がティルト弁24を介してティルトシリンダ9の一方の油圧室に供給されることで、ティルトシリンダ9が伸長し、これに伴ってマスト5が前傾する。ティルト弁24の後傾側ソレノイドに電流が供給されると、ティルト弁24のスプールが荷役ポンプ21から供給されるパイロット圧により中立位置から他方の開位置に移動し、荷役ポンプ21からの作動油がティルト弁24を介してティルトシリンダ9の他方の油圧室に供給されることで、ティルトシリンダ9が収縮し、これに伴ってマスト5が後傾する。
アタッチメントソレノイド駆動部45は、アタッチメントソレノイド電流量算出部42で得られた電流値を駆動信号としてアタッチメント弁25のソレノイドに送出する。なお、アタッチメント弁25及びアタッチメントシリンダ12の具体的動作については、説明を省略する。
リフト必要油量算出部46は、リフト操作無効検出部38による検出結果とリフトソレノイド電流量算出部40で得られた電流量とに基づいて、フォーク6の昇降動作(リフト動作)に必要な作動油量を算出する。リフト必要油量算出部46による処理手順の詳細を図7に示す。
図7において、まずリフト操作無効検出部38によりリフトレバー16の操作が無効でないかどうかを判定し(手順S121)、リフトレバー16の操作が無効でないときは、リフトソレノイド電流量算出部40で得られた電流量から、リフト動作に必要な作動油量を求める(手順S122)。
具体的には、図8(a)に示すようなマップデータを用いて、リフト動作に必要な作動油量を求める。図8(a)に示すマップデータは、リフト弁23のソレノイドに対する電流量とリフト動作に必要な作動油量との関係を表したものであり、リフト上昇側については、リフト弁23のソレノイドに対する電流量が増加すると、リフト動作に必要な作動油量が多くなるように設定されている。フォーク6の下降時には、上述したようにフォーク6の自重により作動油をドレインさせるため、リフト下降側については、リフト弁23のスプールを動かすためのパイロット圧分だけ作動油量を必要とする。
なお、リフト弁23のソレノイドに対する電流量とリフト動作に必要な作動油量との関係を表すマップデータとしては、図8(a)に示すような曲線状には限られず、図9(a)に示すような直線状であっても良いし、図9(b)に示すような折れ線状であっても良く、必要に応じて適宜変えることができる。
図7の手順S121においてリフトレバー16の操作が無効であると判定されたときは、リフト動作に必要な作動油量を無条件にゼロとする(手順S123)。
図3に戻り、ティルト必要油量算出部47は、ティルト操作無効検出部39による検出結果とティルトソレノイド電流量算出部41で得られた電流量とに基づいて、マスト5の前後傾動作(ティルト動作)に必要な作動油量を算出する。ティルト必要油量算出部47による処理手順の詳細を図10に示す。
図10において、まずティルト操作無効検出部39によりティルトレバー17の操作が無効でないかどうかを判定し(手順S131)、ティルトレバー17の操作が無効でないときは、ティルトソレノイド電流量算出部41で得られた電流量から、ティルト動作に必要な作動油量を求める(手順S132)。
具体的には、図8(b)に示すようなマップデータを用いて、ティルト動作に必要な作動油量を求める。図8(b)に示すマップデータは、ティルト弁24のソレノイドに対する電流量とティルト動作に必要な作動油量との関係を表したものであり、ティルト弁24のソレノイドに対する電流量が増加すると、ティルト動作に必要な作動油量が多くなるように設定されている。前傾側の必要作動油量が後傾側の必要作動油量よりも僅かに多いのは、ティルトシリンダ9において前傾側の油圧室がピストンを伸長させる側(ピストンロッドが無い側)であることによる。なお、かかるマップデータも、必要に応じて適宜変えることができる。
図10の手順S131においてティルトレバー17の操作が無効であると判定されたときは、ティルト動作に必要な作動油量を無条件にゼロとする(手順S133)。
図3に戻り、アタッチメント必要油量算出部48は、アタッチメントソレノイド電流量算出部42で得られた電流量から、アタッチメント動作に必要な作動油量を算出する。具体的には、アタッチメント必要油量算出部48は、図8(c)に示すようなマップデータを用いて、アタッチメント動作に必要な作動油量を求める。図8(c)に示すマップデータは、アタッチメント弁25のソレノイドに対する電流量とアタッチメント動作に必要な作動油量との関係を表したものであり、アタッチメント弁25のソレノイドに対する電流量が増加すると、アタッチメント動作に必要な作動油量が多くなるように設定されている。なお、かかるマップデータも、必要に応じて適宜変えることができる。
荷役必要油量算出部49は、リフト必要油量算出部46で得られたリフト動作に必要な作動油量と、ティルト必要油量算出部47で得られたティルト動作に必要な作動油量と、アタッチメント必要油量算出部48で得られたアタッチメント動作に必要な作動油量とを積算することにより、荷役動作に必要な総作動油量を算出する。
荷役モータ目標回転速度算出部50は、図11に示すようなマップデータを用いて、荷役必要油量算出部49で得られた荷役動作に必要な総作動油量に応じた荷役モータ28の目標回転速度を算出し、その目標回転速度データを荷役モータ駆動部29に送出する。
