以下、本発明に係わる荷役車両の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる荷役車両の第1実施形態としてカウンターバランス型のフォークリフトを斜め後方から見た概略斜視図である。同図において、本実施形態のフォークリフト1は、エンジン式のトルコン車(AT車)である。フォークリフト1は、4つの車輪2aを有する走行装置2と、この走行装置2の前部に搭載された荷役装置3とを備えている。
荷役装置3は、走行装置2の前部に取り付けられたマスト4を有し、このマスト4には、荷物を積載する荷物保持部材である1対のフォーク5(図1では1つのみ図示)がリフトブラケット(図示せず)を介して昇降自在に支持されている。
走行装置2の運転室には、運転席6と、ハンドル7と、走行装置2及び荷役装置3の駆動操作を行うための操作レバー類と、走行装置2の加減速や制動等の操作を行うためのペダル類と、計器類等(図示せず)とが配置されている。
操作レバー類としては、前後進レバー8、リフトレバー9、ティルトレバー10等がある。前後進レバー8は、フォークリフト1の走行モード(前進・後進)を切り替えるための操作レバーである。リフトレバー9は、フォーク5を昇降させるための操作レバーである。ティルトレバー10は、マスト4を前後傾させるための操作レバーである。
ペダル類としては、アクセルペダル11、ブレーキペダル12、インチングペダル13等がある。アクセルペダル11は、走行装置2を加速動作させると共に、荷役装置3を作動させるためのペダルである。ブレーキペダル12は、走行装置2に制動力を付与するためのペダルである。インチングペダル13は、エンジン14(図2参照)から車輪2aに伝達される力を調節するためのペダルである。
図2は、荷役装置3の駆動系を示す概略構成図である。同図において、荷役装置3には、フォーク5を昇降動作させるリフトシリンダ15と、マスト4を前後傾動作させるティルトシリンダ16とが設けられている。
また、走行装置2には、作動油を貯留するタンク17と、このタンク17内の作動油を吸い上げてリフトシリンダ15及びティルトシリンダ16に供給する荷役ポンプ18と、これらのタンク17、荷役ポンプ18、リフトシリンダ15及びティルトシリンダ16と配管を介して接続されたコントロールバルブ19とが設けられている。コントロールバルブ19は、リフト弁20と、ティルト弁21と、リリーフ弁22とを有している。
リフト弁20は、リフトレバー9の操作に応じて、タンク17及び荷役ポンプ18とリフトシリンダ15との間で作動油の流れる方向を切り替える。リフトレバー9を上昇側に操作(上昇操作)すると、荷役ポンプ18からの作動油がリフト弁20を介してリフトシリンダ15に供給されることで、リフトシリンダ15が伸長し、これに伴ってフォーク5が上昇する。リフトレバー9を下降側に操作(下降操作)すると、フォーク5の自重によってリフトシリンダ15内の作動油がリフト弁20を介してタンク17にドレインされることで、リフトシリンダ15が収縮し、これに伴ってフォーク5が下降する。
ティルト弁21は、ティルトレバー10の操作に応じて、タンク17及び荷役ポンプ18とティルトシリンダ16との間で作動油の流れる方向を切り替える。ティルトレバー10を前傾側に操作(前傾操作)すると、荷役ポンプ18からの作動油がティルト弁21を介してティルトシリンダ16の一方の油圧室に供給されることで、ティルトシリンダ16が伸長し、これに伴ってマスト4が前傾する。ティルトレバー10を後傾側に操作(後傾操作)すると、荷役ポンプ18からの作動油がティルト弁21を介してティルトシリンダ16の他方の油圧室に供給されることで、ティルトシリンダ16が収縮し、これに伴ってマスト4が後傾する。
リリーフ弁22は、荷役ポンプ18の吐出圧がリリーフ設定圧以上になると、荷役ポンプ18から吐出された作動油を強制的にタンク17に戻す。
荷役ポンプ18は、エンジン14によって駆動される。つまり、エンジン14の出力は、クラッチ機構及び変速機構を介して車輪2a(前輪)に伝達される(図示せず)と共に、荷役ポンプ18に付与される。よって、アクセルペダル11の操作量(踏み込み量)が多くなると、エンジン14の回転数(出力)が上がり、これに伴って荷役ポンプ18の回転数が高くなるため、荷役ポンプ18からの作動油の吐出量が増大する。なお、リフトレバー9、ティルトレバー10等の操作レバーの操作とエンジン14の駆動とは、連動していない。
図3は、フォークリフト1のエンジン制御を含む制御系の概略構成を示すブロック図である。同図において、フォークリフト1は、アクセルセンサ23と、リフト操作量センサ24と、ティルト操作量センサ25と、圧力センサ26と、ティルト角センサ27と、パーキングブレーキスイッチ28と、ディレクションスイッチ29と、インチング・ブレーキスイッチ30と、ECU(Electronic Control Unit)31と、ブザー32とを更に備えている。
アクセルセンサ23は、アクセルペダル11の操作量を計測するセンサである。リフト操作量センサ24は、リフトレバー9の操作量を計測するセンサである。ティルト操作量センサ25は、ティルトレバー10の操作量を計測するセンサである。圧力センサ26は、リフト弁20とリフトシリンダ15との間の圧力を計測するセンサである。ティルト角センサ27は、マスト4の傾斜角(ティルト角)を計測するセンサである。
パーキングブレーキスイッチ28は、パーキングブレーキ(図示せず)が引かれた状態(ロック状態)にあることを検知するスイッチである。ディレクションスイッチ29は、前後進レバー8の位置がニュートラルにあることを検知するスイッチである。インチング・ブレーキスイッチ30は、インチングペダル13またはブレーキペダル12が踏まれていることを検知するスイッチである。
ECU31は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入出力回路等により構成されている。ECU31は、アクセル開度検出部33と、荷役操作状態検出部34と、リフト最上昇検出部35と、マストティルト位置検出部36と、走行停止検出部37と、エンジン出力制御部38と、アクセル無効判断部39と、ブザー鳴動制御部40とを有している。
アクセル開度検出部33は、アクセルセンサ23の計測値からアクセル開度を検出する。荷役操作状態検出部34は、リフト操作量センサ24及びティルト操作量センサ25の計測値から、リフトレバー9及びティルトレバー10の操作状態を検出する。
なお、リフトレバー9及びティルトレバー10の操作状態の検出は、上記のリフト操作量センサ24及びティルト操作量センサ25の代わりに、リフトレバー9が上昇操作されたことを検知する上昇操作スイッチと、ティルトレバー10が前傾操作されたことを検知する前傾操作スイッチと、ティルトレバー10が後傾操作されたことを検知する後傾操作スイッチとを用いて行っても良い。
リフト最上昇検出部35は、圧力センサ26の計測値から、フォーク5が最上昇位置に達しているかどうかを検出する。このとき、リフト最上昇検出部35は、圧力センサ26の計測値を予め記憶されているリリーフ判定閾値圧と比較し、圧力センサ26の計測値がリリーフ判定閾値圧以上となると、フォーク5が最上昇位置に達したものとする。
なお、フォーク5が最上昇位置にあることを検出するための圧力値としては、特に上記のリリーフ判定閾値圧に限られず、例えば機種毎の許容最大荷重相当値としても良く、或いは許容最大荷重相当値からリリーフ判定閾値圧までの範囲内のいずれかであれば良い。また、上記の圧力センサ26を用いる代わりに、フォーク5が最上昇位置に達したことを検知するスイッチを設けても勿論構わない。
マストティルト位置検出部36は、ティルト角センサ27の計測値からマスト4の位置を検出する。このとき、マストティルト位置検出部36は、ティルト角センサ27の計測値を予め記憶されている最前傾及び最後傾に対応する角度と比較して、マスト4が最前傾位置または最後傾位置に達しているかどうかを検出する。
なお、マスト4が最前傾位置及び最後傾位置に達したことの検出は、上記のティルト角センサ27の代わりに、マスト4が最前傾位置に達したことを検知する最前傾スイッチと、マスト4が最後傾位置に達したことを検知する最後傾スイッチとを用いて行っても良い。
走行停止検出部37は、パーキングブレーキスイッチ28、ディレクションスイッチ29及びインチング・ブレーキスイッチ30の検知結果から、フォークリフト1(走行装置2)の走行停止状態を検出する。具体的には、走行停止検出部37は、パーキングブレーキスイッチ28によりパーキングブレーキ(図示せず)がロック状態にあること、ディレクションスイッチ29により前後進レバー8の位置がニュートラルにあること、インチング・ブレーキスイッチ30によりインチングペダル13またはブレーキペダル12が踏まれていることの何れかが検出されると、フォークリフト1が停止状態にあるとする。
なお、フォークリフト1の走行停止状態の検出は、上記のスイッチ28〜30以外に、例えばフォークリフト1の車速を検出する車速センサを用いて行っても良い。
エンジン出力制御部38は、アクセル開度検出部33により検出されたアクセル開度に応じてエンジン14を制御する。
アクセル無効判断部39は、アクセル開度検出部33、荷役操作状態検出部34、リフト最上昇検出部35、マストティルト位置検出部36及び走行停止検出部27の検出結果に基づいて、オペレータによるアクセル操作が無効であるかどうかを判断する。
図4は、アクセル無効判断部39により実行されるアクセル無効判断処理手順の詳細を示すフローチャートである。
同図において、まず荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、リフトレバー9が上昇操作されていないかどうかを判定する(手順S101)。リフトレバー9が上昇操作されていないと判定されたときは、引き続いて荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が前傾操作されていないかどうかを判定する(手順S102)。ティルトレバー10が前傾操作されていないと判定されたときは、引き続いて荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が後傾操作されていないかどうかを判定する(手順S103)。
ティルトレバー10が後傾操作されていないと判定されたときは、走行停止検出部37の検出結果に基づいて、フォークリフト1が走行していないかどうかを判定する(手順S104)。フォークリフト1が走行していないと判定されたときは、アクセル開度検出部33の検出結果に基づいて、アクセルペダル11が踏まれているかどうかを判定する(手順S105)。アクセルペダル11が踏まれていると判定されたときは、そのアクセル操作が無効であると判断し(手順S106)、手順S101に戻る。
一方、手順S101においてリフトレバー9が上昇操作されていると判定されたときは、リフト最上昇検出部35の検出結果に基づいて、フォーク5が最上昇位置に達しているかどうかを判定する(手順S107)。フォーク5が最上昇位置に達していると判定されたときは、上述したようにティルトレバー10が前傾操作されていないかどうかを判定する(手順S102)。
また、手順S102においてティルトレバー10が前傾操作されていると判定されたときは、マストティルト位置検出部36の検出結果に基づいて、マスト4が最前傾位置に達しているかどうかを判定する(手順S108)。マスト4が最前傾位置に達していると判定されたときは、上述したようにティルトレバー10が後傾操作されていないかどうかを判定する(手順S103)。
また、手順S103においてティルトレバー10が後傾操作されていると判定されたときは、マストティルト位置検出部36の検出結果に基づいて、マスト4が最後傾位置に達しているかどうかを判定する(手順S109)。マスト4が最後傾位置に達していると判定されたときは、上述したようにフォークリフト1が走行していないかどうかを判定する(手順S104)。
手順S107においてフォーク5が最上昇位置に達していないと判定されたとき、手順S108においてマスト4が最前傾位置に達していないと判定されたとき、手順S109においてマスト4が最後傾位置に達していないと判定されたとき、手順S104においてフォークリフト1が走行していると判定されたときは、アクセル操作が有効であると判断し(手順S110)、手順S101に戻る。また、手順S105においてアクセルペダル11が踏まれていないと判定されたときは、そのまま手順S101に戻る。