すると、荷役モータ駆動部29は、荷役モータ28の回転速度が当該目標回転速度となるように荷役モータ28を制御する。このとき、リフトレバー16、ティルトレバー17及びアタッチメントレバー18のうち複数のレバーを同時に操作しても、荷役モータ28の能力範囲内であれば、荷役速度を低下させることは無い。
なお、リフトレバー16及びティルトレバー17の操作の無効が所定時間連続して検出されるまでは、リフトレバー16及びティルトレバー17の操作に応じて荷役モータ28を駆動しても良い。この場合には、例えばノイズ等により荷重センサ33やティルト角センサ34の計測値が瞬間的に変動したためにリフトシリンダ8及びティルトシリンダ9がストロークエンド位置にあると誤検出されても、リフト動作やティルト動作を妨げることが無い。
以上において、リフトレバー16、ティルトレバー17及びアタッチメントレバー18は、荷役装置3の作動操作を行うための荷役操作手段を構成する。リフトレバー操作角センサ30、ティルトレバー操作角センサ31、アタッチメントレバー操作角センサ32、コントローラ27のリフトレバー操作角検出部35、ティルトレバー操作角検出部36及びアタッチメントレバー操作角検出部37は、荷役操作手段の操作量を検出する荷役操作量検出手段を構成する。コントローラ27のリフトソレノイド電流量算出部40、ティルトソレノイド電流量算出部41、アタッチメントソレノイド電流量算出部42、リフト必要油量算出部46、ティルト必要油量算出部47、アタッチメント必要油量算出部48及び荷役必要油量算出部49は、荷役操作量検出手段により検出された荷役操作手段の操作量に基づいて、荷役装置3を作動させるための作動油の必要油量を求める必要油量演算手段を構成する。コントローラ27の荷役モータ目標回転速度算出部50、荷役モータ駆動部29は、必要油量演算手段により求めた作動油の必要油量に応じて電動機(荷役モータ28)を制御する制御手段を構成する。
荷重センサ33及びティルト角センサ34は、荷役装置3の作動状態を検出する荷役状態検出手段を構成する。コントローラ27のリフト操作無効検出部38及びティルト操作無効検出部39は、荷役操作量検出手段により荷役操作手段の操作が検出されたにもかかわらず、荷役状態検出手段により荷役装置3の作動が検出されないときに、荷役操作手段の操作を無効と判断する操作無効判断手段を構成する。
以上のように本実施形態にあっては、リフトレバー16、ティルトレバー17及びアタッチメントレバー18の操作角に基づいて、リフト動作、ティルト動作及びアタッチメント動作に必要な作動油量をそれぞれ求め、各必要作動油量を積算して荷役動作に必要な総作動油量を求め、その総作動油量に応じて荷役モータ28を駆動するので、荷役ポンプ21から必要以上に多くの作動油を吐出させることが無いように荷役モータ28を運転することができる。
このとき、リフトレバー16を操作してもリフト動作がそれ以上行われないときは、リフトレバー16の操作が無効であると判断し、リフト動作に必要な作動油量をゼロとすると共に、ティルトレバー17を操作してもティルト動作がそれ以上行われないときは、ティルトレバー17の操作が無効であると判断し、ティルト動作に必要な作動油量をゼロとするので、荷役モータ28の運転を必要最小限に抑えることができる。
以上により、荷役モータ28の無駄な運転が防止されるため、バッテリ1回の充電に対する稼動時間が長くとれるようになり、省エネに十分貢献することができる。また、荷役モータ28及び荷役ポンプ21等にかかる負担が軽減されるため、これら部品の寿命を延ばすことができる。
また、マップデータを用いて荷役動作に必要な作動油量を求めるので、マップデータを変更するだけで、リフトレバー16、ティルトレバー17及びアタッチメントレバー18の操作量に対応する各必要作動油量を容易に変更することができる。従って、例えば荷役速度が速い時にソフトに荷役させたい、荷役速度が遅い時にパワフルに荷役させたい等といった場合に、荷役動作に必要な作動油量のチューニングを簡単に行うことができる。
さらに、他の制御で必要となる既存のセンサ等を用いてリフトレバー16及びティルトレバー17の操作無効を検出するので、特に新たな部品を追加する必要がなく、コスト増大を抑えることができる。
図12は、本発明に係わる荷役車両の他の実施形態における荷役モータ等の制御系を示すブロック図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のフォークリフト1のハンドル15(図1参照)には、荷役ポンプ21からの作動油により駆動されるパワーステアリング(パワステ)機能が装備されている。コントローラ27には、パワステを制御するパワステ制御部61が接続されている。
また、コントローラ27は、パワステ制御部61から送出されるパワステ制御信号に基づいて、パワステ動作に必要な作動油量を算出するパワステ必要油量算出部62を有している。