このようなアクセル無効判断処理により、リフトレバー9及びティルトレバー10が何れも中立位置にあり、且つフォークリフト1が走行していない状態で、アクセルペダル11が踏まれたときは、そのアクセル操作が無効であると判断されることとなる。また、ティルトレバー10は中立位置にあるが、リフトレバー9が上昇操作されて、フォーク5が最上昇位置に達しており、且つフォークリフト1が走行していない状態で、アクセルペダル11が踏まれたときは、そのアクセル操作も無効であると判断されることとなる。また、リフトレバー9は中立位置にあるが、ティルトレバー10が前傾操作または後傾操作されて、マスト4が最前傾位置または最後傾位置に達しており、且つフォークリフト1が走行していない状態で、アクセルペダル11が踏まれたときは、そのアクセル操作も無効であると判断されることとなる。
図3に戻り、ブザー鳴動制御部40は、アクセル無効判断部39でアクセル操作が無効であると判断されたときに、ブザー鳴動パターンを決定し、その鳴動パターンに従ってブザー音(警告音)を鳴らすようにブザー32を制御する。ブザー鳴動パターンとしては、連続音でも良いし、断続音でも良い。このとき、例えば何らかの事情でブザー音を無視して操作し続ける必要がある場合には、オペレータにとって耳障りとならないようにブザー音が所定時間で鳴り止むようにしても良い。
また、アクセル無効判断部39においてアクセル操作が無効である旨の判断が所定時間連続して行われるまでは、ブザー音を鳴らさないようにしても良い。つまり、アクセル操作が無効である旨の判断が所定時間連続して行われたときに、初めてブザー音を鳴らすようにしても良い。この場合には、例えばノイズ等によって圧力センサ26やティルト角センサ27の計測値が変動したために、フォーク5が最上昇位置に達したと誤検出されたり、マスト4が最前傾位置または最後傾位置に達したと誤検出されても、ブザー音が鳴ることが無いため、オペレータに対して誤った情報を伝えることが確実に防止される。
以上において、リフトレバー9及びティルトレバー10は、荷役装置3の駆動操作を行うための荷役操作手段を構成する。リフト操作量センサ24とティルト操作量センサ25と圧力センサ26とティルト角センサ27とECU31の荷役操作状態検出部34、リフト最上昇検出部35及びマストティルト位置検出部36とは、荷役装置3の動作状態を検出する荷役動作状態検出手段を構成する。パーキングブレーキスイッチ28とディレクションスイッチ29とインチング・ブレーキスイッチ30とECU31の走行停止検出部37とは、走行装置2の走行状態を検出する走行状態検出手段を構成する。アクセルセンサ23とECU31のアクセル開度検出部33とは、走行装置2に設けられたアクセル11の操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段を構成する。ECU31のアクセル無効判断部39及びブザー鳴動制御部40とブザー32とは、荷役動作状態検出手段により荷役装置3が動作しないことが検出されると共に走行状態検出手段により走行装置2が走行しないことが検出されたときに、アクセル操作状態検出手段によりアクセル11が操作されたことが検出されると、オペレータに対して警告を行う警告手段を構成する。
ところで、エンジン式のフォークリフト1においては、フォーク5を上昇動作させたり、マスト4を前後傾動作させる際には、アクセルペダル11を踏み込んでエンジン14の出力(回転数)を上げて、荷役ポンプ18を回転させることで、上述したように荷役ポンプ18からリフトシリンダ15やティルトシリンダ16に十分な作動油が供給されるようになる。
しかし、リフトレバー9及びティルトレバー10が中立位置にある状態、つまりリフトレバー9の上昇操作やティルトレバー10の前後傾操作が行われていない状態では、当然のことながらフォーク5が上昇動作したり、マスト4が前後傾動作することは無い。また、リフトレバー9を上昇操作しても、フォーク5が既に最上昇位置に達している場合には、フォーク5が更に上昇動作することは無く、またティルトレバー10を前後傾操作しても、マスト4が既に最前傾位置または最後傾位置に達している場合には、マスト4が更に前傾動作・後傾動作することは無い。
このようにフォーク5の上昇動作及びマスト4の前後傾動作が行われず、フォークリフト1が走行していないときに、アクセルペダル11を操作してエンジン14の回転数を上げると、荷役ポンプ18から吐出される作動油の圧力が上昇してリリーフ設定圧に達し、作動油がタンク17に戻るようになるだけである。従って、荷役ポンプ18の運転が全く無駄となり、エネルギーを無駄に消費することになる。また、フォーク5及びマスト4が動作しないにも拘わらず、荷役ポンプ18を駆動すると、エンジン14やコントロールバルブ19等の部品に負担がかかることになるため、それらの部品の寿命が短くなる。
これに対し本実施形態では、フォーク5の上昇動作及びマスト4の前後傾動作が行われず、かつフォークリフト1が走行していない状態で、アクセルペダル11が操作されたときは、そのアクセル操作は無効であるとし、ブザー32により警告音を発生させるようにしたので、特に習熟していないオペレータに対し、無駄なアクセル操作を行っていることを警告音により通知することができる。従って、オペレータが無駄なアクセル操作を中止することにより、エンジン回転を上げないようにして荷役ポンプ18の無駄な運転を防ぐことができる。その結果、不必要なエネルギーの消費が抑えられ、省エネルギー化に十分寄与することが可能となる。
また、そのように荷役ポンプ18の無駄な運転が防止されるので、エンジン14やコントロールバルブ19等の部品にかかる負担が軽減され、部品の長寿命化を図ることができる。
さらに、既存のセンサやスイッチを用いて無駄にエネルギーを消費する状態を検出するので、ブザー32以外に新たに部品を追加する必要がなく、またECU31の制御ロジックが簡単で済むので、上記警告機能を低コストで実現することができる。
図5は、本発明に係わる荷役車両の第2実施形態におけるフォークリフトのエンジン制御を含む制御系の概略構成を示すブロック図である。図中、第1実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のフォークリフト1は、第1実施形態におけるECU31及びブザー32に代えて、ECU41及びランプ(インジケータ)42を備えている。ランプ42は、オペレータに対して警告表示を行うものであり、例えばLED等で構成されている。ランプ42は、走行装置2の計器類の設置箇所に設けられている。なお、ランプ42の数としては、1つでも良いし、複数あっても良い。
ECU41は、第1実施形態におけるブザー鳴動制御部40に代えて、ランプ点灯制御部43を有している。ランプ点灯制御部43は、アクセル無効判断部39でアクセル操作が無効であると判断されたときに、ランプ点灯パターン(点灯や点滅等)を決定し、その点灯パターンに従ってランプ42を点灯させるように制御する。
このとき、アクセル無効判断部39によるアクセル操作が無効である旨の判断が所定時間連続するまでは、ランプ42を点灯させないようにしても良い。この場合には、上述したように、例えばノイズ等によるセンサ計測値の変動の影響を受けにくくなるため、オペレータに対して誤った情報を伝えることが確実に防止される。
以上において、ECU41のアクセル無効判断部39及びランプ点灯制御部43とランプ42とは、荷役動作状態検出手段により荷役装置3が動作しないことが検出されると共に走行状態検出手段により走行装置2が走行しないことが検出されたときに、アクセル操作状態検出手段によりアクセル11が操作されたことが検出されると、オペレータに対して警告を行う警告手段を構成する。
このような本実施形態においては、フォーク5の上昇動作及びマスト4の前後傾動作が行われず、かつフォークリフト1が走行していない状態で、アクセルペダル11が操作されたときは、そのアクセル操作は無効であるとし、ランプ42を点灯させるようにしたので、無駄なアクセル操作を行っていることをランプ42によりオペレータに通知することができる。従って、第1実施形態と同様に、オペレータが無駄なアクセル操作を中止することにより、荷役ポンプ18の無駄な運転を防ぎ、十分な省エネルギー化を図ることができる。
なお、本実施形態では、アクセル無効判断部39でアクセル操作が無効であると判断されたときに、ランプ42を点灯させるようにしたが、通常時にはランプ42を点灯させておき、アクセル無効判断部39でアクセル操作が無効であると判断されたときに、ランプ42を消灯させるようにしても良い。また、ランプ42の代わりにメータディスプレイ等の情報表示器を用い、記号等を表示、非表示、変更するようにしても良い。
図6は、本発明に係わる荷役車両の第3実施形態におけるフォークリフトのエンジン制御系の概略構成を示すブロック図である。図中、第1実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のフォークリフト1は、上述したブザー32及びランプ42を備えていない。また、フォークリフト1は、第1実施形態におけるECU31に代えて、ECU44を備えている。ECU44は、第1実施形態におけるエンジン出力制御部38及びブザー鳴動制御部40に代えて、目標エンジン出力設定部45及びエンジン出力制御部46を有している。
目標エンジン出力設定部45は、アクセル開度検出部33の検出結果とアクセル無効判断部39の判断結果とに基づいて、目標エンジン出力を設定する。具体的には、目標エンジン出力設定部45は、アクセル無効判断部39によりアクセル操作が有効であると判断されたときは、アクセル開度検出部33で検出されたアクセル開度に対応するエンジン出力を目標エンジン出力として設定し、アクセル無効判断部39によりアクセル操作が無効であると判断されたときは、荷役装置3及び走行装置2が動作していない時のエンジン出力を目標エンジン出力として設定する。
ここで、荷役装置3以外で作動油が供給される機器が何も装備されていない場合には、目標エンジン出力をアイドル状態相当の出力とするが、例えばパワーステアリング(図示せず)が装備されている場合には、パワーステアリング駆動分に相当するエンジン出力を目標エンジン出力とする。
エンジン出力制御部46は、目標エンジン出力設定部45で設定された目標エンジン出力に応じてエンジンを制御する。
このとき、アクセル無効判断部39によるアクセル操作が無効である旨の判断が所定時間連続するまでは、アクセル開度検出部33で検出されたアクセル開度に応じてエンジン14を制御しても良い。この場合には、例えばノイズ等によりセンサの計測値が変動したためにフォーク5やマスト4の位置が誤検出されても、フォーク5やマスト4の動作を妨げることが無い。
以上において、ECU44のアクセル無効判断部39、目標エンジン出力設定部45及びエンジン出力制御部46は、荷役動作状態検出手段により荷役装置3が動作しないことが検出されると共に走行状態検出手段により走行装置2が走行しないことが検出されたときに、アクセル操作状態検出手段によりアクセル11が操作されたことが検出されると、原動機(エンジン14)の出力値を荷役装置3が動作していない時のレベルまで下げるように制御する制御手段を構成する。
このように本実施形態においては、フォーク5の上昇動作及びマスト4の前後傾動作が行われず、かつフォークリフト1が走行していない状態で、アクセルペダル11が操作されたときは、そのアクセル操作は無効であるとして、エンジン14の出力値を必要最小限のレベルまで下げるように自動制御するので、第1実施形態と同様に、荷役ポンプ18の無駄な運転を防ぎ、十分な省エネルギー化を図ることができる。
なお、本実施形態では、フォーク5の上昇動作及びマスト4の前後傾動作が行われず、かつフォークリフト1が走行していない状態で、実際にアクセル操作が行われたときに、そのアクセル操作は無効であると判断したが、アクセル操作があっても無くても、フォーク5の上昇動作及びマスト4の前後傾動作が行われず、かつフォークリフト1が走行していないときは、アクセル操作は無効であると判断しても良い。この場合には、アクセル操作の無効判断のロジックを簡素化することができる。
また、本実施形態では、フォーク5の上昇動作時及びマスト4の後傾動作時に、エンジン出力を下げて荷役ポンプ18の駆動を弱めても、フォーク5やマスト4が逆に動き出すことがないように、油圧回路に逆止弁もしくはそれ相当のロック機構等を設けることが望ましい。
また、本実施形態では、リフトレバー9を下降操作すると、荷役ポンプ18からリフトシリンダ15に作動油が供給されずに、フォーク5の自重によってフォーク5が下降するような構成となっているが、例えばリフトレバー9がミニレバータイプのように下降操作時にもパイロット圧を必要とする場合には、リフトレバー9の下降操作時において、最低でも当該パイロット圧分だけは荷役ポンプ18を駆動する必要がある。
図7は、本発明に係わる荷役車両の第4実施形態としてアタッチメント付きのカウンターバランス型フォークリフトを斜め前方から見た概略斜視図である。図中、第1実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のフォークリフト50は、上記走行装置2の前部に搭載された荷役装置51を備えている。荷役装置51は、上述した1対のフォーク5に代えて、アタッチメントとしてのロールクランプ52を有している。ロールクランプ52は、マスト4にリフトブラケット(図示せず)を介して昇降自在に支持されている。ロールクランプ52は、ロール紙等のロール体Rをクランプする1対のクランプアーム53を有している。