荷役必要油量算出部49は、リフト必要油量算出部46で得られたリフト動作に必要な作動油量と、ティルト必要油量算出部47で得られたティルト動作に必要な作動油量と、アタッチメント必要油量算出部48で得られたアタッチメント動作に必要な作動油量と、パワステ必要油量算出部62で得られたパワステ動作に必要な作動油量とを積算することにより、荷役動作に必要な総作動油量を算出する。
このように荷役装置3及びパワステの駆動源が同じ荷役ポンプ21である場合でも、ベースシステムを殆ど制限すること無く、荷役モータ28の過剰な運転を防止し、省エネに十分寄与することができる。
なお、上記のパワステ以外にも、荷役ポンプ21が兼用で駆動源となっている油圧回路(ブレーキ等)があれば、同様に対応可能となる。
図13は、本発明に係わる荷役車両の更に他の実施形態における荷役モータの制御系を示すブロック図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のフォークリフト1では、リフトレバー16、ティルトレバー17及びアタッチメントレバー18(図2参照)は、リフト弁23、ティルト弁24、アタッチメント弁25(図2参照)とそれぞれ機械リンクで連結されたカウルレバーで構成されている。つまり、リフトレバー16、ティルトレバー17及びアタッチメントレバー18の操作量に連動してリフト弁23、ティルト弁24、アタッチメント弁25のスプールが移動する。従って、コントローラ27は、図3に示すリフトソレノイド電流量算出部40、ティルトソレノイド電流量算出部41、アタッチメントソレノイド電流量算出部42、リフトソレノイド駆動部43、ティルトソレノイド駆動部44及びアタッチメントソレノイド駆動部45を有していない。
図13において、リフト必要油量算出部46は、リフト操作無効検出部38による検出結果とリフトレバー操作角検出部35で検出されたリフトレバー16の操作角とに基づいて、リフト動作に必要な作動油量を算出する。
具体的には、リフト必要油量算出部46は、リフトレバー16の操作が無効でないときは、図14(a)に示すようなマップデータを用いて、リフトレバー16の操作角からリフト動作に必要な作動油量を求め、リフトレバー16の操作が無効であるときは、リフト動作に必要な作動油量を無条件にゼロとする。図14(a)に示すマップデータは、リフトレバー16の操作角とリフト動作に必要な作動油量との関係を表したものであり、リフト上昇側については、リフトレバー16の操作角が大きくなると、リフト動作に必要な作動油量が多くなるように設定され、リフト下降側については、リフト動作に必要な作動油量がゼロに設定されている。
ティルト必要油量算出部47は、ティルト操作無効検出部39による検出結果とティルトレバー操作角検出部36で検出されたティルトレバー17の操作角とに基づいて、ティルト動作に必要な作動油量を算出する。
具体的には、ティルト必要油量算出部47は、ティルトレバー17の操作が無効でないときは、図14(b)に示すようなマップデータを用いて、ティルトレバー17の操作角からティルト動作に必要な作動油量を求め、ティルトレバー17の操作が無効であるときは、ティルト動作に必要な作動油量を無条件にゼロとする。図14(b)に示すマップデータは、ティルトレバー17の操作角とティルト動作に必要な作動油量との関係を表したものであり、ティルトレバー17の操作角が大きくなると、ティルト動作に必要な作動油量が多くなるように設定されている。
アタッチメント必要油量算出部48は、図14(c)に示すようなマップデータを用いて、アタッチメントレバー操作角検出部37で検出されたアタッチメントレバー18の操作角からアタッチメント動作に必要な作動油量を求める。図14(c)に示すマップデータは、アタッチメントレバー18の操作角とアタッチメント動作に必要な作動油量との関係を表したものであり、アタッチメントレバー18の操作角が大きくなると、アタッチメント動作に必要な作動油量が多くなるように設定されている。
このようにリフトレバー16、ティルトレバー17及びアタッチメントレバー18がカウルレバーで構成されている場合には、コントローラ27による制御処理を簡素化しつつ、荷役モータ28の過剰な運転を防止し、省エネに十分寄与することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、リフトレバー16及びティルトレバー17の操作が無効であると判定されたときには、その旨をランプやディスプレイ等によりオペレータに通知するようにしても良い。この場合には、リフト動作やティルト動作が行われないときに、異常ではなくリフトレバー16及びティルトレバー17の操作が無効であることが直ちに分かるようになる。また、オペレータは、他の機台において無効となるレバー操作を行わないように学習することができる。
また、アタッチメントシリンダのストロークエンドを検出する手段を設けることで、アタッチメントレバー18の操作が無効であるか否かを検出しても良い。この場合には、荷役モータ28の過剰な運転を一層防止できるため、更なる省エネ化を図ることが可能となる。
また、上記実施形態の荷役車両では、アタッチメント機能が1つのみ設けられているが、本発明は、2つ以上のアタッチメント機能(例えばサイドシフトとフォークシフター)が設けられているフォークリフトにも適用できるし、アタッチメント機能の無い一般のフォークリフトにも適用可能である。