図8は、荷役装置51の駆動系を示す概略構成図である。同図において、フォークリフト50は、ロールクランプ52によりロール体Rをクランプするためのアタッチメント用操作レバーであるクランプレバー54と、荷役装置51に設けられ、各クランプアーム53を開閉動作させるクランプシリンダ55と、タンク17、荷役ポンプ18、リフトシリンダ15、ティルトシリンダ16及びクランプシリンダ55と配管を介して接続されたコントロールバルブ56とを更に備えている。
コントロールバルブ56は、上記のリフト弁20、ティルト弁21及びリリーフ弁22に加え、クランプレバー54の操作に応じて、タンク17及び荷役ポンプ18とクランプシリンダ55との間で作動油の流れる方向を切り替えるクランプ弁57を有している。クランプレバー54をクランプ側に操作(クランプ操作)すると、荷役ポンプ18からの作動油がクランプ弁57を介してクランプシリンダ55の一方の油圧室に供給されることで、クランプシリンダ55が伸長し、これに伴って各クランプアーム53が閉じられるため、各クランプアーム53によりロール体Rをクランプすることができる。
図9は、フォークリフト50のエンジン制御を含む制御系を示す概略構成図である。同図において、フォークリフト50は、上記のECU31等に加え、クランプレバー54の操作量を計測するアタッチメント操作量センサ58を更に備えている。
ECU31の荷役操作状態検出部34は、リフト操作量センサ24、ティルト操作量センサ25及びアタッチメント操作量センサ58の計測値から、リフトレバー9、ティルトレバー10及びクランプレバー54の操作状態を検出する。なお、クランプレバー54の操作状態の検出は、アタッチメント操作量センサ58の代わりに、クランプレバー54が操作されたことを検知するアタッチメント操作スイッチを用いて行っても良い。
図10は、アクセル無効判断部39により実行されるアクセル無効判断処理手順の詳細を示すフローチャートである。図中、図4に示すフローチャートと同一の処理については、説明を省略する。
同図において、手順S103でティルトレバー10が後傾操作されていないと判定されたときは、引き続いて荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、クランプレバー54が中立位置にあるかどうかを判定する(手順S111)。クランプレバー54が中立位置にあると判定されたときは、走行停止検出部37の検出結果に基づいて、フォークリフト50が走行していないかどうかを判定する(手順S104)。一方、クランプレバー54が中立位置にないと判定されたときは、アクセル操作が有効であると判断する(手順S110)。
このようなアクセル無効判断処理により、リフトレバー9、ティルトレバー10及びクランプレバー54が何れも中立位置にあり、フォークリフト1が走行していない状態で、アクセルペダル11が踏まれたときは、アクセル操作が無効であると判断されることとなる。リフトレバー9、ティルトレバー10及びクランプレバー54が中立位置にある状態、つまりそれらのレバー9,10,54が操作されていない状態では、当然のことながら、フォーク5、マスト4及びクランプアーム53が動作することは無い。
以上において、リフト操作量センサ24とティルト操作量センサ25とアタッチメント操作量センサ58と圧力センサ26とティルト角センサ27とECU31の荷役操作状態検出部34、リフト最上昇検出部35及びマストティルト位置検出部36とは、荷役装置3の動作状態を検出する荷役動作状態検出手段を構成する。
このような本実施形態においては、フォーク5、マスト4及びクランプアーム53の動作が行われず、かつフォークリフト50が走行していない状態で、アクセルペダル11が操作されたときは、そのアクセル操作は無効であるとして、ブザー音を発生させるので、無駄なアクセル操作を行っていることをオペレータに通知することができる。従って、第1実施形態と同様に、オペレータが無駄なアクセル操作を中止することで、荷役ポンプ18の無駄な運転を防ぎ、省エネルギー化に十分寄与することができる。
また、各クランプアーム53によりロール体Rが強くクランプされている状態では、クランプレバー54をクランプ操作しても、もはやクランプアーム53が動作することは無い。そのようなクランプアーム53が動かない状態は、例えばクランプ弁57とクランプシリンダ55との間のロッド側配管に設けられた圧力センサにより検出可能である。従って、各クランプアーム53によりロール体Rが強くクランプされ、かつフォークリフト50が走行していない状態で、アクセルペダル11が操作されたときにも、ブザー音を発生させるようにしても良く、この場合には更なる省エネルギー化を実現することができる。
なお、本実施形態では、アクセル操作が無効であると判断されると、ブザー32により警告音を発するような構成としたが、第2実施形態のようにランプ42により警告表示させても良い。
また、本実施形態では、アタッチメントとしてロール体Rをクランプするロールクランプ52を用いたが、サイドシフトフォーク、フォークシフタ、ベールクランプやドラムクランプ等といった他のアタッチメントにも適用可能であることは言うまでもない。
図11は、本発明に係わる荷役車両の第5実施形態としてバッテリ式フォークリフトにおける荷役装置の駆動系を示す概略構成図である。バッテリ式フォークリフトは、駆動源が電動機である点においてエンジン式フォークリフトと異なっている。便宜上、バッテリ式フォークリフトの外観は、図1に示すようなエンジン式フォークリフト1と同等であるものとする。図中、第1実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図11において、本実施形態のフォークリフト1は、荷役ポンプ18を駆動する電動式の荷役モータ60を備えている。荷役装置3の駆動系の他の構成は、図2に示すものと同様である。なお、走行装置2は、荷役モータ60とは異なる電動式モータ(図示せず)により走行動作する。
図12は、フォークリフト1のモータ制御を含む制御系の概略構成を示すブロック図である。同図において、フォークリフト1は、上記のリフト操作量センサ24、ティルト操作量センサ25、圧力センサ26、ティルト角センサ27及びブザー32と、ECU61とを更に備えている。
ECU61は、上記の荷役操作状態検出部34、リフト最上昇検出部35及びマストティルト位置検出部36と、モータ駆動制御部62と、荷役無効判断部63と、ブザー鳴動制御部64とを有している。
モータ駆動制御部62は、荷役操作状態検出部34により検出されたリフトレバー9及びティルトレバー10の操作状態に応じて荷役モータ60を制御する。具体的には、モータ駆動制御部62は、リフトレバー9が上昇操作されていることが検出されたときは、その操作量に応じて荷役モータ60を回転駆動させるように制御し、ティルトレバー10が前傾操作または後傾操作されていることが検出されたときは、その操作量に応じて荷役モータ60を回転駆動させるように制御する。つまり、モータ駆動制御部62は、リフトレバー9及びティルトレバー10の操作と荷役モータ60の駆動とを連動させるように制御することとなる。
荷役無効判断部63は、荷役操作状態検出部34、リフト最上昇検出部35及びマストティルト位置検出部36の検出結果に基づいて、オペレータによる荷役操作が無効であるかどうかを判断する。
図13は、荷役無効判断部63により実行される荷役無効判断処理手順の詳細を示すフローチャートである。
同図において、まず荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、リフトレバー9が上昇操作されていないかどうかを判定する(手順S121)。リフトレバー9が上昇操作されていないと判定されたときは、引き続いて荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が前傾操作されていないかどうかを判定する(手順S122)。ティルトレバー10が前傾操作されていないと判定されたときは、引き続いて荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が後傾操作されていないかどうかを判定する(手順S123)。ティルトレバー10が後傾操作されていないと判定されたときは、荷役操作が無効でないと判断し(手順S124)、手順S121に戻る。
一方、手順S121においてリフトレバー9が上昇操作されていると判定されたときは、リフト最上昇検出部35の検出結果に基づいて、フォーク5が最上昇位置に達していないかどうかを判定する(手順S125)。フォーク5が最上昇位置に達していないと判定されたときは、荷役操作が無効でないと判断し(手順S124)、手順S121に戻る。
フォーク5が最上昇位置に達していると判定されたときは、荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が前傾操作されているかどうかを判定する(手順S126)。手順S122,S126においてティルトレバー10が前傾操作されていると判定されたときは、マストティルト位置検出部36の検出結果に基づいて、マスト4が最前傾位置に達していないかどうかを判定する(手順S127)。マスト4が最前傾位置に達していないと判定されたときは、荷役操作が無効でないと判断し(手順S124)、手順S121に戻る。
手順S126においてティルトレバー10が前傾操作されていないと判定されたとき、手順S127においてマスト4が最前傾位置に達していると判定されたときは、荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が後傾操作されているかどうかを判定する(手順S128)。手順S123,S128においてティルトレバー10が後傾操作されていると判定されたときは、マストティルト位置検出部36の検出結果に基づいて、マスト4が最後傾位置に達していないかどうかを判定する(手順S129)。マスト4が最後傾位置に達していないと判定されたときは、荷役操作が無効でないと判断し(手順S124)、手順S121に戻る。
手順S128においてティルトレバー10が後傾操作されていないと判定されたとき、手順S129においてマスト4が最後傾位置に達していると判定されたときは、荷役操作が無効であると判断し(手順S130)、手順S121に戻る。
図14は、荷役無効判断部63により実行される荷役無効判断処理手順の詳細の変形例を示すフローチャートである。
同図において、まず荷役無効フラグ及び荷役有効フラグをOFFに初期設定する(手順S131)。続いて、荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、リフトレバー9が上昇操作されていないかどうかを判定する(手順S132)。リフトレバー9が上昇操作されていないと判定されたときは、引き続いて荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が前傾操作されていないかどうかを判定する(手順S133)。
手順S132においてリフトレバー9が上昇操作されていると判定されたときは、リフト最上昇検出部35の検出結果に基づいて、フォーク5が最上昇位置に達しているかどうかを判定する(手順S134)。フォーク5が最上昇位置に達していると判定されたときは、荷役無効フラグをONにセットし(手順S135)、上記手順S133に移る。フォーク5が最上昇位置に達していないと判定されたときは、荷役有効フラグをONにセットし(手順S136)、上記手順S133に移る。
手順S133においてティルトレバー10が前傾操作されていないと判定されたときは、引き続いて荷役操作状態検出部34の検出結果に基づいて、ティルトレバー10が後傾操作されていないかどうかを判定する(手順S137)。
一方、手順S133においてティルトレバー10が前傾操作されていると判定されたときは、マストティルト位置検出部36の検出結果に基づいて、マスト4が最前傾位置に達しているかどうかを判定する(手順S138)。マスト4が最前傾位置に達していると判定されたときは、荷役無効フラグをONにセットし(手順S139)、上記手順S137に移る。マスト4が最前傾位置に達していないと判定されたときは、荷役有効フラグをONにセットし(手順S140)、上記手順S137に移る。
手順S137においてティルトレバー10が後傾操作されていないと判定されたときは、荷役有効フラグがOFFであり且つ荷役無効フラグがONであるかどうかを判定する(手順S141)。
一方、手順S137においてティルトレバー10が後傾操作されていると判定されたときは、マストティルト位置検出部36の検出結果に基づいて、マスト4が最後傾位置に達しているかどうかを判定する(手順S142)。マスト4が最後傾位置に達していると判定されたときは、荷役無効フラグをONにセットし(手順S143)、上記手順S141に移る。マスト4が最後傾位置に達していないと判定されたときは、荷役有効フラグをONにセットし(手順S144)、上記手順S141に移る。
手順S141において荷役有効フラグがOFFであり且つ荷役無効フラグがONであると判定されたときは、荷役操作が無効であると判断し(手順S145)、手順S131に戻る。一方、手順S141において荷役有効フラグがOFFであり且つ荷役無効フラグがONである状態以外の状態であると判定されたときは、荷役操作が無効でないと判断し(手順S146)、手順S131に戻る。
このような荷役無効判断処理により、ティルトレバー10が中立位置にあるが、リフトレバー9が上昇操作されていて、フォーク5が最上昇位置に達しているときは、荷役操作が無効であると判断されることとなる。また、リフトレバー9が中立位置にあるが、ティルトレバー10が前傾操作または後傾操作されていて、マスト4が最前傾位置または最後傾位置に達しているときにも、荷役操作が無効であると判断されることとなる。
図12に戻り、ブザー鳴動制御部64は、荷役無効判断部63で荷役操作が無効であると判断されたときに、ブザー鳴動パターンを決定し、その鳴動パターンに従ってブザー音を鳴らすようにブザー32を制御する。ブザー鳴動パターンは、第1実施形態と同様である。
以上において、リフト操作量センサ24とティルト操作量センサ25とECU61の荷役操作状態検出部34とは、荷役操作手段9,10の操作状態を検出する荷役操作状態検出手段を構成する。圧力センサ26とティルト角センサ27とECU61のリフト最上昇検出部35及びマストティルト位置検出部36は、荷役装置3の動作状態を検出する荷役動作状態検出手段を構成する。ECU61の荷役無効判断部63及びブザー鳴動制御部64とブザー32とは、荷役操作状態検出手段により荷役操作手段9,10の操作が行われていることが検出されたときに、荷役動作状態検出手段により荷役装置3が動作しないことが検出されると、オペレータに対して警告を行う警告手段を構成する。
ところで、バッテリ式のフォークリフト1においては、リフトレバー9が上昇操作されておらず、ティルトレバー10も前後傾操作されていないときは、基本的には荷役モータ60は回転しないため、荷役ポンプ18が駆動されることは無い。リフトレバー9が上昇操作されたり、ティルトレバー10が前後傾操作されると、その操作量に応じて荷役モータ60が回転するため、それに伴って荷役ポンプ18が駆動され、荷役ポンプ18からリフトシリンダ15やティルトシリンダ16に十分な作動油が供給されるようになる。
しかし、リフトレバー9が上昇操作されていても、フォーク5が既に最上昇位置に達している場合には、フォーク5が更に上昇動作することは無く、またティルトレバー10が前後傾操作されていても、マスト4が既に最前傾位置または最後傾位置に達している場合には、マスト4が更に前傾動作・後傾動作することは無い。
このようにリフトレバー9の上昇操作やティルトレバー10の前後傾操作が行われているにも拘わらず、フォーク5の上昇動作やマスト4の前後傾動作が行われない状態となっているときには、荷役ポンプ18から吐出される作動油の圧力が上昇してリリーフ設定圧に達し、作動油がタンク17に戻るようになるだけである。従って、荷役ポンプ18の運転が全く無駄となり、エネルギーを無駄に消費することになる。
これに対し本実施形態では、リフトレバー9の上昇操作やティルトレバー10の前後傾操作が行われているにも拘わらず、フォーク5の上昇動作やマスト4の前後傾動作が行われないときは、その荷役操作は無効であるとして、ブザー32により警告音を発生させるようにしたので、無駄な荷役操作を行っていることをオペレータに通知することができる。従って、オペレータが無駄な荷役操作を中止することで、荷役モータ60の回転を停止させて荷役ポンプ18の無駄な運転を防ぐことができる。その結果、第1実施形態と同様に、不必要なエネルギーの消費が抑えられ、省エネルギー化に十分寄与することが可能となる。
また、荷役ポンプ18の無駄な運転が防止されるので、荷役モータ60やコントロールバルブ19等の部品にかかる負担が低減され、部品の長寿命化を図ることができる。
さらに、エンジン式フォークリフトに比べて少ない既存のセンサやスイッチを用いて、無駄にエネルギーを消費する状態を検出すると共に、エンジン式フォークリフトよりもECU61の制御ロジックが簡単になるので、一層の低コスト化を図ることができる。
図15は、本発明に係わる荷役車両の第6実施形態におけるフォークリフトのモータ制御を含む制御系の概略構成を示すブロック図である。図中、第2及び第5実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のフォークリフト1は、第5実施形態におけるECU61及びブザー32に代えて、ECU65及び上記のランプ(インジケータ)42を備えている。
ECU65は、第5実施形態におけるブザー鳴動制御部64に代えて、ランプ点灯制御部66を有している。ランプ点灯制御部66は、荷役無効判断部63で荷役操作が無効であると判断されたときに、ランプ点灯パターンを決定し、その点灯パターンに従ってランプ42を点灯させるように制御する。ランプ点灯パターンや他の表示手段等については、第2実施形態と同様である。
以上において、ECU65の荷役無効判断部63及びランプ点灯制御部66とランプ42とは、荷役操作状態検出手段により荷役操作手段9,10の操作が行われていることが検出されたときに、荷役動作状態検出手段により荷役装置3が動作しないことが検出されると、オペレータに対して警告を行う警告手段を構成する。
このような本実施形態においては、リフトレバー9の上昇操作やティルトレバー10の前後傾操作が行われているにも拘わらず、フォーク5の上昇動作やマスト4の前後傾動作が行われないときは、その荷役操作は無効であるとして、ランプ42を点灯させるようにしたので、無駄な荷役操作を行っていることをオペレータに通知することができる。従って、第5実施形態と同様に、オペレータが無駄な荷役操作を中止することで、荷役ポンプ18の無駄な運転を防ぎ、省エネルギー化に十分寄与することができる。
図16は、本発明に係わる荷役車両の第7実施形態におけるフォークリフトのモータ制御系の概略構成を示すブロック図である。図中、第5実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のフォークリフト1は、上述したブザー32やランプ42を備えていない。また、フォークリフト1は、第5実施形態におけるECU61に代えて、ECU70を備えている。ECU70は、第5実施形態におけるモータ駆動制御部62及びブザー鳴動制御部64に代えて、モータ駆動モード設定部71及びモータ駆動制御部72を有している。
モータ駆動モード設定部71は、荷役操作状態検出部34の検出結果と荷役無効判断部63の判断結果とに基づいて、モータ駆動モードを設定する。具体的には、モータ駆動モード設定部71は、荷役無効判断部63により荷役操作が有効であると判断されたときは、荷役操作状態検出部34で検出されたリフトレバー9の上昇操作量、ティルトレバー10の前傾操作量または後傾操作量に対応するモータ出力を目標モータ出力とするモードに設定し、荷役無効判断部63により荷役操作が無効であると判断されたときは、荷役装置3が動作していない時のモータ出力を目標モータ出力とするモードに設定する。
ここで、荷役装置3以外で作動油が供給される機器が何も装備されていない場合には、目標モータ出力をゼロ(モータ停止)とするが、例えばパワーステアリングが装備されている場合には、パワーステアリング駆動分に相当するモータ出力を目標モータ出力とする。
モータ駆動制御部72は、モータ駆動モード設定部71で設定された目標モータ出力に応じて荷役モータ60を制御する。
このとき、荷役無効判断部63による荷役操作が無効である旨の判断が所定時間連続するまでは、荷役操作状態検出部34で検出されたリフトレバー9及びティルトレバー10の操作状態に応じて荷役モータ60を制御しても良い。この場合には、例えばノイズ等によりセンサの計測値が変動したためにフォーク5やマスト4の位置が誤検出されても、フォーク5やマスト4の動作を妨げることが無い。
以上において、ECU70の荷役無効判断部63、モータ駆動モード設定部71及びモータ駆動制御部72は、荷役操作状態検出手段により荷役操作手段9,10の操作が行われていることが検出されたときに、荷役動作状態検出手段により荷役装置3が動作しないことが検出されると、荷役用原動機(荷役モータ60)の出力値を荷役装置3が動作していない時のレベルまで下げるように制御する制御手段を構成する。
このように本実施形態においては、リフトレバー9の上昇操作やティルトレバー10の前後傾操作が行われているにも拘わらず、フォーク5の上昇動作やマスト4の前後傾動作が行われないときは、その荷役操作は無効であるとして、荷役モータ60の出力値を必要最小限のレベルまで下げるように自動制御するので、第5実施形態と同様に、荷役ポンプ18の無駄な運転を防ぎ、省エネルギー化に十分寄与することができる。
なお、本実施形態では、第3実施形態と同様に、油圧回路に逆止弁もしくはそれ相当のロック機構等を設けることにより、フォーク5の上昇動作時及びマスト4の後傾動作時に、荷役ポンプ60の出力を下げて荷役ポンプ18の回転を弱めても、フォーク5やマスト4が逆に動き出すことが無いようにするのが望ましい。
また、例えばリフトレバー9がミニレバータイプの場合には、第3実施形態と同様に、リフトレバー9の下降操作時に、最低でもパイロット圧分だけは荷役ポンプ18を駆動する必要がある。
以上、本発明に係わる荷役車両の好適な実施形態について幾つか説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば第5〜第7実施形態で述べたバッテリ式フォークリフトについても、第4実施形態のようなアタッチメント付きのフォークリフトに適用することが可能である。また、バッテリ式フォークリフトにおいては、上述したカウンターバランス型のフォークリフトに限られず、フォークが前方に繰り出すリーチ型のフォークリフトにも適用可能であり、この場合には、フォークのリーチ位置(最リーチアウト・最リーチイン)を検出することが必要となる。
また、上記実施形態の荷役装置は、トルコン車タイプのフォークリフトであるが、本発明は、クラッチ車タイプのフォークリフト等にも適用可能である。
1…フォークリフト(荷役車両)、2…走行装置、3…荷役装置、4…マスト、5…フォーク(荷物保持部材)、9…リフトレバー(昇降操作手段、荷役操作手段)、10…ティルトレバー(前後傾操作手段、荷役操作手段)、11…アクセルペダル、14…エンジン(原動機)、15…リフトシリンダ(昇降手段)、16…ティルトシリンダ(前後傾手段)、18…荷役ポンプ(昇降手段、前後傾手段)、20…リフト弁(昇降手段)、21…ティルト弁(前後傾手段)、23…アクセルセンサ(アクセル操作状態検出手段)、24…リフト操作量センサ(荷役動作状態検出手段、荷役操作状態検出手段)、25…ティルト操作量センサ(荷役動作状態検出手段、荷役操作状態検出手段)、26…圧力センサ(荷役動作状態検出手段)、27…ティルト角センサ(荷役動作状態検出手段)、28…パーキングブレーキスイッチ(走行状態検出手段)、29…ディレクションスイッチ(走行状態検出手段)、30…インチング・ブレーキスイッチ(走行状態検出手段)、31…ECU、32…ブザー(警告手段)、33…アクセル開度検出部(アクセル操作状態検出手段)、34…荷役操作状態検出部(荷役動作状態検出手段、荷役操作状態検出手段)、35…リフト最上昇検出部(荷役動作状態検出手段)、36…マストティルト位置検出部(荷役動作状態検出手段)、37…走行停止検出部(走行状態検出手段)、39…アクセル無効判断部(警告手段、制御手段)、40…ブザー鳴動制御部(警告手段)、41…ECU、42…ランプ(警告手段)、43…ランプ点灯制御部(警告手段)、44…ECU、45…目標エンジン出力設定部(制御手段)、46…エンジン出力制御部(制御手段)、50…フォークリフト(荷役車両)、51…荷役装置、52…ロールクランプ(荷物保持部材)、54…クランプレバー(荷役操作手段)、58…アタッチメント操作量センサ(荷役動作状態検出手段、荷役操作状態検出手段)、60…荷役モータ(荷役用原動機)、61…ECU、63…荷役無効判断部(警告手段、制御手段)、64…ブザー鳴動制御部(警告手段)、65…ECU、66…ランプ点灯制御部(警告手段)、70…ECU、71…モータ駆動モード設定部(制御手段)、72…モータ駆動制御部(制御手段)。